説明

薬剤包装機、薬包紙及び分包袋

【課題】薬剤を一回投与量毎に薬包紙にて包装するための薬剤包装機において
、高齢者や子供でも簡単に開けることができるようにすること。
【解決手段】薬剤包装機は、帯状の薬包紙20を用い、内部に薬剤が収納され
た状態で連続し服用時に分離される複数の分包紙を製袋することで薬剤を包装す
る。薬包紙20の原材は、ポリエチレンテレフタレートシート(PET)又は二
軸延伸ポリプロピレンシートを含む帯状の透明複合プラスチックシートであり、
且つ、ポリエチレンテレフタレートシート又は二軸延伸ポリプロピレンシートに
、微細なキズが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は病院や薬局などにおいて、医師の処方箋に基づいて調剤された薬剤を一回投与量毎に薬包紙にて包装するための薬剤包装機、及び、それに使用する薬包紙や分包袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、処方箋に従って調剤された薬剤を患者に投薬する場合、患者様自身がその都度、異なる薬剤を組合わせて服用しなくても良いように、自動薬剤包装機等で、一回の投薬に必要な薬剤を同一分包袋に分包して投薬している(特許文献1参照)。
【0003】
該薬包袋の材料としては、自動薬剤包装機での取扱い易さ、内部視認性が高く調剤監査し易いこと、分包袋の開封性(開け易さ)等に優れている包装シート(グラシン紙)や最近ではポリエチレンラミネートセロファン紙、或いは、ポリエチレンラミネートグラシン紙などの包装シートが汎用されてきた。
【0004】
【特許文献1】特開平8−11805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、セロファン等は高価であるため、近時、食品コンタクト可能で安全性の確認されているポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等が、薬包袋の材料として使用されるようになってきた。
【0006】
しかし、分包袋が、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等を原材料として製袋されたものである場合、薬剤分包時における取扱い性や調剤監査のし易さは、従来のグラシン紙やセロファン紙などを使用した場合と比べて少しも遜色しないものの、高齢者や子供が、分包袋を開けて服用する場合、どの位置からどのように開けるのかわかりづらく、その取扱い勝手に問題があった。
【0007】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、医師の処方箋に基づいて調剤された薬剤を一回投与量毎に薬包紙にて包装するための薬剤包装機において、高齢者や子供でも簡単に明けることができるようにすること、及び、それに使用する薬包紙やそれにより形成された分包袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、薬包紙にて包装するための薬剤包装機は、帯状の薬包紙を用い、内部に薬剤が収納された状態で連続し服用時に分離される複数の分包袋を製袋することで薬剤を包装するもので、薬包紙の原材は、ポリエチレンテレフタレートシート又は二軸延伸ポリプロピレンシートを含む帯状の透明複合プラスチックシートであり、且つ、ポリエチレンテレフタレートシート又は二軸延伸ポリプロピレンシートに、微細なキズが形成されている。
【0009】
また、前記薬剤包装機は、帯状の薬包紙を用い、内部に薬剤が収納された状態で連続し服用時に分離される複数の分包袋を製袋することで薬剤を包装するもので、薬包紙の原材は、ポリエチレンテレフタレートシート又は二軸延伸ポリプロピレンシートを含む帯状の透明複合プラスチックシートであり、且つ、両側端縁部は、二つ折りされると互いに重なり合う波状若しくはノコギリ刃状に形成されており、互いに合掌熱溶着される。
【0010】
削除
【0011】
また、前記薬剤包装機は、帯状の薬包紙の側端縁部を合掌熱溶着し、且つ、当該薬包紙の長手方向と直交方向に所定幅の帯状に熱溶着することで分包袋を製袋すると共に、当該分包袋を、内部に薬剤が収納された状態で連続し服用時に分離可能に構成することを特徴とする。
【0012】
前記薬剤包装機によれば、薬包紙が例えば、薬剤分包時における取扱い性や調剤監査のし易さという点において、従来のグラシン紙やセロファン紙などを使用した場合と比べて少しも遜色がなく、所望する所定幅にカット加工されて巻き取られているので、従来の自動薬剤包装機にも適用することができる。即ち、新規、或いは、専用の自動薬剤包装機を製造したり購入する必要がない。
【0013】
また、高齢者や子供であっても、分包袋を素手で簡単に切り開くことができるので、分包された薬剤を、溶着部ではなくて二つ折り部分(未溶着部)に沿って、導くことができ、これにより、粉剤のような微細粒であってもこれらを残さずに確実に服用させることができるなど、実効性に優れた作用効果が得られるものである。
【0014】
また、本発明の薬包紙は、内部に薬剤が収納された状態で連続し、服用時に分離される複数の分包袋を製袋するための帯状のものであって、その原材がプラスチックシートであり、且つ、両側端縁部には、二つ折りされると互いに重なり合う三角形状の切り込みが形成されており、互いに合掌熱溶着されるので、分包袋内に収納された薬剤の取り出しの際に、プラスチックシートの切り込みに沿って分包袋を切り開くことができる。これにより、例えば、従来使用していたポリエチレンラミネートセロファン紙、或いは、ポリエチレンラミネートグラシン紙などの包装シートに比べて切り開き難いプラスチックシートからなる分包袋であっても、所望の切り込み位置から簡単に切り開くことが可能となる。従って、高齢者や子供、特に手の力の弱い病人などであっても、分包袋を素手で簡単に切り開くことができるようになるものである。
【0015】
更に、二つ折りされた際、両側端縁部の切り込みが相互に略合致するので、分包袋の両側端縁部に設けた切り込み部分に切り込む力が集中し易くなる。これにより、比較的弱い力でも切り込み部分から分包袋を切り開くことが可能となる。従って、高齢者や子供、特に手の力の弱い病人などであっても、プラスチックシートは二つ折りされた分包袋の両側端縁部の切り込みから簡単に切り開くことができるようになるものである。
【0016】
更にまた、二つ折りされた際、両側端縁部の切り込みが相互にずれるので、分包袋を薬包紙の両側端縁部に設けた切り込み部分から切り開いた際、分包袋の切り開いた端部をずらすことができるようになる。これにより、分包袋を切り開いてずれた端部から当該分包袋を開き易くすることが可能となる。従って、分包袋内の薬剤を極めて簡単に取出すことができるようになるものである。
【0017】
また、三角形状の切り込みの対向する斜辺が成す角度を110度以下としたので、薬剤包装機での薬剤の包装過程において、プラスチックシートが引っ張られた場合にプラスチックシートが切り込みから裂け難く、また、分包袋を切り開く際三角形状の切り込み角度が大きすぎて、例えば、患者は分包袋を切り開く力が集中し難くなることがない。これにより、薬剤包装機での薬剤の包装に好適に使用でき、且つ、患者が容易に分包袋を切り開くことができる三角形状の切り込みを提供することができるようになるものである。
【0018】
また、三角形状の切り込み底部を半径2μm乃至10μmの湾曲形状としたので、切り込みの形成の際にその底部から切れ目がはみ出すことが無くなる。これにより、分包袋が意に反した方向に裂けることにより、分包袋内から薬剤が飛び散ってしまうようなどの不都合を未然に防止することができるようになるものである。
【0019】
また、いずれかの帯状の薬包紙を用い、内部に薬剤が収納された状態で連続し服用時に分離される複数の分包袋を製袋することで薬剤を包装するので、プラスチックシートの段階で、両側端縁部に切り込みを形成しておくことができるようになる。これにより、連続する全ての分包袋に容易に切り込みを形成することが可能となる。従って、薬剤が収納される分包袋のコストを大幅に低減させることができるようになるものである。
【0020】
また、帯状の薬包紙の側端縁部を合掌熱溶着するとともに、薬包紙の長手方向と直交方向に所定幅の帯状に熱溶着してなるもので、内部に薬剤が収納された状態で連続し、服用時に分離可能に構成され、且つ、切り込みが形成された部分は熱溶着されていないので、三角形状の切り込み部分から溶けた薬包紙の原材が漏れ出てしまうのを防止することが可能となる。これにより、薬剤包装機に漏れ出た薬包紙原材が付着してしまうことや、分包袋の見栄えが悪化するなどの不都合を未然に阻止することができるようになるものである。
【0021】
また、合掌熱溶着箇所は、切り込みの底部から0.5mm乃至1.0mm離間しているので、三角形状の切り込み端に、例えば、溶けた薬包紙の原材が漏れ出てしまうのを効果的に防止することができるようになる。これにより、薬包紙の側端縁部が薬剤包装機に貼り付いてしまうなどの不都合を防止することが可能となる。従って、薬剤包装機の動作が性能が低下してしまうのを未然に阻止することができるようになるものである。
【0022】
また、分包袋を製袋することで薬剤を包装するので、薬剤包装機の性能を大幅に向上させることが可能となる。従って、薬剤包装機の利便性を極めて向上させることができるようになるものである。
【発明の効果】
【0023】
以上詳述した如く発明の薬剤包装機によれば、薬包紙が例えば、薬剤分包時における取扱い性や調剤監査のし易さという点において、従来のグラシン紙やセロファン紙などを使用した場合と比べて少しも遜色がなく、所望する所定幅にカット加工されて巻き取られているので、従来の自動薬剤包装機にも適用することができる。即ち、新規、或いは、専用の自動薬剤包装機を製造したり購入する必要がない。
【0024】
また、高齢者や子供であっても、分包袋を素手で簡単に切り開くことができるので、分包された薬剤を、溶着部ではなくて二つ折り部分(未溶着部)に沿って、導くことができ、これにより、粉剤のような微細粒であってもこれらを残さずに確実に服用させることができるなど、実効性に優れた作用効果が得られるものである。
【0025】
また、内部に薬剤が収納された状態で連続し、服用時に分離される複数の分包袋を製袋するための帯状のものであって、その原材がプラスチックシートであり、且つ、両側端縁部には、二つ折りされると互いに重なり合う三角形状の切り込みが形成されており、互いに合掌熱溶着されるものでは、分包袋内に収納された薬剤の取り出しの際に、プラスチックシートの切り込みに沿って分包袋を切り開くことができる。これにより、例えば、従来使用していたポリエチレンラミネートセロファン紙、或いは、ポリエチレンラミネートグラシン紙などの包装シートに比べて切り開き難いプラスチックシートからなる分包袋であっても、所望の切り込み位置から簡単に切り開くことが可能となる。従って、高齢者や子供、特に手の力の弱い病人などであっても、分包袋を素手で簡単に切り開くことができるようになるものである。
【0026】
更に、二つ折りされた際、両側端縁部の切り込みが相互に略合致するので、分包袋の両側端縁部に設けた切り込み部分に切り込む力が集中し易くなる。これにより、比較的弱い力でも切り込み部分から分包袋を切り開くことが可能となる。従って、高齢者や子供、特に手の力の弱い病人などであっても、プラスチックシートは二つ折りされた分包袋の両側端縁部の切り込みから簡単に切り開くことができるようになるものである。
【0027】
更にまた、二つ折りされた際、両側端縁部の切り込みがずれるので、分包袋の切り開いた端部をずらすことができるようになる。これにより、分包袋の切り開いてずれた端部から当該分包袋を開き易くすることが可能となる。従って、分包袋内の薬剤を極めて簡単に取出すことができるようになるものである。
【0028】
また、三角形状の切り込みの対向する斜辺が成す角度を110度以下としたので、薬剤包装機での薬剤の包装過程において、プラスチックシートが引っ張られた場合にプラスチックシートが切り込みから裂け難く、また、分包袋を切り開く際三角形状の切り込み角度が大きすぎて、例えば、患者は分包袋を切り開く力が集中し難くなることがない。これにより、薬剤包装機での薬剤の包装に好適に使用でき、且つ、患者が容易に分包袋を切り開くことができる三角形状の切り込みを提供することができるようになるものである。
【0029】
また、三角形状の切り込み底部を半径2μm乃至10μmの湾曲形状としたので、切り込みの形成の際にその底部から切れ目がはみ出すことが無くなる。これにより、分包袋が意に反した方向に裂けることにより、分包袋内から薬剤が飛び散ってしまうようなどの不都合を未然に防止することができるようになるものである。
【0030】
また、内部に薬剤が収納された状態で連続し服用時に分離される複数の分包袋を製袋することで薬剤を包装するので、プラスチックシートの段階で、両側端縁部に切り込みを形成しておくことができるようになる。これにより、連続する全ての分包袋に容易に切り込みを形成することが可能となる。従って、薬剤が収納される分包袋のコストを大幅に低減させることができるようになるものである。
【0031】
また、帯状の薬包紙の側端縁部を合掌熱溶着するとともに、薬包紙の長手方向と直交方向に所定幅の帯状に溶着してなるもので、内部に薬剤が収納された状態で連続し、服用時に分離可能に構成され、且つ、切り込みが形成された部分は熱溶着されていないので、三角形状の切り込み部分から溶けた薬包紙の原材が漏れ出てしまうのを防止することが可能となる。これにより、薬剤包装機に漏れ出た薬包紙原材が付着してしまうことや、分包袋の見栄えが悪化するなどの不都合を未然に阻止することができるようになるものである。
【0032】
また、合掌熱溶着箇所は、切り込みの底部から0.5mm乃至1.0mm離間しているので、三角形状の切り込み端に、例えば、溶けた薬包紙の原材が漏れ出てしまうのを効果的に防止することができるようになる。これにより、薬包紙の側端縁部が薬剤包装機に貼り付いてしまうなどの不都合を防止することが可能となる。従って、薬剤包装機の動作が性能が低下してしまうのを未然に阻止することができるようになるものである。
【0033】
また、分包袋を製袋することで薬剤を包装するので、薬剤包装機の性能を大幅に向上させることが可能となる。従って、薬剤包装機の利便性を極めて向上させることができるようになるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1(A)は、本発明で使用する一実施例となる薬包紙20を模式的に示す部分平面図であり、図1(B)は、図1(A)の薬包紙20を二つ折りにした状態を模式的に示す部分平面図を示している。なお、実施例では本発明を具体化した実施例に基づいて説明するが、これらはその代表例を示したに過ぎず、様々に設計変更して実施できるものとする
【0035】
薬包紙20の原材は、厚さ10μm〜100μm、好ましくは10μm〜50μm、更に好適には12μm〜40μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート40(図3)の裏面上に、厚さ10μm〜50μm、好ましくは15μm〜40μmの低密度ポリエチレンシート41を接着積層してなる帯状の透明複合プラスチックシート42から構成されている。i)この薬包紙20の両側端縁部43は、ピッチ幅が0.5mm〜10mm、好ましくは0.5mm〜4mm程度の波状(図1)にカット加工された切り込み44が設けられている。なお、薬包紙20の両側端縁部43,43のカット加工は、ピッチ幅が0.5mm〜10mm、好ましくは0.5mm〜4mm程度の三角形状(ギザギザのノコギリ刃状)の切り込み44でも差し支えない(図2)。
【0036】
また、薬包紙20の両側端縁部43,43は、ii)PETシート40に、無数の微細ダイヤモンド粒を有するローラを押圧し、これにより、全面に無数の微細なキズ(図示されていない)を形成しても差し支えない。更に、iii)PETシート40の全面に無数の微細なキズ(図示されていない)を形成し、且つ、その両側端縁部43,43に前記いずれかの形状の切り込み44を設けても差し支えない。ただし、前記PETシート40は、二軸延伸ポリプロピレンシートに置き換えて実施できるものとする。
【0037】
また、図柄や文字などを印刷したPETシート40の印刷面40A上に、低密度ポリエチレンシート41を接着積層するように構成する(図3)と、図柄や文字などが消え難く、長期間に渡って椅麗に維持できるから、好ましい。
【0038】
また、シリカ蒸着若しくはアルミ蒸着したPETシート40の蒸着面に、低密度ポリエチレンシート41を接着積層するように構成することができる。更に、透明複合プラスチックシート42の、PETシート40側の長手方向半分に、コーティングによって形成される印字可能な白色の表示面が形成されていても差し支えない。
【0039】
更に、低密度ポリエチレンシート41に代えて、ポリプロピレンシート等に代表される他の食品コンタクト可能なプラスチックシートを接着積層してなる透明複合プラスチックシート42を使用しても差し支えない。
【0040】
前記i〜iiiの透明複合プラスチックシート42は、幅広な当該プラスチックシートを、例えば、三角形状(ギザギザのノコギリ刃状)に形成された刃を有するローラを使用して、所望する所定幅に連続的にカットしながら巻き取ることで簡単に製造できる。
【0041】
このように構成された薬包紙20は、低密度ポリエチレンシート41の一方の面に、PETシート40を重ね合わせて接合してあるから、その中央部で、低密度ポリエチレンシート41側が内面側になるように二つ折りすると、両端をぴったりと重ね合わせることができ、ついで、3方を合掌熱溶着することによって一連に区画形成することができる。即ち、後述する熱溶着タイプの自動薬剤包装機1で、調剤済み薬剤を連続分包する分包袋36の薬包紙20して使用できる。
【0042】
ここで、図5を用いて上記薬包紙20内に薬剤としての固形製剤を投入して包装する薬剤包装機1の説明を行う。薬剤包装機1は、病院や調剤薬局などに設置されるもので、矩形状の外装ケース2内に設けられた薬剤収納機構3と、その下方に設けられた薬剤包装機構14などから構成されている。外装ケース2内の上部には薬剤収納機構3のタブレットケース収納部5が構成されており、このタブレットケース収納部5は上面開口をトップテーブル4により開閉自在に閉塞されている。
【0043】
タブレットケース収納部5の内部には複数のタブレットケース6・・・収納されており、その前上部にはサブ収納部7が設置されている。このサブ収納部7は前記タブレットケース6内に収納できない薬剤(例えば、半分に切断された錠剤など)を収納するものであり、モータ8の図示しない回転軸のプーリに張られたベルト9によって図示しないベルトコンベア(この場合、チェーン或いは、ギア等で接続しても良い)が駆動される。そして、ベルトコンベアには収納区画7Aが連続して複数設けられている。
【0044】
また、各タブレットケース6・・・下部には図示しないフォトセンサ等の排出カウント装置がそれぞれ設けられている。この排出カウント装置は上側の各タブレットケース6・・・にそれぞれ連通すると共に、内部にモータ駆動式の排出ドラムが内蔵されている。また、排出ドラムは側面に複数形成された溝内に前記錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤などの固形化された製剤である薬剤が上下一列に入り込む構造とされている。そして、薬剤は排出ドラムが回転することによって、各溝内から一個ずつ落下され、その数は前記フォトセンサにより検出されてカウントされるように構成されている。
【0045】
また、サブ収納部7・・・の一端には落下通路が形成されており、この落下通路は後述するターンテーブル10上に連通している。係るサブ収納部7の収納区画7A内には前述の如き薬剤がそれぞれ収納され、使用者によるスイッチ操作でモータ8が回転することにより、各収納区画7A・・・の薬剤が落下通路から一個ずつターンテーブル10上に落下するように構成されている。
【0046】
そして、各タブレットケース6・・・前記落下通路の下方には薬剤を収集するための円盤状のターンテーブル10が設けられており、このターンテーブル10は前記全タブレットケース6・・・及び落下通路の下方に対応する面積を有している。また、ターンテーブル10の中心部には円錐状に盛り上がった隆起部10Aが形成されており、この隆起部10A下方に設けられた図示しないターンテーブルモータにより、ターンテーブル10は所定の速度で回転駆動される。
【0047】
また、ターンテーブル10の周囲には環状のガイド11が起立して設けられており、ガイド11の適所には排出口Dが切り込み形成されている。係る排出口Dの下方には後述するシュ一夕13が設けられ、このターンテーブル10の回転によってガイド11側に集められた薬剤は、このシュ一夕13内に落下するように、構成されている。このシュ一夕13は逆四角錐形状を呈しており上端開口が前記ターンテーブル10の排出口Dに対応すると共に、開口する下端(先端)を二つ折りした薬包紙20の間の上方に対応している。
【0048】
一方、薬剤包装機構14は、このターンテーブル10の下方に設けられており、この薬剤包装機構14は後述する薬包紙ロール19を装着する装着手段と、引き出された薬包紙20を所定の位置に案内する案内手段と、薬包紙20の先端を引っ張る引き込み手段とをベース15上に配置して構成されている(図5)。薬包紙装着手段は図6に示す如くベース15上に回転自在に起立して設けられた回転軸16と、この回転軸16の底部に位置して外方に張り出した円盤状の載置板17と、この載置板17の下側(ベース15との間)に配設されたソレノイド駆動のブレーキ18などから構成されている。
【0049】
該回転軸16は、後述する薬包紙ロール19の軸材21の内径に略合致した(それより少許小さい)外径を有する円柱状を呈しており、この回転軸16は薬包紙ロール19に形成された軸材21内に着脱可能に挿入される。ここで、薬包紙ロール19は硬質合成樹脂製(厚肉紙製でも良い)の中空管状軸材(通常紙管と称される)21と、その周囲に巻回された前記薬包紙20とから構成されている(図7、図8)。該薬包紙20は、所定の幅の縦長の帯状のものを前記軸材21の周囲にロール状に巻回して設けられている。
【0050】
そして、薬包紙20は前述した如く幅方向の略中心部より二つ折りして二重に折り曲げられ、この二重に折り曲げられた折り曲げ部を折部20A、二重に折り曲げられた両端部(折部20Aと反対側)を開口部20Bとされている。この薬包紙20は二重に折り曲げられた状態で折部20Aを軸材21の下端縁側として当該軸材21に巻回され、巻回した薬包紙20の最終端から引き出されている(図9)。
【0051】
前記薬剤包装機構14には回転軸16側方に位置して案内手段としてのテンションレバー23が設けられており、テンションレバー23は2本のローラ24、25間に差し渡されている。このとき、ローラ24はベース15に固定されており、ローラ25はこのローラ24を中心として揺動自在とされている。該ローラ25は、図示しないバネ材によって回転軸16から離間する方向に付勢されている。また、このローラ25の位置は図示しないスイッチによって検出される。尚、26は案内ローラであり、ローラ24の側方のベース15上に立設されている。
【0052】
係るテンションレバー23と回転軸16を挟んで反対側のベース15上に引き込み手段としての引込ローラ30が設けられている。この引込ローラ30は一対の幅狭のゴムローラ(天然ゴム或いは合成ゴム等のローラ)33、33Aから成り、回転軸32,34上端に回動自在に取り付けられている。また、一方のゴムローラ33が取り付けられた回転軸32は引込モータ31の回転軸である。
【0053】
また、他方のゴムローラ33Aの回転軸34は図示しないコイルバネ等により付勢され、所定の圧力で一方のゴムローラ33Aがゴムローラ33に圧接され、引込モータ31が回転することによって両ゴムローラ33,33Aが回転するように構成されている。そして、この両ゴムローラ33,33Aの間に薬包紙20(開口部20B側)を挟持することにより、薬包紙20を薬包紙ロール19より引き出すものである。
【0054】
また、案内ローラ26引込ローラ30との間にはヒートシール機構27が設けられている(図10)。このヒートシール機構27は、前記薬包紙20の開口部20Bを合掌熱溶着により封止し、且つ、一服毎に仕切るもので、所定の間隔で対向して設けられた一対の仮ヒータ28,28と、一対の主ヒータ29、29とから構成されている。また、どちらか一方の仮ヒータ28と、主ヒータ29は図示しない作動装置が設けられており、対向するどちらか一方の仮ヒータ28と、主ヒータ29に圧接或いは離間自在に構成されている。そして、各仮ヒータ28と、主ヒータ29を通電することにより、これらは所定の温度に発熱する。
【0055】
また、主ヒータ29、29はそれぞれ垂直部29A、29Aと平行部29B、29Bとから構成され、平行部29Bは仮ヒータ28と略同等の幅を呈していると共に、垂直部29Aは平行部29Bの2倍の幅を呈している。そして、仮ヒータ28で薬包紙20の両側から挟持して加熱することにより薬包紙20の折部20A側から開口部20Bの略中間まで熱溶着(図10実線矢印範囲熱溶着固定せず)する。
【0056】
また、主ヒータ29の垂直部29Aは仮ヒータ28で加熱されて熱溶着された上を更に両側から挟んで薬包紙20の折部20A側から開口部20Bまで熱溶着して固定し、一方に開口部20Bを設けた小袋36Aを仮ヒータ28側に形成するように構成している。また、平行部29Bは仮ヒータ28と反対側の開口部20Bを熱溶着(この場合、主ヒータ29から仮ヒータ28間の寸法)するように構成されている。
【0057】
係るヒートシール機構27で薬包紙20を熱溶着した後、引込ローラ30の回転により引込ロ一ラ30側(図10中抜き矢印方向)に所定距離移動、即ち、仮ヒータ28で熱溶着した部分が主ヒータ29まで移動(折部20Aから開口部20Bまでの主ヒータ29の熱溶着部まで)する。そして、主ヒータ29で薬包紙20を熱溶着することにより、順次仮ヒータ28と主ヒータ29の垂直部29Aの間に開口部20Bを設けた小袋36Aを形成すると共に、引込ローラ30側に折部20A以外が熱溶着された分包袋36を形成するように構成されている。
【0058】
また、主ヒータ29は仮ヒータ28の上の薬包紙20の折部20Aから開口部20Bまでを熱溶着する際、熱溶着部の幅の略中心(折部20Aから開口部20B迄)にミシン目37(ミシン目状の穴)を複数設けた切れ目を形成する。これにより、薬包紙20の三方(残りの一方は折部20A)が熱溶着され、全周が閉塞された分包袋36が形成されると共に、ミシン目37から切り離して分包袋36を分離できるように構成している。
【0059】
以上の構成で、次に本発明の薬剤包装機1の操作手順並びに動作を説明する。先ず、薬包紙ロール19の軸材21内に回転軸16を挿入しながら薬包紙ロール19を載置板17上に載置する。このとき、折部20Aを載置板17側に位置させた状態で回転軸16に挿入する。この薬包紙ロール19は、前述の如く薬包紙20を二つ折りにして軸材21に巻回しているものであり、折部20Aと開口部20Bとを備えているので、薬包紙ロール19の上下を逆に装着すると、折部20Aと開口部20Bが逆になり、薬剤包装機構14での薬剤の包装が行えなくなる。
【0060】
このように薬包紙ロール19を回転軸16に装着した後、当該薬包紙ロール19の薬包紙20を先端から引き出し、テンションレバー23のローラ25,24の外側を順次経て案内ローラ26の内側を通り、続いて仮ヒータ28、主ヒータ29の間を経て(シュ一夕13は倒されている)、引込ローラ30まで引き回す(図9)。
【0061】
そして、薬包紙20の先端を引込ローラ30の両ゴムローラ33,33A間に挿入し、引込モータ31を駆動させると、ゴムローラ33,33A互いに圧接しながら薬包紙20をヒートシール機構27側より反対側(手前側)方向に引っ張るので、薬包紙20は引込ローラ30に引き込まれ、手前側に引き出される。
【0062】
ここで、テンションレバー23のローラ25は、薬包紙20のテンションが強くなると回転軸16方向に移動し、テンションが弱くなると回転軸16から離間する方向に移動する。そして、このローラ25の移動は前述の如くスイッチにて検出され、回転軸16から離間した場合には図示しない制御装置によりソレノイドが駆動され、ブレーキ18が載置板17に押し付けられる。そして、ローラ25が回転軸16方向に移動すると、今度はブレーキ18が離間される。これによ.り、薬包紙ロール19から引き出された薬包紙20には常時適度なテンションンが加えられるよう構成されている。
【0063】
このように薬包紙ロール19を回転軸16に装着し、薬包紙20を引き出して装填した薬剤包装機1が稼動されると、薬剤の落下数を数えるカウント値などはリセットされる。また、仮ヒータ28及び主ヒータ29は所定の温度に加熱され、ターンテーブル10は通電されて常時回転しているものとする。そして、作業者が医師の処方箋に基づき、図示しないインプット装置(パーソナルコンピュータ等)に処方データを打ち込むと、当該薬剤が収納されたタブレットケース6の排出ドラムが回転駆動され、その処方データにより指定された種類の薬剤が一個ずつターンテーブル10上に落下する。また、サブ収納部7からの薬剤も使用者の任意操作によって同様にターンテーブル10上に落下する。
【0064】
タブレットケース6から落下する薬剤の数は、フォトセンサの出力に基づき図示しない制御装置によってカウントされ、カウントされた薬剤の落下数が前記処方データに基づく薬剤の数に一致したら、排出ドラムの回転を停止し、薬剤の落下を終了する。このターンテーブル10の上に落下した薬剤(サブ収納部7からの薬剤を含む)は、回転するターンテーブル10の遠心力で外側のガイド11方向に移動されて集められ、ガイド11に設けた排出口Dより下方のシュ一夕13内に落下する。これにより、薬剤はシュ一夕13内を通ってその下方に位置する薬包紙20の小袋36A中に投入される。
【0065】
このように薬包紙20の小袋36A中に薬剤が収納された後、制御装置は引込ローラ30で薬包紙20を引っ張り、ヒートシール機構27て前述の如く合掌熱溶着することにより、封止する。
【0066】
ここで、シュ一夕13の下端には小袋36A内まで進入して開口部20Bを拡開する図示しないシャッターが取り付けられているが、このとき、ヒートシール機構27の仮ヒータ28は薬包紙20の折部20A側から開口部20B側聞の略中間迄熱溶着し、その上方を熱溶着していないので、シュ一夕13のシャッターを上昇させることなく、薬包紙20を引込ローラ30で引き込む(図9矢印方向)ことができる。
【0067】
そして、薬包紙20の移動が停止すると、主ヒータ29により再度薬包紙20の熱溶着が行われ、薬剤が分包袋36に包装されると同時に、ターンテーブル10よりシュ一夕13を介して小袋36Aの中に収納される。これを繰り返すことにより処方データに基づいた種類の薬剤が自動的に所定数包装される。尚、図10では、仮ヒータ28及び主ヒータ29で後述する縦溶着部38、横溶着部39を熱溶着するように図示しているが、実際はミシン目37部分より所定寸法離間.させた両側位置を熱溶着すると共に、主ヒータ29の平行部29Bは、分包袋36の開口部20B側に形成された横溶着部39(波状又はノコギリ刃形状部分を含む)を熱溶着している。
【0068】
ここで、薬包紙20の熱溶着部は、図11に示す如く、分包袋36を略等間隔に区画するもので、帯状の薬包紙20の長手方向と直交方向に密封する縦溶着部38と、この縦溶着部38に概ね連続し、帯状の薬包紙20の合わせ面を長手方向と同一方向に密封する横溶着部39とで構成されている。即ち、前述の如き薬包紙20が折部20Aから二つ折りされて縦溶着部38と横溶着部39とが薬剤包装機1にて合掌熱溶着されると共に、縦溶着部38はミシン刃によってミシン目37が形成される。これにより、各分包袋36を簡単に切り離しできるようになっている。
【0069】
尚、波状又はノコギリ刃状に切り込み44が形成された薬包紙20を使用する場合には、薬包紙20の折部20Aから二つ折りすると、波状又はノコギリ刃形状の両側端縁部43,43が互いにぴったりと重なり合って切り込み44を構成するようになっている。また、薬包紙20の両側端縁部43,43が、ピッチ幅が0.5mm〜2mm程度の短い波状又はノコギリ刃形状に形成されていると、薬包紙20の折部20Aを二つ折りした時にぴったりと重なり合わなくても横溶着部39を熱溶着できる(図1(B)参照)。これにより、分包袋36の開口部20B側に切り込み44を形成することができるから好ましい。
【0070】
前記ii)PETシート40側に、無数の微細なキズ(図示されていない)を形成したもの、前記iii)PETシート40の全面に無数の微細なキズが形成されており、且つ、その両側端縁部43,43が波状またはノコギリ刃状にカット加工された切り込み44を形成している薬包紙20を使用し、前述同様に、熱溶着タイプの自動薬剤包装機1にて調剤済み薬剤を連続分包することもできる。
【0071】
これらの薬包紙20を使用すると、PETシート40全面に無数のキズが形成されているので、横溶着部39の任意位置から、横溶着部39と直交する方向に引っ張ると、薬剤を収納した分包袋36を簡単に切り開くことができる。
【0072】
また、本発明の分包袋36によると、分包された薬剤を、熱溶着部ではなくて未熱溶着部(折部20A)に沿って導くことができるから、粉剤のような微細粒であっても残さず確実に服薬させることができる。
【0073】
このように薬剤を収納した分包袋36は、薬包紙20を二つ折りして横溶着部39を薬剤包装機1にて合掌熱溶着しているが、横溶着部39(波状又はノコギリ刃形状部分を含む)を薬剤包装機1にて合掌熱溶着した場合は、薬包紙20の三角形状の切り込み44端に溶けた薬包紙原材が漏れ出て主ヒータ29の平行部29Bに付着してしまう場合がある。そして、三角形状の切り込み44端に漏れ出た原材が平行部29Bに付着すると薬包紙20の側端縁部43が平行部29Bに貼り付いて引込ローラ30で薬包紙20を引き込めなくなり薬剤包装機1に不具合が発生してしまう。
【0074】
そこで、図12に三角形状の切り込み44端に溶けた薬包紙原材が漏れ出てしまうのを防止することができる分包袋36を示している。この場合、薬包紙20は、内部に薬剤が収納された状態で連続し、服用時に分離される複数の分包袋36を製袋する前述同様の帯状に構成されている。該薬包紙20の原材も前述したものと同様の透明複合プラスチックシート42にて構成されている。該薬包紙20(透明複合プラスチックシート42)の両側端縁部43,43には、前述同様のギザギザのノコギリ刃状と略同様の三角形状の切り込み44,44が形成されている。
【0075】
切り込み44は、斜辺の先端が折部20A方向に位置する底部44Aと、斜辺の先端が折部20Aの離間方向に位置する山部44Bとからなる三角形状に形成されている。そして、薬包紙20が折部20Aより二つ折りされた状態で、薬包紙20の一側に設けられた三角形状の切り込み44底部44Aと他側に設けられた三角形状の切り込み44底部44Aと重なり合うように構成されている(図13の2点鎖線)。この場合、薬包紙20の一側に設けられた三角形状の切り込み44山部44Bと他側に設けられた三角形状の切り込み44山部44Bとが重なり合うのは云うまでもない。即ち、薬包紙20の両側端縁部43,43は、薬包紙20が折部20Aから二つ折りされた際、両側の三角形状(両切り込み44、44)が互いに重なり合って略合致するよう構成されている(図14)。
【0076】
また、切り込み44は底部44Aの角度α、即ち三角形状の切り込み44の対向する斜辺が成す角度αを110度以下(この場合、110度〜100度の間)に形成すると共に、側端縁部43に設けられた横溶着部39は、切り込み44底部44Aに略接して両横溶着部39が合掌熱溶着されている(図15)。他は前述同様に構成されている。尚、縦溶着部38の熱溶着はミシン目37の中央部分は行わず、ミシン目37の両端部を所定幅(この場合略縦溶着部38の幅寸法)熱溶着すると共に、隣接する分包袋36の縦溶着部38を連続して熱溶着している(図12)。
【0077】
これにより、分包袋36内に収納された薬剤の取り出しの際に、薬包紙20(透明複合プラスチックシート42)の切り込み44に沿って分包袋36を切り開くことができるので、例えば、従来使用していたポリエチレンラミネートセロファン紙、或いは、ポリエチレンラミネートグラシン紙などの包装シートに比べて切り開き難い透明複合プラスチックシート42からなる分包袋36であっても、所望の位置の切り込み44部分から簡単に切り開くことが可能となる。
【0078】
この場合、切り込み44が形成された部分は熱溶着されていないので、三角形状の切り込み44端に溶けた薬包紙の原材が漏れ出てしまうのを防止することが可能となる。これにより、三角形状の切り込み44底部44Aが漏れ出た原材によって包装機構に不具合が発生したり、分包袋の切り開き易さや見栄えが損なわれてしまうのを解消することができる。
【0079】
また、薬包紙20が折部20Aから二つ折りされた際、両側端縁部43,43の切り込み44が相互に略合致するようにしているので、分包袋36の両側端縁部43,43に設けた切り込み44部分(三角形状の底部44A)に切り込むカが集中し易くなる。また、両側端縁部43,43の切り込み44部分に切り込む力が集中すると、比較的弱い力でも切り込み44部分から分包袋36を切り開くことが可能となる。これにより、高齢者や子供、特に手のカの弱った病人などであっても、薬包紙20(透明複合プラスチックシート42)は二つ折りされた分包袋36の両側端縁部43,43の切り込み44から簡単に切り開くことができる。
【0080】
また、三角形状の切り込み44の対向する斜辺が成す角度αを110度以下としているので、薬剤包装機1での薬剤の包装過程において、薬包紙20(透明複合プラスチックシート42)が引っ張られた場合でも透明複合プラスチックシート42が裂け難くなり、しかも、分包袋36を切り開く際、切り込み44の角度αが大きすぎて、例えば、患者は分包袋36を切り開くカが集中し難くなることがない。これにより、薬剤包装機1での薬剤の包装に好適に使用でき、且つ、患者が容易に切り開くことができる分包袋36を提供することができる。
【0081】
次に、図16には本発明の更に他の実施例の分包袋36を示している。この場合、分包袋36の切り込み44と横溶着部39とを所定寸法離間させて、横溶着部39を合掌熱溶着している。即ち、熱溶着箇所(横溶着部39)を、切り込み44底部44Aから0.5mm乃至1.0mm離間させている(図17矢印範囲)。これにより、横溶着部39を合掌熱溶接.した場合、漏れ出たシーラントは横溶着部39と切り込み44との間に収まって切り込み44端まで流出しないので、三角形状の切り込み44端に溶けた薬包紙の原材が漏れ出てしまうのをより効果的に防止することが可能となると共に、三角形状の切り込み44底部44Aが漏れ出た原材によって切り開き易さが損なわれてしまうのを解消することができる。
【0082】
特に、分包袋36の切り込み44と横溶着部39とを所定寸法離間させているので、患者が分包袋36を切り開く際に、その切り開く力を分包袋36の三角形状の切り込み44底部44Aに集中させることが可能となり、高齢者や子供、特に手の力の弱った病人などであっても、簡単に分包袋36を切り開くことができる。
【0083】
次に、図18には本発明の他の分包袋36を示している。この場合も、薬包紙20の両側端縁部43,43の切り込み44は、斜辺の先端が折部20A方向に位置する底部44Aと、斜辺の先端が折部20Aの離間方向に位置する山部44Bとからなる三角形状に形成されている。そして、薬包紙20が折部20Aより二つ折りされた状態で薬包紙20の一側に設けられた三角形状の切り込み44底部44Aと他側に設けられた三角形状の切り込み44山部44Bとが重なり合うように構成されている(図18の2点鎖線)。この場合も、薬包紙20の一側に設けられた三角形状の切り込み44山部44Bと他側に設けられた三角形状の切り込み44底部44Aとが重なり合うのは云うまでもない。即ち、薬包紙20の両側端縁部43,43は、薬包紙20が折部20Aから二つ折りされた際、両側の三角形状(両切り込み44底部44Aと山部44B)が互いにずれるように構成されている(図19)。
【0084】
これにより、分包袋36を薬包紙20の両側端縁部43,43に設けた切り込み44部分から切り開いた、分包袋36の切り開いた端部をずらすことができる。また、分包袋36を切り開いてずれた当該分包袋36を開き易くすることが可能となる。従って、使用者は分包袋36内の薬剤を極めて簡単に取出すことができるようになる。
【0085】
次に、図20には本発明の他の分包袋36を示している。この場合、薬包紙20の両側端縁部43,43の三角形状の切り込み44底部44Aと山部44Bとを湾曲形状に形成している。詳しくは、薬包紙20の両側端縁部43,43の三角形状の切り込み44底部44Aの半径Rを2μm乃至10μmの湾曲形状としている(図21矢印)。この場合、三角形状の切り込み44底部44Aの湾曲形状の大きさは、薬剤包装機1での薬剤の包装過程において、薬包紙20が引っ張られた場合でも薬包紙20が裂け難く、然も、分包袋36を切り込み44部分から切り開く際、患者が容易に分包袋36を切り開くことができる湾曲形状とされる。また、合掌熱溶着箇所(横溶着部39)と切り込み44底部44Aとを所定寸法離間(この場合前述同様0.5mm乃至1.0mm離間)させている。
【0086】
ここで、薬包紙20の両側端縁部43,43に図示しない刃で連続的に斜辺をカットして三角形状の切り込み44を設けると、斜辺の先端を底部44Aより僅か前方(山部の反対側方向)まで切り込まなければ三角形状に切り落とすことができない。即ち、切り込み44底部44Aに湾曲形状を設けない三角形状の切り込み44を連続してカット加工した場合、三角形状の底部44Aにはどうしても底部44Aよりはみ出し延長した延長切部44Cが形成されてしまう(図22)。
【0087】
三角形状の底部44Aに延長切部44Cが形成されると、分包袋36を切り開いた際、分包袋36が意に反した方向に裂け、分包袋36内から薬剤が飛び散ってしまうような不都合が発生してしまう場合がある。そこで、図20、図21の実施例では、薬包紙20の両側端縁部43,43の三角形状の切り込み44底部44Aに湾曲形状を設け、分包袋36が意に反した方向に裂けて分包袋36内から薬剤が飛び散ってしまう不都合を防止している。
【0088】
また、上述の寸法で薬包紙20の切り込み44底部44Aを所定の湾曲形状とすれば、薬剤包装機1での薬剤の包装過程において薬包紙20が裂け難く、また、患者が分包袋36を切り開く際に、その切り開く力を分包袋36の三角形状の切り込み44底部44Aに集中させることが可能となるので、分包袋36が切り込み44の方向に沿って切り開き易くなるので、分包袋36が意に反した方向に裂けることにより、分包袋36内から薬剤が飛び散ってしまうような不都合を未然に防止することができる。尚、図では三角形状の切り込み44山部44Bも湾曲形状としているが切り込み44山部44Bは三角形状のままであっても差し支えない。
【0089】
また、図23には更に他の例の分包袋36を示している。この場合、分包袋36には三角形状の切り込み44の代わりに、端部に複数の切れ目45を設けている。該切れ目45は分包袋36の開口部20Bから折部20A方向に向かって約0.5mm乃至1.0mmの切れ目45が設けられている。尚、切れ目45は更に小さな寸法であっても分包袋36を切れ目45部分から切り開くことができれば上記寸法に限られるものでない。このように分包袋36には三角形状の切り込み44の代わりに、複数の切れ目45を設けているので、高齢者や子供、特に手の力の弱った病人などであっても、簡単に分包袋36を切り開くことができる。
【0090】
尚、実施例では固形製剤を薬剤として説明したが、薬剤は係る固形製剤に限られず穎粒製剤や粉末製剤であっても本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1(A)は、本発明の一実施例となる薬包紙を模式的に示す部分平面図、図1(B)は、図1(A)図の薬包紙を二つ折りにした状態を模式的に示す部分平面図である。
【図2】図2(A)は、本発明の実施例となる薬包紙を模式的に示す部分平面図、図2(B)は、図2(A)の薬包紙を2つ折りした状態を模式的に示す部分平面図である。
【図3】本発明の他の実施例となる薬包紙を模式的に示す部分断面図である。
【図4】本発明の薬剤包装機の縦断側面図である。
【図5】本発明の薬包紙ロールを除く薬剤包装機の固形製剤包装機構の斜視図である。
【図6】固形製剤包装機構の回転軸周辺の側面図である。
【図7】薬包紙ロールの斜視図である。
【図8】図7の薬包紙ロールを構成する軸材の斜視図である。
【図9】薬包紙ロールを装填する途中の状態の固形製剤包装機構の斜視図である。
【図10】ヒートシール機構の側面図である。
【図11】本発明の実施例となる薬包紙の一実施形態を模式的に示す平面図である。
【図12】本発明の実施例となるもう一つの薬包紙の一実施形態を模式的に示す平面図である。
【図13】同図12の薬包紙を模式的に示す部分平面図である。
【図14】同図13の薬包紙を二つ折りにした状態を模式的に示す部分平面図である。
【図15】図12の薬包紙の側端縁部(切り込み)の拡大図である。
【図16】本発明の実施例となるもう一つの薬包紙の一実施形態を模式的に示す平面図である。
【図17】同図16の薬包紙の側端縁部(切り込み)の拡大図である。
【図18】図16の薬包紙を模式的に示す部分平面図である。
【図19】同図16の薬包紙を二つ折りにした状態を模式的に示す部分平面図である。
【図20】本発明の実施例となるもう一つの薬包紙の一実施形態を模式的に示す平面図である。
【図21】同図20の薬包紙の側端縁部(切り込み)の拡大図である。
【図22】図21と比較するために三角形状の切り込みが設けられた薬包紙の側端縁部の拡大図である。
【図23】本発明の実施例となる更にもう一つの薬包紙の一実施形態を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0092】
1 薬剤包装機
3 固形製剤収納機構
6 タブレットケース
10 ターンテーブル
11 ガイド
13 シュ一夕
14 固形製剤包装機構
15 ベース
16 回転軸
17 載置板
18 ブレーキ
19 薬包紙ロール
20 薬包紙
20A 折部
20B 開口部
21 軸材
23 テンションレバー
27 ヒートシール機構
28 仮ヒータ
29 主ヒータ
30 引込ローラ
31 引込モータ
36 分包袋
37 ミシン目
38 縦溶着部
39 横溶着部
40 ポリエチレンテレフタレート(PET)シート
40A 印刷面
41 低密度ポリエチレンシート
42 透明複合プラスチックシート
43 側端縁部
44 切り込み
44A 底部
44B 山部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に薬剤が収納された状態で連続し、服用時に分離される複数の分包袋を製袋するための帯状の薬包紙であって、
その原材がポリエチレンテレフタレートシート又は二軸延伸ポリプロピレンシートを含む帯状の透明複合プラスチックシートであり、且つ、両側端縁部には、二つ折りされると互いに重なり合う三角形状の切り込みが形成され、前記三角形状の切り込み底部を半径2μm乃至10μmの湾曲形状とするとともに、前記三角形状の切り込みの対向する斜辺が成す角度を110度以下とし、互いに合掌熱溶着されることを特徴とする薬包紙。
【請求項2】
前記薬包紙の原材は、厚さ10μm〜100μmのポリエチレンテレフタレートシート又は二軸延伸ポリプロピレンシートの裏面上に、厚さ10μm〜50μmの食品コンタクト可能なプラスチックシートを接着積層してなる帯状の透明複合プラスチックシートから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の薬包紙。
【請求項3】
前記三角形状の切り込みが、ピッチ幅0.5mm〜10mmで形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の薬包紙。
【請求項4】
二つ折りされた際、両側端縁部の前記切り込みが相互に略合致することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の薬包紙。
【請求項5】
二つ折りされた際、両側端縁部の前記切り込みが相互にずれることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の薬包紙。
【請求項6】
前記食品コンタクト可能なプラスチックシートが低密度ポリエチレンシート又はポリプロピレンシートであることを特徴とする請求項2記載の薬包紙。
【請求項7】
帯状の薬包シートを用い、内部に薬剤が収納された状態で連続し、服用時に分離される複数の分包袋を製袋するための帯状の薬包紙であって、
その原材がポリエチレンテレフタレート又は二軸延伸ポリプロピレンシートを含む帯状の透明複合プラスチックシートであり、且つ、両側端縁部は、二つ折りされると互いに重なり合う三角形状の切り込みが形成されており、
前記原材の前記切り込みが形成された部分は熱溶着されることなく、互いに合掌熱溶着され、長手方向と直交する方向に所定幅で帯状に熱溶着されることで、前記分包袋を製袋されてなることを特徴とする薬包紙
【請求項8】
前記薬包シートのポリエチレンテレフタレートシート又は二軸延伸ポリプロピレンシートに、微細なキズが形成されていることを特徴とする請求項7に記載の薬包紙

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−260586(P2008−260586A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183764(P2008−183764)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【分割の表示】特願2002−363415(P2002−363415)の分割
【原出願日】平成14年12月16日(2002.12.16)
【出願人】(301038450)ニシムラ化学株式会社 (1)
【Fターム(参考)】