説明

薬液注入器用薬液充填筒とその製造方法

【課題】 薬液充填に応じて略一定の筒状に大径化するとともに均一に延伸する薬液注入器用薬液充填筒およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 薬液注入器1の外筒10内に装填される薬液充填筒2であって、ゴム弾性を有する素材で筒状に形成されている。その一端あるいは両端に薬液の充填・注出のための開口部21を有し、薬液の充填に応じて大径化するとともに延伸する。筒を構成するゴムの肉厚は、筒長の両端側に比して中央部側が厚く、薬液充填時に全体として筒径が略一定となるような肉厚分布になっている。また、この薬液注入器用薬液充填筒2を製造する方法は、素材がゴムを主成分とし、これに配向性を付与する添加剤を配合して混練りロール間で圧延して配向性を付与し、この配向性を維持するように芯金33に巻き付けて金型31内で加硫成形するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば薬液を人体に注入する医療器具として使用されている薬液注入器における薬液充填筒およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、均一な圧力で経時的に一定量の薬液を継続して注入できるようにした薬液注入器用薬液充填筒およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から医療器具として、図11(a)(b)に示すような薬液注入器100が知られている。
この薬液注入器100は、図11(a)に示すように、一端が開口したガラスあるいは合成樹脂からなる密閉状の外筒101と、その開口101aに密閉状に設けられ、充填ノズル105aと注出ノズル105bとを有していて薬液を出入りさせる蓋部材105と、蓋部材105に設けられて内部が上記両ノズル105a,105bに連通し、薬液充填濾過口105cと密着防止突起105dとを備えた薬液内管104と、ゴム弾性を有する素材により筒状に形成され、一端に開口部103を有するとともに他端が封止され、あるいは、封止栓で密封できるようにした薬液充填筒102を上記薬液内管104に外嵌させてその基部に固定環106で固定される薬液充填筒102とからなるものである。蓋部材105に設けられて内部が上記両ノズル105a,105bに連通する多孔の薬液内管104と、ゴム弾性を有する素材により筒状に形成され、一端に開口部103を有するとともに他端が封止され、上記薬液内管104に外嵌させてその基部に固定環106で固定される薬液充填筒102とからなるものである。
【0003】
この薬液注入器100は、図11(b)に示すように、充填ノズル105aから薬液を充填して薬液充填筒102を膨満させるとともに、外筒101内の空気を圧縮して薬液を加圧充填状態にしておき、人体への薬液注入時には、上記外筒内の空気の圧縮圧と薬液充填筒102のゴム弾性により、あるいは外筒内を外気と通じ、ゴム弾性による収縮力によって、注出ノズル105bに接続された注射針を介して薬液を人体等へ注入することができるものである。そのため、この薬液注入器100では、電動ポンプ・空気圧加圧等のような外部からの動力を用いることなく薬液を人体に注入することができる。
【0004】
また、図12に示すように、両端が開いた筒状をなす薬液充填筒112の両端にそれぞれ充填ノズル115aと抽出ノズル115bを設けた蓋部材115を設けたものも知られている。
【0005】
しかしながら、上記薬液注入器100においては、図11(b)に示すように、薬液充填筒102が、充填した薬液により均等な筒状に変形するものであれば問題はないが、図13(a)に示すように薬液充填筒102が均一な肉厚のものでは、該筒102の筒長の中央部が充填圧で伸張し易く、図13(b)に示すように、筒長の中央部が「蛇が蛙を呑み込んだ」ように偏在した膨張をしてしまう。その結果、該筒102は、肉厚が一定でない不均一な膨張体となって所定量の薬液が充填されてしまうことになる。図12の薬液充填筒112の場合も同様である。
【0006】
このような薬液充填筒102では、人体への薬液注入時に、偏在した膨張で生じた薄い肉厚部で偏在収縮が生じる結果、薬液注出圧が不均一になり、人体に一定圧力で経時的に一定量の薬液を注入ことができないと云う問題がある。
これを解決するためには、流量制御用のオリフィスを装着した出口構造にするなどの対策も考えられるが、このような対策を行っても注出圧が変動するために経時的に一定量の薬液を抽出できないばかりでなく、流量調節部品の点数が増えてコスト高になると云う問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような問題に鑑み、薬液注入器用薬液充填筒としては、薬液の充填に応じて伸張部分が偏在することなく大径化するとともに延伸し、対象物への薬液注入時には、偏在した膨張による薄い肉厚部での偏在収縮が生じることなく、対象物に一定圧力で経時的に一定量の薬液を注入できる薬液充填筒の開発が望まれていた。
【0008】
本発明の技術的課題は、薬液充填筒を、薬液の充填に応じて伸張部分が偏在することなく、ほぼ一定の径に大径化するとともに延伸するように膨満させ、対象物へ薬液を注入する際に、対象物へ薬液を経時的にほぼ一定圧で注入できるようにした薬液充填筒を提供することにある。
本発明の他の技術的課題は、上記薬液充填筒の成分の配合および加硫成形法を改良し、薬液充填時に、全体としてその筒径が略一定の筒状となる大径化および径方向よりも大きな筒長方向の延伸を可能にする肉厚および物性を有する上記薬液注入器用薬液充填筒およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するための本発明の薬液注入器用薬液充填筒は、気密に形成した筒状の外筒内に装填される薬液充填筒であって、ゴム弾性を有する素材で筒状に形成され、その一端あるいは両端に外筒外に開く薬液の充填・注出のための開口部を有していて、薬液の充填に応じて大径化するとともに延伸する薬液注入器用薬液充填筒において、上記薬液充填筒の肉厚が、筒長の両端側に比して中央部側が厚く、薬液充填時に全体として筒径が略一定となるような肉厚分布になっていることを特徴とする。
【0010】
本発明の薬液注入器用薬液充填筒の好ましい実施の形態においては、上記薬液充填筒の外周面が略一定の筒径を有し、上記肉厚分布が、該薬液充填筒の内周面の軸線方向に付与される。薬液の非充填時における上記薬液充填筒は、扁平筒状あるいは星形断面を備えた筒状にすることができる。
本発明の薬液注入器用薬液充填筒の他の好ましい実施の形態においては、上記素材が、ゴムを主成分とし、ゴムに対して粉末補強材を添加・混和した配合物により構成される。上記粉末補強材としてはシリカ(微粒子珪酸および珪酸塩)または炭酸マグネシウムが適し、その場合、ゴム100重量部に対してシリカまたは炭酸マグネシウムの5〜15重量部が添加される。
【0011】
本発明の他の好ましい実施形態においては、上記素材がゴムを主成分としており、上記薬液充填筒が、ゴムに対して、その充填筒の軸線方向の伸長は抑制しないが該軸線に直交する大径化方向に対しては耐圧性を付与する添加剤を添加した配合物から構成される。
上記添加剤としては粉末マイカが適し、その場合、ゴム100重量部に対しマイカ3〜10重量部を加えて混練りした配合物から構成され、上記マイカが充填筒の軸線方向に配向させて添加されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の技術的課題を解決する薬液注入器用薬液充填筒の製造方法は、上記添加剤が添加された配合物から構成されている薬液注入器用薬液充填筒を製造する方法であって、ゴムシートに上記添加剤を配合して2本の混練りロール間で圧延した配合物添加ゴムシートを、上記ロールからの該シートの導出方向を、薬液充填筒成形用の芯金の軸線方向に向けて該芯金に巻き付け、これを金型のキャビティーに収容して、加熱および加圧することにより加硫成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述した本発明の薬液注入器用薬液充填筒によれば、薬液充填筒を薬液の充填に応じて伸張部分が偏在することなく、ほぼ一定の径に大径化するとともに延伸するように膨満させ、対象物へ薬液を注入する際に、対象物へ薬液を経時的にほぼ一定圧で注入することができる。
また、本発明の薬液注入器用薬液充填筒およびその製造方法によれば、上記薬液充填筒の成分の配合および加硫成形法を改良し、薬液充填時に、全体としてその筒径が略一定の筒状となる大径化および径方向よりも大きな筒長方向の延伸を可能にする肉厚および物性を有する上記薬液注入器用薬液充填筒を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1および図2は、本発明の第1実施例を示し、図1は薬液注入器1用の薬液充填筒2への薬液未充填状態を、図2は薬液充填状態を示している。
薬液注入器1は、気密に形成した筒状をなす外筒10の開口11に蓋部材12を密嵌することにより形成され、該蓋部材12の外面には充填ノズル12aと注出ノズル12bとを設けるとともに、この蓋部材12の外筒内側に、上記両ノズル12a,12bと連通する筒部12cを設け、該筒部12cに、薬液充填筒2における薬液の充填・抽出のための一端開口部21が嵌挿されて、固定環13で固定され、筒状の外筒10内に上記薬液充填筒2が装填されている。なお、上記蓋部材12には、図11で説明した薬液内管104に相当するものは備えていない。
【0015】
上記薬液充填筒2は、人体等に注入する薬液を充填して貯留するためのものであり、一端が上記薬液の充填および注入のための開口部21で、他端は閉じられている。また、図12に示す従来例と同様に、薬液充填筒を両端が開口する筒状に形成し、抽出ノズルを封止栓で密に封じて薬液を充填することもできる。これらの薬液充填筒2は、ゴム弾性を有する素材、具体的には、ゴムを主成分とした後述する素材で構成され、薬液充填前および充填した薬液の注出後には、図1に示すように、内部空間が小さい収縮状態にある。
【0016】
図3および図4に拡大して示すように、この薬液充填筒2は、その肉厚が長手方向の断面において略中央部で最大肉厚Tに、両端部で最小肉厚tになっている。そして、その内面は、上記長手方向の断面が内に凸となった曲率半径Rの円弧で近似される形状を有し、外面は均一な径の筒面を形成し、それによって長手方向断面において略中央部が厚い肉厚分布を有している。この形状は、薬液充填時に薬液充填筒2が大径化するとともに延伸したとき、全体として筒径を略一定の膨満状態とするためのものである。その結果、薬液の充填に応じて伸張部分が偏在することなく大径化するとともに延伸し、大径化した薬液充填筒2の一部が薬液注入器1の外筒10に偏って接触することがなく、また、対象物への薬液注入時には、偏在した膨張による薄い肉厚部での偏在収縮が生じることなく、対象物に一定圧力で経時的に一定量の薬液を注入することができる。図12に示す筒状の薬液充填筒を用いる場合には、同図中に鎖線で示すような肉厚分布を持たせることになる。
【0017】
上記最大肉厚Tと最小肉厚tは、人体等への薬液の注入時間を短くする場合には、ほぼ同率で厚くし、また、充填する薬液量を大容量にする場合には、筒長が長くなるので最小肉厚tを厚くすると同時に最大肉厚Tとの比率を調整するなど、注入時間や容量等の与えられた仕様に基づき、あるいは、以下に説明する補強材や添加剤の混合量に応じて経験的に決定され、場合によっては、それらの間の曲面における厚さ分布を含めて、試行錯誤的に最終形状を決定することもあり得ることである。試作品では、t=1mm、T=1.3mmとした。更に、上述したように、肉厚を内側に凸にして薬液充填筒2の内部空間をできるだけ小さくすると、人体への薬液注入完了時に、薬液充填筒2内の薬液残量を可及的に少なくすることができる。なお、第1実施例では、肉厚分布を内側に凸となる円弧状にしているが、薬液の残量が問題にならなければ、逆に外側に凸となる円弧状にしても差し支えない。
【0018】
この薬液充填筒2を構成するゴムの配合物は、以下に説明するような補強材及び添加剤をゴムに加えた配合物とすることができる。
ゴムに対してその強度(張力、応力、硬度、耐摩耗性)を付与するためには、例えば、シリカ(微粒子珪酸および珪酸塩)あるいは炭酸マグネシウムのような補強材が添加される。これらは、数ミクロンの粒子の表面に多数の凹凸が形成されており、この凹凸にゴムの高分子がからんでゴムと一体化し、ゴムに強度を付与するものである。この補強材は、ゴム100重量部に対し5〜15重量部、望ましくは、10〜15重量部が添加・混和される。そして、これらの添加量の増減により薬液充填筒2の強度が調整される。
なお、補強材は上記に限定されるものではなく、補強材として知られている各種素材を利用することができる。
【0019】
また、この薬液充填筒2に変形の方向性を付与するため、具体的には、この薬液充填筒2に薬液を充填する際に、軸線方向の伸張は抑制しないが大径化する方向には耐圧性を付与し、それによってゴムに必要以上の大径化を抑制する強度の配向性を付与するため、素材のゴムに添加剤が配合される。この添加剤としては、粒子が扁平状の粉末マイカなどの無機扁平状結晶物質を用いることができるが、同等の物質を利用することもできる。上記粉末マイカは、ゴムシートに圧延する2本のロール間でゴムを添加しつつ混練りすることにより配合物添加ゴムシートとする場合に、パイを練るのと同様にゴムシート厚さの中に多重層状に列理を構成して、その扁平面がゴム組成中で上記圧延方向に配向されることによりゴムシートが異方性を示し、これによって、ゴムに変形の方向性を付与できるものである。このマイカは、上記補強材のようにゴムと一体化しないので、特に補強性は有していない。
【0020】
図4は、薬液充填筒2にその軸線方向に上記粉末マイカを配向させて成形した状態を示している。このような薬液充填筒2においては、粉末マイカの多重層が該軸線方向と直交する矢印X方向への伸張を妨げ、膨張圧力が層間のゴムに対し軸方向への延伸力として付与され、軸方向への均一な膨張延伸が得られる。
【0021】
そこで、図5〜図9を参照して上記薬液充填筒2の製造方法について更に具体的に説明する。
ゴム生地の製造に際しては、ゴムに対してマイカを除くシリカ等の他の配合物を添加して、それを予め密閉型混練機で混練し、練り上がったゴム2aを、図5(a)に示す2本ロール型混練機30へ移して、練りゴムを薄くロールに巻き付けて圧延しつつ、シート状に巻き付いている練りゴム上に粉末マイカを塗布するようにして添加、混練し、ゴムの表面に粉末マイカが目視できない混和状態で、図5(b)に示すように、薄いゴムシート2cに圧延成形して取り出す。このようにして、ゴム中でマイカをゴムシートの切り出し方向に配向させて方向性を付与したゴムシート2cを得ることができる。
【0022】
このゴムシート2cは、図6に示すように、金型31(図9)のキャビティ32の長手方向の長さに対応させた単位長さaに切断されて、加工単位部材2dが形成される。
図7は、この加工単位部材2dを拡大してその巻き方向を示すもので、加工単位部材2dは上記キャビティ32の体積とほぼ一致する体積となっていて、キャビティ32内に設置される芯金(中子)33に巻き付けて、金型31内に装填される。
【0023】
図8は、この加工単位部材2dを芯金33へ巻き付けた状態を示し、図9は、加硫成形型31を示している。
加硫成形型31は、中心軸で2分割されており、重ね合わせた型内のキャビティ32の内面形状が薬液充填筒2の外形形状に対応している。
上記加工単位部材2dを巻き付けた芯金33を、加硫成形型31に装着して加圧・加熱すると、加工単位部材2dは、キャビティ32内に充満状態になって加硫され、そして、冷却した後に加硫成形型31を開くと、図3に示すような形状に成形された薬液充填筒2が芯金33に取り付けられた形で取り出される。この薬液充填筒2は、上記粉末マイカの配向方向が維持された状態で加硫されている。芯金33から薬液充填筒2を外すと、薬液充填筒2が部品として完成する。
【0024】
このように薬液充填筒2は、その外周面が略一定の筒径を有し、肉厚分布が上記のように形成され、ゴム組成が上記の補強材と一方向に配向した添加剤とをそれぞれ含んでいるので、薬液充填時に充填ノズル12aから薬液を充填すると、薬液充填筒2が図2に示すように大径化するとともに延伸して、全体として筒径が略一定の薬液で膨満された状態とすることができる。また、これに伴い外筒1内の空気が圧縮されて蓄圧される。
この結果、人体に薬液を注入する際には、上記のような状態の薬液充填筒2が外筒10内の圧縮空気でその全体が均一に加圧されるとともに、薬液充填筒2のゴム弾性により均一に収縮するので、注出ノズル12bに接続された注射針(図示省略)を介して一定時間内に一定量の薬液が人体等に注入される。したがって、電動ポンプ・空気圧加圧等のような外部からの動力を用いることなく薬液を人体に注入することができる。そして、注入終了時には、薬液充填筒2に残って廃棄する薬液を可及的に少なくすることができる。
【0025】
つぎに、図10(a)(b)を参照して本発明の薬液注入器用薬液充填筒の第2実施例について説明する。
この第2実施例の薬液注入器用薬液充填筒20は、薬液の非充填時における形状が、図示するように扁平になっている。この薬液充填筒20では、薬液注入終了時に、上記薬液充填筒2に較べて残留する薬液がさらに少なくなる。また、芯金(中子)の断面を星形に成形すれば、更に残留薬液を減ずることができる。
なお、その他の構造および作用は、実質的に第1実施例の薬液充填筒2のそれと変わらないのでそれらの説明は省略する。また、その製造方法も芯金および金型形状が異なるのみで、実質的に薬液充填筒2のそれと変わらないのでその説明も省略する。
【0026】
本発明は上述の実施例に限らず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、種々の構成を採ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る第1実施例の薬液充填筒を備えた薬液注入器の薬液未充填状態を示す断面図である。
【図2】同薬液充填状態を示す断面図である。
【図3】薬液充填筒の構造を説明するための部分拡大断面図である。
【図4】添加剤を配合した薬液充填筒の部分拡大断面図である。
【図5】薬液充填筒の製造方法の一工程を示す斜視図であり、(a)は配合物の混練り状態を示し、(b)は混練りしたゴムシートを切り出す状態を示す斜視図である。
【図6】切り出したゴムシートの斜視図である。
【図7】図6のゴムシートから切り取った加工単位部材の拡大斜視図である。
【図8】加工単位部材を中子へ巻き付けた状態を示す斜視図である。
【図9】加工単位部材を巻き付けた中子を加硫成形型に設置した状態を示す断面図である。
【図10】第2実施例の薬液注入器用薬液充填筒を示すもので、(a)は断面図、(b)はその右側面図である。
【図11】従来の薬液充填筒を内包する薬液注入器を示し、(a)は薬液未充填状態を示す断面図、(b)は薬液充填状態を示す断面図である。
【図12】従来の薬液充填筒の他の構成例を示す要部断面図である。
【図13】従来の薬液充填筒の問題点を説明するものであり、(a)は薬液未充填状態を示す断面図、(b)は薬液充填状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 薬液注入器
2,20 薬液充填筒
21 開口部
30 混練りロール
31 金型
32 キャビティ
33 芯金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密に形成した筒状の外筒内に装填される薬液充填筒であって、ゴム弾性を有する素材で筒状に形成され、外筒外に開く薬液の充填・注出のための開口部を有していて、薬液の充填に応じて大径化するとともに延伸する薬液注入器用薬液充填筒において、
上記薬液充填筒の肉厚が、筒長の両端側に比して中央部側が厚く、薬液充填時に全体として筒径が略一定となるような肉厚分布になっている、
ことを特徴とする薬液注入器用薬液充填筒。
【請求項2】
上記薬液充填筒の外周面が略一定の筒径を有し、上記肉厚分布が、該薬液充填筒の内周面の軸線方向に付与されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の薬液注入器用薬液充填筒。
【請求項3】
薬液の非充填時における上記薬液充填筒が扁平筒状または星形断面の筒状である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の薬液注入器用薬液充填筒。
【請求項4】
上記素材が、ゴムを主成分とし、ゴムに対して粉末補強材を添加・混和した配合物により構成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の薬液注入器用薬液充填筒。
【請求項5】
上記粉末補強材がシリカまたは炭酸マグネシウムであって、ゴム100重量部に対してシリカまたは炭酸マグネシウムの5〜15重量部が添加されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の薬液注入用薬液充填筒。
【請求項6】
上記素材がゴムを主成分としており、上記薬液充填筒が、ゴムに対して、その充填筒の軸線方向の伸長は抑制しないが該軸線に直交する大径化方向に対しては耐圧性を付与する添加剤を添加した配合物から構成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の薬液注入器用薬液充填筒。
【請求項7】
上記添加剤が粉末マイカであって、ゴム100重量部に対しマイカ3〜10重量部を加えて混練りした配合物から構成され、上記マイカが充填筒の軸線方向に配向させて添加されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の薬液注入器用薬液充填筒。
【請求項8】
請求項6または7に記載の薬液注入器用薬液充填筒を製造する方法であって、ゴムシートに上記添加剤を配合して2本の混練りロール間で圧延した配合物添加ゴムシートを、上記ロールからの該シートの導出方向を、薬液充填筒成形用の芯金の軸線方向に向けて該芯金に巻き付け、
これを金型のキャビティーに収容して、加熱および加圧することにより加硫成形する、
ことを特徴とする薬液注入器用薬液充填筒の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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