説明

薄膜太陽電池フィルムの取付構造

【課題】部材数が少なく、手間がかからず、耐久性に優れ、メンテナンスのコストを押さえることができる薄膜太陽電池フィルムの取付構造を提供する。
【解決手段】薄膜太陽電池フィルムの取付構造に関し、コンクリート部に形成されたループ状の溝10と、ループ状の溝10の内側の領域11においてコンクリート部の表面に配置された方形の薄膜太陽電池フィルムと、溝10に嵌まる枠状のアンカー部30並びに薄膜太陽電池フィルムの周縁を押さえる枠状の押さえ部31が一体に形成されたゴム製の枠状ガスケット3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜太陽電池フィルムの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜太陽電池は有機薄膜太陽電池、プラスチックフィルム太陽電池またはフレキシブル太陽電池などと称され、太陽電池に比べ薄く軽量であるなどの利点を有する。
かかる薄膜太陽電池をコンクリートパネルなどの建材に取り付ける方法が種々提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JPH8−120827 A1(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4に示すように、薄膜太陽電池フィルム2をコンクリートパネル100に貼る場合、端部の押さえ金物101とボルトやビス等が必要であり部材数が多く、手間やコストが多くかかるという欠点があった。
また、薄膜太陽電池フィルム2と押さえ金物101の固定はシーリング材102を使用するが、これには以下のような弱点がある。
耐久性が劣り、定期的な打ち換えが必要であるため、メンテナンスにコストがかかる。シーリング材がシリコーン系の場合、周辺を汚染するので、薄膜太陽電池フィルム2の表面が汚れることで発電効率が低下する。
【0005】
したがって、本発明の目的は前記欠点や弱点を改善し得る薄膜太陽電池フィルムの取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の薄膜太陽電池フィルムの取付構造は、コンクリート部1に形成されたループ状の溝10と、前記ループ状の溝10の内側の領域11において前記コンクリート部1の表面に配置された方形の薄膜太陽電池フィルム2と、前記溝10に嵌まる枠状のアンカー部30並びに前記薄膜太陽電池フィルム2の周縁21を押さえる枠状の押さえ部31が一体に形成されたゴム製の枠状ガスケット3とを備える。
なお、枠状のガスケットは紐状のガスケットをコーナ型で継いで枠にしてもよいし、紐状のガスケットを枠状に配置してもよい。
取り付けるコンクリートは、プレキャストコンクリート、現場打ちコンクリート(RC)、軽量発泡コンクリート(ALC)であり、これらに類するコンクリート製品が使用できる。
使用する部位は建物や建築物、例えば一般住宅、工場などの壁、屋根、庇など太陽電池フィルムが発電可能なすべての部位となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、枠状ガスケット3のアンカー部30を溝10に押し込むことで、押さえ部31が薄膜太陽電池フィルム2の周縁21を押さえ付けてコンクリート部1に固定する。そのため、ボルトやビス等が不必要になって手間が掛からずローコストになる。
【0008】
また、枠状ガスケット3は耐久性がある上、薄膜太陽電池フィルム2を交換する際には枠状ガスケット3を取り外し、新しい薄膜太陽電池フィルム2を枠状ガスケット3で再び固定することができる。
【0009】
更に、シリコーン系のシーリング材を薄膜太陽電池フィルム2の表面に必要としないので、発電効率が低下するおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本取付構造の一例をガスケットを一部破断して示す分解斜視図である。
【図2】図2は同取付構造の一例を示す斜視図である。
【図3】図3は本発明の薄膜太陽電池フィルムを得る手順を示す概略断面図である。
【図4】図4は従来の取付構造を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好ましい実施例においては、前記薄膜太陽電池フィルム2が粘着材4または接着材を介して前記コンクリート部1に貼り付けられている。
この場合、薄膜太陽電池フィルム2の剥がれを防止し易い。
使用する粘着材は構造用両面テープ、ゴム系接着材、フィルム状粘着材など工業用に製作された一般的な粘着材および接着材である。
【0012】
本発明の薄膜太陽電池フィルムの取付構造は、前記薄膜太陽電池フィルム2の周縁21と前記コンクリート部1との間にクッションを有する前記粘着材4または接着材が介挿されている。
この場合、クッションを有する部材によりコンクリート部1の凹凸を吸収し、薄膜太陽電池フィルム2の押さえ部31による保持力が安定する。
ここで使用する粘着材は前記段落0011と同じ粘着材及び接着材である。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、PCないしRCのコンクリート部1にはループ状の溝10が形成されている。前記ループ状の溝10の内側の領域11において前記コンクリート部1の表面には方形の薄膜太陽電池フィルム2が配置される。
【0014】
前記薄膜太陽電池フィルム2は粘着材4またはゴム系の接着材を介してコンクリート部1に貼り付けられていてもよい。
【0015】
ゴム製の枠状ガスケット3は薄膜太陽電池フィルム2をコンクリート部1に押し付けて保持する。すなわち、枠状ガスケット3はループに連なっており、前記溝10に嵌まる枠状のアンカー部30並びに前記薄膜太陽電池フィルム2の周縁21を押さえる枠状の押さえ部31が一体に形成されている。
【0016】
図2に示すように、枠状ガスケット3には桟部33を設けてもよい。この桟部33においては、図3Dに示すように、1つのアンカー部30に一対の押さえ部31が設けられる。
【0017】
図3Dに示すように、前記粘着材4やゴム系の接着材が弾力性を有していれば、前記薄膜太陽電池フィルム2の周縁21(図1)と前記コンクリート部1との間に粘着材4等が介挿されていることで、薄膜太陽電池フィルム2の保持力が高まるだろう。
【0018】
つぎに、本薄膜太陽電池フィルムの取付構造を得る方法について説明する。
図3Aのように、鋼製等の溝型枠200を埋め込んだ状態でプレキャスト(打込み打設(生成))し、図3Bのように、脱型してコンクリート部1に溝10を構築する。この溝10は薄膜太陽電池フィルムの周囲を囲うように配置する。
【0019】
その後、前記薄膜太陽電池フィルム2の裏面に粘着材4を貼り付け、これをコンクリート部1の領域11に図3Cのように貼り付ける。これにより、薄膜太陽電池フィルム2が粘着材4を介してコンクリート部1に貼り付けられる。
なお、フィルムを固定する際、ビス、プレートなどの金属類を併用してもよい。
【0020】
その後、前記溝10に枠状ガスケット3のアンカー部30を押し込むと共に、枠状ガスケット3の押さえ部31によって薄膜太陽電池フィルム2の周縁21(図1)を押さえる。
なお、ビス、プレートなどの金属類を併用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は薄膜太陽電池フィルムの取付構造に利用し得る。
【符号の説明】
【0022】
1:コンクリート部
2:薄膜太陽電池フィルム
3:枠状ガスケット
4:粘着材
10:溝
11:領域
21:周縁
30:アンカー部
31:押さえ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート部1に形成されたループ状の溝10と、
前記ループ状の溝10の内側の領域11において前記コンクリート部1の表面に配置された方形の薄膜太陽電池フィルム2と、
前記溝10に嵌まる枠状のアンカー部30並びに前記薄膜太陽電池フィルム2の周縁21を押さえる枠状の押さえ部31が一体に形成されたゴム製の枠状ガスケット3とを備える薄膜太陽電池フィルム2の取付構造。
【請求項2】
請求項1において、前記薄膜太陽電池フィルム2が粘着材4または接着材を介して前記コンクリート部1に貼り付けられている薄膜太陽電池フィルムの取付構造。
【請求項3】
請求項2において、前記薄膜太陽電池フィルム2の周縁21と前記コンクリート部1との間にクッションを有する前記粘着材4または接着材が介挿されている薄膜太陽電池フィルムの取付構造。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−49354(P2012−49354A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190579(P2010−190579)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(596163840)株式会社 北岡組 (3)
【出願人】(000108720)株式会社タケチ (4)
【Fターム(参考)】