荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造及び該緩衝部材の組み付け方法
【課題】 緩衝部材のずれや外れを防止し、かつ擦れに対する耐久性を高めつつ、ハンドルリンクの形状を変更することなく緩衝部材を容易確実に組み付けることができる荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造及び該緩衝部材の組み付け方法を提供する。
【解決手段】 緩衝部材32は、係合部21aのフック当接面21a′を囲むように把持する把持部32aと、該把持部32aに続いてアーム部21bの屈曲部分21fを囲む脚部32bとを有し、該脚部32bは、前記把持部32aを一方のアーム部21b′に係合させて他方のアーム部21b側の組み付け方向aに回転させたときに、前記脚部32bの裏面部分32b′が前記一方のアーム部21b′と他方のアーム部21bとの間に進入可能に形成されている。
【解決手段】 緩衝部材32は、係合部21aのフック当接面21a′を囲むように把持する把持部32aと、該把持部32aに続いてアーム部21bの屈曲部分21fを囲む脚部32bとを有し、該脚部32bは、前記把持部32aを一方のアーム部21b′に係合させて他方のアーム部21b側の組み付け方向aに回転させたときに、前記脚部32bの裏面部分32b′が前記一方のアーム部21b′と他方のアーム部21bとの間に進入可能に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷箱を開閉するゲートを閉位置にロックするようにした荷箱用ゲートハンドルに関し、詳細にはハンドルリンクに緩衝部材を組み付けるための組み付け構造及び該緩衝部材の組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のトラック型車両では、キャビンの後側に荷箱を搭載し、該荷箱の荷台を開閉するゲートを、ハンドルリンクをフックに掛けることにより閉位置にロックするゲートハンドルを備えている。
【0003】
前記ゲートハンドルにおいて、ハンドルリンクとフックとの金属同士が擦れることにより生じる異音を抑制するために、ハンドルリンクのフック当接面に、軸方向にスリットが形成された筒状の緩衝部材を装着したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−207835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来のゲートハンドルは、ハンドルリンクにスリットが形成された緩衝部材を装着する構造であり、このため緩衝部材に抜け方向の外力が加わるとずれたり,外れたりし易く、また緩衝部材の金属との接触が線当たりとなることから、擦れによる耐久性も低いという問題がある。
【0005】
ここで、本件出願人は、前記従来の問題点を解消するために、ハンドルリンクのフック当接面を囲む把持部と、該把持部に続いてハンドルリンクの屈曲部分を囲む脚部とを有する大略コ字形状の緩衝部材を採用することを検討している。このような緩衝部材を採用することにより、緩衝部材のずれや外れを防止でき、また緩衝部材の金属との接触面積を大きくすることができ、従来の線当たりの場合に比べて緩衝部材の耐久性を高めることができる。
【0006】
ところで、前記検討中の緩衝部材は、把持部及び脚部がハンドルリンクのフック当接面から屈曲部の表裏を覆い、かつ一体に形成されている。このため緩衝部材をハンドルリンクに組み付けるには、ハンドルリンクの形状を変更する必要があり、コストが上昇するおそれがある。即ち、図10(a)〜(c)に示すように、前記構造の緩衝部材50を装着するには、ハンドルリンク51のアーム部51a,51aを段付き状に広げて差込み部51bを形成するか、あるいはハンドルリンク51のアーム部51aの間隔アを、緩衝部材50の長さイより大きくする必要が生じる。
【0007】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、緩衝部材のずれや外れを防止し、かつ擦れに対する耐久性を高めつつ、ハンドルリンクの形状を変更することなく緩衝部材を容易確実に組み付けることができる荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造及び該緩衝部材の組み付け方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ハンドルリンクをフックに掛けることにより、荷台を開閉するゲートを閉位置にロックするようにした荷箱用ゲートハンドルの、前記ハンドルリンクに緩衝部材を組み付ける構造であって、前記ハンドルリンクは、前記フックに係合する係合部と、該係合部から離れる方向に屈曲して延びる一対のアーム部とを有し、前記緩衝部材は、前記係合部のフック当接面を囲むように把持する把持部と、該把持部に続いて前記アーム部の屈曲部分を囲む脚部とを有し、該脚部は、前記把持部を一方のアーム部に係合させて他方のアーム部側の組み付け方向に回転させたときに、前記脚部の裏面部分が前記一方のアーム部と他方のアーム部との間に進入可能に形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造において、前記脚部の表面部分は、前記アーム部に沿って延びており、該脚部の延長部には、前記アーム部を把持するアーム把持部が形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1に記載の緩衝部材の組み付け方法であって、前記緩衝部材の把持部を一方のアーム部に係合させて他方のアーム部側の組み付け方向に回転させて、脚部の裏面部分を一方のアーム部と他方のアーム部の間に進入させ、前記脚部をこれの長手方向とアーム部の長手方向とが一致するよう回転させた後、前記脚部をアーム部に沿って移動させることにより、前記把持部に係合部を把持させることを特徴とする緩衝部材の組み付け方法である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、緩衝部材を、ハンドルリンクの係合部のフック当接面を囲む把持部と、該把持部に続いてアーム部の屈曲部分を囲む脚部とを有するものとしたので、緩衝部材に抜け方向の外力が加わっても把持部と脚部とでハンドルリンクを把持していることから、緩衝部材がずれたり,外れたりするのを防止できる。
【0012】
また前記把持部に続いてアーム部の屈曲部分を囲む脚部を形成したので、該脚部と金属との当接面積を大きくすることができ、従来の線当たりの場合に比べて緩衝部材の耐久性を高めることができる。
【0013】
そして本発明の組み付け構造によれば、把持部を一方のアーム部に係合させて他方のアーム部側の組み付け方向に回転させたとき、脚部の裏面部分が両アームの間に進入可能としたので、この状態から脚部を両方のアーム部に係合するよう回転させ、該脚部をアーム部に沿って移動させて把持部に係合部を把持させることにより、緩衝部材をハンドルリンクに組み付けることができ、ハンドルリンクの形状を複雑に変更することなく、緩衝部材を容易確実に組み付けることができ、コストの上昇を抑制できる。
【0014】
請求項2の発明では、脚部の表面部分をアーム部に沿って延長形成し、該延長端部にアーム部を把持するアーム把持部を形成したので、把持部とこれより離れた位置のアーム把持部とでハンドルリンクを把持することとなり、緩衝部材がずれたり,外れたりするのをより確実に防止できる。
【0015】
請求項3の発明では、把持部を一方のアーム部に係合させた状態で組み付け方向に回転させて、脚部の裏面部分を一方のアーム部と他方のアーム部の間に進入させ、前記脚部をこれの長手方向とアーム部の長手方向とが一致するよう回転させた後、前記脚部をアーム部に沿って移動させて前記把持部に係合部を把持させたので、ハンドルリンクの形状を複雑に変更することなく、緩衝部材を容易確実に組み付けることができ、コストの上昇を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1ないし図9は、本発明の一実施形態による荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造及び組み付け方法を説明するための図であり、図1はゲートハンドルが配設されたトラック型車両の側面図、図2はゲートハンドルの斜視図、図3はゲートハンドルの背面図、図4はゲートハンドルの断面図(図1のIV-IV線断面図)、図5,図6,図7はそれぞれ緩衝部材の斜視図,側面図,斜視図、図8(a)〜(c),図9(a)〜(f)は緩衝部材の組み付け手順を示す図である。
【0018】
図において、1はトラック型車両を示しており、これは車体フレーム2の前部に車室を構成するキャビン3を搭載するとともに、後部に荷箱4を搭載した構造を有する。
【0019】
前記キャビン3には、該キャビン3のドア開口3aを開閉するフロントドア5が配設されている。前記ドア開口3aは、それぞれ閉断面形状を有する前,後ピラー部材6,7と、該前,後ピラー部材6,7の上端部同士を連結するルーフレール部材8と、下端部同士を連結するロッカ部材9とにより形成されている。
【0020】
前記荷箱4は、荷台10と、該荷台10の外縁部を囲むように配置され、複数のヒンジ11を介して上下に回動可能に取り付けられた帯板状の左,右のサイドゲート12,12及びリヤゲート13とを備えている。また前記キャビン3の後面には、ガードフレーム14が取り付けられている。
【0021】
前記荷台10を開閉する左,右のサイドゲート12には、該サイドゲート12を閉位置にロックするゲートハンドル20が配設されている。
【0022】
該ゲートハンドル20は、ハンドルリンク21をフック22に掛けることにより、前記サイドゲート12をロックするよう構成されており、詳細には以下の構造を有する。ここで、本実施形態のゲートハンドル20は、左,右対称であるので、進行方向右側のゲートハンドル20についてのみ説明する。
【0023】
前記荷台10の前端左,右コーナ部には、後ピラー部材7に沿って上下方向に延びるフロントポスト24が配設されている。該フロントポスト24は、角筒部24aの外側壁24bを前方に延長形成した構造を有する。該フロントポスト24は、前記後ピラー部材7にボルト又は溶接により固定されており、車体の一部を構成している。
【0024】
前記フロントポスト24の上端部には、前記フック22が取り付けられている。該フック22は、前記角筒部24a内に配置され、外側壁24bに形成された挿通穴24cから外方に突出している。前記フック22は、これの基部に形成されたフランジ22aを外側壁24bの内壁面に溶接により接合することにより、前記フロントポスト24に固定されている。
【0025】
前記フロントポスト24のフック22の下側には、前記ゲートハンドル20が取り付けられている。
【0026】
該ゲートハンドル20は、前記外側壁24bにボルト締め固定された底壁25bと、該底壁25bから外方に突出する前,後壁25a,25aとを一体に形成してなる大略コ字形状のブラケット25と、該ブラケット25の前,後壁25aの間に回動ピン26を介して上下回動可能に取り付けられたロックレバー27と、該ロックレバー27に連結ピン28を介して上下揺動可能に取り付けられた前記ハンドルリンク21とを備えている。
【0027】
前記ロックレバー27は、鋼管材からなるもので、これの上部は平板状をなすよう圧縮成形されており、上端部27aが前記回動ピン26を介してブラケット25に連結されている。
【0028】
前記ハンドルリンク21は、鋼管材を大略U字形状をなすよう折り曲げ形成してなるものであり、前記フック22に係脱可能に係合する係合部21aと、該係合部21aから離れるよう屈曲して下方に延びる前,後一対のアーム部21b,21bとを有する。
【0029】
該各アーム部21bの下端部21cは、平板状をなすよう圧縮成形されており、該下端部21cが前記連結ピン28を介してロックレバー27に連結されている。該連結ピン28は、ロックレバー27の中途部に配置され、回動ピン26を回動中心とする回動軌跡を描くこととなる。
【0030】
前記ハンドルリンク21は、前後方向から見ると、各アーム部21bの下部がブラケット25の外側に位置するよう大略く字状に屈曲形成され、アーム部21bの上端部21dがフロントポスト24の外側壁24bに対向するように屈曲形成されている(図3参照)。
【0031】
前記サイドゲート12の前端面12aには、ロックプレート30が取り付けられている。該ロックプレート30は、サイドゲート12の前端面12aに溶接により接合された接合部30aと、該接合部30aに続いて前方に屈曲し、前記フロントポスト24の外側壁24bに対向するよう延びるロック部30bと、該ロック部30bに切欠き形成されたフック挿通溝30cとを有する。前記ロック部30bには、前記ハンドルリンク21の係合部21a及び上端部21dが対向している。
【0032】
サイドゲート12を閉位置にロックするには、該サイドゲート12を持ち上げてロックプレート30がフロントポスト24に当接する位置に回動させる。これによりフック22がフック挿通溝30cを挿通して外方に突出する。この状態でハンドルリンク21の係合部21aをフック22に掛け、ロックレバー27を下方に回動させる。これにより、フック22がハンドルリンク21により下方に引っ張られ、ロックプレート30がフック22とフロントポスト24との間で挟持され、サイドゲート12がロックされる。ロックレバー27を持ち上げて上方に回動させると、ハンドルリンク21がフック22から外れ、ロックが解除される。
【0033】
前記ロック部30bの内側面には、ロック時に前記フロントポスト24に当接するクリップ31が取り付けられている。このクリップ31は、後述する緩衝部材32と同じ材質のものからなり、前記ロックプレート30とフロントポスト24とが接触することによる異音の発生を防止している(図2,図4参照)。
【0034】
前記ハンドルリンク21には、緩衝部材32が装着されている。該緩衝部材32により、ゲートハンドル20の金属同士の擦れによる異音がキャビン3に伝わるのを防止している。この場合、本実施形態のトラック型車両1は、キャビン3を構成する後ピラー部材7にフロントポスト24を取り付け、該フロントポスト24にゲートハンドル20を取り付けている。このため、ゲートハンドル20の擦れ音がフロントポスト24から後ピラー部材7を介してキャビン3に伝わり易くなっている。本実施形態では、前記緩衝部材32により擦れ音がキャビン3に伝わるのを防止している。
【0035】
前記緩衝部材32は、樹脂製のものであり、例えば、機械的強度,耐熱性,耐磨耗性に優れた硬質なポリアセタール樹脂により形成されている。
【0036】
前記緩衝部材32は、前記ハンドルリンク21の係合部21aのフック当接面21a′を囲むように把持する把持部32aと、該把持部32aに続いて各アーム部21bの屈曲部分21f,21fを囲むように延びる脚部32b,32bとを有する。
【0037】
前記把持部32aは、係合部21aの下面部分を囲むよう形成された大略U字形状をなすよう形成されている。該把持部32aは、弾性変形することにより、前記係合部21aを下側から把持している。
【0038】
また前記把持部32aの上縁部には、係合部21aの上面に当接する爪部32dが形成されている。該爪部32dにより把持部32aの抜け方向への移動を規制している。
【0039】
前記脚部32bは、これの表面部分32b′′がハンドルリンク21の車幅方向外側面を覆っており、裏面部分32b′がハンドルリンク21の内側面を覆っている。また前記脚部32bの裏面部分32b′は、前記ロックプレート30に面接触する面当て部となっている。
【0040】
前記脚部32bの表面部分32b′′には、各アーム部21bの外面を覆うように延びる延長部32e,32eが形成されており、該延長部32eには前記アーム部21bを把持するアーム把持部32c,32cが形成されている。この表面部分32b′′及び延長部32eが意匠面となっている。
【0041】
前記各アーム把持部32cは、アーム部21bの外面部分を囲むよう形成された大略コ字形状をなし、かつアーム部21bの径より若干幅狭に形成されている。これにより、各アーム把持部32cが弾性変形することにより、アーム部21bを外側から把持している。
【0042】
また前記各アーム把持部32cは、アーム部21bの上端部21dから外側に屈曲する屈曲部21eに配置されており、前記把持部32aに対して車外側に偏位している(図3,図6参照)。
【0043】
前記脚部32bは、図8(b)に示すように、前記把持部32aを一方のアーム部21b′に係合させて他方のアーム部21b側の組み付け方向aに回転させたとき、該脚部32bの裏面部分32b′が前記一方のアーム部21b′と他方のアーム部21bとの間に進入可能に形成されている。即ち、把持部32aを一方のアーム部21b′に係合させたとき、該一方のアーム部21b′の中心から裏面部分32b′の下端bまでの寸法Rdが、一方のアーム部21b′と他方のアーム部21bとの間に進入可能な寸法に設定されている。詳細には、Rd≦p(アームピッチ)−r(アーム部の半径)の関係となっている。
【0044】
また前記緩衝部材32の延長部32e,32eは、薄肉に形成されている。これにより、後述する組み付け時に、ハンドルリンク21の屈曲部21eを通過する際に、延長部32eが弾性変形することにより該延長部32eの摺動抵抗を低減している。
【0045】
さらに、図8(c)に示すように、把持部32a及び脚部32bを連結する連結壁32fは、後述する組み付け時にアーム部21bの回転軌跡に沿う円弧状に形成されている。また連結壁32fの下端部32f′はアーム部21bに干渉して少し弾性変形することにより節度感が生じるように形成されている。
【0046】
次に、図8,図9に基づいて、緩衝部材32の組み付け方法について説明する。
【0047】
緩衝部材32の把持部32aを一方のアーム部21b′の直線部分に係合させ、該緩衝部材32を把持部32aを中心に組み付け方向aに、つまり他方のアーム部21b側に回転させ、脚部32bの裏面部分32b′を一方のアーム部21b′と他方のアーム部21bとの間に進入させる(図8(b)及び図9(a),(b)参照)。
【0048】
緩衝部材32を、各脚部32b及び延長部32eがアーム部21bの長手方向と一致するよう略90度回転させる(図9(c),(d)参照)。この場合、連結壁32fの下端部32f′がアーム部21bに干渉しつつ撓むことより、連結壁32fがアーム部21b′に沿って節度良く回転する(図8(c)参照)。これにより、両脚部32bにアーム部21b′,21bが係合することとなる。
【0049】
この状態で、脚部32bをアーム部21bに沿って上方にスライドさせ、把持部32aに係合部21aを把持させる。この後、各アーム把持部32cをアーム部21b′,21bに把持させる(図8(e),(f)参照)。この場合、緩衝部材32を移動させる際に、延長部32e,32eがアーム部21bの屈曲部21eを通過するときには、該延長部32eが撓むことにより追従する。
【0050】
本実施形態によれば、緩衝部材32を、ハンドルリンク21の係合部21aのフック当接面21a′を囲む把持部32aと、該把持部32aに続いて各アーム部21bの屈曲部分21fを囲む脚部32bとを有するものとしたので、緩衝部材32に抜け方向の外力が加わっても把持部32aと脚部32bとでハンドルリンク21を把持することから、緩衝部材32がずれたり,外れたりするのを防止できる。
【0051】
また前記脚部32bの裏面部分32b′を、サイドゲート12のロックプレート30に面接触させたので、両者の接触面積を大きくすることができ、従来の線当たりの場合に比べて緩衝部材32の耐久性を高めることができる。
【0052】
そして本実施形態の組み付け構造によれば、把持部32aを一方のアーム部21b′に係合させ、他方のアーム部21b側に回転させたとき、脚部32bの裏面部分32b′が両アーム部21b′,21bの間に進入可能としたので、この状態から脚部32bを両方のアーム部21b′,21bに係合するよう90度回転させ、該脚部32bをアーム部21bに沿って移動させて把持部32aに係合部21aを把持させることにより、緩衝部材32をハンドルリンク21に組み付けることができ、ハンドルリンク21の形状を変更することなく、緩衝部材32を容易確実に組み付けることができ、コストの上昇を抑制できる。
【0053】
本実施形態では、脚部32bの表面部分32b′′にアーム部21bに沿って延びる延長部32e,32eを形成し、各延長部32eにアーム把持部32c,32cを形成したので、前記把持部32aとこれより離れた位置のアーム把持部32c,32cとでハンドルリンク21を把持することとなり、緩衝部材32がずれたり,外れたりするのをより確実に防止できる。
【0054】
また前記表面部分32b′′及び各延長部32eによりハンドルリンク21を覆うことにより、見栄えを向上できる。
【0055】
本実施形態の組み付け方法によれば、把持部32aを一方のアーム部21b′に係合させた状態で組み付け方向aに回転させて、脚部32bの裏面部分32b′を一方のアーム部21b′と他方のアーム部21bの間に進入させ、前記脚部32bをこれの長手方向とアーム部21bの長手方向とが一致するよう90度回転させた後、前記脚部32bをアーム部21bに沿って移動させて前記把持部32aに係合部21aを把持させたので、ハンドルリンク21の形状を変更することなく、緩衝部材を容易確実に組み付けることができ、コストの上昇を抑制できる。
【0056】
なお、前記実施形態では、ゲートハンドル20を、車体を構成するフロントポスト24に取り付けた場合を説明したが、本発明は、キャビンと荷箱とが分離されたタイプのものにも適用できる。この場合には荷箱にゲートハンドルを取り付けることとなる。
【0057】
また前記実施形態では、サイドゲート12を車体にロックする場合を説明したが、本発明はサイドゲート12とリヤゲート13とをロックするゲートハンドルにも適用でき、要はハンドルリンクをフックに掛けることによりロックするようにしたものであれば何れにも適用可能である。
【0058】
さらにまた前記実施形態では、ゲートハンドル20をフロントポスト24に取り付けた場合を説明したが、本発明は、ゲートハンドルをゲートに取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態による荷箱用ゲートハンドルが配設されたトラック型車両の側面図である。
【図2】前記ゲートハンドルの斜視図である。
【図3】前記ゲートハンドルの背面図である。
【図4】前記ゲートハンドルの断面平面図(図1のIV-IV線断面図)である。
【図5】前記ゲートハンドルに装着された緩衝部材の斜視図である。
【図6】前記緩衝部材の側面図である。
【図7】前記緩衝部材の斜視図である。
【図8】前記緩衝部材の組み付け手順を示す図である。
【図9】前記緩衝部材の組み付け手順を示す図である。
【図10】本発明の成立過程を説明するための図である。
【符号の説明】
【0060】
4 荷箱
10 荷台
12 サイドゲート
20 ゲートハンドル
21 ハンドルリンク
21a 係合部
21a′ フック当接面
21b アーム部
22 フック
32 緩衝部材
32a 把持部
32b 脚部
32b′ 裏面部分
32b′′ 表面部分
32c アーム把持部
32e 延長部
a 組み付け方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷箱を開閉するゲートを閉位置にロックするようにした荷箱用ゲートハンドルに関し、詳細にはハンドルリンクに緩衝部材を組み付けるための組み付け構造及び該緩衝部材の組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のトラック型車両では、キャビンの後側に荷箱を搭載し、該荷箱の荷台を開閉するゲートを、ハンドルリンクをフックに掛けることにより閉位置にロックするゲートハンドルを備えている。
【0003】
前記ゲートハンドルにおいて、ハンドルリンクとフックとの金属同士が擦れることにより生じる異音を抑制するために、ハンドルリンクのフック当接面に、軸方向にスリットが形成された筒状の緩衝部材を装着したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−207835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来のゲートハンドルは、ハンドルリンクにスリットが形成された緩衝部材を装着する構造であり、このため緩衝部材に抜け方向の外力が加わるとずれたり,外れたりし易く、また緩衝部材の金属との接触が線当たりとなることから、擦れによる耐久性も低いという問題がある。
【0005】
ここで、本件出願人は、前記従来の問題点を解消するために、ハンドルリンクのフック当接面を囲む把持部と、該把持部に続いてハンドルリンクの屈曲部分を囲む脚部とを有する大略コ字形状の緩衝部材を採用することを検討している。このような緩衝部材を採用することにより、緩衝部材のずれや外れを防止でき、また緩衝部材の金属との接触面積を大きくすることができ、従来の線当たりの場合に比べて緩衝部材の耐久性を高めることができる。
【0006】
ところで、前記検討中の緩衝部材は、把持部及び脚部がハンドルリンクのフック当接面から屈曲部の表裏を覆い、かつ一体に形成されている。このため緩衝部材をハンドルリンクに組み付けるには、ハンドルリンクの形状を変更する必要があり、コストが上昇するおそれがある。即ち、図10(a)〜(c)に示すように、前記構造の緩衝部材50を装着するには、ハンドルリンク51のアーム部51a,51aを段付き状に広げて差込み部51bを形成するか、あるいはハンドルリンク51のアーム部51aの間隔アを、緩衝部材50の長さイより大きくする必要が生じる。
【0007】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、緩衝部材のずれや外れを防止し、かつ擦れに対する耐久性を高めつつ、ハンドルリンクの形状を変更することなく緩衝部材を容易確実に組み付けることができる荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造及び該緩衝部材の組み付け方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ハンドルリンクをフックに掛けることにより、荷台を開閉するゲートを閉位置にロックするようにした荷箱用ゲートハンドルの、前記ハンドルリンクに緩衝部材を組み付ける構造であって、前記ハンドルリンクは、前記フックに係合する係合部と、該係合部から離れる方向に屈曲して延びる一対のアーム部とを有し、前記緩衝部材は、前記係合部のフック当接面を囲むように把持する把持部と、該把持部に続いて前記アーム部の屈曲部分を囲む脚部とを有し、該脚部は、前記把持部を一方のアーム部に係合させて他方のアーム部側の組み付け方向に回転させたときに、前記脚部の裏面部分が前記一方のアーム部と他方のアーム部との間に進入可能に形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造において、前記脚部の表面部分は、前記アーム部に沿って延びており、該脚部の延長部には、前記アーム部を把持するアーム把持部が形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1に記載の緩衝部材の組み付け方法であって、前記緩衝部材の把持部を一方のアーム部に係合させて他方のアーム部側の組み付け方向に回転させて、脚部の裏面部分を一方のアーム部と他方のアーム部の間に進入させ、前記脚部をこれの長手方向とアーム部の長手方向とが一致するよう回転させた後、前記脚部をアーム部に沿って移動させることにより、前記把持部に係合部を把持させることを特徴とする緩衝部材の組み付け方法である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、緩衝部材を、ハンドルリンクの係合部のフック当接面を囲む把持部と、該把持部に続いてアーム部の屈曲部分を囲む脚部とを有するものとしたので、緩衝部材に抜け方向の外力が加わっても把持部と脚部とでハンドルリンクを把持していることから、緩衝部材がずれたり,外れたりするのを防止できる。
【0012】
また前記把持部に続いてアーム部の屈曲部分を囲む脚部を形成したので、該脚部と金属との当接面積を大きくすることができ、従来の線当たりの場合に比べて緩衝部材の耐久性を高めることができる。
【0013】
そして本発明の組み付け構造によれば、把持部を一方のアーム部に係合させて他方のアーム部側の組み付け方向に回転させたとき、脚部の裏面部分が両アームの間に進入可能としたので、この状態から脚部を両方のアーム部に係合するよう回転させ、該脚部をアーム部に沿って移動させて把持部に係合部を把持させることにより、緩衝部材をハンドルリンクに組み付けることができ、ハンドルリンクの形状を複雑に変更することなく、緩衝部材を容易確実に組み付けることができ、コストの上昇を抑制できる。
【0014】
請求項2の発明では、脚部の表面部分をアーム部に沿って延長形成し、該延長端部にアーム部を把持するアーム把持部を形成したので、把持部とこれより離れた位置のアーム把持部とでハンドルリンクを把持することとなり、緩衝部材がずれたり,外れたりするのをより確実に防止できる。
【0015】
請求項3の発明では、把持部を一方のアーム部に係合させた状態で組み付け方向に回転させて、脚部の裏面部分を一方のアーム部と他方のアーム部の間に進入させ、前記脚部をこれの長手方向とアーム部の長手方向とが一致するよう回転させた後、前記脚部をアーム部に沿って移動させて前記把持部に係合部を把持させたので、ハンドルリンクの形状を複雑に変更することなく、緩衝部材を容易確実に組み付けることができ、コストの上昇を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1ないし図9は、本発明の一実施形態による荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造及び組み付け方法を説明するための図であり、図1はゲートハンドルが配設されたトラック型車両の側面図、図2はゲートハンドルの斜視図、図3はゲートハンドルの背面図、図4はゲートハンドルの断面図(図1のIV-IV線断面図)、図5,図6,図7はそれぞれ緩衝部材の斜視図,側面図,斜視図、図8(a)〜(c),図9(a)〜(f)は緩衝部材の組み付け手順を示す図である。
【0018】
図において、1はトラック型車両を示しており、これは車体フレーム2の前部に車室を構成するキャビン3を搭載するとともに、後部に荷箱4を搭載した構造を有する。
【0019】
前記キャビン3には、該キャビン3のドア開口3aを開閉するフロントドア5が配設されている。前記ドア開口3aは、それぞれ閉断面形状を有する前,後ピラー部材6,7と、該前,後ピラー部材6,7の上端部同士を連結するルーフレール部材8と、下端部同士を連結するロッカ部材9とにより形成されている。
【0020】
前記荷箱4は、荷台10と、該荷台10の外縁部を囲むように配置され、複数のヒンジ11を介して上下に回動可能に取り付けられた帯板状の左,右のサイドゲート12,12及びリヤゲート13とを備えている。また前記キャビン3の後面には、ガードフレーム14が取り付けられている。
【0021】
前記荷台10を開閉する左,右のサイドゲート12には、該サイドゲート12を閉位置にロックするゲートハンドル20が配設されている。
【0022】
該ゲートハンドル20は、ハンドルリンク21をフック22に掛けることにより、前記サイドゲート12をロックするよう構成されており、詳細には以下の構造を有する。ここで、本実施形態のゲートハンドル20は、左,右対称であるので、進行方向右側のゲートハンドル20についてのみ説明する。
【0023】
前記荷台10の前端左,右コーナ部には、後ピラー部材7に沿って上下方向に延びるフロントポスト24が配設されている。該フロントポスト24は、角筒部24aの外側壁24bを前方に延長形成した構造を有する。該フロントポスト24は、前記後ピラー部材7にボルト又は溶接により固定されており、車体の一部を構成している。
【0024】
前記フロントポスト24の上端部には、前記フック22が取り付けられている。該フック22は、前記角筒部24a内に配置され、外側壁24bに形成された挿通穴24cから外方に突出している。前記フック22は、これの基部に形成されたフランジ22aを外側壁24bの内壁面に溶接により接合することにより、前記フロントポスト24に固定されている。
【0025】
前記フロントポスト24のフック22の下側には、前記ゲートハンドル20が取り付けられている。
【0026】
該ゲートハンドル20は、前記外側壁24bにボルト締め固定された底壁25bと、該底壁25bから外方に突出する前,後壁25a,25aとを一体に形成してなる大略コ字形状のブラケット25と、該ブラケット25の前,後壁25aの間に回動ピン26を介して上下回動可能に取り付けられたロックレバー27と、該ロックレバー27に連結ピン28を介して上下揺動可能に取り付けられた前記ハンドルリンク21とを備えている。
【0027】
前記ロックレバー27は、鋼管材からなるもので、これの上部は平板状をなすよう圧縮成形されており、上端部27aが前記回動ピン26を介してブラケット25に連結されている。
【0028】
前記ハンドルリンク21は、鋼管材を大略U字形状をなすよう折り曲げ形成してなるものであり、前記フック22に係脱可能に係合する係合部21aと、該係合部21aから離れるよう屈曲して下方に延びる前,後一対のアーム部21b,21bとを有する。
【0029】
該各アーム部21bの下端部21cは、平板状をなすよう圧縮成形されており、該下端部21cが前記連結ピン28を介してロックレバー27に連結されている。該連結ピン28は、ロックレバー27の中途部に配置され、回動ピン26を回動中心とする回動軌跡を描くこととなる。
【0030】
前記ハンドルリンク21は、前後方向から見ると、各アーム部21bの下部がブラケット25の外側に位置するよう大略く字状に屈曲形成され、アーム部21bの上端部21dがフロントポスト24の外側壁24bに対向するように屈曲形成されている(図3参照)。
【0031】
前記サイドゲート12の前端面12aには、ロックプレート30が取り付けられている。該ロックプレート30は、サイドゲート12の前端面12aに溶接により接合された接合部30aと、該接合部30aに続いて前方に屈曲し、前記フロントポスト24の外側壁24bに対向するよう延びるロック部30bと、該ロック部30bに切欠き形成されたフック挿通溝30cとを有する。前記ロック部30bには、前記ハンドルリンク21の係合部21a及び上端部21dが対向している。
【0032】
サイドゲート12を閉位置にロックするには、該サイドゲート12を持ち上げてロックプレート30がフロントポスト24に当接する位置に回動させる。これによりフック22がフック挿通溝30cを挿通して外方に突出する。この状態でハンドルリンク21の係合部21aをフック22に掛け、ロックレバー27を下方に回動させる。これにより、フック22がハンドルリンク21により下方に引っ張られ、ロックプレート30がフック22とフロントポスト24との間で挟持され、サイドゲート12がロックされる。ロックレバー27を持ち上げて上方に回動させると、ハンドルリンク21がフック22から外れ、ロックが解除される。
【0033】
前記ロック部30bの内側面には、ロック時に前記フロントポスト24に当接するクリップ31が取り付けられている。このクリップ31は、後述する緩衝部材32と同じ材質のものからなり、前記ロックプレート30とフロントポスト24とが接触することによる異音の発生を防止している(図2,図4参照)。
【0034】
前記ハンドルリンク21には、緩衝部材32が装着されている。該緩衝部材32により、ゲートハンドル20の金属同士の擦れによる異音がキャビン3に伝わるのを防止している。この場合、本実施形態のトラック型車両1は、キャビン3を構成する後ピラー部材7にフロントポスト24を取り付け、該フロントポスト24にゲートハンドル20を取り付けている。このため、ゲートハンドル20の擦れ音がフロントポスト24から後ピラー部材7を介してキャビン3に伝わり易くなっている。本実施形態では、前記緩衝部材32により擦れ音がキャビン3に伝わるのを防止している。
【0035】
前記緩衝部材32は、樹脂製のものであり、例えば、機械的強度,耐熱性,耐磨耗性に優れた硬質なポリアセタール樹脂により形成されている。
【0036】
前記緩衝部材32は、前記ハンドルリンク21の係合部21aのフック当接面21a′を囲むように把持する把持部32aと、該把持部32aに続いて各アーム部21bの屈曲部分21f,21fを囲むように延びる脚部32b,32bとを有する。
【0037】
前記把持部32aは、係合部21aの下面部分を囲むよう形成された大略U字形状をなすよう形成されている。該把持部32aは、弾性変形することにより、前記係合部21aを下側から把持している。
【0038】
また前記把持部32aの上縁部には、係合部21aの上面に当接する爪部32dが形成されている。該爪部32dにより把持部32aの抜け方向への移動を規制している。
【0039】
前記脚部32bは、これの表面部分32b′′がハンドルリンク21の車幅方向外側面を覆っており、裏面部分32b′がハンドルリンク21の内側面を覆っている。また前記脚部32bの裏面部分32b′は、前記ロックプレート30に面接触する面当て部となっている。
【0040】
前記脚部32bの表面部分32b′′には、各アーム部21bの外面を覆うように延びる延長部32e,32eが形成されており、該延長部32eには前記アーム部21bを把持するアーム把持部32c,32cが形成されている。この表面部分32b′′及び延長部32eが意匠面となっている。
【0041】
前記各アーム把持部32cは、アーム部21bの外面部分を囲むよう形成された大略コ字形状をなし、かつアーム部21bの径より若干幅狭に形成されている。これにより、各アーム把持部32cが弾性変形することにより、アーム部21bを外側から把持している。
【0042】
また前記各アーム把持部32cは、アーム部21bの上端部21dから外側に屈曲する屈曲部21eに配置されており、前記把持部32aに対して車外側に偏位している(図3,図6参照)。
【0043】
前記脚部32bは、図8(b)に示すように、前記把持部32aを一方のアーム部21b′に係合させて他方のアーム部21b側の組み付け方向aに回転させたとき、該脚部32bの裏面部分32b′が前記一方のアーム部21b′と他方のアーム部21bとの間に進入可能に形成されている。即ち、把持部32aを一方のアーム部21b′に係合させたとき、該一方のアーム部21b′の中心から裏面部分32b′の下端bまでの寸法Rdが、一方のアーム部21b′と他方のアーム部21bとの間に進入可能な寸法に設定されている。詳細には、Rd≦p(アームピッチ)−r(アーム部の半径)の関係となっている。
【0044】
また前記緩衝部材32の延長部32e,32eは、薄肉に形成されている。これにより、後述する組み付け時に、ハンドルリンク21の屈曲部21eを通過する際に、延長部32eが弾性変形することにより該延長部32eの摺動抵抗を低減している。
【0045】
さらに、図8(c)に示すように、把持部32a及び脚部32bを連結する連結壁32fは、後述する組み付け時にアーム部21bの回転軌跡に沿う円弧状に形成されている。また連結壁32fの下端部32f′はアーム部21bに干渉して少し弾性変形することにより節度感が生じるように形成されている。
【0046】
次に、図8,図9に基づいて、緩衝部材32の組み付け方法について説明する。
【0047】
緩衝部材32の把持部32aを一方のアーム部21b′の直線部分に係合させ、該緩衝部材32を把持部32aを中心に組み付け方向aに、つまり他方のアーム部21b側に回転させ、脚部32bの裏面部分32b′を一方のアーム部21b′と他方のアーム部21bとの間に進入させる(図8(b)及び図9(a),(b)参照)。
【0048】
緩衝部材32を、各脚部32b及び延長部32eがアーム部21bの長手方向と一致するよう略90度回転させる(図9(c),(d)参照)。この場合、連結壁32fの下端部32f′がアーム部21bに干渉しつつ撓むことより、連結壁32fがアーム部21b′に沿って節度良く回転する(図8(c)参照)。これにより、両脚部32bにアーム部21b′,21bが係合することとなる。
【0049】
この状態で、脚部32bをアーム部21bに沿って上方にスライドさせ、把持部32aに係合部21aを把持させる。この後、各アーム把持部32cをアーム部21b′,21bに把持させる(図8(e),(f)参照)。この場合、緩衝部材32を移動させる際に、延長部32e,32eがアーム部21bの屈曲部21eを通過するときには、該延長部32eが撓むことにより追従する。
【0050】
本実施形態によれば、緩衝部材32を、ハンドルリンク21の係合部21aのフック当接面21a′を囲む把持部32aと、該把持部32aに続いて各アーム部21bの屈曲部分21fを囲む脚部32bとを有するものとしたので、緩衝部材32に抜け方向の外力が加わっても把持部32aと脚部32bとでハンドルリンク21を把持することから、緩衝部材32がずれたり,外れたりするのを防止できる。
【0051】
また前記脚部32bの裏面部分32b′を、サイドゲート12のロックプレート30に面接触させたので、両者の接触面積を大きくすることができ、従来の線当たりの場合に比べて緩衝部材32の耐久性を高めることができる。
【0052】
そして本実施形態の組み付け構造によれば、把持部32aを一方のアーム部21b′に係合させ、他方のアーム部21b側に回転させたとき、脚部32bの裏面部分32b′が両アーム部21b′,21bの間に進入可能としたので、この状態から脚部32bを両方のアーム部21b′,21bに係合するよう90度回転させ、該脚部32bをアーム部21bに沿って移動させて把持部32aに係合部21aを把持させることにより、緩衝部材32をハンドルリンク21に組み付けることができ、ハンドルリンク21の形状を変更することなく、緩衝部材32を容易確実に組み付けることができ、コストの上昇を抑制できる。
【0053】
本実施形態では、脚部32bの表面部分32b′′にアーム部21bに沿って延びる延長部32e,32eを形成し、各延長部32eにアーム把持部32c,32cを形成したので、前記把持部32aとこれより離れた位置のアーム把持部32c,32cとでハンドルリンク21を把持することとなり、緩衝部材32がずれたり,外れたりするのをより確実に防止できる。
【0054】
また前記表面部分32b′′及び各延長部32eによりハンドルリンク21を覆うことにより、見栄えを向上できる。
【0055】
本実施形態の組み付け方法によれば、把持部32aを一方のアーム部21b′に係合させた状態で組み付け方向aに回転させて、脚部32bの裏面部分32b′を一方のアーム部21b′と他方のアーム部21bの間に進入させ、前記脚部32bをこれの長手方向とアーム部21bの長手方向とが一致するよう90度回転させた後、前記脚部32bをアーム部21bに沿って移動させて前記把持部32aに係合部21aを把持させたので、ハンドルリンク21の形状を変更することなく、緩衝部材を容易確実に組み付けることができ、コストの上昇を抑制できる。
【0056】
なお、前記実施形態では、ゲートハンドル20を、車体を構成するフロントポスト24に取り付けた場合を説明したが、本発明は、キャビンと荷箱とが分離されたタイプのものにも適用できる。この場合には荷箱にゲートハンドルを取り付けることとなる。
【0057】
また前記実施形態では、サイドゲート12を車体にロックする場合を説明したが、本発明はサイドゲート12とリヤゲート13とをロックするゲートハンドルにも適用でき、要はハンドルリンクをフックに掛けることによりロックするようにしたものであれば何れにも適用可能である。
【0058】
さらにまた前記実施形態では、ゲートハンドル20をフロントポスト24に取り付けた場合を説明したが、本発明は、ゲートハンドルをゲートに取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態による荷箱用ゲートハンドルが配設されたトラック型車両の側面図である。
【図2】前記ゲートハンドルの斜視図である。
【図3】前記ゲートハンドルの背面図である。
【図4】前記ゲートハンドルの断面平面図(図1のIV-IV線断面図)である。
【図5】前記ゲートハンドルに装着された緩衝部材の斜視図である。
【図6】前記緩衝部材の側面図である。
【図7】前記緩衝部材の斜視図である。
【図8】前記緩衝部材の組み付け手順を示す図である。
【図9】前記緩衝部材の組み付け手順を示す図である。
【図10】本発明の成立過程を説明するための図である。
【符号の説明】
【0060】
4 荷箱
10 荷台
12 サイドゲート
20 ゲートハンドル
21 ハンドルリンク
21a 係合部
21a′ フック当接面
21b アーム部
22 フック
32 緩衝部材
32a 把持部
32b 脚部
32b′ 裏面部分
32b′′ 表面部分
32c アーム把持部
32e 延長部
a 組み付け方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルリンクをフックに掛けることにより、荷台を開閉するゲートを閉位置にロックするようにした荷箱用ゲートハンドルの、前記ハンドルリンクに緩衝部材を組み付ける構造であって、
前記ハンドルリンクは、前記フックに係合する係合部と、該係合部から離れる方向に屈曲して延びる一対のアーム部とを有し、
前記緩衝部材は、前記係合部のフック当接面を囲むように把持する把持部と、
該把持部に続いて前記アーム部の屈曲部分を囲む脚部とを有し、
該脚部は、前記把持部を一方のアーム部に係合させて他方のアーム部側の組み付け方向に回転させたときに、前記脚部の裏面部分が前記一方のアーム部と他方のアーム部との間に進入可能に形成されている
ことを特徴とする荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載の荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造において、
前記脚部の表面部分は、前記アーム部に沿って延びており、該脚部の延長部には、前記アーム部を把持するアーム把持部が形成されている
ことを特徴とする荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造。
【請求項3】
請求項1に記載の緩衝部材の組み付け方法であって、
前記緩衝部材の把持部を一方のアーム部に係合させて他方のアーム部側の組み付け方向に回転させて、脚部の裏面部分を一方のアーム部と他方のアーム部の間に進入させ、
前記脚部をこれの長手方向とアーム部の長手方向とが一致するよう回転させた後、
前記脚部をアーム部に沿って移動させることにより、前記把持部に係合部を把持させる
ことを特徴とする緩衝部材の組み付け方法。
【請求項1】
ハンドルリンクをフックに掛けることにより、荷台を開閉するゲートを閉位置にロックするようにした荷箱用ゲートハンドルの、前記ハンドルリンクに緩衝部材を組み付ける構造であって、
前記ハンドルリンクは、前記フックに係合する係合部と、該係合部から離れる方向に屈曲して延びる一対のアーム部とを有し、
前記緩衝部材は、前記係合部のフック当接面を囲むように把持する把持部と、
該把持部に続いて前記アーム部の屈曲部分を囲む脚部とを有し、
該脚部は、前記把持部を一方のアーム部に係合させて他方のアーム部側の組み付け方向に回転させたときに、前記脚部の裏面部分が前記一方のアーム部と他方のアーム部との間に進入可能に形成されている
ことを特徴とする荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載の荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造において、
前記脚部の表面部分は、前記アーム部に沿って延びており、該脚部の延長部には、前記アーム部を把持するアーム把持部が形成されている
ことを特徴とする荷箱用ゲートハンドルの緩衝部材組み付け構造。
【請求項3】
請求項1に記載の緩衝部材の組み付け方法であって、
前記緩衝部材の把持部を一方のアーム部に係合させて他方のアーム部側の組み付け方向に回転させて、脚部の裏面部分を一方のアーム部と他方のアーム部の間に進入させ、
前記脚部をこれの長手方向とアーム部の長手方向とが一致するよう回転させた後、
前記脚部をアーム部に沿って移動させることにより、前記把持部に係合部を把持させる
ことを特徴とする緩衝部材の組み付け方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−292295(P2009−292295A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147403(P2008−147403)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【出願人】(598059675)株式会社ヴイテック (14)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【出願人】(598059675)株式会社ヴイテック (14)
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