血球計数用試薬、及び血液検査方法
【課題】 本発明は、生体から採取された毛細管血中の血小板凝集塊を解離させ、高精度で白血球などの血球を計数することができる新規な血球計数用試薬、及び血液検査方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 生体から採取された毛細管血中に含まれる白血球などの血球を粒子分析装置にて計数する際に、採取された毛細管血を希釈し、血液試料を作成するための血球計数用試薬であって、クロロキン塩類が含まれた水溶液であることを特徴とする。
【解決手段】 生体から採取された毛細管血中に含まれる白血球などの血球を粒子分析装置にて計数する際に、採取された毛細管血を希釈し、血液試料を作成するための血球計数用試薬であって、クロロキン塩類が含まれた水溶液であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体から採取された毛細管血に混合される血球計数用試薬、及び生体から採取された毛細管血中に含まれる血球を粒子分析装置で計数する血液検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液中の成分を計数する手段として、フローサイトメトリーと称される分析手法を利用した粒子分析装置が用いられている。
【0003】
血液中の赤血球を計数するにあたっては、採取された血液を生理食塩水にて希釈して血液試料を作成し、この血液試料を粒子分析装置に供し、所定範囲の粒子容積(例えば、36〜360fL(フェムトリットル:10-15L)程度)を有する粒子を逐一カウントする。この際、赤血球とほぼ同等の容積を有する白血球も同時にカウントされるが、通常の血液中の白血球濃度は赤血球濃度に対して0.1〜0.2%程度であることから、白血球を余分にカウントすることによる誤差は無視することができる。
【0004】
一方、血液中の白血球を計数するにあたっては、採取された血液を溶血試薬にて希釈して血液試料を作成し、この血液試料を粒子分析装置に供し、所定範囲の粒子容積(例えば、25〜450fL程度)を有する粒子を逐一カウントする。溶血試薬には、血球の細胞膜を破壊する成分が含まれており、赤血球は細胞核が存在しないことから、細胞膜が破壊されるとヘモグロビンが流出し、細胞としての形や大きさを失って崩壊する。一方、白血球は細胞核を有することから、裸核状態の粒子となって血液試料中に分散する。従って、赤血球が崩壊された血液試料を粒子分析装置に供し、所定範囲の粒子容積を有する粒子をカウントすれば、白血球を計数することができる。
【0005】
ところで、血液検査にあたり、生体から血液を採取する方法としては、皮下静脈から静脈血を採取する方法と、指頭や耳朶から毛細管血を採取する方法との二通りがある。
【0006】
静脈血を溶血試薬で希釈した血液試料を粒子分析装置にて測定した場合にあっては、図11の白血球容積ヒストグラムに示すように、血小板や赤血球の崩壊残渣等に起因するノイズ(ゴーストピークG)と、白血球に起因するピーク(白血球ピークW)とが明確に分かれるため、比較的高精度で白血球を計数することができる。
【0007】
静脈血の採取は、皮下静脈に注射針を挿入し、血管内から直接血液を採取することによって行われるものであることから、採血直後の血小板の凝集は殆ど認められない。又、静脈血については、採取後、抗凝固剤(抗血小板凝固剤)としてのエチレンジアミン四酢酸塩が配合された溶血試薬で希釈することによって、血液試料中の血小板の凝集を抑制する手段が確立されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平3‐144364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、毛細管血を溶血試薬で希釈した血液試料を粒子分析装置にて測定した場合にあっては、図12の白血球容積ヒストグラムに示すように、ゴーストピークGのテーリング部Tと白血球ピークWのリーディング部Rが比較的広範囲にわたって重なるため、高精度で白血球を計数することができない。この原因は、血小板が凝集して生じた血小板凝集塊がゴーストピークGのテーリング部Tから白血球ピークWのリーディング部Rにわたって誤カウントされるためである。
【0010】
毛細管血の採取は、指頭や耳朶などを突針で浅く突き、極少量の血液を採取することによって行われるものであり、簡易且つ迅速に血液を採取できる点において優れるが、採取時に組織液が混入し易いことから、採取後速やかに血小板が凝集する。
【0011】
エチレンジアミン四酢酸塩は血小板の凝集を抑制する作用を有するものの、既に凝集した血小板凝集塊を解離させる作用を有さない。従って、採取後速やかに血小板が凝集してしまう毛細管血を、エチレンジアミン四酢酸塩が添加された溶血試薬で希釈しても、既に凝集した血小板凝集塊を解離させることはできない。
【0012】
本発明は、前記技術的課題を解決するために開発されたものであり、生体から採取された毛細管血中の血小板凝集塊を解離させ、高精度で白血球などの血球を計数することができる新規な血球計数用試薬、及び血液検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の血球計数用試薬は、生体から採取された毛細管血中に含まれる血球を粒子分析装置にて計数する際に、採取された毛細管血を希釈し、血液試料を作成するための血球計数用試薬であって、クロロキン塩類が含まれた水溶液であることを特徴とする。
【0014】
本発明の血球計数用試薬は、生体から採取された「毛細管血」中に含まれる白血球などの血球を「粒子分析装置」にて計数する際に、採取された毛細管血を希釈し、血液試料を作成するためのものである。ここで、「毛細管血」とは、指頭や耳朶などを突針で突くことによって得られる血液(指頭血や耳朶血)を意味する。又、「粒子分析装置」とは、微細な粒子を流体中に分散させ、その流体を細く流して、個々の粒子を計数するフローサイトメトリーと称される分析手法を利用した粒子分析装置(フローサイトメータやコールターカウンター)を意味する。この粒子分析装置には、光散乱や蛍光等を検出する光学的検出方式によるものと、細孔を粒子が通過するときのインピーダンス変化を検出する電気抵抗検出方式によるものとに大別できるが、電気抵抗検出方式の方が簡便さという点では優れている。
【0015】
本発明の血球計数用試薬中に含まれる「クロロキン塩類」は、毛細管血中の血小板凝集塊を解離させるものであり、キノリン骨格を有し、クロロ基を導入している化合物を指す。特に、キノリン骨格の7位にクロロ基が導入され、且つ、4位にアミノ基が導入されたクロロキノリン誘導体の塩が好ましい。このクロロキン塩類の具体例としては、クロロキン二リン酸塩(7‐クロロ‐4‐[4‐(ジエチルアミノ)‐1‐メチルブチルアミノ]キノリンジフォスフェート)や、ヒドロキシクロロキン硫酸塩(7‐クロロ‐4‐[4‐N‐エチル‐N‐(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐1‐メチルブチルアミノ)キノリンサルフェート)等を挙げることができる。
【0016】
本発明の血球計数用試薬においては、クロロキン塩類が、10g/L以上含まれてなるものが好ましい態様となる。
【0017】
通常の白血球の計数においては、生体から採取された血液を試薬で100〜500倍程度に希釈する希釈工程が実行されるが、試薬中にクロロキン塩類がごく少量含まれていれば、係る希釈工程の実行によって血小板凝集塊を解離し得ることが確認されている。なお、血小板凝集塊の解離の観点からは、クロロキン塩類の配合割合の上限について特に限定されない。但し、クロロキン塩類の配合割合が多くなると、試薬の原料原価が高くなるため、クロロキン塩類の配合割合としては、100g/Lを上限とすることが好ましい。
【0018】
本発明の血球計数用試薬は、更に溶血作用を有する「界面活性剤」が含まれてなるものが好ましい態様となる。界面活性剤としては、血液と混合された際に、血球の細胞膜を破壊し、血液中の赤血球を崩壊させると共に白血球を裸核状態にさせる作用を有するものであれば特に限定されるものではない。又、界面活性剤としては、イオン性のものであっても非イオン性のものであっても良い。イオン性の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤が好ましく、更に、アニオン性界面活性剤としては、四級アンモニウム塩類が好ましい。この四級アンモニウム塩類の具体例としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムやドデシルトリメチルアンモニウム等の塩化物や臭化物を挙げることができる。一方、非イオン性の界面活性剤の具体例としては、サポニンを挙げることができる。
【0019】
ところで、本発明の血球計数用試薬においては、単にクロロキン塩類を配合することによって、血小板凝集塊を解離させるだけではなく、界面活性剤の濃度を特定範囲とすることによって、白血球容積ヒストグラムにおける白血球ピークを明確にすることが好ましい。
【0020】
係る観点より、本発明の血球計数用試薬においては、前記界面活性剤が、10〜50g/L含まれてなるものが好ましい態様となる。
【0021】
血球計数用試薬中に界面活性剤が10g/L以上含まれていれば、係る血球計数用試薬にて希釈工程を実行した際、血球の細胞膜が破壊され、血液中の赤血球を崩壊させると共に白血球を裸核状態にさせることができることが確認されている。一方、血球計数用試薬中に含まれる界面活性剤が50g/Lを超えると、血液試料中の白血球容積が小さくなる。これより、本発明の血球計数用試薬においては、界面活性剤の配合割合を10〜50g/L(より好ましくは20〜40g/L)の範囲とすることが好ましい。
【0022】
又、同様の観点から、本発明の血球計数用試薬においては、更に「電解質」が含まれることによって、浸透圧が200〜600Osm/kgに調整されてなるものが好ましい態様となる。
【0023】
前記「電解質」としては、水に溶解された際に、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの陽イオンと、塩化物イオン、臭化物イオン、リン酸イオンなどの陰イオンとに電離する性質を有するものであれば特に限定されるものではない。電解質の具体例としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等を挙げることができる。
【0024】
ここで、血球計数用試薬中に含まれる電解質が少なくて、血球計数用試薬における浸透圧が200Osm/kg未満となると、白血球の膨張、崩壊を招く。一方、血球計数用試薬中に含まれる電解質が多すぎて、血球計数用試薬における浸透圧が600Osm/kgを超えると、白血球の体積が減じられて、白血球ピークが低体積側に移行し、ゴーストピークに近接する。これより、本発明においては、前記電解質によって、血球計数用試薬の浸透圧を200〜600Osm/kg(より好ましくは、300〜400Osm/kg)の範囲に調整することが好ましい態様となる。これにより、白血球ピークがゴーストピークに近づきすぎることを防止することができる。
【0025】
本発明の血球計数用試薬において、血球計数用試薬は、血液試料を粒子分析装置に供した際に得られる白血球容積ヒストグラムにおける、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが重なる分布の谷の相対頻度の最小値を粒子容積35〜50fLの範囲内に位置させものが好ましい態様となる。
【0026】
粒子分析装置による計数によって得られる白血球容積ヒストグラムにおける、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが重なる分布の谷の相対頻度の最小値を粒子容積35〜50fLの範囲内に位置させれば、白血球ピークが明確になり、又、白血球ピークとゴーストピークとが近づきすぎることが防止でき、もって血小板凝集塊に起因する誤カウントを減少させることができる。これより、高精度で白血球を計数することができる。
【0027】
本発明の血球計数用試薬においては、更に、「抗凝固剤」が含まれてなるものが好ましい態様となる。
【0028】
「抗凝固剤」とは、血小板の凝固を抑制する性質を有するものを意味する。本発明の血球計数用試薬においては、抗凝固剤が更に含まれることにより、血液試料中の血小板(クロロキン塩類によって解離された血小板を含む。)が凝集することを抑制することができる。抗凝固剤の具体例としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)の塩類(例えば、EDTA‐2Na(ジナトリウム塩)、EDTA‐2K(ジカリウム塩)、EDTA‐3Na(トリナトリウム塩)、EDTA‐3K(トリカリウム塩)等)や、ヘパリン、アセチルサリチル酸、硫酸マグネシウム等を挙げることができる。抗凝固剤の配合割合としては、特に限定されるものではないが、0.01〜0.2g/Lとすることが好ましい。
【0029】
本発明の血球計数用試薬は、そのpH(水素イオン濃度指数)を安定させるために緩衝液で希釈することが好ましい。又、表面張力を調整するための非イオン界面活性剤、pHを調整するためのpH調整剤、裸核状態の白血球を安定させる膜保護剤、保存性を高める防腐剤その他の各種添加剤を更に配合することもができる。
【0030】
「緩衝液」の具体例としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液及びトリス緩衝液等を挙げることができる。「pH調整剤」の具体例としては、水酸化ナトリウムや塩酸を挙げることができる。
【0031】
表面張力を調整するための「非イオン界面活性剤」としては、分子内に親水基と疎水基とを有し、血球計数用試薬の表面張力を下げる性質を有するものであれば特に限定されるものではない。非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどの「エーテル型非イオン界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル、ソルビタンモノ(又はジ)オレイン酸エステル、ソルビタンモノ(又はジ)ラウリン酸エステル、ソルビタンモノ(又はジ)イソステアリン酸エステルなどの「エステル型非イオン界面活性剤(エーテルエステル型非イオン界面活性剤を含む)」を挙げることができる。
【0032】
「防腐剤」の具体例としては、アジ化ナトリウム、ナトリウムオマジン、ケーソンCG、ROCIMA(商標)553、チメロサール等を挙げることができる。「膜保護剤」の具体例としては、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類やグルタルアルデヒド、ジメチル尿素、グルコース等を挙げることができる。
【0033】
本発明の血液検査方法は、生体から採取された毛細管血中に含まれる白血球などの血球を粒子分析装置にて計数する血液検査方法であって、この血液検査方法は、生体から毛細管血を採取する採血工程と、採取された毛細管血を、前記本発明の血球計数用試薬で希釈することによって血液試料を作成する希釈工程と、血液試料を粒子分析装置に供し、血液試料中の白血球を計数する測定工程と、を実行することを特徴とする。
【0034】
本発明の血液検査方法においては、測定工程では、粒子容積35〜50fLの範囲の中から、カウント開始容積を決定し、決定されたカウント開始容積以上の容積を有する粒子を白血球としてカウントすることが好ましい態様となる。
【0035】
粒子分析装置による白血球の計数は、血液試料中の所定範囲の粒子容積を有する粒子を白血球とみなし、この範囲内にある粒子を逐一カウントすることによって行う。即ち、前記「カウント開始容積」とは、この所定範囲の下限値を意味する。なお、粒子分析装置による白血球の計数において、前記所定範囲の上限値は単なるカウントの終点であり、別段に重要なファクターとはならない。通常は、300〜500fL程度を上限として、カウントを終了する。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、生体から採取された毛細管血中の血小板凝集塊を解離させることができ、粒子分析装置による白血球などの血球の計数にあたり、高精度にて血球を計数することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、マイクロ血球カウンタにおける測定部を示す平面図である。
【図2】図2は、マイクロ血球カウンタにおける測定部を示す側面図である。
【図3】図3(a)は、マイクロ血球カウンタにおける希釈ボトルを示す正面図であり、図3(b)は、その底面図である。
【図4】図4は、マイクロ血球カウンタにおける本体を示す平面図である。
【図5】図5は、マイクロ血球カウンタにおける本体を示す側面図である。
【図6】図6は、マイクロ血球カンウンタにおける本体に測定部(希釈ボトルが取り付けられたもの)を差し込んだ状態を示す斜視図である。
【図7】図7(a)、(b)は、それぞれ、実施例1、2に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムであり、図7(c)は、比較例1に係る血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。
【図8】図8(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例3、1、4、5に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。
【図9】図9(a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例6、1、7に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムであり、図9(d)、(e)は、比較例2、3に係る血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムを示したものである。
【図10】図10(a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例8、1、9に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムであり、図10(c)、(d)は、比較例4、5に係る血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。
【図11】図11は、静脈血を従来の血球計数用試薬で希釈して作成された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。
【図12】図12は、毛細管血を従来の血球計数用試薬で希釈して作成された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態を説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0039】
<粒子分析装置>
本実施形態において、粒子分析装置は、株式会社堀場製作所社製のマイクロ血球カウンタ(商品名(仮称):Palm‐LC)を用いた。
【0040】
‐測定部1‐
図1及び図2に、マイクロ血球カウンタにおける測定部1を示す。この測定部1はPMMA(アクリル)などの樹脂でカートリッジ化されている。この測定部1の樹脂基板2には、ポンプ接続口17に一端が接続された外部接続用流路3と、この外部接続用流路3の他端に接続され、壁4、5、6により部分的に仕切られて流路が形成された液溜用セル7と、この液留用セル7に流路8を介して接続された吸光度測定用セル9と、この吸光度測定用セル9に流路10を介して接続された検出用流路11と、この検出用流路11に略S字状の流路12を介して接続されたキャピラリー13と、流路10と流路12間に設けられたセンサ取付部16と、が形成されている。
【0041】
前記樹脂基板2上の各構成要素は、それぞれ所定の深さと幅で形成されている。図2に示すように、樹脂基板2は樹脂基板2aと樹脂基板2bとからなり、樹脂基板2a上には、液留用セル7が例えば深さ4mm位で形成され、又、吸光度測定用セル9が所定の深さで形成されている。一方、樹脂基板2b上には、外部接続用流路3、流路8、10、12と、検出用流路11と、キャピラリー収容路18とが、例えば深さ1mm、幅1mm位で形成されている。また、樹脂基板2b上にはセンサ取付部16が形成されている。なお、樹脂基板2a、2b上にそれぞれ形成する流路やその他の構成要素の振り分けは、上記に限ることはなく、構成要素の深さ、幅、長さに応じて樹脂基板2a、2bが有効に利用できるように振り分ければ良い。
【0042】
このように樹脂基板2aと樹脂基板2bとにそれぞれ所定の構成要素が形成された後、樹脂基板2aと樹脂基板2bとを、例えば、接着剤又は両面テープを用いて、液漏れがないように貼り合わせた後、キャピラリー収容路18に、例えばガラス製のキャピラリー13を埋め込み、接着剤などによりキャピラリー13をキャピラリー収容路18に固定すると共に、キャピラリー13の外周面とキャピラリー収容路18の内周面との間の隙間を塞ぐ。
【0043】
次に、ボトルガイド19の中心をキャピラリー13の中心に合わせた状態で、このボトルガイド19を樹脂基板2a、2bの端面に貼り合わせる。そして、外部接続用流路3と接続させた状態で、樹脂基板2a、2bの端面にポンプ接続口17を貼り合わせる。センサチップ145には、血液試料のインピーダンス変化を検出するための電極14,15が設けられている。このセンサチップ145を実装したセンサ基板20を、センサ取付部16に貼り付けることによってセンサ部が構成され、本マイクロ血球カウンタにおける測定部1が完成する。電極14、15は、センサチップ145がセンサ基板20に実装されることにより、リードライン21、22にそれぞれ接続され、センサ部からの信号をリードライン21,22から取り出すことが可能になる。なお、上記の説明では、センサチップ145は、後でセンサ取付部16に貼り付けたが、樹脂基板2aまたは樹脂基板2bにおいてセンサチップ145を成形し、その後、電極14、15をスパッタ等を用いてセンサチップ145に付けても良い。
【0044】
‐希釈ボトル23‐
図3に、希釈液ボトル23を示す。この希釈液ボトル23は、血球計数用試薬を収容する容器24と、この容器24の上部に設けられた空気孔27と、空気孔27を塞ぐシール26と、容器24の下部の口に貼り付けられた膜25と、から構成されている。この希釈ボトル23は、容器24内に血球計数用試薬が収容され、シール26と膜25により密閉される。
【0045】
‐本体100‐
図4、図5に、マイクロ血球カウンタの本体100を示す。マイクロ血球カウンタの本体100はケース51に覆われており、このケース51内には、三方電磁弁53,54、ダイヤフラムポンプ55、電池56、57、58、59、LCD(液晶ディスプレイ)61、回路基板62、およびカートリッジセッティング部63などが備えられている。又、ケース51の上面には、LCD61の表示が外部から見ることができるように、窓枠に透明板60が貼られている。ケース51の側面から底面にわたって、電池56、57、58、59を内部にセットしたり交換したりするために開閉される電池蓋65が設けられている。
【0046】
ダイヤフラムポンプ55の加圧側は三方電磁弁53のコモンポートに接続され、同じくダイヤフラムポンプ55の減圧側は三方電磁弁54のコモンポートに接続されている。また、三方電磁弁53のNOポート(通常開のポート)は三方電磁弁54のNCポート(通常閉のポート)に接続され、三方電磁弁53のNCポートは三方電磁弁54のNOポートに接続されている。
【0047】
そして、三方電磁弁53のNOポートと三方電磁弁54のNCポートとが接続されたラインは、カートリッジ化された前記測定部1がカートリッジセッティング部63にセットされた際に、測定部1のポンプ接続口17が接続されるようになっている。三方電磁弁53、54、ダイヤフラムポンプ55、およびLCD61などには、電池56、57、58、59によって動作電源が供給され、三方電磁弁53、54、ダイヤフラムポンプ55、及びLCD61などは回路基板62上の制御回路により制御される。又、検出されたインピーダンス変化を示す信号は、回路基板62上の演算回路に供給されることにより、血液試料中の血球が測定され、この測定結果がLCD61に表示される。
【0048】
<本発明の血液検査方法>
続いて、前記構成を有するマイクロ血球カウンタを用いた本発明の血液検査方法について説明する。
【0049】
本発明の血液検査方法においては、先ず、生体から毛細管血を採取する採血工程を実行する。本実施形態においては、被検査者(生体)の例えば指先をキャピラリー13の先端に突き刺し、毛細管現象を利用して、キャピラリー13内へ毛細管血を採血(1μL)することによって採血工程を実行する。
【0050】
次に、本発明の血液検査方法においては、採取された毛細管血を、本発明の血球計数用試薬で希釈することによって血液試料を作成する希釈工程を実行する。本実施形態においてこの希釈工程は、まず、本発明の血球計数用試薬が入った希釈液ボトル23をボトルガイド19に沿ってスライドさせ、キャピラリー13の先端で希釈ボトル23の膜25を破壊することによって、キャピラリー13の先端を希釈液ボトル23内に挿入する。この後、希釈液ボトル23のシール26を剥がす。これにより、希釈液ボトル23は、上部に孔が開き、大気開放される。
【0051】
この測定部1をマイクロ血球カウンタの本体100に差し込んでセットすれば(図6参照)、ポンプ接続口17がマイクロ血球カウンタの本体100に内蔵されたダイヤフラムポンプ55に連結される。又、センサ基板20が本体100側のインピーダンス測定回路に電気的に接続される。そして、前記ダイヤフラムポンプ55を加圧駆動させ、ポンプ接続口17から、外部接続用流路3、液留用セル7、流路8、吸光度測定用セル9、流路10、検出用流路11、及び流路12を介してキャピラリー13内を加圧すると、キャピラリー13内の毛細管血は、希釈液ボトル23の中に押し込まれる。この際、希釈液ボトル23内でバブリングが行なわれて毛細管血と血球計数用試薬とが混合されて、血球計数用試薬によって希釈された血液試料となる(希釈倍率251倍)。
【0052】
前記希釈工程の後、本発明の血液検査方法においては、血液試料中の白血球を計数する測定工程を実行する。本実施形態においてこの測定工程は、まず、前記ダイヤフラムポンプ55を減圧駆動させ、ポンプ接続口17から、外部接続用流路3、液留用セル7、流路8、吸光度測定用セル9、流路10、検出用流路11、および流路12を介してキャピラリー13内を減圧する。これにより、希釈液ボトル23内の血液試料は、キャピラリー13および流路12を介して検出用流路11に導入される。ここで、この検出用流路11に設けられた電極14、15間にはインピーダンス変化が生じ、マイクロ血球カウンタは、そのインピーダンス変化に基づいて血液試料中の粒子を測定する。
【0053】
検出用流路11を通った希釈血液は、流路10を介して吸光度測定用セル9に流れる。なお、白血球の計数に加えてヘモグロビン量を測定する場合は、吸光度測定用セル9の吸光度を光学センサ(図示せず)で計測することにより、血液試料中のヘモグロビンを測定することができる。更に、吸光度測定用セル9を通った血液試料は、流路8を介して液留用セル7に流れ、廃液として溜められていく。測定工程の終了後、測定部1は、マイクロ血球カウンタの本体から取り外され、液留用セル7に溜められた血液試料とともに廃棄される。
【0054】
[実施例1]
クロロキン塩類としてのクロロキン二リン酸塩20g/Lと、四級アンモニウム塩としての臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム36.6g/Lを0.5Mリン酸緩衝溶液に溶解させ、電解質としての塩化ナトリウムを加えることによって、浸透圧が390Osm/kgに調整された本発明に係る血球計数用試薬を作成した。なお、浸透圧は、京都第一科学社製の浸透圧測定装置(商品名:オズモスタットOM−6020)にて測定した値である(以下、同様)。
【0055】
[実施例2]
四級アンモニウム塩として、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(36.6g/L)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、浸透圧が390Osm/kgに調整された本発明に係る血球計数用試薬を作成した。
【0056】
[比較例1]
クロロキン塩類を配合しない以外は、前記実施例1と同様にして、浸透圧が390Osm/kgに調整された血球計数用試薬を作成した。
【0057】
実施例1及び2に係る本発明の血球計数用試薬と、比較例1に係る血球計数用試薬とを、それぞれ別の希釈ボトル23に封入した。次いで、前記測定部1におけるキャピラリー13の先端を被検査者の指先の先端に突き刺すことによってキャピラリー13内に毛細管血を採取し、希釈タンク23にキャピラリー13の先端を差し込んだ後、前記測定部1をマイクロ血球カンウンタの本体100のカートリッジセッティング部63に差し込むことにより、本発明の血液検査方法を実行した。この検査方法によって得られた白血球容積ヒストグラムを図7に示す。
【0058】
図7(a)及び(b)に示す白血球容積ヒストグラムは、それぞれ実施例1及び2に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定したものである。図7(a)及び(b)に示す白血球容積ヒストグラムにおいては、いずれもゴーストノイズGと白血球ピークWとが明確に隔離されており、血小板凝集塊による誤カウントの影響が殆ど無いことが確認された。又、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが重なる分布の谷の相対頻度の最小値は、いずれにおいても粒子容積35〜50fLの範囲内に位置していることが確認された。従って、粒子容積35〜50fLの範囲の中から、カウント開始容積を決定し、決定されたカウント開始容積以上の容積を有する粒子を白血球として積算すれば、白血球を高精度に計数できる。
【0059】
一方、図7(c)に示す白血球容積ヒストグラムは、比較例1に係る血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定したものである。この白血球容積ヒストグラムにおいては、ゴーストピークが相当大きく、そのテーリング部が高容積側に張り出しており、白血球ピークのリーディング部と広範囲にて重なっていた。従って、粒子容積35〜50fLの範囲の中からカウント開始容積を決定しても、血小板凝集塊に起因する誤カウントが生じ、高精度にて白血球を計数することができないことが確認された。
【0060】
[実施例3〜5]
クロロキン塩類の配合量を、10g/L(実施例3)と、40g/L(実施例4)と、80g/L(実施例5)とに変えた以外は、前記実施例1と同様にして血球計数用試薬を作成した。
【0061】
前記実施例1に係る血球計数用試薬に加えて、実施例3〜5に係る本発明の血球計数用試薬をそれぞれ用いて、毛細管血の測定を行う本発明の血液検査方法を実行した。得られた白血球容積ヒストグラムを図8に示す。
【0062】
図8(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例3、1、4、5に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。
【0063】
図8に示す結果から、血球計数用試薬中のクロロキン塩類の配合量が10g/L以上であれば、血小板凝集塊が解離されて、ゴーストピークGのテーリング部Tと白血球ピークWのリーディング部Rとが重なる範囲が小さくなり、誤カウントの影響が殆ど無くなることが確認された。
【0064】
[実施例6、7]
四級アンモニウム塩の配合量を、10g/L(実施例7)と、50g/L(実施例8)とに変えた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る血球計数用試薬を作成した。
【0065】
[比較例2、3]
四級アンモニウム塩の配合量を、5g/L(比較例2)と、100g/L(比較例3)に変えた以外は、前記実施例1と同様にして血球計数用試薬を作成した。
【0066】
前記実施例1に係る血球計数用試薬に加えて、実施例6、7及び比較例2、3に係る血球計数用試薬をそれぞれ用いて、毛細管血の測定を行う本発明の血液検査方法を実行した。得られた白血球容積ヒストグラムを図9に示す。
【0067】
図9(a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例6、1、7に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。又、図9(d)、(e)は、比較例2、3に係る血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定した白血球容積ヒストグラムを示したものである。
【0068】
図9に示す結果から、血球計数用試薬中の四級アンモニウム塩の配合量が10g/L未満になると、明確な白血球ピークが得られなくなることが認められた。一方、血球計数用試薬中の四級アンモニウム塩の配合量が50g/Lを超えると、白血球ピークが低容積側に移動し、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが大きく重なっていることが認められた。
【0069】
これより、血球計数用試薬中の四級アンモニウム塩の配合量が10〜50g/Lであれば、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが重なる分布の谷の相対頻度の最小値を粒子容積35〜50fLの範囲内に位置させ得ることが確認された。
【0070】
[実施例8、9]
電解質として配合されるNaClの配合量を変えることによって、浸透圧を200Osm/kg(実施例8)と、600Osm/kg(実施例9)とに調整した以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る血球計数用試薬を作成した。
【0071】
[比較例4、5]
電解質として配合されるNaClの配合量を変えることによって、浸透圧を100Osm/kg(比較例4)と、1000Osm/kg(比較例5)とに調整した以外は、前記実施例1と同様にして血球計数用試薬を作成した。
【0072】
前記実施例1に係る血球計数用試薬に加えて、実施例8、9、及び比較例4、5に係る血球計数用試薬をそれぞれ用いて、毛細管血の測定を行う本発明の血液検査方法を実行した。得られた白血球容積ヒストグラムを図10に示す。
【0073】
図10(a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例8、1、9に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。又、図10(d)、(e)は、比較例4、5に係る血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定した白血球容積ヒストグラムである。
【0074】
図10に示す結果から、血球計数用試薬の浸透圧が200Osm/kg未満になると、明確な白血球ピークが得られなくなることが認められた。一方、血球計数用試薬の浸透圧が600Osm/kgを超えると、白血球ピークが低容積側に移動し、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが大きく重なっていることが認められた。
【0075】
これより、血球計数用試薬の浸透圧が200〜600Osm/kgであれば、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが重なる分布の谷の相対頻度の最小値を粒子容積35〜50fLの範囲内に位置させ得ることが確認された。
【0076】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、毛細管血中の白血球を高精度で計数することができるものであるが、血小板や赤血球その他の血液成分を検査する際にも利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 測定部
2 樹脂基板
3 外部接続用流路
7 液溜用セル
9 吸光度測定用セル
11 検出用流路
13 キャピラリー
16 センサ取付部
17 ポンプ接続口
18 キャピラリー収容路
19 ボトルガイド
14 電極
145 センサチップ
15 電極
20 センサ基板
23 希釈ボトル
24 容器
27 空気孔
25 膜
26 シール
51 ケース
53 三方電磁弁
54 三方電磁弁
55 ダイヤフラムポンプ
61 液晶ディスプレイ
62 回路基板
63 カートリッジセッティング部
100 本体
G ゴーストピーク
W 白血球ピーク
R リーディング部
T テーリング部
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体から採取された毛細管血に混合される血球計数用試薬、及び生体から採取された毛細管血中に含まれる血球を粒子分析装置で計数する血液検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液中の成分を計数する手段として、フローサイトメトリーと称される分析手法を利用した粒子分析装置が用いられている。
【0003】
血液中の赤血球を計数するにあたっては、採取された血液を生理食塩水にて希釈して血液試料を作成し、この血液試料を粒子分析装置に供し、所定範囲の粒子容積(例えば、36〜360fL(フェムトリットル:10-15L)程度)を有する粒子を逐一カウントする。この際、赤血球とほぼ同等の容積を有する白血球も同時にカウントされるが、通常の血液中の白血球濃度は赤血球濃度に対して0.1〜0.2%程度であることから、白血球を余分にカウントすることによる誤差は無視することができる。
【0004】
一方、血液中の白血球を計数するにあたっては、採取された血液を溶血試薬にて希釈して血液試料を作成し、この血液試料を粒子分析装置に供し、所定範囲の粒子容積(例えば、25〜450fL程度)を有する粒子を逐一カウントする。溶血試薬には、血球の細胞膜を破壊する成分が含まれており、赤血球は細胞核が存在しないことから、細胞膜が破壊されるとヘモグロビンが流出し、細胞としての形や大きさを失って崩壊する。一方、白血球は細胞核を有することから、裸核状態の粒子となって血液試料中に分散する。従って、赤血球が崩壊された血液試料を粒子分析装置に供し、所定範囲の粒子容積を有する粒子をカウントすれば、白血球を計数することができる。
【0005】
ところで、血液検査にあたり、生体から血液を採取する方法としては、皮下静脈から静脈血を採取する方法と、指頭や耳朶から毛細管血を採取する方法との二通りがある。
【0006】
静脈血を溶血試薬で希釈した血液試料を粒子分析装置にて測定した場合にあっては、図11の白血球容積ヒストグラムに示すように、血小板や赤血球の崩壊残渣等に起因するノイズ(ゴーストピークG)と、白血球に起因するピーク(白血球ピークW)とが明確に分かれるため、比較的高精度で白血球を計数することができる。
【0007】
静脈血の採取は、皮下静脈に注射針を挿入し、血管内から直接血液を採取することによって行われるものであることから、採血直後の血小板の凝集は殆ど認められない。又、静脈血については、採取後、抗凝固剤(抗血小板凝固剤)としてのエチレンジアミン四酢酸塩が配合された溶血試薬で希釈することによって、血液試料中の血小板の凝集を抑制する手段が確立されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平3‐144364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、毛細管血を溶血試薬で希釈した血液試料を粒子分析装置にて測定した場合にあっては、図12の白血球容積ヒストグラムに示すように、ゴーストピークGのテーリング部Tと白血球ピークWのリーディング部Rが比較的広範囲にわたって重なるため、高精度で白血球を計数することができない。この原因は、血小板が凝集して生じた血小板凝集塊がゴーストピークGのテーリング部Tから白血球ピークWのリーディング部Rにわたって誤カウントされるためである。
【0010】
毛細管血の採取は、指頭や耳朶などを突針で浅く突き、極少量の血液を採取することによって行われるものであり、簡易且つ迅速に血液を採取できる点において優れるが、採取時に組織液が混入し易いことから、採取後速やかに血小板が凝集する。
【0011】
エチレンジアミン四酢酸塩は血小板の凝集を抑制する作用を有するものの、既に凝集した血小板凝集塊を解離させる作用を有さない。従って、採取後速やかに血小板が凝集してしまう毛細管血を、エチレンジアミン四酢酸塩が添加された溶血試薬で希釈しても、既に凝集した血小板凝集塊を解離させることはできない。
【0012】
本発明は、前記技術的課題を解決するために開発されたものであり、生体から採取された毛細管血中の血小板凝集塊を解離させ、高精度で白血球などの血球を計数することができる新規な血球計数用試薬、及び血液検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の血球計数用試薬は、生体から採取された毛細管血中に含まれる血球を粒子分析装置にて計数する際に、採取された毛細管血を希釈し、血液試料を作成するための血球計数用試薬であって、クロロキン塩類が含まれた水溶液であることを特徴とする。
【0014】
本発明の血球計数用試薬は、生体から採取された「毛細管血」中に含まれる白血球などの血球を「粒子分析装置」にて計数する際に、採取された毛細管血を希釈し、血液試料を作成するためのものである。ここで、「毛細管血」とは、指頭や耳朶などを突針で突くことによって得られる血液(指頭血や耳朶血)を意味する。又、「粒子分析装置」とは、微細な粒子を流体中に分散させ、その流体を細く流して、個々の粒子を計数するフローサイトメトリーと称される分析手法を利用した粒子分析装置(フローサイトメータやコールターカウンター)を意味する。この粒子分析装置には、光散乱や蛍光等を検出する光学的検出方式によるものと、細孔を粒子が通過するときのインピーダンス変化を検出する電気抵抗検出方式によるものとに大別できるが、電気抵抗検出方式の方が簡便さという点では優れている。
【0015】
本発明の血球計数用試薬中に含まれる「クロロキン塩類」は、毛細管血中の血小板凝集塊を解離させるものであり、キノリン骨格を有し、クロロ基を導入している化合物を指す。特に、キノリン骨格の7位にクロロ基が導入され、且つ、4位にアミノ基が導入されたクロロキノリン誘導体の塩が好ましい。このクロロキン塩類の具体例としては、クロロキン二リン酸塩(7‐クロロ‐4‐[4‐(ジエチルアミノ)‐1‐メチルブチルアミノ]キノリンジフォスフェート)や、ヒドロキシクロロキン硫酸塩(7‐クロロ‐4‐[4‐N‐エチル‐N‐(2‐ヒドロキシエチル)アミノ]‐1‐メチルブチルアミノ)キノリンサルフェート)等を挙げることができる。
【0016】
本発明の血球計数用試薬においては、クロロキン塩類が、10g/L以上含まれてなるものが好ましい態様となる。
【0017】
通常の白血球の計数においては、生体から採取された血液を試薬で100〜500倍程度に希釈する希釈工程が実行されるが、試薬中にクロロキン塩類がごく少量含まれていれば、係る希釈工程の実行によって血小板凝集塊を解離し得ることが確認されている。なお、血小板凝集塊の解離の観点からは、クロロキン塩類の配合割合の上限について特に限定されない。但し、クロロキン塩類の配合割合が多くなると、試薬の原料原価が高くなるため、クロロキン塩類の配合割合としては、100g/Lを上限とすることが好ましい。
【0018】
本発明の血球計数用試薬は、更に溶血作用を有する「界面活性剤」が含まれてなるものが好ましい態様となる。界面活性剤としては、血液と混合された際に、血球の細胞膜を破壊し、血液中の赤血球を崩壊させると共に白血球を裸核状態にさせる作用を有するものであれば特に限定されるものではない。又、界面活性剤としては、イオン性のものであっても非イオン性のものであっても良い。イオン性の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤が好ましく、更に、アニオン性界面活性剤としては、四級アンモニウム塩類が好ましい。この四級アンモニウム塩類の具体例としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムやドデシルトリメチルアンモニウム等の塩化物や臭化物を挙げることができる。一方、非イオン性の界面活性剤の具体例としては、サポニンを挙げることができる。
【0019】
ところで、本発明の血球計数用試薬においては、単にクロロキン塩類を配合することによって、血小板凝集塊を解離させるだけではなく、界面活性剤の濃度を特定範囲とすることによって、白血球容積ヒストグラムにおける白血球ピークを明確にすることが好ましい。
【0020】
係る観点より、本発明の血球計数用試薬においては、前記界面活性剤が、10〜50g/L含まれてなるものが好ましい態様となる。
【0021】
血球計数用試薬中に界面活性剤が10g/L以上含まれていれば、係る血球計数用試薬にて希釈工程を実行した際、血球の細胞膜が破壊され、血液中の赤血球を崩壊させると共に白血球を裸核状態にさせることができることが確認されている。一方、血球計数用試薬中に含まれる界面活性剤が50g/Lを超えると、血液試料中の白血球容積が小さくなる。これより、本発明の血球計数用試薬においては、界面活性剤の配合割合を10〜50g/L(より好ましくは20〜40g/L)の範囲とすることが好ましい。
【0022】
又、同様の観点から、本発明の血球計数用試薬においては、更に「電解質」が含まれることによって、浸透圧が200〜600Osm/kgに調整されてなるものが好ましい態様となる。
【0023】
前記「電解質」としては、水に溶解された際に、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの陽イオンと、塩化物イオン、臭化物イオン、リン酸イオンなどの陰イオンとに電離する性質を有するものであれば特に限定されるものではない。電解質の具体例としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等を挙げることができる。
【0024】
ここで、血球計数用試薬中に含まれる電解質が少なくて、血球計数用試薬における浸透圧が200Osm/kg未満となると、白血球の膨張、崩壊を招く。一方、血球計数用試薬中に含まれる電解質が多すぎて、血球計数用試薬における浸透圧が600Osm/kgを超えると、白血球の体積が減じられて、白血球ピークが低体積側に移行し、ゴーストピークに近接する。これより、本発明においては、前記電解質によって、血球計数用試薬の浸透圧を200〜600Osm/kg(より好ましくは、300〜400Osm/kg)の範囲に調整することが好ましい態様となる。これにより、白血球ピークがゴーストピークに近づきすぎることを防止することができる。
【0025】
本発明の血球計数用試薬において、血球計数用試薬は、血液試料を粒子分析装置に供した際に得られる白血球容積ヒストグラムにおける、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが重なる分布の谷の相対頻度の最小値を粒子容積35〜50fLの範囲内に位置させものが好ましい態様となる。
【0026】
粒子分析装置による計数によって得られる白血球容積ヒストグラムにおける、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが重なる分布の谷の相対頻度の最小値を粒子容積35〜50fLの範囲内に位置させれば、白血球ピークが明確になり、又、白血球ピークとゴーストピークとが近づきすぎることが防止でき、もって血小板凝集塊に起因する誤カウントを減少させることができる。これより、高精度で白血球を計数することができる。
【0027】
本発明の血球計数用試薬においては、更に、「抗凝固剤」が含まれてなるものが好ましい態様となる。
【0028】
「抗凝固剤」とは、血小板の凝固を抑制する性質を有するものを意味する。本発明の血球計数用試薬においては、抗凝固剤が更に含まれることにより、血液試料中の血小板(クロロキン塩類によって解離された血小板を含む。)が凝集することを抑制することができる。抗凝固剤の具体例としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)の塩類(例えば、EDTA‐2Na(ジナトリウム塩)、EDTA‐2K(ジカリウム塩)、EDTA‐3Na(トリナトリウム塩)、EDTA‐3K(トリカリウム塩)等)や、ヘパリン、アセチルサリチル酸、硫酸マグネシウム等を挙げることができる。抗凝固剤の配合割合としては、特に限定されるものではないが、0.01〜0.2g/Lとすることが好ましい。
【0029】
本発明の血球計数用試薬は、そのpH(水素イオン濃度指数)を安定させるために緩衝液で希釈することが好ましい。又、表面張力を調整するための非イオン界面活性剤、pHを調整するためのpH調整剤、裸核状態の白血球を安定させる膜保護剤、保存性を高める防腐剤その他の各種添加剤を更に配合することもができる。
【0030】
「緩衝液」の具体例としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液及びトリス緩衝液等を挙げることができる。「pH調整剤」の具体例としては、水酸化ナトリウムや塩酸を挙げることができる。
【0031】
表面張力を調整するための「非イオン界面活性剤」としては、分子内に親水基と疎水基とを有し、血球計数用試薬の表面張力を下げる性質を有するものであれば特に限定されるものではない。非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどの「エーテル型非イオン界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル、ソルビタンモノ(又はジ)オレイン酸エステル、ソルビタンモノ(又はジ)ラウリン酸エステル、ソルビタンモノ(又はジ)イソステアリン酸エステルなどの「エステル型非イオン界面活性剤(エーテルエステル型非イオン界面活性剤を含む)」を挙げることができる。
【0032】
「防腐剤」の具体例としては、アジ化ナトリウム、ナトリウムオマジン、ケーソンCG、ROCIMA(商標)553、チメロサール等を挙げることができる。「膜保護剤」の具体例としては、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類やグルタルアルデヒド、ジメチル尿素、グルコース等を挙げることができる。
【0033】
本発明の血液検査方法は、生体から採取された毛細管血中に含まれる白血球などの血球を粒子分析装置にて計数する血液検査方法であって、この血液検査方法は、生体から毛細管血を採取する採血工程と、採取された毛細管血を、前記本発明の血球計数用試薬で希釈することによって血液試料を作成する希釈工程と、血液試料を粒子分析装置に供し、血液試料中の白血球を計数する測定工程と、を実行することを特徴とする。
【0034】
本発明の血液検査方法においては、測定工程では、粒子容積35〜50fLの範囲の中から、カウント開始容積を決定し、決定されたカウント開始容積以上の容積を有する粒子を白血球としてカウントすることが好ましい態様となる。
【0035】
粒子分析装置による白血球の計数は、血液試料中の所定範囲の粒子容積を有する粒子を白血球とみなし、この範囲内にある粒子を逐一カウントすることによって行う。即ち、前記「カウント開始容積」とは、この所定範囲の下限値を意味する。なお、粒子分析装置による白血球の計数において、前記所定範囲の上限値は単なるカウントの終点であり、別段に重要なファクターとはならない。通常は、300〜500fL程度を上限として、カウントを終了する。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、生体から採取された毛細管血中の血小板凝集塊を解離させることができ、粒子分析装置による白血球などの血球の計数にあたり、高精度にて血球を計数することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、マイクロ血球カウンタにおける測定部を示す平面図である。
【図2】図2は、マイクロ血球カウンタにおける測定部を示す側面図である。
【図3】図3(a)は、マイクロ血球カウンタにおける希釈ボトルを示す正面図であり、図3(b)は、その底面図である。
【図4】図4は、マイクロ血球カウンタにおける本体を示す平面図である。
【図5】図5は、マイクロ血球カウンタにおける本体を示す側面図である。
【図6】図6は、マイクロ血球カンウンタにおける本体に測定部(希釈ボトルが取り付けられたもの)を差し込んだ状態を示す斜視図である。
【図7】図7(a)、(b)は、それぞれ、実施例1、2に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムであり、図7(c)は、比較例1に係る血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。
【図8】図8(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例3、1、4、5に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。
【図9】図9(a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例6、1、7に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムであり、図9(d)、(e)は、比較例2、3に係る血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムを示したものである。
【図10】図10(a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例8、1、9に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムであり、図10(c)、(d)は、比較例4、5に係る血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。
【図11】図11は、静脈血を従来の血球計数用試薬で希釈して作成された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。
【図12】図12は、毛細管血を従来の血球計数用試薬で希釈して作成された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態を説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0039】
<粒子分析装置>
本実施形態において、粒子分析装置は、株式会社堀場製作所社製のマイクロ血球カウンタ(商品名(仮称):Palm‐LC)を用いた。
【0040】
‐測定部1‐
図1及び図2に、マイクロ血球カウンタにおける測定部1を示す。この測定部1はPMMA(アクリル)などの樹脂でカートリッジ化されている。この測定部1の樹脂基板2には、ポンプ接続口17に一端が接続された外部接続用流路3と、この外部接続用流路3の他端に接続され、壁4、5、6により部分的に仕切られて流路が形成された液溜用セル7と、この液留用セル7に流路8を介して接続された吸光度測定用セル9と、この吸光度測定用セル9に流路10を介して接続された検出用流路11と、この検出用流路11に略S字状の流路12を介して接続されたキャピラリー13と、流路10と流路12間に設けられたセンサ取付部16と、が形成されている。
【0041】
前記樹脂基板2上の各構成要素は、それぞれ所定の深さと幅で形成されている。図2に示すように、樹脂基板2は樹脂基板2aと樹脂基板2bとからなり、樹脂基板2a上には、液留用セル7が例えば深さ4mm位で形成され、又、吸光度測定用セル9が所定の深さで形成されている。一方、樹脂基板2b上には、外部接続用流路3、流路8、10、12と、検出用流路11と、キャピラリー収容路18とが、例えば深さ1mm、幅1mm位で形成されている。また、樹脂基板2b上にはセンサ取付部16が形成されている。なお、樹脂基板2a、2b上にそれぞれ形成する流路やその他の構成要素の振り分けは、上記に限ることはなく、構成要素の深さ、幅、長さに応じて樹脂基板2a、2bが有効に利用できるように振り分ければ良い。
【0042】
このように樹脂基板2aと樹脂基板2bとにそれぞれ所定の構成要素が形成された後、樹脂基板2aと樹脂基板2bとを、例えば、接着剤又は両面テープを用いて、液漏れがないように貼り合わせた後、キャピラリー収容路18に、例えばガラス製のキャピラリー13を埋め込み、接着剤などによりキャピラリー13をキャピラリー収容路18に固定すると共に、キャピラリー13の外周面とキャピラリー収容路18の内周面との間の隙間を塞ぐ。
【0043】
次に、ボトルガイド19の中心をキャピラリー13の中心に合わせた状態で、このボトルガイド19を樹脂基板2a、2bの端面に貼り合わせる。そして、外部接続用流路3と接続させた状態で、樹脂基板2a、2bの端面にポンプ接続口17を貼り合わせる。センサチップ145には、血液試料のインピーダンス変化を検出するための電極14,15が設けられている。このセンサチップ145を実装したセンサ基板20を、センサ取付部16に貼り付けることによってセンサ部が構成され、本マイクロ血球カウンタにおける測定部1が完成する。電極14、15は、センサチップ145がセンサ基板20に実装されることにより、リードライン21、22にそれぞれ接続され、センサ部からの信号をリードライン21,22から取り出すことが可能になる。なお、上記の説明では、センサチップ145は、後でセンサ取付部16に貼り付けたが、樹脂基板2aまたは樹脂基板2bにおいてセンサチップ145を成形し、その後、電極14、15をスパッタ等を用いてセンサチップ145に付けても良い。
【0044】
‐希釈ボトル23‐
図3に、希釈液ボトル23を示す。この希釈液ボトル23は、血球計数用試薬を収容する容器24と、この容器24の上部に設けられた空気孔27と、空気孔27を塞ぐシール26と、容器24の下部の口に貼り付けられた膜25と、から構成されている。この希釈ボトル23は、容器24内に血球計数用試薬が収容され、シール26と膜25により密閉される。
【0045】
‐本体100‐
図4、図5に、マイクロ血球カウンタの本体100を示す。マイクロ血球カウンタの本体100はケース51に覆われており、このケース51内には、三方電磁弁53,54、ダイヤフラムポンプ55、電池56、57、58、59、LCD(液晶ディスプレイ)61、回路基板62、およびカートリッジセッティング部63などが備えられている。又、ケース51の上面には、LCD61の表示が外部から見ることができるように、窓枠に透明板60が貼られている。ケース51の側面から底面にわたって、電池56、57、58、59を内部にセットしたり交換したりするために開閉される電池蓋65が設けられている。
【0046】
ダイヤフラムポンプ55の加圧側は三方電磁弁53のコモンポートに接続され、同じくダイヤフラムポンプ55の減圧側は三方電磁弁54のコモンポートに接続されている。また、三方電磁弁53のNOポート(通常開のポート)は三方電磁弁54のNCポート(通常閉のポート)に接続され、三方電磁弁53のNCポートは三方電磁弁54のNOポートに接続されている。
【0047】
そして、三方電磁弁53のNOポートと三方電磁弁54のNCポートとが接続されたラインは、カートリッジ化された前記測定部1がカートリッジセッティング部63にセットされた際に、測定部1のポンプ接続口17が接続されるようになっている。三方電磁弁53、54、ダイヤフラムポンプ55、およびLCD61などには、電池56、57、58、59によって動作電源が供給され、三方電磁弁53、54、ダイヤフラムポンプ55、及びLCD61などは回路基板62上の制御回路により制御される。又、検出されたインピーダンス変化を示す信号は、回路基板62上の演算回路に供給されることにより、血液試料中の血球が測定され、この測定結果がLCD61に表示される。
【0048】
<本発明の血液検査方法>
続いて、前記構成を有するマイクロ血球カウンタを用いた本発明の血液検査方法について説明する。
【0049】
本発明の血液検査方法においては、先ず、生体から毛細管血を採取する採血工程を実行する。本実施形態においては、被検査者(生体)の例えば指先をキャピラリー13の先端に突き刺し、毛細管現象を利用して、キャピラリー13内へ毛細管血を採血(1μL)することによって採血工程を実行する。
【0050】
次に、本発明の血液検査方法においては、採取された毛細管血を、本発明の血球計数用試薬で希釈することによって血液試料を作成する希釈工程を実行する。本実施形態においてこの希釈工程は、まず、本発明の血球計数用試薬が入った希釈液ボトル23をボトルガイド19に沿ってスライドさせ、キャピラリー13の先端で希釈ボトル23の膜25を破壊することによって、キャピラリー13の先端を希釈液ボトル23内に挿入する。この後、希釈液ボトル23のシール26を剥がす。これにより、希釈液ボトル23は、上部に孔が開き、大気開放される。
【0051】
この測定部1をマイクロ血球カウンタの本体100に差し込んでセットすれば(図6参照)、ポンプ接続口17がマイクロ血球カウンタの本体100に内蔵されたダイヤフラムポンプ55に連結される。又、センサ基板20が本体100側のインピーダンス測定回路に電気的に接続される。そして、前記ダイヤフラムポンプ55を加圧駆動させ、ポンプ接続口17から、外部接続用流路3、液留用セル7、流路8、吸光度測定用セル9、流路10、検出用流路11、及び流路12を介してキャピラリー13内を加圧すると、キャピラリー13内の毛細管血は、希釈液ボトル23の中に押し込まれる。この際、希釈液ボトル23内でバブリングが行なわれて毛細管血と血球計数用試薬とが混合されて、血球計数用試薬によって希釈された血液試料となる(希釈倍率251倍)。
【0052】
前記希釈工程の後、本発明の血液検査方法においては、血液試料中の白血球を計数する測定工程を実行する。本実施形態においてこの測定工程は、まず、前記ダイヤフラムポンプ55を減圧駆動させ、ポンプ接続口17から、外部接続用流路3、液留用セル7、流路8、吸光度測定用セル9、流路10、検出用流路11、および流路12を介してキャピラリー13内を減圧する。これにより、希釈液ボトル23内の血液試料は、キャピラリー13および流路12を介して検出用流路11に導入される。ここで、この検出用流路11に設けられた電極14、15間にはインピーダンス変化が生じ、マイクロ血球カウンタは、そのインピーダンス変化に基づいて血液試料中の粒子を測定する。
【0053】
検出用流路11を通った希釈血液は、流路10を介して吸光度測定用セル9に流れる。なお、白血球の計数に加えてヘモグロビン量を測定する場合は、吸光度測定用セル9の吸光度を光学センサ(図示せず)で計測することにより、血液試料中のヘモグロビンを測定することができる。更に、吸光度測定用セル9を通った血液試料は、流路8を介して液留用セル7に流れ、廃液として溜められていく。測定工程の終了後、測定部1は、マイクロ血球カウンタの本体から取り外され、液留用セル7に溜められた血液試料とともに廃棄される。
【0054】
[実施例1]
クロロキン塩類としてのクロロキン二リン酸塩20g/Lと、四級アンモニウム塩としての臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム36.6g/Lを0.5Mリン酸緩衝溶液に溶解させ、電解質としての塩化ナトリウムを加えることによって、浸透圧が390Osm/kgに調整された本発明に係る血球計数用試薬を作成した。なお、浸透圧は、京都第一科学社製の浸透圧測定装置(商品名:オズモスタットOM−6020)にて測定した値である(以下、同様)。
【0055】
[実施例2]
四級アンモニウム塩として、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(36.6g/L)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、浸透圧が390Osm/kgに調整された本発明に係る血球計数用試薬を作成した。
【0056】
[比較例1]
クロロキン塩類を配合しない以外は、前記実施例1と同様にして、浸透圧が390Osm/kgに調整された血球計数用試薬を作成した。
【0057】
実施例1及び2に係る本発明の血球計数用試薬と、比較例1に係る血球計数用試薬とを、それぞれ別の希釈ボトル23に封入した。次いで、前記測定部1におけるキャピラリー13の先端を被検査者の指先の先端に突き刺すことによってキャピラリー13内に毛細管血を採取し、希釈タンク23にキャピラリー13の先端を差し込んだ後、前記測定部1をマイクロ血球カンウンタの本体100のカートリッジセッティング部63に差し込むことにより、本発明の血液検査方法を実行した。この検査方法によって得られた白血球容積ヒストグラムを図7に示す。
【0058】
図7(a)及び(b)に示す白血球容積ヒストグラムは、それぞれ実施例1及び2に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定したものである。図7(a)及び(b)に示す白血球容積ヒストグラムにおいては、いずれもゴーストノイズGと白血球ピークWとが明確に隔離されており、血小板凝集塊による誤カウントの影響が殆ど無いことが確認された。又、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが重なる分布の谷の相対頻度の最小値は、いずれにおいても粒子容積35〜50fLの範囲内に位置していることが確認された。従って、粒子容積35〜50fLの範囲の中から、カウント開始容積を決定し、決定されたカウント開始容積以上の容積を有する粒子を白血球として積算すれば、白血球を高精度に計数できる。
【0059】
一方、図7(c)に示す白血球容積ヒストグラムは、比較例1に係る血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定したものである。この白血球容積ヒストグラムにおいては、ゴーストピークが相当大きく、そのテーリング部が高容積側に張り出しており、白血球ピークのリーディング部と広範囲にて重なっていた。従って、粒子容積35〜50fLの範囲の中からカウント開始容積を決定しても、血小板凝集塊に起因する誤カウントが生じ、高精度にて白血球を計数することができないことが確認された。
【0060】
[実施例3〜5]
クロロキン塩類の配合量を、10g/L(実施例3)と、40g/L(実施例4)と、80g/L(実施例5)とに変えた以外は、前記実施例1と同様にして血球計数用試薬を作成した。
【0061】
前記実施例1に係る血球計数用試薬に加えて、実施例3〜5に係る本発明の血球計数用試薬をそれぞれ用いて、毛細管血の測定を行う本発明の血液検査方法を実行した。得られた白血球容積ヒストグラムを図8に示す。
【0062】
図8(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ実施例3、1、4、5に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。
【0063】
図8に示す結果から、血球計数用試薬中のクロロキン塩類の配合量が10g/L以上であれば、血小板凝集塊が解離されて、ゴーストピークGのテーリング部Tと白血球ピークWのリーディング部Rとが重なる範囲が小さくなり、誤カウントの影響が殆ど無くなることが確認された。
【0064】
[実施例6、7]
四級アンモニウム塩の配合量を、10g/L(実施例7)と、50g/L(実施例8)とに変えた以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る血球計数用試薬を作成した。
【0065】
[比較例2、3]
四級アンモニウム塩の配合量を、5g/L(比較例2)と、100g/L(比較例3)に変えた以外は、前記実施例1と同様にして血球計数用試薬を作成した。
【0066】
前記実施例1に係る血球計数用試薬に加えて、実施例6、7及び比較例2、3に係る血球計数用試薬をそれぞれ用いて、毛細管血の測定を行う本発明の血液検査方法を実行した。得られた白血球容積ヒストグラムを図9に示す。
【0067】
図9(a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例6、1、7に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。又、図9(d)、(e)は、比較例2、3に係る血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定した白血球容積ヒストグラムを示したものである。
【0068】
図9に示す結果から、血球計数用試薬中の四級アンモニウム塩の配合量が10g/L未満になると、明確な白血球ピークが得られなくなることが認められた。一方、血球計数用試薬中の四級アンモニウム塩の配合量が50g/Lを超えると、白血球ピークが低容積側に移動し、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが大きく重なっていることが認められた。
【0069】
これより、血球計数用試薬中の四級アンモニウム塩の配合量が10〜50g/Lであれば、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが重なる分布の谷の相対頻度の最小値を粒子容積35〜50fLの範囲内に位置させ得ることが確認された。
【0070】
[実施例8、9]
電解質として配合されるNaClの配合量を変えることによって、浸透圧を200Osm/kg(実施例8)と、600Osm/kg(実施例9)とに調整した以外は、前記実施例1と同様にして本発明に係る血球計数用試薬を作成した。
【0071】
[比較例4、5]
電解質として配合されるNaClの配合量を変えることによって、浸透圧を100Osm/kg(比較例4)と、1000Osm/kg(比較例5)とに調整した以外は、前記実施例1と同様にして血球計数用試薬を作成した。
【0072】
前記実施例1に係る血球計数用試薬に加えて、実施例8、9、及び比較例4、5に係る血球計数用試薬をそれぞれ用いて、毛細管血の測定を行う本発明の血液検査方法を実行した。得られた白血球容積ヒストグラムを図10に示す。
【0073】
図10(a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例8、1、9に係る本発明の血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定して得られた白血球容積ヒストグラムである。又、図10(d)、(e)は、比較例4、5に係る血球計数用試薬で希釈された血液試料を測定した白血球容積ヒストグラムである。
【0074】
図10に示す結果から、血球計数用試薬の浸透圧が200Osm/kg未満になると、明確な白血球ピークが得られなくなることが認められた。一方、血球計数用試薬の浸透圧が600Osm/kgを超えると、白血球ピークが低容積側に移動し、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが大きく重なっていることが認められた。
【0075】
これより、血球計数用試薬の浸透圧が200〜600Osm/kgであれば、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが重なる分布の谷の相対頻度の最小値を粒子容積35〜50fLの範囲内に位置させ得ることが確認された。
【0076】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、毛細管血中の白血球を高精度で計数することができるものであるが、血小板や赤血球その他の血液成分を検査する際にも利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 測定部
2 樹脂基板
3 外部接続用流路
7 液溜用セル
9 吸光度測定用セル
11 検出用流路
13 キャピラリー
16 センサ取付部
17 ポンプ接続口
18 キャピラリー収容路
19 ボトルガイド
14 電極
145 センサチップ
15 電極
20 センサ基板
23 希釈ボトル
24 容器
27 空気孔
25 膜
26 シール
51 ケース
53 三方電磁弁
54 三方電磁弁
55 ダイヤフラムポンプ
61 液晶ディスプレイ
62 回路基板
63 カートリッジセッティング部
100 本体
G ゴーストピーク
W 白血球ピーク
R リーディング部
T テーリング部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体から採取された毛細管血中に含まれる血球を粒子分析装置にて計数する際に、採取された毛細管血を希釈し、血液試料を作成するための血球計数用試薬であって、
クロロキン塩類が含まれた水溶液であることを特徴とする血球計数用試薬。
【請求項2】
請求項1に記載の血球計数用試薬において、
クロロキン塩類が、10g/L以上含まれてなる血球計数用試薬。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の血球計数用試薬において、
更に、溶血作用を有する界面活性剤が含まれてなる血球計数用試薬。
【請求項4】
請求項3に記載の血球計数用試薬において、
界面活性剤が、アニオン性界面活性剤である血球計数用試薬。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の血球計数用試薬において、
界面活性剤が、10〜50g/L含まれてなる血球計数用試薬。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の血球計数用試薬において、
更に、電解質が含まれることによって、浸透圧が200〜600Osm/kgに調整されてなる血球計数用試薬。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の血球計数用試薬において、
血球計数用試薬は、
血液試料を粒子分析装置に供した際に得られる白血球容積ヒストグラムにおける、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが重なる分布の谷の相対頻度の最小値を粒子容積35〜50fLの範囲内に位置させるものである血球計数用試薬。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の血球計数用試薬において、
血球計数用試薬には、
更に、抗凝固剤が含まれてなる血球計数用試薬。
【請求項9】
生体から採取された毛細管血中に含まれる血球を粒子分析装置にて計数する血液検査方法であって、
この血液検査方法は、
生体から毛細管血を採取する採血工程と、
採取された毛細管血を、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の血球計数用試薬で希釈することによって血液試料を作成する希釈工程と、
血液試料を粒子分析装置に供し、血液試料中の白血球を計数する測定工程と、
を実行することを特徴とする血液検査方法。
【請求項10】
請求項9に記載の血液検査方法において、
測定工程では、粒子容積35〜50fLの範囲の中から、カウント開始容積を決定し、決定されたカウント開始容積以上の容積を有する粒子を白血球としてカウントする血液検査方法。
【請求項1】
生体から採取された毛細管血中に含まれる血球を粒子分析装置にて計数する際に、採取された毛細管血を希釈し、血液試料を作成するための血球計数用試薬であって、
クロロキン塩類が含まれた水溶液であることを特徴とする血球計数用試薬。
【請求項2】
請求項1に記載の血球計数用試薬において、
クロロキン塩類が、10g/L以上含まれてなる血球計数用試薬。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の血球計数用試薬において、
更に、溶血作用を有する界面活性剤が含まれてなる血球計数用試薬。
【請求項4】
請求項3に記載の血球計数用試薬において、
界面活性剤が、アニオン性界面活性剤である血球計数用試薬。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の血球計数用試薬において、
界面活性剤が、10〜50g/L含まれてなる血球計数用試薬。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の血球計数用試薬において、
更に、電解質が含まれることによって、浸透圧が200〜600Osm/kgに調整されてなる血球計数用試薬。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の血球計数用試薬において、
血球計数用試薬は、
血液試料を粒子分析装置に供した際に得られる白血球容積ヒストグラムにおける、ゴーストピークのテーリング部と白血球ピークのリーディング部とが重なる分布の谷の相対頻度の最小値を粒子容積35〜50fLの範囲内に位置させるものである血球計数用試薬。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の血球計数用試薬において、
血球計数用試薬には、
更に、抗凝固剤が含まれてなる血球計数用試薬。
【請求項9】
生体から採取された毛細管血中に含まれる血球を粒子分析装置にて計数する血液検査方法であって、
この血液検査方法は、
生体から毛細管血を採取する採血工程と、
採取された毛細管血を、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の血球計数用試薬で希釈することによって血液試料を作成する希釈工程と、
血液試料を粒子分析装置に供し、血液試料中の白血球を計数する測定工程と、
を実行することを特徴とする血液検査方法。
【請求項10】
請求項9に記載の血液検査方法において、
測定工程では、粒子容積35〜50fLの範囲の中から、カウント開始容積を決定し、決定されたカウント開始容積以上の容積を有する粒子を白血球としてカウントする血液検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−237605(P2012−237605A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105611(P2011−105611)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】
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