説明

草刈機用固定刈刃

【課題】低コストかつ簡素な機構で、操作ロッドに絡まり付こうとするつる草等の紐状物を切断でき、これにより紐状物の絡まり付きを防止できる草刈機を提供する。
【解決手段】少なくとも回転刈刃12の回転時及び草刈作業の動作時に動かないように操作ロッド11に固定され、草刈作業の動作時に操作ロッド11に絡まり付く紐状物を切断する、絡まり付き防止用の固定刈刃13を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈機の操作ロッド(ギアケースを含みます。)につる草等の紐状物の絡まり付きを防止することができる固定刈刃を操作ロッドに設ける構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
草刈作業時、立草は草刈機の回転刈刃との角度があり刈取りできるが、つる草等の紐状物は地際を這うように成長しており、回転刈刃との刈取角度がない状態となるので、回転刈刃では切断が困難となり、草刈機の操作ロッドにつる草等の紐状物が絡まり付きます。また、無理に刈り取りを行うと回転刈刃の回転軸につる草等の紐状物が多く巻き付いたり、回転刈刃が地面と接触して小石が飛散、回転刈刃の欠刃等と、草刈機の思わぬ動作を招き、作業能率が低下する。
【0003】
従来、回転刈刃の回転軸につる草等の紐状物の巻き付きを防止する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2007−60958号公報
【特許文献2】 実開平5−29331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術は、回転刈刃の回転軸に巻き付く紐状物を切断する巻き付き防止刃で、固定式と回転式があり、この技術では操作ロッドの紐状物の絡まりを切断しにくいという問題がある。
【0006】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、操作ロッドの紐状物を切断し、これにより紐状物の絡まり付きを防止でき、切断し押し退けることにより、回転刈刃の回転軸の紐状物の巻き付きを減少できる草刈機用固定刈刃を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の草刈機は、操作ロッドの回転刈刃の上部に固定され、草刈作業の払う動作により、絡まり付く紐状物を切断する固定刈刃を設けている。
【0008】
このような、草刈機の操作ロッドに絡まる紐状物を切断する固定刈刃を設けたため、紐状物の絡まり付きを防止でき、回転刈刃の回転軸に巻き付いた紐状物の巻き付きを減少することができる。
【0009】
なお、この草刈機の切断手段は、草等を刈ることができれば特に限定されず、例えば、円盤の外周に外周刃が設けられた刈刃であってもよいし、数本の刃が回転軸に対して相対向して設けられた刈刃であってもよいし、樹脂製の紐であってもよい。
【0010】
また、前記絡まり付き防止の固定刈刃の刃線が操作ロッドに対して斜めになるように、固定刈刃取付具で固定してもよいし、絡まり付き防止の固定刈刃の形状を湾曲状、扇状、鎌状等に形成し操作ロッドに固定するようにしてもよい。
【0011】
これにより、操作ロッドに紐状物が絡み付こうとしたときに、草刈作業の払う動作に伴って紐状物が刃線に沿ってせり上がるような状態となり、容易に切断することができる。
【0012】
また、前記絡まり防止の固定刈刃を覆う保護カバーを取付けるようにして、草刈作業休止時、回転刈刃の交換時、移動格納時等の安全を図ることができる。
【0013】
さらに、鎌等の刃物を絡まり防止の固定刈刃として代用し、操作ロッドに取付具を設けて取り付けることもできる。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明の草刈機によれば、草刈機の操作ロッドに絡まり付く紐状物を切断する絡まり付き防止の固定刈刃を設けるようにしたため、低コストかつ簡素な機構で紐状物の絡まりを防止でき、回転刈刃の回転軸に巻き付く紐状物を固定刈刃で先ず押し退けるので、巻き付きを減少できる優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図8に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は本実施の形態に係る草刈機10の平面図、図2は草刈機10の側面図、図3及び図4は草刈機10の平面図、図5は草刈機10の正面図、図6は草刈機の10の側面図、図7及び図8は草刈機10の平面図である。
【0017】
この草刈機10は、不図示の動力発生部で発生した動力を回転刈刃12に動力伝達機構である操作ロッド11から伝達された動力によって回転円盤の外周に複数個の外周刃が設けられた回転刈刃12を備えている。なお、外周刃の図示は省略する。
【0018】
操作ロッド11には、草刈作業時に操作ロッド11に絡まり付く紐状物を切断する絡まり付き防止用の固定刈刃13が固定されている。図1及び図2に示すように、操作ロッド11に絡まり付く紐状物を切断する固定刈刃13を回転刈刃12に接触しない位置と、絡まり付く紐状物を切断するのに好適な位置に固定刈刃取付具14にて固定している。
【0019】
図1及び図3〜図5に固定刈刃13の切刃側を刃線で示した。固定刈刃13は、その刃線が操作ロッド11に対して斜めになるように、図3(A)は単体の固定刈刃取付具14で、図3(B)は2箇所に高さの異なる固定刈刃取付具14により刃線角度及び位置調整された状態で操作ロッド11に固定されている。また、図4(A)、(B)、(C)は、操作ロッド11に対して刃線が斜めになるように、刃の形状を変えて固定刈刃支持具14により、位置調整された状態で操作ロッド11に固定されている。また、 図5及び図6は、固定刈刃13が操作ロッド11に対して捻じれる角度(図2の固定刈刃13から図6の固定刈刃13の取付状態)に位置調整され固定している。このように、刃線を操作ロッド11に対して斜めにすることにより、操作ロッド11に紐状物が絡まり付こうとしたときに、草刈作業の払う動作Bに伴って紐状物が刃線に沿ってせり上がるような状態となり、これにより紐状物の絡まり付き防止の固定刈刃13に対する擦り量が増大し、容易に紐状物を切断することができる。また、紐状物に対して、回転刈刃12は横方向の横切断になり、固定刈刃13は縦方向の縦切断となる。
【0020】
図7は、固定刈刃13に固定刈刃13を覆う保護カバー15を操作ロッド11に沿ってスライド式に取り付けられている。このように、保護カバー15を取り付けることによって、回転刈刃12の刈刃交換時、または草刈作業休止時、または運搬格納時など身体への危害防止をすることができる。図8は、草刈鎌23が操作ロッド11に草刈鎌用取付具24によって固定されている。このように、操作ロッド11に装着の固定刈刃13は、操作ロッド11が鎌の柄の代わりとなるので、大型の草刈鎌の役目を果たすことができる。
【0021】
図1〜図7の固定刈刃取付具14は、固定刈刃13側は固定刈刃13にネジ止めできる穴を設け、操作ロッド11側は操作ロッド11を挟み込むようにして両側をネジ止めして固定している。
【0022】
次に、草刈機10と作業者の動作について説明する。
【0023】
作業者が、草刈機10を支持した状態で、不図示の動力発生部で動力を発生させる。動力発生部で発生した動力は操作ロッド11によって、回転刈刃12に伝達される。この動力によって回転刈刃12は図1に示す回転刈刃回転方向Aに回転し、作業者は、図1に示す払い動作Bの方向へ回転刈刃12と操作ロッド11を移動する払い動作Bの連続により草等を刈り進むことができる。
【0024】
以上説明したように、操作ロッド11に絡まり付く紐状物を切断する固定刈刃13を操作ロッド11に固定したため、操作ロッド11に絡まり付く紐状物を容易に切断することができる。
【0025】
なお、上記実施の形態では、図1の払い動作B方向に固定刈刃13を固定したが、その固定位置は絡まり付こうとする紐状物を切断できる位置であれば特に限定されず、操作ロッド11を軸に必要とする方向に固定するようにしてもよい。
【0026】
また、上記実施の形態では、図7の保護カバー15を固定刈刃13に沿ってスライド式にして操作ロッド11に固定したが、保護カバー15を着脱できるようにしてもよく、スライド式のカバー取付具16は固定刈刃取付具14と兼用してもよい。
【0027】
また、上記実施の形態では、固定刈刃取付具14は一つの取付穴を設けたが、これに限らず、例えば、固定刈刃取付具13と固定刈刃13にネジ止めできる穴を複数個、あるいは、細長い形状の取付穴を設け、ネジ等で斜めになるように角度調整して固定してもよい。また、操作ロッド11側は操作ロッド11を挟み込むようにしてレバーを操作すると取付具が締まる構成にしてもよい。
【0028】
さらにまた、上記実施の形態では、ネジ止めにより固定刈刃13を固定しているが、これに限らず、例えば、固定刈刃13に片面または、両面の刃線に沿って溝を設け固定刈刃取付具14の固定刈刃13側を爪付きに構成された取付具で溝に爪を入れて挟み込むように固定してもよい。
【0029】
また、上記実施の形態では、図3及び図4(B)(C)に示すように、操作ロッド11と固定刈刃13の間に隙間がある取付具で説明したが、これに限定されず、図4(A)に示すように、操作ロッド11と固定刈刃13の隙間を無くし密着するように形成した固定刈刃13としてもよく、固定刈刃13と固定刈刃取付具14を一体形成してもよい。これにより、操作ロッド11と固定刈刃13との隙間に刈草、紐状物等の侵入を防ぐことができる。
【0030】
また、上記実施の形態では、回転刈刃12を切断手段として用いた草刈機を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば、2本の刃が回転軸に対して相対向して設けられた刈刃を草刈機であってもよいし、樹脂製の紐等を用いた草刈機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る草刈機の平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る草刈機の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る草刈機の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る草刈機の平面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る草刈機の正面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る草刈機の側面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る草刈機の平面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る草刈機の平面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 草刈機
11 操作ロッド
12 回転刈刃
13 固定刈刃
14 固定刈刃取付具
15 保護カバー
16 カバー取付具
23 鎌
24 鎌柄取付具
A 回転刈刃回転方向
B 払い動作

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ロッドに固定され、少なくとも回転刈刃の回転時及び草刈作業の動作時に動かないように操作ロッドに固定され、草刈作業の動作時に操作ロッドに絡まり付く紐状物を切断する絡まり付き防止用の固定刈刃と、を備えた草刈機。
【請求項2】
前記絡まり付き防止用の固定刈刃の刃線が操作ロッドに対して斜めになるように角度調整された前記絡まり付き防止用の固定刈刃を操作ロッドに固定した請求項1記載の草刈機。
【請求項3】
前記絡まり付き防止用の固定刈刃の刃線が操作ロッドに対して斜めになるように固定刈刃を形成し、操作ロッドに固定した請求項1記載の草刈機。
【請求項4】
前記絡まり付き防止用の固定刈刃に刃物を構成して操作ロッドに固定した草刈機。
【請求項5】
前記絡まり付き防止用の固定刈刃を覆う保護カバーを構成した請求項1、請求項2、請求項3、請求項4記載の草刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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