荷物運搬車両
【課題】 例えば空港において、航空機の貨物室から手荷物受け取りカウンターまで乗客の荷物を運搬する荷物運搬車両において、荷室内を前後方向に移動可能に設けた移動荷台の扉が強風にあおられる等してばたついたり、不用意に閉じてしまわないようにして、荷下ろし作業等の効率化を図る。
【解決手段】 移動荷台20の扉24,25は、水平回動可能なヒンジドア構造とし、開放した後、その面方向に移動させて前壁部23に沿って格納可能な構成とする。
【解決手段】 移動荷台20の扉24,25は、水平回動可能なヒンジドア構造とし、開放した後、その面方向に移動させて前壁部23に沿って格納可能な構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば航空機の貨物室に積載した乗客の手荷物を旅客ターミナルビルまで搬送し、あるいはその逆に搬送する際に好適な荷物運搬車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、空港において航空機と旅客ターミナルビルとの間で乗客の手荷物を運搬する荷物運搬車両としては、一度に多数の手荷物等を運搬することを想定して箱形荷室を備えた大型の貨物車両が用いられている。
従来、例えば特開平10-175714号公報に開示されているように箱形荷室を備えた比較的大型の貨物車両については、荷物の積み下ろし時の利便性を考慮したものが種々提供されている。
【特許文献1】特開平10-175714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、少量の手荷物等を運搬する場合には、上記従来のような大型の貨物車両を用いることは不経済であることから、運搬量に見合った比較的小型の車両であって、主として航空機の貨物室と旅客ターミナルビルとの間において荷物の運搬作業に便利な車両が必要となる。
そこで、本発明は、従来の大型貨物車ではなく、例えばワンボックスカーやミニバン等の比較的小型の車両であって、主として空港において比較的少量の手荷物の運搬作業を効率よく行うことができる荷物運搬車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載した構成の荷物運搬車両とした。
請求項1記載の荷物運搬車両によれば、移動荷台を荷室の後側に移動させることにより、後部開口部を経てこの移動荷台上に荷物を積み込むことができる。移動荷台上に荷物を積み込んだ後、この移動荷台を荷室の前側に移動させる。これにより荷室の後側にさらに荷物を積み込むためのスペースを確保することができる。
車両を移動させた後、移動荷台に積み込んだ荷物を取り出す場合には、車体の側部開口部を経て移動荷台の扉を水平方向に回動させて開放し、次いでこの扉を前壁部に沿った位置に格納する。こうして扉を開放することにより、移動荷台の側壁部、車体の側部開口部を経て移動荷台上の荷物を取り出すことができ、また逆に移動荷台上に荷物を積み込むことができる。荷室の後部スペースに積み込んだ荷物は、車体の後部開口部を経て取り出すことができる。
このように荷物の積み下ろし時に、移動荷台の扉を前壁に沿って格納しておくことができるので、当該扉が強風を受けてばたつくことがなく、また不用意に閉じてしまうことがなく、従って荷物の積み下ろし作業を迅速かつ安全に行うことができる。
【0005】
このように荷物を積み込み、また運び出すことができる当該荷物運搬車両は、例えば航空機の貨物室に積み込まれた多数の手荷物を旅客ターミナルビルの荷物受け取りカウンターに運ぶ場合に好適に用いることができる。この場合、航空機の貨物室搬出口に当該荷物運搬車両の後部開口部を向けた状態に当該荷物運搬車両を接近させ、この位置で荷物を航空機の貨物室から移動荷台上に移載して積み込む。移動荷台及び移動荷台が荷室前側に移動したことにより発生する荷室後部の荷積みスペースに一定量の荷物を積み込んだ後、荷物運搬車両を移動して、旅客ターミナルビルの荷物受け取りカウンターに横付けする。
荷物受け取りカウンターに到着後、車体の側部開口部を経て移動荷台の扉を開放し、さらに当該扉を前壁部に沿って格納し、この状態で荷物を側部開口部を経て取り出すことができる。
このように、車両の後部から荷物を積み込み、側部から荷物を運び出す(あるいはその逆)必要がある場合に、車両側部のスライドドアと後部のリヤゲートを備えたワンボックスカーやミニバン等の比較的小型の車両を荷物運搬車両として利用することができる。
しかも、請求項1記載の荷物運搬車両によれば、前記したように移動荷台の扉を前壁に沿って格納しておくことにより強風の影響を受けることなく荷物の積み下ろし作業を迅速かつ安全に行うことができるので、特に強風が発生しやすい海岸沿いの空港あるいは港湾施設等における荷物の積み下ろし作業に好適に用いることができる。
請求項2記載の荷物運搬車両によれば、移動荷台の扉を開けた状態における移動荷台の不用意な移動を防止することができる。
【0006】
請求項3記載の荷物運搬車両によれば、作業台を後方へ引き出し、この作業台上で作業者が荷物に積み下ろし作業を行うことができる。
請求項4記載の荷物運搬車両によれば、作業台上の作業者の身長差を吸収して積み込み、積み下ろし作業を効率よく行うことができる。また、段差部に上って作業を行うことにより、当該段差部の高さ分だけ航空機の貨物室内の高い部位に対して荷物の積み込み、積み下ろし作業を楽に行うことができる。
請求項5記載の荷物運搬車両によれば、固定式の補助ステップを中間踏み台として利用することにより作業台上へ楽に乗り上がることができ、また作業台から楽に下りることができる。
請求項6記載の荷物運搬車両によれば、荷室スペースを犠牲にすることなく、後部開口部を航空機の貨物搬出入口に接近させることができ、これにより荷物に積み下ろし等の作業を効率よく行うことができる。
請求項7記載の荷物運搬車両によれば、当該荷物運搬車両を後退させて、その後部開口部を例えば航空機の貨物搬出入口に接近させる場合に、開口壁部が干渉することによる航空機の機体の損傷等を未然に防止することができる。
請求項8記載の荷物運搬車両によれば、フードを後部開口部付近の雨よけあるいは日よけとして用いることにより荷物の積み下ろし作業を効率よく行うことができる。フードは蛇腹式であるので、不使用時には畳んで格納しておくことができ、これにより車両走行時等において当該フードのばたつき等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施の形態を図1〜図11に基づいて説明する。図5及び図6は、本実施形態の荷物運搬車両1の全体を示している。本実施形態では、この荷物運搬車両1は、その使用形態の一例とし航空機の貨物室Pに積み込まれた乗客の手荷物を旅客ターミナルビルの手荷物カウンターまで搬送し、あるいはその逆に乗客の手荷物をまとめて航空機の貨物室Pまで運び込む手荷物運搬用の車両として用いられる場合を例示する。
この荷物運搬車両1は、いわゆるワンボックスカー(又はミニバン)等の箱形車両であり、車体Bの内部に荷室12を備えるとともに、この荷室12に対して荷物の積み下ろしを行うための後部の開口部2と左右両側部の開口部3,4を備えている。後部開口部2は、シャッター6により開閉される。このシャッター6は、後部開口部2を開放したとき車両ルーフ5に搭載した格納ケース6a内に格納される。シャッター6を開放した状態が図1〜図3に示され、閉じた状態が図4に示されている。
図示するようにこのシャッター6は、後述する左右の開口壁部40,41間において垂直ではなくやや後方へ傾斜した方向に沿って開閉される。これにより荷室12の荷室フロア13付近の荷積みスペースが大きく確保されるようになっている。
【0008】
左右の開口部3,4は、それぞれスライドドア7,8によって開閉される。この左右のスライドドア7,8は、車体Bの側部に沿って前後に移動させてドア開口部3,4を開閉するもので、通常この種のワンボックスカーに装備されるものと同様であり、本実施形態において特に変更を要しない。
車室内前部には、運転席10と助手席11が配置されており、これらの後方のスペースが荷室12とされている。この荷室12は、上記後部開口部2と左右のドア開口部3,4によって開放される。この荷室12内に、移動荷台20が車両前後方向に沿って移動可能に設けられている。この移動荷台20の詳細が図1及び図2に示されている。
移動荷台20は、荷室12の底部を区画する車両フロア(荷室フロア13)に沿って前後に移動可能に設けられた平板形状の底部26と、この底部26の上面に固定した門形に枠組みされた荷台フレーム21と、荷台フレーム21の前部に沿って設けた主として荷崩れ防止用の前壁部23と、荷台フレーム21の左右側部に設けた扉24,25を備えている。
底部26の幅(車幅方向の長さ)は、荷室フロア13の幅ほぼ一杯の幅に設定されている。また、この底部26の長さ(車両前後方向の長さ)は、荷室フロア13の長さ(車両前後方向の長さ)の概ね半分程度の寸法に設定されている。
【0009】
この底部26の支持構造及び駆動機構については、従来公知の構成のものが用いられている。従って、その詳細な説明は省略するが、この底部26は、荷室フロア13の左右側部に沿って設けたガイドレール22,22間に配置されて、車幅方向にほぼがたつきのない状態で車両前後方向にスムーズに移動するように支持されている。また、この底部26ひいては当該移動荷台20は、荷室フロア13と底部26との間に介装した電動モータ26a,26aを駆動源とするチェーン駆動機構により荷室フロア13上を車両前側(図2中白抜きの矢印で示す方向)に移動し、また車両後側に移動する。図1では、移動荷台20が車両前側の「荷下ろし位置」に移動した状態が示され、図2では移動荷台20が車両後側の「荷積み位置」に移動した状態が示されている。また、図6では、チェーン駆動機構のうち電動モータ26a,26aのみが示されている。
上記チェーン駆動機構における電動モータの起動、停止、回転方向等については、図示省略した制御装置によって制御される。また、移動荷台20の荷下ろし位置及び荷積み位置は図示省略したセンサによって検知され、このセンサが出力する信号に基づいて上記チェーン駆動機構の作動方向が上記制御装置によって適切に制御される。さらに、図示は省略したが、当該荷物運搬車両1の運転席10付近、助手席11付近及び後部開口部2付近には操作スイッチが配置されており、この操作スイッチを操作することによって移動荷台20を任意の方向に移動操作することができる。
【0010】
以上のように荷室フロア13上に支持された底部26の前部であって荷台フレーム21の前面に、主として荷崩れ防止用の前壁部23が当該底部26の前部に沿って上方へ起立する状態に設けられている。この前壁部23には、多数の小径孔が打ち抜かれた鋼板(いわゆるパンチングメタル)が用いられている。
荷台フレーム21の左右側部には、いわゆるヒンジドア構造の扉24,25が設けられている。この扉24,25は、当該移動荷台20の左右の荷台開口部24a,25aを開閉するもので、かつ開放した状態では前壁部23に沿って格納することができる。この左右の扉24,25の荷台フレーム21に対する支持構造が図7に示されている。図7は、運転席側から前壁部23の裏面側を見た状態を示している。従って、図7では、左右が逆になっている。以下、図7において右側に示す扉24を左扉24といい、左側に示す扉25を右扉25という。
左右の扉24,25は、それぞれの車両前側の端部に取り付けた3個のヒンジ24b〜24b、25b〜25b及び下記の直動ユニット27〜27,28〜28を介して移動フレーム21に水平方向に回動可能に支持されている。合計6個のヒンジ24b〜24b、25b〜25bは、それぞれ直動ユニット27,28のスライダ27a,28aに取り付けられている。直動ユニット27,28は、従来公知のもので、レール体27b,28bに多数の鋼球を介在させてスライダ27a,28aを極めて小さな抵抗でがたつきなくスムーズにスライド可能に支持したもので、本実施形態では比較的薄型かつ長尺なものが用いられている。図示するようにこの合計6本の直動ユニット27〜27,28〜28が、前壁部23の裏面に車幅方向に沿って相互に平行に取り付けられている。
【0011】
このため、左右の扉24,25は、水平方向にほぼ90°回動して荷台フレーム21の左右開口部24a,25aを開放した状態から、そのまま面方向に移動させて前面壁23の裏面側に沿って格納することができる。図7では、前壁部23の裏面に沿って格納された左側扉24が二点鎖線で示されている。なお、本実施形態では、左右の扉24,25を前壁部23に沿って同時には格納できない構造になっているが、左扉24用の直動ユニット27〜27と右扉25用の直動ユニット28〜28を車両前後方向にずらしてそれぞれの格納スペースを設定することにより前壁部23の裏面側に左右同時に格納可能な構成とすることができる。
このように当該移動荷台20の左右の開口部24a,25aを開閉する扉24,25がそれぞれほぼ90°水平に回動して開口部24a,25aを開放した状態から、前壁部23に沿って格納することができる。これによれば、扉24,25を開放して開口部24a,25aを経て荷物の積み下ろし作業を行う際に、開放した扉24,25が強風にあおられてばたついたり、不用意に閉じてしまうことがないため、作業を迅速かつ安全に行うことができる。
また、両扉24,25の閉じ状態は、図示省略したセンサによって検知されるようになっている。前記電動モータ26a,26aは、両扉24,25が閉じられてこのセンサがオン信号を出力している状態でのみ起動するように前記制御装置によって動作制御されている。これにより、一方若しくは双方の扉24,25が開放された状態では、電動モータ26a,26aは起動しないため、移動荷台20の不用意な移動動作が防止される。
【0012】
次に、後部開口部2の下部には、荷室フロア13よりも一段低い補助フロア14が設けられている。荷室フロア13と補助フロア14の間の段差面(立て壁部)に平板形状を有する引き出し式の作業台30が装備されている。この作業台30は、その面方向に移動させることにより、荷室フロア13の下方に沿って設けた格納凹部31内に格納することができる。図1は、この作業台30を格納凹部31内に格納した状態を示し、図2は取り出した状態を示している。作業台30は、格納凹部31から取り出すと、後部開口部2の下部から後方へ張り出した状態となる。取り出した作業台30上に作業者Hが乗り上がって荷物の積み下ろし作業を行うことができる。
この作業台30は、図示省略したストッパ機構により格納位置及び完全取り出し位置を含めて車両前後方向の4箇所で移動不能に固定することができる。図1〜図3に示すように作業台30の後面には、ロック解除レバー33,33が設けられている。両ロック解除レバー33,33を把持して回転させることにより、上記ストッパ機構による作業台30の固定状態を解除することができ、これにより当該作業台30を任意に位置に移動させることができる。両ロック解除レバー33,33を解除操作しない状態で、作業台30を移動させると、当該作業台30は直近の固定位置で移動不能にロックされる。このように作業台30はストッパ機構により移動不能にロックされるので、乗り上がった作業者Hがふらつくことがなく、また車両走行中に不用意に移動することがない。
この作業台30には、いわゆるエキスパンドメタルが用いられて、作業時の滑り止めがなされ、また雨水等が貯まらないようになっている。
【0013】
作業台30の後部には、一段高い段差部32が設けられている。この段差部32上に乗り上がることにより作業者Hの身長差を吸収し、あるいは航空機Pの貨物室Paの高さのばらつきを吸収することができ、また貨物室P内のより高い部位に対する作業を楽に行うことができる。図5及び図6に示すようにこの段差部32の前後には、衝撃吸収用のプロテクタ32a,32aが取り付けられている。本実施形態では、このプロテクタ32a,32aに、断面D形を有する弾性ゴムが用いられている。
段差部32の上面は、移動荷台20の底部26の上面に対してほぼ面一になる高さに設定されている。これにより作業台30を格納した状態では、この段差部32を底部26と面一な荷物積み込みスペースとして利用することができる。
上記収納式の作業台30の下側には、固定式の補助ステップ35が設けられている。この補助ステップ35は、車体後面の下部から後方へ張り出す状態に固定して設けられている。この補助ステップ35の後方への張り出し幅は、作業者Hが足を載せるのに必要かつ十分な寸法に設定されている。作業者Hは、この補助ステップ35を利用して作業台30上に乗り上がることができ、逆に作業台30上から下りることができるので、作業を安全かつ楽に行うことができる。
【0014】
次に、後部開口部2の左右側部には、開口壁部40,41が設けられている。両開口壁部40,41は、相互に平行に後方へ張り出している。本実施形態の場合、両開口壁部40,41の張り出し寸法は、概ね上記補助フロア14の張り出し寸法に揃えられている。両開口壁部40,41の上部は、後方へ下傾する方向に傾斜している。両開口壁部40,41のそれぞれの両面(内側と外側)には、作業者Hが把持するための取っ手40a,41aが取り付けられいる。上記作業台30への乗降、あるいは荷室12内への乗り込み時に作業者Hがこの取っ手40a,41aを利用することにより楽に上り下りすることができる。図1,2,4では取っ手40a,41aの図示が省略されている。
前記したように、シャッター6はこの左右の開口壁部40,41間に支持されて開閉される。このことから、両開口壁部40,41はシャッター枠としても機能している。
また、この左右の開口壁部40,41は、補助フロア14の左右壁部として位置することにより、後部開口部2付近の横風を遮る機能を有している。
左右の開口壁部40,41の後端部には、衝撃吸収用のプロテクタ40b,41bが取り付けられている。左右の開口壁部40,41の後端に沿ってプロテクタ40b,41bを取り付けておくことにより、当該車両1を後退させて例えば航空機Pの機体に接近させる場合に機体の損傷を低減することができる。本実施形態では、このプロテクタ40b,41bに断面D形の弾性ゴムが用いられている。図1〜図4では、このプロテクタ40b,41bの図示が省略されている。
また、後部開口部2の上部であって、シャッター6の格納ケース6aの後部には、バックモニタカメラ52が装備されている。このバックモニタカメラ52により、運転席10等において後部開口部2付近での作業状態等を監視することができる。また、運転者は、このバックモニタカメラ52により、車両後退時における後方の障害物の確認、あるいは航空機の位置を確認することができる。
【0015】
以上のように構成した本実施形態の荷物運搬車両1によれば、例えば空港において、航空機Pの貨物室Paに積み込んだ乗客の手荷物を積み込んで旅客ターミナルビルの荷物受け取りカウンターへ運搬する作業を効率よく行うことができる。
すなわち、図1及び図5に示すように当該荷物運搬車両1を後退させて、その後部開口部2を航空機Pの貨物室Paに向けた状態に停止させる。次に、シャッター6を上方へ開けて後部開口部2を開放するとともに、左右のロック解除レバー33,33をアンロック操作して作業台30を取り出す。
次に、図示省略した操作スイッチを操作して電動モータ26a,26aを起動させて、移動荷台20を荷室12の後側の荷積み位置に移動させる。この段階では、移動荷台20の左右の扉24,25は閉じられている。移動荷台20が荷積み位置に移動すると、荷室12の後ろ側半分のスペースに、底部26と前壁部23と左右の扉24,25により囲われた荷積みスペースが形成される。使用位置に取り出した作業台30上に作業者Hが乗り上がって、航空機Pの貨物室Paから順次荷物をこの荷積みスペースに移載する。
移動荷台20に適量の荷物を積み込んだ後、操作スイッチを操作して移動荷台20を荷室12の前側の荷下ろし位置に移動させる。この段階で、前壁部23と左右の扉24,25が底部26と一体で荷室12の前側に移動するので、底部26上に積み込んだ荷物が荷崩れを起こすことはない。
移動荷台20が荷下ろし位置に移動されると、荷室12の後側半分に新たな荷積みスペースが発生する。作業者Hは、この荷積みスペースに荷物をさらに積み込むことができる。こうして荷室12に十分な荷物を積み込んだ後、左右のロック解除レバー33,33をアンロック操作して作業台30を格納凹部31内に格納し、次いでシャッター6を下げて後部開口部2を閉じる。
【0016】
こうして荷室12への荷物の積み込み作業が完了したら当該荷物運搬車両1を走行させて旅客ターミナルビルの荷物受け取りカウンターへ移動する。荷物受け取りカウンターでは、先ず左側のスライドドア7(車両の右側から荷下ろしする場合は、右側のスライドドア8)を開いて、左側のドア開口部3を開放する。
次に、図1中白抜きの矢印Aで示すように移動荷台20の左側の扉24を水平方向前側へ約90°回動させる。これにより移動荷台20の左側の開口部24aが開放される。ここで、左側の扉24は図1中白抜きの矢印Bで示すようにさらにその面方向に沿って移動させることにより前壁部23の裏面側に格納することができる。
以上で、移動荷台20の左側の開口部24aが開放され、これにより移動荷台20上に積み込んだ荷物をドア開口部3及び開口部24aを経て取り出すことができる。この作業中、開放した左側の扉24は前壁部23の裏面側に沿って格納されていることから、この扉24が強風にあおられてばたついたり、不用意に閉じてしまうことがなく、これにより荷下ろし作業を迅速かつ安全に行うことができる。
また、右側の扉25を前壁部23の裏面側に格納する必要がなければ、当該右側25の扉25も開放して、左右両側から荷下ろし作業を行うことができ、一層迅速に荷下ろし作業を進めることができる。なお、右側の扉25を前壁部23の裏面側に格納して、左側の扉24を約90°回動させた位置に保持して両側で荷下ろし作業をすることもできる。
【0017】
このように本実施形態の荷物運搬車両1によれば、当該車両1の後部から荷物を積み込み、側部から荷物を運び出す形態の運搬作業を行う場合に、移動荷台20を荷室12の前部と後部との間を移動させることができるので、効率よく運搬作業を行うことができる。しかも、移動荷台20の両側方には開放可能な扉24,25が位置しているので、底部26上に積み込んだ荷物の荷崩れを心配することなく、底部26の幅いっぱいに荷物を積み込むことができる。また、底部26の前部には前壁部23が一体に設けられているので、荷物が前方へ荷崩れすることもない。
また、移動荷台20の左右の扉24,25は、約90°前側に水平回動して開口部24a,25aを開放した後、それぞれその面方向に移動させることにより前壁部23の裏面側に沿って格納することができる。このため、移動荷台20からの荷下ろし作業あるいは移動荷台20への荷積み作業時において、強風にあおられて扉24,25がばたついたり、不用意に閉じてしまうことを防止することができ、これによりこの種の作業を迅速かつ安全に行うことができる。
さらに、例示した荷物運搬車両1は、その後部開口部2の下部に引き出し式の作業台30を備えている。この作業台30に乗り上がることにより、航空機Pの貨物室Paに対して荷物の積み込み作業及び積み下ろし作業を効率よく楽に行うことができる。また、この作業台30には一段高い段差部32が設けられている。この段差部32によれば、作業者Hの伸長差を貨物室Pの高さのばらつきを吸収することができ、この点でも効率のよい作業を行うことができる。
作業台30の下方には、補助ステップ35が設けられている。この補助ステップ35を利用することにより、作業台30への乗降を楽に行うことができる。
また、後部開口部2の左右側部に沿って開口壁部40,41が後方へ張り出す状態に設けられている。この左右の開口壁部40,41によれば、補助フロア14上に吹き付けられる強風を遮ることができ、この点で作業性を高めることができる。この左右の開口壁部40,41の上部は、後側に下傾する方向に傾斜した状態(上角部を斜めに欠落させた形状)に設けられている。このため、図5に示すように当該開口壁部40,41の干渉を回避しつつ、荷物運搬車両1を航空機Pの貨物室Paにより接近させることができ、これにより荷物の積み下ろし作業の作業性を高めることができる。
【0018】
以上説明した実施形態には、種々変更を加えることができる。例えば、図8〜図11に示すように後部開口部2の上部に蛇腹形式のフード50を装備した構成とすることができる。この場合、図8に示すように左右の開口壁部40,41の後端傾斜部間に跨ってフード50を取り付けておくことにより、シャッター6の開閉機能及び作業台30の取り出し、格納機能を損なうことなく、補助フロア14及び作業台30上の雨よけとして用いることができ、これにより荷物を雨にぬらすことなく、その荷室12への積み込み、積み下ろし作業を行うことができる。また、このフード50は日よけとしても用いることができる。図9に示すようにフード50は折り畳んでおくことにより、車両走行中等においてばたつくことはない。
このフード50は作業者Hの手動操作により開閉して雨よけや日よけとして用いる場合の他、例えば図10に示すように当該フード50を開いた状態で荷物運搬車両1を航空機Pの貨物室Paに向けて後退させる際に、図11に示すように当該フード50の開き側端部が航空機Pに当接してそのまま適度な開き角度まで折り畳まれる。このフード50の開き側端部にも、衝撃吸収用のプロテクタ51(弾性ゴム)を取り付けておくことにより、航空機Pに対する傷つきを防止することができる。
また、以上説明した実施形態では、後部開口部2から荷物を積み込んで、側部のドア開口部3から荷物を運び出す場合を例示したが、逆に、ドア開口部3(又は4)から荷物を積み込んで、後部開口部2から荷物を運び出す場合にも同様に適用することができる。
さらに、空港において、航空機Pの貨物室Paと旅客ターミナルビルの荷物受け取りカウンターとの間で乗客の手荷物を運搬する作業に用いる荷物運搬車両1を例示したが、これに限らず、機内食や機内備品等その他の物品の運搬作業に用いることができ、また航空機Pに限らずその他の車両や建造物等に対して物品を運搬する場合に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る荷物運搬車両の後部及び移動荷台の斜視図である。本図は、移動荷台が荷下ろし位置に位置する状態を示している。
【図2】本発明の実施形態に係る荷物運搬車両の後部及び移動荷台の斜視図である。本図は、移動荷台が荷積み位置に位置する状態を示している。
【図3】本発明の実施形態に係る荷物運搬車両の後部の斜視図である。本図は、シャッターが開けられて後部開口部が開放され、また作業台が使用位置に取り出された状態を示している。
【図4】本発明の実施形態に係る荷物運搬車両の後部の斜視図である。本図は、シャッターが閉じられた状態を示している。
【図5】本発明の実施形態に係る荷物運搬車両の全体側面図である。本図は、荷物運搬車両の後部開口部が航空機の貨物室に向けられた状態を示している。
【図6】本発明の実施形態に係る荷物運搬車両の全体平面図である。
【図7】移動荷台の前壁部を運転席側から見た裏面図である。
【図8】後部開口部にじゃばら形式のフードを取り付けた場合における荷物運搬車両後部の斜視図である。本図は、フードを開いた状態を示している。
【図9】後部開口部にじゃばら形式のフードを取り付けた場合における荷物運搬車両全体の側面図である。本図は、フードを折り畳んだ状態を示している。
【図10】じゃばら式フードを取り付けた荷物運搬車両を航空機の貨物室に接近させた状態を示す側面図である。本図は、フードが全開した状態を示している。
【図11】じゃばら式フードを取り付けた荷物運搬車両を航空機の貨物室に接近させた状態を示す側面図である。本図は、フードの開き側端部が航空機に当接して折り畳まれた状態を示している。
【符号の説明】
【0020】
P…航空機、Pa…貨物室
B…車体
H…作業者
1…荷物運搬車両
2…後部開口部
6…シャッター
12…荷室
20…移動荷台
23…前壁部
24…左扉(車両左側)、24a…ヒンジ
25…右扉(車両右側)、25b…ヒンジ
26…底部
27…直動ユニット(左扉用)
28…直動ユニット(右扉用)
30…作業台(引き出し式)
31…格納凹部
32…段差部、32a…プロテクタ
33…ロック解除レバー
35…補助ステップ
40,41…開口壁部
50…フード(じゃばら式)
52…バックモニタカメラ
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば航空機の貨物室に積載した乗客の手荷物を旅客ターミナルビルまで搬送し、あるいはその逆に搬送する際に好適な荷物運搬車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、空港において航空機と旅客ターミナルビルとの間で乗客の手荷物を運搬する荷物運搬車両としては、一度に多数の手荷物等を運搬することを想定して箱形荷室を備えた大型の貨物車両が用いられている。
従来、例えば特開平10-175714号公報に開示されているように箱形荷室を備えた比較的大型の貨物車両については、荷物の積み下ろし時の利便性を考慮したものが種々提供されている。
【特許文献1】特開平10-175714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、少量の手荷物等を運搬する場合には、上記従来のような大型の貨物車両を用いることは不経済であることから、運搬量に見合った比較的小型の車両であって、主として航空機の貨物室と旅客ターミナルビルとの間において荷物の運搬作業に便利な車両が必要となる。
そこで、本発明は、従来の大型貨物車ではなく、例えばワンボックスカーやミニバン等の比較的小型の車両であって、主として空港において比較的少量の手荷物の運搬作業を効率よく行うことができる荷物運搬車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明は、特許請求の範囲の各請求項に記載した構成の荷物運搬車両とした。
請求項1記載の荷物運搬車両によれば、移動荷台を荷室の後側に移動させることにより、後部開口部を経てこの移動荷台上に荷物を積み込むことができる。移動荷台上に荷物を積み込んだ後、この移動荷台を荷室の前側に移動させる。これにより荷室の後側にさらに荷物を積み込むためのスペースを確保することができる。
車両を移動させた後、移動荷台に積み込んだ荷物を取り出す場合には、車体の側部開口部を経て移動荷台の扉を水平方向に回動させて開放し、次いでこの扉を前壁部に沿った位置に格納する。こうして扉を開放することにより、移動荷台の側壁部、車体の側部開口部を経て移動荷台上の荷物を取り出すことができ、また逆に移動荷台上に荷物を積み込むことができる。荷室の後部スペースに積み込んだ荷物は、車体の後部開口部を経て取り出すことができる。
このように荷物の積み下ろし時に、移動荷台の扉を前壁に沿って格納しておくことができるので、当該扉が強風を受けてばたつくことがなく、また不用意に閉じてしまうことがなく、従って荷物の積み下ろし作業を迅速かつ安全に行うことができる。
【0005】
このように荷物を積み込み、また運び出すことができる当該荷物運搬車両は、例えば航空機の貨物室に積み込まれた多数の手荷物を旅客ターミナルビルの荷物受け取りカウンターに運ぶ場合に好適に用いることができる。この場合、航空機の貨物室搬出口に当該荷物運搬車両の後部開口部を向けた状態に当該荷物運搬車両を接近させ、この位置で荷物を航空機の貨物室から移動荷台上に移載して積み込む。移動荷台及び移動荷台が荷室前側に移動したことにより発生する荷室後部の荷積みスペースに一定量の荷物を積み込んだ後、荷物運搬車両を移動して、旅客ターミナルビルの荷物受け取りカウンターに横付けする。
荷物受け取りカウンターに到着後、車体の側部開口部を経て移動荷台の扉を開放し、さらに当該扉を前壁部に沿って格納し、この状態で荷物を側部開口部を経て取り出すことができる。
このように、車両の後部から荷物を積み込み、側部から荷物を運び出す(あるいはその逆)必要がある場合に、車両側部のスライドドアと後部のリヤゲートを備えたワンボックスカーやミニバン等の比較的小型の車両を荷物運搬車両として利用することができる。
しかも、請求項1記載の荷物運搬車両によれば、前記したように移動荷台の扉を前壁に沿って格納しておくことにより強風の影響を受けることなく荷物の積み下ろし作業を迅速かつ安全に行うことができるので、特に強風が発生しやすい海岸沿いの空港あるいは港湾施設等における荷物の積み下ろし作業に好適に用いることができる。
請求項2記載の荷物運搬車両によれば、移動荷台の扉を開けた状態における移動荷台の不用意な移動を防止することができる。
【0006】
請求項3記載の荷物運搬車両によれば、作業台を後方へ引き出し、この作業台上で作業者が荷物に積み下ろし作業を行うことができる。
請求項4記載の荷物運搬車両によれば、作業台上の作業者の身長差を吸収して積み込み、積み下ろし作業を効率よく行うことができる。また、段差部に上って作業を行うことにより、当該段差部の高さ分だけ航空機の貨物室内の高い部位に対して荷物の積み込み、積み下ろし作業を楽に行うことができる。
請求項5記載の荷物運搬車両によれば、固定式の補助ステップを中間踏み台として利用することにより作業台上へ楽に乗り上がることができ、また作業台から楽に下りることができる。
請求項6記載の荷物運搬車両によれば、荷室スペースを犠牲にすることなく、後部開口部を航空機の貨物搬出入口に接近させることができ、これにより荷物に積み下ろし等の作業を効率よく行うことができる。
請求項7記載の荷物運搬車両によれば、当該荷物運搬車両を後退させて、その後部開口部を例えば航空機の貨物搬出入口に接近させる場合に、開口壁部が干渉することによる航空機の機体の損傷等を未然に防止することができる。
請求項8記載の荷物運搬車両によれば、フードを後部開口部付近の雨よけあるいは日よけとして用いることにより荷物の積み下ろし作業を効率よく行うことができる。フードは蛇腹式であるので、不使用時には畳んで格納しておくことができ、これにより車両走行時等において当該フードのばたつき等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施の形態を図1〜図11に基づいて説明する。図5及び図6は、本実施形態の荷物運搬車両1の全体を示している。本実施形態では、この荷物運搬車両1は、その使用形態の一例とし航空機の貨物室Pに積み込まれた乗客の手荷物を旅客ターミナルビルの手荷物カウンターまで搬送し、あるいはその逆に乗客の手荷物をまとめて航空機の貨物室Pまで運び込む手荷物運搬用の車両として用いられる場合を例示する。
この荷物運搬車両1は、いわゆるワンボックスカー(又はミニバン)等の箱形車両であり、車体Bの内部に荷室12を備えるとともに、この荷室12に対して荷物の積み下ろしを行うための後部の開口部2と左右両側部の開口部3,4を備えている。後部開口部2は、シャッター6により開閉される。このシャッター6は、後部開口部2を開放したとき車両ルーフ5に搭載した格納ケース6a内に格納される。シャッター6を開放した状態が図1〜図3に示され、閉じた状態が図4に示されている。
図示するようにこのシャッター6は、後述する左右の開口壁部40,41間において垂直ではなくやや後方へ傾斜した方向に沿って開閉される。これにより荷室12の荷室フロア13付近の荷積みスペースが大きく確保されるようになっている。
【0008】
左右の開口部3,4は、それぞれスライドドア7,8によって開閉される。この左右のスライドドア7,8は、車体Bの側部に沿って前後に移動させてドア開口部3,4を開閉するもので、通常この種のワンボックスカーに装備されるものと同様であり、本実施形態において特に変更を要しない。
車室内前部には、運転席10と助手席11が配置されており、これらの後方のスペースが荷室12とされている。この荷室12は、上記後部開口部2と左右のドア開口部3,4によって開放される。この荷室12内に、移動荷台20が車両前後方向に沿って移動可能に設けられている。この移動荷台20の詳細が図1及び図2に示されている。
移動荷台20は、荷室12の底部を区画する車両フロア(荷室フロア13)に沿って前後に移動可能に設けられた平板形状の底部26と、この底部26の上面に固定した門形に枠組みされた荷台フレーム21と、荷台フレーム21の前部に沿って設けた主として荷崩れ防止用の前壁部23と、荷台フレーム21の左右側部に設けた扉24,25を備えている。
底部26の幅(車幅方向の長さ)は、荷室フロア13の幅ほぼ一杯の幅に設定されている。また、この底部26の長さ(車両前後方向の長さ)は、荷室フロア13の長さ(車両前後方向の長さ)の概ね半分程度の寸法に設定されている。
【0009】
この底部26の支持構造及び駆動機構については、従来公知の構成のものが用いられている。従って、その詳細な説明は省略するが、この底部26は、荷室フロア13の左右側部に沿って設けたガイドレール22,22間に配置されて、車幅方向にほぼがたつきのない状態で車両前後方向にスムーズに移動するように支持されている。また、この底部26ひいては当該移動荷台20は、荷室フロア13と底部26との間に介装した電動モータ26a,26aを駆動源とするチェーン駆動機構により荷室フロア13上を車両前側(図2中白抜きの矢印で示す方向)に移動し、また車両後側に移動する。図1では、移動荷台20が車両前側の「荷下ろし位置」に移動した状態が示され、図2では移動荷台20が車両後側の「荷積み位置」に移動した状態が示されている。また、図6では、チェーン駆動機構のうち電動モータ26a,26aのみが示されている。
上記チェーン駆動機構における電動モータの起動、停止、回転方向等については、図示省略した制御装置によって制御される。また、移動荷台20の荷下ろし位置及び荷積み位置は図示省略したセンサによって検知され、このセンサが出力する信号に基づいて上記チェーン駆動機構の作動方向が上記制御装置によって適切に制御される。さらに、図示は省略したが、当該荷物運搬車両1の運転席10付近、助手席11付近及び後部開口部2付近には操作スイッチが配置されており、この操作スイッチを操作することによって移動荷台20を任意の方向に移動操作することができる。
【0010】
以上のように荷室フロア13上に支持された底部26の前部であって荷台フレーム21の前面に、主として荷崩れ防止用の前壁部23が当該底部26の前部に沿って上方へ起立する状態に設けられている。この前壁部23には、多数の小径孔が打ち抜かれた鋼板(いわゆるパンチングメタル)が用いられている。
荷台フレーム21の左右側部には、いわゆるヒンジドア構造の扉24,25が設けられている。この扉24,25は、当該移動荷台20の左右の荷台開口部24a,25aを開閉するもので、かつ開放した状態では前壁部23に沿って格納することができる。この左右の扉24,25の荷台フレーム21に対する支持構造が図7に示されている。図7は、運転席側から前壁部23の裏面側を見た状態を示している。従って、図7では、左右が逆になっている。以下、図7において右側に示す扉24を左扉24といい、左側に示す扉25を右扉25という。
左右の扉24,25は、それぞれの車両前側の端部に取り付けた3個のヒンジ24b〜24b、25b〜25b及び下記の直動ユニット27〜27,28〜28を介して移動フレーム21に水平方向に回動可能に支持されている。合計6個のヒンジ24b〜24b、25b〜25bは、それぞれ直動ユニット27,28のスライダ27a,28aに取り付けられている。直動ユニット27,28は、従来公知のもので、レール体27b,28bに多数の鋼球を介在させてスライダ27a,28aを極めて小さな抵抗でがたつきなくスムーズにスライド可能に支持したもので、本実施形態では比較的薄型かつ長尺なものが用いられている。図示するようにこの合計6本の直動ユニット27〜27,28〜28が、前壁部23の裏面に車幅方向に沿って相互に平行に取り付けられている。
【0011】
このため、左右の扉24,25は、水平方向にほぼ90°回動して荷台フレーム21の左右開口部24a,25aを開放した状態から、そのまま面方向に移動させて前面壁23の裏面側に沿って格納することができる。図7では、前壁部23の裏面に沿って格納された左側扉24が二点鎖線で示されている。なお、本実施形態では、左右の扉24,25を前壁部23に沿って同時には格納できない構造になっているが、左扉24用の直動ユニット27〜27と右扉25用の直動ユニット28〜28を車両前後方向にずらしてそれぞれの格納スペースを設定することにより前壁部23の裏面側に左右同時に格納可能な構成とすることができる。
このように当該移動荷台20の左右の開口部24a,25aを開閉する扉24,25がそれぞれほぼ90°水平に回動して開口部24a,25aを開放した状態から、前壁部23に沿って格納することができる。これによれば、扉24,25を開放して開口部24a,25aを経て荷物の積み下ろし作業を行う際に、開放した扉24,25が強風にあおられてばたついたり、不用意に閉じてしまうことがないため、作業を迅速かつ安全に行うことができる。
また、両扉24,25の閉じ状態は、図示省略したセンサによって検知されるようになっている。前記電動モータ26a,26aは、両扉24,25が閉じられてこのセンサがオン信号を出力している状態でのみ起動するように前記制御装置によって動作制御されている。これにより、一方若しくは双方の扉24,25が開放された状態では、電動モータ26a,26aは起動しないため、移動荷台20の不用意な移動動作が防止される。
【0012】
次に、後部開口部2の下部には、荷室フロア13よりも一段低い補助フロア14が設けられている。荷室フロア13と補助フロア14の間の段差面(立て壁部)に平板形状を有する引き出し式の作業台30が装備されている。この作業台30は、その面方向に移動させることにより、荷室フロア13の下方に沿って設けた格納凹部31内に格納することができる。図1は、この作業台30を格納凹部31内に格納した状態を示し、図2は取り出した状態を示している。作業台30は、格納凹部31から取り出すと、後部開口部2の下部から後方へ張り出した状態となる。取り出した作業台30上に作業者Hが乗り上がって荷物の積み下ろし作業を行うことができる。
この作業台30は、図示省略したストッパ機構により格納位置及び完全取り出し位置を含めて車両前後方向の4箇所で移動不能に固定することができる。図1〜図3に示すように作業台30の後面には、ロック解除レバー33,33が設けられている。両ロック解除レバー33,33を把持して回転させることにより、上記ストッパ機構による作業台30の固定状態を解除することができ、これにより当該作業台30を任意に位置に移動させることができる。両ロック解除レバー33,33を解除操作しない状態で、作業台30を移動させると、当該作業台30は直近の固定位置で移動不能にロックされる。このように作業台30はストッパ機構により移動不能にロックされるので、乗り上がった作業者Hがふらつくことがなく、また車両走行中に不用意に移動することがない。
この作業台30には、いわゆるエキスパンドメタルが用いられて、作業時の滑り止めがなされ、また雨水等が貯まらないようになっている。
【0013】
作業台30の後部には、一段高い段差部32が設けられている。この段差部32上に乗り上がることにより作業者Hの身長差を吸収し、あるいは航空機Pの貨物室Paの高さのばらつきを吸収することができ、また貨物室P内のより高い部位に対する作業を楽に行うことができる。図5及び図6に示すようにこの段差部32の前後には、衝撃吸収用のプロテクタ32a,32aが取り付けられている。本実施形態では、このプロテクタ32a,32aに、断面D形を有する弾性ゴムが用いられている。
段差部32の上面は、移動荷台20の底部26の上面に対してほぼ面一になる高さに設定されている。これにより作業台30を格納した状態では、この段差部32を底部26と面一な荷物積み込みスペースとして利用することができる。
上記収納式の作業台30の下側には、固定式の補助ステップ35が設けられている。この補助ステップ35は、車体後面の下部から後方へ張り出す状態に固定して設けられている。この補助ステップ35の後方への張り出し幅は、作業者Hが足を載せるのに必要かつ十分な寸法に設定されている。作業者Hは、この補助ステップ35を利用して作業台30上に乗り上がることができ、逆に作業台30上から下りることができるので、作業を安全かつ楽に行うことができる。
【0014】
次に、後部開口部2の左右側部には、開口壁部40,41が設けられている。両開口壁部40,41は、相互に平行に後方へ張り出している。本実施形態の場合、両開口壁部40,41の張り出し寸法は、概ね上記補助フロア14の張り出し寸法に揃えられている。両開口壁部40,41の上部は、後方へ下傾する方向に傾斜している。両開口壁部40,41のそれぞれの両面(内側と外側)には、作業者Hが把持するための取っ手40a,41aが取り付けられいる。上記作業台30への乗降、あるいは荷室12内への乗り込み時に作業者Hがこの取っ手40a,41aを利用することにより楽に上り下りすることができる。図1,2,4では取っ手40a,41aの図示が省略されている。
前記したように、シャッター6はこの左右の開口壁部40,41間に支持されて開閉される。このことから、両開口壁部40,41はシャッター枠としても機能している。
また、この左右の開口壁部40,41は、補助フロア14の左右壁部として位置することにより、後部開口部2付近の横風を遮る機能を有している。
左右の開口壁部40,41の後端部には、衝撃吸収用のプロテクタ40b,41bが取り付けられている。左右の開口壁部40,41の後端に沿ってプロテクタ40b,41bを取り付けておくことにより、当該車両1を後退させて例えば航空機Pの機体に接近させる場合に機体の損傷を低減することができる。本実施形態では、このプロテクタ40b,41bに断面D形の弾性ゴムが用いられている。図1〜図4では、このプロテクタ40b,41bの図示が省略されている。
また、後部開口部2の上部であって、シャッター6の格納ケース6aの後部には、バックモニタカメラ52が装備されている。このバックモニタカメラ52により、運転席10等において後部開口部2付近での作業状態等を監視することができる。また、運転者は、このバックモニタカメラ52により、車両後退時における後方の障害物の確認、あるいは航空機の位置を確認することができる。
【0015】
以上のように構成した本実施形態の荷物運搬車両1によれば、例えば空港において、航空機Pの貨物室Paに積み込んだ乗客の手荷物を積み込んで旅客ターミナルビルの荷物受け取りカウンターへ運搬する作業を効率よく行うことができる。
すなわち、図1及び図5に示すように当該荷物運搬車両1を後退させて、その後部開口部2を航空機Pの貨物室Paに向けた状態に停止させる。次に、シャッター6を上方へ開けて後部開口部2を開放するとともに、左右のロック解除レバー33,33をアンロック操作して作業台30を取り出す。
次に、図示省略した操作スイッチを操作して電動モータ26a,26aを起動させて、移動荷台20を荷室12の後側の荷積み位置に移動させる。この段階では、移動荷台20の左右の扉24,25は閉じられている。移動荷台20が荷積み位置に移動すると、荷室12の後ろ側半分のスペースに、底部26と前壁部23と左右の扉24,25により囲われた荷積みスペースが形成される。使用位置に取り出した作業台30上に作業者Hが乗り上がって、航空機Pの貨物室Paから順次荷物をこの荷積みスペースに移載する。
移動荷台20に適量の荷物を積み込んだ後、操作スイッチを操作して移動荷台20を荷室12の前側の荷下ろし位置に移動させる。この段階で、前壁部23と左右の扉24,25が底部26と一体で荷室12の前側に移動するので、底部26上に積み込んだ荷物が荷崩れを起こすことはない。
移動荷台20が荷下ろし位置に移動されると、荷室12の後側半分に新たな荷積みスペースが発生する。作業者Hは、この荷積みスペースに荷物をさらに積み込むことができる。こうして荷室12に十分な荷物を積み込んだ後、左右のロック解除レバー33,33をアンロック操作して作業台30を格納凹部31内に格納し、次いでシャッター6を下げて後部開口部2を閉じる。
【0016】
こうして荷室12への荷物の積み込み作業が完了したら当該荷物運搬車両1を走行させて旅客ターミナルビルの荷物受け取りカウンターへ移動する。荷物受け取りカウンターでは、先ず左側のスライドドア7(車両の右側から荷下ろしする場合は、右側のスライドドア8)を開いて、左側のドア開口部3を開放する。
次に、図1中白抜きの矢印Aで示すように移動荷台20の左側の扉24を水平方向前側へ約90°回動させる。これにより移動荷台20の左側の開口部24aが開放される。ここで、左側の扉24は図1中白抜きの矢印Bで示すようにさらにその面方向に沿って移動させることにより前壁部23の裏面側に格納することができる。
以上で、移動荷台20の左側の開口部24aが開放され、これにより移動荷台20上に積み込んだ荷物をドア開口部3及び開口部24aを経て取り出すことができる。この作業中、開放した左側の扉24は前壁部23の裏面側に沿って格納されていることから、この扉24が強風にあおられてばたついたり、不用意に閉じてしまうことがなく、これにより荷下ろし作業を迅速かつ安全に行うことができる。
また、右側の扉25を前壁部23の裏面側に格納する必要がなければ、当該右側25の扉25も開放して、左右両側から荷下ろし作業を行うことができ、一層迅速に荷下ろし作業を進めることができる。なお、右側の扉25を前壁部23の裏面側に格納して、左側の扉24を約90°回動させた位置に保持して両側で荷下ろし作業をすることもできる。
【0017】
このように本実施形態の荷物運搬車両1によれば、当該車両1の後部から荷物を積み込み、側部から荷物を運び出す形態の運搬作業を行う場合に、移動荷台20を荷室12の前部と後部との間を移動させることができるので、効率よく運搬作業を行うことができる。しかも、移動荷台20の両側方には開放可能な扉24,25が位置しているので、底部26上に積み込んだ荷物の荷崩れを心配することなく、底部26の幅いっぱいに荷物を積み込むことができる。また、底部26の前部には前壁部23が一体に設けられているので、荷物が前方へ荷崩れすることもない。
また、移動荷台20の左右の扉24,25は、約90°前側に水平回動して開口部24a,25aを開放した後、それぞれその面方向に移動させることにより前壁部23の裏面側に沿って格納することができる。このため、移動荷台20からの荷下ろし作業あるいは移動荷台20への荷積み作業時において、強風にあおられて扉24,25がばたついたり、不用意に閉じてしまうことを防止することができ、これによりこの種の作業を迅速かつ安全に行うことができる。
さらに、例示した荷物運搬車両1は、その後部開口部2の下部に引き出し式の作業台30を備えている。この作業台30に乗り上がることにより、航空機Pの貨物室Paに対して荷物の積み込み作業及び積み下ろし作業を効率よく楽に行うことができる。また、この作業台30には一段高い段差部32が設けられている。この段差部32によれば、作業者Hの伸長差を貨物室Pの高さのばらつきを吸収することができ、この点でも効率のよい作業を行うことができる。
作業台30の下方には、補助ステップ35が設けられている。この補助ステップ35を利用することにより、作業台30への乗降を楽に行うことができる。
また、後部開口部2の左右側部に沿って開口壁部40,41が後方へ張り出す状態に設けられている。この左右の開口壁部40,41によれば、補助フロア14上に吹き付けられる強風を遮ることができ、この点で作業性を高めることができる。この左右の開口壁部40,41の上部は、後側に下傾する方向に傾斜した状態(上角部を斜めに欠落させた形状)に設けられている。このため、図5に示すように当該開口壁部40,41の干渉を回避しつつ、荷物運搬車両1を航空機Pの貨物室Paにより接近させることができ、これにより荷物の積み下ろし作業の作業性を高めることができる。
【0018】
以上説明した実施形態には、種々変更を加えることができる。例えば、図8〜図11に示すように後部開口部2の上部に蛇腹形式のフード50を装備した構成とすることができる。この場合、図8に示すように左右の開口壁部40,41の後端傾斜部間に跨ってフード50を取り付けておくことにより、シャッター6の開閉機能及び作業台30の取り出し、格納機能を損なうことなく、補助フロア14及び作業台30上の雨よけとして用いることができ、これにより荷物を雨にぬらすことなく、その荷室12への積み込み、積み下ろし作業を行うことができる。また、このフード50は日よけとしても用いることができる。図9に示すようにフード50は折り畳んでおくことにより、車両走行中等においてばたつくことはない。
このフード50は作業者Hの手動操作により開閉して雨よけや日よけとして用いる場合の他、例えば図10に示すように当該フード50を開いた状態で荷物運搬車両1を航空機Pの貨物室Paに向けて後退させる際に、図11に示すように当該フード50の開き側端部が航空機Pに当接してそのまま適度な開き角度まで折り畳まれる。このフード50の開き側端部にも、衝撃吸収用のプロテクタ51(弾性ゴム)を取り付けておくことにより、航空機Pに対する傷つきを防止することができる。
また、以上説明した実施形態では、後部開口部2から荷物を積み込んで、側部のドア開口部3から荷物を運び出す場合を例示したが、逆に、ドア開口部3(又は4)から荷物を積み込んで、後部開口部2から荷物を運び出す場合にも同様に適用することができる。
さらに、空港において、航空機Pの貨物室Paと旅客ターミナルビルの荷物受け取りカウンターとの間で乗客の手荷物を運搬する作業に用いる荷物運搬車両1を例示したが、これに限らず、機内食や機内備品等その他の物品の運搬作業に用いることができ、また航空機Pに限らずその他の車両や建造物等に対して物品を運搬する場合に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る荷物運搬車両の後部及び移動荷台の斜視図である。本図は、移動荷台が荷下ろし位置に位置する状態を示している。
【図2】本発明の実施形態に係る荷物運搬車両の後部及び移動荷台の斜視図である。本図は、移動荷台が荷積み位置に位置する状態を示している。
【図3】本発明の実施形態に係る荷物運搬車両の後部の斜視図である。本図は、シャッターが開けられて後部開口部が開放され、また作業台が使用位置に取り出された状態を示している。
【図4】本発明の実施形態に係る荷物運搬車両の後部の斜視図である。本図は、シャッターが閉じられた状態を示している。
【図5】本発明の実施形態に係る荷物運搬車両の全体側面図である。本図は、荷物運搬車両の後部開口部が航空機の貨物室に向けられた状態を示している。
【図6】本発明の実施形態に係る荷物運搬車両の全体平面図である。
【図7】移動荷台の前壁部を運転席側から見た裏面図である。
【図8】後部開口部にじゃばら形式のフードを取り付けた場合における荷物運搬車両後部の斜視図である。本図は、フードを開いた状態を示している。
【図9】後部開口部にじゃばら形式のフードを取り付けた場合における荷物運搬車両全体の側面図である。本図は、フードを折り畳んだ状態を示している。
【図10】じゃばら式フードを取り付けた荷物運搬車両を航空機の貨物室に接近させた状態を示す側面図である。本図は、フードが全開した状態を示している。
【図11】じゃばら式フードを取り付けた荷物運搬車両を航空機の貨物室に接近させた状態を示す側面図である。本図は、フードの開き側端部が航空機に当接して折り畳まれた状態を示している。
【符号の説明】
【0020】
P…航空機、Pa…貨物室
B…車体
H…作業者
1…荷物運搬車両
2…後部開口部
6…シャッター
12…荷室
20…移動荷台
23…前壁部
24…左扉(車両左側)、24a…ヒンジ
25…右扉(車両右側)、25b…ヒンジ
26…底部
27…直動ユニット(左扉用)
28…直動ユニット(右扉用)
30…作業台(引き出し式)
31…格納凹部
32…段差部、32a…プロテクタ
33…ロック解除レバー
35…補助ステップ
40,41…開口壁部
50…フード(じゃばら式)
52…バックモニタカメラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に荷室を備えるとともに後部と側部に前記荷室への荷物積み下ろし用の開口部を備えた車体と、底部と左右側壁部と前壁部を有して、前記荷室のフロアに沿って前後に移動可能であり、前記荷室の前側に移動させて前記側部開口部を経て荷物を積み下ろし可能で、前記荷室の後側に移動させて前記後部開口部を経て荷物を積み下ろし可能な移動荷台を備え、
該移動荷台は、前記側壁部に水平方向に回動させて開閉する扉を備え、該扉は、当該移動荷台を前記荷室の前側に移動させた状態で車体の側部開口部を経て開放可能であり、かつ開放状態のまま前記前壁部に沿って格納可能な構成とした荷物運搬車両。
【請求項2】
請求項1記載の荷物運搬車両であって、前記扉の開放状態では前記移動荷台の移動が阻止される荷物運搬車両。
【請求項3】
請求項1記載の荷物運搬車両であって、前記車体の後部開口部の下部に、後方へ張り出す取り出し位置と、前記荷室のフロアの下方に沿って位置する格納位置との間を面方向に移動させて取り出し、格納可能な引き出し式の作業台を備えた荷物運搬車両。
【請求項4】
請求項3記載の荷物運搬車両であって、前記作業台の後部に一段高い段差部を設けた荷物運搬車両。
【請求項5】
請求項3記載の荷物運搬車両であって、前記車体の後部かつ前記作業台の下方に補助ステップを後方へ張り出た状態に固定して設けた荷物運搬車両。
【請求項6】
請求項1記載の荷物運搬車両であって、前記後部開口部の側部に沿って開口壁部を後方へ張り出して設け、該開口壁部の張り出し端部を後方へ下傾する方向に傾斜させた荷物運搬車両。
【請求項7】
請求項6記載の荷物運搬車両であって、前記開口壁部の張り出し端部に沿って衝撃吸収用のプロテクタを取り付けた荷物運搬車両。
【請求項8】
請求項1記載の荷物運搬車両であって、前記後部開口部の上部に、蛇腹式のフードを取り付けた荷物運搬車両。
【請求項1】
内部に荷室を備えるとともに後部と側部に前記荷室への荷物積み下ろし用の開口部を備えた車体と、底部と左右側壁部と前壁部を有して、前記荷室のフロアに沿って前後に移動可能であり、前記荷室の前側に移動させて前記側部開口部を経て荷物を積み下ろし可能で、前記荷室の後側に移動させて前記後部開口部を経て荷物を積み下ろし可能な移動荷台を備え、
該移動荷台は、前記側壁部に水平方向に回動させて開閉する扉を備え、該扉は、当該移動荷台を前記荷室の前側に移動させた状態で車体の側部開口部を経て開放可能であり、かつ開放状態のまま前記前壁部に沿って格納可能な構成とした荷物運搬車両。
【請求項2】
請求項1記載の荷物運搬車両であって、前記扉の開放状態では前記移動荷台の移動が阻止される荷物運搬車両。
【請求項3】
請求項1記載の荷物運搬車両であって、前記車体の後部開口部の下部に、後方へ張り出す取り出し位置と、前記荷室のフロアの下方に沿って位置する格納位置との間を面方向に移動させて取り出し、格納可能な引き出し式の作業台を備えた荷物運搬車両。
【請求項4】
請求項3記載の荷物運搬車両であって、前記作業台の後部に一段高い段差部を設けた荷物運搬車両。
【請求項5】
請求項3記載の荷物運搬車両であって、前記車体の後部かつ前記作業台の下方に補助ステップを後方へ張り出た状態に固定して設けた荷物運搬車両。
【請求項6】
請求項1記載の荷物運搬車両であって、前記後部開口部の側部に沿って開口壁部を後方へ張り出して設け、該開口壁部の張り出し端部を後方へ下傾する方向に傾斜させた荷物運搬車両。
【請求項7】
請求項6記載の荷物運搬車両であって、前記開口壁部の張り出し端部に沿って衝撃吸収用のプロテクタを取り付けた荷物運搬車両。
【請求項8】
請求項1記載の荷物運搬車両であって、前記後部開口部の上部に、蛇腹式のフードを取り付けた荷物運搬車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−216782(P2007−216782A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38070(P2006−38070)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(300084915)株式会社東海特装車 (2)
【出願人】(000201674)全日本空輸株式会社 (10)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(300084915)株式会社東海特装車 (2)
【出願人】(000201674)全日本空輸株式会社 (10)
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