説明

薄膜光電変換装置

【課題】より高効率なシリコン系薄膜光電変換装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一つの光電変換ユニット4、および光電変換ユニット4の光入射側または裏面側の少なくとも一面側に透明導電膜3を有するシリコン系薄膜光電変換装置であって、透明導電膜3の少なくとも一方は、酸化錫を主成分とし、また透明導電膜3の表面に、表面面積比が20%以上30%以下、かつ二乗平均平方根傾斜が0.5nm−1以上0.9nm−1以下の凹凸構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、薄膜光電変換装置は多様化し、従来の非晶質シリコン系光電変換ユニットを含む非晶質シリコン系光電変換装置の他に結晶質シリコン系光電変換ユニットを含む結晶質シリコン系光電変換装置も開発され、これらのユニットを積層した多接合型薄膜光電変換装置も実用化されている。なお、ここで使用する用語「結晶質」は、多結晶及び微結晶を包含する。また、用語「結晶質」及び「微結晶」は、部分的に非晶質を含むものをも意味するものとする。
【0003】
薄膜光電変換装置としては、透明絶縁基板上に順に積層された透明導電膜、1以上の薄膜光電変換ユニット、および裏面電極膜からなるものが一般的である。そして、1つの薄膜光電変換ユニットはp型層とn型層でサンドイッチされたi型層を含んでいる。薄膜光電変換ユニットまたは薄膜光電変換装置は、それに含まれる導電型層の材料が非晶質か結晶質かにかかわらず、その主要部を占めるi型層の材料が非晶質シリコン系のものは非晶質シリコン系光電変換ユニットまたは非晶質シリコン系薄膜光電変換装置と称され、i型層の材料が結晶質シリコン系のものは結晶質シリコン系光電変換ユニットまたは結晶質シリコン系光電変換装置と称される。
【0004】
ところで、薄膜光電変換装置の変換効率を向上させる方法として、2以上の薄膜光電変換ユニットを積層して多接合型にする方法がある。この方法において、薄膜光電変換装置の光入射側に大きなバンドギャップを有する光電変換層を含む前方ユニットを配置し、その後に順に小さなバンドギャップを有する(たとえばSi−Ge合金などの)光電変換層を含む後方ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって薄膜光電変換装置全体としての変換効率の向上を図ることができる。
【0005】
また、薄膜光電変換装置の変換効率の向上には、凹凸構造を有する透明導電膜上に薄膜光電変換ユニットを形成する方法がある。このように透明導電膜に凹凸構造を有することで、薄膜光電変換ユニット内に入射された光は光散乱による光路長の増加により有効に閉じ込められ、いわゆる光閉じ込め効果により、光電流を増加させることが可能となる。
凹凸構造を形成する方法としては、透明導電膜としてZnOを用いた場合、スパッタ法などで形成された平坦な膜を酸などによりエッチングする方法、あるいは特許文献1に記載されているように、低圧CVD法により結晶成長の配向を利用した直接微細な凹凸を形成する方法などがある。
【0006】
また透明導電膜としてSnOを用いた場合、化学的な安定性や高透過膜作製の観点から大気圧CVD法により凹凸構造を形成する方法などがある。このような大気圧CVD法は、一般的に実施されている方法であり、このように作製したSnOは太陽電池用としては広く商業化されている。
【0007】
上記のように透明導電膜に凹凸構造を形成した場合、凹部からその上に形成される光電変換半導体層に欠陥が生じやすく、特に凹部の密度が高いほどその発生頻度は大きくなることが一般的によく知られており、凹部の密度は表面面積比(Sdr)が大きいほど大きくなる傾向がある。透明導電膜として上記のように形成されたSnO膜は比較的Sdrが小さいため欠陥が生じにくいが、低圧CVD法で形成されたZnO膜はSdrが大きくなり、欠陥が生じやすいという問題がある。
【0008】
このようなことから、透明導電膜としてZnO膜を用いた場合において、ZnO膜表面の凹凸構造を最適な状態に制御する検討がなされている。例えば特許文献1には、凹凸構造の表面面積比が大きすぎないようにすることで高い特性が得られること、また非特許文献2には、低圧CVD法により形成された微細な凹凸を有するZnO膜にArでプラズマ処理を行うことで、凹凸構造の形状を制御し、高い特性が得られることが記載されている。
【0009】
上記のようにSdrが大きすぎると欠陥が生じやすくなってしまうが、逆に小さすぎると光閉じ込め効果が小さくなってしまうといった問題もある。従って、透明導電膜としてSnOを用いた場合は、製膜後の凹凸構造のSdrが小さいため、一般的には表面処理を行うことなく、製膜後のものをそのまま用いてきた。また光閉じ込め効果および界面接合の観点から、このようなSnO膜を用いた場合、最も効率が高くなると考えられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2006/057161
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】D.Fischer et al, Proc.25th IEEE PVS Conf.(1996), p.1053
【非特許文献2】M.L.Addonizio et al, Proc. of the22nd European Photovoltaic Solar Energy Conference, 3−7 September 2007, Milan, ITALY
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明においては、SnO膜の表面を特定範囲の凹凸構造とすることで、より高効率なシリコン系薄膜光電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは鋭意検討の結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は以下に関する。
【0014】
(1)少なくとも一つの光電変換ユニット、および該光電変換ユニットの光入射側または裏面側の少なくとも一面側に透明導電膜を有するシリコン系薄膜光電変換装置であって、該透明導電膜の少なくとも一方は、酸化錫を主成分とし、また該透明導電膜の表面に、表面面積比が20%以上30%以下、かつ二乗平均平方根傾斜が0.5nm−1以上0.9nm−1以下の凹凸構造を有することを特徴とするシリコン系薄膜光電変換装置。
【0015】
(2)好ましい実施形態は、前記光電変換ユニットは、非晶質シリコンゲルマニウム薄膜を有することを特徴とする。
【0016】
(3)好ましい実施形態は、前記非晶質シリコンゲルマニウム薄膜は、ゲルマニウムを5atom%以上15atom%以下含むことを特徴とする。
【0017】
(4)好ましい実施形態は、前記シリコン系薄膜光電変換装置の製造方法であって、透明導電膜が、大気圧CVDにより形成された後、プラズマ処理により表面処理されることを特徴とする。
【0018】
(5)前記プラズマ処理は、Arを20%以上含む雰囲気下で行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、これまで最も効率が良いとされてきた一般的な大気圧CVD法で形成されるSnO膜を、敢えて表面処理することにより、光閉じ込め効果を維持したまま光電変換半導体層中の形成中の欠陥を比較的容易に低減することが可能となり、結果として従来よりも、より高効率なシリコン系薄膜光電変換装置を得ることが出来る。
【0020】
また、特に光電変換ユニットとしてシリコンゲルマニウム薄膜を用いた場合、さらに高い光電変換効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態による光電変換装置1である。
【図2】本発明の実施例1における透明導電膜3表面の原子間力顕微鏡像である。
【図3】本発明の比較例1における透明導電膜3表面の原子間力顕微鏡像である。
【図4】本発明の比較例2における透明導電膜3表面の原子間力顕微鏡像である。
【図5】本発明の実施例1、比較例1および比較例2における電流-電圧特性である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下において本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお本願の各図において、厚さや長さなどの寸法関係については図面の明瞭化と簡略化のため適宜変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。また、各図において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表している。
【0023】
本発明の実施の形態による光電変換装置1の各構成要素について図1を参照し説明するが、本発明においては下記の実施の形態に限定されない。なお、当該実施形態は、本発明のシリコン系薄膜の製造方法を用いて形成されたシリコン系薄膜を、光電変換装置中の光電変換層に用いた場合の実施形態となる。
【0024】
光電変換装置1は、透明絶縁基板2上に、透明導電膜3、光電変換ユニット4、裏面電極膜5をこの順に有し、また光電変換領域を分離するための分離溝6により光電変換ユニット4及び裏面電極膜5は除去されており、更に電流の取り出しを行うために透明電極膜3と直接接続する前面電極7を有する。
【0025】
透明絶縁基板2としては、例えば、ガラス板や透明樹脂フィルムなどを用いることができる。例えばガラス板としては、大面積な板が安価に入手可能で、透明性・絶縁性が高い、SiO、NaO及びCaOを主成分とする、両主面が平滑なソーダライム板ガラスを用いることができる。この透明絶縁基板2の一方の主面に、透明導電膜3および各光電変換ユニット等が積層され、他方の主面側から入射された太陽光等の光が光電変換される。また透明絶縁基板2の他方の主面側、すなわち光入射側の主面には、反射防止効果を奏するために、微小な凹凸構造を有したり、シリカなどを主成分とする微粒子を塗布したり、あるいはMgFなどの低屈折率材料をコーティングすることもできる。
【0026】
また一方の主面側、すなわち透明導電膜3側の主面にも、微小なランダム凹凸構造を有したり、シリカなどを主成分とする微粒子を塗布したり、あるいはシリコン窒化物などをコーティングすることもできる。上記のように透明絶縁基板2の表面処理を行うことで、光閉じ込め効果をより向上することが可能となる。
【0027】
本発明の特徴となる透明導電膜3は、酸化錫(SnO)を主成分とする。このとき、フッ素やインジウムあるいはアンチモンなど、導電性を向上させるための不純物を含むことが好ましい。
ここで、「SnOを主成分とする」とは、透明導電膜3のうちSnOを50%より多く含むことを意味し、70%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
【0028】
本発明における透明導電膜3は、その表面に微小なランダム凹凸構造を有し、入射光の散乱を増大させる効果を発現する。この際、該凹凸構造の凹凸差は、光の散乱による光閉じ込めの観点から20〜800nmが好ましく、良好な光電変換ユニットの形成の観点から50〜500nmがより好ましい。ここで、平坦な透明絶縁基板2上に透明導電膜3を形成する際は、必ずその表面に微小なランダム凹凸構造が現れるように形成する。上記のような凹凸構造を有する場合、光吸収係数が非晶質シリコンより小さいる結晶質シリコン光電変換ユニットを有する薄膜光電変換装置には特に光閉じ込め効果が期待できる。
【0029】
本発明における透明導電膜3は、表面面積比(Sdr)が20%以上30%以下、かつ二乗平均平方根傾斜(Sdq)が0.5nm−1以上0.9nm−1以下の凹凸構造を表面に有することを特徴とする。
【0030】
SdrおよびSdqを上記範囲にすることにより、該透明導電膜3上に形成される光電変換ユニット4との良好な半導体接合およびオーミック接合を得ることが可能となる。更には後述するように、光電変換半導体層42を形成する際の欠陥を低減することが可能となる。ここで、表面面積比とはサンプリング面に対する表面の増加割合を示すパラメータで,四点で形成される小さな表面の展開面積の総和を測定面積で割った値で定義される。また二乗平均平方根傾斜とは、全ての離散化データ点において三次元傾斜を算出し,その二乗平均平方根を求めることによって得るものを示す。なお、Sdr及びSdqの測定は、原子間力顕微鏡(AFM)、走査トンネル顕微鏡(STM)などの走査型顕微鏡で測定することができる。またSdr及びSdqはそれぞれ以下の数式で定義できる。
【0031】
【数1】

【0032】
【数2】

【0033】
ここで、透明導電膜の凹凸の度合いを表す指標としてヘイズ率がある。これは特定の光源の光を透明導電膜が付いた透光性基板に入射した際に透過する光のうち、光路が曲げられた散乱成分を全成分で割ったものに相当し、通常可視光を含むC光源を用いて測定される。一般的には凹凸の高低差を大きくするほど、または凹凸の凸部と凸部の間隔が大きくなるほどヘイズ率が高くなり、薄膜光電変換ユニット内に入射された光は光散乱による光路長の増加により有効に閉じ込められ、いわゆる光閉じ込め効果により、光電流を増加させることが可能となる。上記のような観点から、ヘイズ率は10%以上30%以下が好ましい。
【0034】
透明導電膜3は、CVD、スパッタ、蒸着、電着、塗布等の方法を用いて形成された後、反応性イオンエッチングなどの方法によりプラズマ処理を行うことにより凹凸構造を形成することが好ましい。
【0035】
SnO膜は、一般的に大気圧CVDにより凹凸構造を形成しており、この場合Sdrは20%〜60%、Sdqは0.95nm−1〜1.5nm−1程度になる。ここで、上述したようにSdrあるいはSdqが大きすぎると欠陥が生じやすく、逆に小さすぎると、光閉じ込め効果が小さくなってしまう。
【0036】
また、上記のような大気圧CVDにより製膜したSnO膜をそのまま用いた場合も、高い光閉じ込め効果を有し、界面の半導体接合も均一で良好なものが得られるため、製膜後のSnO膜が一般的に用いられている。
【0037】
本発明においては、大気圧CVDにより透明導電膜を形成した後、プラズマ処理により表面処理を敢えて行うことで、前記Sdr=20%以上30%以下、かつSdq=0.5nm−1以上0.9nm−1以下とした。その結果、従来のものと比較して光閉じ込め効果を維持したまま界面接合をより良好にすることが可能となる。
【0038】
上記プラズマ処理としては、反応性イオンエッチングの装置を用いてスパッタリングのようにして処理することができる。この際の反応ガスとしては、Arなどの比較的に原子量の大きい希ガスが好ましく、例えばArと窒素などの不活性ガスとの混合ガスなども用いることができる。この際、Arを20%以上含む雰囲気下、すなわち反応ガス中に含まれるAr量が20%以上であることが好ましい。
【0039】
また上記プラズマ処理は、処理時間低減の観点から、バイアスRFのパワー密度は100mW/cm以上が好ましく、200mW/cm以上がより好ましい。また制御性の観点から、1000mW/cm以下が好ましく、700mW/cm以下がより好ましい。また、処理の異方性の観点から、処理圧力は20Pa以下が好ましく、10Pa以下がより好ましい。またプラズマの安定性の観点から、0.1Pa以上が好ましく、1Pa以上がより好ましい。上記のように、本発明における透明導電膜3の凹凸構造を形成することができる。
【0040】
また透明導電膜3は透明性が高ければ高いほどよく、透明絶縁基板2を含めた透明導電膜3の、波長600nmにおける透過率は75%以上が好ましく、より好ましくは85%以上である。更に、透明導電膜3は電極としての役割を果たすため電気抵抗は低いほどよく、透明絶縁基板2を含めた透明導電膜3の、膜面内の抵抗性を表すシート抵抗は30Ω/□以下が好ましく、20Ω/□がより好ましい。
【0041】
光電変換ユニット4は、光電変換層である光電変換半導体層42、並びに導電型層であるp型半導体層41およびn型半導体層43を備えており、透明導電膜3側からp型半導体層41、光電変換半導体層42及びn型半導体層43を順次積層した構造を有する。また、透明導電膜3側からn型半導体層43、光電変換半導体層42及びp型半導体層41を順次積層した構造を有する場合もある。p型半導体層41及びn型半導体層43は、例えばCVD、スパッタ、蒸着、溶液成長、塗布法あるいはそれらの複合法等により形成することができる。
【0042】
p型半導体層41は、例えば、シリコン、シリコンカーバイド、シリコン酸化物、シリコン窒化物またはシリコンゲルマニウム等のシリコン合金に、ボロンやアルミニウム等のp導電型決定不純物原子をドープすることにより形成することができる。n型半導体層43は、シリコン、シリコンカーバイド、シリコン酸化物、シリコン窒化物またはシリコンゲルマニウム等のシリコン合金に、燐や窒素等のn導電型決定不純物原子をドープすることにより形成することができる。
【0043】
導電型層であるp型半導体層41および/またはn型半導体層43は、光電変換半導体層42内に光電変換作用により発生した正孔及び電子をそれぞれp型半導体層41及びn型半導体層43に分離収集するために必要な拡散電位を生じさせる役割を担うが、収集された正孔あるいは電子は、それぞれ透明導電膜3あるいは裏面電極膜5へそれぞれ移動する。このため、p型半導体層41および/またはn型半導体層43は必ずしも高い導電性を必要とせず、光吸収によるロスを低減するためには十分な拡散電位が形成可能で、かつ透明導電膜3あるいは裏面電極膜5と十分な電気的接合が形成できることが好ましい。従って、p型半導体層41および/またはn型半導体層43の膜厚は、できる限り薄いほうがよく、2nm〜20nmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは5nm〜15nmの範囲である。
【0044】
またp型半導体層41および/またはn型半導体層43の導電率は、好ましくは10−4S/cm以上10S/cm以下、より好ましくは10−2S/cm以上10S/cm以下の範囲である。
【0045】
p型半導体層41あるいはn型半導体層43が光吸収によるロスが問題にならない程度に十分薄くかつ透明絶縁基板2と平行方向に十分な導電率を有している場合、透明導電膜3を介さず直に透明絶縁基板2上に形成することができる。また、その際、p型半導体層41あるいはn型半導体43を形成する前に、透明絶縁基板2上にシリコン窒化物などの絶縁物からなる薄膜を形成する場合もある。いずれにせよこの際、p型半導体層41および/またはn型半導体層43の膜厚は5nm〜500nmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは10nm〜100nmの範囲である。
【0046】
またp型半導体層41および/またはn型半導体層43の導電率は、好ましくは10S/cm以上10S/cm以下、より好ましくは10S/cm以上10S/cm以下の範囲である。この範囲の導電率を有することにより、導電型層であるp型半導体層41あるいはn型半導体層43は、光電変換半導体層42内に光電変換作用により発生した正孔及び電子をそれぞれp型半導体層41及びn型半導体層43に分離収集するために必要な拡散電位を生じさせるためだけではなく、分離収集した電子あるいは正孔を透明絶縁基板2に平行な方向へ導電させることが可能となり、電極としても使用可能となる。
【0047】
これら光電変換ユニット4の光電変換層である光電変換半導体層42としては、シリコン系薄膜を用いることができる。当該シリコン系薄膜としては、非晶質または/及び結晶質を用いることができる。ここで、「シリコンを主成分とする」とは、シリコン系薄膜のうち、シリコンを50atom%より多く含有することを意味し、好ましくは70atom%以上、より好ましくは85atom%以上含有する。シリコン系薄膜はシリコンを主成分とするものであり、シリコン以外に更に炭素やゲルマニウムあるいは酸素や窒素などを含んでもよい。
【0048】
中でも、ゲルマニウムを有する非晶質シリコンゲルマニウム系薄膜を用いることが好ましい。この場合、本発明の特徴である透明導電膜3の凹凸構造による効果が最も顕著に現れるためである。具体的には、光電変換半導体層42として非晶質シリコンゲルマニウム系薄膜を用いた場合、凹凸構造の谷の部分から生じうる膜中欠陥をより抑制することが可能となる。
【0049】
また後述のように、光電変換半導体層42としては、一般的に10nm以上2000nm以下の膜厚のものが用いられるが、光電変換半導体層42として非晶質シリコンゲルマニウム系薄膜を用いた場合、太陽光スペクトルとの材料的な光学吸収係数の観点から30〜150nmと薄くすることができる。しかしながらこのように薄いものを用いた場合、内部電界が強くなることによる半導体接合の不良が生じうるが、本発明のプラズマ処理を行うことで、このような場合も半導体接合の不良を抑制することが可能となる。
【0050】
以上のことから好ましい実施形態は、前記光電変換半導体層42がゲルマニウムを含む非晶質シリコン系薄膜であり、更に膜中欠陥の増加と吸収係数のトレードオフの観点からゲルマニウムを5atom%以上15atom%以下含むことがより好ましい。
【0051】
なお、後述の光電変換ユニットとして複数のユニットを用いる場合、透明導電膜3に近い光電変換ユニットとして非晶質シリコンゲルマニウム系薄膜を用いた場合に、界面接合の効果がより期待できる。
【0052】
光電変換半導体層42の品質は、少数キャリアのライフタイムに大きく依存することはよく知られているが、ライフタイムを短くする大きな要因は未結合手などの欠陥であり、これら欠陥を減らすことが光電変換特性の改善につながる。
【0053】
光電変換半導体層42を高品質に形成するために、例えばCVD法を用いることができ、中でも平行平板型のPECVD法を用いることが好ましい。PECVD法による光電変換半導体層42の製造においては、シリコン原料としてシリコンを含む無機化合物、例えばモノシラン、ジシラン、ジクロルシランなどが用いられ、あるいは有機化合物、例えばテトラメチルシラン、テトラエチルシランなどが用いられる。また必要に応じて水素やヘリウムあるいはアルゴンなどの希釈ガスを同時に用いることも出来る。
【0054】
また光電変換半導体層42は、十分な光電変換作用を得るために10nm以上2000nm以下の膜厚を有することが好ましく、十分な内部電界を維持するために50nm以上400nm以下であることがより好ましい。また光電変換半導体層42は、その生産性及び被製膜基板の熱に対する耐性から、100℃以上300℃以下の温度で形成されることが好ましい。またラジカルの膜表面でのマイグレーションによる再配置の観点から150℃以上がより好ましい。また上記水素脱離を防ぐ観点から250℃以下がより好ましい。
【0055】
上記のようにして、光電変換ユニット4を形成することができる。
また本発明における光電変換ユニット4は、一つの光電変換ユニットから形成してもよく、複数の光電変換ユニットから形成してもよい。
【0056】
上記複数の光電変換ユニットから形成する場合、非晶質光電変換ユニット/微結晶光電変換ユニット、非晶質光電変換ユニット/非晶質光電変換ユニット、更には非晶質光電変換ユニット/非晶質光電変換ユニット/微結晶光電変換ユニットなどの場合が考えられる。この際、光吸収の最適化の観点から、それぞれ光入射側から順に、光電変換半導体層のバンドギャップあるいは光学的バンドギャップが大きいものから順に形成することが好ましく、例えば非晶質シリコンゲルマニウムを光電変換ユニットとして用いた場合、非晶質シリコン/非晶質シリコンゲルマニウム/微結晶シリコンなどの順に形成することが好ましい。
【0057】
以上のように形成された光電変換ユニット4上に、裏面電極膜5を形成することで、薄膜光電変換装置が製造される。裏面電極膜5は電極としての機能を有するだけでなく、透明絶縁基板2から光電変換ユニット4に入射し裏面電極膜5に到着した光を反射して光電変換ユニット4内に再入射させる反射層としての機能も有する裏面反射層52を有する。裏面反射層52としては、銀やアルミニウム等を用いることが好ましく、蒸着法やスパッタリング法等により、例えば200nm〜400nm程度の厚さに形成することができる。
【0058】
また裏面電極膜5としては、裏面反射層52以外に透明反射層51を用いることもできる。この場合、透明反射層51は裏面反射層52と光電変換ユニット4との間に形成することが好ましく、透明反射層51として例えばZnOあるいはITOのような非金属材料からなる透明電導性薄膜を設けることができる。このような透明反射層51を形成することにより、裏面反射層52と光電変換ユニット4との接着性を向上させることができる。
【0059】
光電変換領域を分離し、正負の電極を形成するためには光電変換ユニット4及び裏面電極膜5を部分的に除去することが必要となり、そのための分離溝6は例えばYAGやYVOを用いたパルスレーザーなどで掃引することにより作製できる。
【0060】
また裏面電極膜は一方の電極となるが、他方の電極として少なくとも分離溝6などにより光電変換ユニット4及び裏面電極膜5と電気的に直接接続しないよう分離されており、かつ透明導電膜3と直接接続をする前面電極7が形成される。本発明における前面電極7としては例えば、半田や銀ペーストあるいは銀、アルミニウム、銅、金などの金属単体が用いられる。
【0061】
なお、前述の構造は一般的にスーパーストレート型と呼ばれる透明絶縁基板2側から光を入射させる構造に関して詳述したものであるが、サブストレート型と一般的に呼ばれる構造も用いることが出来る。サブストレート型においては、透明絶縁基板2の代わりに、必ずしも透明で絶縁である必要がない基板上に、裏面電極を形成し、その上に光電変換ユニットを形成し、更にその上に透明導電膜を形成することで、透明導電膜側から光入射することを可能とするものである。この際、裏面電極に先述した微細な凹凸構造を形成することにより、サブストレート型においても同様に光電変換半導体層内の膜中欠陥の抑制や良好な半導体接合を得ることが出来る。
【実施例】
【0062】
以下に、本発明による光電変換装置として実施例1、2を、図を参照しつつ、比較例と比較しながら説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り以下の記載例に限定されるものではない。
【0063】
(実施例1)
図1を参照して説明された実施の形態に対応して、実施例1として光電変換装置1を形成した。
【0064】
白板ガラスから成る透明絶縁基板2の一主面上に、0.9μmの膜厚を有するSnOからなる透明導電膜3を熱CVD法により形成した。その後、反応性イオンエッチング法により、常温にて、アルゴンガス雰囲気下5Paの圧力で、0.32W/cmの高周波バイアス電力にて、5分間処理を行った。上記のようにして形成したSnOからなる透明導電膜3は、その表面に微小なランダム凹凸構造を有しており、原子間力顕微鏡(AFM)観察により高低差が50〜250nmであり、該凸部の頂点同士の距離が200〜600nmであった。なお、表1に示すように、反応性イオンエッチング前後で、該高低差及び頂点同士の距離は大きく変わらなかった。
【0065】
凹凸構造の表面面積比及び二乗平均平方根傾斜は表1に示すとおり、反応性イオンエッチング処理前はそれぞれ39%及び0.97nm−1であったが、処理後はそれぞれ21%及び0.70nm−1であった。なお表面面積比及び二乗平均平方根傾斜は、上記のAFM観察により求めた。またC光源を用いた透過率は、反応性イオンエッチング処理前で88%であり、処理後は89%であり、ほぼ同等であった。4端子法によるシート抵抗は反応性イオンエッチング処理前で13.6Ω/□であり、処理後で14.7Ω/□と若干の増加が見られた。なお、表1における比較例1が反応性イオンエッチング処理前の状態と同じものである。また、図2及び図3に反応性イオンエッチング処理前及び処理後の透明導電膜3表面のAFM像をそれぞれ示す。なお、AFMは局所的な凹凸の影響を排除するために5μm角サイズの観察で実施した。
【0066】
上記透明導電膜3上に、プラズマCVD法(PECVD法)により、光電変換ユニット4を形成した。具体的には上記透明導電膜3を含む透明絶縁基板2をヒーターにより190℃±10℃に加熱し、温度を安定させた後、上記透明導電膜3の上に、反応ガスとしてシラン、水素、ジボラン及びメタンを用いp型非晶質シリコンカーバイド41を15nmの膜厚で形成した。次に、モノシランガスを10sccm、水素ガスを1slm、10%に水素希釈されたモノゲルマンガスを10sccm導入し、900Paに圧力をコントロールした。その後、13.56MHz、30Wの高周波電力で光電変換半導体層42として非晶質シリコンゲルマニウム(ゲルマニウムの含有量:8atom%)を100nm形成し、その後反応ガスとしてシラン、水素及びホスフィンを導入しn型結晶質シリコン層43を膜厚で20nm形成し、これにより光電変換ユニット4を形成した。
【0067】
なお、光電変換ユニット4を形成する各層の膜厚は以下のように決定した。
(1)白板ガラス基板上に各層をそれぞれ単層で50nm〜100nm程度形成した。
(2)分光エリプソメトリーより、各層の膜厚を算出した。
(3)(2)にて算出した膜厚から、各層の形成速度を一定であると仮定して形成速度を算出した。
(4)上記各層の形成速度が、透明導電膜3上や、透明導電膜3上に形成された他の膜上に形成される場合も変化せず一定であると仮定して、形成時間より設定膜厚を決定した。
【0068】
光電変換ユニット4形成後、透明反射層51として、スパッタ法にてZnO層51を90nm形成後、同じくスパッタ法にて裏面反射層52として金属電極膜であるAg層52を200nm形成し、金属電極膜を含む裏面電極膜5を形成した。
【0069】
裏面電極膜5形成後、レーザー加工機により光電変換ユニット4及び裏面電極膜5が除去された幅約60μmの分離溝6を形成し、光電変換ユニットの領域が1cmになるように加工を行った。最後に半田からなる前面電極7を図1のように透明導電膜3と直接接触する形成し、光電変換装置1を形成した。この際の光電変換装置1の発電面積は1cmである。
【0070】
以上のようにして得られた実施例2の光電変換装置1にAM1.5の光を100mW/cmの光量で照射して光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が0.821V、短絡電流(Isc)が18.1mA、曲線因子(F.F.)が0.702、そして初期変換効率(Eff)が10.43%であった。なお、「初期変換効率」とは、光照射開始直後の光電変換効率であって、少なくとも上記光量条件下あるいは太陽光など比較的に強い光に10分以上曝露されていない状況下における変換効率を意味する。
【0071】
更に、光電変換半導体層42として用いた非晶質シリコンゲルマニウムは光劣化特性を有するため、50℃でAM1.5の光を100mW/cmの光量で500時間照射し、再度光電変換特性を測定した。なお、照射途中の200時間、400時間での結果から、光電変換特性は500時間で十分安定化したとみなした。なお、500時間後の出力を「安定化後変換効率」と呼ぶ。
【0072】
安定化後の光電変換特性の結果は、開放電圧(Voc)が0.802V、短絡電流(Isc)が17.8mA、曲線因子(F.F.)が0.632、そして安定化後変換効率が9.02%であり、安定化後変換効率を初期変換効率で割った値である保持率(=安定化後変換効率/初期変換効率)は0.865と高い値を示した。表2の実施例1にこれらの値を示す。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
(比較例1)
実施例1の光電変換装置1の構造の透明導電膜3に対して反応性イオンエッチングを実施しない以外はすべて実施例1と同様にした。このときの透明導電膜3の物性は表1の比較例1に示す。
【0076】
この時の比較例1の光電変換装置1に初期の光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が0.798V、短絡電流(Isc)が18.8mA、曲線因子(F.F.)が0.576、そして初期変換効率が8.64%であった。また安定化後の光電変換特性の結果は、開放電圧(Voc)が0.764V、短絡電流(Isc)が18.4mA、曲線因子(F.F.)が0.483、そして安定化後変換効率が6.79%であり、保持率は0.786であった。表2の比較例1にこれらの値を示す。
【0077】
図5に示すように、実施例1では、比較例1に比べて初期で開放電圧が高く、また曲線因子が大幅に上昇し、結果として初期変換効率に大きな差が生じた。
また初期変換効率は、比較例1に対して17%高い値となったのに対し、安定化変換効率は、25%高い値となり、更に差が大きくなった。
すなわち、従来用いられてきた比較例1よりも、本発明の実施例1では、より光電変換特性が向上した。これは、実施例1では、表面面積比(Sdr)及び二乗平均平方根傾斜(Sdq)を小さく、また所定の値にすることで、より良好な半導体接合が形成されたためと考えられる。
【0078】
(比較例2)
実施例1の光電変換装置1の構造の透明導電膜3に対して反応性イオンエッチングの処理時間を15分にした以外はすべて実施例1と同様にした。このときの透明導電膜3の物性は表1の比較例2に示すように、原子間力顕微鏡(AFM)観察により高低差が20〜80nmであり、該凸部の頂点同士の距離が200〜600nmであった。凹凸構造の表面面積比および二乗平均平方根傾斜は表1に示すとおり、それぞれ5.1%および0.33nm−1であり、C光源を用いた透過率は90%であった。4端子法によるシート抵抗は17.6Ω/□と実施例1より更なる増加が見られた。また図4に示すとおり、15分処理により透明導電膜3の凹凸はクレーター上の凹凸に変化していることがわかった。
【0079】
この時の比較例1の光電変換装置1に初期の光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が0.842V、短絡電流(Isc)が16.5mA、曲線因子(F.F.)が0.718、そして初期変換効率が9.98%であった。また安定化後の光電変換特性の結果は、開放電圧(Voc)が0.822V、短絡電流(Isc)が14.8mA、曲線因子(F.F.)が0.656、そして安定化後変換効率が7.98%であり、保持率は0.800であった。表2の比較例2にこれらの値を示す。
【0080】
比較例2では実施例1に比べて、電流が大幅に低下し、結果として初期変換効率に大きな差が生じた。これは、比較例2では、表面面積比及び二乗平均平方根傾斜が小さくなりすぎ、凹凸による光散乱の低下と透明導電膜3と光電変換ユニット4との界面が比較的に平坦な領域が増えたことで、屈折率差による光反射による光学的損失が原因と思われる。
【0081】
(実施例2)
実施例2の光電変換装置1の構造に対して、光電変換半導体層42の形成条件がモノシランガスを10sccm、圧力を40Pa13.56MHzの高周波電力を5Wであり、ゲルマニウムを含まない非晶質シリコンを250nm形成した以外はすべて実施例1と同様にした。このときの透明導電膜3の物性は表1の実施例2に示し、実施例1とほぼ同等であった。
【0082】
この時の実施例2の光電変換装置1に初期の光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が0.934V、短絡電流(Isc)が15.5mA、曲線因子(F.F.)が0.758、そして初期変換効率が10.97%であった。また安定化後の光電変換特性の結果は、開放電圧(Voc)が0.912V、短絡電流(Isc)が15.3mA、曲線因子(F.F.)が0.691、そして安定化後変換効率が9.64%であり、保持率は0.879であった。表2の実施例2にこれらの値を示す。
【0083】
(比較例3)
実施例2の光電変換装置1の構造の透明導電膜3に対して反応性イオンエッチングを実施しない以外はすべて実施例2と同様にした。このときの透明導電膜3の物性は表1の比較例3に示すとおり、比較例1とほぼ同等である。
【0084】
この時の比較例3の光電変換装置1に初期の光電変換特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が0.909V、短絡電流(Isc)が16.2mA、曲線因子(F.F.)が0.702、そして初期変換効率が10.34%であった。また安定化後の光電変換特性の結果は、開放電圧(Voc)が0.884V、短絡電流(Isc)が15.9mA、曲線因子(F.F.)が0.633、そして安定化後変換効率が8.90%であり、保持率は0.861であった。表2の比較例3にこれらの値を示す。
【0085】
実施例2では、比較例3に比べて、初期で開放電圧が高く、また曲線因子が大幅に上昇し、結果として初期変換効率に大きな差が生じた。すなわち、従来用いられてきた比較例3よりも、本発明の実施例2では、より光電変換特性が向上した。これは、実施例2では、表面面積比(Sdr)及び二乗平均平方根傾斜(Sdq)を小さく、また所定の値にすることで、より良好な半導体接合が形成されたためと考えられる。また実施例2では、Sdrが小さくなったことから、光電変換半導体層42内に凹凸構造の谷の部分に由来する欠陥が少なくなり、漏れ電流を抑制できたたと考えられる。
【0086】
また実施例1/比較例1、および実施例2/比較例3を比較すると、保持率の値が各々、比較例1→実施例1(0.786→0.865)、および比較例3→実施例2(0.861→0.879)となり、前者の方が後者よりも保持率の上昇幅が大きくなった。これは、光電変換半導体層としてゲルマニウムを有する前者(実施例1/比較例1)の方が、ゲルマニウムを有さない後者(実施例2/比較例3)よりも、凹凸構造の谷の部分に由来する欠陥がより少なくなり、より良好な半導体接合が得られたためと考えられる。
【0087】
また実施例1と実施例2を比較すると、光の吸収係数は、実施例2よりも実施例1の方が高くなった。これは上述したように、実施例1ではゲルマニウムを有するためと考えられる。従って、実施例1では膜厚を薄くすることができ、生産性の観点からより有利であると考えられる。
【0088】
更には多接合型の光電変換装置として用いる際に、例えば光入射側から非晶質シリコン光電変換ユニット、非晶質シリコンゲルマニウム光電変換ユニットの順に配置される場合に、光の吸収波長がより長波長側となるため、同一の非晶質シリコン光電変換ユニットを用いて2接合型にしたものよりはるかに有利となり、高い光電変換効率を得ることが出来ると考えられる。
【符号の説明】
【0089】
1 光電変換装置
2 透明絶縁基板
3 透明導電膜
4 光電変換ユニット
41 p型半導体層
42 光電変換半導体層
43 n型半導体層
5 裏面電極膜
51 透明反射層
52 裏面反射層
6 分離溝
7 前面電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの光電変換ユニット、および該光電変換ユニットの光入射側または裏面側の少なくとも一面側に透明導電膜を有するシリコン系薄膜光電変換装置であって、
該透明導電膜の少なくとも一方は、酸化錫を主成分とし、また該透明導電膜の表面に、表面面積比が20%以上30%以下、かつ二乗平均平方根傾斜が0.5nm−1以上0.9nm−1以下の凹凸構造を有することを特徴とするシリコン系薄膜光電変換装置。
【請求項2】
前記光電変換ユニットは、非晶質シリコンゲルマニウム薄膜を有することを特徴とするシリコン系薄膜光電変換装置。
【請求項3】
前記非晶質シリコンゲルマニウム薄膜は、ゲルマニウムを5atom%以上15atom%以下含むことを特徴とする請求項2に記載のシリコン系薄膜光電変換装置。
【請求項4】
前記シリコン系薄膜光電変換装置の製造方法であって、透明導電膜が、大気圧CVDにより形成された後、プラズマ処理により表面処理されることを特徴とする請求項1から3に記載のシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
前記プラズマ処理は、Arを20%以上含む雰囲気下で行われることを特徴とする請求項4に記載のシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法。

【図1】
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【図5】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−41996(P2013−41996A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178060(P2011−178060)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽エネルギー技術研究開発 太陽光発電システム次世代高性能技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願」
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】