説明

自走式クレーンのアウトリガ接地検出装置

【課題】安価でかつ確実にアウトリガの接地状態を監視することのできる自走式クレーンのアウトリガ接地検出装置を提案すること。
【解決手段】自走式クレーン1は折り畳み状態で収納されているアウトリガ10を張り出して接地させるためのアウトリガシリンダ15の後端部に、アウトリリガ10の接地状態を検出するためのアウトリガ接地検出装置30が組み込まれている。アウトリガ接地検出装置30は、固定側のドグ31と、可動側のアウトリガシリンダ15の後端部15aに取り付けたリミットスイッチ33とを備えている。アウトリガ10が接地するとアウトリガシリンダ15に作用する反力により、リミットスイッチ33がドグ31に対して相対的にスライドし、ドグ31によってリミットスイッチ33の検出片33aが押し込まれてオンに切り替わる。これによりアウトリガ10が正常に接地したことを検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み状態で収納されているアウトリガを備えた自走式クレーンに関し、特に、張り出されたアウトリガの接地状態を検出するアウトリガ接地検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クローラクレーンなどの自走式クレーンは、作業時の安定状態を確保するために走行車体の前後左右にアウトリガが設けられている。クレーン作業開始時やクレーン作業中にアウトリガが完全に接地していないと転倒のおそれがある。このため、特許文献1、2には、アウトリガに加わる対地反力をロードセンサで検出するとともに、その検出結果に所定の演算を施して、全てのアウトリガが完全に接地しているか否かを監視するクレーンの転倒防止装置が提案されている。アウトリガに加わる対地反力をロードセルなどのセンサで検出する検出機構は、センサコストが高く、検出信号に演算を施してアウトリガが完全に接地しているか否かを検出する信号処理回路が必要であるので製造コストが高い。
【0003】
そこで、本願出願人は、特許文献3において、安価でかつ確実にアウトリガの状態を監視することのできる監視装置を備えた自走式クレーンを提案している。ここに開示の監視装置では、アウトリガの接地部分に、接地時に水平軸周りに回転してアウトリガ本体に対する姿勢が切り換わる接地部材を取り付け、アウトリガの各々において接地部材が接地姿勢にあるか非接地姿勢にあるかを検出器によって検出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−307188号公報
【特許文献2】特開2003−171087号公報
【特許文献3】特開2007−8642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献3において提案している監視装置は、接地部材が取り付けられているアウトリガの先端側のアームが接地面に対して傾斜した状態で接地する場合を対象としている。自走式クレーンに搭載されているアウトリガとしては、折り畳み状態で走行車体に収納されている状態から張り出した際に、その先端側(接地側)のアームがほぼ垂直姿勢で接地するものがある。この場合には、アーム先端に取り付けた接地部材が、接地時に水平軸回りに回転せず、あるいは回転量が極僅かであり、接地部材の姿勢変化を検出することができない。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、折り畳み状態で収納されているアウトリガが張り出された際に、接地側のアームがどのような姿勢で接地しても接地状態を確実に検出することのできる安価なアウトリガ接地検出装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のアウトリガ接地検出装置は次の構成を備えたことを特徴としている。なお、括弧書きで示す符号は後述の実施の形態における対応する部位を示しているが、これらの符号は本発明の理解を容易にするために付したものであり、本発明を実施の形態に限定することを意図したものではない。
【0008】
すなわち、本発明は、走行車体(2)に搭載された複数基のアウトリガ(10)のそれぞれに付設されているアウトリガシリンダ(15)を伸長させると、折り畳み状態で収納されている前記アウトリガ(10)が張り出されて、当該アウトリガ(10)の接地状態が形成される自走式クレーン(1)における各アウトリガ(10)の接地状態を検出するためのアウトリガ接地検出装置(30)であって、
前記アウトリガシリンダ(15)に作用する接地時の反力が所定値以上の場合に所定量だけ移動可能な状態で、前記アウトリガシリンダ(15)のシリンダ側連結部(15a)を前記走行車体(2)の車体フレーム(5)の側に設けた固定側連結部(19、31)に連結しておき、
前記固定側連結部(19、31)に対する前記シリンダ側連結部(15a)の相対移動によってオンオフするように検出器(33)を配置したことを特徴としている。
【0009】
本発明では、アウトリガ(10)を張り出すためのアウトリガシリンダ(15)に着目し、接地時にアウトリガ(10)からアウトリガシリンダ(15)に作用する反力(対地反力)によって生ずる、アウトリガシリンダ(15)と、これを支持している車体フレーム(5)との間の相対移動を利用して、検出器(33)を切り替えることにより、簡単かつ確実に接地状態を検出できるようにしている。すなわち、アウトリガ(10)が接地すると、それに伴って反力がアウトリガシリンダ(15)に作用し、適切な接地状態が形成された場合の反力は所定値以上になる。したがって、シリンダ側連結部(15a)が固定側連結部(19、31)に対して所定量以上移動した場合に、検出器(33)が切り替わるように設定しておけば、アウトリガ(10)の接地状態を確実に検出することができる。また、アウトリガ(10)がどのような姿勢で接地した場合であっても接地状態を正確に検出できる。
【0010】
ここで、前記固定側連結部を前記車体フレーム(5)に取り付けた連結軸(19)と、この連結軸(19)に回動可能に取り付けたドグ(31)とを備えた構成とすることができる。この場合には、前記シリンダ側連結部を、前記アウトリガシリンダ(15)の中心軸線(15A)方向に一定量だけスライド可能な状態で前記ドグ(31)に連結されているシリンダ後端部(15a)と、前記ドグ(31)に対して前記アウトリガシリンダ(15)をその先端側に向けて付勢している圧縮コイルバネ(32)とを備えた構成とすることができる。そして、前記検出器を前記シリンダ側連結部(15a)に取り付けたリミットスイッチ(33)とし、前記ドグ(31)に対して前記シリンダ後端部(15a)が前記アウトリガシリンダ(15)の後端側に向けてスライドすると、当該ドグ(31)によって前記リミットスイッチ(33)の検出片(33a)が押し込められ、当該リミットスイッチ(33)から前記アウトリガ(10)が接地状態である旨の信号が出力されるように構成すればよい。
【0011】
また、折り畳み状態で収納される前記アウトリガ(10)は次の構成とすることができる。すなわち、前記アウトリガ(10)は、
前記車体フレーム(5)に取り付けた垂直軸(16)を中心として旋回可能な水平旋回式取付部(11)と、
前記水平旋回式取付部(11)を複数の水平方向の旋回角度位置の一つに固定する第1旋回固定部(17)と、
前記水平旋回式取付部(11)に取り付けた第1水平軸(18)を中心として上下に旋回可能な第1アーム(12)と、
前記第1アーム(12)の先端部(12b)に取り付けた第2水平軸(20)を中心として上下に旋回可能な第2アーム(13)と、
前記第2アーム(13)を複数の上下方向の旋回角度位置の一つに固定する第2旋回固定部(22A〜22D、23)と、
前記第2アーム(13)の先端に取り付けた接地板(14)とを備えており、
前記アウトリガシリンダ(15)は、前記水平旋回式取付部(11)に取り付けた前記連結軸(19)と前記第1アーム(12)の前記先端部(12b)の間に架け渡されており、
前記アウトリガシリンダ(15)が伸長すると、前記第1アーム(12)が上下方向に延びる前記折り畳み状態(10A)から前記第1水平軸(18)を中心として旋回した張り出し状態(10B、10D)になるように構成されている。
【0012】
次に、本発明の自走式クレーン(1)は、
クレーン(4)と、
前記クレーン(4)が搭載されている走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の前後の左右の部位に折り畳み状態で収納されている4基のアウトリガ(10)と、
前記アウトリガ(10)の接地状態を検出するアウトリガ接地検出装置とを有し、
前記アウトリガ(10)のそれぞれに付設されているアウトリガシリンダ(15)を伸長させると、折り畳み状態の前記アウトリガ(10)が張り出されて、当該アウトリガ(10)の接地状態が形成されるようになっており、
前記アウトリガ接地検出装置は上記構成のアウトリガ接地検出装置(30)であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアウトリガ接地検出装置では、接地時にアウトリガからアウトリガシリンダに作用する反力(対地反力)によって生ずる、アウトリガシリンダと、これを支持している車体フレームとの間の相対移動をメカニカルスイッチにより検出するようにしている。したがって、ロードセルなどを用いることなく、簡単かつ確実に接地状態を検出することが可能になる。また、アウトリガがどのような姿勢で接地した場合であっても接地状態を正確に検出することができる。さらに、アウトリガの先端部に検出器を取り付けた場合には、アウトリガ張り出し時などにおいて先端部に大きな衝撃力が作用して検出器が損傷するおそれがあるが、本発明によれば、このような弊害も回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は本発明を適用した小型クローラクレーンを示す平面図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその後面図である。
【図2】(a)および(b)は、図1の小型クローラクレーンのアウトリガ張り出し接地状態の二例を示す説明図である。
【図3】(a)は図1の小型クローラクレーンのアウトリガを示す側面図であり、(b)は直交する方向から見た場合の端面図である。
【図4】(a)は図3のアウトリガシリンダの後端部分に取り付けられている検出部を示す側面図であり、(b)は直交する方向から見た場合の端面図であり、(c)はその部分断面図であり、(d)は(c)のd−d線で切断した部分を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して本発明を適用したアウトリガ接地検出装置を備えた小型クローラクレーンの実施の形態を説明する。
【0016】
(全体構成)
図1(a)は本実施の形態に係る小型クローラクレーンを示す平面図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその後面図である。図2(a)および(b)はアウトリガ張り出し接地状態の二例を示す説明図である。小型クローラクレーン1は、クローラ式の走行車体2と、多段ブーム3を備えたクレーン4とを備えている。多段ブーム3は、走行車体2の車体フレーム5に搭載されている旋回台6に支持されている。
【0017】
車体フレーム5における前端部の両側部分および後端部の両側部分には、それぞれアウトリガ10(1)〜10(4)が取り付けられている。これら4基のアウトリガ10(1)〜10(4)は、図1に示すように、ほぼ垂直に折り畳まれた収納状態10Aから張り出されて、図2(a)に示す最小張り出し状態10Bから図2(b)に示す最大張り出し状態10Dまでの範囲内の張り出し状態にすることが可能である。各アウトリガ10(1)〜10(4)は同一構造のものであるので、以下の説明においては、これらを纏めてアウトリガ10として説明する場合もある。
【0018】
アウトリガ10は、車体フレーム5に搭載された水平旋回式取付部11と、この水平旋回式取付部11に後端部12aが連結された第1アーム12と、この第1アーム12の先端部12bに後端部13aが連結された第2アーム13と、第2アーム13の先端部13bに取り付けた接地板14とを備えている。また、第1アーム11を上下方向に旋回(起伏)させるためのアウトリガシリンダ15を備えており、このアウトリガシリンダ15は、水平旋回式取付部11と第1アーム12の先端部12bの間に架け渡されている。
【0019】
図3(a)は小型クローラクレーン1のアウトリガ10を示す側面図であり、図3(b)は直交する方向から見た場合の端面図である。図3も参照してアウトリガ10の構造を説明する。まず、水平旋回式取付部11は、車体フレーム5に取り付けた垂直軸16を中心として旋回可能な状態で車体フレーム5に搭載されている。水平旋回式取付部11は、第1位置決めピン17の差し込み位置を変更することにより、例えば、図1(a)に示すように、実線で示す収納位置11A、および、3つの水平旋回位置11B、11C、11Dに位置決め可能となっている。
【0020】
水平旋回式取付部11には第1水平軸18および第1水平連結軸19が取り付けられている。第1水平軸18には、第1アーム12の後端部12aが回動可能な状態で連結されている。第1水平連結軸19にはアウトリガシリンダ15の後端部15aが回動可能な状態で連結されている。第1アーム12の先端部12bには第2水平軸20および第2水平連結軸21が取り付けられている。第2水平軸20には第2アーム13の後端部13aが回動可能な状態で連結されており、第2水平連結軸21にはアウトリガシリンダ15の伸縮ロッド15bの先端部15cが回動可能な状態で連結されている。
【0021】
ここで、第1アーム12の先端部12bには第2アーム13の上下方向の旋回位置を規定するための4組のピン孔22A〜22Dが形成されており、第2アーム13の後端部13aには1個のピン孔(図示せず)が形成されている。これらの孔に差込可能な第2位置決めピン23の差し込み位置を変更することにより、図1に示すように、第2アーム13を第1アーム12の側に折り畳まれた状態の収納位置13Aから、図2(a)に示す最小張り出し状態を形成可能な旋回位置13B、図2(b)に示す最大張り出し状態を形成可能な旋回位置13D、これらの中間の張り出し状態を形成可能な旋回位置12Cに固定できるようになっている。
【0022】
第2アーム13は二段式の伸縮可能なアームであり、第1アーム12の側に連結されている固定側アーム13(1)と、この固定側アーム13(1)の先端から引き出し可能な引き出し式アーム13(2)を備えており、引き出し式アーム13(2)の先端に接地板16が連結軸24を介して連結されている。引き出し式アーム13(2)の引き出し量は、その軸線方向に沿って形成した複数個のピン孔25に対する固定ピン26の差し込み位置を変えることにより多段階に変更可能となっている。
【0023】
(アウトリガ接地検出装置)
次に、小型クローラクレーン1には、各アウトリガシリンダ15を伸長させて各アウトリガ10を張り出した状態において、各アウトリガ10の接地状態を検出するためのアウトリガ接地検出装置が搭載されている。図3(a)に示すように、アウトリガ接地検出装置30は、各アウトリガ10に組み込まれており、ここからの検出信号に基づき不図示の制御部によって接地状態が監視されるようになっている。
【0024】
図4(a)は各アウトリガ10に組み込まれているアウトリガ接地検出装置を示す側面図であり、図4(b)は直交する方向から見た場合の端面図であり、図4(c)はその部分断面図であり、図4(d)は図4(c)のd−d線で切断した部分を示す部分断面図である。図3および図4を参照して検出部の構成を説明する。
【0025】
アウトリガ接地検出装置30は、アウトリガシリンダ15の後端部15aが連結されている第1水平連結軸19と、この水平連結軸19に回動可能に取り付けたドグ31と、ドグ31を付勢している一対の圧縮コイルバネ32と、アウトリガシリンダ15の後端部15aに取り付けたリミットスイッチ33とを備えている。第1水平連結軸19およびドグ31は、車体フレーム5の側に搭載された水平旋回式取付部11に取り付けられている固定側連結部であり、アウトリガシリンダ15の後端部15aは、ドグ31に対して当該アウトリガシリンダ15の中心軸線15Aの方向に一定量だけスライド可能な状態で、当該ドグ31に連結されているシリンダ側連結部である。
【0026】
なお、本例では検出器としてリミットスイッチ33(メカニカルスイッチ)を用いているが、光学式などの他の形式の検出器を用いることも可能である。
【0027】
アウトリガシリンダ15の後端部15aは、当該アウトリガシリンダ15の後端面34に取り付けた左右一対の側板35、36と、これらの端に取り付けた端板37とを備えており、この中にドグ31が収納されている。側板35、36の内側の側面に沿ってドグ31は相対的に中心軸線15Aの方向にスライド可能である。後端面34に対峙しているドグ31の対向端面31aには一対の凹部が形成され、ここには、中心軸線15Aの方向に延びる圧縮コイルバネ32が後端面34によって圧縮された状態に装着されている。これら圧縮コイルバネ32のバネ力によって、アウトリガシリンダ15の後端面34とドグ31の対向端面31aとの間に一定の隙間が形成された状態が維持されている。
【0028】
一方の側板36の外側面にはリミットスイッチ33が取り付けられており、当該リミットスイッチ33の検出片33aの先端部が端板36を貫通して内側に突出している。検出片33aに対峙するドグ31の側面には、検出片33aに干渉しないように後退した位置にある側面部分31bと、これに連続して検出片33aの側に傾斜している傾斜面部分31cが形成されている。アウトリガシリンダ15が後方にスライドすると、リミットスイッチ33の検出片33aも同一方向に移動するので、固定側のドグ31の傾斜側面部分31cによって検出片33aが押し込まれて、リミットスイッチ33がオフからオンに切り替わる。
【0029】
なお、本例とは逆に、ドグ31(固定側連結部)の側にリミットスイッチ33を配置し、後端部15a(シリンダ側連結部)の側にリミットスイッチ33の検出片33aを押し込み可能な係合面を形成しておくことも可能である。
【0030】
この構成のアウトリガ接地検出装置30の動作を説明する。アウトリガ10が収納されている状態ではアウトリガシリンダ15は無負荷状態であり、圧縮コイルバネ32によって、アウトリガシリンダ15は全体として端板37の側に押されている。したがって、図4に示すように、リミットスイッチ33の検出片33aはドグ31の側面に係合しておらず、オフ状態に保持されている。
【0031】
アウトリガシリンダ15を伸長させてアウトリガ10を張り出して接地すると、反力がアウトリガ10に作用する。反力は、図2において矢印で示すように、第1アーム12の後端部12aの第1水平軸18を中心としてアウトリガシリンダ15を押し込む方向に作用する。アウトリガシリンダ15に作用する負荷(押し込み力)が圧縮コイルバネ32のバネ力を超えると、圧縮コイルバネ32が押しつぶされてアウトリガシリンダ15が全体として、第1水平連結軸19に取り付けたドグ31に対して後方にスライドする。この結果、ドグ31の傾斜側面部分31cがリミットスイッチ33の検出片33aに係合し、当該検出片33aを押し込み、リミットスイッチ33がオフからオンに切り替わる。
【0032】
リミットスイッチ33の検出信号は不図示の制御部に送られる。制御部ではリミットスイッチ33の検出信号の状態を監視しており、これがオンに切り替わると、アウトリガ10が正常に接地状態になったと判断する。
【0033】
アウトリガ10を張り出した状態でクレーン作業を行っている状態においても、制御部は各アウトリガ10のリミットスイッチ33の検出信号を監視している。クレーン作業中においてリミットスイッチ33の検出信号がオンからオフに切り替わった場合には、当該リミットスイッチ33が取り付けられているアウトリガ10が何らかの原因で浮き上がったものと判断して、例えば、警報信号などが出力され、負荷率が上昇する方向へのクレーン操作が禁止される。
【0034】
従って、制御部は、クレーン作業前に、リミットスイッチ33からの出力に基づいて、4基のアウトリガ10の全てが正常に接地したか否かを監視できる。そして、4基のアウトリガ10のうちのいずれか1基において接地板14が非接地状態にあると判断したときにはその旨の警告信号を出力できる。この場合には、作業者にランプ表示や警告音で知らせるとともに、クレーン作業の開始を阻止できる。また、このような監視作業は、クレーン作業中も行われ、制御部は、4基のアウトリガ10のうちのいずれか1基において接地板14が非接地状態にあるとして警告信号を出力し、作業者にランプ表示や警告音で知らせるとともに、クレーン作業の開始を非常停止させることができる。
【0035】
なお、制御部にタイマを内蔵させ、クレーン作業中、アウトリガ接地検出装置30から所定時間以上、例えば、数秒以上、接地板14が非接地姿勢であるとの出力があったときのみ、接地板14が非接地状態にあると判断させるようにしてもよい。クレーン作業中、衝撃などで接地板14が一瞬浮き上がっても、このような短時間の浮き上がりであれば異常と判定しないので、クレーン作業が無駄に中断することを防止することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 小型クローラクレーン
2 走行車体
3 多段ブーム
4 クレーン
5 車体フレーム
6 旋回台
10、10(1)〜10(4) アウトリガ
10A 収納状態
10B 最小張り出し状態
10D 最大張り出し状態
11 水平旋回式取付部
12 第1アーム
12a 後端部
12b 先端部
13 第2アーム
13a 後端部
13b 先端部
14 接地板
15 アウトリガシリンダ
15a 後端部
15b 伸縮ロッド
15c 先端部
16 垂直軸
17 第1位置決めピン
18 第1水平軸
19 第1水平連結軸
20 第2水平軸
21 第2水平連結軸
22A〜22D ピン孔
23 第2位置決めピン
24 連結軸
25 ピン孔
26 固定ピン
30 アウトリガ接地検出装置
31 ドグ
31a 対向端面
31b 側面部分
31c 傾斜側面部分
32 圧縮コイルバネ
33 リミットスイッチ
33a 検出片
34 後端面
35、36 側板
37 端板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)に搭載された複数基のアウトリガ(10)のそれぞれに付設されているアウトリガシリンダ(15)を伸長させると、折り畳み状態で収納されている前記アウトリガ(10)が張り出されて、当該アウトリガ(10)の接地状態が形成される自走式クレーン(1)における各アウトリガ(10)の接地状態を検出するためのアウトリガ接地検出装置(30)であって、
前記アウトリガシリンダ(15)に作用する接地時の反力が所定値以上の場合に所定量だけ移動可能な状態で、前記アウトリガシリンダ(15)のシリンダ側連結部(15a)を前記走行車体(2)の車体フレーム(5)の側に設けた固定側連結部(19、31)に連結しておき、
前記固定側連結部(19、31)に対する前記シリンダ側連結部(15a)の相対移動によってオンオフするように検出器(33)を配置したことを特徴とする自走式クレーンのアウトリガ接地検出装置(30)。
【請求項2】
請求項1において、
前記固定側連結部は前記車体フレーム(5)に取り付けた連結軸(19)と、この連結軸(19)に回動可能に取り付けたドグ(31)とを備えており、
前記シリンダ側連結部は、前記アウトリガシリンダ(15)の中心軸線(15A)方向に一定量だけスライド可能な状態で前記ドグ(31)に連結されているシリンダ後端部(15a)と、前記ドグ(31)に対して前記アウトリガシリンダ(15)をその先端側に向けて付勢している圧縮コイルバネ(32)とを備えており、
前記検出器は前記シリンダ側連結部(15a)に取り付けたリミットスイッチ(33)であり、
前記ドグ(31)に対して前記シリンダ後端部(15a)が前記アウトリガシリンダ(15)の後端側に向けてスライドすると、当該ドグ(31)によって前記リミットスイッチ(33)の検出片(33a)が押し込められ、当該リミットスイッチ(33)から前記アウトリガ(10)が接地状態である旨の信号が出力されることを特徴とする自走式クレーンのアウトリガ接地検出装置(30)。
【請求項3】
請求項2において、
前記アウトリガ(10)は、
前記車体フレーム(5)に取り付けた垂直軸(16)を中心として旋回可能な水平旋回式取付部(11)と、
前記水平旋回式取付部(11)を複数の水平方向の旋回角度位置の一つに固定する第1旋回固定部(17)と、
前記水平旋回式取付部(11)に取り付けた第1水平軸(18)を中心として上下に旋回可能な第1アーム(12)と、
前記第1アーム(12)の先端部(12b)に取り付けた第2水平軸(20)を中心として上下に旋回可能な第2アーム(13)と、
前記第2アーム(13)を複数の上下方向の旋回角度位置の一つに固定する第2旋回固定部(22A〜22D、23)と、
前記第2アーム(13)の先端に取り付けた接地板(14)とを備えており、
前記アウトリガシリンダ(15)は、前記水平旋回式取付部(11)に取り付けた前記連結軸(19)と前記第1アーム(12)の前記先端部(12b)の間に架け渡されており、
前記アウトリガシリンダ(15)が伸長すると、前記第1アーム(12)が上下方向に延びる前記折り畳み状態(10A)から前記第1水平軸(18)を中心として旋回した張り出し状態(10B、10D)になることを特徴とする自走式クレーンのアウトリガ接地検出装置(30)。
【請求項4】
クレーン(4)と、
前記クレーン(4)が搭載されている走行車体(2)と、
前記走行車体(2)の前後の左右の部位に折り畳み状態で収納されている4基のアウトリガ(10)と、
前記アウトリガ(10)の接地状態を検出するアウトリガ接地検出装置とを有し、
前記アウトリガ(10)のそれぞれに付設されているアウトリガシリンダ(15)を伸長させると、折り畳み状態の前記アウトリガ(10)が張り出されて、当該アウトリガ(10)の接地状態が形成される自走式クレーン(1)において、
前記アウトリガ接地検出装置は、請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載の前記アウトリガ接地検出装置(30)であることを特徴とする自走式クレーン(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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