説明

蒸気排出装置

【課題】本発明の課題は、蒸気が発生する動作中か否かを的確に判断して送風機の作動/停止を切り替えることができる蒸気排出装置を提供することにある。
【解決手段】炊飯器Sに流れる電流値Aを検出して、この検出電流値Aが閾値A1・A2を越えると所定のポイントをカウントし、所定時間内に積算したポイント数が所定値に達すると炊飯が開始したと判断してファン装置3を駆動する。また、炊飯器Sに流れる電流値Aを検出して、この検出電流値Aが閾値A1・A2を越えると所定のポイントをカウントし、所定時間内に積算したポイント数が所定値に達しなくなると炊飯が終了したと判断してファン装置3を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納庫内に設置された炊飯器から発生する蒸気を収納庫外へ排出する蒸気排出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯器を収納庫内に収納した状態で使用すると、炊飯器より排出された水蒸気が収納庫内に充満して炊飯器の安全性・耐久性を低下させるという問題が生じていた。そのため、炊飯器から発生した蒸気を送風機により収納庫外に排出するようにした蒸気排出装置が提案されている。
【0003】
これまでの蒸気排出装置は、炊飯器に流れる所定値(閾値)以上の電流値が流れると送風機を作動させ、流れなくなると送風機を停止させていた。このため、炊飯中に間欠通電が行われると、その電流値を捉えて送風機が作動/停止を繰り返してしまうという問題があった。そこで、特許文献1に見られるように、炊飯器に所定値(閾値)以上の電流が一定時間以上連続して流れたら送風機を作動させ、電流が間欠的に所定時間以上継続して流れたら設定時間経過後に送風機を停止させる提案がなされている。この構成によれば、炊飯開始の連続通電で送風機が作動し、保温中の間欠通電で送風機を停止させることができる。
【0004】
ところで、炊飯器によっては炊飯中に電流を間欠的に印可する場合もあり、特許文献1では送風機が停止してしまう。例えば、おかゆを作る炊飯メニューでは、保温中の間欠通電と類似する加熱パターンで炊飯が行われる。この場合、特許文献1の構成では、炊飯中にもかかわらず送風機が停止してしまうことになる。
【0005】
また、使用する炊飯器の定格(能力)によって通電される電流値が異なるため、送風機の作動/停止を切り替えるための所定値(閾値)を一義的に設定することは困難である。例えば、300W程度の小定格な炊飯器に合わせて、炊飯中と保温中を区別するために所定値(閾値)を2A程度を設定しておくと、1000Wを超える大定格な炊飯器を使用した場合に、保温中に3A程度の間欠通電に行われると、保温を認識できずに送風機を停止させることができない。
【0006】
更に、炊飯器の多機能化により、保温中の米飯を暖め直すための再加熱機能を備えた炊飯器が存在している。再加熱は、70℃位に保温されたご飯を加熱し直すための機能であり、炊飯器から蒸気が発生することになるが、間欠通電する加熱パターンで制御されるため、特許文献1の構成では、送風機を作動させることができない。
【特許文献1】特許第3837640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、どのような炊飯器を使用した場合でも、蒸気が発生する動作中か否かを的確に判断して送風機の作動/停止を切り替えることができる蒸気排出装置を提供することにある。すなわち、炊飯開始の連続通電で送風機を作動させること、炊飯中の間欠通電で送風機を停止させないこと、保温時の間欠通電で送風機を停止させること、再加熱の間欠通電で送風機を作動させることを達成する蒸気排出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するため、収納庫内に収納される炊飯器から発生した蒸気を収納庫外へ排出する蒸気排出装置において、蒸気排出用ファンと、炊飯器の電源プラグが差し込まれるコンセントと、炊飯器に流れる電流値に基づいて蒸気排出用ファンの駆動を制御する制御手段とを備え、制御手段は、単位時間毎に炊飯器に流れる電流値を検出し、この検出電流値が第1の閾値を超えた時間と第1の閾値より高く設定した第2の閾値を超えた時間とを係数を変えて積算して、所定時間内に積算した時間が所定値に達すると蒸気排出用ファンを駆動するようにした。
【0009】
また、収納庫内に収納される炊飯器から発生した蒸気を収納庫外へ排出する蒸気排出装置において、蒸気排出用ファンと、炊飯器の電源プラグが差し込まれるコンセントと、炊飯器に流れる電流値に基づいて蒸気排出用ファンの駆動を制御する制御手段とを備え、制御手段は、単位時間毎に炊飯器に流れる電流値を検出し、この検出電流値が第1の閾値を超えた時間と第1の閾値より高く設定した第2の閾値を超えた時間とを係数を変えて積算して、所定時間内に積算した時間が所定値に達しなくなると蒸気排出用ファンを停止するようにした。
【0010】
更に、収納庫内に収納される炊飯器から発生した蒸気を収納庫外へ排出する蒸気排出装置において、蒸気排出用ファンと、炊飯器の電源プラグが差し込まれるコンセントと、炊飯器に流れる電流値に基づいて蒸気排出用ファンの駆動を制御する制御手段とを備え、制御手段は、単位時間毎に炊飯器に流れる電流値を検出し、この検出電流値が第1の閾値を超えた時間と第1の閾値より高く設定した第2の閾値を超えた時間とを係数を変えて積算して、所定時間内に積算した時間が第1の所定値に達すると蒸気排出用ファンを駆動するとともに、所定時間内に積算した時間が第2の所定値に達しなくなると蒸気排出用ファンを停止する機能を備え、第2の所定値を第1の所定値よりも長く設定するようにした。
【0011】
制御手段は、前記検出電流値が第1の閾値を超えたときに第1のポイントをカウントし、検出電流値が第2の閾値を超えたときに第1のポイントよりも高い第2のポイントをカウントし、この第1及び第2のポイントの積算値が所定値に達するか否かを検出する。また、制御手段は、所定時間内に積算したポイントが所定値に達しないことを複数回連続で検出したら蒸気排出用ファンを停止する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定時間内で検出される電流値が閾値を越えたことをカウントし、その積算値によって炊飯の開始/終了を判断するようにしたものである。炊飯開始の検出では、上下2つの閾値を設定し、上閾値を越えたときのポイント数を下閾値を越えたときのポイント数より多くすることで、小さい電流値で間欠通電される保温時の加熱パターンに対して識別性を持たせ、蒸気が発生しない行程でファン装置3を作動させることが防止される。
【0013】
また、炊飯終了の検出では、所定時間内に通電される電流値が少なくなったら保温になったと判断してファンを停止することができる。炊飯中に現れる間欠通電では、所定値以上の電流値が通電されるため、その電流値によって積算されるポイント値が所定数を下回ることがなく、保温と誤認してファン装置が停止することが防止される。
【実施例】
【0014】
以下、図面を基に本発明の実施例について説明する。 図1は実施例の蒸気排出装置を示す外観図、図2はこの蒸気排出装置が設置された収納庫を示す説明図である。
蒸気排出装置1は、本体ケーシング2内に蒸気排出用ファン装置3を備え、本体ケーシング2の一側面に炊飯器Sの電源プラグが接続される第1コンセント4と電源スイッチ5を備え、本体ケーシング2の他側面に家屋の壁面等に配設されている電源コンセント(図示しない)に接続する電源プラグ6を備え、本体ケーシング2の前面に炊飯器S以外の電化製品(例えば電気ポット等)の電源プラグが接続される第2コンセント7と蒸気排出用ファン装置3の吸気口8と操作パネル9を備え、本体ケーシング2の上面に蒸気排出用ファン装置3の送風口10を備えている。
【0015】
この蒸気排出装置1は、前面のみを開放した収納室C内の奥部下方に設置され、ファン装置3の作動に伴い、本体ケーシング2前面の吸気口8から吸い込んで本体ケーシング2上面の送風口10から送風し、収納室Cの奥面から天面を沿って前方に至る空気の流れを形成する。この空気の流れにより、収納室C内の炊飯器Sや電化製品から排出された蒸気や熱気を収納室C外へ押し出すものである。
【0016】
図3は本実施例の制御系を示すブロック図である。
11は制御部で、ファン装置3・第1及び第2コンセント4,7・電源スイッチ5・操作パネル9が接続されている。この制御部11は、第1コンセント4と第2コンセント7の消費電流の合計電流値を検出してファン装置3の作動/停止を切り替えるとともに、合計電流値が所定値以上になったら第2コンセント7への通電を遮断するといった制御を行う。操作パネル6は、ファン装置3の駆動を手動で行うか自動で行うかを切り替える切替スイッチ12と、遮断された第2コンセントへの通電を復帰させる復帰スイッチ13を備えている。切替スイッチ12で手動を選ぶと第1及び第2コンセント4,7での電流値に関係なくファン装置3が連続的に作動し、自動を選ぶと第1及び第2コンセント4,7での電流値に基づいたファン装置3の制御が行われることになる。
【0017】
続いて、制御部11におけるファン装置3の駆動制御について説明する。
第1コンセント4に炊飯器Sを接続し、電源スイッチ5をONさせ、操作パネル6で自動を選択する。制御部11は、第1コンセント4の電流値に基づいて、炊飯器Sが蒸気発生を伴う調理を開始したことを検出してファン装置3を作動させる。また、第1コンセント4での電流値に基づいて、炊飯器Sの調理が終了したことを検出してファン装置3を停止させる。このようなファン装置3の制御により、炊飯器Sから蒸気が発生している間はファン装置3による排気が行われ、蒸気の発生がなくなるとファン装置3による排気を停止させることができる。
【0018】
図4は炊飯器Sの調理行程と各行程における加熱パターンを示すタイムチャート図である。尚、(a)は大定格(1000W)炊飯器の白米コース、(b)は小定格(300W)炊飯器の白米コースを示している。白米コースは、ひたし炊き行程・炊き上げ行程・むらし行程が順次実行された後、保温行程に入る。
【0019】
大定格炊飯器におけるひたし炊き行程は、中電流値(7A)で間欠的に通電し、鍋内を30〜50℃に保温して米への吸水を促進させる。炊き上げ行程は、最大電流値(10A)で連続的に通電し、鍋内の水を急速に沸騰させた後、中電流値(7A)で間欠的に通電し、鍋内の加熱量を低減しつつ沸騰を継続させて鍋内の水を無くす。むらし行程は、中電流値(7A)で間欠的に通電し、鍋内のご飯を98〜100℃の高温に保持する。保温行程は、鍋内のご飯を70〜75℃に保温する行程であり、炊飯終了直後は電流が流れず、保温温度に近づいたら低電流値(3A)で間欠通電して保温温度に保持する。
【0020】
一方、小定格炊飯器におけるひたし炊き行程は、最大電流値(3A)で間欠的に通電し、炊き上げ行程は、最大電流値(3A)で連続的に通電し、むらし行程は、最大電流値(3A)で間欠的に通電し、保温行程は、低電流値(0.5A)で連続通電することで行われる。
【0021】
また、こうした一連の炊飯コースの他に、冷めたご飯を保温状態に温めるための再保温機能と、保温中のご飯を炊き上げ状態に温める再加熱機能が備えられている。図5は再保温の加熱パターン、図6は再加熱の加熱パターンを示している。
【0022】
再保温の加熱パターンは、出願人の調査により次のパターンに大分されることが分かった。1つは低電流値(3A)で数秒間隔の間欠通電がなされるパターンa(図5a)、もう1つは高電流値(10A)で数秒ON−数十秒OFFの間欠通電がなされるパターンb(図5b)である。再保温では、冷めたご飯を温めるので、基本的に蒸気の発生はないため、ファン装置を作動する必要がない。
再加熱の加熱パターンは、高電流値(10A)で数秒間隔の間欠通電がなされるパターンcが一般的である。再加熱では、保温中のご飯を温めるので、蒸気の発生を伴うため、ファン装置を作動させる必要がある。
【0023】
さて、蒸気排出装置では、こうした炊飯器の調理行程と連動させるため、所定値(閾値)以上の電流値が所定時間通電されたことを検出して炊飯開始を判断してファン装置3を作動させ、所定値(閾値)以上の電流値が所定時間通電されなくなったことを検出して炊飯終了を判断してファン装置3を停止させている。
【0024】
ここで本発明では、炊飯開始と終了を判断する閾値として、小定格炊飯器における炊飯時の最大電流値よりも低い第1の閾値A1と、その最大電流値よりも高い第2の閾値A2とを設定し、所定時間内において第1の閾値を超えた時間と第2の閾値を超えた時間の積算時間をカウントして、そのカウント値が所定値以上になると炊飯開始(炊飯中)、所定値未満になると炊飯終了(保温中)を検出するようにしている。これは、大定格炊飯器における保温時に小定格炊飯器における炊飯時の電流値よりも高い電流値が出力されることがあるため、この両者を区別するためである。
【0025】
また、第1の閾値A1を超えた時間と第2の閾値A2を超えた時間の重み付けを変えている。すなわち、第1の閾値A1を超えた時間によってカウントされる積算時間よりも第2の閾値A2を超えた時間によってカウントされる積算時間の係数を大きくしている。これは、第1の閾値A1を超えた電流値で一定の間、間欠通電が行われる再保温パターンaと再加熱パターンcとを区別するためである。
【0026】
更に、炊飯開始を判断する積算時間の割合と、炊飯終了を判断する積算時間の割合とを変えている。すなわち、炊飯開始を判断する積算時間の割合よりも炊飯終了を判断する積算時間の割合を高くしている。これは、炊飯中に現れる間欠通電によって炊飯終了を判断しないようにするためである。
【0027】
こうした検出動作により、炊飯器の定格の違いによる炊飯と保温の区別が確実に行えるようになる。つまり、炊飯開始は、小定格・大定格ともに各閾値以上の電流が流れ、所定時間内の積算時間が所定値以上になるので炊飯開始が検出される。大定格炊飯器による炊飯中の間欠通電では、第2の閾値を超えた時間が多くなるため、所定時間内の積算時間が所定値以上になり炊飯中が検出される。保温開始は、小定格・大定格ともに電流が流れなくなるので、所定時間内の積算時間が所定値以上になり炊飯終了が検出される。再保温のパターンaは、相対的な通電時間は長いが電流値が低いため、所定時間内の積算時間は所定値未満となり保温中が検出される。再保温のパターンbは、電流値が高く第2の閾値を超えた時間が長くなるが相対的な通電時間が短いため、所定時間内の積算時間が所定値未満となり保温中が検出される。再加熱パターンcは、電流値が高く第2の閾値を超えた時間が長くなり相対的な通電時間が長くなるため、所定時間内の積算時間が所定値以上となり炊飯開始が検出される。
【0028】
図7は炊飯開始(炊飯中)を判断するためのフローチャート図である。
装置が起動すると、T1秒経過後(1)に、第1コンセント4の電流値Aを検出し(2)、この検出電流値Aを第1の閾値A1と比較する(3)。検出電流値Aが第1の閾値A1よりも高い場合、今度は第1の閾値A1よりも高い第2の閾値A2と比較する(4)。そして、こうした処理(3)・(4)の判定に応じて、ポイントカウンタPにポイント値を書き込んでいく。すなわち、処理(3)で検出電流値Aが第1の閾値A1よりも低いと判定された場合、ポイントカウンタPにポイント値0を加算し(5)、処理(4)で検出電流値Aが第2の閾値A2よりも低いと判定された場合、ポイントカウンタPにポイント値1を加算し(6)、処理(4)で検出電流値Aが第2の閾値A1よりも高いと判定された場合、ポイントカウンタPにポイント値3を加算する(7)。
【0029】
これら処理(1)〜(7)までの処理を行うと、回数カウンタNに1を加算した後(8)、ポイントカウンタPに累積されたポイント値が所定値Psに達しているか確認する(9)。ここで、ポイント値が所定値Psに達していない場合、今度は回数カウンタNの数値を確認し(10)、所定数Nsに達していなければ処理(1)に戻って以後の処理を繰り返す。処理(10)で回数カウンタNの数値が所定数Nsに達した場合は、ポイントカウンタPと回数カウンタNをそれぞれリセットし(11),(12)、処理(1)に戻って以後の処理を繰り返す。処理(9)でポイントカウンタPに累積したポイント値が所定数Psに達した場合は、炊飯開始と判断してファン装置3を作動して(13)、開始検出を終了する。
【0030】
このプログラムは、例えば、1秒間隔で電流値を検出し、この電流値が第1の閾値A1を超えていれば1ポイント、第2の閾値A2を超えていれば2ポイントを与え、120秒経過する間に積算したポイント数が100ポイントに達すると炊飯開始(炊飯中)を判断するものである。このプログラムを実行することにより、加熱パターンが類似する再加熱と保温とが区別され、再加熱では炊飯開始・再保温では保温中を確実に検出することができる。
【0031】
まず、再保温パターンaでは、第1の閾値A1を超える電流値で間欠通電がなされるが、第2の閾値A2を超える電流値が流れないため、所定時間(例えば120秒間)内で積算されるポイント数は所定値(例えば100ポイント)に達することがなく、炊飯開始を検出しない。また、再保温パターンbでは、第2の閾値A2を超える電流値が間欠通電で流れるが、相対的な通電時間が短いため、所定時間(例えば120秒間)内で積算されるポイント数は所定値(例えば100ポイント)に達することがなく、炊飯開始を検出しない。一方、再加熱パターンcでは、第2の閾値A2を超える電流値が間欠通電で流れるため、所定時間(例えば120秒間)内で積算されるポイント数は所定値(例えば100ポイント)に達し、炊飯開始が検出されることになる。
【0032】
図8は炊飯終了(保温中)を判断するためのフローチャート図である。
装置が起動すると、T2秒経過後(15)に、第1コンセント4の電流値を検出し(16)、この検出電流値Aを第1の閾値A1と比較する(17)。検出電流値Aが第1の閾値A1よりも高い場合、今度は第1の閾値A1よりも高い第2の閾値A2と比較する(18)。そして、こうした処理(17)・(18)の判定に応じて、ポイントカウンタPにポイント値を書き込んでいく。すなわち、処理(17)で検出電流値Aが第1の閾値A1よりも低いと判定された場合、ポイントカウンタPにポイント値0を加算し(19)、処理(18)で検出電流値Aが第2の閾値A2よりも低いと判定された場合、ポイントカウンタPにポイント値1を加算し(20)、処理(18)で検出電流値Aが第2の閾値A1よりも高いと判定された場合、ポイントカウンタPにポイント値3を加算する(21)。
【0033】
これら処理(15)〜(21)までの処理を行うと、回数カウンタNに1を加算した後(22)、ポイントカウンタPに累積されたポイント値が所定値Peに達しているか確認する(23)。ここで、ポイント値が所定値Peに達していないと判定された場合、今度は回数カウンタNの数値を確認し(24)、所定数Neに達していなければ処理(15)に戻って以後の処理を繰り返す。処理(23)でポイント値が所定値Peに達したと判定された場合、ポイントカウンタPと回数カウンタNをそれぞれリセットし(25),(26)、処理(15)に戻って以後の処理を繰り返す。処理(24)で回数カウンタNの数値が所定数Neに達したと判定された場合、セット数カウンタCに1を加算した後(27)、セット数カウンタCの数値を確認する(28)。処理(28)でセット数カウンタCの数値が2に達していない場合、ポイントカウンタPと回数カウンタNをそれぞれリセットし(25),(26)、処理(15)に戻って以後の処理を繰り返す。処理(28)でセット数カウンタCの数値が2に達したと判定された場合、炊飯終了と判断してファン装置3を停止して(29)、終了検出を終了する。
【0034】
このプログラムは、例えば、1秒間隔で電流値を検出し、この電流値が第1の閾値A1を超えていれば1ポイント、第2の閾値A2を超えていれば2ポイントを与え、120秒経過する間に積算したポイント数が50ポイントに達しないことを2回連続で続いたら炊飯終了(保温中)を判断するものである。このプログラムを実行することにより、炊飯中の間欠通電で炊飯終了を誤認せず、保温を確実に検出することができる。
【0035】
まず、炊飯中の間欠通電では、第2の閾値A2を超える電流値で間欠通電がなされるため、所定時間(例えば120秒間)内で積算されるポイント数は所定値(例えば50ポイント)に達するため、炊飯終了を検出しない。一方、保温開始では電流がほとんど流れなくなるため、所定時間(例えば120秒間)内で積算されるポイント数は所定値(例えば50ポイント)に達しなくなり炊飯終了が検出される。尚、出願人の試験により、ご飯が温かいうちは保温パターンb,cは現れないことが分かった。よって、炊飯直後に保温パターンb,cが現れて炊飯終了が検出できないという事態は起こらない。
【0036】
以上のように本実施例は構成され、所定時間内で検出される電流値が閾値を越えたことをカウントし、その積算値によって炊飯の開始/終了を判断するようにしたものである。炊飯開始の検出では、上下2つの閾値を設定し、上閾値を越えたときのポイント数を下閾値を越えたときのポイント数より多くすることで、小さい電流値で間欠通電される保温時の加熱パターンに対して識別性を持たせ、蒸気が発生しない行程でファン装置3を作動させることが防止される。
【0037】
また、炊飯終了の検出では、炊飯開始検出時とは逆に所定時間内に通電される電流値が少なくなったら保温になったと判断する。炊飯中に現れる保温に似た加熱パターンでは所定値以上の電流値が通電されるため、その電流値によって累積されるポイント値が所定数を下回ることがなく、保温と誤認してファン装置が停止することが防止される。
【0038】
尚、各設定値は、炊飯器の種類等によって適宜設定されるものであり、特別限定されるものではなく、実施態様を逸脱しない程度で変更可能である。ここでは、第1の閾値を300W程度の小定格炊飯器における炊飯時の電流値よりも低く設定し、第2の閾値をこの電流値よりも高く設定すること、第1の閾値を超えた時間よりも第2の閾値を超えた時間の方が積算されるポイントが多くなること、炊飯開始(炊飯中)を判断する積算ポイント数よりも炊飯終了(保温中)を判断する積算ポイント数を少なくすることを考慮して各設定値を決定するのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施例1の蒸気排出装置の全体斜視図である。
【図2】蒸気排出装置が設置されたキッチン収納庫の外観正面図ある。
【図3】実施例1の制御系を示すブロック図である。
【図4】炊飯コースの行程を示す説明図である。
【図5】保温の動作を示す説明図である。
【図6】再加熱の動作を示す説明図である。
【図7】炊飯開始検出のフローチャート図である。
【図8】炊飯終了検知のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0040】
1 蒸気排出装置
3 ファン装置
4 第1のコンセント
5 電源スイッチ
7 第2のコンセント
8 吸気口
10 送風口
11 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納庫内に収納される炊飯器から発生した蒸気を収納庫外へ排出する蒸気排出装置において、
蒸気排出用ファンと、炊飯器の電源プラグが差し込まれるコンセントと、炊飯器に流れる電流値に基づいて蒸気排出用ファンの駆動を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、単位時間毎に炊飯器に流れる電流値を検出し、この検出電流値が第1の閾値を超えた時間と第1の閾値より高く設定した第2の閾値を超えた時間とを係数を変えて積算して、所定時間内に積算した時間が所定値に達すると前記蒸気排出用ファンを駆動することを特徴とする蒸気排出装置。
【請求項2】
収納庫内に収納される炊飯器から発生した蒸気を収納庫外へ排出する蒸気排出装置において、
蒸気排出用ファンと、炊飯器の電源プラグが差し込まれるコンセントと、炊飯器に流れる電流値に基づいて蒸気排出用ファンの駆動を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、単位時間毎に炊飯器に流れる電流値を検出し、この検出電流値が第1の閾値を超えた時間と第1の閾値より高く設定した第2の閾値を超えた時間とを係数を変えて積算して、所定時間内に積算した時間が所定値に達しなくなると前記蒸気排出用ファンを停止することを特徴とする蒸気排出装置。
【請求項3】
収納庫内に収納される炊飯器から発生した蒸気を収納庫外へ排出する蒸気排出装置において、
蒸気排出用ファンと、炊飯器の電源プラグが差し込まれるコンセントと、炊飯器に流れる電流値に基づいて蒸気排出用ファンの駆動を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、単位時間毎に炊飯器に流れる電流値を検出し、この検出電流値が第1の閾値を超えた時間と第1の閾値より高く設定した第2の閾値を超えた時間とを係数を変えて積算して、所定時間内に積算した時間が第1の所定値に達すると前記蒸気排出用ファンを駆動するとともに、所定時間内に積算した時間が第2の所定値に達しなくなると前記蒸気排出用ファンを停止する機能を備え、
前記第2の所定値を第1の所定値よりも長く設定したことを特徴とする蒸気排出装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検出電流値が第1の閾値を超えたときに第1のポイントをカウントし、前記検出電流値が第2の閾値を超えたときに前記第1のポイントよりも高い第2のポイントをカウントし、この第1及び第2のポイントの積算値が所定値に達するか否かを検出することを特徴とする上記請求項1乃至3記載の蒸気排出装置。
【請求項5】
前記制御手段は、所定時間内に積算したポイントが所定値に達しないことを複数回連続で検出したら前記蒸気排出用ファンを停止する上記請求項2又は3記載の蒸気排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−297317(P2009−297317A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156146(P2008−156146)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】