説明

自動紐掛け機の引締め装置

【課題】被結束体に対してより強固な紐掛けおよび結束を行うことのでき、これにより荷造り紐の使用量も少なくすることができる自動紐掛け機の引締め装置を提供する。
【解決手段】第1の紐押え手段30と第2の紐押え手段40とにより緊張状態にされた荷造り紐1に対して、第1の紐押え手段30と第2の紐押え手段40との間で略直角な方向から力を作用させて、荷造り紐1を略くの字状に屈曲させるテンション手段70を、第1の紐押え手段30と第2の紐押え手段40との間に設けたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品搬送面に搬送されてきた被結束体を所定の位置で停止させて紐掛けと結び目とを形成する自動紐掛け機の引締め装置に関するもので、詳しくは、被結束体に巻き付けられた紐の締め付け強度をより強固にすることができる自動紐掛け機の引締め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図6に示したように、シート状に折り畳まれた状態の段ボールシート(組み立てれば段ボール箱が形成される)のような薄い被結束体10は、多数枚、積層された状態で市場に出荷されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このように薄く柔軟な材質の物品の被結束体10に対して荷造り紐1を自動的に掛け渡して紐掛けを行う場合、例えば、図7にその概略を示したように、先ず、紐ロール体8から上方のガイドローラ4,6を介して下方に引き出された荷造り紐1の先端部1aを、物品搬送面2の下方に配置された拘束具12に予め係止させておくとともに、積層の被結束体10をローラコンベアなどからなる物品搬送面2上に載置して、被結束体10の矢印A方向への移動により荷造り紐1を同方向に押し出しながらこの被結束体10の先端を結束位置Sまで搬送する。被結束体10が結束位置Sまで搬送されることに伴って、紐1が引っ張られて紐ロール体8が回転する。また、被結束体10の搬送によりこれまで直線状に下方に案内されていた荷造り紐1が水平方向にくの字状に屈曲する。
【0004】
そして、その変形に相当する長さの荷造り紐が新たに紐ロール体8から引き出されるとともに、荷造り紐1を案内する傾倒自在なアームトップガイド機構の案内部材7が矢印C方向に傾倒しながら移動することにより、この案内部材7の矢印C方向への傾倒動作に伴って荷造り紐1が被結束体10の周面に順次巻き付けられていく。
【0005】
このように紐掛けの際に、案内部材7を物品搬送面2の下方に配置される拘束具12の近傍まで徐々に移動させるとともに、拘束具12の側方から公知の紐結束手段Dを接近させ、この紐結束手段Dの作用により、拘束具12に予め巻きつけられている紐先端部1aと、案内部材7で導かれた紐後端側との間で結び目を形成・切断し、紐結束が行なわている。
【0006】
ところで、このような紐結束を行う場合に、荷造り紐1を下流側(紐ロール体8から紐1が被結束体10に進んでいく方向)から引っ張ってもその荷造り紐1が容易に下流側に引き出されないように、荷造り紐1に適宜なバックテンションを付与することが必要である。このようなバックテンションが不十分であると、荷造り紐1が弛んだり、絡んだりしてしまう。
【0007】
そこで、この種の自動紐掛け機では、例えば2つのガイドローラ4、6との間の荷造り紐1に対し、第1の押え手段14と第2の押え手段16との2つの押え手段を作用させ、これらの押え手段14,16により、荷造り紐1の所定の範囲を緊張状態に保持することにより下流側から引っ張ったときに、無理に引き出されることがないように紐の繰り出しを規制して、緊張した状態での紐掛けを可能とし、かつ緊張状態での紐結束を行い得るようにしている。
【0008】
一方、今日では、被結束体10をこれまで以上に強固な状態で紐掛けと紐結束を行う要望がある。同時に、荷造り紐の使用量を可及的に少なくすることも要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−40409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような従来の実情に鑑み、被結束体に対してより緊張した状態で紐結束を行うことができ、また荷造り紐の使用量を可及的に少なくすることができる自動紐掛け機の引締め装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る自動紐掛け機の引締め装置は、
紐ロール体から繰り出された荷造り紐を、
第1の紐押え手段と第2の紐押え手段とでそれぞれ押えることにより、被結束体に至る途中の前記荷造り紐の所定範囲を緊張状態に保持するとともに、これら第1の押え手段と第2の押え手段とで荷造り紐の上流側にバックテンションを付与した状態で前記荷造り紐の先端側を前記被結束体に巻き掛ける自動紐掛け機の引締め装置であって、
前記第1の紐押え手段と前記第2の紐押え手段とにより緊張状態にされた荷造り紐に対して、前記第1の紐押え手段と前記第2の紐押え手段との間で略直角な方向から力を作用させて、この範囲の前記荷造り紐を略くの字状に屈曲させるテンション手段を設けたことを特徴としている。
【0012】
このような構成の本願発明によれば、テンション手段を設けることにより、緊張状態に張られた荷造り紐がさらに増し締めされるので、被結束体に対し一層強固に緊張させて紐結束を行うことができる。また、これにより紐の使用量を可及的に少なくすることができる。
【0013】
また、本発明では、前記テンション手段は、緊張状態にされた前記荷造り紐に対して離反可能に当接する伸縮自在なシリンダを備えていることが好ましい。
【0014】
このような構成であれば、容易な構成により荷造り紐を引き締めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る自動紐掛け機の引締め装置によれば、第1の紐押え手段と第2の紐押え手段との間に、テンション手段を設けているので、第1の紐押え手段と第2の紐押え手段との間で緊張状態に保持された荷造り紐を、さらに増し締めすることができる。これにより、より強固に緊張させて紐結束を行うことができるとともに、紐の使用量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、特開平11−130014号公報に開示されている一般的な自動紐掛け機の概略側面図である。
【図2】図2は図1に示した自動紐掛け機を搬入側から見たときの概略側面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施例に係る引締め装置の要部斜視図である。
【図4】図4は、図3に示した引締め装置より上流側に配置されるブレーキ装置の概略図である。
【図5】図5は、図3に示した引締め装置より下流側に配置される緊迫装置の概略図である。
【図6】図6は、被結束体が荷造り紐により平掛けされた状態の斜視図である。
【図7】図7は、一般的な紐掛け機の作動を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施例に係る自動紐掛け機の引締め装置について図面を参照しながら説明する。
【0018】
なお、この種の自動紐掛け機では、紐掛けされる被結束体に対し、2本の紐掛けが同時に行なわれるのが一般的で、以下の紐掛け機に示すように、2本の紐掛けが同時に行い得るように、略対称に諸要素が構成されている。
【0019】
図1は、本発明の一実施例に係る引締め装置が適用される一般的な自動紐掛け機の概略側面図で、図2は、図1において被結束体が搬送されていく搬入側から見た正面図で、この自動紐掛け機では2本の紐掛けが同時に行なわれる。図3は、本発明の一実施例に係る自動紐掛け機の締め付け装置の概略斜視図で、図4は同締め付け装置の構成要素であるブレーキ装置30の概略図、図5は同締め付け装置の構成要素である緊迫装置40の概略図である。
【0020】
図1及び図2に示したように、この種の一般的な自動紐掛け機18においては、積層の被結束体10を上方から押圧する押え手段14がモータの駆動のもとで昇降可能な歯付き棒体16に連結、支持されている。
【0021】
また、自動紐掛け機18では、被結束物10が略水平方向に搬送される物品搬送面20の下方に、結束装置24が具備されている。なお、この結束装置24に図7に示した拘束具12が具備されている。
【0022】
このような自動紐掛け装置18においては、シート状に折り畳まれたダンボールシートのような柔軟な物品が複数段積み重ねられてなる、いわゆる積層の被結束体10が、ローラコンベヤなどによって図1の左方から右方に向かって物品搬送面20上に送り出される。物品搬送面20上に送り出された被結束体10は、次に、横揃え装置28の作動のもとで側端が端正化され、その端正化の後、上押さえ装置の押え手段14に整列する位置に移送され、この位置に停止する。
【0023】
停止後、被結束体10は押え手段14によって上方から押圧され、この押圧状態のまま、ストッパ装置34によって規定される結束位置Sに移送され、停止する(図7参照)。
【0024】
そして、被結束体10は、図1に示したように、結束位置Sの上方に位置するプレス手段36によって上方から圧縮され、さらに図7の案内部材7に相当する部材を備えたアーム手段38の回動動作のもとで結束装置24により結束が行なわれる。
【0025】
ところで、このような自動紐掛け機18では、通常、図7に示した第1の押え手段14はブレーキ装置と称され、第2の押え手段16は緊迫装置と称されている。そして、図4にブレーキ装置30の一例を示し、図5に緊迫装置40の一例を示す。ブレーキ装置30と緊迫装置40とは、それぞれ図7に示した諸要素の中で駆動するため、図7を参照しながら説明する。
【0026】
ブレーキ装置30と緊迫装置40とは、図7に示した実線の被結束体10が矢印A方向に搬送されて所定位置Sに到達したと略同時に作動する。すなわち、被結束体10に紐結束を行う直前のタイミングで動作する。
【0027】
ブレーキ装置30は、緊迫装置40よりも図7に示した紐ロール体8に近い方に配置される。すなわち、上流側に配置される。
【0028】
このブレーキ装置30は、図4に示したように、シリンダ60を有し、このシリンダ60のロッド61が突出することにより、先端部に取付られた板バネ62が、下方を通る荷造り紐1に当接し、これにより、荷造り紐1の自由な移動が阻止される。なお、このブレーキ装置30の板バネ62も通常は紐1から離反している。これにより紐供給が可能にされているが、紐結束を行う前のタイミングでロッド61が突出して、紐1にブレーキが付与される。
【0029】
一方、緊迫装置40は、図5に示したように、ボックス状の筐体42の側壁に基端側が支持されたスプリング装置44を備えている。スプリング装置44の先端部には取付片45が設置され、この取付片45に支持ブラケット体48が揺動自在に取付られている。さらに、この支持ブラケット体48の下端部には、軸47を介してリンク構成部材49が揺動自在に取付られている。このリンク構成部材49には、上下方向に伸縮するロッド50が取付られ、さらに、このロッド50の下端には、図3にも示したように、プレート51の一端が取付られ、プレート51の他端にカム機構52が構成されている。したがって、この緊迫装置40では、カム機構52の動作により、所定のタイミングでロッド50が伸縮し、これにより支持ブラケット体48の先端部に取り付けられた板バネ46が、上下方向に走行する紐1に当接あるいは離反する。
【0030】
すなわち、この板バネ46が図4に示したように、荷造り紐1を側方から押圧しているときに、荷造り紐1の図5における上方向(下流側)への供給が阻止され、一方、スプリング44aの圧縮により板バネ46が図5の状態から右方に傾倒したときに、荷造り紐1の下流側への供給が許容にされる。
【0031】
なお、通常、板バネ46は紐1から離反しており、紐1の供給が自由にされ、この状態で紐供給が行なわれる。そして、カム機構52の動作に基づいて図5に示したように板バネ46が荷造り紐1に当接する。
【0032】
なお、これらブレーキ装置30と緊迫装置40とは公知であり、他の構成に置き換えることもできるため、詳細な説明は省略する。
【0033】
本実施例では、図3および図7に示したように、第1の押え手段14としてのブレーキ装置30と、第2の押え手段16としての緊迫装置40との間に、本発明の主要素をなすテンション手段70が設置されている。
【0034】
以下に、このようなブレーキ装置30と緊迫装置40との間に設置されたテンション手段70について説明する。
【0035】
テンション手段70は、図3に示したように、緊迫装置40が内蔵された装置筐体42の下方に設けられたL形の装置筐体22内に、ブレーキ装置30とともに組み込まれている。
【0036】
テンション手段70は、ブレーキ装置30から緊迫装置40に至る途中で水平方向に張られた荷造り紐1に対し、略直角な方向から力を作用させるもので、この実施例では、図3の上方から下方に向けて力が作用するように構成されている。
【0037】
すなわち、テンション手段70が組み込まれた装置筐体22内には、ブレーキ装置30を介して下流側に供給されてきた荷造り紐1を受けるためにガイドローラ80が設置され
、このガイドローラ80の上方にガイドローラ78が設置されている。そして、ガイドローラ78に係止された荷造り紐1は、装置筐体42の下面に配置されたガイドローラ71に案内される。これにより、荷造り紐1は、ガイドローラ78とガイドローラ71との間で略水平姿勢が維持されている。
【0038】
したがって、ブレーキ装置30を通って略水平方向に案内された荷造り紐1は、ガイドローラ80、78、71に順次係止されることより水平方向に案内され、また、最後のガイドローラ71から上方の緊迫装置40に案内されている。
【0039】
テンション手段70は、ガイドローラ78,71間の上方に構成されている。
【0040】
すなわち、上方に配置されたシリンダ72のロッド74が下方に向かって伸びたときに、ブラケット75とともに樹脂ローラ79が下方に案内される。そして、この樹脂ローラ79が下方に移動するときに、その軸部分79aが水平方向に張られた荷造り紐1に当接し、この紐1を下方に向かって押し出す。これにより、ガイドローラ76とガイドローラ78との間で直線的に張られていた荷造り紐1が、強制的に下方に押しやられる。
【0041】
このように緊張状態に張られていた荷造り紐1を下方に案内して、被結束体に対する結束状態を強固にするには、緊迫装置40側から紐1を引っ張って戻す必要がある。そのため本実施例では、上流側のブレーキ装置30の方が下流側の緊迫装置40よりも紐を押さえる力が大きく設定されている。
【0042】
これにより、緊迫装置40の下流側で行なわれる被結束体10に対する結束は、一層強固になる。また、紐の使用長さを短くできる。
【0043】
また、紐の結束が終了した後には、図4に示したブレーキ装置40のシリンダ60および図3に示したテンション手段70のシリンダ72からエアーを抜き、図3に示した樹脂ローラ79を元位置の上方に復帰させる。
【0044】
以上、本発明の一実施例に係る自動紐け機における引締め装置について説明したが、本発明は、上記実施例に何ら限定されない。
【0045】
例えば、上記実施例における緊迫装置30とブレーキ装置40との構成は何ら限定されず、他の構成を採用することができる。
【0046】
なた、上記実施例では、ブレーキ装置30と緊迫装置40とテンション手段70とを近接させて一体的に組み付けるように構成しているが、これらは離反して別々に配置しても良い。また、テンション手段70は、ブレーキ装置30と緊迫装置40との間であれば、自動紐掛け機のどの位置に構成して良い。
【0047】
また、上記実施例では、被結束体10に対し荷造り紐1を平な状態で紐掛けするいわゆる平掛け機に適用したが、本発明は、紐を丸めた状態で紐掛けするいわゆる汎用の紐掛け機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 荷造り紐
1a 先端部
2 物品搬送面
8 紐ロール体
10 被結束体
14 第1の押え手段
16 第2の押え手段
30 緊迫装置(第1の押え手段)
40 ブレーキ装置(第2の押え手段)
70 テンション手段
72 シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐ロール体から繰り出された荷造り紐を、第1の紐押え手段と第2の紐押え手段とでそれぞれ押えることにより、被結束体に至る途中の前記荷造り紐の所定範囲を緊張状態に保持するとともに、これら第1の押え手段と第2の押え手段とで荷造り紐の上流側にバックテンションを付与した状態で前記荷造り紐の先端側を前記被結束体に巻き掛ける自動紐掛け機の引締め装置であって、
前記第1の紐押え手段と前記第2の紐押え手段とにより緊張状態にされた荷造り紐に対して、前記第1の紐押え手段と前記第2の紐押え手段との間で略直角な方向から力を作用させて、この範囲の前記荷造り紐を略くの字状に屈曲させるテンション手段を設けたことを特徴とする自動紐掛け機の引締め装置。
【請求項2】
前記テンション手段は、緊張状態にされた前記荷造り紐に対して離反可能に当接する伸縮自在なシリンダを備えていることを特徴とする請求項1に記載の自動紐掛け機の引締め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−202232(P2010−202232A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47862(P2009−47862)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000107697)ストラパック株式会社 (19)
【Fターム(参考)】