説明

荷吊り装置

【課題】建築作業場で荷揚げ・荷下ろし作業を行うための荷吊り装置において、安全性および使い勝手を高める。
【解決手段】荷吊り装置1は、足場9に装着可能な複数の横架材2、2と、これらの横架材2、2に装着可能なレール3とを備えている。レール3には、起重機を取り付けうる吊り具5が当該レール3に沿って移動自在に支持されている。荷揚げ作業時には、吊り荷を地上から真上に上昇させ、レール3の先端から後端へ水平移動させ、足場9の踏み板92まで真下に下降させる。これにより、作業者が足場9から外側に身を乗り出して吊り荷を手前に強く引き込む必要がなくなり、荷揚げ作業を安全に実行することができる。また、荷揚げ作業時の荷下ろし位置が横に位置ずれしないので、荷吊り装置1の使い勝手が良好となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築作業場において、建物の周囲に設置された足場に設置して荷揚げ・荷下ろし作業を行う際に使用する荷吊り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の荷吊り装置としては、足場から外側に突出させて取り付けられる支持腕と、この支持腕の先端近傍に吊り下げられるホイストとを備えた荷吊り装置が広く用いられている。そして、この荷吊り装置を用いて荷揚げ作業を行う際には、足場に荷吊り装置を設置した状態で、作業者が、ホイストを駆動して吊り荷を地上から持ち上げた後、ホイストを吊り荷ごと手前(足場側)に強く引き込みつつ、ホイストを駆動して吊り荷を足場の踏み板上に下ろす。また、荷下ろし作業を行う際には、作業者が、ホイストを足場の踏み板上に引き込んでホイストに吊り荷を係着させ、ホイストを駆動して、吊り荷を足場の踏み板から少し持ち上げた後、吊り荷を地上に下ろす。
【0003】
ところが、このような荷吊り装置においては、荷揚げ・荷下ろし作業時に吊り荷が足場に干渉しないように、ホイストを足場から外側に離れた位置に設置する必要がある。そのため、荷揚げ作業時には、作業者が足場から外側に身を乗り出して吊り荷を手前に強く引き込む必要がある。また、荷下ろし作業時には、吊り荷がその自重で足場の踏み板から前方へ急激に払い出されないように吊り荷を慎重に押し出す必要がある。したがって、荷揚げ・荷下ろし作業時に危険を伴う場合があるという不都合があった。
【0004】
そこで、こうした不都合を解消するため、足場に対してジブを水平面内で横方向に回動自在に取り付け、このジブの先端近傍にホイストを吊り下げた荷吊り装置(以下、公知技術1という。)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この荷吊り装置の使用に際しては、ホイストで吊り荷を吊り上げた後、ジブを水平面内で90°回転させることにより、吊り荷を足場まで取り込む。こうすることにより、荷揚げ作業時に作業者が足場から外側に身を乗り出して吊り荷を手前に強く引き込む必要がなくなり、荷揚げ作業時の安全性が高まるとしている。
【特許文献1】実公昭63−7650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、公知技術1では、荷揚げ作業時に、ジブの回転に伴って足場上の荷下ろし位置がジブの長さ分だけ横に位置ずれしてしまうため、予めこの位置ずれを見込んで設置しなければならないことに加えて、荷吊り装置の構造が複雑で大型化せざるを得ないため、搬送や収納が面倒である。これらの結果、荷吊り装置の使い勝手があまり良好ではないという課題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、荷揚げ・荷下ろし作業を安全に実行でき、かつ使い勝手が良好な荷吊り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、足場に設置して荷揚げ・荷下ろし作業を行うための荷吊り装置であって、前記足場に装着可能な複数の横架材と、これらの横架材に装着可能なレールとを備え、前記レールには、起重機を取り付けうる吊り具が当該レールに沿って移動自在に支持されている荷吊り装置としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記レールは、前記複数の横架材に対して着脱自在となっていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、前記レールは、前記吊り具の移動時に当該吊り具が通過する溝を有するC字断面筒状のレール本体を具備し、このレール本体には、前記吊り具の移動時に当該吊り具を支持する一対の吊り具支持面が前記溝を挟んで対峙するように形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加え、前記レール本体には、L字断面形状の一対のレール補強材が前記吊り具の移動に伴う前記一対の吊り具支持面の撓みを抑制するように添設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成に加え、前記吊り具は、前記レール内を走行する車両と、この車両に前記レールから突出する形で吊り下げられたフックとを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加え、前記車両は、車体の四隅に4個の車輪がそれぞれベアリングを介して回動自在に装着され、これらの車輪が前記吊り具支持面を転動することによって走行することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の構成に加え、前記吊り具は、前記車両を前記レールに沿って案内するガイドを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1〜7に記載の発明によれば、荷揚げ作業時に作業者が足場から外側に身を乗り出して吊り荷を手前に強く引き込む必要がなくなるとともに、荷下ろし作業時に吊り荷がその自重で足場の踏み板から前方へ急激に払い出されないように吊り荷を慎重に押し出す必要がなくなるため、荷揚げ・荷下ろし作業を安全に実行することが可能となる。しかも、荷揚げ作業時の荷下ろし位置や荷下ろし作業時の荷揚げ位置が横に位置ずれしないので、荷吊り装置の使い勝手が良好となる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、上述した作用効果に加えて、レールと横架材とを分離すればコンパクトになるため、荷吊り装置の搬送や収納が容易となる。したがって、荷吊り装置の使い勝手が一層良好となる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、上述した作用効果に加えて、吊り具が移動してもレールの吊り具支持面の撓みがレール補強材によって抑制されるため、吊り具の移動、ひいては吊り荷の移動が円滑になる。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、上述した作用効果に加えて、車体の四隅にベアリングを介して回動自在に装着された4個の車輪が転動することにより、車両の走行が行われるため、吊り具の走行安定性が向上する。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、上述した作用効果に加えて、吊り具の移動時に車両がレールに沿って案内されるため、吊り荷が左右にぶれる事態を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0020】
図1乃至図4には、本発明の実施の形態1を示す。
【0021】
まず、構成を説明する。
【0022】
荷吊り装置1は、図1に示すように、所定の長さ(例えば、2m)および直径(例えば、60mm)の鋼製の丸パイプからなる2本の横架材2、2を有しており、これらの横架材2、2には、所定の長さ(例えば、2m)の鋼製のレール3が着脱自在に装着されている。さらに、レール3には吊り具5が、レール3に沿ってレール3の長さ方向(矢印M、N方向)に移動自在に支持されている。
【0023】
ここで、レール3は、図2に示すように、C字断面角筒状のレール本体31を具備しており、レール本体31は所定の長さ(例えば、2m)、幅(例えば、85mm)、高さ(例えば、80mm)を有している。レール本体31の底面には、吊り具5が通過する溝32がレール3の長さ方向に形成されているとともに、吊り具5を支持する一対の吊り具支持面33、33が溝32を挟んで対峙するように形成されている。
【0024】
また、レール本体31の外周面には、図2(b)に示すように、L字断面形状の一対のレール補強材35、35がレール本体31の側面から底面にかけて添設されており、レール本体31に対して各レール補強材35は、両端部および中央部やや上側において所定のピッチ(例えば、350mm間隔)で不連続的にスポット溶接されている。なお、図2(a)中の6つの「+」印は溶接箇所を示す。
【0025】
さらに、レール本体31の上面には、図1および図2に示すように、3個の横架材取付部材6(6A、6B、6C)が一体に取り付けられており、各横架材取付部材6は、短円筒状の取付筒61、4枚の平板状のリブ62、六角ナット63、六角ボルト64から構成されている。ここで、取付筒61はレール本体31の上面に横向きに溶接されており、取付筒61とレール本体31との間には4枚のリブ62が垂直に溶接されている。また、取付筒61の頂部には丸孔(図示せず)が上下方向に貫通して穿設されており、この丸孔の上側には六角ナット63が溶接されている。さらに、六角ナット63には六角ボルト64が螺合している。
【0026】
また、吊り具5は、図3に示すように、車両51およびU字形のフック52から構成されており、さらに、車両51は、車体53、二対4本のシャフト56、4個のボールベアリング54、4個の車輪55、2個のガイド57から構成されている。ここで、車両51は、六面体状の車体53を有している。車体53の下部の四隅には、二対のシャフト56が横向きに突設されており、各シャフト56にはそれぞれ、ボールベアリング54を介して車輪55が回動自在に装着されている。また、車体53の下面には2個のガイド57、57が、互いにレール3の長さ方向(矢印M、N方向)に所定の距離を置いて下向きに突設されている。さらに、車両51の下側にはフック52が、2個のガイド57、57間の位置に吊り下げられた形で取り付けられている。
【0027】
なお、レール3の両端部近傍にはそれぞれ、図2(a)に示すように、吊り具5がレール3から脱落するのを阻止するためのストッパ7、7が設けられており、各ストッパ7は、図3(a)、(b)に示すように、両切りボルト71、2個の袋ナット72、緩衝ホース73から構成されている。ここで、レール3内には両切りボルト(頭なしボルト)71が、その両端部をレール3の両側面から外部に突出する形で水平に架設されている。両切りボルト71の両端部にはそれぞれ袋ナット72、72が螺着されており、これらの袋ナット72、72の螺着によって両切りボルト71はレール3に固定されている。また、両切りボルト71の中央部には、円筒状の緩衝ホース73が被覆されている。
【0028】
次に、作用について説明する。
【0029】
荷吊り装置1は以上のような構成を有するので、図4に示すように、建物13の周囲に足場9が設置された建築作業場において荷揚げ作業を行う際には、次の手順による。
【0030】
まず、作業者は、準備作業として、図1に示すように、足場9に荷吊り装置1を設置する。
【0031】
それには、足場9の柱材91のピッチ(例えば、600mm間隔、900mm間隔)に応じて、レール3の3個の横架材取付部材6のうち2個の横架材取付部材6(図1では、横架材取付部材6A、6C)を選択し、これら2個の横架材取付部材6の取付筒61に2本の横架材2、2を挿通し、六角ボルト64を六角ナット63にねじ込むことにより、レール3に2本の横架材2、2の中央部を固定する。すると、レール3は、横架材2、2の中央部で横架材2、2に対して直角に交差した形で固定された状態となる。さらに、これら2本の横架材2、2を足場9の4本の柱材91に同じ高さで4個の自在クランプ(図示せず)を用いて水平に固定する。すると、レール3は、足場9から外側に突出する形で水平に取り付けられた状態となる。
【0032】
このとき、2本の横架材2、2は、図4に示すように、足場9の柱材91の外側に位置するように固定する。すると、柱材91の内側にブレース(図示せず)が取り付けられている場合でも、このブレースとの干渉を避けて横架材2、2を強固に取り付けることができる。
【0033】
こうして足場9に荷吊り装置1が設置された状態で、作業者は、図4(a)に示すように、この荷吊り装置1の吊り具5をレール3の先端近傍に位置決めした後、この吊り具5に吊り荷12を吊り下げる。それには、吊り具5のフック52にホイスト(起重機)10を取り付け、ホイスト10のワイヤー10aに地上の吊り荷12を係着させる。
【0034】
こうして吊り具5に吊り荷12が吊り下げられたところで、作業者は、ホイスト10を駆動して吊り荷12を地上から真上に上昇させる。そして、図4(b)に示すように、吊り荷12が最上位に達したところで、ホイスト10の駆動を停止し、吊り荷12を手前(足場9側)に引き込む。すると、吊り具5は、レール3に沿って矢印N方向、つまり足場9側へ水平移動する。
【0035】
このとき、吊り具5は、図3(c)に示すように、車体53の四隅に位置する4個の車輪55がレール3の吊り具支持面33、33上を転動する形で水平移動するため、優れた走行安定性を発現する。しかも、各車輪55はボールベアリング54を介してシャフト56に装着されているので、吊り具5の移動動作は軽い力で円滑に行われることから、吊り具5の走行安定性が一層向上する。
【0036】
また、吊り具5はガイド57を備えているため、吊り具5、ひいては吊り荷12が左右にぶれる事態を回避することができる。
【0037】
さらに、レール3の後端部近傍にはストッパ7が設けられているので、たとえ吊り具5がレール3の後端部まで移動しようとしても、吊り具5は、このストッパ7に当接して停止し、レール3からの脱落が阻止される。しかも、ストッパ7は緩衝ホース73を備えているため、吊り具5の衝撃を緩和すると同時に、その衝撃音を低減することができる。
【0038】
そして、図4(c)に示すように、吊り荷12が足場9の踏み板92の真上に達したところで、作業者は、吊り荷12の引込動作を停止した後、ホイスト10を駆動して吊り荷12を真下に下降させる。すると、吊り荷12は、まっすぐ下降し、図4(d)に示すように、吊り荷12が踏み板92上に載置された状態となる。このとき、公知技術1と異なり、荷揚げ作業時に足場9上の荷下ろし位置が横に位置ずれしないので、荷吊り装置1の使い勝手が良好となる。
【0039】
ここで、建築作業場における荷揚げ作業が終了する。
【0040】
このように、荷揚げ作業に際して、吊り荷12は、地上から真上に上昇し、レール3の先端から後端へ水平移動し、足場9の踏み板92まで真下に下降する。したがって、荷揚げ作業時に作業者が足場9から外側に身を乗り出して吊り荷12を手前に強く引き込む必要がなくなり、荷揚げ作業を安全に実行することが可能となる。
【0041】
また、荷下ろし作業を行う際には、上述した荷揚げ作業と逆の手順による。
【0042】
この荷下ろし作業に際して、吊り荷12は、足場9の踏み板92から真上に上昇し、レール3の後端から先端へ水平移動し、地上まで真下に下降する。したがって、荷下ろし作業時に吊り荷12がその自重で足場9の踏み板92から前方へ急激に払い出されないように吊り荷12を慎重に押し出す必要がなくなり、荷下ろし作業を安全に実行することが可能となる。
【0043】
また、公知技術1と異なり、荷下ろし作業時に足場9上の荷揚げ位置が横に位置ずれしないので、荷吊り装置1の使い勝手が良好となる。
【0044】
しかも、この荷吊り装置1では、公知技術1と比べて、構造が簡単であることに加えて、レール3の2個の横架材取付部材6、6から2本の横架材2、2を引き抜いてレール3と横架材2、2とを分離すればコンパクトになるため、搬送や収納が容易となる。したがって、荷吊り装置1の使い勝手が一層良好となる。
【0045】
また、この荷吊り装置1は、レール3を足場9に取り付けるための2本の横架材2、2を備えており、これらの横架材2、2を足場9に対して適宜な高さに取り付けることにより、レール3の設置高さを任意に設定することができる。
【0046】
さらに、レール3に設けられた2個のストッパ7、7はそれぞれ、レール3を水平方向に貫通する両切りボルト71の両端部に袋ナット72、72が螺着された構成を有しているため、吊り荷12の水平移動に伴ってレール3の溝32が開くことを抑制することができる。
【0047】
また、レール本体31にはレール補強材35、35が添設されているので、吊り具5が移動してもレール3の吊り具支持面33、33の撓みがレール補強材35、35によって抑制される。そのため、吊り具5の移動、ひいては吊り荷12の移動が円滑になる。
【0048】
また、レール3には3個の横架材取付部材6(6A、6B、6C)が設けられているため、足場9の柱材91の2種類のピッチ(例えば、600mm間隔、900mm間隔)に対処することができる。すなわち、この柱材91のピッチが600mm間隔である場合には、横架材取付部材6B、6Cに2本の横架材2、2を固定すればよい。また、この柱材91のピッチが900mm間隔である場合には、上述したとおり、横架材取付部材6A、6Cに2本の横架材2、2を固定すればよい。
[発明のその他の実施の形態]
【0049】
なお、上述した実施の形態1では、吊り荷12を足場9まで移動させる場合について説明した。しかし、レール3を建物13の内部まで延伸しておけば、荷揚げ作業時に吊り荷12を建物13の内部まで一気に運び込むことができ、荷吊り装置1の利便性が向上する。
【0050】
また、上述した実施の形態1では、レール3を支持するための横架材2を2本備えた荷吊り装置1について説明したが、この横架材2の本数は複数(2本以上)であれば何本でも構わない。横架材2の本数が複数であれば、横架材2の本数が1本である場合に比べてレール3を安定して支持することができ、荷吊り装置1の有用性が向上する。
【0051】
さらに、上述した実施の形態1では、1本のレール3を備えた荷吊り装置1について説明したが、レール3の本数は1本に限るわけではなく、2本以上のレール3を互いに平行に設けることもできる。レール3の本数が増えると、それに対応して吊り荷12の許容支持荷重が増大するので、重量のある吊り荷12を吊り上げることができ、荷吊り装置1の汎用性が向上する。
【0052】
さらにまた、上述した実施の形態1では、2本の横架材2、2を介して足場9にレール3を水平に取り付ける場合について説明したが、2本の横架材2、2の固定高さを適宜調整することにより、レール3の先端をやや下向きに傾斜させて取り付けてもよい。こうすると、吊り具5に吊り荷12を吊り下げたときに、吊り荷12の自重の分力が外向きとなるので、予期せぬ外力が吊り荷12に作用した場合に吊り荷12が足場9にぶつかる事態の発生を抑制することが可能となり、安全性が向上する。
【0053】
また、上述した実施の形態1では、2本の横架材2、2とレール3とを組み合わせるときに、横架材2、2の中央部にレール3を固定する場合について説明したが、建築作業場の状況によって、レール3の固定部位を横架材2、2の中央部以外(例えば、横架材2、2の片方の端部近傍)とすることも勿論できる。
【0054】
また、上述した実施の形態1では、2本の横架材2、2とレール3とを組み合わせたときに横架材2、2に対してレール3が直角に交差する構造を備えた荷吊り装置1について説明したが、横架材2、2とレール3とは必ずしも直角に交差させる必要はない。
【0055】
また、上述した実施の形態1では、ホイスト10を用いて吊り荷12を昇降させる場合について説明したが、ホイスト10以外の起重機(例えば、電動ウインチ、電動チェーンブロックなど)を代用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、各種の建築作業場において荷揚げ・荷下ろし作業を行う際に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1に係る荷吊り装置の組立状態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態1に係る荷吊り装置のレールを示す図であって、(a)はその側面図、(b)は(a)のA−A線による拡大断面図である。
【図3】同実施の形態1に係る荷吊り装置のレールに対する吊り具の収まり状態を示す図であって、(a)は側面図、(b)は(a)のB−B線による断面図、(c)は(b)のC−C線による断面図である。
【図4】同実施の形態1に係る荷吊り装置による荷揚げ作業を示す工程図であって、(a)はホイストに地上の吊り荷を係着させた状態を示す図、(b)は吊り荷が最上位まで上昇した状態を示す図、(c)は吊り荷が足場の踏み板の真上まで水平移動した状態を示す図、(d)は吊り荷が踏み板上に載置された状態を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1……荷吊り装置
2……横架材
3……レール
5……吊り具
6……横架材取付部材
7……ストッパ
9……足場
10……ホイスト
10a……ワイヤー
12……吊り荷
13……建物
31……レール本体
32……溝
33……吊り具支持面
51……車両
52……フック
53……車体
54……ボールベアリング
55……車輪目盛付き丸鋸
56……シャフト
57……ガイド
61……取付筒
62……リブ
63……六角ナット
64……六角ボルト
71……両切りボルト
72……袋ナット
73……緩衝ホース
91……柱材
92……踏み板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足場に設置して荷揚げ・荷下ろし作業を行うための荷吊り装置であって、
前記足場に装着可能な複数の横架材と、これらの横架材に装着可能なレールとを備え、
前記レールには、起重機を取り付けうる吊り具が当該レールに沿って移動自在に支持されていることを特徴とする荷吊り装置。
【請求項2】
前記レールは、前記複数の横架材に対して着脱自在となっていることを特徴とする請求項1に記載の荷吊り装置。
【請求項3】
前記レールは、前記吊り具の移動時に当該吊り具が通過する溝を有するC字断面筒状のレール本体を具備し、
このレール本体には、前記吊り具の移動時に当該吊り具を支持する一対の吊り具支持面が前記溝を挟んで対峙するように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の荷吊り装置。
【請求項4】
前記レール本体には、L字断面形状の一対のレール補強材が前記吊り具の移動に伴う前記一対の吊り具支持面の撓みを抑制するように添設されていることを特徴とする請求項3に記載の荷吊り装置。
【請求項5】
前記吊り具は、前記レール内を走行する車両と、この車両に前記レールから突出する形で吊り下げられたフックとを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の荷吊り装置。
【請求項6】
前記車両は、車体の四隅に4個の車輪がそれぞれベアリングを介して回動自在に装着され、これらの車輪が前記吊り具支持面を転動することによって走行することを特徴とする請求項5に記載の荷吊り装置。
【請求項7】
前記吊り具は、前記車両を前記レールに沿って案内するガイドを備えていることを特徴とする請求項5または6に記載の荷吊り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−7228(P2010−7228A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163967(P2008−163967)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(508189902)
【Fターム(参考)】