説明

融雪舗装と融雪方法

【課題】従来の融雪方法は舗装表面に井戸からの地下水をポンプで加圧して、細いノズルから散水する方法が一般的で、低温によるノズルの凍結やタイヤチェーンによるノズルの破損、溜まった水による水撥ねや、凍結によるスリップ事故なども多く、地下水が必要なので井戸堀りなど設置費が高額になり普及の足枷となっている。
【解決手段】そのために舗装表面には水を散水しない、地下水でなくても良い。建設費が安い事を考えて舗装構造自体を変更して、舗装内部に水を流すようにした水を熱源にした一種のロードヒーティング式の融雪方法を発明した。
わかりやすく言えば、浅いコンクリートの川に水面のすぐ上まで砕石を入れて大きな間隙が出来るように接着した構造であり、井戸も必要なく、建設費も廉価な融雪方法を提供できた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歩道や車道、駐車場、広場や玄関先、階段などの融雪舗装の構造と融雪方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の舗装の構造としては地盤の上に砕石を敷いて転圧し、その上をアスファルト合材やコンクリートあるいはコンクリートブロックで仕上げた構造が一般的である。
【0003】
このような構造の舗装表面を融雪する方法で多いのは、舗装内部に配管を埋設して、舗装表面へノズルを出して舗装面になるべく広く散水できるようにしたものや、配管の一部が露出するようにして、露出した部分に、小穴を多数開けて、その小穴から水を噴き出すようにしたもの。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
橋などでは、舗装側面の上方に露出配管をしてノズルを多数設け、舗装表面に向かって散水する方法など地下水の散水方法が一般的である。
【0005】
一部には舗装内部に、電熱線や温水配管を埋設したいわゆる、ロードヒーティングという方法もある。(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開H09−158142号公報
【特許文献2】特開2002−004209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の舗装表面を融雪する方法では一般的である散水融雪法では、以下のような欠点がある。
【0007】
ノズルから噴き出す水が直接歩行者にかかる。時にはタイヤチェーンでノズルが破損して、1〜2mも水が噴き上がる。
【0008】
舗装表面に水や、雪まじりの水が溜まり、それを自動車が撥ね飛ばして、歩行者にかかったり、対向車のフロントガラスを直撃して、視界を奪ったり、舗装表面上で凍結して、スリップ事故の原因となっている。
【0009】
水の出るノズルの穴が小さいので、地下水中の砂、泥や配管内の錆が詰まるので、降雪シーズン前や稼動中にも、ノズルの掃除が必要である。
【0010】
また穴が小さいので急激な気温の低下で、ノズルが凍結して肝心な降雪時に散水できなくて、交通マヒになることも、間々ある。
【0011】
これを防ぐためには、降雪がなくても、気温が氷点下になる前から予防的に散水を始めなくてはならず、地下水の過剰汲み上げにもつながっている。
【0012】
理想に近い融雪方法として、舗装内に埋設した電熱線や、温水パイプによるロードヒーティング方法があるが、建設費用やランニングコストが高く、特殊なところに限られていて一般的でない。本発明は上記のような課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
舗装表面に散水する散水融雪法による課題を解決するために、本発明では舗装表面に散水しなくても水の熱エネルギーを融雪のためのエネルギーとして利用できるように舗装構造自体を変えて舗装内部を水が流れるような構造とした。
【0014】
それを図1で説明すれば、地盤の上に防水層1を設けて両側にも防水層2を設ける。側溝側の防水層の全部または一部は後で施工する舗装4の表面よりわずかに低くして排水できるようにしておく。次に防水層1と防水層2の内側に粒の荒い砕石を接着して、舗装4を形成する。
【0015】
次に融雪に使用する水の供給方法も、多数のノズルからポンプで加圧した水を噴出させる方法ではなく、口径の大きな穴を下向きに開けたパイプ5で舗装表面から舗装内へ供給する方法にした。
【0016】
なお、図1中の矢印は水の流れを示してある。
【発明の効果】
【0017】
このように構成された舗装構造を融雪用の舗装にすれば融雪用の水が舗装表面に溜まることがないので水撥ねなどもなくなるし、溜まった水が凍結することもなくなりスリップ事故もなくなる。
【0018】
また本発明の融雪用の水の供給方法は供給口が下向きなので歩行者にかかることもなく、稼動していない時は、パイプの中が空なので、凍結もない。
【0019】
供給口が凍結しないので、急激な温度低下の後の降雪時でも、確実に稼動させることができるので、降雪がないが低温であるという時は稼動を停止させておけるので節水になるし、舗装表面が凍結することもない。
【0020】
水の供給口の口径が大きいので水の中に混じっている砂や泥、錆などで詰まることもないので掃除も不要であるし、用水路や排水路の水を使用することも可能である。
【0021】
パイプで水を供給する方法ではパイプを舗装の端に設置するのでタイヤチェーンなどによる破損もなくなる。
【0022】
ノズルから加圧した水を噴き出して散水する方式でないので、揚水力の大きなポンプでなくても良いし坂道では自然の落差を利用して動力源なしの融雪も出来る。図3と図4は坂道で自然の落差を利用した場合の例を示してある。詳細は「発明を実施するための最良の形態」で記す。
【0023】
本発明の舗装構造を構成するには、新規に造る方法の外に既存の舗装を防水層1として代用したり、縁石を防水層2として代用も出来るから建設費の低減も計れる。
【0024】
図1は縁石を代用したイメージで作図した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
既存の歩道や車道などは多少なりとも勾配がある場合が多いので、図3と図4で坂道の場合の舗装構造と融雪用の水の供給方法を示してある。それを図によって説明すれば地盤の上に防水層21を形成する、坂道の途中の数ヶ所にU字溝27を天端が舗装24の表面と同じ高さになるように設置してU字溝27の上に多数の穴の開いた蓋28(たとえばグレーチングなど)を被せる。U字溝27はパイプに換えることもできる。この場合、融雪水の供給口は舗装24の下流側の内部に開口すれば蓋も必要ない。次にU字溝27の天端に合わせて粒の荒い砕石を接着した舗装24を形成する。
【0026】
側面の防水層22は図4のように縁石を代用する。
【0027】
融雪用の水は急な坂道であれば側溝26の所どころを土のう29などで堰き止めてホースやパイプなどで下流側のU字溝まで引いてU字溝の側溝側から流し込む。U字溝27を水平に設置すれば融雪用の水は平均して蓋28の穴から溢れ出て舗装24内の砕石の間隙へ入り舗装内を下流側へ流れて舗装表面へ水の熱エネルギーを伝えて、降った雪を融かす。
【0028】
水は下流側へ流れる時に砕石の抵抗があるから一気には流れず、水の熱エネルギーを効率的に表面へ伝える。
【0029】
流す水量は舗装24の表面へ出ない程度にパイプやホースの出口の口径を変えて調節してやる。
【0030】
図面中の矢印は水の流れを示す。
【実施例1】
【0031】
図2は階段を融雪する方法の断面図である。それを図面によって説明すれば階段の踏み面に防水層11を設け蹴上げ部分に防水層12を設ける。防水層12は舗装14の天端まで高くしておき数ヶ所に下の段へ水を落とすための溝13を刻んでおく。溝13の深さは舗装14の表面よりわずか低い位で良い。防水層12は階段の側面にも設ける。
【0032】
このように構成した階段の上段の舗装14へパイプ15で地下水や川水を供給すれば上段から下段へ水が落ちて融雪される。
【0033】
水は、防水層12の防水層11より高い部分がダムの役目をして舗装14を構成する砕石が水に浸かっている状態になり、溝13から下の段へ落ちるので、水の熱エネルギーを効率的に舗装14の表面に伝導する。
【0034】
図中の矢印は水の流れを示す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】歩道に構成した融雪舗装と融雪方法の断面図である。
【図2】階段に構成した融雪舗装と融雪方法の断面図である。
【図3】坂道に構成した融雪舗装と融雪方法の断面図である。
【図4】坂道に構成した融雪舗装と水の供給方法を示す平面図である。
【符号の説明】
【0036】
1、11、21 地盤上の防水層
2、12、22 側面の防水層
3、13 側面の防水層の排水部
4、14、24 舗装
5、15 パイプ
6、26 側溝
27 U字溝
28 穴の開いた蓋
29 土のう

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤の上と舗装の側面に防水層を設け、その上に粒の荒い砕石を接着して砕石の間隙に水が流れるように形成した舗装構造。
【請求項2】
「請求項1」の舗装構造の砕石の間隙に水を流して融雪する融雪方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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