自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置
【課題】自動紐掛け機において、被結束体の角部に対しても平らな状態で紐掛けを行うことができ、しかも紐端部間の結束を行う場合には、紐の幅を狭めて縮径することができる自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置を提供する。
【解決手段】荷造り紐を幅広で案内して、紐結束を行う自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置60Aであって、略コ字状のアーム部材と、アーム部材の先端側端部に取り付けられる紐受け渡し部材34と、を有し、紐受け渡し部材34は、上板38と下板と、これらを連結する一対の側板41,42と、を備え、導入用開口部および導出用開口部は、荷造り紐1の幅よりも長く形成され、紐受け渡し部材34がアーム部材の傾倒動作に伴って上方から下方側に案内された場合に、導出用開口部から導出された荷造り紐1が次第に幅狭にされることを特徴とする。
【解決手段】荷造り紐を幅広で案内して、紐結束を行う自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置60Aであって、略コ字状のアーム部材と、アーム部材の先端側端部に取り付けられる紐受け渡し部材34と、を有し、紐受け渡し部材34は、上板38と下板と、これらを連結する一対の側板41,42と、を備え、導入用開口部および導出用開口部は、荷造り紐1の幅よりも長く形成され、紐受け渡し部材34がアーム部材の傾倒動作に伴って上方から下方側に案内された場合に、導出用開口部から導出された荷造り紐1が次第に幅狭にされることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置に関し、詳しくは、紐ロール体から供給されてきた幅広の荷造り紐を被結束体に対して幅広の状態で紐掛けを行なった後、結束を行うに際しては、幅狭にして結束することができる自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図7に示したように、シート状に折り畳まれた状態の段ボールシート(組み立てれば段ボール箱が形成される)のような薄い被結束体10は、多数枚、積層された状態で市場に出荷されている。このように薄く柔軟な材質の被結束体10に対する紐掛けを行う場合、荷造り用紐1としては、厚さ数十μm、幅50mm程度の柔軟なポリエチレン紐などが、両側から中央に折り込まれて幅25mm程度の状態で使用されている。このような荷造り紐1の紐供給として、例えば外取り方式と呼ばれる方式がある。
【0003】
この外取り方式では、図8に示したように、円筒状の紐コイル体2の軸芯が水平方向に保持され、幅25mm程度にされた荷造り紐1の外側端部3が引き出されて使用される。このような外取り方式では、荷造り紐1を引っ張っても捻れることなく下流側に供給することができる。
【0004】
ところが、このように外取り方式で紐供給を行う場合であっても、紐の端部間を結び合わすときには、紐の状態を幅狭にして結び合わさなければならない。
【0005】
しかしながら、図9に示したように、紐掛けの途中で、例えば被結束体10の角部で荷造り紐1が幅狭にされてしまうと、特に角部において応力集中が発生し、その角部を破損させてしまうという問題がある。このため、荷造り紐1は、被結束体10の角部においても幅広の平掛けの状態を保ちながら、紐掛けの最終段階で幅を狭くしなければならない。
【0006】
特許文献1では、この問題を以下のようにして対処していた。
【0007】
すなわち、図10〜図12に示したように、先ず、被結束体10を搬送するテーブル15の上方にガイドとしての誘導具8を配置し、この誘導具8に上方から導かれた荷造り紐1を挿通するとともに、テーブル15の下方に結び目形成に必要な拘束具14を配置し、この拘束具14に荷造り紐1の先端部を予め絡ませて配置する。なお、誘導具8の上流側では、バックテンションを作用させて、荷造り紐1の緊張状態を確保している。
【0008】
このような状態から、図10において、テーブル15上に矢印Bで示したように被結束体10が搬送されてくると、この被結束体10が幅広の荷造り紐1を水平方向に向かってくの字状に押し出し、これにより図11に示したように、荷造り紐1が被結束体10の外周面に巻回されていく。そして、荷造り紐1の端部間の結束を行う場合には、図12に示したように、荷造り紐1のガイドとされた誘導具8を水平方向に略90°回動させることにより、荷造り紐1を幅狭にする。これにより、幅狭にされた荷造り紐1の後端部と、拘束具14に予め係止されている紐先端部との結束が可能とされる。
【0009】
このように従来の自動紐掛け機では、紐搬送路の途中に誘導具8を設け、この誘導具8を所定のタイミングで略90°水平方向に回動させることにより、紐1の後端側を幅狭にする構造であることから、誘導具8を回動させるための構造および制御が複雑になるという問題があった。
【0010】
また、従来の自動紐掛け機では、誘導具8の姿勢が図11の状態から図12の状態に移るときに、荷造り紐1が開口部8aの一方の隅角部に引き寄せられるため、荷造り紐1が一方に偏ってしまう。すなわち、図12において、これから荷造り紐1が差しかかろうとしている被結束体10の角部付近から最初の角部付近に戻るあたりで、荷造り紐1が幅狭になってしまうという問題があった。よって、この場合であっても荷造り紐1が被結束体10の角部に食い込んでしまうことを解決することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−106483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような従来の実情に鑑み、自動紐掛け機において、被結束体に対して荷造り紐を可及的に幅広の平らな状態で差し渡すことができ、これにより被結束体の角部に対する荷造り紐の食い込みを確実に防止し、しかも紐端部間の結束を行う場合には、荷造り紐の幅を安易な構造で狭くして結束を行うことができる自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置は、
搬送面を水平方向に走行する被結束体に対してループ状に紐掛けするまでは、その荷造り紐を幅広で案内するとともに、紐結束を行うに際しては、前記幅広の荷造り紐を幅狭とする自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置であって、
前記被結束体の搬送面上方を横断するように配置され、装置フレーム等に支承された基端側端部を回動支点として前記被結束体の搬送方向と反対方向に向かって傾倒したときに、その先端側端部が上方から下方に向かって接近する略コ字状のアーム部材と、
前記アーム部材の前記先端側端部に取り付けられ、前記荷造り紐の導入用開口部および導出用開口部を有する紐受け渡し部材と、を有し、
前記紐受け渡し部材は、平面視略台形の上板と、平面視略三角形の下板と、これら上板と下板とを連結する一対の側板と、を備え、
前記導入用開口部および導出用開口部は、前記荷造り紐の幅よりも長く形成され、
前記受け渡し部材が前記アーム部材の傾倒動作に伴って上方から下方側に案内された場合に、前記導出用開口部から導出された前記荷造り紐が次第に幅狭にされることを特徴としている。
【0014】
このような構成の本願発明によれば、アーム部材の傾倒動作に伴って被結束体に対し荷造り紐を幅広の状態で巻きつけることができるとともに、結束を行う場合にのみ紐受け渡し部材に挿通された荷造り紐の幅を自動的に幅狭にすることができる。
【0015】
ここで、前記紐受け渡し部材は、前記被結束体の走行する方向と略直角な水平方向に往復移動可能に構成されており、前記紐受け渡し部材が上方から下方に案内される移動に伴って前記搬送ベルトに接近する水平方向に移動することが好ましい。
【0016】
このような構成であれば、荷造り紐が幅方向の一方側へ片寄ろうとしたときに、その片寄りの変形力を緩和することができる。したがって、荷造り紐を可及的に最後まで幅広のまま案内することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置によれば、アーム部材の傾倒動作に伴って、荷造り紐の幅を狭くして端部間の結束を可能とすることができる。また、その構造は容易である。
【0018】
また、紐受け渡し部材を上から下への移動に伴って水平方向にも往復移動可能としたため、荷造り紐の変形力を緩和し、一方側への片寄りを防止することができる。これにより、荷造り紐を最後まで幅広のまま案内することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1(A)は本発明に係る荷造り紐の誘導装置が搭載された自動紐掛け機の概略平面図で、図1(B)はその概略側面図である。
【図2】図2は図1に搭載された左側の誘導装置の斜視図である。
【図3】図3(A)は図2に示した誘導装置の構成要素である紐受け渡し部材の斜視図、図3(B)は図3(A)に示した紐受け渡し部材の裏面図である。
【図4】図4は本発明の一実施例に係る荷造り紐の誘導装置の作用を説明する初期状態の斜視図である。
【図5】図5は本発明の一実施例に係る荷造り紐の誘導装置の作用を説明する、結束前の中期状態の斜視図である。
【図6】図6は本発明の一実施例に係る荷造り紐の誘導装置において、紐掛け時の紐の状態を示す概略図である。
【図7】図7は従来の紐掛け装置で被結束体に紐掛けを行う場合の斜視図である。
【図8】図8は外取り方式で荷造り紐を供給する場合の斜視図である。
【図9】図9は、従来の外取り方式で紐掛けを行った場合に、被結束体の角部が潰れてしまったときの斜視図である。
【図10】図10は特開平2007−106483号に開示された結束装置の模式的斜視図である。
【図11】図11は図10に示した結束装置において、紐掛けが進んだ状態での斜視図である。
【図12】図12は図10に示した結束装置において荷造り紐に縮狭部を設けるときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置の一実施例について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1(A)は本発明に係る荷造り紐の誘導装置が搭載された自動紐掛け機の概略平面図で、図1(B)はその概略側面図である。
【0022】
なお、本明細書において、「上下」、「左右」、「前後」、「上流」、「下流」などは、便宜的に用いたもので、「上下」とは鉛直方向を基準としている。また、「左右」とは、例えば、被結束体10が進む方向(図1における矢印B方向)を見たとき、60A側を左、60B側を右としている。また、「前後」とは、下流側搬送ローラ30と上流側搬送ローラ20との関係において、下流側搬送ローラ30を前、上流側搬送ローラ20を後とする。さらに、上流、下流とは、荷造り紐や被結束体10などの進んでいく方向を下流、その反対に進行方向に向かって供給する手前側を上流とする。
【0023】
この自動紐掛け機100では、上流側搬送ローラ20と下流側搬送ローラ30との間に、一対の搬送ベルト40A,40Bが配置され、これら一対の搬送ベルト40A,40Bを介して被結束体10が矢印B方向に搬送されるときに、被結束体10に対し左右2本の紐掛けが同時に行われる。すなわち、この自動紐掛け機100では、紐掛けに係わる構成
が、紐掛け機本体に左右対称に具備されている。また、搬送ベルト40A,40B間の離間距離Hは、被結束体10の幅方向の長さに応じて適宜調整される。
【0024】
搬送ベルト40A,40Bの各近傍には、ストッパ部材50A,50Bが左右方向に移動可能に設置されている。そして、上流側搬送ローラ20から一対の搬送ベルト40A,40Bを介して搬送されてきた被結束体10がこれらストッパ部材50A,50Bに当接されることにより被結束体10の移動が停止されるとともに、その位置において後述する方法で2本同時の紐掛けが行われる。
【0025】
このような自動紐掛け機100では、図8に示したように外取り方式で紐ロール体から繰り出されてきた荷造り紐1を、被結束体10に対し幅広の状態で差し渡すことが行なわれる。そのため、搬送ベルト40A,40Bの上方には、荷造り紐1を幅広の状態で下方に繰り出すための一対の誘導装置60A,60Bが設置されている。
【0026】
誘導装置60A,60Bは、略対称形に形成されているため、以下では、左側の誘導装置60Aについて、図2ないし図5を参照しながら説明する。
【0027】
誘導装置60Aは、略コ字状に形成された回動自在なアーム部材66と、このアーム部材66の先端に設置された紐受け渡し部材34とから構成されている。
【0028】
アーム部材66は、図1に示した搬送ベルト40Aより若干高い位置に基端側端部61が配置され、この基端側端部61は、適宜な固定部に軸62を介して回転自在に取り付けられている。
【0029】
この回動支点となる基端側端部61から上方に向かって縦方向アーム63が延出され、さらにこの縦方向アーム63から搬送ベルト40Aを横断するように水平方向アーム64が延出され、さらにこの水平方向アーム64から傾斜アーム65が斜め下方に向かって延出されている。アーム部材66は、これら縦方向アーム63と水平方向アーム64と傾斜アーム65とにより構成されている。なお、縦方向アーム63と傾斜アーム65とのなす角度は、62〜63°に設定されている。また、アーム部材66は、通常は、図示しないスプリングの付勢力により、縦方向アーム63が略直立する姿勢に維持されている。
【0030】
このように構成された略コ字状のアーム部材66は、搬送ベルト40Aおよび被結束体10の矢印B方向の移動を損なわないように、先ず縦方向アーム63により搬送ベルト40Aの上方に案内されている。また基端側端部61を回動支点としてB方向と反対方向(矢印E方向)に向かって縦方向アーム63が傾倒したときに、傾斜アーム65の先端部に取り付られた紐受け渡し部材34が円弧を描きつつ下方に向かって移動する。なお、アーム部材66の回動は、紐受け渡し部材34が被結束体10に係止された紐1によりF方向に引っ張られることにより行われる。
【0031】
なお、このアーム部材66は、後述するように水平方向(矢印G方向)にも往復移動可能とされている。
【0032】
図2に示したように、縦方向アーム63が略直立した状態にあるとき、上記紐受け渡し部材34は、図3(A),(B)に拡大して示したように、上方の板体38と下方の板体39とが略水平方向に配置される。そして、これら上方の板体38と下方の板体39との間に、横方向に長い矩形の貫通孔36が形成されている。
【0033】
このような紐受け渡し部材34は、上側の板体38に所定の角度、例えば45°の傾斜角度をもってブラケット25が設置され、このブラケット25を介して傾斜アーム65の
先端部に取り付けられている。
【0034】
上記紐受け渡し部材34に対し、荷造り紐1は、図3(A)に示したように、ブラケット25の背面側に形成された紐導入用開口Aを通り、貫通孔36の手前側の紐導出用開口Cに案内される。そして、荷造り紐1の先端部は、図4に示した搬送ベルト40Aの下方に配置された拘束具14に予め係止される。
【0035】
図3(A)、(B)に示したように、上記紐受け渡し部材34を構成する上方の板体38は平板状で略台形に形成され、下方の板体39は、同じく平板状で略三角形に形成されている。また、上方の板体38と下方の板体39との間は、円弧状の側板41と円弧状の側板42とにより両端部が連結されている。
【0036】
下方の板体39は、図3(B)に示したように、略三角形状に形成されることにより、導出用開口部C側に第1斜辺37が形成されている。また、上方の板体38は、略台形に形成されることにより、導出用開口部C側に短辺部43と第2斜辺44とが形成されている。
【0037】
また、紐受け渡し部材34は、ブラケット25に形成された長孔23に対する傾斜アーム65の取付位置を調整することにより、貫通孔36の水平方向に対する傾斜角度が調整可能である。
【0038】
このような構成の紐受け渡し部材34が具備されたアーム部材66は、図2に示したように、荷造り紐1が矢印F方向に引っ張られることにより、矢印E方向に傾倒可能に構成されている。アーム部材66の矢印E方向への傾倒動作に伴って、紐受け渡し部材34が上方から下方に向かって移動する。また、本発明では、アーム部材66およびこのアーム部材66に取り付けられた紐受け渡し部材34は、上方から下方への移動とともに、矢印Gで示す水平方向にも往復移動可能に構成されている。
【0039】
すなわち、アーム部材66は、軸62を含む全体が矢印G方向に往復移動可能とされることにより、紐受け渡し部材34が搬送ベルト40Aに対して接近する方向に移動可能であり、一回の紐掛け作業が完了した後には、元位置に復帰するように構成されている。したがって、紐受け渡し部材34は、被結束体10に紐掛けを行なう際に、図2において上方から下方に移動しつつ、これに加えて水平方向(矢印G方向)にも移動可能とされている。
【0040】
本実施例による荷造り紐の誘導装置60Aは上記のように形成され、これと対称形をなす誘導装置60Bも略同様に形成されている。
【0041】
以下に、本実施に係る荷造り紐の誘導装置60A,60Bの作用について説明する。なお、一対の誘導装置60A,60Bは、同様の作用を行うため、以下では、主に一方の誘導装置60Aの作用について説明する。
【0042】
自動紐掛け機100では、多量の紐が巻回された紐ロール体が自動紐掛け機本体の両側に搭載され、一方の紐ロール体から引き出された荷造り紐1は誘導装置60Aに、他方の紐ロール体から引き出された荷造り紐1は誘導装置60Bにそれぞれ供給され、これにより被結束体10に対し2本の紐掛けが同時に行なわれる。
【0043】
このように、本実施例の自動紐掛け機100では、別々に配置された紐ロール体から幅広の状態で紐が繰り出され、図示しないガイドローラに係止された後、各誘導装置60A,60Bを通って下方に案内されている。したがって、図2に示したように、上方の図示
しないガイドローラから下方の紐受け渡し部材34に至る途中の荷造り紐1は、略鉛直方向に向かって幅広の姿勢で案内されている。一方、荷造り紐1の先端部1aは、搬送コンベア40Aより下方に案内されて、図4に示したように、拘束具14に丸い輪を形成するように予め係止されている。
【0044】
自動紐掛け機100では、上記の初期状態から被結束体10が図10の場合と同様に矢印B方向へ搬送されると、荷造り紐1が同時に水平方向にくの字状に引っ張られる。この紐1に対する引張り力が図2の矢印F方向への力である。このように、荷造り紐1をくの字状に引き出す被結束体10の搬送移動に伴い、図2に示したアーム部材66が矢印E方向に傾倒する。このような態様で荷造り紐1が、被結束体10の側面に沿って巻回されていく。
【0045】
今、図4に示したように、被結束体10の先端面がストッパ部材50Aに当接して、紐掛けが行われている。そして荷造り紐1を係止した誘導装置60Aの紐受け渡し部材34が被結束体10の角部を通過した位置にある。紐受け渡し部材34がこの位置にあるとき、荷造り紐1は紐受け渡し部材34に対し幅広の状態で巻き掛けられている。
【0046】
一方、荷造り紐1の誘導装置60Aが、図5に示したように、被結束体10の次のコーナ部Rを通り過ぎているとき、荷造り紐1は、紐受け渡し部材34の湾曲した側板41に引き寄せられている。これにより、荷造り紐1の所定の領域Xは、幅狭にされている。
【0047】
ここで、本実施例では、紐受け渡し部材34は、上述したように、上方から下方に向かって回動しながら矢印Gで示す水平方向にも移動する。これにより、図5に示した紐受け渡し部材34は、搬送ベルト40A側に接近する。この移動は荷造り紐1にも加えられるので、矢印G方向の水平移動が生じると、図6に示したように、荷造り紐1は、幅狭にされた片側の片1aの変形を緩和し、他方の片1bとの間で均等に変形させることができる。すなわち、荷造り紐1の中央部1cを図6の紙面に対して直角な方向にやや浮き上がらせて変形を緩和することができる。このような荷造り紐1の変形により、紐1を幅広の状態に維持したまま、コーナ部Rに荷造り紐1を巻きつけることができる。
【0048】
誘導装置60Aが図5の位置からさらに下方に移動すると、紐受け渡し部材34は、よりG方向に移動して結束具14に接近する。
【0049】
これにより、荷造り紐1は、最終的には小さく丸められた幅狭の状態となり、結束にふさわしい姿勢にされる。
【0050】
そして、自動紐掛け機100に具備された図示しない結び目形成手段が側方から突出され、この結び目形成手段を介して、結束具14に予め係止されている先端側の紐端部との間で結束が行なわれる。これにより、被結束体10に対する紐掛けが完了する。
【0051】
本実施例によれば、被結束体10に対し角部を含めて略全て幅広の状態で荷造り紐1を巻回することができる。また、端部間を結束する場合にのみ、荷造り紐の幅を狭くして紐端部間を結束することが可能となる。
【0052】
特に、被結束体10のコーナ部Rにおいては紐1が幅狭くされることを防止することができる。
【0053】
以上、本発明の一実施例に係る荷造り紐の誘導装置について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されない。
【0054】
例えば、上記実施例では、段ボールシートのような柔軟な材質の被結束体10に本発明を適用しているが、被結束物はシート状に限定されず、様々な物品に紐掛けを行うことができる。また、紐受け渡し部材34のアーム部材66に対する取り付けは、実施例に何ら限定されない。
【0055】
また、上記実施例では、前記紐受け渡し部材34がどのようにして水平方向(G方向)に移動するかは,特に言及していないが、水平方向への移動手段はどのような機構を用いてもよく、例えば、歯車あるいはエアシリンダなどを例示することができる。しかしながら、移動手段は特に、限定されるものではない。
【符号の説明】
【0056】
1 荷造り紐
10 被結束体
20 上流側搬送ローラ
30 下流側搬送ローラ
32 アーム部材
34 紐受け渡し部材
36 貫通孔
38 上板
39 下板
40A,40B 搬送ベルト(搬送面)
41,42 側板
50A,50B ストッパ部材
60A,60B 誘導装置
61 基端側端部
66 アーム部材
A 導入用開口部
B 搬送方向
C 導出用開口部
E 傾倒方向
G 水平方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置に関し、詳しくは、紐ロール体から供給されてきた幅広の荷造り紐を被結束体に対して幅広の状態で紐掛けを行なった後、結束を行うに際しては、幅狭にして結束することができる自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図7に示したように、シート状に折り畳まれた状態の段ボールシート(組み立てれば段ボール箱が形成される)のような薄い被結束体10は、多数枚、積層された状態で市場に出荷されている。このように薄く柔軟な材質の被結束体10に対する紐掛けを行う場合、荷造り用紐1としては、厚さ数十μm、幅50mm程度の柔軟なポリエチレン紐などが、両側から中央に折り込まれて幅25mm程度の状態で使用されている。このような荷造り紐1の紐供給として、例えば外取り方式と呼ばれる方式がある。
【0003】
この外取り方式では、図8に示したように、円筒状の紐コイル体2の軸芯が水平方向に保持され、幅25mm程度にされた荷造り紐1の外側端部3が引き出されて使用される。このような外取り方式では、荷造り紐1を引っ張っても捻れることなく下流側に供給することができる。
【0004】
ところが、このように外取り方式で紐供給を行う場合であっても、紐の端部間を結び合わすときには、紐の状態を幅狭にして結び合わさなければならない。
【0005】
しかしながら、図9に示したように、紐掛けの途中で、例えば被結束体10の角部で荷造り紐1が幅狭にされてしまうと、特に角部において応力集中が発生し、その角部を破損させてしまうという問題がある。このため、荷造り紐1は、被結束体10の角部においても幅広の平掛けの状態を保ちながら、紐掛けの最終段階で幅を狭くしなければならない。
【0006】
特許文献1では、この問題を以下のようにして対処していた。
【0007】
すなわち、図10〜図12に示したように、先ず、被結束体10を搬送するテーブル15の上方にガイドとしての誘導具8を配置し、この誘導具8に上方から導かれた荷造り紐1を挿通するとともに、テーブル15の下方に結び目形成に必要な拘束具14を配置し、この拘束具14に荷造り紐1の先端部を予め絡ませて配置する。なお、誘導具8の上流側では、バックテンションを作用させて、荷造り紐1の緊張状態を確保している。
【0008】
このような状態から、図10において、テーブル15上に矢印Bで示したように被結束体10が搬送されてくると、この被結束体10が幅広の荷造り紐1を水平方向に向かってくの字状に押し出し、これにより図11に示したように、荷造り紐1が被結束体10の外周面に巻回されていく。そして、荷造り紐1の端部間の結束を行う場合には、図12に示したように、荷造り紐1のガイドとされた誘導具8を水平方向に略90°回動させることにより、荷造り紐1を幅狭にする。これにより、幅狭にされた荷造り紐1の後端部と、拘束具14に予め係止されている紐先端部との結束が可能とされる。
【0009】
このように従来の自動紐掛け機では、紐搬送路の途中に誘導具8を設け、この誘導具8を所定のタイミングで略90°水平方向に回動させることにより、紐1の後端側を幅狭にする構造であることから、誘導具8を回動させるための構造および制御が複雑になるという問題があった。
【0010】
また、従来の自動紐掛け機では、誘導具8の姿勢が図11の状態から図12の状態に移るときに、荷造り紐1が開口部8aの一方の隅角部に引き寄せられるため、荷造り紐1が一方に偏ってしまう。すなわち、図12において、これから荷造り紐1が差しかかろうとしている被結束体10の角部付近から最初の角部付近に戻るあたりで、荷造り紐1が幅狭になってしまうという問題があった。よって、この場合であっても荷造り紐1が被結束体10の角部に食い込んでしまうことを解決することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−106483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような従来の実情に鑑み、自動紐掛け機において、被結束体に対して荷造り紐を可及的に幅広の平らな状態で差し渡すことができ、これにより被結束体の角部に対する荷造り紐の食い込みを確実に防止し、しかも紐端部間の結束を行う場合には、荷造り紐の幅を安易な構造で狭くして結束を行うことができる自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置は、
搬送面を水平方向に走行する被結束体に対してループ状に紐掛けするまでは、その荷造り紐を幅広で案内するとともに、紐結束を行うに際しては、前記幅広の荷造り紐を幅狭とする自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置であって、
前記被結束体の搬送面上方を横断するように配置され、装置フレーム等に支承された基端側端部を回動支点として前記被結束体の搬送方向と反対方向に向かって傾倒したときに、その先端側端部が上方から下方に向かって接近する略コ字状のアーム部材と、
前記アーム部材の前記先端側端部に取り付けられ、前記荷造り紐の導入用開口部および導出用開口部を有する紐受け渡し部材と、を有し、
前記紐受け渡し部材は、平面視略台形の上板と、平面視略三角形の下板と、これら上板と下板とを連結する一対の側板と、を備え、
前記導入用開口部および導出用開口部は、前記荷造り紐の幅よりも長く形成され、
前記受け渡し部材が前記アーム部材の傾倒動作に伴って上方から下方側に案内された場合に、前記導出用開口部から導出された前記荷造り紐が次第に幅狭にされることを特徴としている。
【0014】
このような構成の本願発明によれば、アーム部材の傾倒動作に伴って被結束体に対し荷造り紐を幅広の状態で巻きつけることができるとともに、結束を行う場合にのみ紐受け渡し部材に挿通された荷造り紐の幅を自動的に幅狭にすることができる。
【0015】
ここで、前記紐受け渡し部材は、前記被結束体の走行する方向と略直角な水平方向に往復移動可能に構成されており、前記紐受け渡し部材が上方から下方に案内される移動に伴って前記搬送ベルトに接近する水平方向に移動することが好ましい。
【0016】
このような構成であれば、荷造り紐が幅方向の一方側へ片寄ろうとしたときに、その片寄りの変形力を緩和することができる。したがって、荷造り紐を可及的に最後まで幅広のまま案内することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置によれば、アーム部材の傾倒動作に伴って、荷造り紐の幅を狭くして端部間の結束を可能とすることができる。また、その構造は容易である。
【0018】
また、紐受け渡し部材を上から下への移動に伴って水平方向にも往復移動可能としたため、荷造り紐の変形力を緩和し、一方側への片寄りを防止することができる。これにより、荷造り紐を最後まで幅広のまま案内することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1(A)は本発明に係る荷造り紐の誘導装置が搭載された自動紐掛け機の概略平面図で、図1(B)はその概略側面図である。
【図2】図2は図1に搭載された左側の誘導装置の斜視図である。
【図3】図3(A)は図2に示した誘導装置の構成要素である紐受け渡し部材の斜視図、図3(B)は図3(A)に示した紐受け渡し部材の裏面図である。
【図4】図4は本発明の一実施例に係る荷造り紐の誘導装置の作用を説明する初期状態の斜視図である。
【図5】図5は本発明の一実施例に係る荷造り紐の誘導装置の作用を説明する、結束前の中期状態の斜視図である。
【図6】図6は本発明の一実施例に係る荷造り紐の誘導装置において、紐掛け時の紐の状態を示す概略図である。
【図7】図7は従来の紐掛け装置で被結束体に紐掛けを行う場合の斜視図である。
【図8】図8は外取り方式で荷造り紐を供給する場合の斜視図である。
【図9】図9は、従来の外取り方式で紐掛けを行った場合に、被結束体の角部が潰れてしまったときの斜視図である。
【図10】図10は特開平2007−106483号に開示された結束装置の模式的斜視図である。
【図11】図11は図10に示した結束装置において、紐掛けが進んだ状態での斜視図である。
【図12】図12は図10に示した結束装置において荷造り紐に縮狭部を設けるときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置の一実施例について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1(A)は本発明に係る荷造り紐の誘導装置が搭載された自動紐掛け機の概略平面図で、図1(B)はその概略側面図である。
【0022】
なお、本明細書において、「上下」、「左右」、「前後」、「上流」、「下流」などは、便宜的に用いたもので、「上下」とは鉛直方向を基準としている。また、「左右」とは、例えば、被結束体10が進む方向(図1における矢印B方向)を見たとき、60A側を左、60B側を右としている。また、「前後」とは、下流側搬送ローラ30と上流側搬送ローラ20との関係において、下流側搬送ローラ30を前、上流側搬送ローラ20を後とする。さらに、上流、下流とは、荷造り紐や被結束体10などの進んでいく方向を下流、その反対に進行方向に向かって供給する手前側を上流とする。
【0023】
この自動紐掛け機100では、上流側搬送ローラ20と下流側搬送ローラ30との間に、一対の搬送ベルト40A,40Bが配置され、これら一対の搬送ベルト40A,40Bを介して被結束体10が矢印B方向に搬送されるときに、被結束体10に対し左右2本の紐掛けが同時に行われる。すなわち、この自動紐掛け機100では、紐掛けに係わる構成
が、紐掛け機本体に左右対称に具備されている。また、搬送ベルト40A,40B間の離間距離Hは、被結束体10の幅方向の長さに応じて適宜調整される。
【0024】
搬送ベルト40A,40Bの各近傍には、ストッパ部材50A,50Bが左右方向に移動可能に設置されている。そして、上流側搬送ローラ20から一対の搬送ベルト40A,40Bを介して搬送されてきた被結束体10がこれらストッパ部材50A,50Bに当接されることにより被結束体10の移動が停止されるとともに、その位置において後述する方法で2本同時の紐掛けが行われる。
【0025】
このような自動紐掛け機100では、図8に示したように外取り方式で紐ロール体から繰り出されてきた荷造り紐1を、被結束体10に対し幅広の状態で差し渡すことが行なわれる。そのため、搬送ベルト40A,40Bの上方には、荷造り紐1を幅広の状態で下方に繰り出すための一対の誘導装置60A,60Bが設置されている。
【0026】
誘導装置60A,60Bは、略対称形に形成されているため、以下では、左側の誘導装置60Aについて、図2ないし図5を参照しながら説明する。
【0027】
誘導装置60Aは、略コ字状に形成された回動自在なアーム部材66と、このアーム部材66の先端に設置された紐受け渡し部材34とから構成されている。
【0028】
アーム部材66は、図1に示した搬送ベルト40Aより若干高い位置に基端側端部61が配置され、この基端側端部61は、適宜な固定部に軸62を介して回転自在に取り付けられている。
【0029】
この回動支点となる基端側端部61から上方に向かって縦方向アーム63が延出され、さらにこの縦方向アーム63から搬送ベルト40Aを横断するように水平方向アーム64が延出され、さらにこの水平方向アーム64から傾斜アーム65が斜め下方に向かって延出されている。アーム部材66は、これら縦方向アーム63と水平方向アーム64と傾斜アーム65とにより構成されている。なお、縦方向アーム63と傾斜アーム65とのなす角度は、62〜63°に設定されている。また、アーム部材66は、通常は、図示しないスプリングの付勢力により、縦方向アーム63が略直立する姿勢に維持されている。
【0030】
このように構成された略コ字状のアーム部材66は、搬送ベルト40Aおよび被結束体10の矢印B方向の移動を損なわないように、先ず縦方向アーム63により搬送ベルト40Aの上方に案内されている。また基端側端部61を回動支点としてB方向と反対方向(矢印E方向)に向かって縦方向アーム63が傾倒したときに、傾斜アーム65の先端部に取り付られた紐受け渡し部材34が円弧を描きつつ下方に向かって移動する。なお、アーム部材66の回動は、紐受け渡し部材34が被結束体10に係止された紐1によりF方向に引っ張られることにより行われる。
【0031】
なお、このアーム部材66は、後述するように水平方向(矢印G方向)にも往復移動可能とされている。
【0032】
図2に示したように、縦方向アーム63が略直立した状態にあるとき、上記紐受け渡し部材34は、図3(A),(B)に拡大して示したように、上方の板体38と下方の板体39とが略水平方向に配置される。そして、これら上方の板体38と下方の板体39との間に、横方向に長い矩形の貫通孔36が形成されている。
【0033】
このような紐受け渡し部材34は、上側の板体38に所定の角度、例えば45°の傾斜角度をもってブラケット25が設置され、このブラケット25を介して傾斜アーム65の
先端部に取り付けられている。
【0034】
上記紐受け渡し部材34に対し、荷造り紐1は、図3(A)に示したように、ブラケット25の背面側に形成された紐導入用開口Aを通り、貫通孔36の手前側の紐導出用開口Cに案内される。そして、荷造り紐1の先端部は、図4に示した搬送ベルト40Aの下方に配置された拘束具14に予め係止される。
【0035】
図3(A)、(B)に示したように、上記紐受け渡し部材34を構成する上方の板体38は平板状で略台形に形成され、下方の板体39は、同じく平板状で略三角形に形成されている。また、上方の板体38と下方の板体39との間は、円弧状の側板41と円弧状の側板42とにより両端部が連結されている。
【0036】
下方の板体39は、図3(B)に示したように、略三角形状に形成されることにより、導出用開口部C側に第1斜辺37が形成されている。また、上方の板体38は、略台形に形成されることにより、導出用開口部C側に短辺部43と第2斜辺44とが形成されている。
【0037】
また、紐受け渡し部材34は、ブラケット25に形成された長孔23に対する傾斜アーム65の取付位置を調整することにより、貫通孔36の水平方向に対する傾斜角度が調整可能である。
【0038】
このような構成の紐受け渡し部材34が具備されたアーム部材66は、図2に示したように、荷造り紐1が矢印F方向に引っ張られることにより、矢印E方向に傾倒可能に構成されている。アーム部材66の矢印E方向への傾倒動作に伴って、紐受け渡し部材34が上方から下方に向かって移動する。また、本発明では、アーム部材66およびこのアーム部材66に取り付けられた紐受け渡し部材34は、上方から下方への移動とともに、矢印Gで示す水平方向にも往復移動可能に構成されている。
【0039】
すなわち、アーム部材66は、軸62を含む全体が矢印G方向に往復移動可能とされることにより、紐受け渡し部材34が搬送ベルト40Aに対して接近する方向に移動可能であり、一回の紐掛け作業が完了した後には、元位置に復帰するように構成されている。したがって、紐受け渡し部材34は、被結束体10に紐掛けを行なう際に、図2において上方から下方に移動しつつ、これに加えて水平方向(矢印G方向)にも移動可能とされている。
【0040】
本実施例による荷造り紐の誘導装置60Aは上記のように形成され、これと対称形をなす誘導装置60Bも略同様に形成されている。
【0041】
以下に、本実施に係る荷造り紐の誘導装置60A,60Bの作用について説明する。なお、一対の誘導装置60A,60Bは、同様の作用を行うため、以下では、主に一方の誘導装置60Aの作用について説明する。
【0042】
自動紐掛け機100では、多量の紐が巻回された紐ロール体が自動紐掛け機本体の両側に搭載され、一方の紐ロール体から引き出された荷造り紐1は誘導装置60Aに、他方の紐ロール体から引き出された荷造り紐1は誘導装置60Bにそれぞれ供給され、これにより被結束体10に対し2本の紐掛けが同時に行なわれる。
【0043】
このように、本実施例の自動紐掛け機100では、別々に配置された紐ロール体から幅広の状態で紐が繰り出され、図示しないガイドローラに係止された後、各誘導装置60A,60Bを通って下方に案内されている。したがって、図2に示したように、上方の図示
しないガイドローラから下方の紐受け渡し部材34に至る途中の荷造り紐1は、略鉛直方向に向かって幅広の姿勢で案内されている。一方、荷造り紐1の先端部1aは、搬送コンベア40Aより下方に案内されて、図4に示したように、拘束具14に丸い輪を形成するように予め係止されている。
【0044】
自動紐掛け機100では、上記の初期状態から被結束体10が図10の場合と同様に矢印B方向へ搬送されると、荷造り紐1が同時に水平方向にくの字状に引っ張られる。この紐1に対する引張り力が図2の矢印F方向への力である。このように、荷造り紐1をくの字状に引き出す被結束体10の搬送移動に伴い、図2に示したアーム部材66が矢印E方向に傾倒する。このような態様で荷造り紐1が、被結束体10の側面に沿って巻回されていく。
【0045】
今、図4に示したように、被結束体10の先端面がストッパ部材50Aに当接して、紐掛けが行われている。そして荷造り紐1を係止した誘導装置60Aの紐受け渡し部材34が被結束体10の角部を通過した位置にある。紐受け渡し部材34がこの位置にあるとき、荷造り紐1は紐受け渡し部材34に対し幅広の状態で巻き掛けられている。
【0046】
一方、荷造り紐1の誘導装置60Aが、図5に示したように、被結束体10の次のコーナ部Rを通り過ぎているとき、荷造り紐1は、紐受け渡し部材34の湾曲した側板41に引き寄せられている。これにより、荷造り紐1の所定の領域Xは、幅狭にされている。
【0047】
ここで、本実施例では、紐受け渡し部材34は、上述したように、上方から下方に向かって回動しながら矢印Gで示す水平方向にも移動する。これにより、図5に示した紐受け渡し部材34は、搬送ベルト40A側に接近する。この移動は荷造り紐1にも加えられるので、矢印G方向の水平移動が生じると、図6に示したように、荷造り紐1は、幅狭にされた片側の片1aの変形を緩和し、他方の片1bとの間で均等に変形させることができる。すなわち、荷造り紐1の中央部1cを図6の紙面に対して直角な方向にやや浮き上がらせて変形を緩和することができる。このような荷造り紐1の変形により、紐1を幅広の状態に維持したまま、コーナ部Rに荷造り紐1を巻きつけることができる。
【0048】
誘導装置60Aが図5の位置からさらに下方に移動すると、紐受け渡し部材34は、よりG方向に移動して結束具14に接近する。
【0049】
これにより、荷造り紐1は、最終的には小さく丸められた幅狭の状態となり、結束にふさわしい姿勢にされる。
【0050】
そして、自動紐掛け機100に具備された図示しない結び目形成手段が側方から突出され、この結び目形成手段を介して、結束具14に予め係止されている先端側の紐端部との間で結束が行なわれる。これにより、被結束体10に対する紐掛けが完了する。
【0051】
本実施例によれば、被結束体10に対し角部を含めて略全て幅広の状態で荷造り紐1を巻回することができる。また、端部間を結束する場合にのみ、荷造り紐の幅を狭くして紐端部間を結束することが可能となる。
【0052】
特に、被結束体10のコーナ部Rにおいては紐1が幅狭くされることを防止することができる。
【0053】
以上、本発明の一実施例に係る荷造り紐の誘導装置について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されない。
【0054】
例えば、上記実施例では、段ボールシートのような柔軟な材質の被結束体10に本発明を適用しているが、被結束物はシート状に限定されず、様々な物品に紐掛けを行うことができる。また、紐受け渡し部材34のアーム部材66に対する取り付けは、実施例に何ら限定されない。
【0055】
また、上記実施例では、前記紐受け渡し部材34がどのようにして水平方向(G方向)に移動するかは,特に言及していないが、水平方向への移動手段はどのような機構を用いてもよく、例えば、歯車あるいはエアシリンダなどを例示することができる。しかしながら、移動手段は特に、限定されるものではない。
【符号の説明】
【0056】
1 荷造り紐
10 被結束体
20 上流側搬送ローラ
30 下流側搬送ローラ
32 アーム部材
34 紐受け渡し部材
36 貫通孔
38 上板
39 下板
40A,40B 搬送ベルト(搬送面)
41,42 側板
50A,50B ストッパ部材
60A,60B 誘導装置
61 基端側端部
66 アーム部材
A 導入用開口部
B 搬送方向
C 導出用開口部
E 傾倒方向
G 水平方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面を水平方向に走行する被結束体に対してループ状に紐掛けするまでは、その荷造り紐を幅広で案内するとともに、紐結束を行うに際しては、前記幅広の荷造り紐を幅狭とする自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置であって、
前記被結束体の搬送面上方を横断するように配置され、装置フレーム等に支承された基端側端部を回動支点として前記被結束体の搬送方向と反対方向に向かって傾倒したときに、その先端側端部が上方から下方に向かって接近する略コ字状のアーム部材と、
前記アーム部材の前記先端側端部に取り付けられ、前記荷造り紐の導入用開口部および導出用開口部を有する紐受け渡し部材と、を有し、
前記紐受け渡し部材は、平面視略台形の上板と、平面視略三角形の下板と、これら上板と下板とを連結する一対の側板と、を備え、
前記導入用開口部および導出用開口部は、前記荷造り紐の幅よりも長く形成され、
前記受け渡し部材が前記アーム部材の傾倒動作に伴って上方から下方側に案内された場合に、前記導出用開口部から導出された前記荷造り紐が次第に幅狭にされることを特徴とする自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置。
【請求項2】
前記紐受け渡し部材は、前記被結束体の走行する方向と略直角な水平方向に往復移動可能に構成されており、前記紐受け渡し部材が上方から下方に案内される移動に伴って前記搬送ベルトに接近する水平方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の荷造り紐の誘導装置。
【請求項1】
搬送面を水平方向に走行する被結束体に対してループ状に紐掛けするまでは、その荷造り紐を幅広で案内するとともに、紐結束を行うに際しては、前記幅広の荷造り紐を幅狭とする自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置であって、
前記被結束体の搬送面上方を横断するように配置され、装置フレーム等に支承された基端側端部を回動支点として前記被結束体の搬送方向と反対方向に向かって傾倒したときに、その先端側端部が上方から下方に向かって接近する略コ字状のアーム部材と、
前記アーム部材の前記先端側端部に取り付けられ、前記荷造り紐の導入用開口部および導出用開口部を有する紐受け渡し部材と、を有し、
前記紐受け渡し部材は、平面視略台形の上板と、平面視略三角形の下板と、これら上板と下板とを連結する一対の側板と、を備え、
前記導入用開口部および導出用開口部は、前記荷造り紐の幅よりも長く形成され、
前記受け渡し部材が前記アーム部材の傾倒動作に伴って上方から下方側に案内された場合に、前記導出用開口部から導出された前記荷造り紐が次第に幅狭にされることを特徴とする自動紐掛け機における荷造り紐の誘導装置。
【請求項2】
前記紐受け渡し部材は、前記被結束体の走行する方向と略直角な水平方向に往復移動可能に構成されており、前記紐受け渡し部材が上方から下方に案内される移動に伴って前記搬送ベルトに接近する水平方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の荷造り紐の誘導装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−202231(P2010−202231A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47861(P2009−47861)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000107697)ストラパック株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000107697)ストラパック株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
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