説明

苺収穫車

【課題】 本発明は4輪車を畝間溝内を走行させる方式であって、4輪車座乗作業者が両足で溝面を蹴って溝に沿って移動し畝幅上の苺等を籠に収容し、採取作業能率を倍増し苺の収量を増加することを目的とする。
【解決手段】 後向2股1の後端両側に後輪5,5を遊支し、上記2股1の前端に角パイプ2を前方に接続し、該角パイプ2の前部に設けた下向2股4の下端内側又は下端両側に前輪8,8を遊支して3輪車又は4輪車9を形成し、上記後向2股1と上記角パイプ2との接続部に腰掛け11を設け、上記後向2股1上、上記角パイプ2の中程上及び上記角パイプ2の前端部上に収穫用籠12置き部14を形成してなり、かつ上記後向2股1及び上記角パイプ2が前方に向って上向きに傾斜してなる苺収穫車。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビニールハウス内に形成した複数の平行畝による輔場に植生した苺の実の収穫や枯葉の採取搬出に適した苺収穫車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、畝の跨架走行方式の苺収穫車が考案された(例えば特許文献1、2、3、4)。
【0003】
苺を植生した畝を跨ぐ従来の苺収穫車は車幅が拡大し、大形化して走行操作が不便であって畝幅の半分の植生苺や枯葉を摘採し得るが、走行に際し畝幅全幅の苺又は枯葉の摘採は困難であって収穫率又は枯葉採取率を向上し難く、
【0004】
かつ隣接畝に移設する作業を簡便に行い難いという問題があった。
【特許文献1】特開平05−184207号
【特許文献2】特開平06−121604号
【特許文献3】特開2001−258313号
【特許文献4】特開2001−269016号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は4輪車を畝間溝内を走行させる方式であって、4輪車座乗作業者が両足で溝面を蹴って溝に沿って移動し畝幅上の苺等を籠に収容し、採取作業能率を倍増し苺の収量を増加することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため本発明は
第1に後向2股の後端両側に後輪を遊支し、上記2股の前端に角パイプを前方に接続し、該角パイプの前部に設けた下向2股の下端内側又は下端両側に前輪を遊支して3輪車又は4輪車を形成し、上記後向2股と上記角パイプとの接続部に腰掛けを設け、上記後向2股上、上記角パイプの中程上及び上記角パイプの前端部上に収穫用籠置き部を形成してなり、かつ上記後向2股及び上記角パイプが前方に向って上向きに傾斜してなる苺収穫車、
第2に上記接続部において上記角パイプを伸縮及び着脱自在に形成した上記第1発明記載の苺収穫車、
第3に上記後輪及び前輪の両側車輪幅がそれぞれ畝間溝より小である上記第1又は第2発明記載の苺収穫車、
によって構成される。
【0007】
従って上記後輪及び前輪による4輪車を畝間溝上に溝の方向に支持し、
【0008】
腰掛けに作業者が腰を下し、両足で溝面を蹴って3又は4輪車を溝の方向に後向きに移動させることができる。
【0009】
上記4輪車を停止し、上記作業者が腰掛けに腰を下ろしたまま、左右の畝上に実った苺を畝幅の1/2幅だけ摘み取って角パイプの中程に置かれた収穫用籠内に収容し得る。即ち左右の畝それぞれ1/2幅を摘み取ることができるため、左右で
1/2幅×2=1幅
分を収穫することができる。
【発明の効果】
【0010】
従って本発明では畝間溝を1度走行するのみで、1列の畝幅の実質全幅の苺を摘採し得て摘採効率を倍増し得る効果がある。
【0011】
又枯葉の採取量を向上し、苺の収容を増加し得る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
水平短杆1’に後向2股杆1”,1”を1体に接続して後向2股1を形成し、該水平短杆1”の中央前端に1個の前向拡径短角パイプ2’を溶着し、
【0013】
該前向拡径端角パイプ2’に1個の小径角パイプ2”の後端部を摺動自在に、かつ着脱自在に嵌合し、挿通ボルト3で両パイプ2’,2”を1個の角パイプ2として接続することができる。
【0014】
上記角パイプ2の前部には下向2股4を溶着し、
【0015】
上記後向2股1の後端両側に後輪5,5を水平軸6により遊支し、下向2股4の下端内側又は下端両側に水平軸7により前輪8を遊支して3又は4輪車9を形成する。
【0016】
上記後向2股1と上記1個の角パイプ2とは同一平面内に支持され前方に向って上向に若干傾斜し、
【0017】
後輪5,5の径を大に、前輪8の径を小に形成し又は前輪8を1輪とすることができる。
【0018】
後向2股1の上面には前部の水平短杆1’に溶着した傾斜杆1a,1aと後向2股杆1”,1”の中程に溶着した門形杆1bとを1体に接続し、該門形杆1bの上端から後方に向う水平支持杆1c,1cと2股杆1”,1”の後端とを支持杆1d,1dで接続して、上記後向2股1上に1体の支持台10を形成する。
【0019】
そして上記後向2股1の前端水平短杆1’と、前向拡径短角パイプ2’及び上記傾斜杆1a,1aには弯曲板による腰掛け11を形成する。
【0020】
さらに上記後向2股1上の上記10に収穫用籠12を重ね置く側枠13,13を設け、該籠12の置き部14を形成する。
【0021】
又上記小径角パイプ2”の中程に昇降調節自在の起立杆15を設け、該起立杆15上に長方形支持枠16を設け、該枠16を収穫用籠12の置き部14とするようになっている。
【0022】
又上記小径角パイプ2”の前部上に側枠13,13を設け収穫用籠12の置き部14を形成する。
【0023】
苺の収穫用籠12は高さ7〜8cmの平坦かごであるが摘採枯葉収容籠(図示していない)は高さ20〜30cmの深い籠が用いられ、上記置き部14に置かれる。
【0024】
上記後輪5,5及び前輪8,8のそれぞれ車輪幅Tは畝s,s間の溝mの幅より小に形成される。
【0025】
従って図1に示すように腰掛け11に作業者17が座り、両足17’,17’で溝mの上面を後方に向って押すと、後輪5,5が体重の大部分を支持して後方(矢印A方向)に移動し、
【0026】
前輪8,8は体重の一部を支持し何れも後方に従動する。
【0027】
この4輪車9を停止して図2に示す両側の畝s,sの畝幅tの半分の苺eを採取し、上記中程の収容籠12に収穫する。
【0028】
苺eを収容した上記中程の収容籠12を前部置き部14に移し替え、後部の空の収容籠12を上記中程の置き部14に移載し、該収容籠12に苺eを摘採する動作を繰返しながら畝s,s間の溝mの始端部から終端部に移動した後、前部の収容籠12を取卸す。
【0029】
上記角パイプ2を伸縮して作業者17の脚の長さに調整することができ、上記角パイプ2”,2”を前後2個に分離することによって4輪車9を前後2部に分解し、その状態で収穫終了後の畝s,s間の溝mから次の畝間溝mに分解搬入し、該4輪車9を組立てて次の溝mにおいて上述同様の苺収穫作業を行うことができる。
【0030】
苺eの収穫は苺eが稔った都度何回でも同一溝mを利用して約6ヶ月程度(前年の11月〜翌年の5月)行われるので溝mには前後車輪5,5及び8,8の轍w,w(図3)が形成され、既成轍w,wをレールとして前後輪5,8を案内走行させることができる(図3)。
【0031】
又作業者17の体重及び後向走行力によって、後輪5,5を中心として車体の前部及び前輪8,8が溝m上方に浮上するおそれがなく軽くかつ安定して後方に走行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本願は畝s,s間の狭い溝mを安定的に軽く走行させ得るばかりでなく、上記溝mの1回走行で左右両側の畝s,s上の苺eや枯葉fを長期間に亘り、両側の畝sの1/2幅×2=1畝を溝mの1回走行で収穫し得て収穫能率を向上させ、かつ枯葉の散乱を防止し、苺eの増収をはかることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は本発明の苺収穫車を示す側面図である。
【図2】図1を左方から見た正面図である。
【図3】既成轍及び図1を右方から見た背面図である。
【図4】図1の斜視図である。
【図5】図1の平面図である。
【図6】図5の側面図である。
【図7】本発明の3輪車の斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 後向2股
2 角パイプ
4 下向き2股
5 後輪
8 前輪
9 4輪車
11 腰掛け
12 収穫用籠
14 置き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後向2股の後端両側に後輪を遊支し、上記2股の前端に角パイプを前方に接続し、該角パイプの前部に設けた下向2股の下端内側又は下端両側に前輪を遊支して3輪車又は4輪車を形成し、
上記後向2股と上記角パイプとの接続部に腰掛けを設け、
上記後向2股上、上記角パイプの中程上及び上記角パイプの前端部上に収穫用籠置き部を形成してなり、
かつ上記後向2股及び上記角パイプが前方に向って上向きに傾斜してなる苺収穫車。
【請求項2】
上記接続部において上記角パイプを伸縮及び着脱自在に形成した請求項1記載の苺収穫車。
【請求項3】
上記後輪及び前輪の両側車輪幅がそれぞれ畝間溝より小である請求項1又は2記載の苺収穫車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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