蒸発器の除霜手段及びこの除霜手段を備えた冷蔵庫
【課題】可燃性冷媒が漏洩した環境下において除霜動作を行うと、除霜手段を構成するヒーター線温度が可燃性冷媒の発火温度を超えることにより、可燃性冷媒が発火する可能性がある。
【解決手段】螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線106と、ヒーター線106を覆うガラス107管と、ガラス管107内への除霜水侵入防止用のキャップ108とにより構成され、ガラス管107の外表面部に放熱促進用のフィンを設けたことにより、外部への放熱性を高めて除霜効果を維持しながら除霜手段101自身の昇温を抑える。
【解決手段】螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線106と、ヒーター線106を覆うガラス107管と、ガラス管107内への除霜水侵入防止用のキャップ108とにより構成され、ガラス管107の外表面部に放熱促進用のフィンを設けたことにより、外部への放熱性を高めて除霜効果を維持しながら除霜手段101自身の昇温を抑える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸発器の除霜手段及びこの除霜手段を有する冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、蒸発器の除霜手段を有する冷蔵庫に関するものとしては、例えば特許文献1に示されているものがある。
【0003】
以下、図面を参照しながら上記従来の冷蔵庫を説明する。
【0004】
図3は、従来提案されている冷蔵庫の概略縦断面図である。図3において、1は冷蔵庫本体、2は冷蔵庫本体1の内部にある冷凍室、3は冷蔵庫本体の内部にある冷蔵室、4は冷凍室扉、5は冷蔵室扉、6は冷凍室2と冷蔵室3を仕切る仕切壁、7は冷凍室2内の空気を吸い込む冷凍室吸入口、8は冷蔵室3内の空気を吸込む冷蔵室吸込口、9は冷気を吐出する吐出口、10は蒸発器、11は冷気を循環させるファン、12は蒸発器10と冷凍室2を仕切る蒸発器仕切壁、13は桶、14は排水口、15は螺旋状に巻かれた金属抵抗体から成るヒーター線をガラス管で覆った除霜用管ヒータ、16は除霜水が除霜用管ヒーター15に直接滴下して接触するときに発する蒸発音を防止すると共に除霜用ヒーターにより発せられた熱を反射する金属製の上部反射板、17は桶13と除霜用管ヒーター15の間に設置された金属製の下部反射板である。
【0005】
次に動作について説明する。冷凍室2や冷蔵室3を冷却する場合は、蒸発器10に冷媒が流通して蒸発器10が冷却される。これと同じくしてファン11の作動により、蒸発器10で熱交換された冷気は吐出口9を介して冷凍室2内に送り込まれ、さらに冷凍室2から図示していない連通口を通って冷蔵室3に送り込まれる。そして、冷凍室2や冷蔵室3に送り込まれ昇温した冷気は、冷凍室吸込口7や冷蔵室吸込口8を介して冷却室20に戻り、再び蒸発器10で熱交換され冷凍室2および冷蔵室3に送り込まれる。
【0006】
ここで、蒸発器10と熱交換する空気は、冷凍室扉4及び冷蔵室扉5の開閉により侵入する常温外気の湿気や、冷凍室2及び冷蔵室3に保存されている食品から蒸発した水分を含むことから、その空気より低温である蒸発器10において熱交換する際に、空気中の水分が霜となって蒸発器10やその周辺部品に着霜する。実生活において冷蔵庫を使用するとこの動作を繰り返すことになり、徐々に着霜量が増加する結果、蒸発器10表面と熱交換する空気との伝熱が阻害されると共に、蒸発器10から冷凍室2および冷蔵室3に循環する空気の循環風量が低下して冷却不足が発生する。
【0007】
そこで、冷却不足となる前に除霜用管ヒーター15のニクロム線に通電しニクロム線を高温に発熱させる。ニクロム線から発せられた熱量は、熱伝導と対流と輻射といった伝熱現象を利用して蒸発器10やその周辺部品に輸送され、付着した霜を融解させる。このとき、輻射熱として上部反射板16と下部反射板17に放射された熱線の一部は除霜用管ヒーター15に反射され、その他の輻射熱は蒸発器10やその他の周辺部品に向けて反射される。これにより蒸発器10や桶13や排水口14付近に着いた霜を水に融解する。また、このようにして融解した除霜水は、上部反射板16により除霜用管ヒーター15を避けて桶13に落ちるか或いは直接に桶13に落ち、排水口14から庫外に排水される。
【特許文献1】特開平8−54172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の構成では一般的に除霜用管ヒーター15のニクロム線表面は言うまでもなくガラス管表面温度は非常に高温度となり、可燃性冷媒の発火点温度を容易に上回る。このことから、冷媒として可燃性冷媒を使用した場合には、可燃性冷媒が蒸発器10や庫内と連通している部分に露出した配管から漏洩すると、除霜用管ヒーター15の通電による発火の可能性が有るという課題を有していた。
【0009】
本発明は上記課題に鑑み、可燃性冷媒が除霜手段の設置雰囲気に漏洩した状況で除霜が行われた場合においても、可燃性冷媒による発火の可能性を抑制できる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するための本発明の蒸発器の除霜手段は、冷凍サイクルの蒸発器の除霜手段であって、螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線と、前記ヒーター線を覆うガラス管と、前記ガラス管内への除霜水侵入防止用のキャップとにより構成され、前記ガラス管の外表面部に放熱促進用のフィンを設けたことにより、ガラス管から外部空気への熱伝達性を飛躍的に高めることができると共に除霜手段自身の温度上昇を抑えることができ、除霜効果を低減することなく除霜手段の温度を抑えることが出来る。このため、冷凍サイクル内の可燃性冷媒を適用したような蒸発器の除霜手段として用いた場合であっても、可燃性冷媒が万が一漏洩した環境下においても、発火の可能性を抑制出来る。
【0011】
また、本発明の除霜手段を備えた冷蔵庫は、圧縮機と凝縮器と減圧機構と蒸発器とを機能的に接続し可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルと、前記蒸発器に付着した霜を除霜する除霜手段とを設け、前記除霜手段が、螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線と、前記ヒーター線を覆うガラス管とにより構成され、前記ガラス管の外表面部に放熱促進用のフィンを設けたことにより、ガラス管から外部空気への熱伝達性を飛躍的に高めることができると共に除霜手段自身の温度上昇を抑えることができ、除霜効果を低減することなく除霜手段の温度を可燃性冷媒の発火点温度未満に抑えることが出来る。このため、万が一に冷凍サイクル内の可燃性冷媒が庫内に漏洩した環境下において除霜が行われた場合でも、発火の可能性を抑制出来る。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蒸発器の除霜手段及びこの除霜手段を備えた冷蔵庫は、除霜効果を低減することなく除霜手段の温度を可燃性冷媒の発火点温度未満に抑えて、万が一冷凍サイクル内の可燃性冷媒が漏洩した環境下において除霜が行われた場合でも発火の可能性を抑制出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の請求項1に記載の発明は、冷凍サイクルの蒸発器の除霜手段であって、螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線と、前記ヒーター線を覆うガラス管と、前記ガラス管内への除霜水侵入防止用のキャップとにより構成され、前記ガラス管の外表面部に放熱促進用のフィンを設けたものであり、ガラス管から外部空気への熱伝達性を飛躍的に高めることができると共に除霜手段自身の温度上昇を抑えることができ、除霜効果を低減することなく除霜手段の温度を抑えることが出来る。このため、冷凍サイクル内の可燃性冷媒を適用したような蒸発器の除霜手段として用いた場合であっても、可燃性冷媒が万が一漏洩した環境下においても、発火の可能性を抑制出来る。
【0014】
本発明の請求項2に記載の発明は、圧縮機と凝縮器と減圧機構と蒸発器とを機能的に接続し可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルと、前記蒸発器に付着した霜を除霜する除霜手段とを設け、前記除霜手段が、螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線と、前記ヒーター線を覆うガラス管とにより構成され、前記ガラス管の外表面部に放熱促進用のフィンを設けたものであり、ガラス管から外部空気への熱伝達性を飛躍的に高めることができると共に除霜手段自身の温度上昇を抑えることができ、除霜効果を低減することなく除霜手段の温度を可燃性冷媒の発火点温度未満に抑えることが出来る。このため、万が一に冷凍サイクル内の可燃性冷媒が庫内に漏洩した環境下において除霜が行われた場合でも、発火の可能性を抑制出来る。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記除霜手段への除霜水の直接滴下を避ける反射板を、前記ガラス管および前記フィンを上方から覆うように前記除霜手段の上部に設け、前記除霜手段と前記反射板とを前記蒸発器の下方に配置したものであり、除霜効果と安全性を維持しながら除霜水が前記除霜手段に直接滴下するときに発する蒸発音を防止することができる。
【0016】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷凍システム図である。図2は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の除霜手段周辺の断面図である。
【0018】
図1において、101は蒸発器102に付着した霜を除霜する除霜手段であり、103は圧縮機、104は凝縮器、105はキャピラリーチューブにより構成される減圧機構であり、圧縮機103と凝縮器104と減圧機構105と蒸発器102は機能的に環状に冷凍サイクルとして接続され、図示しないイソブタンなどの可燃性を有する自然冷媒が冷凍サイクル内に封入されている。
【0019】
図2に示すように、除霜手段101は、螺旋状に成形されたヒーター線106と、外表面にフィン状の複数の板状成形を施したガラス管107と、除霜水がガラス管107の内部に侵入するのを防止するキャップ108とにより構成されている。
【0020】
フィンを設けたガラス管107の上部には除霜水が除霜手段101に直接滴下して接触するときに発する蒸発音を防止すると共に除霜手段101により発せられた熱を反射する金属製の反射板109が設けられ、この除霜手段101と反射板109とが蒸発器102の下方に配置されている。
【0021】
以上のように構成された除霜手段101について、以下にその動作を説明する。
【0022】
除霜手段101が動作すると、ヒーター線106で電気エネルギーから熱エネルギーに変換された熱量は、ヒーター線自身の温度上昇と、空気とガラス管107を介する外部放熱とに分類でき、熱伝導と周囲空気の対流と輻射現象を通じて除霜動作に使用される。このとき、ガラス管107の外表面がフィン状に成形されていることから外部空気との接触面積が広いため、ヒーター線106からガラス管を介して外部に放熱される割合が大幅に高められ、可燃性冷媒の発火点温度以下にヒーター線106自身の温度上昇を抑制することができる。
【0023】
このことから、万が一に冷凍サイクル内の可燃性冷媒が庫内に漏洩した環境下において除霜が行われた場合でも、除霜手段101の温度は冷凍サイクルに使用されている可燃性冷媒の発火点温度未満に維持されているため発火の可能性を抑制出来る。
【0024】
また、除霜手段101の発熱は反射板109により反射されるとともに、蒸発器102に付着した霜が融解した除霜水は、反射板109により除霜手段101を避けて落ち、除霜手段101に直接滴下して接触するときに発する蒸発音を防止する。
【0025】
なお、本実施の形態ではガラス管107の外表面をフィン状の複数板状に成形したが、凹凸成形して外部空気との接触面積を高める仕様であれば形状に対する制約は特にない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷凍システム図
【図2】本発明の実施の形態1における除霜手段の断面図
【図3】従来の冷蔵庫の概略縦断面図
【符号の説明】
【0027】
101 除霜手段
102 蒸発器
103 圧縮機
104 凝縮器
105 減圧機構
106 ヒーター線
107 ガラス管
108 キャップ
109 反射板
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸発器の除霜手段及びこの除霜手段を有する冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、蒸発器の除霜手段を有する冷蔵庫に関するものとしては、例えば特許文献1に示されているものがある。
【0003】
以下、図面を参照しながら上記従来の冷蔵庫を説明する。
【0004】
図3は、従来提案されている冷蔵庫の概略縦断面図である。図3において、1は冷蔵庫本体、2は冷蔵庫本体1の内部にある冷凍室、3は冷蔵庫本体の内部にある冷蔵室、4は冷凍室扉、5は冷蔵室扉、6は冷凍室2と冷蔵室3を仕切る仕切壁、7は冷凍室2内の空気を吸い込む冷凍室吸入口、8は冷蔵室3内の空気を吸込む冷蔵室吸込口、9は冷気を吐出する吐出口、10は蒸発器、11は冷気を循環させるファン、12は蒸発器10と冷凍室2を仕切る蒸発器仕切壁、13は桶、14は排水口、15は螺旋状に巻かれた金属抵抗体から成るヒーター線をガラス管で覆った除霜用管ヒータ、16は除霜水が除霜用管ヒーター15に直接滴下して接触するときに発する蒸発音を防止すると共に除霜用ヒーターにより発せられた熱を反射する金属製の上部反射板、17は桶13と除霜用管ヒーター15の間に設置された金属製の下部反射板である。
【0005】
次に動作について説明する。冷凍室2や冷蔵室3を冷却する場合は、蒸発器10に冷媒が流通して蒸発器10が冷却される。これと同じくしてファン11の作動により、蒸発器10で熱交換された冷気は吐出口9を介して冷凍室2内に送り込まれ、さらに冷凍室2から図示していない連通口を通って冷蔵室3に送り込まれる。そして、冷凍室2や冷蔵室3に送り込まれ昇温した冷気は、冷凍室吸込口7や冷蔵室吸込口8を介して冷却室20に戻り、再び蒸発器10で熱交換され冷凍室2および冷蔵室3に送り込まれる。
【0006】
ここで、蒸発器10と熱交換する空気は、冷凍室扉4及び冷蔵室扉5の開閉により侵入する常温外気の湿気や、冷凍室2及び冷蔵室3に保存されている食品から蒸発した水分を含むことから、その空気より低温である蒸発器10において熱交換する際に、空気中の水分が霜となって蒸発器10やその周辺部品に着霜する。実生活において冷蔵庫を使用するとこの動作を繰り返すことになり、徐々に着霜量が増加する結果、蒸発器10表面と熱交換する空気との伝熱が阻害されると共に、蒸発器10から冷凍室2および冷蔵室3に循環する空気の循環風量が低下して冷却不足が発生する。
【0007】
そこで、冷却不足となる前に除霜用管ヒーター15のニクロム線に通電しニクロム線を高温に発熱させる。ニクロム線から発せられた熱量は、熱伝導と対流と輻射といった伝熱現象を利用して蒸発器10やその周辺部品に輸送され、付着した霜を融解させる。このとき、輻射熱として上部反射板16と下部反射板17に放射された熱線の一部は除霜用管ヒーター15に反射され、その他の輻射熱は蒸発器10やその他の周辺部品に向けて反射される。これにより蒸発器10や桶13や排水口14付近に着いた霜を水に融解する。また、このようにして融解した除霜水は、上部反射板16により除霜用管ヒーター15を避けて桶13に落ちるか或いは直接に桶13に落ち、排水口14から庫外に排水される。
【特許文献1】特開平8−54172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の構成では一般的に除霜用管ヒーター15のニクロム線表面は言うまでもなくガラス管表面温度は非常に高温度となり、可燃性冷媒の発火点温度を容易に上回る。このことから、冷媒として可燃性冷媒を使用した場合には、可燃性冷媒が蒸発器10や庫内と連通している部分に露出した配管から漏洩すると、除霜用管ヒーター15の通電による発火の可能性が有るという課題を有していた。
【0009】
本発明は上記課題に鑑み、可燃性冷媒が除霜手段の設置雰囲気に漏洩した状況で除霜が行われた場合においても、可燃性冷媒による発火の可能性を抑制できる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するための本発明の蒸発器の除霜手段は、冷凍サイクルの蒸発器の除霜手段であって、螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線と、前記ヒーター線を覆うガラス管と、前記ガラス管内への除霜水侵入防止用のキャップとにより構成され、前記ガラス管の外表面部に放熱促進用のフィンを設けたことにより、ガラス管から外部空気への熱伝達性を飛躍的に高めることができると共に除霜手段自身の温度上昇を抑えることができ、除霜効果を低減することなく除霜手段の温度を抑えることが出来る。このため、冷凍サイクル内の可燃性冷媒を適用したような蒸発器の除霜手段として用いた場合であっても、可燃性冷媒が万が一漏洩した環境下においても、発火の可能性を抑制出来る。
【0011】
また、本発明の除霜手段を備えた冷蔵庫は、圧縮機と凝縮器と減圧機構と蒸発器とを機能的に接続し可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルと、前記蒸発器に付着した霜を除霜する除霜手段とを設け、前記除霜手段が、螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線と、前記ヒーター線を覆うガラス管とにより構成され、前記ガラス管の外表面部に放熱促進用のフィンを設けたことにより、ガラス管から外部空気への熱伝達性を飛躍的に高めることができると共に除霜手段自身の温度上昇を抑えることができ、除霜効果を低減することなく除霜手段の温度を可燃性冷媒の発火点温度未満に抑えることが出来る。このため、万が一に冷凍サイクル内の可燃性冷媒が庫内に漏洩した環境下において除霜が行われた場合でも、発火の可能性を抑制出来る。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蒸発器の除霜手段及びこの除霜手段を備えた冷蔵庫は、除霜効果を低減することなく除霜手段の温度を可燃性冷媒の発火点温度未満に抑えて、万が一冷凍サイクル内の可燃性冷媒が漏洩した環境下において除霜が行われた場合でも発火の可能性を抑制出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の請求項1に記載の発明は、冷凍サイクルの蒸発器の除霜手段であって、螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線と、前記ヒーター線を覆うガラス管と、前記ガラス管内への除霜水侵入防止用のキャップとにより構成され、前記ガラス管の外表面部に放熱促進用のフィンを設けたものであり、ガラス管から外部空気への熱伝達性を飛躍的に高めることができると共に除霜手段自身の温度上昇を抑えることができ、除霜効果を低減することなく除霜手段の温度を抑えることが出来る。このため、冷凍サイクル内の可燃性冷媒を適用したような蒸発器の除霜手段として用いた場合であっても、可燃性冷媒が万が一漏洩した環境下においても、発火の可能性を抑制出来る。
【0014】
本発明の請求項2に記載の発明は、圧縮機と凝縮器と減圧機構と蒸発器とを機能的に接続し可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルと、前記蒸発器に付着した霜を除霜する除霜手段とを設け、前記除霜手段が、螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線と、前記ヒーター線を覆うガラス管とにより構成され、前記ガラス管の外表面部に放熱促進用のフィンを設けたものであり、ガラス管から外部空気への熱伝達性を飛躍的に高めることができると共に除霜手段自身の温度上昇を抑えることができ、除霜効果を低減することなく除霜手段の温度を可燃性冷媒の発火点温度未満に抑えることが出来る。このため、万が一に冷凍サイクル内の可燃性冷媒が庫内に漏洩した環境下において除霜が行われた場合でも、発火の可能性を抑制出来る。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記除霜手段への除霜水の直接滴下を避ける反射板を、前記ガラス管および前記フィンを上方から覆うように前記除霜手段の上部に設け、前記除霜手段と前記反射板とを前記蒸発器の下方に配置したものであり、除霜効果と安全性を維持しながら除霜水が前記除霜手段に直接滴下するときに発する蒸発音を防止することができる。
【0016】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷凍システム図である。図2は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の除霜手段周辺の断面図である。
【0018】
図1において、101は蒸発器102に付着した霜を除霜する除霜手段であり、103は圧縮機、104は凝縮器、105はキャピラリーチューブにより構成される減圧機構であり、圧縮機103と凝縮器104と減圧機構105と蒸発器102は機能的に環状に冷凍サイクルとして接続され、図示しないイソブタンなどの可燃性を有する自然冷媒が冷凍サイクル内に封入されている。
【0019】
図2に示すように、除霜手段101は、螺旋状に成形されたヒーター線106と、外表面にフィン状の複数の板状成形を施したガラス管107と、除霜水がガラス管107の内部に侵入するのを防止するキャップ108とにより構成されている。
【0020】
フィンを設けたガラス管107の上部には除霜水が除霜手段101に直接滴下して接触するときに発する蒸発音を防止すると共に除霜手段101により発せられた熱を反射する金属製の反射板109が設けられ、この除霜手段101と反射板109とが蒸発器102の下方に配置されている。
【0021】
以上のように構成された除霜手段101について、以下にその動作を説明する。
【0022】
除霜手段101が動作すると、ヒーター線106で電気エネルギーから熱エネルギーに変換された熱量は、ヒーター線自身の温度上昇と、空気とガラス管107を介する外部放熱とに分類でき、熱伝導と周囲空気の対流と輻射現象を通じて除霜動作に使用される。このとき、ガラス管107の外表面がフィン状に成形されていることから外部空気との接触面積が広いため、ヒーター線106からガラス管を介して外部に放熱される割合が大幅に高められ、可燃性冷媒の発火点温度以下にヒーター線106自身の温度上昇を抑制することができる。
【0023】
このことから、万が一に冷凍サイクル内の可燃性冷媒が庫内に漏洩した環境下において除霜が行われた場合でも、除霜手段101の温度は冷凍サイクルに使用されている可燃性冷媒の発火点温度未満に維持されているため発火の可能性を抑制出来る。
【0024】
また、除霜手段101の発熱は反射板109により反射されるとともに、蒸発器102に付着した霜が融解した除霜水は、反射板109により除霜手段101を避けて落ち、除霜手段101に直接滴下して接触するときに発する蒸発音を防止する。
【0025】
なお、本実施の形態ではガラス管107の外表面をフィン状の複数板状に成形したが、凹凸成形して外部空気との接触面積を高める仕様であれば形状に対する制約は特にない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷凍システム図
【図2】本発明の実施の形態1における除霜手段の断面図
【図3】従来の冷蔵庫の概略縦断面図
【符号の説明】
【0027】
101 除霜手段
102 蒸発器
103 圧縮機
104 凝縮器
105 減圧機構
106 ヒーター線
107 ガラス管
108 キャップ
109 反射板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルの蒸発器の除霜手段であって、螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線と、前記ヒーター線を覆うガラス管と、前記ガラス管内への除霜水侵入防止用のキャップとにより構成され、前記ガラス管の外表面部に放熱促進用のフィンを設けた蒸発器の除霜手段。
【請求項2】
圧縮機と凝縮器と減圧機構と蒸発器とを機能的に接続し可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルと、前記蒸発器に付着した霜を除霜する除霜手段とを設け、前記除霜手段が、螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線と、前記ヒーター線を覆うガラス管と、前記ガラス管への除霜水侵入防止用のキャップとにより構成され、前記ガラス管の外表面部に放熱促進用のフィンを設けた冷蔵庫。
【請求項3】
前記除霜手段への除霜水の直接滴下を避ける反射板を、前記ガラス管および前記フィンの上部に設け、前記除霜手段と前記反射板とを前記蒸発器の下方に配置した請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項1】
冷凍サイクルの蒸発器の除霜手段であって、螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線と、前記ヒーター線を覆うガラス管と、前記ガラス管内への除霜水侵入防止用のキャップとにより構成され、前記ガラス管の外表面部に放熱促進用のフィンを設けた蒸発器の除霜手段。
【請求項2】
圧縮機と凝縮器と減圧機構と蒸発器とを機能的に接続し可燃性冷媒を封入した冷凍サイクルと、前記蒸発器に付着した霜を除霜する除霜手段とを設け、前記除霜手段が、螺旋状に巻かれた金属抵抗体からなるヒーター線と、前記ヒーター線を覆うガラス管と、前記ガラス管への除霜水侵入防止用のキャップとにより構成され、前記ガラス管の外表面部に放熱促進用のフィンを設けた冷蔵庫。
【請求項3】
前記除霜手段への除霜水の直接滴下を避ける反射板を、前記ガラス管および前記フィンの上部に設け、前記除霜手段と前記反射板とを前記蒸発器の下方に配置した請求項2に記載の冷蔵庫。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2006−132932(P2006−132932A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26835(P2006−26835)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【分割の表示】特願平11−272466の分割
【原出願日】平成11年9月27日(1999.9.27)
【出願人】(000004488)松下冷機株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【分割の表示】特願平11−272466の分割
【原出願日】平成11年9月27日(1999.9.27)
【出願人】(000004488)松下冷機株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
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