説明

蒸気発生器、及び排熱発電装置

【課題】 蒸気発生器、予熱器、熱回収器の各機器を一体として構成することで、装置の小型化及び低廉化を図ることができる蒸気発生器、及び蒸気発生器を用いた排熱発電装置を提供すること。
【解決手段】 一つのプレート式の熱交換器で構成される蒸気発生器であって、熱交換器を予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2に区分し、該予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2のそれぞれの加熱側の板間流体流路41、41、…には排熱源からの排熱媒体101を流すと共に、予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の被加熱側の板間流体流路42、42、…には作動媒体21を順に流し加熱・蒸発させるように蒸気発生器40を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱を熱源とし高圧作動媒体蒸気を発生する蒸気発生器、及び蒸気発生器に本発明に係る蒸気発生器を用いた排熱発電装置に関し、特に蒸気発生器のコンパクト化を図ることで、装置の小型化及び低廉化に寄与できる蒸気発生器、及び排熱発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に排熱発電装置は、排熱を回収して作動媒体の高圧蒸気を発生する蒸気発生器と、該高圧蒸気を膨張させるタービンと、該タービンで駆動される発電機、該タービンからの低圧蒸気を凝縮する凝縮器と、作動媒体を循環させる循環ポンプを備えて構成されている。
【0003】
上記排熱発電装置の蒸気発生器内部では、加熱側に排熱源からの排熱媒体を流し、被加熱側には作動媒体を流して、作動媒体の蒸気が発生するので、作動媒体の流路は蒸気の流速を考慮した流路断面積としている。蒸気と液とでは比容積が大きく異なるから、作動媒体蒸気の流速に比べて作動媒体液の流速は非常に遅くなるという傾向がある。
【0004】
蒸気発生器の作動媒体の伝熱は、気泡が発生し沸騰している部分と、沸騰していない部分とでは非常に異なり、作動媒体の流速が0.1m/sec以下で殆ど静止している状態では、沸騰している部分と、沸騰していない部分との伝熱係数比は100:1程度になることもある。このような状態では蒸気発生器の沸騰していない部分の面積が非常に大きくなるという問題がある。
【0005】
図1は上記問題を解決するために提案された発電装置の一構成例である。発電装置10は、蒸気発生器11、凝縮器12、膨張機として蒸気タービン13、作動媒体循環ポンプ14、バルブ15、これらを結ぶ配管経路16、該配管経路16に封入した作動媒体21、及び蒸気タービン13により駆動される発電機17を具備する構成である。作動媒体循環ポンプ14から蒸気発生器11までの配管経路16中に、予熱器18を設けている。蒸気発生器11及び予熱器18に供給する加熱熱媒としてはここでは排熱媒体101を用いている。また、凝縮器12に供給される冷却媒体としてここでは冷却水102を用いている。
【0006】
作動媒体循環ポンプ14で作動媒体(液)21を予熱器18に送り、該予熱器18で作動媒体(液)21と排熱媒体101の間で熱交換が行われ、作動媒体(液)21は蒸気発生器11の内圧に対し、過熱状態或いは飽和温度に近い状態まで加熱される。加熱された作動媒体(液)21は蒸気発生器11に入り直に沸騰を開始、発生した作動媒体(蒸気)21’はバルブ15を通って蒸気タービン13に送られ、該蒸気タービン13により発電機17は駆動され発電する。蒸気タービン13を出た蒸気は凝縮器12に送られ、該凝縮器12で作動媒体蒸気と冷却水102の間で熱交換が行われ、作動媒体(蒸気)21’は冷却され凝縮する。凝縮した作動媒体(液)21は作動媒体循環ポンプ14に吸収されてクローズドシステムを一巡する。
【0007】
上記のように、図1に示す構成の発電装置10では、凝縮器12から蒸気発生器11に送られる低温度の作動媒体21を予熱器18で蒸気発生器11内の作動媒体温度(蒸発温度)に近づけ、或いは超えてから導入することで、それぞれに最適な伝熱条件を整え、前記した蒸気発生器11の小型化ができるようにしている。
【0008】
また、蒸気発生器11を小型化しようとすると、蒸気発生器11の圧力損失が大きくなり、蒸気発生器11出口の作動媒体(蒸気)21’に含まれる液滴を分離しても、蒸気発生器11に戻すことが難しくなる場合がある。この分離した液滴を、低圧部である凝縮器に戻したりすると、その保有する熱が凝縮器12に逃げてしまうため、効率が低下する。
【0009】
図2は上記問題を解決するために提案された発電装置の一構成例である。本発電装置は蒸発発生器11、蒸気タービン13、凝縮器12、バッファタンク33、作動媒体循環ポンプ14を備え、これらの機器を配管経路16で接続して構成されている。そして蒸気発生器11と蒸気タービン13の間に気液分離器20が配置され、該気液分離器20の分離液21”を配管30及び熱交換器(熱回収器)31を通して凝縮器12に導く。そして該熱交換器31で該分離液21”と作動媒体循環ポンプ14で蒸気発生器11に送る作動媒体との間で熱交換を行なう。更に配管30の熱交換器31と凝縮器12との間に流量制御手段としてオリフィス32を設けている。なお、図中、34は三方弁、35は逆止弁、18は予熱器である。
【0010】
予熱器18では排熱源からの排熱媒体(例えば温水)101と作動媒体循環ポンプ14により送られてきた作動媒体(液)21との間で熱交換が行われ、該作動媒体21は加熱され蒸気発生器11に入る。該蒸気発生器11でこの加熱された作動媒体21と排熱媒体101との間で熱交換が行われ、作動媒体21は高圧の作動媒体蒸気21’となる。この高圧の作動媒体(蒸気)21’は蒸気タービン13に供給され、該蒸気タービン13を駆動し低圧となった作動媒体蒸気21’は凝縮器12で外部冷媒(例えば冷却水)で冷却され凝縮し作動媒体(液)となる。該凝縮した作動媒体(液)21はバッファタンク33に収容され、作動媒体循環ポンプ14で蒸気発生器11に送られる。気液分離器20で分離された分離液(作動媒体液)21”は熱交換器31で作動媒体循環ポンプ14により蒸気発生器11に送られてきた作動媒体(液)21との間で熱交換され、冷却熱されて凝縮器12に送られる。このように気液分離器20で分離した作動媒体液を配管30を通して凝縮器12に導くとともに、熱交換器31で熱回収を行うので、発電装置の効率を低下させることなく、蒸気発生器11をコンパクトにできる。
【特許文献1】特開2000−171177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発電装置を図1及び図2に示すように構成することにより、発電装置の小型化が可能となるが、それでも、蒸気発生器、予熱器、熱回収器の各機器を接続する配管等があり、これが発電装置のさらなる小型化の障害になると同時に、組立に要する工数が多くなるという問題があった。
【0012】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものてで、蒸気発生器、予熱器、熱回収器の各機器を一体として構成することで、装置の小型化及び低廉化を図ることができる蒸気発生器、及び蒸気発生器を用いた排熱発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、一つのプレート式の熱交換器で構成される蒸気発生器であって、前記熱交換器を予熱部と蒸発伝熱部に区分し、該予熱部と蒸発伝熱部のそれぞれの加熱側には排熱源からの排熱媒体を流すと共に、前記予熱部と前記蒸発伝熱部の被加熱側には作動媒体を順に流し加熱・蒸発させるように構成したことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、一つのプレート式の熱交換器で構成される蒸気発生器であって、前記熱交換器を熱回収部と予熱部と蒸発伝熱部に区分し、前記熱回収部の加熱側には前記蒸発伝熱部で発生した作動媒体蒸気を気液分離器に導き分離した作動媒体液を流すと共に、前記予熱部と蒸発伝熱部の加熱側には排熱源からの排熱媒体を流し、前記熱回収部と予熱部と蒸発伝熱部の被加熱側には作動媒体を順に流し加熱・発生させるように構成したことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2のいずれか1項に記載の蒸気発生器において、
前記予熱部の流路断面積は、前記蒸発伝熱部の流路断面積に比べて小さくし、該予熱部の作動媒体の流速が該蒸発伝熱部の作動媒体の流速より速くなるように構成したことを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蒸気発生器において、前記予熱部と蒸発伝熱部の間の作動媒体流路に作動媒体の流量を制限する流量制限手段を設けたことを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、一つのプレート式の熱交換器で構成される蒸気発生器であって、前記熱交換器を熱回収部と蒸発伝熱部に区分し、前記熱回収部の加熱側には前記蒸発伝熱部で発生した作動媒体蒸気を気液分離器に導き分離した作動媒体液を流すと共に、前記蒸発伝熱部の加熱側には排熱源からの排熱媒体を流し、前記熱回収部と蒸発伝熱部の被加熱側に作動媒体を順に流し加熱・蒸発させるように構成したことを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蒸気発生器において、前記各部の間には、断熱層を設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明は、排熱を回収して作動媒体の高圧蒸気を発生する蒸気発生器と、該高圧蒸気を膨張させるタービンと、該タービンからの低圧蒸気を凝縮する凝縮器と、作動媒体を循環させる循環ポンプを備え、これらの機器を配管で接続し、更に前記タービンで駆動させる発電機を備えた排熱発電装置において、前記蒸気発生器に請求項1乃至6のいずれか1項に記載の蒸気発生器を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、一つのプレート式の熱交換器を予熱部と蒸発伝熱部に区分し、該予熱部と蒸発伝熱部の加熱側には排熱媒体を、予熱部と蒸発伝熱部の被加熱側には作動媒体を順に流すように構成したので、一つのプレート式の熱交換器で、予熱器を含む蒸気発生器ができ装置のコンパクト化が可能となると同時に、予熱器と蒸気発生器を接続する配管等が省略でき装置が簡素化されると共に装置の組立が容易となる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、一つのプレート式の熱交換器を熱回収部と予熱部と蒸発伝熱部に区分し、熱回収部の加熱側には気液分離器で分離した作動媒体液を流すと共に、予熱部と蒸発伝熱部の加熱側には排熱媒体を流し、熱回収部と予熱部と蒸発伝熱部の被加熱側には作動媒体を順に流すように構成したので、一つのプレート式の熱交換器で、熱回収器と予熱器を含む蒸気発生器ができ装置のコンパクト化が可能となると同時に、熱回収器、予熱器、蒸気発生器を接続する配管等が省略でき装置が簡素化されると共に装置の組立が容易となる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、予熱部の流路断面積を蒸発伝熱部の流路断面積より小さくし、予熱部の作動媒体の流速が蒸発伝熱部の作動媒体の流速より速くなるように構成したので、これにより予熱部では伝熱を改善されると共に、蒸発伝熱部では蒸気の流動する空間を確保し、圧力損失を抑えることが可能となる。また、このように構成することにより、作動媒体を沸点以上(若しくは沸点近く)まで予熱することと、作動媒体を沸騰させることと、場合によっては作動媒体を過熱させることをコンパクトな1台のプレート式の熱交換器で行うことができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、予熱部と蒸発伝熱部の間の作動媒体流路に作動媒体の流量を制限する流量制限手段を設けたので、予熱部内の作動媒体圧力が作動媒体の飽和圧力を上回らないようにすることができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、一つのプレート式の熱交換器を熱回収部と蒸発伝熱部に区分し、熱回収部の加熱側には気液分離器で分離した作動媒体液を流すと共に、蒸発伝熱部と熱回収部の被加熱側に作動媒体を順に流すように構成したので、一つのプレート式の熱交換器で、熱回収器を含む蒸気発生器ができ装置のコンパクト化が可能となると同時に、予熱器と蒸気発生器を接続する配管等が省略でき装置を簡素化させると共に装置の組立が容易となる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、熱回収部、予熱部、蒸発伝熱部の各部の間には、断熱層を設けたので、各部間での熱授受による熱損失を防止し、熱効率を向上させることができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、排熱発電装置の蒸気発生器に、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の蒸気発生器を用いたので、熱回収器、予熱器を別途設ける必要がなく、装置が全体が小型化できると共に、組立が容易になり、装置の低廉化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図3は本発明に係る蒸気発生器の概略構成と排熱媒体及び作動媒体の流れを示す図である。本蒸気発生器40は後に詳述する構成のプレート式の熱交換器であり、該熱交換器は顕熱熱交換を行なう予熱部40−1と、蒸発熱交換を行なう蒸発伝熱部40−2とに分け、予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の間に断熱部40−3を設けて構成している。蒸気発生器40は後に詳述するように多数の板材を積層した構造で、板材と板材の間に流体(熱媒体や作動媒体)が流れる板間流体流路41、42が形成されている。
【0028】
予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2には作動媒体21が流れる板間流体流路42、42、…(被加熱側)と、排熱源からの排熱媒体101が流れる板間流体流路41、41、…(加熱側)とが設けられている。予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の加熱側の板間流体流路41、41、…に排熱源からの排熱媒体101を図の上方から下方に流し、作動媒体21を予熱部40−1の被加熱側の板間流体流路42、42、…に上方から下方に流し、該板間流体流路42、42、…を通った作動媒体21を更に蒸発伝熱部40−2の板間流体流路42、42、…の下方から上方に流している。ここで、予熱部40−1の板材の積層枚数を蒸発伝熱部40−2よりも小さくなるように設計している。これにより、予熱部40−1では作動媒体21の流速が大きくなって伝熱を改善すると共に、蒸発伝熱部40−2では蒸気の流動する空間を確保し、圧力損失を抑えることが可能となる。
【0029】
このようにすると、作動媒体21を沸点以上(若しくは沸点近く)まで予熱することと、作動媒体21を沸騰させることと、場合によっては作動媒体21を過熱させることをコンパクトなプレート式の熱交換器1台で行なうことができ、排熱発電装置の構成機器と連絡配管を大幅に削減し、装置のコンパクト化と低廉化に大きく寄与する。なお、断熱部40−3は、後に詳述するように、板材を積層する際に、加熱側被加熱側どちらの板間流体流路からも閉塞された部分を設け、断熱の機能を設けたものである。
【0030】
上記構成の蒸気発生器において、作動媒体循環ポンプ14(図1参照)で送り込まれた凝縮器12からの低温の作動媒体21は、先ず予熱部40−1の被加熱側の板間流体流路42、42、…を上方から下方に流れ、ここで加熱側の板間流体流路41、41、…を流れる排熱媒体101の間で熱交換が行なわれ蒸発伝熱部40−2内の蒸気発生温度近くまで加熱される。その後、蒸発伝熱部40−2内の板間流体流路42、42、…を下方から上方に流れ、加熱され気化して蒸気となる。
【0031】
この場合、蒸発伝熱部40−2は向流の熱交換器(蒸気発生部)相当となり、出口での蒸気の過熱度を高くとることができると同時に、予熱部40−1では、併流の熱交換器(予熱器)相当となるので、作動媒体21が加熱され過ぎて予熱部40−1で気化することが少なくなる。なお、予熱部40−1で作動媒体21が多く気化すると、予熱部40−1内の圧力損失が大きくなったり、予熱部40−1内で偏流が生じる原因となったりする場合があるので好ましくない。
【0032】
図4は本発明に係る他の蒸気発生器の概略構成と排熱媒体及び作動媒体の流れを示す図である。図示するように、本蒸気発生器40では、排熱源からの排熱媒体101を図3とは逆にしている。即ち、排熱源からの排熱媒体101の流れを蒸発伝熱部40−2と予熱部40−1の加熱側の板間流体流路41、41、…を下から上方に流れている。そして作動媒体循環ポンプ14(図1参照)で送り込まれた凝縮器12からの低温の作動媒体21は、図3の場合と同様に、先ず予熱部40−1の被加熱側の板間流体流路42、42、42を上方から下方に流れ、ここで蒸発伝熱部40−2内の蒸気発生温度近くまで加熱され、その後、蒸発伝熱部40−2内の板間流体流路42、42、…を下方から上方に流れ、加熱され気化して蒸気となる。
【0033】
上記のように構成することにより、予熱部40−1が向流相当となり、蒸発伝熱部40−2は併流となるので、予熱部40−1の温度効率が改善して作動媒体21を高い温度まで予熱することができると共に、蒸発伝熱部40−2も作動媒体循環側の下部で特に蒸発が盛んになって蒸発伝熱部40−2内の蒸気流動が良くなる。
【0034】
なお、上記のように、予熱部40−1で作動媒体21が気化すると偏流を生じる可能性があるので、必要があれば作動媒体循環側の蒸発伝熱部40−2と予熱部40−1の間の作動媒体流路に流量制御手段としてオリフィス43を設け、圧力損失を生じさせ、予熱部40−1の作動媒体圧力が作動媒体の飽和圧力を下回らないようにしている。なお、特に図示しないが、蒸発伝熱部40−2と予熱部40−1の間の作動媒体流路に設けたオリフィス43に代えて、蒸発伝熱部40−2の板間流体流路42、42、…の各々の入口部分に、オリフィスやその他の流量を制限する構造を設けることとしても良い。
【0035】
図5は本発明に係る他の蒸気発生器の概略構成と排熱媒体及び作動媒体の流れを示す図である。図示するように、本蒸気発生器40は、プレート式の熱交換器を予熱部40−1と、蒸発伝熱部40−2と、熱回収部40−4(図2の熱交換器(熱回収器)31に相当)に区分して構成されている。
【0036】
熱回収部40−4の加熱側の板間流体流路41、41に気液分離器20(図2参照)で気液分離された分離液(作動媒体(液))21”を上方から下方に流し、予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の加熱側の板間流体流路41、41、…に排熱源からの排熱媒体101を上方から下方に流している。そして熱回収部40−4の被加熱側の板間流体流路42、42に凝縮器12からの作動媒体(液)21(図2参照)を下方から上方に流し、作動媒体(分離液)21”の熱を回収し加熱された作動媒体21を予熱部40−1の板間流体流路42、42に上方から下方に流して加熱し、更に蒸発伝熱部40−2の板間流体流路42、42、…に下方から上方に流し、加熱気化している。
【0037】
上記構成の蒸気発生器40では、排熱源からの排熱媒体101は予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の加熱側の板間流体流路41、41、…を平行して流れており、熱回収部40−4では気液分離器20で分離された分離液(作動媒体(液))21”が加熱側を流れている。そして熱回収部40−4に供給される低温の作動媒体(液)21は、該熱回収部40−4で加熱された後、予熱部40−1で加熱され、更に蒸発伝熱部40−2で加熱・気化する。熱回収部40−4で低温の作動媒体(液)21に熱を回収されて冷却した分離液(作動媒体(液))21”は凝縮器12(図2参照)へと送られる。
【0038】
なお、予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の間にはガス抜きオリフィス44が設けられている。このガス抜きオリフィス44は、何らかの理由で予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の間の折り返し部に、不凝縮ガスが入り込んだとき、これを排出するためのもので、極小径の穴を有するオリフィスである。
【0039】
図6は本発明に係る他の蒸気発生器の概略構成と排熱媒体及び作動媒体の流れを示す図である。図示するように、本蒸気発生器40はプレート式の熱交換器を熱回収部40−4と蒸発伝熱部40−2に区分し、予熱部は設けていない。そして熱回収部40−4の加熱側の板間流体流路41、41に気液分離器20で気液分離された分離液(作動媒体(液))21”を下方から上方に流し、蒸発伝熱部40−2の加熱側の板間流体流路41、41、…に排熱源からの排熱媒体101を上方から下方に流している。そして熱回収部40−4の被加熱側の板間流体流路42、42に凝縮器12からの作動媒体(液)21(図2参照)を上方から下方に流し、分離液(作動媒体(液))21”の熱を回収し加熱された作動媒体21を蒸発伝熱部40−2の被加熱側の板間流体流路42、42、…に下方から上方に流し、加熱・気化している。
【0040】
上記のように予熱部を省略しても、排熱源の排熱媒体101の温度が十分に高い場合や、作動媒体21の熱伝達率が比較的良い媒体では、このような構成にしてもよい。
【0041】
図7〜図9は図3に示す蒸気発生器40の具体的構成例を示す図で、図7は蒸気発生器40の縦断面図、図8は蒸気発生器40の一部(板材積層体の一部)断面図、図9は蒸気発生器40の概略斜視図である。図7〜図9に示すように、両端部近傍を残して断面形状を波形にし、且つ、角部に排熱媒体101が流入する排熱媒体流入口46、作動媒体21が流入する作動媒体流入口47、排熱媒体101が流出する排熱媒体流出口48、作動媒体21が流出する作動媒体流出口49が設けられている。ここで板間流体流路41や板間流体流路42を形成する板材45は、図8に示すように波形の峰部どうしを対向接触させる状態で多数積層している。
【0042】
この板材積層体における板材積層方向の一端側寄りの部分は、予熱部40−1となっており、他端側寄りの部分は蒸発伝熱部40−2となっている。排熱媒体流入口46は板材積層体の予熱部40−1から蒸発伝熱部40−2に渡って設けた流路(孔)50に連通し、該流路50に予熱部40−1及び蒸発伝熱部40−2の加熱側の板間流体流路42、42、…が連通しており、該板間流体流路42、42、…は予熱部40−1から蒸発伝熱部40−2に渡って設けた流路(孔)51に連通しており、該流路51は排熱媒体流出口48に連通している。
【0043】
作動媒体流入口47は板材積層体の予熱部40−1に設けた流路(孔)52に連通しており、該流路52は予熱部40−1の被加熱側の板間流体流路42に連通しており、該板間流体流路42は板材積層体の予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2を接続する流路(孔)53に連通しており、該流路53は蒸発伝熱部40−2の被加熱側の板間流体流路42に連通し、該板間流体流路42は、板材積層体の蒸発伝熱部40−2に設けた流路(孔)54に連通し、流路54は作動媒体流出口49に連通している。
【0044】
予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の間に介在する断熱部40−3は対向する2枚の板材45に囲まれた空間であり、該空間は加熱側被加熱側どちらの板間流体流路41、42からも閉塞された空間で、内部を真空にしている。これにより該空間は真空断熱層となっている。なお、該空間に断熱材を充填して断熱層としてもよい。このように断熱部40−3を設けることにより、予熱部40−1と蒸気伝熱部40−2との間での熱授受による熱損失を防止できる。
【0045】
上記構成の蒸気発生器40において、排熱媒体流入口46から流入する排熱源からの排熱媒体101は流路50に流入し、ここから予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の加熱側の板間流体流路41、41、…を通って流れ、流路51を通って排熱媒体流出口48から蒸気発生器40の外に流出する。作動媒体流入口47から流入する作動媒体21は流路52に流入し、ここから予熱部40−1の被加熱側の板間流体流路42、42、…を通って板間流体流路41、41、…内を通る排熱媒体101と併流し、熱交換が行なわれる。加熱された作動媒体21は流路53を通って、蒸発伝熱部40−2の被加熱側の板間流体流路42、42、…を通って板間流体流路41、41、…内を通る排熱媒体101と向流し、熱交換が行なわれ、加熱されて気化される。該気化した作動媒体(蒸気)21’は流路54を通って、作動媒体流出口49から蒸気発生器40の外に流出する。
【0046】
図示は省略するが、図4に示す蒸気発生器40は、図7〜図9において、排熱媒体流出口48を作動媒体流入口とし、作動媒体流入口47は排熱媒体流出口とし、予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の間に流路53に流路断面を小さくしたオリフィス43を設けることにより実現できる。また、オリフィス43に代えて、流路(孔)53から、蒸発伝熱部40−2の各板間流体流路42、42、…に作動媒体が流れ込む部分にオリフィスもしくは流量を制限する構造を設けることとしても、同等の効果が生じせしめることができる。
【0047】
図10は図5に示す蒸気発生器40の具体的構成例を示す縦断面図である。図示するように、板材積層体からなるプレート式の熱交換器を断熱部40−3、40−3を介在させて熱回収部40−4と予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2区分している。そして排熱媒体101が流入する排熱媒体流入口46、作動媒体21が流入する作動媒体流入口47、排熱媒体101が流出する排熱媒体流出口48、作動媒体21が流出する作動媒体流出口49が設けられている。更に気液分離器20の分離液21”(図2参照)が流入する分離液流入口55、分離液21”が流出する分離液流出口56が設けられている。
【0048】
作動媒体流入口47は板材積層体の熱回収部40−4に設けた流路(孔)58に連通している。該流路58には熱回収部40−4の被加熱側の板間流体流路42、42に連通しており、該板間流体流路42、42は板材積層体の熱回収部40−4の流路(孔)60に連通し、該流路60は板材積層体の予熱部40−1の流路52に連通している。該流路52は予熱部40−1の板間流路42、42に連通し、更に板間流路42、42は予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2を接続する流路53に連通している。該流路53は蒸発伝熱部40−2の被加熱側の板間流体流路42に連通し、該板間流体流路42は、板材積層体の蒸発伝熱部40−2に設けた流路54に連通し、流路54は作動媒体流出口49に連通している。
【0049】
分離液流入口55は板材積層体の熱回収部40−4に設けた流路(孔)57に連通しており、該流路57は熱回収部40−4の加熱側の板間流体流路41に連通しており、該板間流体流路41は熱回収部40−4に設けた流路(孔)59に介して分離液流出口56に連通している。
【0050】
上記構成の蒸気発生器40において、排熱媒体流入口46から流入する排熱源からの排熱媒体101は流路50に流入し、ここから熱回収部40−4と予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の加熱側の板間流体流路41、41、…を通って流れ、流路51を通って排熱媒体流出口48から蒸気発生器40の外に流出する。作動媒体流入口47から流入する作動媒体21は流路58に流入し、ここから熱回収部40−4の被加熱側の板間流体流路42を通って流れ、ここで板間流体流路41、41を通る分離液21”の熱を回収し加熱され、熱回収部40−4の流路(孔)60を通って予熱部40−1の流路52に流入する。
【0051】
上記流路52に流入した作動媒体21は、予熱部40−1の被加熱側の板間流体流路42、42を通って板間流体流路41、41、…内を通る排熱媒体101と併流し、熱交換が行なわれ加熱される。加熱された作動媒体21は流路53を通って、蒸発伝熱部40−2の被加熱側の板間流体流路42、42、…を通って板間流体流路41、41、…内を通る排熱媒体101と向流し、熱交換が行なわれ、加熱されて気化される。該気化した作動媒体(蒸気)21’は流路54を通って、作動媒体流出口49から蒸気発生器40の外に流出する。
【0052】
図示は省略するが、予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の間に流路53の流路断面を小さくしたオリフィス43(図5参照)を設けている。また、同じく図示は省略するが予熱部40−1と蒸発伝熱部40−2の間にはガス抜きオリフィス44(図5参照)が設けている。なお、図6に示す蒸気発生器は、図示は省略するが、図10に示す蒸気発生器において、予熱部40−1を省略した形態で実現することができる。また、オリフィス43に代えて、流路(孔)53から、蒸発伝熱部40−2の各板間流体流路42、42、…に作動媒体が流れ込む部分にオリフィスもしくは流量を制限する構造を設けることとしても、同等の効果を生じせしめることができる。
【0053】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】排熱発電装置の構成例を示す図である。
【図2】排熱発電装置の構成例を示す図である。
【図3】本発明に係る蒸気発生器の概略構成例と排熱媒体及び作動媒体の流れを示す図である。
【図4】本発明に係る蒸気発生器の概略構成例と排熱媒体及び作動媒体の流れを示す図である。
【図5】本発明に係る蒸気発生器の概略構成例と排熱媒体、作動媒体及び分離液の流れを示す図である。
【図6】本発明に係る蒸気発生器の概略構成例と排熱媒体、作動媒体及び分離液の流れを示す図である。
【図7】本発明に係る蒸気発生器の具体的構成例を示す縦断面図である。
【図8】本発明に係る蒸気発生器の板材積層体の一部面図である。
【図9】本発明に係る蒸気発生器の概略斜視図である。
【図10】本発明に係る蒸気発生器の具体的構成例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0055】
10 発電装置
11 蒸気発生器
12 凝縮器
13 蒸気タービン
14 作動媒体循環ポンプ
15 バルブ
16 配管経路
17 発電機
18 予熱器
20 気液分離器
21 作動媒体
21” 分離液
30 配管
31 熱交換器(熱回収器)
32 オリフィス
33 バッファタンク
34 三方弁
35 逆止弁
40 蒸気発生器
41 板間流体流路
42 板間流体流路
43 オリフィス
44 ガス抜きオリフィス
45 板材
46 排熱媒体流入口
47 作動媒体流入口
48 排熱媒体流出口
49 作動媒体流出口
50 流路(孔)
51 流路(孔)
52 流路(孔)
53 流路(孔)
54 流路(孔)
55 分離液流入口
56 分離液流出口
57 流路(孔)
58 流路(孔)
59 流路(孔)
60 流路(孔)
101 排熱媒体
102 冷却水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのプレート式の熱交換器で構成される蒸気発生器であって、
前記熱交換器を予熱部と蒸発伝熱部に区分し、該予熱部と蒸発伝熱部のそれぞれの加熱側には排熱源からの排熱媒体を流すと共に、前記予熱部と前記蒸発伝熱部の被加熱側には作動媒体を順に流し加熱・蒸発させるように構成したことを特徴とする蒸気発生器。
【請求項2】
一つのプレート式の熱交換器で構成される蒸気発生器であって、
前記熱交換器を熱回収部と予熱部と蒸発伝熱部に区分し、前記熱回収部の加熱側には前記蒸発伝熱部で発生した作動媒体蒸気を気液分離器に導き分離した作動媒体液を流すと共に、前記予熱部と蒸発伝熱部の加熱側には排熱源からの排熱媒体を流し、前記熱回収部と予熱部と蒸発伝熱部の被加熱側には作動媒体を順に流し加熱・発生させるように構成したことを特徴とする蒸気発生器。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項に記載の蒸気発生器において、
前記予熱部の流路断面積は、前記蒸発伝熱部の流路断面積に比べて小さくし、該予熱部の作動媒体の流速が該蒸発伝熱部の作動媒体の流速より速くなるように構成したことを特徴とする蒸気発生器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蒸気発生器において、
前記予熱部と蒸発伝熱部の間の作動媒体流路に作動媒体の流量を制限する流量制限手段を設けたことを特徴とする蒸気発生器。
【請求項5】
一つのプレート式の熱交換器で構成される蒸気発生器であって、
前記熱交換器を熱回収部と蒸発伝熱部に区分し、前記熱回収部の加熱側には前記蒸発伝熱部で発生した作動媒体蒸気を気液分離器に導き分離した作動媒体液を流すと共に、前記蒸発伝熱部の加熱側には排熱源からの排熱媒体を流し、前記熱回収部と蒸発伝熱部の被加熱側に作動媒体を順に流し加熱・蒸発させるように構成したことを特徴とする蒸気発生器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蒸気発生器において、
前記各部の間には、断熱層を設けたことを特徴とする蒸気発生器。
【請求項7】
排熱を回収して作動媒体の高圧蒸気を発生する蒸気発生器と、該高圧蒸気を膨張させるタービンと、該タービンからの低圧蒸気を凝縮する凝縮器と、作動媒体を循環させる循環ポンプを備え、これらの機器を配管で接続し、更に前記タービンで駆動させる発電機を備えた排熱発電装置において、
前記蒸気発生器に請求項1乃至6のいずれか1項に記載の蒸気発生器を用いたことを特徴とする排熱発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−322692(P2006−322692A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148723(P2005−148723)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】