説明

自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構

【課題】自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構において、操作部がレリーズ位置にあったとしても、駆動部材の動作によって、操作部を確実にクローズ位置に配置できるようにする。
【解決手段】クイックレリーズ機構30は、作動レバー32と、当接部36と、を備える。作動レバー32は、クローズ位置とクローズ位置から移動したレリーズ位置とに動作可能である。当接部36は、作動レバー32に設けられ、作動レバー32がレリーズ位置に位置するとき、自転車を駆動させるための左クランク8と当接する。当接部36は、左クランク8と当接した後、左クランク8の動作に伴って、作動レバー32をレリーズ位置からクローズ位置に移動させるために設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クイックレリーズ機構、特に、自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車用のリムブレーキには、車輪の交換の際に、ブレーキアームを僅かに広げるクイックレリーズ機構が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、リムブレーキとしてサイドプル型のキャリパーブレーキが開示されている。従来のクイックレリーズ機構は、ブレーキケーブルのアウターケーシングをインナーケーブルに対して解除方向に移動させることにより、ブレーキアームをわずかに開くようにしている。その操作を行う操作部は、ブレーキアームが僅かに開いたレリーズ位置と、閉じたクローズ位置とに揺動する。また、近年では、後輪用のリムブレーキをチェーンスティに装着されるものの多く見られるようになってきている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭64−7119号公報
【特許文献2】特開平3−5289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、クイックレリーズ機構を有するリムブレーキが乗り手から視認できる位置に装着されている場合は、操作部がクローズ位置に戻しているか否かを容易に視認できる。しかし、特に、クイックレリーズ機構を有するリムブレーキをチェーンスティに装着した場合、操作部がクローズ位置に戻しているか否かを視認しにくい。
【0005】
本発明の課題は、自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構において、操作部をクローズ位置に戻し忘れても、操作部を確実にクローズ位置に配置できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係る自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構は、操作部と、当接部と、を備える。操作部は、クローズ位置とクローズ位置から移動したレリーズ位置とに動作可能である。当接部は、操作部に設けられ、操作部がレリーズ位置に位置するとき、自転車を駆動させるための駆動部材と当接する。当接部は、駆動部材と当接した後、駆動部材の動作に伴って、操作部をレリーズ位置からクローズ位置に移動させるために設けられる。
【0007】
この自転車用ブレーキのクイックレリーズ装置では、操作部がレリーズ位置にあるとき、駆動部材が操作部に設けられた当接部に当接する。この当接部は、駆動部材と当接した後、駆動部材の動作に伴って、操作部をレリーズ位置からクローズ位置に移動させるために設けられる。このため、操作部がレリーズ位置にあっても、当接部が駆動部材に当接すると、駆動部材の動作に伴って、操作部がクローズ位置に動作する。これにより、操作部をクローズ位置に戻し忘れても、操作部を確実にクローズ位置に配置できるようになる。
【0008】
発明2に係る自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構は、発明1に記載の自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構において、当接部は、駆動部材としてのクランクアームに当接可能である。この場合には、自転車のクランクアームを回転させると、操作部がレリーズ位置にあっても、クランクの動作によりクローズ位置に戻る。
【0009】
発明3に係る自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構は、発明2に記載の自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構であって、クランクアームは、カム面を有する。クランクアームの回転に伴って、カム面に当接部が当接し、操作部がレリーズ位置からクローズ位置に移動する。この場合には、クランクアームに設けられたカム面に当接部が当接して操作部がレリーズ位置からクローズ位置に戻る。
【0010】
発明4に係る自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構は、発明2に記載の自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構において、当接部は、カム面を有する。クランクアームの回転に伴って、カム面にクランクアームが当接し、操作部がレリーズ位置からクローズ位置に移動する。この場合には、当接部に設けられたカム面にクランクアームが当接して操作部がレリーズ位置からクローズ位置に戻る。
【0011】
発明5に係る自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構は、発明1に記載の自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構において、当接部は、駆動部材としてのチェーンに当接可能である。この場合には、自転車のペダルをこげば、操作部がレリーズ位置にあっても、チェーンの動作によりクローズ位置に戻る。
【0012】
発明6に係る自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構は、発明1から5のいずれかに記載の自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構において、操作部は、自転車用ブレーキのブレーキアームに回動可能に設けられる。クイックレリーズ機構は、レリーズ位置とクローズ位置とに振り分けて操作部を付勢する付勢部材をさらに備える。この場合には、付勢部材により操作部がクローズ位置とレリーズ位置とに付勢されるので、付勢力の振り分け位置(例えば、付勢部材の死点)を超えてレリーズ位置からクローズ位置に操作部を移動させるだけで、付勢部材により操作部をクローズ位置に配置できる。また、クローズ位置とレリーズ位置とで付勢部材により操作部を保持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作部がレリーズ位置にあっても、当接部が駆動部材に当接すると、駆動部材の動作に伴って、操作部がクローズ位置に動作する。これにより、操作部をクローズ位置に戻し忘れても、操作部を確実にクローズ位置に配置できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態が採用されたキャリパーブレーキが装着される自転車の部分側面図。
【図2】図1の底面図。
【図3A】キャリパーブレーキにおいて操作部がレリーズ位置にあるときの正面図。
【図3B】キャリパーブレーキにおいて操作部がクローズ位置にあるときの正面図。
【図4】キャリパーブレーキの右側面図。
【図5】キャリパーブレーキの分解斜視図。
【図6A】クイックレリーズ機構の操作部の戻し動作を示す図。
【図6B】クイックレリーズ機構の操作部の戻し動作を示す図。
【図6C】クイックレリーズ機構の操作部の戻し動作を示す図。
【図7A】第1実施形態の変形例の図3Aに相当する部分拡大図。
【図7B】第1実施形態の変形例の図3Bに相当する部分拡大図。
【図8A】第2実施形態の図3Aに相当する図。
【図8B】第2実施形態の図3Bに相当する図。
【図9】本発明の第3実施形態が採用されたキャリパーブレーキが装着される自転車の部分側面図。
【図10】図9の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態が採用された自転車用ブレーキは、図1および図2に示すように、サイドプル型のキャリパーブレーキ10であり、車輪のリムを挟んで制動する自転車用リムブレーキである。本発明の第1実施形態では、図示するように、キャリパーブレーキ10は、自転車の後輪9のリム9aを挟んで制動する。キャリパーブレーキ10は、フレーム2のチェーンスティ3に固定される連結部材4に装着される。連結部材4は、フレーム2のハンガー部5の後方に配置される。ハンガー部5には、クランク組立体(クランクアーム)6が回転自在に装着される。クランク組立体(クランクアーム)6は、ギアクランク7(図2)と、左クランク8と、を有する。ギアクランク7および左クランク8の先端には、図示しないペダルが設けられる。左クランク8は、駆動部材の一例である。キャリパーブレーキ10は、ブレーキケーブル12によりハンドルバーに装着される、図示しないブレーキレバーに連結される。
【0016】
キャリパーブレーキ10は、図3、図4および図5に示すように、ブラケット14と、ブラケット14に揺動自在に連結された第1ブレーキアーム16および第2ブレーキアーム18を有する。ブラケット14は、図5に示すように、円弧状の湾曲した部材である。ブラケット14は、第1端に第1貫通孔14aを有し、第2端に第2貫通孔14bを有する。第1貫通孔14aは、第1ブレーキアーム16を揺動自在に支持する第1揺動軸20が通過可能である。第2貫通孔14bは、第2ブレーキアーム18を揺動自在に支持する第2揺動軸22をねじ込み可能である。ブラケット14は第1揺動軸20の先端に螺合する第1ナット部材24により連結部材4に固定される。
【0017】
第1ブレーキアーム16は、傾斜したT字状の部材である。第1ブレーキアーム16は、上端にブレーキケーブル12のアウターケーシング12bを係止するアウター係止部26が装着される。第1ブレーキアーム16は、下端に第1ブレーキシュー28aが固定される第1シュー取付部16aを有する。第1シュー取付部16aは、第1ブレーキシュー28aの位置を調整可能な長孔を有する。第1ブレーキアーム16のT字の交差部分の近傍には、第1揺動軸20が通過可能かつ第1揺動軸20の頭部20aを収納可能な第1軸装着部16bが形成される。第1ブレーキアーム16は、第1揺動軸20の第1ナット部材24の頭部20a側にねじ込まれる第2ナット部材25によりブラケット14に抜け止めされる。
【0018】
第2ブレーキアーム18は、C字状に湾曲した部材である。第2ブレーキアーム18は、一端に本発明の第1実施形態によるクイックレリーズ機構30を有する。また他端に第1シュー取付部16aに対向可能な第2シュー取付部18aを有する。第2シュー取付部18aには、第2ブレーキシュー28bを固定可能である。第2シュー取付部18aは第2ブレーキシュー28bの位置を調整可能な長孔を有する。第2ブレーキアーム18は、第2揺動軸22が通過可能な第2軸装着部18bを有する。第2ブレーキアーム18は、ブラケット14にねじ込まれる第2揺動軸22により抜け止めされる。
【0019】
第1ブレーキアーム16及び第2ブレーキアーム18は、ねじりコイルバネ41により第1ブレーキシュー28aおよび第2ブレーキシュー28bが接近する閉方向に付勢される。
【0020】
クイックレリーズ機構30は、作動レバー32と、作動レバー32に装着されたインナー固定部34と、作動レバー32に設けられる当接部36と、を有する。作動レバー32は、操作部の一例である。作動レバー32は、図3Aに示すレリーズ位置と図3Bに示すクローズ位置とに揺動する。作動レバー32は、第2ブレーキアーム18の一端に円弧状に形成された規制壁18gにより、レリーズ位置が規制されている。第2ブレーキアーム18の一端には図4のA部に拡大して示すように、作動レバー32を揺動自在に支持する貫通孔18eと、貫通孔18eの周囲に配置された扁平V字状の交差する第1保持溝18cおよび第2保持溝18dと、が形成されている。第1保持溝18cは、作動レバー32をクローズ位置に保持するための溝である。第2保持溝18dは、作動レバー32をレリーズ位置に保持するための溝である。作動レバー32は、レバー部32aと、レバー部32aの背面から突出する軸部32bと、を有する。レバー部32aの背面の軸部32bの周囲には、第1保持溝18cおよび第2保持溝18dに各別に係合する第1係合突起32cおよび第2係合突起32dが形成されている。作動レバー32の軸部32bには、ブレーキケーブル12のインナーケーブル12aを固定するインナー固定部34が回動自在に装着される。
【0021】
軸部32bは、第2ブレーキアーム18の背面から突出している。レバー部32aおよび軸部32bには、インナー固定部34を貫通する装着孔32eが形成されている。装着孔32eは、軸部32bの軸芯に対して偏芯した位置に形成されている。軸部32bの突出端には、鍔部42がインナー固定部34により装着される。軸部32bの突出部分の外周部には、例えばコイルバネの形態の付勢部材44が装着される。
【0022】
付勢部材44は、第2ブレーキアーム18の背面と鍔部42との間に圧縮状態で装着される。付勢部材44は、作動レバー32をレリーズ位置とクローズ位置とに振り分けて付勢するために設けられる。ここで、レリーズ位置は、車輪(例えば後輪9)を迅速に交換できるようにクローズ位置より第1ブレーキアーム16及び第2ブレーキアーム18が開方向に移動する位置である。作動レバー32をレリーズ位置に揺動させると、インナー固定部34とアウター係止部26とが近づくことで、第1ブレーキアーム16及び第2ブレーキアーム18が開く。クローズ位置では、後述するカム面48から当接部36が離反する。これにより、クローズ位置では、カム面48と当接部36とが衝突しない。
【0023】
インナー固定部34は、装着孔32eに回動自在に装着される。インナー固定部34は、図5に示すように、ボルト部材34aにより締め付けられるワッシャ34bとの間にインナーケーブル12aを挟んでインナーケーブル12aを固定する。
【0024】
当接部36は、図3aおよび図4のA部に拡大して示すように、レバー部32aの外周面から突出している。当接部36は、作動レバー32がクローズ位置にあるとき、規制壁18gに接触して位置決めされる。また、作動レバー32がレリーズ位置にあるとき、左クランク8のフレーム2側の裏面に設けられるカム面48に当接可能である。
【0025】
カム面48は、図6Aに示すように、左クランク8が進行方向に回転したとき、当接部36がなめからにレリーズ位置からクローズ位置に押圧されるように構成された曲面カムである。具体的には、カム面48は、左クランク8のフレーム2に対向する側面と面一な位置から回転方向上流側に向けて厚みが徐々に厚くなり、さらに、左クランク8の径方向外方の厚みが内方の厚みより厚くなる三次元的に傾斜した曲面で構成される。これにより、レリーズ位置に作動レバー32が位置していてもカム面48により押圧されてクローズ位置に作動レバー32が戻る。
【0026】
次に、キャリパーブレーキ10のクイックレリーズ機構30の動作について、図6Aから図6Cを用いて説明する。なお、図6A、図6Bおよび図6Cは、図1との比較からわかるように、自転車を下から見て描いている。したがって、左クランク8は、進行方向に丸印で示した中心から反時計回りに回転する。
【0027】
通常の、使用状態では、図3Bに示す作動レバー32はクローズ位置に配置される。例えばロードレース中に後輪9がパンクして後輪9を交換する場合には、当接部36を持って作動レバー32をクローズ位置からレリーズ位置に揺動操作する。これにより、図3Aに示すように、第1ブレーキアーム16および第2ブレーキアーム18が離反し、後輪9を外しやすくなる。この状態で通常は当接部36を持ってクローズ位置に作動レバー32を戻す。しかし、キャリパーブレーキ10をチェーンスティ3の下方に装着した場合、作動レバー32を視認しにくい。このため、例えば、時間を争うレース中にクローズ位置に戻すのを忘れることがある。レリーズ位置に作動レバー32が配置されると、第2保持溝18dに第2係合突起32dが係合している。
【0028】
レリーズ位置に作動レバー32が配置された状態で、左クランク8が進行方向に回転させると、図6Aに示すように、左クランク8の進行方向の回転動作により、カム面48が当接部36に接近する。そして、図6Bに示すように、カム面48が当接部36に接触すると、カム面48により当接部36がレリーズ位置からクローズ位置に向けて押圧される。これにより、第2保持溝18dと第2係合突起32dとの係合が解除される。この結果、作動レバー32は、第2ブレーキアーム18から進出する。そして、第1保持溝18cに第1係合突起32cが入ると、付勢部材44により退入方向に付勢されかつ第1保持溝18cに第1係合突起32cに係合する方向に付勢される。これにより、図6Bに示すように、作動レバー32がレリーズ位置からクローズ位置に戻る。このクローズ位置では、前述したようにカム面48は当接部36に接触しない。
【0029】
ここでは、操作部としての作動レバー32をクローズ位置に戻し忘れても、作動レバー32を確実にクローズ位置に配置できる。しかも、作動レバー32がレリーズ位置にあるとき、駆動部材である左クランク8が作動レバー32に接触する。このため、そのときに発生する音により、作動レバー32がクローズ位置に戻っていないことを乗り手に知らせることができる。
【0030】
<第1実施形態の変形例>
前記実施形態では、カム面48を左クランク8に設けたが、変形例では、図7Aおよび図7Bに示すように、カム面148をクイックレリーズ機構130の作動レバー132の当接部136に設けている。また、付勢部材144を一端が作動レバー132に引っ掛けられ、他端が第2ブレーキアーム118に引っ掛けられたコイルバネで構成されている。また、レバー部132aには、規制壁118gに当接する位置決め突起132fが径方向に突出して形成されている。これにより、作動レバー132がクローズ位置で位置決めされる。また、付勢部材144によりクローズ位置とレリーズ位置とに振り分けて付勢された作動レバー132がレリーズ位置とクローズ位置とに位置決めされる。
【0031】
このよう構成でも、クローズ位置に戻し忘れても、左クランク8の回転により、作動レバー132がクローズ位置に戻る。
【0032】
尚、上記の第1実施形態及び第1実施形態の変形例では、左クランク8の進行方向への回転によって、作動レバー132がレリーズ位置からクローズ位置へ向けて押圧されるように、カム面48若しくはカム面148を構成したが、前記カム面のカム傾斜を逆にして、左クランク8の後進方向への回転によって、作動レバー132がレリーズ位置からクローズ位置へ向けて押圧されるようにしても良いことは、言うまでもない。
【0033】
また、カム面の傾斜を両方向に設け、左クランク8の進行方向、後進方向の両方向でも、作動レバー132がレリーズ位置からクローズ位置へ向けて押圧されるようにしても良いことは、言うまでもない。
【0034】
<第2実施形態>
第1実施形態では、操作部が作動レバー32(又は132)で構成されるが、図8Aおよび図8Bに示すように、第2実施形態では、操作部がリンク機構232で構成される。リンク機構232は、図8Aに示すレリーズ位置と、図8Bに示すクローズ位置とに伸縮自在である。リンク機構232は、一対の第1リンク232aと、一対の第2リンク232bとを有する4点リンク機構である。第1リンク232aの第1端は、第2ブレーキアーム218の一端裏面に一括して回動自在に連結される。第2リンク232bの第1端は、第1リンク232aの第2端にそれぞれ回動自在に連結される。第2リンク232bの第2端は一括して連結される。第2リンク232bは、第1リンク232aの図8Aおよび図8Bの手前側に配置されている。第2ブレーキアーム218の一端の裏面には、第2リンク232bの収縮を規制する規制壁218gが形成されている。第2リンク232bの第2端は当接部236を有している。当接部236は、右クランク8のたとえばカム面48に当接可能である。
【0035】
このような構成でも、当接部236がカム面48により押圧されてクローズ位置に戻すことができる。なお、第2実施形態では、付勢部材は、ブレーキケーブル12により連結されたブレーキレバーのリターンバネの作用によりその機能が実施される。
【0036】
<第3実施形態>
前記実施形態では、駆動部材として左クランクを例示したが、第3実施形態では、駆動部材としてチェーン50を例示する。
【0037】
図9および図10において、キャリパーブレーキ310は、連結部材314に装着されている。キャリパーブレーキ310は、単に、第1実施携帯の構成とは線対称である以外は第1実施形態と同じ構成であるので説明を省略する。
【0038】
クイックレリーズ機構330は、第1実施形態と同様であり、レリーズ位置にある当接部336がチェーン50のアウターリンク50aとアウターリンク50aの間に配置されたインナーリンク50bとの間の段差に接触可能である。そして、付勢部材の死点を超えると、クローズ位置に配置される。なお、チェーンの各リンクにカム面を設けても良い。
【0039】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0040】
(a)前記実施形態では、自転車用リムブレーキとしてキャリパーブレーキを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えばカンチレバーブレーキ等の車輪のリムを制動する全ての自転車用ブレーキに本発明を適用できる。
【0041】
(b)前記実施形態では、第1ブレーキアームと第2ブレーキアームとを異なる二つの軸芯回りに揺動させたが、本発明はこれに限定されない。例えば一つの揺動軸芯で揺動するサイドキャリパーブレーキにも本発明を適用できる。
【0042】
(c)前記実施形態では、自転車のクランクアームおよびチェーンを駆動部材として例示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、自転車の車輪のスポーク等の自転車の走行に応じて自転車用ブレーキと相対的に動くものであればどのような駆動部材でも良い。また、後輪ではなく前輪用の自転車用ブレーキにも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0043】
7 左クランク(駆動部材およびクランクアームの一例)
10 キャリパーブレーキ(自転車用ブレーキの一例)
18 第2ブレーキアーム(ブレーキアームの一例)
30 クイックレリーズ機構
32 作動レバー(操作部の一例)
36 当接部
44 付勢部材
48 カム面
50 チェーン(駆動部材の一例)
118 第2ブレーキアーム
130 クイックレリーズ機構
132 作動レバー
136 当接部
144 付勢部材
148 カム面
218 第2ブレーキアーム
232 リンク機構(操作部の一例)
236 当接部
310 キャリパーブレーキ
336 当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構であって、
クローズ位置と前記クローズ位置から移動したレリーズ位置とに動作可能な操作部と、
前記操作部に設けられ、前記操作部が前記レリーズ位置に位置するとき、前記自転車を駆動させるための駆動部材と当接する当接部と、を備え、
前記当接部は、前記駆動部材と当接した後、前記駆動部材の動作に伴って、前記操作部を前記レリーズ位置から前記クローズ位置に移動させるために設けられる、自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構。
【請求項2】
前記当接部は、前記駆動部材としてのクランクアームに当接可能である、請求項1記載の自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構。
【請求項3】
前記クランクアームは、カム面を有し、
前記クランクアームの回転に伴って、前記カム面に前記当接部が当接し、前記操作部がレリーズ位置からクローズ位置に移動する、請求項2に記載の自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構。
【請求項4】
前記当接部は、カム面を有し、
前記クランクアームの回転に伴って、前記カム面に前記クランクアームが当接し、前記操作部が前記レリーズ位置から前記クローズ位置に移動する、請求項2に記載の自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構。
【請求項5】
前記当接部は、前記駆動部材としてのチェーンに当接可能である、請求項1に記載の自転車用ブレーキのクラックレリーズ機構。
【請求項6】
前記操作部は、前記自転車用ブレーキのブレーキアームに回動可能に設けられ、
前記レリーズ位置と前記クローズ位置とに振り分けて前記操作部を付勢する付勢部材をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の自転車用ブレーキのクイックレリーズ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−214117(P2012−214117A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80693(P2011−80693)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)