説明

蛸の産卵用漁礁

【課題】 蛸を確実に定着させて保護し、産卵増殖させることができると共に、容易且つ安価に作成できる蛸の産卵用漁礁を提供する。
【解決手段】 自然石2に所定深さの横穴3を形成すると共に、横穴3の後部から自然石2の後方に貫通する、横穴3よりも小なる貫通孔4を形成し、且つ、横穴3の前部に蓋体5を設け、蓋体5に蛸の出入りを許容する横穴3よりも小なる出入孔6を形成して、自然石2内に蛸が居住して産卵できる居住部7を形成した蛸の産卵用漁礁1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛸の産卵用漁礁に関し、特に、蛸を確実に定着させて保護し、産卵増殖させることができると共に、容易且つ安価に作成できる蛸の産卵用漁礁に関する。
【背景技術】
【0002】
蛸の一般的特徴を説明すると、蛸は大潮時には岩や穴等に良く入り、小潮時にはあまり入らない性質を有している。又、産卵期に岩や穴等に良く入り、産卵後はあまり入らないという性質がある。更に、壺等には比較的新しい間は良く入るが、古くなると入らない性質がある。
【0003】
従って、壺漁などは壺を良く掃除をする必要がある。又、風波の激しいところでは壺が動揺するため蛸は壺の中にあまり入らない。
【0004】
又、蛸には、真蛸、水蛸、飯蛸等の種類があり、真蛸は、全長60cm前後で、沿岸の砂礫底や岩礁域に生息する。夜行性で昼間は岩棚や転石の下に潜り込んでいる。
【0005】
繁殖期以外の時期には縄張りを作る。人工魚礁にもよく集まり、魚礁の陰や周辺の凹みに隠れている。交接、産卵期は春から秋で、産卵水温は15℃以上である。
【0006】
産卵から孵化までは、1カ月から1カ月半かかり、この間、雌は産卵床に付着した卵に海水を吹きかけて新鮮な酸素を供給したり、付着したゴミや砂粒を掃除したりする。稚子が孵化するまでは親蛸は巣を離れず摂餌もしない。
【0007】
又、水蛸は、たこ類の中では世界最大の種で全長3m、体重20kgに達する。
夜行性であるが、夏期は昼間にも活発に行動する。しかし、冬期に水温が下がると、活動は鈍くなり、餌もあまり獲らない。交接期は晩秋から春で、北海道では11〜12月が盛漁期である。生息場所は真蛸とほぼ同様である。
【0008】
更に、飯蛸は、全長30cm程度で、沿岸、内湾の砂泥底などに生息する。海底の貝殻や空き瓶などに住み着いて、内側などに卵を生み付ける。
【0009】
そして、前述した蛸の生息状況に適応させるべく、蛸の産卵用漁礁として、例えば、一方に所要数の通水孔を形成し、他方に蛸用の出入口を形成した素焼きのセラミック製筒体等が蛸用漁礁として用いられ、このセラミック製筒体は直接海底に設置される。
【0010】
又、例えば、特許文献1にタコ用漁礁ブロックが記載されている。このタコ用漁礁ブロックは、中央に縦貫通孔を有する六角柱平盤形の本体と、本体から120度の均等間隔で3方向3側面に形成した張出し部と、張出し部の下面部分は高く、本体の下面部分は段差をつけて低く形成した脚部とが一体に形成されたコンクリート製ブロックであって、一方には前記縦貫通孔と通ずる所要数の通水孔を有し、他方には前記張出し部に開口するタコ用の出入口を有するセラミック製の筒体が3本120度の均等間隔で内接されている。
【特許文献1】特開平7−250587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述した、素焼きのセラミック製筒体から成るタコ用漁礁ブロックは、(イ)筒体であるため設置安定性が悪く、転倒する虞があり、転倒すると筒体内に新鮮な海水が流れない虞がある。(ロ)出入口が海底に近くなるため、比較的小さな岩等で塞がれてしまう。(ハ)出入口が一方向にしかないため、蛸の入孔の機会が少ない。(ニ)数本の筒体を隣接して設置した場合、蛸の縄張りが重なることにより複数の蛸が定着しにくい。(ホ)筒体と海底との間に飼料生物の生息する隙間がない。(ヘ)卵から稚仔になった時、出入口から外敵に襲われる危険がある。等の問題点がある。
【0012】
又、特許文献1に記載のタコ用漁礁ブロックは、(イ)設置安定性に優れ、タコを良好に定着させることができる。(ロ)ブロックの隙間に飼料生物を繁殖させることができる。(ハ)稚仔を外敵から守ることができる。(ニ)海底を有効に利用して筒体を効率良く配置することができる。等の利点があり、タコを確実に保護増殖させることができる。
【0013】
然しながら、特許文献1に記載のタコ用漁礁ブロックは、製作に時間と手間を要すると共に、製造コストがかかるという問題がある。
【0014】
以上の現状に鑑み、本発明は、蛸を確実に定着させて保護し、産卵増殖させることができると共に、容易且つ安価に作成できる蛸の産卵用漁礁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、自然石に所定深さの横穴を形成すると共に、該横穴の後部から自然石の後方に貫通する、該横穴よりも小なる貫通孔を形成し、且つ、該横穴の前部に蓋体を設け、該蓋体に蛸の出入りを許容する該横穴よりも小なる出入孔を形成して、自然石内に蛸が居住して産卵できる居住部を形成したことを特徴とする蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0016】
請求項2に係る発明は、上記自然石は、下面が平坦となるように平坦化処理がなされていることを特徴とする請求項1記載の蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0017】
請求項3に係る発明は、上記自然石は、下面に、下方に突設する1又は2以上の支脚が設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0018】
請求項4に係る発明は、上記出入孔は1又は2以上形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0019】
請求項5に係る発明は、上記貫通孔は1又は2以上形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0020】
請求項6に係る発明は、上記居住部は1つの自然石内に1又は2以上形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0021】
請求項7に係る発明は、上記横穴は円柱状に形成されると共に、上記蓋体は円盤状に形成され、該蓋体に上記出入孔が開穿されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0022】
請求項8に係る発明は、上記横穴は円柱状に形成されると共に、上記蓋体は円盤状に形成され、該蓋体に上記出入孔が偏心して開穿されていることを特徴とする請求項7記載の蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0023】
請求項9に係る発明は、上記出入孔に連通して該出入孔よりも小なる小孔が1又は2以上開穿されていることを特徴とする請求項8記載の蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0024】
請求項10に係る発明は、上記蓋体は、1又は2以上の自然石であり、該自然石を上記横穴の前部に載置或いは固着して、該自然石と該横穴との隙間に上記出入孔を形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0025】
請求項11に係る発明は、請求項1乃至10のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁を2個以上固着して成ることを特徴とする蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0026】
請求項12に係る発明は、上記自然石にチェーンを貫通させるためのチェーン用貫通孔を開穿し、且つ、該チェーン用貫通孔の内周面に、該チェーン用貫通孔の全長に及んで延びる2つの溝を対向させて形成し、一方、前記チェーン用貫通孔内に貫通させるチェーンは、環状ブロックが交互に直交して結合され、1つおきのブロックの外周部に前記2つの溝内に嵌入させる2つの突起を対称的に形成し、前記チェーン用貫通孔に該チェーンを貫通させて、該チェーンにより前記自然石を保持すると共に、該突起を前記溝内に夫々嵌入させて、該チェーンと該自然石との相対的な回転を規制することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0027】
請求項13に係る発明は、上記自然石にチェーンを貫通させるためのチェーン用貫通孔を開穿し、且つ、該チェーン用貫通孔の内周面に、該チェーン用貫通孔の全長に及んで延びる4つの溝を等間隔に離間させて形成し、一方、前記チェーン用貫通孔内に貫通させるチェーンは、環状ブロックが交互に直交して結合され、夫々のブロックの外周部に前記溝内に嵌入させる2つの突起を対称的に形成し、前記チェーン用貫通孔に該チェーンを貫通させて、該チェーンにより前記自然石を保持すると共に、該突起を前記4つの溝内に夫々嵌入させて、該チェーンと該自然石との相対的な回転を規制することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【0028】
請求項14に係る発明は、上記チェーン用貫通孔の全長に及んで形成される上記溝に代えて、該チェーン用貫通孔の途中まで延びる所定長さの溝を形成し、一方、上記チェーンに形成される突起も、該所定長さの溝に対応させて、該チェーンの所定長さの範囲に形成し、前記チェーン用貫通孔に該チェーンを貫通させたとき、該突起が該溝の最奥部に当接して、該チェーンの一方向の摺動が規制されるように構成されて成ることを特徴とする請求項12又は13のいずれかに記載の蛸の産卵用漁礁を提供するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明の請求項1記載の発明によれば、自然石に所定深さの横穴を形成すると共に、該横穴の後部から自然石の後方に貫通する、該横穴よりも小なる貫通孔を形成し、且つ、該横穴の前部に蓋体を設け、該蓋体に蛸の出入りを許容する該横穴よりも小なる出入孔を形成して、自然石内に蛸が居住して産卵できる居住部を形成した蛸の産卵用漁礁を提供するので、蛸を確実に定着させて保護し、産卵増殖させることができると共に、容易且つ安価に作成できる蛸の産卵用漁礁を提供できる。
【0030】
請求項2記載の発明によれば、上記自然石は、下面が平坦となるように平坦化処理がなされているので、請求項1記載の発明の効果に加え、自然石の設置安定性が良好になる。
【0031】
請求項3記載の発明によれば、上記自然石は、下面に、下方に突設する1又は2以上の支脚が設けられているので、請求項1又は2のいずれかに記載の発明の効果に加え、支脚によって形成される自然石と海底との間に蛸の飼料生物が生息する隙間を形成することができる。
【0032】
請求項4記載の発明によれば、上記出入孔は1又は2以上形成されているので、請求項1乃至3のいずれか一に記載の発明の効果に加え、蛸の出入の機会を増やすことができる。
【0033】
請求項5記載の発明によれば、上記貫通孔は1又は2以上形成されているので、請求項1乃至4のいずれか一に記載の発明の効果に加え、貫通孔によって新鮮な海水を流出入させることができる。
【0034】
請求項6記載の発明によれば、上記居住部は1つの自然石内に1又は2以上形成されているので、請求項1乃至5のいずれか一に記載の発明の効果に加え、多数の蛸の産卵場所を提供することができる。
【0035】
請求項7記載の発明によれば、上記横穴は円柱状に形成されると共に、上記蓋体は円盤状に形成され、該蓋体に上記出入孔が開穿されているので、請求項1乃至6のいずれか一に記載の発明の効果に加え、蓋体を容易且つ安価に製作できると共に、蓋体の横穴への取り付けも容易である。
【0036】
請求項8記載の発明によれば、上記横穴は円柱状に形成されると共に、上記蓋体は円盤状に形成され、該蓋体に上記出入孔が偏心して開穿されているので、請求項7記載の発明の効果に加え、蛸が身を隠し易くなり、蛸の定着率が向上する。
【0037】
請求項9記載の発明によれば、上記出入孔に連通して該出入孔よりも小なる小孔が1又は2以上開穿されているので、請求項8記載の発明の効果に加え、蛸の脚が小孔から出入りし易くなる。
【0038】
請求項10記載の発明によれば、上記蓋体は、1又は2以上の自然石であり、該自然石を上記横穴の前部に載置或いは固着して、該自然石と該横穴との隙間に上記出入孔を形成するので、請求項1乃至6のいずれか一に記載の発明の効果に加え、出入孔を容易且つ安価に形成できる。
【0039】
請求項11記載の発明によれば、請求項1乃至10のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁を2個以上固着して成る蛸の産卵用漁礁を提供するので、作業性が良く、且つ、沈設した時の設置安定性が高い蛸の産卵用漁礁を得ることができる。
【0040】
請求項12記載の発明によれば、上記自然石にチェーンを貫通させるためのチェーン用貫通孔を開穿し、且つ、該チェーン用貫通孔の内周面に、該チェーン用貫通孔の全長に及んで延びる2つの溝を対向させて形成し、一方、前記チェーン用貫通孔内に貫通させるチェーンは、環状ブロックが交互に直交して結合され、1つおきのブロックの外周部に前記2つの溝内に嵌入させる2つの突起を対称的に形成し、前記チェーン用貫通孔に該チェーンを貫通させて、該チェーンにより前記自然石を保持すると共に、該突起を前記溝内に夫々嵌入させて、該チェーンと該自然石との相対的な回転を規制するので、請求項1乃至11のいずれか一に記載の発明の効果に加え、チェーンにより自然石が保持されると共に、2つの溝内に夫々突起が嵌入することによりチェーンと自然石との相対的な回転が規制され、自然石の損壊、磨耗を防止することができる。又、チェーンと自然石とが擦れあうことがなくなり、電触の発生によるチェーンの腐食を防止することができる。
【0041】
請求項13記載の発明によれば、上記自然石にチェーンを貫通させるためのチェーン用貫通孔を開穿し、且つ、該チェーン用貫通孔の内周面に、該チェーン用貫通孔の全長に及んで延びる4つの溝を等間隔に離間させて形成し、一方、前記チェーン用貫通孔内に貫通させるチェーンは、環状ブロックが交互に直交して結合され、夫々のブロックの外周部に前記溝内に嵌入させる2つの突起を対称的に形成し、前記チェーン用貫通孔に該チェーンを貫通させて、該チェーンにより前記自然石を保持すると共に、該突起を前記4つの溝内に夫々嵌入させて、該チェーンと該自然石との相対的な回転を規制するので、請求項12記載の発明の効果に加え、4つの溝内に夫々突起が嵌入することによりチェーンと自然石との相対的な回転が更に規制され、自然石の損壊、磨耗、及び、電触の発生によるチェーンの腐食を効果的に防止することができる。
【0042】
請求項14記載の発明によれば、上記チェーン用貫通孔の全長に及んで形成される上記溝に代えて、該チェーン用貫通孔の途中まで延びる所定長さの溝を形成し、一方、上記チェーンに形成される突起も、該所定長さの溝に対応させて、該チェーンの所定長さの範囲に形成し、前記チェーン用貫通孔に該チェーンを貫通させたとき、該突起が該溝の最奥部に当接して、該チェーンの一方向の摺動が規制されるように構成されて成るので、請求項12又は13のいずれかに記載の発明の効果に加え、自然石とチェーンとの互いの摺動を一方向に於いて規制でき、これによって自然石の損壊、磨耗、及び、電触の発生によるチェーンの腐食を効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1に於いて、1は蛸の産卵用漁礁であり、産卵用漁礁1は、自然石2の所定高さ位置に、所定深さの横穴3を形成すると共に、横穴3の後部から自然石2の後方に貫通する、横穴3よりも小なる貫通孔4を形成し、且つ、横穴3の前部に蓋体5を設け、蓋体5に蛸の出入りを許容する横穴3よりも小なる出入孔6を形成して、自然石2内に蛸が居住して産卵できる居住部7を形成したものである。
【0044】
そして、前記横穴3は円柱状に形成されると共に、蓋体5は円盤状に形成され、且つ、円盤状の蓋体5に前記出入孔6が偏心して開穿されている。蓋体5は接着剤等を用いて横穴3の前部に固着される。
【0045】
而して、蛸は、前記出入孔6から出入して横穴3内に居住し、横穴3内に産卵することができる。横穴3内には、出入孔6及び貫通孔4から新鮮な海水が流出入する。
【0046】
斯くして、前記産卵用漁礁1は、比較的設置安定性も良く、横穴3内に新鮮な海水を流出入させることができ、蛸を前記居住部7に居住させ、確実に定着させて保護し、産卵増殖させることができる。又、蛸の稚仔が横穴3内に隠れることもできる。更に、前記産卵用漁礁1は、自然石2に横穴3及び貫通孔4を形成するものであるため、容易且つ安価に作成できる。
【0047】
又、前記蓋体5は円盤状に形成され、蓋体5に前記出入孔6が開穿されているため、蓋体5を容易且つ安価に製作できると共に、横穴3への取り付けも容易である。更に、蓋体5に出入孔6が偏心して開穿されているので、蛸が隠れやすくなり、蛸の定着率が向上する。
【0048】
図2に於いて、8は他の蛸の産卵用漁礁を示し、産卵用漁礁8は、前記産卵用漁礁(図1に於いて1)に形成された1個の貫通孔4に代えて3個の貫通孔4,4…を形成したものである。これら3個の貫通孔4,4…によって、新鮮な海水が更に流出入し易くなる。
又、貫通孔4の大きさを小さくして個数を増やすことにより外敵の侵入を防止することも可能である。尚、貫通孔4は1個又は3個に限定されるものではなく、1又は2以上任意に設けることが可能である。
【0049】
図3に於いて、11は他の蛸の産卵用漁礁を示し、産卵用漁礁11は、前記産卵用漁礁(図1に於いて1)の自然石(図1に於いて2)に代えて、下面が平坦となるように平坦化処理がなされている自然石12を用いるものである。
【0050】
産卵用漁礁11は自然石12の下面を平坦化処理しているので、海底に設置した場合の設置安定性が更に良好となり、産卵用漁礁11の移動、転倒等を防止することができる。
【0051】
図4に於いて、13は更に他の蛸の産卵用漁礁を示し、産卵用漁礁13は、前記産卵用漁礁(図3に於いて11)の自然石12の下面に、下方に突設する1又は2以上の支脚14,14…を設けたものである。支脚14は好ましくは3又は4個設けることが望ましい。
【0052】
産卵用漁礁13は自然石12の下面に、下方に突設する1又は2以上の支脚14,14…を設けたものであるので、支脚14,14…によって自然石12と海底15との間に蛸の飼料生物が生息できる隙間Sを形成することができる。
【0053】
図5(a)及び(b)に於いて、21は前記産卵用漁礁(図1に於いて1)の蓋体(図1に於いて5)に代えて用いられる蓋体であり、蓋体21は、円盤状に形成され、円盤状の蓋体21の略中央部に蓋体21と同心円状に出入孔22を開穿したものである。蓋体21は、簡素な形状であり、製作も容易であることから安価に提供できると共に、横穴3への取り付けも容易である。
【0054】
図5(c)及び(d)に於いて、23は前記産卵用漁礁(図1に於いて1)の蓋体(図1に於いて5)に代えて用いられる蓋体であり、蓋体23は、円盤状に形成され、蓋体23に出入孔24が偏心して開穿され、更に、出入孔24に連通して出入孔24よりも小なる小孔25,25…が1又は2以上開穿されている。図5(c)に於いては、3個の小孔25,25…が開穿されている。
【0055】
前記蓋体23は、小孔25,25…が開穿されていることにより、蛸の脚が小孔25,25…から出入りし易くなる。又、蓋体23は横穴3への取り付けも容易である。
【0056】
図6に於いて、31は前記産卵用漁礁(図1に於いて1)の1つの居住部(図1に於いて7)に代えて2つの前記居住部7,7が形成された産卵用漁礁である。
【0057】
産卵用漁礁31は、居住部7,7が2つ形成されたことにより、蛸が居住して産卵する場所を増加させることが可能になる。尚、居住部7が形成される自然石32の大きさによって更に3つ以上の居住部7,7…を形成することも可能であり、然る時は、多数の蛸を定着させ、産卵場所を更に増やすことができる。
【0058】
図7に於いて、41は前記産卵用漁礁(図1に於いて1)の居住部(図1に於いて7)に代えて、2匹以上の蛸が居住できる居住部42が形成される産卵用漁礁であり、居住部42は、自然石43に比較的大きめの所定深さの横穴44を形成すると共に、横穴44の後部から自然石43の後方に貫通する、横穴44よりも小なる2つの貫通孔45,45を形成し、且つ、横穴44の前部に蓋体46を設け、蓋体46に蛸の出入りを許容する横穴44よりも小なる2つの出入孔47,47を形成するものである。
【0059】
前述した比較的大きめの所定深さの横穴44によって、2匹以上の蛸が居住できると共に、前記2つの出入孔47,47によって、蛸の横穴44への出入の機会を増やすことができる。尚、前記出入孔47は2つ設けたが、3つ以上設けて更に蛸の横穴44への出入の機会を増やすことも可能であり、又、前記貫通孔45を3つ以上設けて横穴44内への新鮮な海水の流出入を促進することも可能である。
【0060】
図8に於いて、51は前記産卵用漁礁(図4に於いて13)の蓋体(図4に於いて5)に代えて用いられる蓋体であり、蓋体51は、2個の自然石52,52から成り、2個の自然石52,52を横穴3の前部に載置或いは固着して、2個の自然石52,52と横穴3との隙間に出入孔53を形成するものである。
【0061】
前記蓋体51は、2個の自然石52,52を自然のまま、或いは、小さく砕いて用いるものであるため、出入孔53を容易且つ安価に形成できる。尚、前記蓋体51として2個の自然石52,52を用いたが、1個又は、3個以上でも良く、その数は任意に選択できる。尚、蓋体51は、前記産卵用漁礁8,11,31にも適用可能であり、同様の効果が期待できる。
【0062】
又、前記蓋体21及び23は、前記産卵用漁礁8,11,13,31にも適用可能であり、蓋体23の出入口24及び小孔25の形状を産卵用漁礁41の出入孔47に適用することも可能である。
【0063】
図9に於いて、61は4個の前記産卵用漁礁1,1…をワイヤ62で結束して固着させた産卵用漁礁であり、産卵用漁礁61は、作業用に、各産卵用漁礁1,1…の上面に吊り上げ金具63,63…が夫々固着され、吊り上げ金具63,63…にワイヤロープ64,64…を係止してフック65で吊下できるように構成されている。(尚、前記産卵用漁礁1,8,11,13,31,41,51に於いても作業用に吊り上げ金具63が固着されても良い。)
【0064】
この場合、前記産卵用漁礁1の出入口6は蛸が自由に出入りできるように、好適には外側に位置するように設置される。
【0065】
この産卵用漁礁61は、同時に複数個の単体産卵用漁礁1,1…を一括操作できるため、作業性が良く、且つ、沈設した時の設置安定性が高いという利点がある。
【0066】
尚、前記産卵用漁礁61は産卵用漁礁1,1…を4個結束して固着したが、4個に限定されず、複数の産卵用漁礁1,1…を結束して固着することが可能である。但し、作業性の点から、2〜4個を結束して固着することが好適である。そして、然る時も、同様の効果が期待できる。
【0067】
又、前記ワイヤ62に代えてチェーンを用いても良く、或いは、その他の結束用品、又は、結着用品を用いることも可能であり、然る時も同様の効果が期待できる。
【0068】
更に、前記産卵用漁礁61は前記産卵用漁礁1,1…を固着したが、前述した他の産卵用漁礁8,11,13,31,41,51を固着して構成しても良い。そして、然る時も、同様の効果が期待できる。
【0069】
更に又、前記産卵用漁礁1,1…は略直方体のブロックで示したが、形状が不揃いのブロックでも良く、特に、形状が不揃いのブロックの場合にブロック間の隙間が空き、潮抜きも良好である等の利点がある。
【0070】
図10に於いて、71は前記産卵用漁礁1をチェーン72で保持した蛸の産卵用漁礁であり、産卵用漁礁71は、図10及び図11に示す如く、自然石2にチェーン72を貫通させるためのチェーン用貫通孔73を開穿し、且つ、チェーン用貫通孔73の内周面に、チェーン用貫通孔73の全長に及んで延びる2つの溝74,74を対向させて形成し、一方、前記チェーン用貫通孔73内に貫通させるチェーン72は、環状のブロック75,75…が交互に直交して結合され、1つおきのブロック75の外周部に前記2つの溝74,74内に嵌入させる2つの突起76,76を対向させて形成したものである。
【0071】
そして、前記溝74は、好適には、V形溝に形成され、前記突起76はV形溝に嵌入し易いようにくさび形に形成されている。
【0072】
而して、前記チェーン用貫通孔73にチェーン72を貫通させて、チェーン72により前記自然石2を保持すると共に、前記2つの溝74,74内に夫々突起76,76を嵌入させることによりチェーン72と自然石2の相対的な回転を規制する。尚、図10(a)に於いて、77はコモンリンク、78はシャックルである。
【0073】
斯くして、前記産卵用漁礁71は、チェーン72により自然石2が保持されると共に、2つの溝74,74内に夫々突起76,76が嵌入することによりチェーン72と自然石2との相対的な回転が規制され、自然石2の損壊、磨耗を防止することができる。又、チェーン72と自然石2とが擦れあうことがなくなり、電触の発生によるチェーン72の腐食を防止することができる。
【0074】
尚、前記産卵用漁礁71は、前記産卵用漁礁1をチェーン72で保持したものであるが、産卵用漁礁1に代えて、他の産卵用漁礁8,11,13,31,41,61を用いて同様の構成とすることも可能であり、然る時も同様の効果が期待できる。
【0075】
又、前記溝74は、前述したように好適にはV形溝に形成されるが、断面コ字形、U字形、半円形等の他の任意の溝形状に形成することも可能であり、然る時も略同様の効果が期待できる。
【0076】
図12に於いて、81は前記産卵用漁礁1をチェーン82で保持した産卵用漁礁であり、産卵用漁礁81は、図12及び図13に示す如く、自然石2にチェーン82を貫通させるためのチェーン用貫通孔83を開穿し、且つ、チェーン用貫通孔83の内周面に、チェーン用貫通孔83の全長に及んで延びる4つの溝84,84…を等間隔に離間させて形成し、一方、前記チェーン用貫通孔83内に貫通させるチェーン82は、環状のブロック85,85…が交互に直交して結合され、夫々のブロック85,85…の外周部に前記溝84,84…内に嵌入させる2つの突起86,86を対称的に形成したものである。
【0077】
そして、前記溝84は、好適には、V形溝に形成され、前記突起86はV形溝に嵌入し易いようにくさび形に形成されている。
【0078】
而して、前記チェーン用貫通孔83にチェーン82を貫通させて、チェーン82により前記自然石2を保持すると共に、突起86,86…を前記4つの溝84,84…内に夫々嵌入させて、チェーン82と自然石2との相対的な回転を規制する。
【0079】
斯くして、前記産卵用漁礁81は、チェーン82により自然石2が保持されると共に、4つの溝84,84…内に夫々突起86,86…が嵌入することによりチェーン82と自然石2との相対的な回転が更に規制され、自然石2の損壊、磨耗を効果的に防止することができる。又、チェーン82と自然石2とが擦れあうことがなくなり、電触の発生によるチェーン82の腐食も効果的に防止することができる。
【0080】
尚、前記産卵用漁礁81は、前記産卵用漁礁1をチェーン82で保持したものであるが、産卵用漁礁1に代えて、他の産卵用漁礁8,11,13,31,41,61を用いて同様の構成とすることも可能であり、然る時も同様の効果が期待できる。
【0081】
又、前記産卵用漁礁81は、チェーン用貫通孔83の全長に及んで延びる4つの溝84,84…を等間隔に離間させて形成したが、該溝84は、2個、又は、4個に限定されるものではなく、1、3、5、6、7、8個等、任意の個数に設定することができ、然る時も同様な効果が期待できる。
【0082】
図14(a)に於いて、91は前記産卵用漁礁(図10に於いて71)のチェーン用貫通孔73の全長に及んで形成される前記溝(図10に於いて74,74)に代えて、チェーン用貫通孔73の途中まで(好適には中央部まで)延びる所定長さの溝92,92を形成し、一方、前記チェーン72に形成される突起76も、所定長さの溝92に対応させて、チェーン72の所定長さの範囲に形成される産卵用漁礁である。
【0083】
而して、前記チェーン用貫通孔73にチェーン72を貫通させたとき、突起76,76…が溝92,92の最奥部92a,92aに当接して、チェーン72の一方向の摺動が規制される。
【0084】
斯くして、前記産卵用漁礁91は、自然石2とチェーン72との互いの摺動を一方向に於いて規制でき、これによって自然石2の損壊、磨耗、及び、電触の発生によるチェーンの腐食を効果的に防止することができる。
【0085】
図14(b)に於いて、101は前記産卵用漁礁{図14(a)に於いて91}において、居住部{図14(a)に於いて7}を形成しない構造物である。
【0086】
構造物101は、居住部を形成しないため、産卵用漁礁としての利用はそれほど期待できないが、前記産卵用漁礁91と同様の構成について、同様の効果が期待でき、又、複数の構造物101,101…を配設する構成とすれば一般の漁礁として利用することができる。
【0087】
更に、前記構造物101は、定置網等のアンカー等、漁具としても利用できる。従来、定置網等のアンカーとして、砂や、小石等を詰めたビニール袋等が用いられていたが、このビニール袋等は、特に、古くなると環境汚染の原因となり、又、海に生息する生物に被害を与えていた。近年、「知床」が世界自然遺産に登録される等、環境汚染、環境破壊に対する関心も高まり、又、規制も厳しくなってきている。
【0088】
前記構造物101は自然石2を用い、ビニール袋等を用いないため、環境汚染、環境破壊を招くことなく、自然環境を守ることができるという利点があり、定置網等のアンカー等、漁具として好適に用いることができる。
【0089】
尚、図示は省略するが、前記産卵用漁礁81についても、前記産卵用漁礁91、又は、構造物101と同様に、チェーン用貫通孔83の全長に及んで形成される溝84に代えて、チェーン用貫通孔83の途中まで延びる所定長さの溝を形成し、一方、チェーン82に形成される突起86も、所定長さの溝に対応させて、チェーン82の所定長さの範囲に形成することができ、又、居住部7を形成しないようにすることもできる。これによって形成される産卵用漁礁、又は、構造物も、前記産卵用漁礁91、又は、構造物101と同様の構成について同様の効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】(a)本発明による蛸の産卵用漁礁の正面図である。(b)前図(a)の蛸の産卵用漁礁の側面縦断面図である。(c)前図(a)の蓋体の正面図である。(d)前図(c)の蓋体の側面縦断面図である。
【図2】(a)本発明による3つの貫通孔を形成した蛸の産卵用漁礁の正面図である。(b)前図(a)の蛸の産卵用漁礁の側面縦断面図である。
【図3】(a)本発明による自然石の下面が平坦化処理された蛸の産卵用漁礁の正面図である。(b)前図(a)の蛸の産卵用漁礁の側面縦断面図である。
【図4】(a)本発明による自然石の下面に支脚を設けた蛸の産卵用漁礁の正面図である。(b)前図(a)の蛸の産卵用漁礁の側面縦断面図である。
【図5】(a)本発明による他の蓋体の正面図である。(b)前図(a)の蓋体の側面縦断面図である。(c)本発明による更に他の蓋体の正面図である。(d)前図(c)の蓋体の側面縦断面図である。
【図6】(a)本発明による2つの居住部を備えた蛸の産卵用漁礁の平面断面図である。(b)前図(a)の正面図である。
【図7】(a)本発明による2つの出入孔を備えた蛸の産卵用漁礁の平面断面図である。(b)前図(a)の蛸の産卵用漁礁の正面図である。
【図8】(a)本発明による蓋体に自然石を用いた蛸の産卵用漁礁の正面図である。(b)前図(a)の蛸の産卵用漁礁の側面縦断面図である。
【図9】本発明による複数の産卵用漁礁を結着した蛸の産卵用漁礁の斜視図である。
【図10】(a)本発明によるチェーン用貫通孔に2つの溝を形成した蛸の産卵用漁礁の一部切欠平面図である。(b)前図(a)の蛸の産卵用漁礁の側面図である。
【図11】(a)本発明による2つの溝を形成したチェーン用貫通孔の拡大正面図である。(b)本発明による2つの溝を形成したチェーン用貫通孔に貫通させるチェーンの一部切欠正面図である。(c)本発明による2つの溝を形成したチェーン用貫通孔に貫通させるチェーンの側面図である。(d)本発明による2つの溝を形成したチェーン用貫通孔にチェーンを貫通させ、溝に突起を嵌入させた状態を示す正面図である。
【図12】(a)本発明によるチェーン用貫通孔に4つの溝を形成した蛸の産卵用漁礁の側面図である。
【図13】(a)本発明による4つの溝を形成したチェーン用貫通孔の拡大正面図である。(b)本発明による4つの溝を形成したチェーン用貫通孔に貫通させるチェーンの一部切欠正面図である。(c)本発明による4つの溝を形成したチェーン用貫通孔に貫通させるチェーンの側面図である。(d)本発明による4つの溝を形成したチェーン用貫通孔にチェーンを貫通させ、溝に突起を嵌入させた状態を示す正面図である。
【図14】(a)本発明によるチェーン用貫通孔にチェーン用貫通孔の途中まで延びる所定長さの2つの溝を形成した蛸の産卵用漁礁の一部切欠平面図である。(b)本発明によるチェーン用貫通孔にチェーン用貫通孔の途中まで延びる所定長さの2つの溝を形成した構造物の一部切欠平面図である。
【符号の説明】
【0091】
1,8,11,13,31,41,51,61,71,81,91 産卵用漁礁
2,12,32,43,52 自然石
3,44 横穴
4,45 貫通孔
5,21,23,46 蓋体
6,22,24,47,53 出入孔
7,42 居住部
14 支脚
25 小孔
72,82 チェーン
73,83 チェーン用貫通孔
74,84,92 溝
75,85 ブロック
76,86 突起
92a 最奥部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然石に所定深さの横穴を形成すると共に、該横穴の後部から自然石の後方に貫通する、該横穴よりも小なる貫通孔を形成し、且つ、該横穴の前部に蓋体を設け、該蓋体に蛸の出入りを許容する該横穴よりも小なる出入孔を形成して、自然石内に蛸が居住して産卵できる居住部を形成したことを特徴とする蛸の産卵用漁礁。
【請求項2】
上記自然石は、下面が平坦となるように平坦化処理がなされていることを特徴とする請求項1記載の蛸の産卵用漁礁。
【請求項3】
上記自然石は、下面に、下方に突設する1又は2以上の支脚が設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の蛸の産卵用漁礁。
【請求項4】
上記出入孔は1又は2以上形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁。
【請求項5】
上記貫通孔は1又は2以上形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁。
【請求項6】
上記居住部は1つの自然石内に1又は2以上形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁。
【請求項7】
上記横穴は円柱状に形成されると共に、上記蓋体は円盤状に形成され、該蓋体に上記出入孔が開穿されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁。
【請求項8】
上記横穴は円柱状に形成されると共に、上記蓋体は円盤状に形成され、該蓋体に上記出入孔が偏心して開穿されていることを特徴とする請求項7記載の蛸の産卵用漁礁。
【請求項9】
上記出入孔に連通して該出入孔よりも小なる小孔が1又は2以上開穿されていることを特徴とする請求項8記載の蛸の産卵用漁礁。
【請求項10】
上記蓋体は、1又は2以上の自然石であり、該自然石を上記横穴の前部に載置或いは固着して、該自然石と該横穴との隙間に上記出入孔を形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁を2個以上固着して成ることを特徴とする蛸の産卵用漁礁。
【請求項12】
上記自然石にチェーンを貫通させるためのチェーン用貫通孔を開穿し、且つ、該チェーン用貫通孔の内周面に、該チェーン用貫通孔の全長に及んで延びる2つの溝を対向させて形成し、一方、前記チェーン用貫通孔内に貫通させるチェーンは、環状ブロックが交互に直交して結合され、1つおきのブロックの外周部に前記2つの溝内に嵌入させる2つの突起を対称的に形成し、前記チェーン用貫通孔に該チェーンを貫通させて、該チェーンにより前記自然石を保持すると共に、該突起を前記溝内に夫々嵌入させて、該チェーンと該自然石との相対的な回転を規制することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁。
【請求項13】
上記自然石にチェーンを貫通させるためのチェーン用貫通孔を開穿し、且つ、該チェーン用貫通孔の内周面に、該チェーン用貫通孔の全長に及んで延びる4つの溝を等間隔に離間させて形成し、一方、前記チェーン用貫通孔内に貫通させるチェーンは、環状ブロックが交互に直交して結合され、夫々のブロックの外周部に前記溝内に嵌入させる2つの突起を対称的に形成し、前記チェーン用貫通孔に該チェーンを貫通させて、該チェーンにより前記自然石を保持すると共に、該突起を前記4つの溝内に夫々嵌入させて、該チェーンと該自然石との相対的な回転を規制することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一に記載の蛸の産卵用漁礁。
【請求項14】
上記チェーン用貫通孔の全長に及んで形成される上記溝に代えて、該チェーン用貫通孔の途中まで延びる所定長さの溝を形成し、一方、上記チェーンに形成される突起も、該所定長さの溝に対応させて、該チェーンの所定長さの範囲に形成し、前記チェーン用貫通孔に該チェーンを貫通させたとき、該突起が該溝の最奥部に当接して、該チェーンの一方向の摺動が規制されるように構成されて成ることを特徴とする請求項12又は13のいずれかに記載の蛸の産卵用漁礁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−288381(P2006−288381A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273482(P2005−273482)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(504338896)株式会社村上石材工業 (2)
【出願人】(505096047)有限会社マルキョウ商会 (1)
【出願人】(505096058)
【Fターム(参考)】