表皮付き型内発泡成形体
【課題】型内発泡成形体の裏面に折返して固着された表皮材の折返し部を、その外周部分のトリミング後において剥がれにくくでき、しかもトリミング作業も簡単な表皮付き型内発泡体を提供する。
【解決手段】型内発泡体2と、その表面2aに固着された表面部3と、その端縁から内方へ折返されてその一面4aが型内発体発泡体2の裏面2bに固着された折返し部4と、この先端4cから外方へ折返し部4の他面4bに重なるように且つその先端が折返し部4の基端4dから外方へ突出するように折戻された折戻し部5からなる表皮材6とを備えた表皮付き型内発泡成形体1であって、折戻し部5の外周部分8を折返し部4の基端4dより内方で剥ぎ取り可能とする。さらに、折戻し部5の周方向に延びる剥ぎ取り用薄肉部7および複数の剥ぎ取り用孔27を互いに間隔を開けて連設する。
【解決手段】型内発泡体2と、その表面2aに固着された表面部3と、その端縁から内方へ折返されてその一面4aが型内発体発泡体2の裏面2bに固着された折返し部4と、この先端4cから外方へ折返し部4の他面4bに重なるように且つその先端が折返し部4の基端4dから外方へ突出するように折戻された折戻し部5からなる表皮材6とを備えた表皮付き型内発泡成形体1であって、折戻し部5の外周部分8を折返し部4の基端4dより内方で剥ぎ取り可能とする。さらに、折戻し部5の周方向に延びる剥ぎ取り用薄肉部7および複数の剥ぎ取り用孔27を互いに間隔を開けて連設する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、型内発泡成形体の表面に固着された表皮材の外周部分を、内方へ折返して型内発泡成形体の裏面に固着した表皮付き型内発泡成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】図14及び図15に示すように、従来のこの種の技術としては、例えば、特開昭62−108039号に開示されている表皮材6の同時成形方法によって得られる表皮材付発泡成形品(表皮付き型内発泡成形体)61等が知られている。
【0003】前記方法では、雌雄一対の成形型12のうち、雌型19のキャビティ面12aに沿って表皮材6の真空成形を行った後、雄型20と表皮材6との間に形成されるキャビティ内(成形型内)14で発泡成形を行い、成形された発泡成形品(型内発泡成形体)2と前記表皮材6とを一体接合する表皮材6の同時成形方法において、前記表皮材6の真空成形時に、この表皮材6の外周部分を、前記キャビティ面12aの開口端縁12bから内方へ突出させた折返し型(折返し用型)16に沿って、前記開口端縁12bから内方へ折返し成形しておき、前記発泡成形時に、前記発泡成形品2の裏面2bに表皮材6の折返し部4を一体接合している。
【0004】また、この方法では、前記真空成形時に表皮材6の外周部分を、前記折返し部4の先端4cから折返し型16を巻き込むように外方へ折戻した状態にあらかじめ成形した後、この状態で発泡成形を行っている。
【0005】上記のようにして得られる表皮材付発泡成形品61において、前記表皮材6の不要な外周部分は、脱型した後、前記折返し部4の先端4cでトリミングされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図14に示すように、前記折返し部4の先端4c付近では、前記表皮材6の外周部分が発泡成形品2の裏面2bに対して立設された状態となっているので、この折返し部4の先端4cで前記外周部分をトリミングする際には、トリミング作業が難しいために所定長さの突出耳部が残ることがある。このような場合、トリミング済みの表皮材付発泡成形品(表皮付き型内発泡成形体)の運搬や取付け作業等の際に、前記突出耳部が他の部材等に引っ掛かることが多いので、前記折返し部4がその先端4cから剥がれ易いという問題点がある。
【0007】この発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、型内発泡成形体の裏面に折返して固着された表皮材の折返し部を、その外周部分のトリミング後において剥がれにくくでき、しかもトリミング作業も簡単な表皮付き型内発泡成形体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための手段とするところは、第1に、型内発泡成形体と、該型内発泡成形体の表面に固着された表面部と、該表面部の端縁から内方へ折返されてその一面が前記型内発泡成形体の裏面に固着された折返し部と、該折返し部の先端から外方へこの折返し部の他面に重なるように且つその先端が折返し部の基端から外方へ突出するように折戻された折戻し部とからなる表皮材とを備えた表皮付き型内発泡成形体であって、前記折戻し部の外周部分を、前記折返し部の基端より内方で剥ぎ取り可能としたことにある。
【0009】第2に、前記折戻し部における前記折返し部の基端より内方の所定位置に、この折戻し部の周方向に延びる剥ぎ取り用薄肉部を設けたことにある。
【0010】第3に、前記折戻し部における前記折返し部の基端より内方の所定位置に、この折戻し部の周方向に沿って複数の剥ぎ取り用孔を互いに間隔を開けて連設したことにある。
【0011】第4に、前記剥ぎ取り用薄肉部又は剥ぎ取り用孔より内方の折戻し部を、前記折返し部の他面に固着したことにある。
【0012】第5に、前記表皮材及び型内発泡成形体がポリオレフィン系樹脂からなることにある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、既述の従来技術と同じ構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0014】図1乃至図3に示すように、第1実施形態に係る表皮付き型内発泡成形体1は、例えば横断面形状が略コ字型に形成された型内発泡成形体2と、表面部3と折返し部4と折戻し部5とからなる表皮材6とを備え、前記折戻し部5における前記折返し部4の基端4dより内方の所定位置に例えば剥ぎ取り用薄肉部7を設けることによって、この折戻し部5の外周部分8を剥ぎ取り可能としたものである。
【0015】前記型内発泡成形体2は、合成樹脂からなる発泡ビーズを成形型内で発泡成形(型内発泡)したものである。
【0016】前記表皮材6としては、例えば、塩化ビニル系樹脂や、あるいはポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂等からなる熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。なお、この表皮材6は、当該表皮付き型内発泡成形体1の表皮として使用されるので、その用途に応じて着色剤等により所望の色にあらかじめ着色しておけばよい。
【0017】この表皮材6のうちの前記表面部3は、型内発泡成形体2の表面2aに固着されている。前記折返し部4は、この表面部3の端縁から内方へ折返されてその一面4aが前記型内発泡成形体2の裏面2bに固着されている。これら表面部3と折返し部4の前記型内発泡成形体2への固着方法としては、例えば熱による融着、接着剤による接着、又はこれらの併用等が挙げられる。
【0018】前記折戻し部5は、折返し部4の先端4cから外方へこの折返し部4の他面4bに重なるように、且つ、その先端(図示せず)が前記折返し部4の基端4dから外方へ突出するように折戻されている。
【0019】そして、この折戻し部5においては、前記折返し部4の基端4dより内方の所定位置に、周方向に延びる剥ぎ取り用薄肉部7が設けられているので、その外周部分8は、外方へ所定の力で引っ張ることにより、前記剥ぎ取り用薄肉部7で切断されて剥ぎ取り可能となっている。
【0020】このように、前記折戻し部5の外周部分8を上記の位置で剥ぎ取り可能としておけば、表皮材6の不要な部分のトリミングを簡単に行えると共に、図4に示すように、トリミング後の折戻し部5の先端5cが前記折返し部4の基端4dより外方へは突出しないので、外観も良好であるという利点がある。また、トリミング済の表皮付き型内発泡成形体1aにおいては、前記折戻し部5は折返し部4の他面4bに重なった状態となっているので、この表皮付き型内発泡成形体1aの運搬や取付け作業等の際にも、前記折返し部4の先端4cや折戻し部5が他の部材等に引っ掛かりにくくなっており、そのため前記折返し部4が剥がれにくいという利点がある。更に、前記折戻し部5と折返し部4が重なった部分においては、クッション性や補強効果がより高くなっているという利点もある。
【0021】また、前記剥ぎ取り用薄肉部7を設けることにより剥ぎ取り可能としておけば、前記外周部分8の剥ぎ取りをより小さい力で簡単に行えるという利点がある。この剥ぎ取り用薄肉部7は、例えば図2に示すように、前記折返し部4の他面4bに重ねられる前記折戻し部5の下面5eに、例えば横断面が三角形状で周方向に延びる溝9を形成すること等により設けられている。
【0022】前記折戻し部5は、折返し部4の他面4bに対し、融着や接着等によって固着しておいてもよいし、あるいは固着しておかなくてもよいが、前記剥ぎ取り用薄肉部7より内方の折戻し部5のみを固着しておいた場合には、その外周部分8の剥ぎ取りの際の引張り応力が前記剥ぎ取り用薄肉部7に集中的に作用するので、トリミングを効率良く行えるという利点がある。また、トリミング後においても、前記折戻し部5がめくれ上がらないという利点がある。
【0023】なお、前記型内発泡成形体2に用いられる前記発泡ビーズを構成する合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂等が挙げられる。
【0024】前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム3元共重合体、プロピレン−塩化ビニル共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ(ブテン−1)等のポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0025】このポリオレフィン系樹脂は、無架橋の状態のものが好ましいが、パーオキサイドや放射線等により架橋させたものであってもよい。
【0026】また、このポリオレフィン系樹脂に、他の熱可塑性樹脂を混合したものも使用できる。このような熱可塑性樹脂としては、前記ポリプロピレン系樹脂と混合する場合には、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ビニル芳香族系ポリマー、ポリブテン、アイオノマー等が挙げられる。そして、前記ポリエチレン系樹脂と混合する場合には、例えばビニル芳香族系ポリマー、ポリブテン、アイオノマー等が挙げられる。なお、これらの場合の熱可塑性樹脂の配合量としては、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して20重量部以下、より好ましくは、5乃至10重量部とするのが望ましい。
【0027】前記発泡ビーズは、例えば、上記のような合成樹脂をあらかじめ粒子状に成形加工しておき、耐圧容器中でこの合成樹脂粒子に揮発性発泡剤を含有させ、攪拌しながら水中に分散させ、加圧下で所定の発泡温度まで加熱した後、この水分散物を低圧域に放出する方法等によって、予備発泡させた状態で製造しておけばよい。
【0028】この発泡ビーズを型内発泡させる際の発泡倍率としては、3倍より小さい場合には、得られる型内発泡成形体の緩衝性等が低下する傾向があり、60倍より大きい場合には、前記型内発泡成形体の収縮が大きくなると共に、柔らかくなり過ぎて強度等が低下する傾向があるので、3乃至60倍、好ましくは5乃至50倍、より好ましくは8乃至45倍、特に好ましくは10乃至35倍が望ましい。このような発泡ビーズ7としては、例えば、エペランPP(商品名,鐘淵化学工業社製,発泡倍率15倍)等を好適に使用できる。
【0029】なお、前記発泡ビーズは、あらかじめ内部に加圧ガスを浸透させて内圧を付与した状態で前記成形型内へ充填してもよいし、また、加圧ガスを用いて圧縮した状態で充填してもよいし、あるいは、内圧の付与や圧縮を行うことなく、そのままの状態で充填してもよい。
【0030】ここで、この型内発泡成形体2と前記表皮材6がいずれもポリオレフィン系樹脂からなる場合には、これら型内発泡成形体2と表皮材6の固着を融着により行う際におけるその融着がより強固となると共に、当該表皮付き型内発泡成形体1はいわゆるオールオレフィンであるためにリサイクルも容易であるという利点がある。
【0031】上記のように構成される表皮付き型内発泡成形体1の製造方法としては、例えば、いわゆる後貼り成形や一体成形等が挙げられる。
【0032】前記後貼り成形により製造する場合には、まず、発泡ビーズを型内発泡させて所定形状の前記型内発泡成形体2を形成した後、前記剥ぎ取り用薄肉部7をあらかじめ所定位置に設けた表皮材6の前記表面部3と折返し部4を、この型内発泡成形体2の表面2a及び裏面2bに熱プレス等による融着や接着で順次又は同時に固着する。前記折戻し部5は、折返し部4の型内発泡成形体2の裏面2bへの固着と同時又はその後に、熱プレス等により折返し部4の先端4cから外方へこの折返し部4の他面4bにその一部が重なるように折戻し成形すればよい。
【0033】前記一体成形により製造する場合については、以下、その一例を図面に基づいて説明する。図5乃至図10に示すように、この製造方法は、成形型12のキャビティ面12aに沿って表皮材6を例えば真空成形(熱成形)した後、この成形型内14で発泡成形することによって、形成される型内発泡成形体2の表面2a等に前記表皮材6を融着一体化(固着)するものである。
【0034】そして、前記真空成形時に、前記キャビティ面12aの開口端縁12bから内方へ突出するように配置される折返し用型16に沿って、前記表皮材6の外周部分を内方へ折返して折返し部4を形成した後、前記折返し用型16を取外し、前記発泡成形時に、前記折返し部4の一面4aを型内発泡成形体2の裏面2bに融着一体化(固着)すると共に、この折返し部4の先端4cから表皮材6の外周部分が外方へ折戻された状態の折戻し部5を前記折返し部4の他面4bに重なるように押圧する一体成形において、例えばあらかじめ前記折返し用型16の上面16fに薄肉形成用突出部17を形成しておくことによって、前記真空成形時に、前記折戻し部5の所定位置に剥ぎ取り用薄肉部7を設けるものである。
【0035】即ち、図5に示すように、まず、前記成形型12の例えば下型を構成する雌型19に、キャビティ面12aの開口端縁12bから内方へ所定長さ突出するように前記折返し用型16を配置する。
【0036】ここで、前記成形型12は、例えば上下方向に型締め及び型開き可能な前記雌型19と雄型20とで構成されていると共に、雌型19が下型とされ、且つ、雄型20が上型とされている。
【0037】前記雌型19は、例えば、横断面が凹状で且つ内部にチャンバー19aが形成され、そのキャビティ面12a側には、前記チャンバー19aと連通する複数の減圧孔19bが形成されている。そして、前記チャンバー19aには、蒸気弁A1、減圧弁B1、ドレイン弁C1がそれぞれ接続されている。
【0038】前記雄型20は、例えば、横断面が凸状で且つ内部にチャンバー20aが形成され、例えばその突出部分には、前記チャンバー20aと連通する複数の蒸気孔20bが形成されている。そして、前記チャンバー20aには、蒸気弁A2、減圧弁B2、ドレイン弁C2がそれぞれ接続されており、前記成形型内14へ発泡ビーズ21を充填するためのフィーダー22が設けられている。
【0039】前記折返し用型16は、例えば図5及び図6R>6に示すように、内方に平面視が矩形状の開口部16aを有する矩形板状に形成され、外方へ取外しできるように所定箇所で複数個に分割可能となっている(図示せず)。この折返し用型16を前記雌型19上に載置又は磁着等により配置した際には、前記キャビティ面12aの開口端縁12bから内方へ所定長さ突出するようになっている。なお、この折返し用型16を複数個に分割すると共に、それぞれをシリンダ機構等により内外へスライド自在に配置及び取外し可能としておいてもよい。
【0040】また、この折返し用型16の上面16fの前記開口部16a近傍には、例えば横断面が三角形状で、且つ、周方向に延びる前記薄肉形成用突出部17が形成されている。
【0041】次いで、図7に示すように、前記表皮材6をあらかじめ加熱軟化させた状態で折返し用型16上に配置し、前記雌型19のチャンバー19aに接続した減圧弁B1を開く等して、前記キャビティ面12aに沿って表皮材6を例えば真空成形することによって、前記折返し用型16に沿ってこの表皮材6の外周部分を内方へ折返して折返し部4を形成すると共に、この折返し部4の先端4cから折返し用型16を巻き込むように外方へ折戻して折戻し部5を形成する。
【0042】この際、図7及び図8に示すように、型締めする等して、前記折戻し部5を折返し用型16の上面16fに押し付けるようにすれば、前記薄肉形成用突出部17により押圧されてこの折戻し部5に剥ぎ取り用薄肉部7が形成される。なお、この状態においては、前記雌型19、折返し用型16、及び雄型20を、蒸気加熱又はヒータ(図示せず)等によりあらかじめ所定温度に加熱しておけば、表皮材6の熱成形や前記剥ぎ取り用薄肉部7の形成をより効率良く行えるという利点がある。
【0043】ここで、前記折返し用型16の先端6cの横断面形状をこの実施形態のように矩形状としておけば、前記折戻し部5は、前記折返し部4の先端4cから上方に折曲される垂直片5gと、該垂直片5gの上端から外方へ折曲される水平片5hとから構成される。なお、前記折返し用型16の先端16cの横断面形状は、矩形状の他、三角形状、台形状、円状、又は楕円状等とすることもできる。
【0044】また、前記キャビティ面12aに沿って表皮材6を熱成形する方法としては、この実施形態のような真空成形に限定されるものではなく、他に例えば圧空成形等を採用することもできる。また、このような圧空成形等を採用した場合には、前記表皮材6をキャビティ面12aに沿って熱成形する際に、前記折戻し部5を形成しないで折返し部4だけを形成することもできる。
【0045】次に、図9に示すように、前記折返し用型16を例えば外方へ引き抜く等して取外した後、型締めして前記フィーダー22から成形型内14へ発泡ビーズ21を充填する。あるいは、成形型内14へ発泡ビーズ21を充填してから、前記折返し用型16を取外してもよい。
【0046】前記発泡ビーズ21を充填する際には、前記成形型内14の空気を逃がし易くしたり、前記表皮材6の折返し部4が下方へ折り込まれないようにしたりするために、隙間を少し開けた状態(クラッキング状態)で型締めするのが望ましい。また、上記のように、前記表皮材6をキャビティ面12aに沿って熱成形する際に、前記折戻し部5を形成しないで折返し部4だけを形成した場合には、折戻し部5となる表皮材6の外周部分が、折返し部4の先端4cから外方へ折戻されるようにして型締めすればよい。
【0047】ここで、前記発泡ビーズ21の型内発泡により形成される型内発泡成形体2と前記表皮材6との接着性を向上させるために、必要に応じて前記発泡ビーズ21と接触するこの表皮材6の裏面6b及び前記折返し部4の下方に面する一面4aに、あらかじめ接着剤を塗布しておいてもよい。この接着剤としては、例えば、合成樹脂の有機溶媒溶液、樹脂エマルジョン、樹脂パウダー等が挙げられる。また、これらに使用される合成樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体、これらの混合物等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0048】次いで、図10に示すように、完全に型締めした後、前記雄型20のチャンバー20aに接続した蒸気弁A2を開いて水蒸気Sを前記蒸気孔20bから成形型内14へ供給し、前記発泡ビーズ21を加熱発泡させる。
【0049】なお、前記発泡ビーズ21を加熱発泡させる際には、融着不良が発生しないように、必要に応じて、互いに融着する温度より低い温度での水蒸気Sによる予備加熱や、その状態で所定時間保持する蒸らし、更にはこの蒸らし後の真空引き等によるドレインの除去等をあらかじめ行っておいてもよい。
【0050】この場合、前記折戻し部5の垂直片5gは、型締めするだけで前記折返し部4の先端4cから外方へ折曲されてこの折返し部4の他面4bに重なるように押圧される。また、前記水平片5hは、折返し部4の他面4b及び雌型19上に重なるように押圧される。そして、この状態で発泡ビーズ21を加熱発泡させるので、形成される型内発泡成形体2の表面2aに表皮材6が融着一体化されると共に、型内発泡成形体2の裏面2bに前記折返し部4の一面4aが融着一体化される。加えて、前記折戻し部5が上記のように押圧されて、前記折返し部4の他面4bにその一部が重なるように折戻し成形される。
【0051】次いで、必要に応じて冷却した後、前記成形型12を型開きして脱型すれば、図1乃至図3に示すような既述の表皮付き型内発泡成形体1が得られる。なお、前記折戻し部5は、表皮材6の材質や温度条件等によっては前記折返し部4の他面4bに融着一体化してもよいが、この場合において、前記剥ぎ取り用薄肉部7より外方の外周部分8を剥ぎ取り可能とするためには、例えばこの外周部分8と前記雄型20との間に空間を設ける等して、外周部分8が前記折返し部4の他面4bに融着一体化されないようにしておけばよい。
【0052】なお、この実施形態においては、図2に示すように、前記剥ぎ取り用薄肉部7を、前記溝9を折戻し部5の下面5eに形成することにより設けているが、これに限定されるものではなく、種々の位置に、種々の横断面形状の薄肉部を設けることができる。例えば、前記溝9を形成する場合には、図11及び図12に示すように、この溝9を前記折戻し部5の上面5iに形成することにより剥ぎ取り用薄肉部7を設けてもよいし、あるいは折戻し部5の上面5i及び下面5eの両方に形成することにより設けてもよい。この場合、上記の一体成形を用いる時には、前記薄肉部形成用突出部17を、前記雄型20の表面20fに形成したり、あるいは雄型20の表面20f及び折返し用型16の表面16fの両方に形成しておけばよい。
【0053】図13に示すように、第2実施形態に係る表皮付き型内発泡成形体11は、上記第1実施形態における剥ぎ取り用薄肉部7に代えて、前記折戻し部5における前記折返し部4の基端4dより内方の所定位置に、この折戻し部5の周方向に沿って複数の剥ぎ取り用孔27を互いに間隔を開けて連設したものである。
【0054】このように、前記剥ぎ取り用孔27が連設されているので、第1実施形態と同様、前記折戻し部5の外周部分8は、外方へ所定の力で引っ張ることにより、これら剥ぎ取り用孔27間の連結部28で切断されて剥ぎ取り可能となっていると共に、その剥ぎ取りもより小さい力で簡単に行えるという利点がある。また、この実施形態においても、前記剥ぎ取り用孔27より内方の折戻し部5を折返し部4の他面4bに固着しておいた場合には、その外周部分8の剥ぎ取りの際の引張り応力が前記連結部28に集中的に作用するので、トリミングを効率良く行えるという利点がある。更に、トリミング後においては、前記折戻し部5がめくれ上がらないという利点もある。
【0055】なお、この剥ぎ取り用孔27は、この実施形態では前記折戻し部5の周方向に延びる一定長さの線状に形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば不規則な長さの線状や、あるいは点状(ミシン目)等の種々の形状の孔として連設できる。また、それらの互いの間隔としては、一定間隔でもよいし不規則な間隔でもよい。
【0056】上記のように構成される表皮付き型内発泡成形体11は、既述と同様の後貼り成形や一体成形等により製造できる。
【0057】前記後貼り成形により製造する場合には、前記表皮材6の所定位置に、あらかじめ公知の従来技術を利用して前記剥ぎ取り用孔27を互いに間隔を開けて連設しておけばよい。
【0058】前記一体成形により製造する場合については、図14及び図15に示すように、既述の一体成形において、前記折返し用型16の上面16fに、前記薄肉形成用突出部17に代えて、例えば複数の孔形成用突出部37を互いに間隔を開けて形成しておけば、前記真空成形等の熱成形時に、前記折戻し部5の所定位置に複数の剥ぎ取り用孔27を互いに間隔を開けて連設することができる。
【0059】即ち、前記孔形成用突出部37を、例えば横断面が前記薄肉形成用突出部17より上方に高く突出した三角形状で、且つ、周方向に間隔を開けて連設しておけば、前記表皮材6の真空成形等の熱成形時における型締め等により、前記折戻し部5が折返し用型16の上面16fに押し付けられる。そのため、この孔形成用突出部37により押圧されて前記折戻し部5に横断面が三角形状の溝39が形成されると共に、この溝39の上端には前記剥ぎ取り用孔27が形成される。
【0060】この場合、第1実施形態と同様、前記孔形成用突出部37を雄型20の表面20fに設けておいてもよいし、あるいは雄型20の表面20f及び折返し用型16の表面16fの両方に設けておいてもよい。
【0061】以上、上記第1及び第2実施形態で挙げた一体成形では、前記真空成形等の熱成形時に、前記折戻し部5の所定位置に剥ぎ取り用薄肉部7又は剥ぎ取り用孔27を設けるようにしているが、これに限定されるものではなく、前記表皮材6を配置する前に、あらかじめその所定位置に前記剥ぎ取り用薄肉部7又は剥ぎ取り用孔27を設けておいてもよい。また、あらかじめ別工程で、前記剥ぎ取り用薄肉部7又は剥ぎ取り用孔27を所定位置に設けると共に、前記表面部3、折返し部4、及び折戻し部5を上記のような形状に形成しておいた表皮材6を、前記キャビティ面12aに配置した後、発泡成形を行うことにより一体成形してもよい。
【0062】更に、第1及び第2実施形態においては、前記折戻し部5における前記折返し部4の基端4dより内方の所定位置に、前記剥ぎ取り用薄肉部7又は剥ぎ取り用孔27のいずれか一方を設ける場合について説明したが、これらを両方共、同じ位置に設けておいてもよい。即ち、前記剥ぎ取り用薄肉部7に沿って、周方向に互いに間隔を開けて複数の所定形状の剥ぎ取り用孔27が連設されていてもよい。
【0063】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、上記のように構成された表皮付き型内発泡成形体の前記折戻し部の外周部分を、前記折返し部の基端より内方で剥ぎ取り可能としているので、表皮材の不要な部分のトリミングを簡単に行えると共に、トリミング後の折戻し部の先端が前記折返し部の基端より外方へは突出しないので、外観も良好であるという利点がある。また、トリミング済の表皮付き型内発泡成形体においては、前記折戻し部は折返し部の他面に重なった状態となっているので、この表皮付き型内発泡成形体の運搬や取付け作業等の際にも、前記折返し部の先端や折戻し部が他の部材等に引っ掛かりにくくなっており、そのため前記折返し部が剥がれにくいという利点がある。更に、前記折戻し部と折返し部が重なった部分においては、クッション性や補強効果がより高くなっているという利点もある。
【0064】請求項2の発明によれば、前記折戻し部における前記折返し部の基端より内方の所定位置に、この折戻し部の周方向に延びる剥ぎ取り用薄肉部を設けているので、前記折戻し部の外周部分の剥ぎ取りをより小さい力で簡単に行えるという利点がある。
【0065】請求項3の発明によれば、前記折戻し部における前記折返し部の基端より内方の所定位置に、この折戻し部の周方向に沿って複数の剥ぎ取り用孔を互いに間隔を開けて連設しているので、請求項2の効果と同様、前記折戻し部の外周部分の剥ぎ取りをより小さい力で簡単に行えるという利点がある。
【0066】請求項4の発明によれば、前記剥ぎ取り用薄肉部又は剥ぎ取り用孔より内方の折戻し部を、前記折返し部の他面に固着しているので、その外周部分の剥ぎ取りの際の引張り応力が、前記剥ぎ取り用薄肉部又は前記剥ぎ取り用孔間の連結部に集中的に作用するので、トリミングを効率良く行えるという利点がある。また、トリミング後においても、前記折戻し部がめくれ上がらないという利点がある。
【0067】請求項5の発明によれば、前記表皮材及び型内発泡成形体がポリオレフィン系樹脂からなるので、これら型内発泡成形体と表皮材の固着を融着により行う際におけるその融着がより強固となると共に、当該表皮付き型内発泡成形体はいわゆるオールオレフィンであるためにリサイクルも容易であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る表皮付き型内発泡成形体の断面図。
【図2】図1の剥ぎ取り用薄肉部付近を示す要部拡大断面図。
【図3】図1の表皮付き型内発泡成形体の一部省略平面図。
【図4】折戻し部の外周部分を剥ぎ取った後のトリミング済の表皮付き型内発泡成形体を示す断面図。
【図5】図1の表皮付き型内発泡成形体を一体成形により製造する場合において、雌型上に折返し用型を配置した状態を示す断面図。
【図6】図5の折返し用型の配置状態を示す平面図。
【図7】図5の表皮材を真空成形する様子を示す断面図。
【図8】剥ぎ取り用薄肉部を設ける様子を示す要部拡大断面図。
【図9】成形型内に発泡ビーズを充填する様子を示す断面図。
【図10】発泡成形する様子を示す断面図。
【図11】剥ぎ取り用薄肉部の他の例を示す要部拡大断面図。
【図12】剥ぎ取り用薄肉部の他の例を示す要部拡大断面図。
【図13】第2実施形態に係る表皮付き型内発泡成形体の一部省略平面図。
【図14】図13の表皮付き型内発泡成形体を一体成形により製造する場合における折返し用型の配置状態を示す平面図。
【図15】剥ぎ取り用孔を形成する様子を示す要部拡大断面図。
【図16】従来例の一部省略断面図。
【図17】図16の表皮材付発泡成形品(表皮付き型内発泡成形体)を製造する様子を示す一部省略断面図。
【符号の説明】
1,11 表皮付き型内発泡成形体
2 型内発泡成形体
2a 表面
2b 裏面
3 表面部
4 折返し部
4a 一面
4b 他面
4c 先端
4d 基端
5 折戻し部
6 表皮材
7 剥ぎ取り用薄肉部
8 外周部分
27 剥ぎ取り用孔
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、型内発泡成形体の表面に固着された表皮材の外周部分を、内方へ折返して型内発泡成形体の裏面に固着した表皮付き型内発泡成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】図14及び図15に示すように、従来のこの種の技術としては、例えば、特開昭62−108039号に開示されている表皮材6の同時成形方法によって得られる表皮材付発泡成形品(表皮付き型内発泡成形体)61等が知られている。
【0003】前記方法では、雌雄一対の成形型12のうち、雌型19のキャビティ面12aに沿って表皮材6の真空成形を行った後、雄型20と表皮材6との間に形成されるキャビティ内(成形型内)14で発泡成形を行い、成形された発泡成形品(型内発泡成形体)2と前記表皮材6とを一体接合する表皮材6の同時成形方法において、前記表皮材6の真空成形時に、この表皮材6の外周部分を、前記キャビティ面12aの開口端縁12bから内方へ突出させた折返し型(折返し用型)16に沿って、前記開口端縁12bから内方へ折返し成形しておき、前記発泡成形時に、前記発泡成形品2の裏面2bに表皮材6の折返し部4を一体接合している。
【0004】また、この方法では、前記真空成形時に表皮材6の外周部分を、前記折返し部4の先端4cから折返し型16を巻き込むように外方へ折戻した状態にあらかじめ成形した後、この状態で発泡成形を行っている。
【0005】上記のようにして得られる表皮材付発泡成形品61において、前記表皮材6の不要な外周部分は、脱型した後、前記折返し部4の先端4cでトリミングされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図14に示すように、前記折返し部4の先端4c付近では、前記表皮材6の外周部分が発泡成形品2の裏面2bに対して立設された状態となっているので、この折返し部4の先端4cで前記外周部分をトリミングする際には、トリミング作業が難しいために所定長さの突出耳部が残ることがある。このような場合、トリミング済みの表皮材付発泡成形品(表皮付き型内発泡成形体)の運搬や取付け作業等の際に、前記突出耳部が他の部材等に引っ掛かることが多いので、前記折返し部4がその先端4cから剥がれ易いという問題点がある。
【0007】この発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、型内発泡成形体の裏面に折返して固着された表皮材の折返し部を、その外周部分のトリミング後において剥がれにくくでき、しかもトリミング作業も簡単な表皮付き型内発泡成形体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための手段とするところは、第1に、型内発泡成形体と、該型内発泡成形体の表面に固着された表面部と、該表面部の端縁から内方へ折返されてその一面が前記型内発泡成形体の裏面に固着された折返し部と、該折返し部の先端から外方へこの折返し部の他面に重なるように且つその先端が折返し部の基端から外方へ突出するように折戻された折戻し部とからなる表皮材とを備えた表皮付き型内発泡成形体であって、前記折戻し部の外周部分を、前記折返し部の基端より内方で剥ぎ取り可能としたことにある。
【0009】第2に、前記折戻し部における前記折返し部の基端より内方の所定位置に、この折戻し部の周方向に延びる剥ぎ取り用薄肉部を設けたことにある。
【0010】第3に、前記折戻し部における前記折返し部の基端より内方の所定位置に、この折戻し部の周方向に沿って複数の剥ぎ取り用孔を互いに間隔を開けて連設したことにある。
【0011】第4に、前記剥ぎ取り用薄肉部又は剥ぎ取り用孔より内方の折戻し部を、前記折返し部の他面に固着したことにある。
【0012】第5に、前記表皮材及び型内発泡成形体がポリオレフィン系樹脂からなることにある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、既述の従来技術と同じ構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0014】図1乃至図3に示すように、第1実施形態に係る表皮付き型内発泡成形体1は、例えば横断面形状が略コ字型に形成された型内発泡成形体2と、表面部3と折返し部4と折戻し部5とからなる表皮材6とを備え、前記折戻し部5における前記折返し部4の基端4dより内方の所定位置に例えば剥ぎ取り用薄肉部7を設けることによって、この折戻し部5の外周部分8を剥ぎ取り可能としたものである。
【0015】前記型内発泡成形体2は、合成樹脂からなる発泡ビーズを成形型内で発泡成形(型内発泡)したものである。
【0016】前記表皮材6としては、例えば、塩化ビニル系樹脂や、あるいはポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂等からなる熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。なお、この表皮材6は、当該表皮付き型内発泡成形体1の表皮として使用されるので、その用途に応じて着色剤等により所望の色にあらかじめ着色しておけばよい。
【0017】この表皮材6のうちの前記表面部3は、型内発泡成形体2の表面2aに固着されている。前記折返し部4は、この表面部3の端縁から内方へ折返されてその一面4aが前記型内発泡成形体2の裏面2bに固着されている。これら表面部3と折返し部4の前記型内発泡成形体2への固着方法としては、例えば熱による融着、接着剤による接着、又はこれらの併用等が挙げられる。
【0018】前記折戻し部5は、折返し部4の先端4cから外方へこの折返し部4の他面4bに重なるように、且つ、その先端(図示せず)が前記折返し部4の基端4dから外方へ突出するように折戻されている。
【0019】そして、この折戻し部5においては、前記折返し部4の基端4dより内方の所定位置に、周方向に延びる剥ぎ取り用薄肉部7が設けられているので、その外周部分8は、外方へ所定の力で引っ張ることにより、前記剥ぎ取り用薄肉部7で切断されて剥ぎ取り可能となっている。
【0020】このように、前記折戻し部5の外周部分8を上記の位置で剥ぎ取り可能としておけば、表皮材6の不要な部分のトリミングを簡単に行えると共に、図4に示すように、トリミング後の折戻し部5の先端5cが前記折返し部4の基端4dより外方へは突出しないので、外観も良好であるという利点がある。また、トリミング済の表皮付き型内発泡成形体1aにおいては、前記折戻し部5は折返し部4の他面4bに重なった状態となっているので、この表皮付き型内発泡成形体1aの運搬や取付け作業等の際にも、前記折返し部4の先端4cや折戻し部5が他の部材等に引っ掛かりにくくなっており、そのため前記折返し部4が剥がれにくいという利点がある。更に、前記折戻し部5と折返し部4が重なった部分においては、クッション性や補強効果がより高くなっているという利点もある。
【0021】また、前記剥ぎ取り用薄肉部7を設けることにより剥ぎ取り可能としておけば、前記外周部分8の剥ぎ取りをより小さい力で簡単に行えるという利点がある。この剥ぎ取り用薄肉部7は、例えば図2に示すように、前記折返し部4の他面4bに重ねられる前記折戻し部5の下面5eに、例えば横断面が三角形状で周方向に延びる溝9を形成すること等により設けられている。
【0022】前記折戻し部5は、折返し部4の他面4bに対し、融着や接着等によって固着しておいてもよいし、あるいは固着しておかなくてもよいが、前記剥ぎ取り用薄肉部7より内方の折戻し部5のみを固着しておいた場合には、その外周部分8の剥ぎ取りの際の引張り応力が前記剥ぎ取り用薄肉部7に集中的に作用するので、トリミングを効率良く行えるという利点がある。また、トリミング後においても、前記折戻し部5がめくれ上がらないという利点がある。
【0023】なお、前記型内発泡成形体2に用いられる前記発泡ビーズを構成する合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂等が挙げられる。
【0024】前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレンホモポリマー、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム3元共重合体、プロピレン−塩化ビニル共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ(ブテン−1)等のポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0025】このポリオレフィン系樹脂は、無架橋の状態のものが好ましいが、パーオキサイドや放射線等により架橋させたものであってもよい。
【0026】また、このポリオレフィン系樹脂に、他の熱可塑性樹脂を混合したものも使用できる。このような熱可塑性樹脂としては、前記ポリプロピレン系樹脂と混合する場合には、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ビニル芳香族系ポリマー、ポリブテン、アイオノマー等が挙げられる。そして、前記ポリエチレン系樹脂と混合する場合には、例えばビニル芳香族系ポリマー、ポリブテン、アイオノマー等が挙げられる。なお、これらの場合の熱可塑性樹脂の配合量としては、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して20重量部以下、より好ましくは、5乃至10重量部とするのが望ましい。
【0027】前記発泡ビーズは、例えば、上記のような合成樹脂をあらかじめ粒子状に成形加工しておき、耐圧容器中でこの合成樹脂粒子に揮発性発泡剤を含有させ、攪拌しながら水中に分散させ、加圧下で所定の発泡温度まで加熱した後、この水分散物を低圧域に放出する方法等によって、予備発泡させた状態で製造しておけばよい。
【0028】この発泡ビーズを型内発泡させる際の発泡倍率としては、3倍より小さい場合には、得られる型内発泡成形体の緩衝性等が低下する傾向があり、60倍より大きい場合には、前記型内発泡成形体の収縮が大きくなると共に、柔らかくなり過ぎて強度等が低下する傾向があるので、3乃至60倍、好ましくは5乃至50倍、より好ましくは8乃至45倍、特に好ましくは10乃至35倍が望ましい。このような発泡ビーズ7としては、例えば、エペランPP(商品名,鐘淵化学工業社製,発泡倍率15倍)等を好適に使用できる。
【0029】なお、前記発泡ビーズは、あらかじめ内部に加圧ガスを浸透させて内圧を付与した状態で前記成形型内へ充填してもよいし、また、加圧ガスを用いて圧縮した状態で充填してもよいし、あるいは、内圧の付与や圧縮を行うことなく、そのままの状態で充填してもよい。
【0030】ここで、この型内発泡成形体2と前記表皮材6がいずれもポリオレフィン系樹脂からなる場合には、これら型内発泡成形体2と表皮材6の固着を融着により行う際におけるその融着がより強固となると共に、当該表皮付き型内発泡成形体1はいわゆるオールオレフィンであるためにリサイクルも容易であるという利点がある。
【0031】上記のように構成される表皮付き型内発泡成形体1の製造方法としては、例えば、いわゆる後貼り成形や一体成形等が挙げられる。
【0032】前記後貼り成形により製造する場合には、まず、発泡ビーズを型内発泡させて所定形状の前記型内発泡成形体2を形成した後、前記剥ぎ取り用薄肉部7をあらかじめ所定位置に設けた表皮材6の前記表面部3と折返し部4を、この型内発泡成形体2の表面2a及び裏面2bに熱プレス等による融着や接着で順次又は同時に固着する。前記折戻し部5は、折返し部4の型内発泡成形体2の裏面2bへの固着と同時又はその後に、熱プレス等により折返し部4の先端4cから外方へこの折返し部4の他面4bにその一部が重なるように折戻し成形すればよい。
【0033】前記一体成形により製造する場合については、以下、その一例を図面に基づいて説明する。図5乃至図10に示すように、この製造方法は、成形型12のキャビティ面12aに沿って表皮材6を例えば真空成形(熱成形)した後、この成形型内14で発泡成形することによって、形成される型内発泡成形体2の表面2a等に前記表皮材6を融着一体化(固着)するものである。
【0034】そして、前記真空成形時に、前記キャビティ面12aの開口端縁12bから内方へ突出するように配置される折返し用型16に沿って、前記表皮材6の外周部分を内方へ折返して折返し部4を形成した後、前記折返し用型16を取外し、前記発泡成形時に、前記折返し部4の一面4aを型内発泡成形体2の裏面2bに融着一体化(固着)すると共に、この折返し部4の先端4cから表皮材6の外周部分が外方へ折戻された状態の折戻し部5を前記折返し部4の他面4bに重なるように押圧する一体成形において、例えばあらかじめ前記折返し用型16の上面16fに薄肉形成用突出部17を形成しておくことによって、前記真空成形時に、前記折戻し部5の所定位置に剥ぎ取り用薄肉部7を設けるものである。
【0035】即ち、図5に示すように、まず、前記成形型12の例えば下型を構成する雌型19に、キャビティ面12aの開口端縁12bから内方へ所定長さ突出するように前記折返し用型16を配置する。
【0036】ここで、前記成形型12は、例えば上下方向に型締め及び型開き可能な前記雌型19と雄型20とで構成されていると共に、雌型19が下型とされ、且つ、雄型20が上型とされている。
【0037】前記雌型19は、例えば、横断面が凹状で且つ内部にチャンバー19aが形成され、そのキャビティ面12a側には、前記チャンバー19aと連通する複数の減圧孔19bが形成されている。そして、前記チャンバー19aには、蒸気弁A1、減圧弁B1、ドレイン弁C1がそれぞれ接続されている。
【0038】前記雄型20は、例えば、横断面が凸状で且つ内部にチャンバー20aが形成され、例えばその突出部分には、前記チャンバー20aと連通する複数の蒸気孔20bが形成されている。そして、前記チャンバー20aには、蒸気弁A2、減圧弁B2、ドレイン弁C2がそれぞれ接続されており、前記成形型内14へ発泡ビーズ21を充填するためのフィーダー22が設けられている。
【0039】前記折返し用型16は、例えば図5及び図6R>6に示すように、内方に平面視が矩形状の開口部16aを有する矩形板状に形成され、外方へ取外しできるように所定箇所で複数個に分割可能となっている(図示せず)。この折返し用型16を前記雌型19上に載置又は磁着等により配置した際には、前記キャビティ面12aの開口端縁12bから内方へ所定長さ突出するようになっている。なお、この折返し用型16を複数個に分割すると共に、それぞれをシリンダ機構等により内外へスライド自在に配置及び取外し可能としておいてもよい。
【0040】また、この折返し用型16の上面16fの前記開口部16a近傍には、例えば横断面が三角形状で、且つ、周方向に延びる前記薄肉形成用突出部17が形成されている。
【0041】次いで、図7に示すように、前記表皮材6をあらかじめ加熱軟化させた状態で折返し用型16上に配置し、前記雌型19のチャンバー19aに接続した減圧弁B1を開く等して、前記キャビティ面12aに沿って表皮材6を例えば真空成形することによって、前記折返し用型16に沿ってこの表皮材6の外周部分を内方へ折返して折返し部4を形成すると共に、この折返し部4の先端4cから折返し用型16を巻き込むように外方へ折戻して折戻し部5を形成する。
【0042】この際、図7及び図8に示すように、型締めする等して、前記折戻し部5を折返し用型16の上面16fに押し付けるようにすれば、前記薄肉形成用突出部17により押圧されてこの折戻し部5に剥ぎ取り用薄肉部7が形成される。なお、この状態においては、前記雌型19、折返し用型16、及び雄型20を、蒸気加熱又はヒータ(図示せず)等によりあらかじめ所定温度に加熱しておけば、表皮材6の熱成形や前記剥ぎ取り用薄肉部7の形成をより効率良く行えるという利点がある。
【0043】ここで、前記折返し用型16の先端6cの横断面形状をこの実施形態のように矩形状としておけば、前記折戻し部5は、前記折返し部4の先端4cから上方に折曲される垂直片5gと、該垂直片5gの上端から外方へ折曲される水平片5hとから構成される。なお、前記折返し用型16の先端16cの横断面形状は、矩形状の他、三角形状、台形状、円状、又は楕円状等とすることもできる。
【0044】また、前記キャビティ面12aに沿って表皮材6を熱成形する方法としては、この実施形態のような真空成形に限定されるものではなく、他に例えば圧空成形等を採用することもできる。また、このような圧空成形等を採用した場合には、前記表皮材6をキャビティ面12aに沿って熱成形する際に、前記折戻し部5を形成しないで折返し部4だけを形成することもできる。
【0045】次に、図9に示すように、前記折返し用型16を例えば外方へ引き抜く等して取外した後、型締めして前記フィーダー22から成形型内14へ発泡ビーズ21を充填する。あるいは、成形型内14へ発泡ビーズ21を充填してから、前記折返し用型16を取外してもよい。
【0046】前記発泡ビーズ21を充填する際には、前記成形型内14の空気を逃がし易くしたり、前記表皮材6の折返し部4が下方へ折り込まれないようにしたりするために、隙間を少し開けた状態(クラッキング状態)で型締めするのが望ましい。また、上記のように、前記表皮材6をキャビティ面12aに沿って熱成形する際に、前記折戻し部5を形成しないで折返し部4だけを形成した場合には、折戻し部5となる表皮材6の外周部分が、折返し部4の先端4cから外方へ折戻されるようにして型締めすればよい。
【0047】ここで、前記発泡ビーズ21の型内発泡により形成される型内発泡成形体2と前記表皮材6との接着性を向上させるために、必要に応じて前記発泡ビーズ21と接触するこの表皮材6の裏面6b及び前記折返し部4の下方に面する一面4aに、あらかじめ接着剤を塗布しておいてもよい。この接着剤としては、例えば、合成樹脂の有機溶媒溶液、樹脂エマルジョン、樹脂パウダー等が挙げられる。また、これらに使用される合成樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体、これらの混合物等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0048】次いで、図10に示すように、完全に型締めした後、前記雄型20のチャンバー20aに接続した蒸気弁A2を開いて水蒸気Sを前記蒸気孔20bから成形型内14へ供給し、前記発泡ビーズ21を加熱発泡させる。
【0049】なお、前記発泡ビーズ21を加熱発泡させる際には、融着不良が発生しないように、必要に応じて、互いに融着する温度より低い温度での水蒸気Sによる予備加熱や、その状態で所定時間保持する蒸らし、更にはこの蒸らし後の真空引き等によるドレインの除去等をあらかじめ行っておいてもよい。
【0050】この場合、前記折戻し部5の垂直片5gは、型締めするだけで前記折返し部4の先端4cから外方へ折曲されてこの折返し部4の他面4bに重なるように押圧される。また、前記水平片5hは、折返し部4の他面4b及び雌型19上に重なるように押圧される。そして、この状態で発泡ビーズ21を加熱発泡させるので、形成される型内発泡成形体2の表面2aに表皮材6が融着一体化されると共に、型内発泡成形体2の裏面2bに前記折返し部4の一面4aが融着一体化される。加えて、前記折戻し部5が上記のように押圧されて、前記折返し部4の他面4bにその一部が重なるように折戻し成形される。
【0051】次いで、必要に応じて冷却した後、前記成形型12を型開きして脱型すれば、図1乃至図3に示すような既述の表皮付き型内発泡成形体1が得られる。なお、前記折戻し部5は、表皮材6の材質や温度条件等によっては前記折返し部4の他面4bに融着一体化してもよいが、この場合において、前記剥ぎ取り用薄肉部7より外方の外周部分8を剥ぎ取り可能とするためには、例えばこの外周部分8と前記雄型20との間に空間を設ける等して、外周部分8が前記折返し部4の他面4bに融着一体化されないようにしておけばよい。
【0052】なお、この実施形態においては、図2に示すように、前記剥ぎ取り用薄肉部7を、前記溝9を折戻し部5の下面5eに形成することにより設けているが、これに限定されるものではなく、種々の位置に、種々の横断面形状の薄肉部を設けることができる。例えば、前記溝9を形成する場合には、図11及び図12に示すように、この溝9を前記折戻し部5の上面5iに形成することにより剥ぎ取り用薄肉部7を設けてもよいし、あるいは折戻し部5の上面5i及び下面5eの両方に形成することにより設けてもよい。この場合、上記の一体成形を用いる時には、前記薄肉部形成用突出部17を、前記雄型20の表面20fに形成したり、あるいは雄型20の表面20f及び折返し用型16の表面16fの両方に形成しておけばよい。
【0053】図13に示すように、第2実施形態に係る表皮付き型内発泡成形体11は、上記第1実施形態における剥ぎ取り用薄肉部7に代えて、前記折戻し部5における前記折返し部4の基端4dより内方の所定位置に、この折戻し部5の周方向に沿って複数の剥ぎ取り用孔27を互いに間隔を開けて連設したものである。
【0054】このように、前記剥ぎ取り用孔27が連設されているので、第1実施形態と同様、前記折戻し部5の外周部分8は、外方へ所定の力で引っ張ることにより、これら剥ぎ取り用孔27間の連結部28で切断されて剥ぎ取り可能となっていると共に、その剥ぎ取りもより小さい力で簡単に行えるという利点がある。また、この実施形態においても、前記剥ぎ取り用孔27より内方の折戻し部5を折返し部4の他面4bに固着しておいた場合には、その外周部分8の剥ぎ取りの際の引張り応力が前記連結部28に集中的に作用するので、トリミングを効率良く行えるという利点がある。更に、トリミング後においては、前記折戻し部5がめくれ上がらないという利点もある。
【0055】なお、この剥ぎ取り用孔27は、この実施形態では前記折戻し部5の周方向に延びる一定長さの線状に形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば不規則な長さの線状や、あるいは点状(ミシン目)等の種々の形状の孔として連設できる。また、それらの互いの間隔としては、一定間隔でもよいし不規則な間隔でもよい。
【0056】上記のように構成される表皮付き型内発泡成形体11は、既述と同様の後貼り成形や一体成形等により製造できる。
【0057】前記後貼り成形により製造する場合には、前記表皮材6の所定位置に、あらかじめ公知の従来技術を利用して前記剥ぎ取り用孔27を互いに間隔を開けて連設しておけばよい。
【0058】前記一体成形により製造する場合については、図14及び図15に示すように、既述の一体成形において、前記折返し用型16の上面16fに、前記薄肉形成用突出部17に代えて、例えば複数の孔形成用突出部37を互いに間隔を開けて形成しておけば、前記真空成形等の熱成形時に、前記折戻し部5の所定位置に複数の剥ぎ取り用孔27を互いに間隔を開けて連設することができる。
【0059】即ち、前記孔形成用突出部37を、例えば横断面が前記薄肉形成用突出部17より上方に高く突出した三角形状で、且つ、周方向に間隔を開けて連設しておけば、前記表皮材6の真空成形等の熱成形時における型締め等により、前記折戻し部5が折返し用型16の上面16fに押し付けられる。そのため、この孔形成用突出部37により押圧されて前記折戻し部5に横断面が三角形状の溝39が形成されると共に、この溝39の上端には前記剥ぎ取り用孔27が形成される。
【0060】この場合、第1実施形態と同様、前記孔形成用突出部37を雄型20の表面20fに設けておいてもよいし、あるいは雄型20の表面20f及び折返し用型16の表面16fの両方に設けておいてもよい。
【0061】以上、上記第1及び第2実施形態で挙げた一体成形では、前記真空成形等の熱成形時に、前記折戻し部5の所定位置に剥ぎ取り用薄肉部7又は剥ぎ取り用孔27を設けるようにしているが、これに限定されるものではなく、前記表皮材6を配置する前に、あらかじめその所定位置に前記剥ぎ取り用薄肉部7又は剥ぎ取り用孔27を設けておいてもよい。また、あらかじめ別工程で、前記剥ぎ取り用薄肉部7又は剥ぎ取り用孔27を所定位置に設けると共に、前記表面部3、折返し部4、及び折戻し部5を上記のような形状に形成しておいた表皮材6を、前記キャビティ面12aに配置した後、発泡成形を行うことにより一体成形してもよい。
【0062】更に、第1及び第2実施形態においては、前記折戻し部5における前記折返し部4の基端4dより内方の所定位置に、前記剥ぎ取り用薄肉部7又は剥ぎ取り用孔27のいずれか一方を設ける場合について説明したが、これらを両方共、同じ位置に設けておいてもよい。即ち、前記剥ぎ取り用薄肉部7に沿って、周方向に互いに間隔を開けて複数の所定形状の剥ぎ取り用孔27が連設されていてもよい。
【0063】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、上記のように構成された表皮付き型内発泡成形体の前記折戻し部の外周部分を、前記折返し部の基端より内方で剥ぎ取り可能としているので、表皮材の不要な部分のトリミングを簡単に行えると共に、トリミング後の折戻し部の先端が前記折返し部の基端より外方へは突出しないので、外観も良好であるという利点がある。また、トリミング済の表皮付き型内発泡成形体においては、前記折戻し部は折返し部の他面に重なった状態となっているので、この表皮付き型内発泡成形体の運搬や取付け作業等の際にも、前記折返し部の先端や折戻し部が他の部材等に引っ掛かりにくくなっており、そのため前記折返し部が剥がれにくいという利点がある。更に、前記折戻し部と折返し部が重なった部分においては、クッション性や補強効果がより高くなっているという利点もある。
【0064】請求項2の発明によれば、前記折戻し部における前記折返し部の基端より内方の所定位置に、この折戻し部の周方向に延びる剥ぎ取り用薄肉部を設けているので、前記折戻し部の外周部分の剥ぎ取りをより小さい力で簡単に行えるという利点がある。
【0065】請求項3の発明によれば、前記折戻し部における前記折返し部の基端より内方の所定位置に、この折戻し部の周方向に沿って複数の剥ぎ取り用孔を互いに間隔を開けて連設しているので、請求項2の効果と同様、前記折戻し部の外周部分の剥ぎ取りをより小さい力で簡単に行えるという利点がある。
【0066】請求項4の発明によれば、前記剥ぎ取り用薄肉部又は剥ぎ取り用孔より内方の折戻し部を、前記折返し部の他面に固着しているので、その外周部分の剥ぎ取りの際の引張り応力が、前記剥ぎ取り用薄肉部又は前記剥ぎ取り用孔間の連結部に集中的に作用するので、トリミングを効率良く行えるという利点がある。また、トリミング後においても、前記折戻し部がめくれ上がらないという利点がある。
【0067】請求項5の発明によれば、前記表皮材及び型内発泡成形体がポリオレフィン系樹脂からなるので、これら型内発泡成形体と表皮材の固着を融着により行う際におけるその融着がより強固となると共に、当該表皮付き型内発泡成形体はいわゆるオールオレフィンであるためにリサイクルも容易であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る表皮付き型内発泡成形体の断面図。
【図2】図1の剥ぎ取り用薄肉部付近を示す要部拡大断面図。
【図3】図1の表皮付き型内発泡成形体の一部省略平面図。
【図4】折戻し部の外周部分を剥ぎ取った後のトリミング済の表皮付き型内発泡成形体を示す断面図。
【図5】図1の表皮付き型内発泡成形体を一体成形により製造する場合において、雌型上に折返し用型を配置した状態を示す断面図。
【図6】図5の折返し用型の配置状態を示す平面図。
【図7】図5の表皮材を真空成形する様子を示す断面図。
【図8】剥ぎ取り用薄肉部を設ける様子を示す要部拡大断面図。
【図9】成形型内に発泡ビーズを充填する様子を示す断面図。
【図10】発泡成形する様子を示す断面図。
【図11】剥ぎ取り用薄肉部の他の例を示す要部拡大断面図。
【図12】剥ぎ取り用薄肉部の他の例を示す要部拡大断面図。
【図13】第2実施形態に係る表皮付き型内発泡成形体の一部省略平面図。
【図14】図13の表皮付き型内発泡成形体を一体成形により製造する場合における折返し用型の配置状態を示す平面図。
【図15】剥ぎ取り用孔を形成する様子を示す要部拡大断面図。
【図16】従来例の一部省略断面図。
【図17】図16の表皮材付発泡成形品(表皮付き型内発泡成形体)を製造する様子を示す一部省略断面図。
【符号の説明】
1,11 表皮付き型内発泡成形体
2 型内発泡成形体
2a 表面
2b 裏面
3 表面部
4 折返し部
4a 一面
4b 他面
4c 先端
4d 基端
5 折戻し部
6 表皮材
7 剥ぎ取り用薄肉部
8 外周部分
27 剥ぎ取り用孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】 型内発泡成形体と、該型内発泡成形体の表面に固着された表面部と、該表面部の端縁から内方へ折返されてその一面が前記型内発泡成形体の裏面に固着された折返し部と、該折返し部の先端から外方へこの折返し部の他面に重なるように且つその先端が折返し部の基端から外方へ突出するように折戻された折戻し部とからなる表皮材とを備えた表皮付き型内発泡成形体であって、前記折戻し部の外周部分を、前記折返し部の基端より内方で剥ぎ取り可能としたことを特徴とする表皮付き型内発泡成形体。
【請求項2】 前記折戻し部における前記折返し部の基端より内方の所定位置に、この折戻し部の周方向に延びる剥ぎ取り用薄肉部を設けたことを特徴とする請求項1記載の表皮付き型内発泡成形体。
【請求項3】 前記折戻し部における前記折返し部の基端より内方の所定位置に、この折戻し部の周方向に沿って複数の剥ぎ取り用孔を互いに間隔を開けて連設したことを特徴とする請求項1記載の表皮付き型内発泡成形体。
【請求項4】 前記剥ぎ取り用薄肉部又は剥ぎ取り用孔より内方の折戻し部を、前記折返し部の他面に固着したことを特徴とする請求項2又は3記載の表皮付き型内発泡成形体。
【請求項5】 前記表皮材及び型内発泡成形体がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の表皮付き型内発泡成形体。
【請求項1】 型内発泡成形体と、該型内発泡成形体の表面に固着された表面部と、該表面部の端縁から内方へ折返されてその一面が前記型内発泡成形体の裏面に固着された折返し部と、該折返し部の先端から外方へこの折返し部の他面に重なるように且つその先端が折返し部の基端から外方へ突出するように折戻された折戻し部とからなる表皮材とを備えた表皮付き型内発泡成形体であって、前記折戻し部の外周部分を、前記折返し部の基端より内方で剥ぎ取り可能としたことを特徴とする表皮付き型内発泡成形体。
【請求項2】 前記折戻し部における前記折返し部の基端より内方の所定位置に、この折戻し部の周方向に延びる剥ぎ取り用薄肉部を設けたことを特徴とする請求項1記載の表皮付き型内発泡成形体。
【請求項3】 前記折戻し部における前記折返し部の基端より内方の所定位置に、この折戻し部の周方向に沿って複数の剥ぎ取り用孔を互いに間隔を開けて連設したことを特徴とする請求項1記載の表皮付き型内発泡成形体。
【請求項4】 前記剥ぎ取り用薄肉部又は剥ぎ取り用孔より内方の折戻し部を、前記折返し部の他面に固着したことを特徴とする請求項2又は3記載の表皮付き型内発泡成形体。
【請求項5】 前記表皮材及び型内発泡成形体がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の表皮付き型内発泡成形体。
【図16】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図1】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【公開番号】特開平10−305452
【公開日】平成10年(1998)11月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−118339
【出願日】平成9年(1997)5月8日
【出願人】(000000941)鐘淵化学工業株式会社 (3,932)
【公開日】平成10年(1998)11月17日
【国際特許分類】
【出願日】平成9年(1997)5月8日
【出願人】(000000941)鐘淵化学工業株式会社 (3,932)
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