説明

衣類乾燥機

【課題】リント捕獲装置で捕獲したリントが、離散したりフィルタの裏側に抜け出ることなく除去できる衣類乾燥機を提供する。
【解決手段】衣類などを収容する槽体内に、送風手段および加熱手段により生成した温風を循環ダクトを経て循環供給し衣類を乾燥する。前記循環ダクトの前記槽体からの排気側にはリント捕獲装置を備える。前記送風手段は、単独運転を可能とする。前記リント捕獲装置は、フィルタケースと、該フィルタケースの通風路中に配置されリント捕獲用のフィルタ部を有する。前記フィルタ部材の上流側に一端が連通し、他端が前記送風手段の吸込み側に連通接続した吸引管路を備える。この吸引管路には着脱可能なリント回収装置を有する。前記送風手段を単独運転し、前記吸引管路を介して前記フィルタ部材の上流側に吸気流が生じるようにし、捕獲したリントを回収可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、リント捕獲装置を備えた衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種乾燥機では、空気を加熱する手段として例えばヒートポンプ機構を採用するとともに、衣類を収容するドラムとの間に設けた循環ファンにより、加熱した空気を温風としてドラム内に循環供給するようにしている。この温風を循環供給するために、ヒートポンプ機構およびドラム間にわたり通風路を形成すべく循環ダクトを設けるとともに、衣類の乾燥作用に寄与した後の排気中に含まれる糸屑などのリントを捕獲するためのリント捕獲装置を設け、リントが下流側に配置されるヒートポンプ機構や循環ファン側に流入するのを防止して安全性を確保している。
【0003】
このため、リント捕獲装置が有するメッシュ状のフィルタが捕獲したリントで目詰まり状態となるのを回避すべく、随時リントを剥離するなどのフィルタ清掃が必要である。このようなフィルタの清掃を、乾燥運転中に自動的に行なえるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、一般的に自動的に清掃する手段では、リントの捕獲状態(目詰まり状態)が確認(目視)できないとか、取り残しが生じ易いとか、或は循環ダクト内に設けた動作部分にリントが絡み易いなどの実用面での不安な要因を有する。
【0004】
そこで、リント捕獲装置(フィルタ)を機外から清掃可能な位置に設けて、手動操作によりフィルタを清掃するようにすれば、該フィルタの目詰まり状態を確認しながら確実にリントを除去することができる。ところが、この場合例えばブラシ等を利用してフィルタの上流側に捕獲されたリントを擦り取るように剥がすのであるが、その際、リントが周辺に離散したり、ブラシにより押し込まれるようにして一部のリントがフィルタのメッシュから裏側に抜け出る場合が考えられる。この場合、抜け出て落ち込んだリントは、下流側(循環ダクト)に配置されたヒートポンプ機構等に流入して、その性能を低下し或は故障を起こすなどの不具合を生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−154321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、リントを除去する清掃時に、リントが離散したりフィルタの裏側に抜け出ることがないようにして、効果的にフィルタの清掃作業ができるリント捕獲装置を備えた衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の衣類乾燥機によれば、衣類などを収容する槽体内に、送風手段および加熱手段により生成した温風を循環ダクトを経て循環供給し衣類を乾燥する。前記循環ダクトの前記槽体からの排気側にはリント捕獲装置を備える。前記送風手段は、単独運転を可能とする。前記リント捕獲装置は、フィルタケースと、該フィルタケースの通風路中に配置されリント捕獲用のフィルタ部材を有する。前記フィルタ部材の上流側に一端が連通し、他端が前記送風手段の吸込み側に連通接続した吸引管路を備える。この吸引管路には着脱可能なリント回収装置を有する。前記送風手段を単独運転し、前記吸引管路を介して前記フィルタ部材の上流側に吸気流が生じるようにし、捕獲したリントを回収可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態によるドラム式の洗濯乾燥機の背面側から内部を透視した状態の概略的な全体構成を示す背面図
【図2】同上洗濯乾燥機全体の外観斜視図
【図3】同上洗濯乾燥機の上部を破断して示す右側面図
【図4】第1の実施形態によるリント捕獲装置の拡大断面図
【図5】同上リント捕獲装置の作用を説明するための拡大断面図
【図6】同上リント捕獲装置とリント回収装置との関連構成を示す拡大断面図
【図7】同上リント捕獲装置とリント回収装置の作用を説明するための拡大斜視図
【図8】第2の実施形態を示す図3相当図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、ドラム式の洗濯乾燥機に適用した第1の実施形態につき、図1ないし図7を参照して説明する。そのうち、図1ないし図3に基づきドラム式の洗濯乾燥機の概略構成につき述べる。まず図2の外観斜視図に示すように、洗濯乾燥機1の外郭を形成する箱状の筐体2は、洗濯乾燥機1の正面である前面2aには、上部に操作パネル3、ほぼ中央部にドア4を備えており、該ドア4はドアボタン5の押圧操作により開放可能な構成としている。
【0010】
具体的にはドア4は、衣類などをドラム7(後述する図1,図3参照)内に出し入れするための投入口(図示せず)を開閉すべく回動可能に設けられている。このドア4は一般的な構成として、ドア4の閉鎖状態では図示しないロック機構により閉鎖状態にロック保持され、このロック状態は前記ドアボタン5の通常位置で保持される。このロック状態でドアボタン5が押圧操作されると、ロックが解除されるとともに常時開放方向に付勢されたバネ力によりドア4を開放する構成としている。
【0011】
なお、筐体2の天面2bには、詳細は後述するリント捕獲装置21の開閉可能な蓋体28、および隣接して設けられたリント回収装置35の開閉可能な蓋体40を外部から開閉操作可能に露呈した状態に配設されている。また、前記操作パネル3には、各種の操作ボタン群の中の一つにリント清掃ボタン3aを備えている。このリント清掃ボタン3aは、リント捕獲装置21に捕獲したリントを除去する清掃動作を行なうとき、該清掃ボタン3aを押圧操作することで、予め設定された清掃運転モード(詳細は後述)に基づく運転動作を開始可能としている。
【0012】
次いで、図1に示す洗濯乾燥機1の背面側から内部を透視した状態の概略的な全体構成、および図3に示す洗濯乾燥機1の上部を破断して示す右側面図に基づき述べると、筐体2内には、槽体9としてのドラム7や水槽8を備えている。図示するように、ドラム式の洗濯乾燥機1としては横軸周りの円筒状のドラム7と、該ドラム7の外周囲を囲うように弾性支持された同円筒状の水槽8を備えており、本実施形態では多孔状のドラム7内に衣類などを収容し、水槽8内には貯水し或は乾燥運転時には温風を供給するなどの、所謂槽体9を構成している。なお、ドラム7は水槽8の背面に設けられたモータ10により回転駆動され、このモータ10は、例えばアウターロータ形で直流のブラシレスモータからなるもので、洗い、脱水、乾燥の各運転に応じた回転方向や回転速度に駆動制御される。
【0013】
そして、当該洗濯乾燥機1の乾燥機能につき述べると、槽体9の外周囲には該槽体9内に乾燥用の温風を一方から連続して供給し、他方から排出する通風路を形成する循環ダクト11を設けている。この循環ダクト11は、本実施形態では図示するように槽体9の背面側から温風を供給する給気ダクト12と、槽体9の前方上部から温風を排出する排気ダクト13(図1中では破線で示す)と、これら給排ダクト12、13の他端である下端側を熱交換ダクト14の両側端部に夫々接続し、もって槽体9を介在して閉鎖された連続した通風路をなす循環ダクト11が構成される。
【0014】
図1において前記熱交換ダクト14は、筐体2内の底部に配置されたヒートポンプ機構15を構成する蒸発器16および凝縮器17のフィンチューブを介在した構成とし、この間を流れる空気と熱交換が行なえるようにしている。このヒートポンプ機構15は、図1中に一部模式的に示すように、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機18、高温高圧の冷媒を放熱して凝縮する凝縮器17、高圧冷媒を減圧する膨張弁19、減圧された冷媒を蒸発させて吸熱する蒸発器16等を環状に配管接続した構成からなり、該ヒートポンプ機構15(具体的には凝縮器17)の下流側に送風手段としての循環ファン20を設け、熱交換ダクト14などの循環ダクト11内を空気が循環するようしている。
【0015】
よって、衣類を乾燥する乾燥運転時にヒートポンプ機構15が稼動し、循環ファン20が回転駆動されると、図1中実線矢印で示す方向に空気が循環する。具体的に述べると、前記熱交換ダクト14を流れる空気が凝縮器17で加熱され、温風となって給気ダクト12から槽体9内に供給され、回転するドラム7内では衣類に吹き当てるように接触した後、槽体9から排気ダクト13を介して排出される。その温風(排気)は熱交換ダクト14に至り、該排気中の水分が蒸発器16にて除湿され、再び凝縮器17にて加熱される。なお、上記した槽体9からの排気を導く排気ダクト13は、図1(破線で示す)および図3に示すように、水槽8の前方寄りの上部に連通接続され、その他端は筐体2内上部に配置されたリント捕獲装置21(詳細は後述)を経て下方に垂下し、上記熱交換ダクト14に連通接続された構成としている。
【0016】
このように、ヒートポンプ機構15は循環空気を加熱する加熱手段として機能するもので、特には熱交換ダクト14における蒸発器16、凝縮器17の熱交換作用を受けて循環空気を効果的に除湿して加熱し、乾燥用の温風を連続的に再生する。なお、図1中の実線矢印は、既述の如く乾燥運転時における温風の流れの方向(循環方向)を示すものであるが、他に上記図3をはじめ、後述する図4に示す実線矢印も、同様に乾燥運転時の温風の循環方向を示している。
【0017】
ここで、上記リント捕獲装置21につき詳述すると、これは上記したように循環ダクト11を構成する排気ダクト13の通風路中に設けられ、乾燥運転時に衣類から遊離した糸屑などのリントを排気中から捕獲し、下流側の熱交換ダクト14内に流入しないようにしている。つまり、熱交換ダクト14には加熱手段として機能するヒートポンプ機構15の蒸発器16および凝縮器17を配置しているので、これらにリントが付着する不具合を防止している。
【0018】
このリント捕獲装置21の具体構成について、まず図4に示す拡大断面図を参照して説明する。図4に示すリント捕獲装置21は、乾燥運転時にリントを捕獲可能に筐体2内に組み込まれた状態を示しており、排気ダクト13(図中、二点鎖線で示す)の一部の通風路(図中、符号Aで示す)を形成する中空容器状のフィルタケース22内に、その通風路Aを遮るように配置されリント捕獲用のフィルタ部材23を設けた構成としている。なお、フィルタケース22は中空容器状に一体成形可能であるが、適宜の接合手段を用いた組立構成としてもよい。
【0019】
上記フィルタ部材23は、本実施形態では上記フィルタケース22に対し着脱可能とする着脱フィルタ24と、フィルタケース22に固定的に設けられた固定フィルタ25とを備えた構成としている。そのうちの固定フィルタ25は、ほぼL字状に形成して通風路Aに対して大きなフィルタ面積を確保した状態で、フィルタケース22と一体的に形成され、或は適宜の固着手段等を介して固定的に設けられた構成としている。
【0020】
これに対し、着脱フィルタ24は容器状をなし上記固定フィルタ25で遮られた上流側の空間内に、該固定フィルタ25と若干の隙間を介して上下方向に着脱可能に収容される。この着脱フィルタ24も、固定フィルタ25と同様のL字状をなす広いフィルタ面積を確保した形態をなし、互にフィルタ面が隙間を介して対向するように配置され、所謂固定フィルタ25とで二層のフィルタ構成としている。
【0021】
なお、フィルタケース22において、上記着脱フィルタ24を着脱可能に収容する固定フィルタ25の上流側の空間にあっては、図中実線矢印で示す温風(排気)の流れに対向する前方を開放し、また上面側を開放した形態にあって、この上面側の開放部位22aから着脱フィルタ24を出し入れできる構成としている。
【0022】
このような、フィルタケース22の空間内に収容される着脱フィルタ24は、図中実線矢印で示す温風(排気)の流れ(循環方向)に対向する前方のみを開放した容器状をなしている。その上面側を形成する上面板24aは、該容器状を構成する部分より外周囲が大きく延びており、この延出部分が上記フィルタケース22の上面開放部位22aの周縁部に載置保持され、もって該着脱フィルタ24を所定位置に収容した状態に装着可能としている。
【0023】
次いで、上記固定フィルタ25を有するフィルタケース22の具体構成について述べると、このフィルタケース22は、上記したように排気ダクト13の一部通風路Aを有する中空容器状をなしているが、その全体形状としては格別な形態が要求されるものではなく、本実施形態では左右方向の中間位置に上記した固定フィルタ25および着脱フィルタ24からなるフィルタ部材23を配置した構成にあって、その上流側である図示左端部の水平方向の筒状部22bは、槽体9(水槽8)から延びる図中二点鎖線で示す排気ダクト13が接続され(実線で示す図3参照)、下流側である図示右端部の下方向に折曲した筒状部22cには、熱交換ダクト14側に連なる図中二点鎖線で示す排気ダクト13が接続される(実線で示す図1参照)。
【0024】
更にフィルタケース22には、上面の開放部位22aの後方位置(図示右方)にスリット状の外気導入口26を形成している。この外気導入口26の機能については別途述べるが、上記した装着状態の着脱フィルタ24の上面板24aにて閉鎖されない位置にあって、該導入口26を覆うように例えば多数の縦スリットからなる外気用フィルタ27が設けられ、外部からの塵埃や異物の浸入を防止可能としている。
【0025】
また、上記外気導入口26後方の近接位置に、蓋体28を回動可能に設けている。この蓋体28は、矩形板状をなし着脱フィルタ24の上面板24aを覆い隠すことができる大きさをなしてフィルタケース22の上面に接合する。従って、図示する閉鎖状態では上記外気導入口26を上方から覆って閉鎖状態に保持するとともに、着脱フィルタ24を上方(外部)から隠蔽した状態に維持される。この閉鎖状態の蓋体28は、筐体2の天面2bとほぼ面一状態で外部に露呈し、蓋体28を外部から操作可能としている(図2参照)。
【0026】
上記蓋体28を回動可能に支持する軸部29は、例えばフィルタケース22と一体に形成しており、該軸部29に蓋体28の基端部に形成した半円形状の軸支部30が遊合している。この半円形状の軸支部30は、蓋体28がほぼ直角をなすほぼ垂直位置までは軸部29に回動支持されるが、垂直位置まで回動され開放部位が上部に位置すると、該軸支部30は軸部29の回動支持から開放される。この結果、蓋体28の回動用のスリット31を通して蓋体28が垂直状態のまま下降可能となり、つまり軸支部30を下端部としてフィルタケース22の通風路Aを遮断する方向に下降する。
【0027】
上記軸支部30の端部には、その全幅にわたり蓋体28と同方向に突設した係合片32を備えており、この場合、該係合片32を最下端部として垂直方向に下降する。そして、フィルタケース22には、係合片32が下降する対応位置に係合溝部33を形成していて、係合片32は係合溝部33に挿入され、その位置に係合保持される(後述する図5参照)。従って、蓋体28はフィルタケース22内の通風路Aを遮断した状態に保持されるとともに、外気導入口26を開放した状態に維持する。なお、図4中においてフィルタケース22内と外部との間で、不必要な空気の漏洩が生じないようにすることが好ましいことから、図示しないが例えば、上記した閉鎖状態の係合片32も含む蓋体28と、フィルタケース22との接触面間とか、或いは着脱フィルタ24の上面板24aと、フィルタケース22の開放部位22aの周縁部との間に、薄いシート状のパッキンを貼付するなどして気密性を向上するようなことは、適宜設計的に対応可能である。
【0028】
そして、上記構成のリント捕獲装置21を備えた洗濯乾燥機1は、図1に示されるように一端がリント捕獲装置21の側方に連通し、他端が循環ファン20の吸込み側に連通接続された吸引管路34を設けている。その吸引管路34の途中部位には、例えばリント捕獲措置21に近接する位置にリント回収装置35を備えている(詳細は後述する)。そのうち、吸引管路34の他端である循環ファン20の吸込み側は、熱交換ダクト14の凝縮器17の下流側に連結されることから、該吸引管路34は、詳細は後の作用説明で行なうがリント捕獲装置21の下流側の排気ダクト13と、ヒートポンプ機構15を有する熱交換ダクト14を回避した所謂バイパス通路を形成する如き配管構成としている。
【0029】
更に具体的に、吸引管路34の一端がリント捕獲装置21の側方に連結した構成およびリント回収装置35との関連構成などにつき、図6を参照して説明する。図6は、リント捕獲装置21とリント回収装置35との関連構成を示す拡大断面図で、図示するように、吸引管路34の一端たる先端部は、リント捕獲装置21のフィルタケース22の側壁を貫通して内部と連通した状態に接続されている。具体的には、その貫通部位は固定フィルタ25の上流側空間に位置して連通している(図4参照)。この貫通部位であるフィルタケース22(固定フィルタ25の上流側空間)の内面側には、弾性材からなるリング状のシール部材36が例えば接着剤により固着されている。
【0030】
このように、吸引管路34はリント捕獲装置21と連通状態に連結されるが、この連通状態を本実施形態では閉鎖可能とし、つまり開閉可能としている。その開閉手段につき述べると、上記シール部材36は、フィルタケース22の内面側に突出した状態にあるが、このシール部材36に着脱フィルタ24の側壁面が弾性的に圧接することで密閉可能としている。この場合、連通状態にするには収納状態にある着脱フィルタ24を取り外せばよく、すなわち着脱フィルタ24の着脱操作により開閉可能としている。
【0031】
なお、図示するようにフィルタケース22の側壁の内面側には、縦方向に延びて突出する複数のリブ37を形成している。これは、着脱フィルタ24を、フィルタケース22に対し上下方向のスムースな着脱操作性と所定位置への収納(装着)を良好にするためのもので、該リブ37よりも自然状態でのシール部材36の突出量が大きく設定されている。従って、着脱フィルタ24の上面板24aが開放部位22aの周縁部に保持され所定位置に収納された状態では(図中、下端部のみ二点鎖線で示す)、該着脱フィルタ24の両側面がリブ37に接合するとともに、該リブ37より突出していたシール部材36に圧接することで密着状態を得ることができる。
【0032】
次いで、同じく図6を参照して吸引管路34に介在され、上記リント捕獲装置21と隣接した位置に設けられたリント回収装置35について述べる。このリント回収装置35は、上面を開放した中空容器状のフィルタケース38内に、着脱可能な回収フィルタ39を備えた構成としている。具体的には、フィルタケース38の左右側面のほぼ中央部位に吸引管路34が連通接続され、後の作用説明で述べるが吸気流として該吸引管路34内を図中破線矢印で示す方向に流れる。該フィルタケース38は、当然同破線矢印方向の通風路にあって内部に収容された回収フィルタ39は、該矢印方向と対向する側を開口した袋状をなしており、その開口周縁には剛性の枠部39aを一体的に設けている。
【0033】
そこで、本実施形態では枠部39aを利用して回収フィルタ39を着脱可能としている。すなわち、枠部39aの両側部が上下方向にスライド可能に嵌合する溝部38aを、フィルタケース38の対応する両側部に設けた構成としており、もって回収フィルタ39は枠部39aを介して上下方向にスライド可能とし、フィルタケース38の上面開放部位から着脱可能としている。しかるに、上記溝部38aも含む上面開放部位には、これを開閉可能とする蓋体40を回動可能に設けている。なお、フィルタケース38と蓋体40とを気密性を高めた閉鎖状態を得るべく、例えば両者間に図示しないシール部材を介して密着可能な構成とする。このように閉鎖状態の蓋体40は、筐体2の天面2bとほぼ面一となるように外部に露呈した形態にあって、つまり外部から開閉操作が可能な構成としている(図2参照)。
【0034】
なお、上記以外の図面のうち、図5はリント捕獲装置21の作用を説明するための拡大断面図で、図7はリント捕獲装置21とリント回収装置35の作用を説明するための拡大斜視図で、いずれも捕獲したリントを除去する清掃時の作用を説明するためのもので、以下の作用説明の項で適宜参照して述べる。
【0035】
次に、上記構成のリント捕獲装置21を備えたドラム式の洗濯乾燥機1の作用について述べる。
本実施形態の横軸周りのドラム7および水槽8からなる槽体9を備えた洗濯乾燥機1では、周知のように洗い、すすぎ、脱水、および乾燥の各運転行程において、図示しない制御装置が操作パネル3からの操作信号等の入力に基づき、ドラム7を夫々適正な回転速度にて駆動制御するなどして各運転が実行される。以下、そのうちの乾燥運転について詳述する。なお、乾燥運転時には特には図3,図4に示すように着脱フィルタ24は所定の収容位置に装着され、つまりリント捕獲装置21は循環ダクト11を流れるリントを捕獲可能な通常状態にセットされている。また、リント回収装置35は、図1,図6に示すように蓋体40にてフィルタケース38の上面開放部位を気密性良く閉鎖した状態にある。
【0036】
これに対し、吸引管路34の一端は上記リント回収装置35を通してリント捕獲装置21に連通した構成にあるが、図6において着脱フィルタ24は二点鎖線で示す所定位置に収容されているため、該着脱フィルタ24の側壁面が吸引管路34の連通部位のシール部材36に圧接して密閉状態にある。従って、吸引管路34は、該吸引管路34が連通するリント捕獲装置21およびリント回収装置35との関連構成において、リント捕獲装置21を有する側の外部とは遮断された状態にある。
【0037】
上記状態において乾燥運転がスタートすると、図示しない制御装置はモータ10を駆動しドラム7を低速回転制御する。同時に、図1に示すようにヒートポンプ機構15の圧縮機18や循環ファン20を通電駆動する。この結果、閉鎖したドア4により実質的に閉鎖された空間をなす槽体9を介して接続された循環ダクト11には、図中実線矢印で示す方向の空気流が生じ、従って前記したように熱交換ダクト14に配置の凝縮器17により加熱された空気は循環ファン20により温風化され、給気ダクト12側に送られる。
【0038】
この場合、上記したように吸引管路34の一端は着脱フィルタ24にて閉鎖されているので、該部位からの空気の流入はなく、従ってリント回収装置35を介在した吸引管路34は、循環ファン20が駆動されても同図および図6中に破線矢印で示す空気の流れ(吸気流)はなく実質的に停止した状態にある。
【0039】
そして、給気ダクト12に送られた温風は、図3の実線矢印で示すように槽体9内に供給される。具体的には、温風は水槽8およびドラム7の背面側から供給され、回転するドラム7内に収容された図示しない衣類などと温風との接触が良好に行われ乾燥作用が実行される。このようにして、衣類などから水分を奪うなど乾燥作用に寄与した温風は、ドラム7から排出され排気風として水槽8の前方上部から排気ダクト13側に排出される。
【0040】
上記槽体9から排出された排気風は、短い排気ダクト13(図3参照)を経て直ちにリント捕獲装置21に流入する。これにより、図4に拡大して示すように排気風中にリントが含まれておれば、速やかにフィルタ部材23たる着脱フィルタ24および固定フィルタ25の二層構成にて各種のリントを確実に捕獲収集する。そして、フィルタ部材23を通過した排気風たる多くの湿気を含んだ温風は、図1に示す下方向に垂下した排気ダクト13を経て熱交換ダクト14に達する。
【0041】
この熱交換ダクト14では、湿気を含んだ温風はヒートポンプ機構15の蒸発器16により冷却除湿され、除湿後の乾いた空気として下流側の凝縮器17に流入し、ここで再び加熱されて温風化される。このように温風の再生、および槽体9への温風の供給が繰り返し行われ、つまり外部に温風が排気されることなく循環供給されることで衣類などの被乾燥物の乾燥作用が効果的に促進される。そして、制御プログラムに基づき所定の乾燥運転を終えると全運転が終了する。
このような乾燥運転を伴う洗濯乾燥機1の停止時には、リント捕獲装置21によりリントを捕獲収集したフィルタ部材23の清掃作業を行なう。この清掃作業の開始に先立ち、以下のようなセット状態とする。
【0042】
まず、図2に示すようにリント捕獲装置21の外部に露呈している蓋体28を開放操作する。以下、図4,図5に基づき説明すると、蓋体28は軸部30を支点にして回動し、ほぼ90度回動し垂直状態にまで達すると、半円形状の軸支部29の開放部位が上向きの位置にくるため、軸部30から開放された蓋体28は、垂直状態のままスリット31からフィルタケース22内に下降可能となる。そこで、蓋体28を垂直位置に保ちつつ押し込むように下降操作する。
【0043】
すると、この蓋体28の軸支部29より先端に設けた係合片32は、その下降する対応位置に形成された係合溝部33に挿入され、その位置に係合保持される(図5参照)。すなわち、蓋体28のほぼ半分がフィルタケース22内に挿入され、垂直状態に保持されることで、該フィルタケース22内の通風路Aは遮断された状態に維持される。
【0044】
この蓋体28の開放により、固定フィルタ25の上流側空間内に収容されている着脱フィルタ24は、図5の二点鎖線で示すように上方に容易に取り出すことができる。また、蓋体28が開放されることで、これまで閉鎖されていた外気導入口26が開放され、外気用フィルタ27を介して外部とフィルタケース22の内部たる蓋体28で遮断されていた上流側の空間とが連通状態となる。
【0045】
そして、図6から明らかなように着脱フィルタ24を取り出すことにより、該フィルタ24の側壁に密着していたシール部材36が開放され、従って吸引管路34のフィルタケース22との連通部位が開口状態となり、フィルタケース22上方の外部と連通状態となる。当然、吸引管路34に介在されたリント回収装置35も外部と連通状態となるが、その蓋体40は気密に閉鎖されたままの状態にある(後述する図7参照)。
【0046】
上記セット状態のもとで、操作パネル3のリント清掃ボタン3a(図2参照)を押圧操作すると、循環ファン20が回転駆動し、この場合の回転速度は、乾燥運転時の回転速度より大きく設定されている。また、本実施形態ではリント清掃ボタン3aの押圧操作により、ドア4を自動的に開放可能としている。例えば、特に図示しないがドア4を閉鎖状態にロック保持しているドアボタン5のロック機構を、モータ或は電磁装置を駆動源とするロック解除機構を介してロック状態を解除する構成としている(ドアボタン5を押圧操作した状態に相当する)。このようにロック解除されたドア4は、常時開放方向に付勢されたバネ力により図3中に二点鎖線で示すように開放動作する。この動作により、槽体9の
内部が外部と連通した状態となる。なお、上記清掃動作時の運転モードは、上記リント清掃ボタン3aを再度押圧操作して停止させるまで続行される。ただし、予め設定された所定時間運転が実行され終了するようにすることでも実施可能である。
【0047】
斯くして、循環ファン20の高回転速度の駆動により、図1中に示す破線矢印で示す方向の強い空気流が生じる。具体的には、図5,図6,図7に示されるように、リント捕獲装置21における固定フィルタ25の上流側空間は開放状態にあって、これに連通する吸引管路34の一端は開口し外部と連通状態にある。また、蓋体28の開放により、固定フィルタ25の下流側における通風路Aを遮断するとともに、外気導入口26を開放して内外連通状態にある。
【0048】
そのうち、蓋体28による通風路Aの遮断は、下流側における排気ダクト13を経て下方の熱交換ダクト14側との空気の流れを断つもので、吸引管路34内の空気流(破線矢印で示す)が下端部で連通する熱交換ダクト14の反実線矢印方向への逆流を防ぐことができる。従って、フィルタケース22の固定フィルタ25の上流側には強い吸気流を発生することができ、開放部位22a、および固定フィルタ25の下流側の外気導入口26から外気を吸入可能な状態にある。
このため、循環ファン20による吸込み作用を受けて吸引管路34内に吸気流が生じた場合、上記リント捕獲装置21のフィルタケース22を介して外気を十分に取り込むことができ、もって吸引管路34を介して強い吸気流(空気流)を得ることができる。
【0049】
この空気流は、循環ファン20の吐出側から給気ダクト12側に吐出され、図1および図3に示すように乾燥運転時の温風の流れと同様に水槽8およびドラム7の背面側から内部に流入する。ただし、槽体9内に流入した空気流は排気ダクト13およびその下流側のリント捕獲装置21側に流れないで、槽体9の前方の衣類などの投入口(図示せず)から筐体2外に流出する。すなわち、ドア4が開放した投入口は全開でなくても開口面積が大きく、槽体9側からの空気は大きな通風抵抗がなく前方の投入口に向かってスムースに流れ速やかに外部に排出されることから、水槽8から延びる排気ダクト13内へ流れる空気は停滞する傾向にある。
【0050】
このような、循環ファン20のみの駆動に伴う空気流の中で、乾燥運転時にフィルタ部材23で捕獲したリントを除去すべく清掃するのであるが、そのうちの着脱フィルタ24は外部に取り出しているので、適宜の場所でブラシなどを利用してリントを剥がすなどして除去することができる。これに対し、固定フィルタ25は、図5および図7に示す状態のもとに清掃作業を行なう。すなわち、筐体2の天面2b側からフィルタケース22の開放部位22aを通して、例えばブラシ(図示せず)を挿入し、固定フィルタ25の上流側フィルタ面を擦るようして、これに捕獲収集したリントを剥がす作業を行なう。
【0051】
この固定フィルタ25の上流側空間には吸引管路34の一端が開口しているので、該上流側空間には吸気流が生じている。この吸気流は、固定フィルタ25に捕獲したリントを剥がす方向に作用するとともに、上記ブラシで剥がされたリントを吸引管路34に吸い込むように作用する。この場合、外気の取り込みは開放部位22a以外に開放された外気導入口26からも外気の導入が期待できる。しかも、その外気は図5に示すように、通風路Aを遮断した蓋体28の上流側で、固定フィルタ25の下流側との間に形成された空間に導入される。
【0052】
このように、上記空間に導入された外気は、下流側への流れは蓋体28で遮断されているので、通気性を有し且つ上流側に吸気流が生じている固定フィルタ25を通過する方向の空気流(破線矢印で示す)となる。このことは、固定フィルタ25にてリントを捕獲した空気流とは逆方向となることから、該フィルタ25に捕獲収集したリントを剥がす方向に作用し、少なくとも該フィルタ25の裏側である下流側にリントが抜け出る傾向を抑えるのに有効である。
【0053】
上記のように、固定フィルタ25から除去されたリントは、吸気流に乗って吸引管路34内に取り込まれ、図6,図7に示すようにリント回収装置35に回収される。従って、除去したリントが外部(室内)に離散したり、固定フィルタ25のメッシュから裏側に抜け出て循環ダクト11を構成する熱交換ダクト14内に流出するようなことはない。なお、リント回収装置35が有する回収フィルタ39は、回収したリントの増大に伴い通風抵抗が大きくなるので、例えばリント捕獲装置21の清掃作業の都度、新規の回収フィルタと交換するようにするとよい。
【0054】
上記交換作業は、回動可能な蓋体40を外部たる天面2b側から開放操作し、該回収フィルタ39(枠部39a)を上方向にスライド移動させることで容易に取り出すことができ、この逆操作で新規回収フィルタを装着することができる。この場合、回収フィルタ39は回収したリントとともに使い捨て可能な安価で簡易なフィルタ構成とすることができるが、或はリントのみ廃棄しては何回も使用可能な耐久性に富んだフィルタ構成としてもよい。
【0055】
そして、上記リントの清掃作業を終えたら、操作パネル3のリント清掃ボタン3aを再度押圧することで元位置に復帰させ、循環ファン20の駆動を停止させて終了する。なお、循環ファン20を有効活用は、実質的にリント捕獲装置21のフィルタ部材23のリントの除去作業が終了した時点で終えるので、この時点でリント清掃ボタン3aを押圧操作してもよい。
【0056】
なお、リント捕獲装置21は清掃後の着脱フィルタ24を再装着し蓋体28で閉鎖した元の状態に復帰させ(図4参照)、次回の乾燥運転に備える。また、ドア4は開放した状態にあるので、手動操作で閉鎖させることで、ドアロック機構およびドアボタン5が復帰して、ドア4を元のロック状態に保持する。
【0057】
以上説明した実施形態の洗濯乾燥機1によれば、衣類などを収容する槽体9内に、送風手段として循環ファン20および加熱手段としてヒートポンプ機構15により生成した温風を循環ダクト11を経て循環供給して衣類を乾燥可能とするとともに、前記循環ダクト11の前記槽体9からの排気側にリント捕獲装置21を備えたものにおいて、前記循環ファン20は単独運転を可能とし、前記リント捕獲装置21は、前記循環ダクト11と連通した通風路Aを有するフィルタケース22と、該フィルタケース22の通風路A中に配置されリント捕獲用のフィルタ部材23を有する構成とした。
【0058】
そして上記フィルタ部材23は、着脱フィルタ24と固定フィルタ25とから構成し、その固定フィルタ25の上流側に一端が連通し、他端が前記循環ファン20の吸込み側に連通接続した吸引管路34を設けるとともに、この吸引管路34に着脱可能なリント回収装置35を設けた構成とした。そして前記循環ファン20の単独運転により前記吸引管路34を介して前記固定フィルタ24の上流側に乾燥運転時とは逆方向の吸気流が生じるようにし、もって捕獲したリントを除去しつつ回収可能とした。
【0059】
これによれば、リントを吸気流を利用して回収するようにしたので、リントの離散を抑えて効果的にリント除去の清掃ができる。しかも、リントを捕獲する固定フィルタ25の上流側に吸気流が生じるようにしたので、清掃時にリントが固定フィルタ25の裏面側たる下流側に抜け出ることを抑制できる。また、リントの目詰まり状態などを目視しながら清掃できるので、取り残しがなく無駄なく確実に清掃できる。
【0060】
また、固定フィルタ25から除去したリントは、リント回収装置35に収集されるので、ドア4の開放部位から排出される空気流はリントが含まれていないので室内などの設置空間を汚すおそれはない。なお、本実施形態では回収フィルタ39は、蓋体40を開放した後、取り出すようにしたが、これに限らず、例えば蓋体と回収フィルタとを一体化して、これを外部から着脱可能な構成としてもよいなど、種々変更して実施可能である。更にはリントの清掃を行なうのに、洗濯乾燥機1に必要な循環ファン20の活用や、温風を循環供給する循環ダクト11の一部を利用できることから、構成の複雑化を抑えることができる。
【0061】
なお、フィルタ部材23は着脱フィルタ24と固定フィルタ25との二層構成としたが、これに限らず単一構成のフィルタ部材であってもよい。また、リント回収装置35は、リント捕獲装置21と隣接して配置することで使い勝手をよくしているが、リント回収装置35は吸引管路34の通風路中に設ければよいので、その配管構成に応じて筐体2の適宜の外壁面に臨む位置に配置することが可能である。
【0062】
また、リント捕獲装置21のフィルタケース22は、その上面開放部位22aを開閉可能に閉鎖する蓋体28を備え、この開放状態の蓋体28を利用してフィルタ部材23の下流側の通風路Aを遮断できる構成としたので、蓋体28を無駄なく他の用途にも活用できて部品点数の増加を抑えることができる。
【0063】
のみならず、蓋体28の開放により、前記フィルタケース22に設けた外気導入口26が開放され、フィルタ部材23を構成する固定フィルタ25の下流側に外気を導入可能とした。すなわち、固定フィルタ22の上流側に吸気流が生じることから、該固定フィルタ25の下流側に外気が吸引されるように導入され、更に固定フィルタ25の下流側から上流側に通過する流れとなる。
【0064】
この結果、清掃時に固定フィルタ25の上流側に捕獲されたリントは、ブラシなどにより擦り取られる際、同上流側に生じる吸気流により裏面の下流側に抜け出る傾向を抑制できる作用効果に加えて、該固定フィルタ25の下流側から上流側へ通過する外気による空気流は、リントが下流側に抜け出る傾向を一層抑制する作用効果を発揮する。なお、外気導入口26には、外気用フィルタ27で覆うように設けたので、外部からの塵埃などの異物の浸入を防止できる。なお、この外気用フィルタ27は、平坦なメッシュ状のフィルタとして一体的に形成してもよい。
【0065】
また、フィルタ部材23は、固定フィルタ25と該固定フィルタ25の上流側に位置して着脱可能に装着した着脱フィルタ24を有する構成とし、固定フィルタ25の上流側に連通した吸引管路34の一端たる連通口は、上記着脱フィルタ24の装着により閉鎖する構成とし、乾燥運転時に吸引管路34を経た吸気流が生じないようにした。これによれば、本来リントを捕獲する上で有用な着脱フィルタ24を装着する態様を利用して、吸引管路34との連通状態を開閉できることから、新たな部品点数の増加もなく有用な機能(乾燥運転と清掃作業)を選択できて便利である。
【0066】
ところで、上記したように本実施形態では、乾燥運転時には吸引管路34の一端たる連通口を閉鎖して外気を吸入しない構成とするのが機能的に良好であるとして述べたが、これに限らず、例えば吸引管路34の一端は常時開放した状態にあっても実施可能である。なぜならば、この吸引管路34の連通口が開放された状態は、上記した如くリントを除去し回収する清掃作業する場合の条件と同じであるため、リントの清掃作業を行なうには何ら問題がない。これに対し乾燥運転においては、吸引管路34が熱交換ダクト14を回避したバイパス構成にあることから、該吸引管路34を吸気流として流れる全循環風量の一部が熱交換(再生)されない空気流として流れることになる。このままでも乾燥運転は可能であるが、これに対処するには、例えばヒートポンプ機構15などの加熱手段を調整することで加熱効率の向上を図るなどにより熱交換性能を維持することも可能である。
【0067】
なお、その他、本実施形態ではリントの清掃作業をするとき、操作パネル3のリント清掃ボタン3a(図2参照)を押圧操作するのに伴い、ドアロック機構(図示せず)のロック状態をモータなどにより電動的に解除しドア4を自動的に開放可能としたが、これによらずドアボタン5を手動で押圧操作することで、ロック解除しドア4を開放させるようにしてもよい。
【0068】
(第2の実施形態)
上記実施形態に対し、図8は第2の実施形態を示す図3相当図で、上記実施形態と実質的に同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる点につき詳細に述べる。
すなわち、ドラム式洗濯乾燥機1であることは共通であるが、殊にリント捕獲装置44において相違する。具体的には上記第1の実施形態では、リントの清掃作業を行なう場合、リント捕獲装置21に設けた蓋体28を利用してフィルタケース22内の通風路Aを遮断する構成としていたのに対し、このものはフィルタケース45の下流側にシャッター機構41を設け、通風路Aを遮断可能とした点で基本的に相違する。
【0069】
そこで、まず本実施形態のリント捕獲装置44の構成について述べると、上記シャッター機構41を設けることで、第1の実施形態でいう蓋体28を不要とすることができ、これによりフィルタケース45の上面には着脱フィルタ24を着脱するための開放部位45aのみを有する簡易な形態としている。このため、筐体2の天面2bには、上記着脱フィルタ24の上面が外部に露呈した構成、つまり着脱フィルタ24を外部から直接着脱操作する構成としている。
【0070】
そして、内蔵する固定フィルタ25の下流側において、上記シャッター機構41を設けている。このシャッター機構41は、フィルタケース45内の通風路Aを遮断可能に開閉するシャッター板42と、該シャッター板42を上記開閉方向に回動するモータ駆動部43を備えた構成としている。
【0071】
上記構成において、図8に示す動作状態は、着脱フィルタ24が所定位置である固定フィルタ25の上流側空間に装着され、またシャッター板42はフィルタケース45内の通風路Aを開放した状態にある。つまり実線矢印で示す方向に温風が循環し、リント捕獲装置44はリントを捕獲可能な状態にあって通常の乾燥運転を実施可能な状態にある。従って、上記実施形態で述べたと同様につき説明は省略するが、リント捕獲機能、温風化の加熱手段、温風の循環供給等の正常な動作に基づく乾燥運転を実行できる。
【0072】
次いで、リントの清掃作業を行なう場合は、まず着脱フィルタ24を外部に取り出し、以降は上記実施形態と同様に操作パネル3のリント清掃ボタン3a(図2参照)を押圧操作することで、循環ファン20を駆動し、ドアロックを解除しドア4を自動的に開放する。ただ、本実施形態ではシャッター機構41にも通電され、モータ43が回転駆動されシャッター板42をフィルタケース45内の通風路Aを閉鎖するよう回動し、空気の流れを遮断する。
【0073】
これにより、下流側における排気ダクト13を介した下方配置の熱交換ダクト14側における空気の流通は遮断された状態となり、固定フィルタ25の上流側には吸引管路34を介して強い吸気流が生じる。もって、上記実施形態と同様に固定フィルタ25に捕獲されたリントをブラシ等で擦るようにして除去する際、剥がされたリントは吸引管路34側に吸引され、リント回収装置35に回収され、またリントが該固定フィルタ25の裏面側(下流側)に抜け出る傾向を抑えることができる。
【0074】
なお、上記した各実施形態では、衣類乾燥機として横軸周りのドラムを備えたドラム式の洗濯乾燥機に適用して述べたが、これに限らず、例えば縦軸周りに回転可能な脱水槽を兼用した洗濯槽を有し、その縦軸状に有底筒状の水槽を具備してなる槽体を備えた縦軸型の洗濯機に乾燥機能を具備したものにも適用可能であるなど、乾燥機能を有する機器に広く転用できる。
【0075】
その他、上記実施形態では温風化する空気の加熱手段としてヒートポンプ機構を採用しているが、これに限らず電気ヒータなど他の加熱手段を用いても実施可能である。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略,置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
図面中、1はドラム式の洗濯乾燥機(衣類乾燥機)、2は筐体、2bは天面、3aはリント清掃ボタン、4はドア、5はドアボタン、7はドラム、8は水槽、9は槽体、11は循環ダクト、12は給気ダクト、13は排気ダクト、14は熱交換ダクト、15はヒートポンプ機構(加熱手段)、20は循環ファン(送風手段)、21,44はリント捕獲装置、22,45はフィルタケース、23はフィルタ部材、24は着脱フィルタ、25は固定フィルタ、26は外気導入口、27は外気用フィルタ、28,40は蓋体、35はリント回収装置、39は回収フィルタ、41はシャッター機構、および42はシャッター板を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類などを収容する槽体内に、送風手段および加熱手段により生成した温風を循環ダクトを経て循環供給して衣類を乾燥可能とするとともに、前記循環ダクトの前記槽体からの排気側にリント捕獲装置を備えたものにおいて、
前記送風手段は、単独運転を可能とし、
前記リント捕獲装置は、前記循環ダクトと連通した通風路を有するフィルタケースと、該フィルタケースの通風路中に配置されリント捕獲用のフィルタ部材を有する構成とし、
前記フィルタ部材の上流側に一端が連通し、他端が前記送風手段の吸込み側に連通接続した吸引管路を設けるとともに、この吸引管路に着脱可能なリント回収装置を設けた構成にあって、
前記送風手段の単独運転により前記吸引管路を介して前記フィルタ部材の上流側に吸気流が生じるようにし、捕獲したリントを回収可能としたことを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項2】
フィルタケースは、その上面開口を開閉可能に閉鎖する蓋体を備え、この開放状態の蓋体を利用してフィルタ部材の下流側の通風路を遮断する構成としたことを特徴とする請求項1記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
蓋体の開放により、前記フィルタケースに設けた外気導入口が開口し、フィルタ部材の下流側に外気を導入可能としたことを特徴とする請求項2記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
外気導入口には、外気用フィルタを設けたことを特徴とする請求項3記載の衣類乾燥機。
【請求項5】
フィルタ部材は、フィルタケース内に固定的に設けた固定フィルタ、および固定フィルタの上流側に位置して着脱可能に装着した着脱フィルタを有する構成とし、前記固定フィルタの上流側に連通した吸引管路は、前記着脱フィルタの装着により該吸引管路の連通口を閉鎖する構成としたことを特徴とする請求項1記載の衣類乾燥機。
【請求項6】
フィルタ部材の下流側の通風路を開閉可能とするシャッター機構を設け、このシャッター機構は循環ファンの単独運転時に通風路を遮断すべく閉鎖する構成としたことを特徴とする請求項1記載の衣類乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−111262(P2013−111262A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260196(P2011−260196)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】