説明

荷物積載装置

【課題】荷物を貨物車両の後方から容易かつ迅速で安全に出し入れ可能な荷物積載装置を提供する。
【解決手段】貨物車両Aに固着された固定枠1と、貨物車両Aの後方へ手動にて引出自在として、固定枠1に前後方向へ移動自在に取付られた移動枠2と、固定枠1の第1縦レール部材10に転動可能な第1車輪31と上記移動枠2の第2縦レール部材20に転動可能な第2車輪32とを有する連結分離自在な複数の台車3とを、具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物積載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラック等の貨物車は、車両後方から荷物を積み込む際に、特許文献1記載のように、テールゲートリフトに荷物を積載させ、貨物車両の荷台(貨物室や荷箱)に荷物を収納可能にするものがあった。
【特許文献1】特開平8ー258612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の貨物車両は荷物を荷台の後方開口側近傍までしか積載できず、荷台の奥(つまり、車両の前方)側へ、荷物を詰めるように積載するには、時間や手間がかかるという問題があった。また、荷物の積み下ろしの際も、荷台の奥(車両前方)側から荷物を引出すのは積み込み同様に多大な労力を費やすという問題があった。また、背が高く重い荷物を引きずるように荷台から出し入れする際は、傾倒しやすく、作業者が危険という問題と、荷物が損傷するといった問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、荷物を貨物車両の後方から容易かつ迅速で安全に出し入れ可能な荷物積載装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明の荷物積載装置は、貨物車両の後方へ手動にて引出自在な移動枠を備えたものである。
【0006】
また、貨物車両に固着された固定枠と、該貨物車両の後方へ手動にて引出自在として、該固定枠に前後方向へ移動自在に取付られた移動枠と、上記固定枠の第1縦レール部材に転動可能な第1車輪と上記移動枠の第2縦レール部材に転動可能な第2車輪とを有する連結分離自在な複数の台車とを、具備し、さらに、上記台車は、上記第1車輪が上記固定枠の上記第1縦レール部材を後方へ転動し、上記移動枠の上記第2縦レール部材に上記第2車輪が転動して、上記台車が後方へ走行自在に構成されているものである。
【0007】
また、上記移動枠が後方引出状態で地面に立ててその後端を支持する支脚を、該後端に水平収納・垂直起立可能に備えているものである。
【0008】
また、上記複数の台車は、複数群に区分けられ、各群に於て、上方から落とし込んで隣り合う台車を相互に着脱自在に連結する連結杆を有し、かつ、各群に於て上記連結杆の内の少なくとも1個は、上記固定枠に、固定自在であるものである。
【0009】
また、固定枠と移動枠の一方にはストッパー弾性部材が設けられ、他方には、後方引出し状態で該弾性部材が当接して移動枠のさらに後方への移動を阻止する当り部材を備えているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の荷物積載装置によれば、荷物を引きずることなく安全に出し入れすることができる。また、荷台の奥(車両前方)側へ荷物を迅速かつ容易に移動させることができる。また、荷台の奥(車両前方)側から荷物を容易かつ迅速に引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1は本発明の荷物積載装置の実施の一形態を示す簡略全体図である。図2は、要部断面側面図である。
本発明の荷物積載装置は、後方開口箱状の荷台を有する貨物車両Aの荷台床Aaに固着された固定枠1と、固定枠1から手動にて貨物車両Aの前後方向かつ荷台床Aaに対して平行に移動自在な移動枠2と、固定枠1と移動枠2とに乗り換えて往復移動可能な台車3と、を具備し、荷台から移動枠2を引き出し、台車3を固定枠1から移動枠2へ乗り継ぐように移動させ、荷物を台車3に載せた後、台車3を移動枠2から固定枠1に移動させて荷台の奥(つまり貨物車両Aの前方)側に荷物を収納可能なものである。
【0012】
図3は、固定枠1の実施の一例を示す平面図である。
固定枠1は、貨物車両Aの前後方向(縦方向)を長手方向とする2本の金属製の角パイプ状部材から成る固定縦枠部材11と、平行に配設された2つの固定縦枠部材11,11を左右方向(横方向)に連結する金属製角パイプ状の複数の固定横枠部材12と、を有し、梯子状に形成されている。また、左右の固定縦枠部材11,11の上面側に、平面視コの字状の第1縦レール部材10,10を、コの字の開口部を対面状に配設し固着している。
【0013】
金属製のコの字状の第1縦レール部材10は、上面を台車3が走行する第1台車レール面10aとし、内側下面を移動枠2が走行する引出レール面10bとするものである(図2参照)。
【0014】
また、固定枠1の後方端1aの固定縦枠部材11,11の(引出方向側)の左右内方向側に支持ローラ16,16を設けている。支持ローラ16,16は、荷台床Aaから離間して回転自在に設けられ、移動枠2を下方から接触して支持するものである。
【0015】
また、固定枠1の後方端1a近傍の固定縦枠部材11,11に、弾発部材によって左右内方向に常時弾発付勢される突出頭部17aを有するロック部材17を、左右両側に設けている。ロック部材17は、突出頭部17aが突出して移動枠2の前後方向の移動を規制するものである。また、操作レバー17bの操作によって、突出頭部17aを左右外方向側に収納可能なものである。
【0016】
また、固定枠1の後方端1a寄りに、固定縦枠部材11,11を左右方向に連結し、かつ、固定横枠部材12よりも上方に突出した当り部材7を設けている。当り部材7は、移動枠2の後方への移動を阻止(規制)するものである。
【0017】
また、固定枠1の先端(収納方向側)寄りに、固定縦枠部材11,11を左右方向に連結し、かつ、当り部材7よりも上方に突出した規制部材13を設けている。規制部材13は、後方端1a側の面にゴム等の弾性部材から成る弾性規制部材13aを有している。規制部材13(の弾性規制部材13a)は、移動枠2の前方(荷台奥側)への移動を規制(阻止)するものである。また、規制部材13は、台車3の往復移動を規制しないように第1縦レール部材10,10の第1台車レール面10a,10aよりも低く設けられている。弾性規制部材13aは螺設されている。
【0018】
また、第1縦レール部材10の先端の第1台車レール面10aに、2本の第1縦レール部材10,10を左右方向に連結し、かつ、規制部材13よりも上方に突出した第1制止部材14を設けている。また、第1制止部材14は、後方端1a側の面にゴム等の弾性部材から成る第1弾性制止部材14aを有している。第1制止部材14(の第1弾性制止部材14a)は、台車3の前方への移動を規制(阻止)するものである。また、第1弾性制止部材14aは螺設されている。
【0019】
また、固定縦枠部材11,11に、左右外方向に突出するL字板状の台車固定部材15を設けている。台車固定部材15は、一方の固定縦枠部材11に3箇所設け、合計で6箇所設けている。また、台車固定部材15は左右外方向に開口した細長状切欠部15aを3つ形成している。
【0020】
図4は、移動枠2の実施の一例を示す平面図である。
移動枠2は、貨物車両Aの前後方向(縦方向)を長手方向とする2本の平行な金属製角パイプ状の第2縦レール部材20,20と、2本の第2縦レール部材20,20を左右方向(横方向)に連結する金属製角パイプ状の複数の補強横枠部材22と、を有し、梯子状に形成されている。
【0021】
第2縦レール部材20は、上面を台車3が走行する第2台車レール面20aとし、下面を固定枠1の支持ローラ16が接触するスライド面20bとしている(図2参照)。また、第2台車レール面20aは、第1台車レール面10aと同一平面状となるように形成されている。つまり、第1台車レール面10aと第2台車レール面20aとの高さは荷台床Aaからの高さを等しく設けている。
【0022】
また、左右の第2縦レール部材20,20に、左右外方向側に突設され、前後方向に回転自在な移動ローラ30を左右に各々3箇所設けている。つまり、合計で6箇所設けている。移動ローラ30は、第1縦レール部材10に内装され、引出レール面10bを転動し、第1縦レール部材10に沿って移動枠2を前後方向に往復移動可能にするものである。言い換えると、移動枠2は、左右一対の第1縦レール部材10,10の間に収納され、移動ローラ30の転動によって前後方向に走行するものである。
【0023】
また、移動枠2は最後端に、第2縦レール部材20,20の最後端を左右方向に連結した角パイプ状の後端連結横枠部材25を有している。後端連結横枠部材25は、支脚4が枢着されている。支脚4は、枢着軸心L廻りに回転可能なものである。つまり、移動枠2に対して平行状態と垂直状態に切換可能なものである。また、ねじ螺合部41とロックナット部材42とを有し、ねじによる螺進退によって伸縮自在に長さ調節が可能なものである。また、ロックナット部材42によって支脚4を所定の長さで固定可能なものである。
【0024】
また、支脚4は、後端連結横枠部材25の近傍の補強横枠部材22の下面に固着されたU字状の係止金具29に、伸縮させて係止可能(収納可能)なものである。図6に、係止金具29の実施の一例の正面図を示す。つまり、支脚4は、移動枠2に平行(水平)に収納可能なものである。さらに、支脚4は地面に立てて移動枠2の後端2aを支持するものである。つまり、移動枠2は、後端2aに、水平収納・垂直起立可能な支脚4を備えている。
【0025】
後端連結横枠部材25は、上面に、ゴム等の弾性部材から成る第2弾性制止部材24aが先端側の面に螺着されたL字板状の第2制止部材24を、設けている。第2制止部材24の第2弾性制止部材24aは、台車3に当接し、台車3の後方(引出方向側)への移動を阻止(規制)するものである。言い換えると、台車3が移動枠2から引出方向側へ脱落するのを防止するものである。
【0026】
また、後端連結横枠部材25の先端側の面かつ、第2弾性制止部材24aの先端側面よりも後方に、コの字状の引出し用持ち手26,26を付設している。つまり、持ち手26は、台車3が第2弾性制止部材24aに接触している際でも使用者が手を挟まれることなく移動枠2を操作可能な位置に設けられている。
【0027】
また、移動枠2は、先端寄りに、ゴム製のストッパー弾性部材6を設けている。弾性部材6は、第2縦レール部材20のスライド面20bよりも下方に突出したL字状の保持板21,21の後端2a側の面に、螺着されている。弾性部材6は、固定枠1の当り部材7に当接して移動枠2のさらに後方への移動を阻止(規制)するものである。
【0028】
また、移動枠2は、最先端に、第2縦レール部材20,20の最先端(収納方向側)を左右方向に連結した角パイプ状の先端連結横枠部材23を有している。先端連結横枠部材23の先端面23aは、固定枠1の弾性規制部材13aに当接して移動枠2のさらに前方への移動を阻止(先端への移動を規制)するものである。
【0029】
また、第2縦レール部材20から左右外方向に突出するように、移動枠2の後端2a近傍に平面視V字状の第1係止部材27と、第1係止部材27よりも移動枠2の先端側に平面視V字状の第2係止部材28とを設けている。
【0030】
第1係止部材27は、第2縦レール部材20,20の左右外側面から直角に突出する第1当り面27aと、第2縦レール部材20と第1当り面27aとに接する第1斜面27bと、を有し、第1当り面27aを引出方向側に設け、第1斜面を27bを収納方向側に設けたものである。 第1当り面27aは固定枠1のロック部材17の突出頭部17aに接触して、移動枠2の後方(引出方向)への移動を規制するものである。また、第1斜面27bは、移動枠2が前方(収納方向)へ移動する際に突出頭部17aに当接して、突出頭部17aを収納させるものである。つまり、第1斜面27bは、移動枠2を前方(収納方向)への移動する際に突出頭部17aが第1係止部材27をスムーズに乗り越えるように形成されている。
【0031】
また、第2係止部材28は、第2縦レール部材20,20の左右外側面から直角に突出する第2当り面28aと、第2縦レール部材20と第2当り面28aとに接する第2斜面28bと、を有し、第2当り面28aを収納方向側に設け、第2斜面28bを引出方向側に設けたものである。
第2当り面28aは固定枠1のロック部材17の突出頭部17aに接触して、移動枠2の前方(収納方向)への移動を規制するものである。また、第2斜面28bは、移動枠2が後方(引出方向)へ移動する際に突出頭部17aに当接して、突出頭部17aを収納させるものである。つまり、第2斜面28bは、移動枠2の後方(引出方向)へ移動する際に突出頭部17aが第2係止部材28をスムーズに乗り越えるように形成されている。
【0032】
図5は、台車群の実施の一例を示す側面図である。
台車3は、角パイプ状の部材で枠組みされた積載台部33と、積載台部33に枢着され固定枠1の第1縦レール部材10を転動する第1車輪31と、積載台部33に枢着され移動枠2の第2縦レール部材10を転動する第2車輪32と、を有している。
台車3は、第1車輪31が固定枠1の第1縦レール部材10の第1台車レール面10aを転動し、移動枠2の第2縦レール部材20の第2台車レール面20aに第2車輪32が転動して、台車3が固定枠1と移動枠2とを乗り換えて前後方向に往復可能なものである。即ち、台車3が後方(引出方向)へ走行自在に構成されているものである。
【0033】
図3に於て、第1車輪31と第2車輪32とは、同軸心状に設けられている。
第1車輪31は、左右内側方向に、第1縦レール部材10と第2縦レール部材20の間に入り込んで、第1縦レール部材10に当接し、台車3の左右方向の位置ズレ(移動)を防止する第1外鍔部31aを有している。
第2車輪32は、左右外側方向に、第2縦レール部材10と第2縦レール部材20の間に入り込んで、第2縦レール部材20に当接し、台車3の左右方向の位置ズレ(移動)を防止する第2外鍔部32aを有している。
【0034】
台車3は、前後方向に複数配設され、複数の台車3は、複数の群に区分けられるものである。各群は、隣合う台車3,3を相互に着脱自在に前後方向に連結する連結杆5を有している。連結杆5は、両端部に外鍔状の連結鍔部5aを有している。
【0035】
図7に台車3の連結状態を説明する図を示す。
各台車3は、隣合う台車3,3の前後方向に向かい合う面に、連結杆5が上方から落とし込んで差し込まれる上方開口状の連結受け部材34を、設けている。連結受け部材34は、上方開口状の細長状の切欠部34aが形成されている。また、軸心を前後方向にした状態の連結杆5の連結鍔部5aが連結受け部材34に差し込まれた状態で、連結鍔部5aが係止され、台車3と連結杆5を連結するものである。つまり、台車3は連結杆5を介して連結されるものである。
【0036】
また、台車3の各群に於て、連結杆5の少なくとも一個は、固定枠1の台車固定部材15に固定自在に螺着される接続杆部5bを有している。接続杆部5bは、固定枠1の台車固定部材15の細長状切欠部15aに差し込まれるねじ部5cを形成している。接続杆部5bは細長状切欠部15aに差し込まれナット部材によって、固定枠1の台車固定部材15に螺着され、固定されるものである。つまり、接続杆部5bは、複数の台車3が連結した台車群を固定枠1に固定するものである。
【0037】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、台車3の第1車輪31と第2車輪32と一体状に(一つの車輪として)設けても良い。また、台車3に、壁や横杆等に係止可能なフック部材を付設しても良い。また、固定枠1や移動枠2に、クレーンやワイヤー等で吊り持ちするための、引っ掛け部材を設けるのが望ましい。また、固定枠1は、荷台床Aaに限らず荷台の内側の側壁に固定しても良い。
【0038】
上述した本発明の荷物積載装置の使用方法(作用)について説明する。
収納状態では、移動枠2は、貨物車両Aの荷台床Aaに固着された固定枠1の左右一対の第1縦レール部材10,10の間に収納されている。移動枠2は、後方への移動を、図9に示すように固定枠1のロック部材17の突出頭部17aが移動枠2の第1係止部材27の第1当り面27aに当接することで規制される。また、前方への移動を、移動枠2の先端連結横枠部材23の先端面23aが固定枠1の弾性規制部材13aに当接することで規制されている。即ち、収納状態では、移動枠2は前後方向への移動が規制される。
【0039】
台車3は、4台の台車3が連結杆5によって連結され、3つの台車群に区分けられ、各群は、各群内の接続杆部5bを有する連結杆5によって、固定枠1の台車固定部材15に螺着されている。即ち、収納状態では、台車3は、固定枠1に固定され、前後方向への移動が規制される。
【0040】
そして、荷物を積載する際に、固定枠1のロック部材17の操作レバー17bを操作し、突出頭部17aを一旦収納させる。移動枠2の持ち手26を掴んで引くことで、移動枠2は後方に地面(荷台床Aa)に対して平行に手動で引き出される。移動枠2の移動ローラ30は第1縦レール部材10の引出レール面10bを走行する。また、ロック部材17は操作レバー17bの操作により、再び収納時の左右内方向へ弾発付勢される状態に戻る。
【0041】
移動枠2が後方へ移動する際に、台車3は、固定枠1に固定されているので、移動枠2に引きずられるように移動しない。また、ロック部材17の突出頭部17aは、図10に示すように、第2係止部材28の第2斜面28bに沿うよう接触し、操作レバー17bを操作しなくとも収納され、スムーズに第2係止部材28を乗り越える。乗り越えた突出頭部17aは、第2当り面28aに当接して移動枠2が前方(収納方向)に移動するのを規制するストッパーとなる。また、図8に示すように、移動枠2の弾性部材6が固定枠1の当り部材7に当接して引出長さを規制する。つまり、移動枠2は当り部材7によってさらに後方への移動を阻止される。また、固定枠1の支持ローラ16によって移動枠2が下方から支持され、傾倒してこじれることなくスムーズに引き出される。
【0042】
移動枠2の引出後に、移動枠2の後端2aに水平収納されていた支脚4を、螺退させる。すると、長さが短くなり係止金具29から抜き出される。支脚4は枢着軸心L周りに移動し、螺進退により長さ調節された後、地面に垂直起立状に立て掛けられる。支脚4は移動枠2の後端2aを支持し、後方引出状態の移動枠2を地面に平行な状態(水平状態)にする。
【0043】
ここで、固定枠1に、複数の台車3が4台を1群として3群に区切られ固定されている際は、先ず、後方側の台車群の接続杆部5bを固定枠1の台車固定部材15から螺脱させる。
後方側の台車群は固定枠1を走行する。そして、移動枠2に乗り移るよう走行する。台車群の台車3は、固定枠1を走行する際は、第1縦レール部材10を第1車輪31で走行すると共に、第1外鍔部31aが第1縦レール部材10の左右内側面に接触することで、左右方向の位置ズレ(脱線)を防止する。また、後方引出状態の移動枠2を走行する際は、第2縦レール部材を第2車輪32で走行すると共に、第2外鍔部32aが第2縦レール部材20の左右外側面に接触することで、左右方向の位置ズレ(脱線)を防止する。
【0044】
また、台車群が、引き出される際に、後方引出状態の移動枠2は、後方側への移動を、弾性部材6と、当り部材7とによって阻止される。また、前方側への移動を、ロック部材17と第2係止部材28によって阻止される。つまり、移動枠2は台車3に引きずられるように移動しない。
また、引き出される台車群の台車3は、移動枠2の後端2aの第2弾性制止部材24aによってさらに後方への移動を規制され移動枠2から脱落しない。
【0045】
引き出された台車群の各々の台車3を連結する連結杆5を連結受け部材34から上方へ取り外す。そして、個々の台車3は移動枠2から(台車群より軽いので容易に)降ろされる。次の台車群も移動され降ろされる。荷台の奥(前方)側にあった最後の台車群を引き出し、その台車群に積載すべき荷物を載せる。荷物を載せた台車群を前方(荷台の奥)側に移動させる。荷物を載せた台車群の台車3はスムーズに移動枠2から固定枠1に移動する。荷物を載せた台車群は、固定枠1の第1弾性制止部材14aに当接し、固定枠1から脱落することなく荷台の奥(前方)側にスムーズに平行移動し安全に収納される。荷物を載せた台車群は接続杆部5bを固定枠1の台車固定部材15に螺着されることで、固体枠1に確実に固定される。そして、移動枠2から降ろされた台車3を、移動枠2の後端2aに順次積載させ、連結杆5にて再び台車群とする。その後、台車群(台車3)に荷物を積載し、荷物を荷台に移動させ、順次整列収納させる。台車群は順次固定枠1に固定される。荷物を荷台に収納した後、支脚4は、移動枠2の後端2aに水平収納される。
【0046】
移動枠2を収納する際に、ロック部材17を操作して突出頭部17aを収納させ、移動枠2を前方(荷台の奥)へ移動させる。そして、ロック部材17の突出頭部17aが常時左右内側方向へ弾発付勢するように戻す。移動枠2は、手動によって固定枠1と台車3の間に収納される。ロック部材17の突出頭部17aは、第1係止部材27の第1斜面27bに沿って収納されながら第1係止部材27を乗り越える。移動枠2は、荷物の積載前と同様に、突出頭部17aが第1係止部材27の第1当り面27aに当接し移動枠2が後方へ移動するのを阻止されると共に、移動枠2の先端連結横枠部材23の先端面23aが固定枠1の弾性規制部材13aに当接することで前方への移動を規制(阻止)される状態で収納される。
【0047】
荷物を取り出す際も、移動枠2を引出した後、台車群を引き出すことで、容易に荷台の奥(前方側)から荷物が傾倒することなく安全かつスムーズに取り出される。
【0048】
以上のように、本発明は、貨物車両Aの後方へ手動にて引出自在な移動枠2を備えたので、モータ等の原動機を用いることなく、スムーズに積載すべき荷物を荷台から出し入れできる。また、荷物を引きずることなく安全に出し入れすることができる。また、荷台の奥(車両前方)側へ荷物を迅速かつ容易に移動させることができる。また、荷台の奥(車両前方)側から荷物を容易かつ迅速に引き出すことができる。
【0049】
また、貨物車両Aに固着された固定枠1と、貨物車両Aの後方へ手動にて引出自在として、固定枠1に前後方向へ移動自在に取付られた移動枠2と、固定枠1の第1縦レール部材10に転動可能な第1車輪31と移動枠2の第2縦レール部材20に転動可能な第2車輪32とを有する連結分離自在な複数の台車3とを、具備し、さらに、台車3は、第1車輪31が固定枠1の第1縦レール部材10を後方へ転動し、移動枠2の第2縦レール部材20に第2車輪32が転動して、台車3が後方へ走行自在に構成されているので、移動枠2をモータ等の原動機を用いることなく、容易に荷台から出し入れできると共に、荷物を載せる台車3を容易に出し入れできる。また、荷物を損傷させずに荷台に出し入れできる。また、荷物に合わせて台車3を自由な大きさに(積載面積を広く)できる。また、本発明の荷物積載装置は、特別な設置空間を必要とせず荷台に設置できる。また、荷物を引きずることなく第1・2縦レール部材10,20に沿って荷物を平行移動できる。荷物を荷台の奥(前方)側まで詰めるように整列収納できる。また、荷物を荷台の奥(前方)から容易に引き出せる。
【0050】
また、移動枠2が後方引出状態で地面に立ててその後端2aを支持する支脚4を、後端2aに水平収納・垂直起立可能に備えているので、移動枠2を長く引出しても傾倒することなく安全に荷物を載せることができる。また、引き出された移動枠2を水平状に保つことができる。また。支脚4を移動枠2と一体状に設けているので、容易かつ迅速に移動枠2の設置作業ができる。重量の重い荷物であっても移動枠2が歪む(傾倒する)ことなく水平状に保つことができる。
【0051】
また、複数の台車3は、複数群に区分けられ、各群に於て、上方から落とし込んで隣り合う台車3,3を相互に着脱自在に連結する連結杆5を有し、かつ、各群に於て連結杆5の内の少なくとも1個は、固定枠1に、固定自在であるので、貨物車両Aが走行中であっても台車3が移動せず荷物を安全に輸送できる。また、移動枠2のみを出し入れできる。つまり、移動枠2の設置後に安全に台車3を安全に出し入れできる。また、荷物の大きさに合わせて台車群を自由な大きさにできる。また、大きい台車群になっても各台車3に容易に分離でき、移動枠2からの積み下ろしが容易にできる。
【0052】
また、固定枠1と移動枠2の一方にはストッパー弾性部材6が設けられ、他方には、後方引出し状態で弾性部材6が当接して移動枠2のさらに後方への移動を阻止する当り部材7を備えているので、台車3の移動中や、荷物の積み下ろし中に、移動枠2がさらに後方へ移動するのを阻止でき、安全に作業できる。移動枠2を所定の引出長さで保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の荷物積載装置の実施の一形態を示す全体概略側面図である。
【図2】本発明の荷物積載装置の要部断面正面図である。
【図3】固定枠の実施の一例を示す平面図である。
【図4】移動枠の実施の一例を示す平面図である。
【図5】台車群の実施の一例を示す側面図である。
【図6】係止金具の実施の一例を示す正面図である。
【図7】台車の連結を説明する要部拡大説明図である。
【図8】要部拡大作用説明図である。
【図9】要部拡大作用説明図である。
【図10】要部拡大作用説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 固定枠
2 移動枠
2a 後端
3 台車
4 支脚
5 連結杆
6 弾性部材
7 当り部材
10 第1縦レール部材
20 第2縦レール部材
31 第1車輪
32 第2車輪
A 貨物車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物車両(A)の後方へ手動にて引出自在な移動枠(2)を備えたことを特徴とする荷物積載装置。
【請求項2】
貨物車両(A)に固着された固定枠(1)と、該貨物車両(A)の後方へ手動にて引出自在として、該固定枠(1)に前後方向へ移動自在に取付られた移動枠(2)と、上記固定枠(1)の第1縦レール部材(10)に転動可能な第1車輪(31)と上記移動枠(2)の第2縦レール部材(20)に転動可能な第2車輪(32)とを有する連結分離自在な複数の台車(3)とを、具備し、
さらに、上記台車(3)は、上記第1車輪(31)が上記固定枠(1)の上記第1縦レール部材(10)を後方へ転動し、上記移動枠(2)の上記第2縦レール部材(20)に上記第2車輪(32)が転動して、上記台車(3)が後方へ走行自在に構成されていることを特徴とする荷物積載装置。
【請求項3】
上記移動枠(2)が後方引出状態で地面に立ててその後端(2a)を支持する支脚(4)を、該後端(2a)に水平収納・垂直起立可能に備えている請求項1又は2記載の荷物積載装置。
【請求項4】
上記複数の台車(3)は、複数群に区分けられ、各群に於て、上方から落とし込んで隣り合う台車(3)(3)を相互に着脱自在に連結する連結杆(5)を有し、かつ、各群に於て上記連結杆(5)の内の少なくとも1個は、上記固定枠(1)に、固定自在である請求項2又は3記載の荷物積載装置。
【請求項5】
固定枠(1)と移動枠(2)の一方にはストッパー弾性部材(6)が設けられ、他方には、後方引出し状態で該弾性部材(6)が当接して移動枠(2)のさらに後方への移動を阻止する当り部材(7)を備えている請求項2,3又は4記載の荷物積載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−119945(P2009−119945A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293900(P2007−293900)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000110664)ナンカイ工業株式会社 (4)