説明

薬剤ゲル及びそれを用いた薬剤拡散方法

【課題】水中での薬剤の拡散性が高まり、薬剤を素早く効率的に空気中に拡散させることができる薬剤拡散方法及びそれに用いる薬剤ゲルを提供する。更にゲルの挙動が目に見え、薬剤拡散装置の動いている状況を確認することができ、外観上も好ましい薬剤拡散方法及び薬剤ゲルを提供する。
【解決手段】 少なくとも表面に油性薬剤が保持された、水で膨潤した粒状ゲルであって、界面活性剤を実質的に含まない薬剤ゲルを、水中に加え、その水とゲルを攪拌することにより油性薬剤を空気中に拡散させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中で攪拌して用いる薬剤ゲル及びそれを用いた薬剤の空気中への拡散方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
芳香成分や消臭成分等の油性薬剤を空気中に拡散させる方法として、アトマイザー、電気芳香拡散器等の薬剤拡散装置のタンク内に水を満たし、水の中に香料や精油を添加して攪拌させることにより、芳香成分を空気中に拡散させる方法が知られている(例えば、特許文献1〜3)。これらの装置への薬剤添加方法としては、香料や精油をそのまま水中に添加する方法が一般的である。
【0003】
一方、含水ゲルを、芳香成分や消臭成分を揮散させるための基材として用いることが知られている(例えば、特許文献4及び5)。これらの含水ゲルは、製剤の安定性や薬剤の徐放性を得るために、界面活性剤を用いて調製されており、薬剤はゲル内部に取り込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭32−4393号公報
【特許文献2】実公昭45−7757号公報
【特許文献3】特開2004−147799号公報
【特許文献4】特開2007−119556号公報
【特許文献5】特開2007−291145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、香料や精油等を薬剤拡散装置内のタンク内の水に直接添加して攪拌する従来の薬剤拡散方法は、タンク内の水が動いている様子が分かり難く、見た目の面白さがない。また、薬剤の拡散性を高めるためには水の攪拌力を高める必要があるが、攪拌力を高めるために、モータやファンを大きくし、回転数を高くすると、消費電力量、動作音が大きくなるという問題があった。より簡便に攪拌の効率を高め、更に、見た目に楽しく、美しい薬剤の拡散方法の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、種々検討の結果、界面活性剤を用いることなく、水で膨潤した粒状ゲルの表面に香料や精油等の油性薬剤を保持させた薬剤ゲルとし、これを水中に加え、その水とゲルを攪拌して油性薬剤を空気中に拡散させることにより、上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、下記の(1)〜(4)の構成に関するものである。
【0007】
(1)少なくとも表面に油性薬剤が保持された、水で膨潤した粒状ゲルであって、界面活性剤を実質的に含まず、水中で攪拌して用いることを特徴とする薬剤ゲル。
(2)前記粒状ゲルが水で膨潤した吸水性ポリマーである請求項1記載の薬剤ゲル。
【0008】
(3)更に多価アルコールを含む請求項1又は2記載の薬剤ゲル。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の薬剤ゲルを水中に加え、その水とゲルを攪拌して油性薬剤を空気中に拡散させる、薬剤の拡散方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、水で膨潤した粒状ゲルの少なくとも表面に芳香成分や消臭成分等の油性薬剤を保持されているので、水中に添加したときに、表面の油性薬剤が速やかに水中に放出される。複数の薬剤ゲルを水中に添加し、ゲルとともに攪拌することで、薬剤をそのまま水に添加する場合に比して、水中での薬剤の拡散性が高まり、薬剤成分を効率良く拡散させることができる。また、ゲルの挙動が目に見えることで、装置の動作を確認することができ、また外観上も美しく、楽しめる。
【0010】
本発明の薬剤ゲルは、従来知られている油性薬剤を含有する含水ゲルとは、使用態様が全く異なっており、また、界面活性剤を実質的に含有していない点で相違する。従来の含水ゲルは、水中に添加して用いるものではなく、製剤の安定性や薬剤の徐放性を得るために界面活性剤を用いて調製され、薬剤はゲル内部に取り込まれている。従って、従来の界面活性剤を含んだゲルを水中に添加して攪拌しても、ゲル内部の薬剤は水中に放出されず、さらに界面活性剤が存在するために薬剤が水中に乳化、可溶化しやすいため、空気中への速やかな拡散という効果は期待できない。また、水中に界面活性剤が溶出することで、攪拌時に泡立ちが生じ、外観上も好ましくない。
【0011】
なお本発明において、界面活性剤を実質的に含有しないとは、界面活性作用を有する化合物であっても、他の効能を付与する等の目的で添加される場合まで排除するものではなく、これらの化合物が、本発明の上記効果を阻害しない範囲内で含有されていてもよいことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の薬剤ゲルを空気中に拡散するために用いることのできる薬剤拡散装置の概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の薬剤ゲルは、水で膨潤した粒状ゲルの少なくとも表面に油性薬剤が保持され、且つ、界面活性剤を実質的に含有しないものであり、水中に加えて攪拌することにより、表面の油性薬剤が水中に速やかに放出されるものであり、本発明の薬剤ゲルを、例えば図1に示した薬剤拡散装置のタンク内の水に添加することにより、油性薬剤を速やかに空気中に拡散させることができる。
【0014】
本発明の油性薬剤としては、本発明の薬剤ゲルが水中で攪拌されて、空気中に拡散されたときに、所望の機能を発現できるものであれば特に限定されるものではなく、薬剤ゲルの用途に応じて適宜選択される。例えば、芳香成分、消臭成分、防虫・殺虫成分、抗菌成分等が挙げられる。
【0015】
上記油性薬剤としては、芳香成分、例えば、麝香、霊猫香、竜延香等の動物性香料、アビエス油、アクジョン油、アーモンド油、アンゲリカルート油、ページル油、ベルガモット油、パーチ油、ボアドローズ油、カヤブチ油、ガナンガ油、カプシカム油、キャラウェー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、クミン油、樟脳油、ジル油、エストゴラン油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、レモン油、レモングラス油、ナツメグ油、マンダリン油、ハッカ油、オレンジ油、セージ油、スターアニス油、テレピン油等の植物性香料を挙げることができる。これらの香料として、合成香料又は抽出香料等の人工香料を用いることもでき、例えば、ピネン、リモネン等の炭化水素系香料、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、βフェネチルアルコール等のアルコール系香料、アネトール、オイゲノール等のフェノール系香料、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド系香料、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、イオノン等のケトン系香料、γ―ブチルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトン系香料、オクチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、安息香酸メチル等のエステル系香料等が挙げられる。
【0016】
他の油性薬剤としては、例えば、エチルヘキシルグリセリル、フラボノイド化合物、カテキン、ポリフェノール等の植物抽出物またはその誘導体、シクロデキストリンまたはその誘導体等の消臭成分、エンペントリン、トランスフルトリン、アレスリン、フェノトリン、メトフルトリン、プロフルトリン等のピレスロイド系化合物等の防虫・殺虫成分、イソプロピルメチルフェノール等の抗菌成分等が挙げられる。
【0017】
これらの油性薬剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明の油性薬剤としては、芳香成分及び消臭成分が好ましい。
【0018】
本発明において、「水で膨潤した粒状ゲル」とは、水により膨潤して粒状のゲルを形成するものであれば特に限定されず、例えば、ゼラチン、コラーゲン、カラギーナン、ペクチン、ジェランガム、寒天、キサンタンガム、アルギン酸等の天然ゲル化剤、吸水性ポリマー等の合成系ゲル化剤等を水で膨潤させることにより粒状ゲルを得ることができる。
【0019】
本発明で用いることのできる吸水性ポリマーとしては、例えば、デンプン、セルロース等の多糖類に、水溶性又は加水分解により水溶性になる重合性単量体、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸塩、メタアクリル酸塩、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタアクリル酸アミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、マレイン酸、スルホン化スチレン、ポリビニルビリジンなど、又はこれらのオリゴマー若しくはコオリゴマーをグラフト重合させた親水性ポリマー及びクラフト重合後必要に応じて加水分解した親水性ポリマー、又はポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン、ポリビニルビリジン、ポリアクリル酸アミド、ポリメタクリル酸塩、ポリアクリル酸アミド等の親水性ポリマーを架橋剤によって三次元的に重合させたものなどが用いられる。これらの吸水性ポリマーの製造方法は従来よく知られている。
【0020】
これらのゲル化剤は、目的とする粒状ゲルの形状や大きさ等を考慮して、素材、形状その他の特性を適宜設定することができる。
【0021】
本発明の薬剤ゲルは、上記のゲル化剤に水(添加成分がある場合は水溶液)を吸収させて膨潤させることにより調製することができる。油性薬剤は、膨潤させる水(水溶液)に含有させて水(水溶液)と一緒にゲルに含有させて保持させてもよいし、水(水溶液)で膨潤させたゲルに油性薬剤を含有する溶液を更に吸収させてゲルの少なくとも表面に保持させてもよい。
なおグリセリン等を用いる場合には、水で膨潤させたゲルに更に吸収させることができないことから、上記のとおり、水溶液として調製したものをゲル化剤に吸収させて膨潤させる必要がある。
【0022】
粒状薬剤ゲルは、薬剤拡散装置の大きさ、拡散方法等に応じて適宜その大きさを調整して用いることができるが、粒径5〜20mm程度とするのがよい。これによって水と攪拌した時に、水の攪拌性を高め、油性薬剤の拡散性が向上し、更に水中でのゲルの移動もよく、見た目にも美しく、楽しむことができる。
【0023】
上記のようにして製造された粒状薬剤ゲルは、油性薬剤が水で膨潤した粒状ゲルの少なくとも表面に保持されるので、水中に添加し、ゲルとともに攪拌することによって油性薬剤が水中に容易に放出され分散する。更に本発明の薬剤ゲルは界面活性剤を実質的に含有していないため、水中に放出された油性薬剤が水に可溶化したり乳化したりすることなく、効率的に素早く空気中に拡散していくことができる。
【0024】
本発明では、水系ゲル化剤を水で膨潤させて粒状ゲルを調製する際に、膨潤させる水溶液中に、多価アルコールを含有させることが好ましい。薬剤ゲル調製時に、水溶液への薬剤の溶解を補助する溶解助剤として機能するとともに、得られた薬剤ゲルの離水や凍結を有効に防止する。用いることのできる多価アルコールとしては、上記機能を発揮し得るものであれば特に限定されないが、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられる。
【0025】
本発明の薬剤ゲルにおける油性薬剤及び多価アルコールの含有量は、上記効果が得られる範囲で用いればよく、限定されるものではないが、油性薬剤0.1〜5質量%、更には1〜2質量%、多価アルコール1〜50質量%、更には5〜10質量%程度であることが好ましい。
【0026】
更に、本発明の薬剤ゲルは、上記の配合成分に加えて、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、色素、誤飲防止剤等の成分を適当量含有することもできる。
これらの他の成分は、水系ゲル化剤の膨潤時に用いる水溶液中に含有させておくことにより容易に薬剤ゲルに含有、保持させることができ、必要に応じて適宜設定することができる。
【0027】
本発明の薬剤ゲルの形状は、特に制限されず、例えば、球状、直方状、星型等の幾何学体であってもよく、また動物、植物、アニメキャラクター等の特殊形状であってもよい。
【0028】
本発明の薬剤ゲルを用いて、油性薬剤を空気に拡散させるために用いられる装置としては特に制限されず、水中の薬剤成分を空中拡散させることができるものとして従来知られている、アトマイザー、電気芳香拡散器、加湿器、空気清浄器等の装置を用いることができる。これらの装置内に設置されたタンク内に、水と共に本発明の薬剤ゲルを投入し、当該装置の仕様に従い水及び薬剤ゲルを攪拌することによって、本発明の薬剤ゲルに保持された油性薬剤が水中に速やかに放出され、用いる薬剤拡散装置の仕様に従って、油性薬剤が水と共に攪拌され、効率よく空気中に拡散されていく。
【0029】
本発明の薬剤ゲルを用いて薬剤を空気中に拡散するに際して、例えば、図1に概略斜視図として示される薬剤拡散装置を用いることができる。図1に示される薬剤拡散装置1は、吸水口5及び噴出口6を供えたテーパー形状の吸水管3、その上部に設けられたフィン4並びに吸水管及びフィンを回転させるための電気モータ(図示せず)を備えた保護カバー7が、水を貯留するタンク2の開口部に蓋をするような形で設けられたものであり、保護カバー7には更に空気吸入口8及び空気排出口9が設けられている。
この薬剤拡散装置1は、フィン4の回転によって、吸水管3の先端の吸水口5から入った水が遠心力によってテーパーのついた吸水管をのぼっていき、上方の噴出口6から噴出されてタンク2内に水幕を形成し、この水幕にタンク2内の空気を接触させることで、空気に油性薬剤の成分を含ませ、該空気を空気排出口9から排出させるものである。
【0030】
タンク2は水を貯留するものであり、上端部に開口部を有し、この開口部に、電気モータに(図示せず。保護カバー7の内側)に接続されたフィン4及び吸水管3が挿入され、保護カバー7で蓋が形成されるように設定されている。フィン4及び吸水管3は通電により回転される。吸水管3の上方(フィン4との接続部近傍)に、複数の噴出口6が形成されており、フィン4が回転すると、タンク2内に空気吸入口8から空気が一旦吸い込まれ、このときにタンク内に貯留された水が吸水口5から吸水管3内に吸入され、遠心力によって、テーパーのついた吸水管内を上昇し、噴出口6から噴出される。噴出口6は回転しているので、タンク2内に水幕が形成され、この水幕がタンク2内の空気を清浄し、更に、空気に油性薬剤を含ませることができる。
吸水管3の内面には、その軸長方向に沿って1本又は複数本の導流条が隆起形成されており(図示せず)、この導流条は、吸水管内の水の攪拌部材として機能している。これで効率的に攪拌することで、吸水管内の水を遠心力によりテーパーを伝わせて上昇させることができる。
【0031】
上記薬剤拡散装置に本発明の薬剤ゲルを適用するには、保護カバーを一旦取り外し、タンク内に所定の高さまで(少なくとも吸水管先端の吸水口5が浸かるまで)水を入れ、この水に本発明の薬剤ゲルを適量加える。その後、吸水管3、フィン4及び電気モータの設けられた保護カバー7をタンク2の開口部に装着して蓋をし、電気モータを作動させて、フィン4及び吸水管3を回転させると、上記の通り、上記装置の空気排出口9から、油性薬剤を含んだ空気が排出される。
【0032】
本発明の薬剤ゲルは、色や形を適宜設定することにより、見た目を工夫することができ、その際には、図1に示すような水を収納するタンク部分を透明化し、外から見えるようにすることが好ましい。
【0033】
本発明の薬剤ゲルの水への添加量は特に制限されず、用いる装置の性能、その適用箇所(室内、屋外等)、用いる油性薬剤の性質(揮発性の程度、芳香・防臭等の用途等)、含有量等により、適宜設定される。例えば、室内用の拡散装置の場合には、100〜500mLの水に対して、4〜20g程度の薬剤ゲルを適用することが、水中での効果的な攪拌効果を得る上で好ましい。本発明の薬剤ゲルは、薬剤を水中に直接添加する方法と比して、定量し易いという利点も有する。
【0034】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。なお本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
実施例1
油性薬剤として芳香成分を用いて、球状の薬剤ゲル(芳香ビーズ)を製造した実施例を例示する。
【0036】
(1)芳香ビーズの調製
吸水性ポリマーとしてアクリルアミド−アクリル酸塩共重合体(粒径約1.5〜2mm)を用いて、下記の処方の各成分を含有する芳香液を吸水させることにより、下記処方の通りの薬剤ゲルを得た。膨潤後の薬剤ゲルの粒径は約7mmであった。
【0037】
【表1】

【0038】
(2)芳香拡散
図1に示す装置を二台用意し、そのタンク部に水を200mL注ぎ、ここに上記処方1又は処方2にて調製した芳香ビーズ8gをそれぞれ投入した。これらをそれぞれ容積約2000L(0.8×1.3×1.9m)のチャンバー内(無換気条件)に置き、同時に通電を開始し、タンク内の水を回転数約1350rpm及び風量約0.5L/秒の条件で攪拌した。
通電開始5分後チャンバー内の香りの強度をモニター試験(13人)にて評価した。
試験は2回繰り返して実施し、通電開始5分後で香りが強いと感じるチャンバーを選択した。試験結果は下記表2の通りである。
【0039】
【表2】

【0040】
本発明の処方1により調製した薬剤ゲルを用いた場合の方が、明らかに香り立ちが早く、強いことが確認された。
また、処方2により調製した薬剤ゲルを用いた場合には、小泡による膜が形成され、見た目が悪いのに対し、処方2により調製した薬剤ゲルを用いた場合には、このような小泡は見られず、外観上も美しく好ましかった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の薬剤ゲルは、水中に添加して攪拌することにより、薬剤ゲルの少なくとも表面に保持された油性薬剤が水中に速やかに放出・分散され、且つ薬剤ゲル自体の存在が水中での攪拌効率を向上させるため、薬剤拡散装置のタンク内の水に、従来の薬剤を直接添加する代わりに本発明の薬剤ゲルを添加して用いることにより、空気中に油性薬剤を素早く効率的に拡散させることができる。また、薬剤ゲルの形状や色を工夫することにより、外観上も良好なものを容易に設計でき、また、ゲルの挙動が目に見えることで、装置の動作を確認でき、外観上も良好な癒し効果のある薬剤拡散方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 薬剤拡散装置
2 タンク
3 吸水管
4 フィン
5 吸水口
6 噴出口
7 保護カバー
8 空気吸入口
9 空気排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表面に油性薬剤が保持された、水で膨潤した粒状ゲルであって、界面活性剤を実質的に含まず、水中で攪拌して用いることを特徴とする薬剤ゲル。
【請求項2】
前記粒状ゲルが水で膨潤した吸水性ポリマーである請求項1記載の薬剤ゲル。
【請求項3】
更に多価アルコールを含む請求項1又は2記載の薬剤ゲル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤ゲルを水中に加え、その水とゲルを攪拌して油性薬剤を空気中に拡散させる、薬剤の拡散方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−50684(P2011−50684A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204779(P2009−204779)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【Fターム(参考)】