説明

表示シート、表示装置、および表示シートの製造方法

【課題】簡易に設置および撤去が可能であり、低コストであり、省スペース性に優れた表示シート、表示装置、および表示シートの製造方法を提供すること。
【解決手段】光学的に所望の形状を表示するための表示シートであって、導光体に貼着するための貼着面を有し、該導光体が導光する光を取り込む光取り込み層と、前記光取り込み層が取り込んだ光をいずれかの面方向から外部に出射させる出射層とを備える。また、光学的に所望の形状を表示するための表示装置であって、導光体に貼着させる前記表示シートと、前記導光体を導光させるべき光を放射する発光体を有する発光部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に所望の形状を表示するための表示シート、表示装置、および表示シートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電飾看板としては、ネオン管や電球によって、文字や絵等の形状を表現したものや、発光体である発光ダイオードを所定の形状に平面状に並べ、発光ダイオードを発光させて、ドットマトリックスとして直接形状を表示するものがある。あるいは、透明なアクリル樹脂製の導光板に形状を彫刻し、または凹凸形状を有するシートを貼り合わせ、この導光板の側面から発光ダイオードを照射して、導光板に形成された凹凸模様部分を形状として表示させている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−224521号公報
【特許文献2】特開2003−330395号公報
【特許文献3】特開2006−208660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の表示装置は、いずれも光源、導光部、表示部が一体化したものである。そのため、設置する際にはコスト、設置スペースの確保、撤去時の処理などが問題となる。ゆえに、たとえば店舗などでの一時的な利用や一般家庭での装飾用には適さないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易に設置および撤去が可能であり、低コストであり、省スペース性に優れた表示シート、表示装置、および表示シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る表示シートは、光学的に所望の形状を表示するための表示シートであって、導光体に貼着するための貼着面を有し、該導光体が導光する光を取り込む光取り込み層と、前記光取り込み層が取り込んだ光をいずれかの面方向から外部に出射させる出射層とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る表示シートは、上記の発明において、前記出射層は、透明な凹凸形状を有する凹凸面を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る表示シートは、上記の発明において、前記凹凸形状は、プリズム形状、シボ状、ドット形状、シリンダ形状、ピラミッド形状、コーン形状の少なくともいずれか一つの形状を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る表示シートは、上記の発明において、前記プリズム形状は、断面が鋸歯と類似の形状を有しており、前記導光体における光の導光方向に対し、該断面がほぼ平行になるように配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る表示シートは、上記の発明において、前記光取り込み層は、複数の透明な凹部または凸部を有していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る表示装置は、上記の発明において、前記光取り込み層の全面積に対する前記凹部または凸部の占有面積が、面内において位置によって異なっていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る表示シートは、上記の発明において、前記光取り込み層の屈折率は、前記導光体の屈折率以上であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る表示シートは、上記の発明において、前記光取り込み層は、前記導光体に対して接着性または粘着性を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る表示シートは、上記の発明において、前記光取り込み層に、前記導光体に対して接着性または粘着性を有する透明な粘接着層が設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る表示シートは、上記の発明において、前記粘接着層の屈折率は、前記導光体の屈折率以上であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る表示装置は、光学的に所望の形状を表示するための表示装置であって、導光体に貼着させる上記の発明のいずれか一つに記載の表示シートと、前記導光体を導光させるべき光を放射する発光体を有する発光部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る表示装置は、上記の発明において、前記発光部は前記導光体の少なくともいずれか一方の面に密着させて配置されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る表示装置は、上記の発明において、前記導光体と発光部との間に、前記導光体に対して接着性または粘着性を有する粘接着シートが介挿されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る表示シートの製造方法は、上記の発明のいずれか一つに記載の表示シートの製造方法であって、前記光取り込み層を印刷又は塗布により形成すること特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、簡易に設置および撤去が可能であり、低コストであり、省スペース性に優れた表示シート、表示装置、および表示シートの製造方法を実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、実施の形態1に係る表示装置の模式図である。
【図2】図2は、図1に示す表示装置の縦断面の、表示シートの近傍を拡大して示す図である。
【図3】図3は、図1に示す表示装置の縦断面の、発光部の近傍を拡大して示す図である。
【図4】図4は、図1に示す表示装置の動作を説明する説明図である。
【図5】図5は、計算例1において用いた凹凸面の形状パターンを示す断面図である。
【図6】図6は、計算例1についての光の指向特性図である。
【図7】図7は、計算例2において用いた凹凸面の形状パターンを示す断面図である。
【図8】図8は、計算例2についての光の指向特性図である。
【図9】図9は、変形例1に係る発光部の模式的な断面図である。
【図10】図10は、変形例2に係る表示シートの模式的な断面図である。
【図11】図11は、変形例3に係る表示シートの模式的な断面図である。
【図12】図12は、実施の形態2に係る表示装置の模式図である。
【図13】図13は、実施の形態3に係る表示装置の模式図である。
【図14】図14は、図13に示す表示装置の縦断面の、表示シートの近傍を拡大して示す図である。
【図15】図15は、変形例4に係る表示シートの模式的な断面図である。
【図16】図16は、その他の実施の形態に係る表示シートの模式的な断面図である。
【図17】図17は、その他の変形例に係る表示シートの模式的な断面図である。
【図18】図18は、さらにその他の変形例に係る表示シートの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して本発明に係る表示シート、表示装置、および表示シートの製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の模式図である。図1に示すように、この表示装置1000は、光源装置10と、導光体としての導光板20と、表示シート30とを備えている。光源装置10は、導光板20の幅方向に並べられた複数の発光体11aを備える発光部11と、発光部11に配線12を介して接続した制御部13とを備えている。表示シート30は、導光板20の紙面裏側の表面に貼着しており、「OPEN」の文字の形状を明るく光らせて表示するように形成されている。
【0024】
図2は、図1に示す表示装置1000の縦断面の、表示シート30の近傍を拡大して示す図である。図2に示すように、この表示シート30は、光取り込み層31と出射層32とを有している。光取り込み層31は、導光板20に対して接着性または粘着性を有しており、貼着面31aにおいて導光板20の表面20bに貼着している。また、光取り込み層31は、規則的またはランダムなパターンで形成された多数の凹部31bを有している。この凹部31bの内部は空気で満たされている。一方、出射層32は、光取り込み層31と接する面とは反対側に、紙面縦方向における断面が鋸歯形状の形状パターンを有する凹凸面32aを全面に有している。なお、この凹凸面32aは、紙面と垂直方向に対しては、この鋸歯形状が表示シート30の幅にわたって延伸しており、ストライプ状のプリズム形状が形成されている。このような形状は、たとえばプレス成形法、キャスト成形等の射出成型などの方法で形成することができる。
【0025】
導光板20の材質は、ガラスや樹脂であるが、発光体11aが発光する光(たとえば可視光)に対して透明であれば特に限定されない。たとえば、導光板20の材質として樹脂を用いる場合は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単体または混合物を用いることができる。また、導光板20の屈折率は、たとえば1.3〜1.7である。
【0026】
また、表示シート30の材質としては、接着性または粘着性を有し、発光体11aが発光する光に対して透明であれば制限無く用いることができるが、その屈折率が1.3〜1.7であるものが好ましい。このような材質は、たとえば透明樹脂のうち、屈折率が1.3〜1.7であって互いに異なるものを混合させたり、透明樹脂の単体または混合物に、酸化チタン、シリカ等からなる屈折率調整用の微粒子を混合させたりしたものを用いることができる。具体的には、透明樹脂の混合物としては、高屈折率樹脂として、その骨格中に芳香環、フッ素以外のハロゲン基、硫黄(S)、脂環式基等を有する樹脂を用い、低屈折率樹脂として、その骨格中にフッ素、シラン等を有する樹脂を用いる。そして、これらの高屈折率樹脂と低屈折率樹脂とを混合させて、混合物を所望の屈折率に調整する。一方、透明樹脂と微粒子との混合物としては、粒径が10〜100nmのチタン二酸化物、亜鉛酸化物、ジルコニウム水酸化物、アルミニウム水酸化物、シリコン二酸化物、中空シリカ、あるいはフッ素含有樹脂微粒子等の単体またはこれらを組み合わせたものを微粒子として用いて、この微粒子を透明樹脂に混合させて、混合物を所望の屈折率に調整する。また、表示シート30の厚さについては、0.05〜1.00mm程度である。
【0027】
一方、図3は、図1に示す表示装置1000の縦断面の、発光部11の近傍を拡大して示す図である。図3に示すように、この発光部11は、上述したように導光板20の幅方向に並べられた複数の発光体11aと、金属やプラスチック等からなり、発光体11aを収容し、導光板20に面している側で開口している筐体11bと、発光体11aと導光板20との間に配置された屈折率調整剤11cとを有している。屈折率調整材11cは、たとえばゲル状の透明樹脂であり、接着性または粘着性を有し、導光板20の表面20aとの間に空気の層が発生しないように表面20aに密着するようになっている。この発光部11は、不図示の粘着テープ等の粘着材または屈折率調整材11c自体の接着性または粘着性によって、表面20aに貼着している。
【0028】
発光体11aとしては、特に限定されないが、たとえば、発光ダイオード(LED)、冷陰極管や熱陰極管等の蛍光管などを用いることができる。
【0029】
つぎに、この表示装置1000の動作について説明する。図4は、図1に示す表示装置1000の動作を説明する説明図である。図4中符号L1は放射した光の一部を示している。この光L1は、屈折率調整材11cを伝搬し、導光板20の表面20aから導光板20に入射する。導光板20は、スネルの法則に従い、その表面20aと表面20bとで光L1を全反射させることによって、光L1を紙面上方に向かって導光する。
【0030】
ここで、仮に屈折率調整材11cがない場合を考えると、発光体11aから導光板20に光L1が入射する際には、光L1は、比較的屈折率差が大きい空気と導光板20との界面で屈折することになるので、導光板20内における屈折角がより小さくなる。これに対して、本実施の形態1のように屈折率調整材11cがある場合は、光L1が屈折する界面は、屈折率調整材11cと導光板20との界面であるため、界面における屈折率差がより小さくなる。その結果、導光板20内における屈折角をより大きくすることができるので、表面20bで光L1をより確実に全反射させることができる。また、発光体11aからは、光がある程度の広がりを持って放射されるが、上記のように導光板20内における屈折角をより大きくしているので、導光板20に様々な角度で入射する光のうち、表面20bで全反射される光の割合をより多くできる。したがって、発光体11aから放射される光を、より効率的に導光板20を導光させることができる。なお、屈折率調整材11cの屈折率は、1.3〜1.7であることが好ましい。
【0031】
また、筐体11bが、発光体11aから放射される光を反射するようにすれば、より多くの光を導光板20に入射させることができるので好ましい。したがって、筐体11bを、光を反射する材質にしたり、筐体11bの内面に反射膜を形成したりすることが好ましい。
【0032】
つぎに、導光板20を導光した光が、光L2のように、表示シート30が貼着された場所に到達すると、空気よりも高い屈折率を有する光取り込み層31と導光板20との界面においては、もはや全反射条件が満たされないので、光L2は光取り込み層31によって導光板20から取り出される。取り出された光L2は、さらに出射層32に到達する。なお、導光板20から効率的に光L2を取り出すために、光取り込み層31の屈折率は、導光板20の屈折率以上の値であることが好ましい。また、光取り込み層31と出射層32との界面での反射を防止するために、出射層32の屈折率は、光取り込み層31の屈折率以上の値であることが好ましい。つぎに、出射層32は、凹凸面32aによって、光L2を導光板20の表面20a側の外部に出射させる。このようにして、この表示装置1000においては、導光板20を導光した光が、表示シート30が貼着された場所においてのみ取り出され、表面20a側に出射させられるので、表面20a側から見た場合に、図1に示す「OPEN」の文字が明るく光って見えるのである。
【0033】
なお、導光板20を導光した光が、光L3のように、空気で満たされた凹部31bに到達した場合は、空気界面の存在により光L3は導光板20から取り出されず、そのまま全反射される。このように、光取り込み層31のうち、凹部31bが形成された部分においては光が取り出されず、凹部31bが形成されていない部分においては光が取り出される。したがって、光取り込み層31の全面積に対する凹部31bの占有面積を調整することによって、表示させる文字の明るさを調整できる。たとえば、凹部31bの占有面積を部分的に小さくすることによって、その部分だけを明るく強調させて表示することが可能である。なお、このような光取り込み層31は、インクジェットプリンタ、スクリーン印刷、インモールド成型、ホットスタンプ等の印刷による形成、またはディスペンサーなどを利用した塗布による形成、あるいはプレス成形法、キャスト成形等の射出成型などの方法で形成することができるので、任意の密度で、任意のパターンのものを低コストで容易に形成できる。なお、凹部31bの分布のパターンについては、市販の光学シミュレーションソフトウェアを用いて、最適な分布パターンを容易に設計できる。
【0034】
また、本実施の形態1では、出射層32の凹凸面32aの断面が鋸歯形状のようにパターンを有するものなので、出射層32による出射光に、特定の指向性を持たせることができる。
【0035】
以下、光線追跡シミュレーションの結果を用いて、出射層32の凹凸面32aの断面形状と出射光の指向性との関係について説明する。
【0036】
はじめに、計算例1として、凹凸面32aの断面形状が、直角三角形状であり、その斜辺の底辺からの傾斜角を45°とした場合の出射光の指向性を計算した。図5は、計算例1において用いた凹凸面32aの形状パターンを示す断面図である。なお、計算条件としては、導光板20の屈折率を1.58とし、表示シート30の屈折率を光取り込み層31と出射層32のいずれも1.58とし、導光板20を導光する光の反射角を60度以下とした。また、鋸歯形状の形状パターンのピッチとして直角三角形の底辺の長さを0.05mmとした。
【0037】
図6は、計算例1についての出射光の指向特性図である。なお、導光板20の表面20a側の法線の方向を角度0°としている。図6に示すように、斜辺の底辺からの傾斜角を45°とした場合は、角度0°の方向に指向性を持った反射光とすることができる。
【0038】
つぎに、計算例2として、凹凸面32aの断面形状が、直角三角形状であり、その斜辺の底辺からの傾斜角を30°とした場合の出射光の指向性を計算した。図7は、計算例2において用いた凹凸面32aの形状パターンを示す断面図である。なお、計算条件としては、計算例1の場合と同一とした。
【0039】
図8は、計算例2についての出射光の指向特性図である。なお、導光板20の表面20a側の法線の方向を角度0°としている。図7に示すように、斜辺の底辺からの傾斜角を30°とした場合は、矢印Arが示すように、角度0°からマイナス方向に約23°回転した方向に指向性を持った出射光とすることができる。
【0040】
この計算例1、2が示すように、本実施の形態1では、出射層32による出射光に、特定の指向性を持たせることができる。また、出射光の指向性については、凹凸面32aの断面形状の設計によって任意に調整することができる。このように出射光に指向性を持たせれば、たとえばこの表示装置1000を見る人の視線の高さ等を勘案して、特定の方向に対して輝度の高い表示をすることが可能となる。すなわち、たとえばこの表示装置1000を家屋の2階の窓際等の高所に設置して、主に歩道を歩く人に対して輝度の高い表示をするということができる。
【0041】
なお、上記計算例では、凹凸面32aの断面形状が、底辺からの斜辺の傾斜角が45°または30°の直角三角形状である場合について示したが、傾斜角は30°以上90°未満程度が好ましい。また、断面形状は直角三角形状でなく、他の三角形状でもよく、その際の底辺からの各斜辺の傾斜角についても、30°以上90°未満程度が好ましい。
【0042】
そして、以上説明した本実施の形態1に係る表示装置1000は、光源装置10と、導光板20と、表示シート30とが別々のものであり、いずれも低コストで用意できるものである。また、表示シート30は、加工も容易であり、表示したい任意の形状に成形することができる。また、小型化も容易であり、省スペース性にも優れている。また、導光板20に光源装置10と表示シート30とを貼着するだけで簡易に設置でき、かつこれらを剥がすことで簡易に撤去が可能である。
【0043】
ところで、本実施の形態1では、表示シート30における出射面32の凹凸面32aのプリズム形状は、そのストライプの方向と垂直な断面が鋸歯形状を有しており、導光板20における光の導光方向に対し、該断面がほぼ平行になるように配置されて使用されている。この場合、ストライプの方向と光の導光方向とはほぼ垂直になる。しかしながら、たとえば表示シート20を導光板20に斜めに貼着させた場合のように、ストライプの方向と光の導光方向とが傾斜するような状態で使用していてもよい。すなわち、光の導光方向に対して平行な断面において、プリズム形状が鋸歯形状を有していれば、本実施の形態1と同様にして、導光板20から光を取り出すことができる。
【0044】
(変形例1)
つぎに、表示装置1000において用いることができる発光部および表示シートの変形例について説明する。図9は、変形例1に係る発光部14の模式的な断面図である。図9に示すように、この発光部14は、図3に示す発光部11と同様に、導光板20の幅方向に並べられた複数の発光体14aと、発光体14aを収容し、導光板20に面している側で開口している筐体14bと、発光体14aと導光板20との間に配置された屈折率調整材14cとを備え、さらに粘接着シート14dを備えている。この粘接着シート14dは、たとえば表示シート30と同様に、接着性または粘着性を有する透明樹脂からなる。この粘接着シート14dは、発光部14を表面20aに貼着する役割をするとともに、表面20aとの間の空気の層の発生を、より確実に防止する役割をしている。このような粘接着シート14dを用いることによって、屈折率調整材14cとしては、図3に示す屈折率調整材11cよりも、接着性または粘着性が低い材質のものを用いることができるので、屈折率調整材14cの材料の選択性がより幅広くなる。なお、粘接着シート14dの屈折率は、1.3〜1.7であることが好ましい。
【0045】
(変形例2)
つぎに、図10は、変形例2に係る表示シート40の模式的な断面図である。図10に示すように、この表示シート40は、表示シート30と同様に、光取り込み層41と出射層42とを有している。出射層42は、出射層32と同様に、断面が鋸歯形状を有する凹凸面42aを有しているとともに、ストライプ状のプリズム形状を有している。一方、光取り込み層41は、貼着面43aを含む粘接着層43と、凹部形成層44とを有している。粘接着層43は、導光板20に対して接着性または粘着性を有しており、貼着面43aにおいて導光板20の表面20bに貼着している。また、凹部形成層44の屈折率は、好ましくは粘接着層43の屈折率以上である。また、凹部形成層44は、光の取り出し量の調整用の空気界面を形成するための多数の凹部44bを有している。
【0046】
この表示シート40においては、光取り込み層41を、粘接着層43と凹部形成層44との2層構造にすることによって、貼着面43aにおける接着性または粘着性を確保している。そして、このように2層構造とすることによって、それぞれの層に要求される特性に対して最適な材質を選択できる。たとえば、粘接着層43の材質としては、より接着性または粘着性が高いものを選択でき、たとえば両面テープのようなものでもよい。また、凹部形成層44の材質としては、接着性または粘着性がより低くても、あるいは無くてもよいので、材料の選択性がより幅広くなる。
【0047】
(変形例3)
つぎに、図11は、変形例3に係る表示シート50の模式的な断面図である。図11に示すように、この表示シート50は、図2に示す表示シート30と同様に、多数の凹部51bを有し、貼着面51aにおいて導光板20の表面20bに貼着している光取り込み層51と、断面が鋸歯形状の凹凸面52aを有する出射層52とを備えている。この表示シート50は、光取り込み層51の全面積に対する凹部51bの占有面積が、面内において位置により異なっている。たとえば、より光源装置側に近い位置にある領域Bにおいては、空気界面を形成する凹部51bの面積が大きく、その占有面積が、領域Aにおける占有面積よりも大きくなっている。
【0048】
このように凹部51bの占有面積が位置によって異なることによって、表示シート50による表示の明るさを略均一にできる。すなわち、光源装置から光L4が導光してきて、表示シート50の領域Bに到達すると、表示シート50によってその一部の光L5が取り出されて、光L4より光量が小さい残りの光L6がさらに導光していく。さらに、残りの光L6が表示シート50の領域Aに到達すると、表示シート50によってその一部の光L7が取り出されて、残りの光L8がさらに導光していく。このとき、表示シートに到達する光のうち、取り出される光の割合は、光取り込み層における凹部の占有面積に反比例する。したがって、表示シート50は、凹部51bの占有面積がより小さい領域Aにおいては、光量が光L4よりも小さい光L6から、領域Bにおける場合よりも多くの割合の光を取り出すことができる。その結果、表示シート50は、その位置によって到達する光L4、L6の光量が違うにもかかわらず、全体的に略均一な明るさとなるのである。
【0049】
このように、光源装置からの距離や、光源装置との間に存在する表示シートの面積などに応じて、凹部の占有面積を異なるようにすることによって、表示シートの明るさをその位置によらず略均一にすることができる。
【0050】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。図12は、本実施の形態2に係る表示装置2000の模式図である。図12に示すように、この表示装置2000は、光源装置10と、導光板20と、表示シート60と、遮光シート70とを備えている。
【0051】
この表示装置2000も、図1に示す表示装置1000と同様に、「OPEN」の文字の形状を明るく光らせて表示するように形成されているが、表示装置1000とは異なり、導光板20の紙面裏側の表面に貼着している表示シート60は、表示すべき文字よりも広い面積を有しており、面内において略均一に光を反射させるように構成されている。一方、遮光シート70は、表示シート60が光を反射させる側である、導光板20の表側の表面に配置されて貼着している。この遮光シート70は、表示シート60と同様の材質からなる透明樹脂であるが、「OPEN」の文字の形状に形成された透光部70aを有し、それ以外の領域には遮光性のインクまたは塗料等が塗布されている。その結果、表示シート60により出射された光のうち、透光部70aの形状に則した光が導光板20の表側に取り出されるので、「OPEN」の文字が明るく光って表示されるのである。本実施の形態2によれば、遮光シート70の交換により、表示する形状を容易に変更することができる。なお、遮光シートとしては、遮光性の材質からなるものとし、そこから表示させたい形状を切り抜いたものを用いてもよい。
【0052】
また、遮光シート70の代わりに、表示シート60と同様の材質からなる透明樹脂からなり、「OPEN」の文字の形状とその周囲とを、異なる色の透明性を有する塗料で着色した着色シートを用いてもよい。これによって、文字色と背景色とのコントラストによって「OPEN」の文字を表示することができる。
【0053】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態1は、表示シート30が貼着された表面20bとは反対側の表面20a側に光を出射させるものであるが、本実施の形態3に係る表示装置は、表示シートが貼着された表面側に光を出射させるものである。
【0054】
図13は、本実施の形態3に係る表示装置の模式図である。図13に示すように、この表示装置3000は、光源装置10と、導光板20と、表示シート80とを備えている。表示シート80は、導光板20の紙面表側の表面に貼着しており、「OPEN」の文字の形状を明るく光らせて表示するように形成されている。
【0055】
図14は、図13に示す表示装置3000の縦断面の、表示シート80の近傍を拡大して示す図である。図14に示すように、この表示シート80は、光取り込み層81と出射層82とを有している。光取り込み層81は、導光板20に対して接着性または粘着性を有しており、貼着面81aにおいて導光板20の表面20aに貼着している。また、光取り込み層81は、内部が空気で満たされた多数の凹部81bを有している。一方、出射層82は、光取り込み層81と接する面とは反対側に、紙面縦方向における断面が鋸歯形状であり、かつストライプ状のプリズム形状の凹凸面82aを有している。
【0056】
ここで、導光板20を導光した光が、光L9のように、表示シート80が貼着された場所に到達すると、光取り込み層81が、光L9を導光板20から取り出す。取り出された光L9は、さらに出射層82に到達するが、出射層82は、凹凸面82aによって、光L9を導光板20の表面20a側に出射させる。このようにして、この表示装置3000においては、導光板20を導光し、取り出された光L9が、表面20a側に貼着した表示シート80によって、表面20a側に出射させられるので、表面20a側から見た場合に、「OPEN」の文字が明るく光って見えるのである。
【0057】
なお、このように、表示シート80を表面20a側に貼着した場合に、光を表面20a側に出射するためには、凹凸面82aが、図14に示すような面82aaを有するものであればよい。この面82aaは、光L9が導光してくる光源装置側から見た場合に、出射層から空気へと向かう境界面であり、光源装置側から見た傾斜角度θが90°より大きくなるように形成されたものである。また、この面82aaの傾斜角度θを調整することにより、所望の方向に指向性を持った出射光とすることができる。傾斜角度θとしては、150°以下が好ましい。
【0058】
(変形例4)
つぎに、表示装置3000において用いることができる表示シートの変形例について説明する。図15は、変形例4に係る表示シート90の模式的な断面図である。図15に示すように、この表示シート90は、光取り込み層91と出射層92とを有している。光取り込み層91は、表示シート80における光取り込み層81と同様のものである。一方、出射層92は、それぞれ断面が鋸歯形状を有し、かつストライプ状のプリズム形状を有する第一出射層93と第二出射層94とを貼り合わせて形成されている。この変形例4に係る表示シート90においては、第一出射層93と第二出射層94との組み合わせによって、表示シート80の面82aaに対応する形状の面94aが形成されている。したがって、表示シート80と同様に、導光板20を導光してきた光L10を、表面20a側に出射させることができる。
【0059】
上記各実施の形態およびその変形例が示すように、本発明に係る表示シートは、光取り込み層が取り込んだ光を、表側、裏側のいずれかの面方向から外部に出射させることができる。
【0060】
(その他の実施の形態)
上記実施の形態では、出射層は断面が鋸歯形状の凹凸面を有しているが、凹凸面の形状は鋸歯形状に類似した形状でもよく、またその他の形状でもよい。図16は、本発明のその他の実施の形態に係る表示シートの模式的な断面図である。図16に示すように、この表示シート100は、光取り込み層101と出射層102とを有している。光取り込み層101は、たとえば表示シート30の光取り込み層31と同様のものである。一方、出射層102は、たとえば表示シート30の出射層32と同様の材質からなるが、その凹凸面102aの形状が、シボ状になっている。この表示シート100は、このシボ状の形状を有する凹凸面102aによって、導光板20を導光してきた光L11を導光板20の表面20a側に、より指向性の低い光として出射させることができる。また、この凹凸面102aの形状については、シボ状に限られず、ドット形状、シリンダ形状、ピラミッド(多角錐)形状、コーン(円錐)形状等にしてもよい。なお、ピラミッド形状およびコーン形状の場合に、その断面における底辺からの斜辺の傾斜角については、30°以上90°未満程度が好ましい。
【0061】
(その他の変形例)
図17は、その他の変形例に係る表示シートの模式的な断面図である。この表示シート110は、図2に示す実施の形態1に係る表示シート30において、光取り込み層31を光取り込み層111に置き換えた構成を有する。この光取り込み層111は、凹部111bを有する。この凹部111bは、光取り込み層31の凹部31aとは異なり、貼着面111a側にのみ開口している。このような形状の凹部111aであっても、凹部31aと同様に空気界面が形成されるので、表示シート110が表示する文字の明るさを調整できる。なお、上記の他の実施の形態に係る表示シートにおける凹部についても、この変形例の凹部のように、導光体20に対する貼着面側にのみ開口しているものとしてもよい。
【0062】
なお、上記実施の形態では、光取り込み層は凹部を有しているが、本発明はこれに限らず、凸部を有するものでもよいし、貼着面が凹凸を有さず平滑な面であってもよい。
【0063】
また、上記実施の形態において、光取り込み層と出射層とは一体形成したものでもよい。図18は、さらにその他の変形例に係る表示シートの模式的な断面図である。図18に示すように、この表示シート120は、実施の形態1に係る表示シート30と同様に、貼着面121aと凹部121bとを有する光取り込み層121と、断面が鋸歯形状を有する凹凸面32aを有する出射層122とを有しているが、光取り込み層121と出射層122とは一体形成したものとなっている。このような表示シート120でも表示シート30と同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、上記実施の形態において、顔料、蛍光着色剤等を用いて表示シートの一部または全部の領域を着色することによって、表示する文字等の形状の全体または一部の表示色を変えたり、強調させたりすることができる。
【0065】
また、上記実施の形態では、導光板の表面は平面状であるが、曲面状でもよい。また、導光板として、たとえば既に設置されている窓ガラスやショーウィンドウ、扉、車のウィンドウ、水槽等を利用し、これに光源装置と表示シートとを取り付けるようにすれば、きわめて簡易に設置が可能であり、不要になれば容易に撤去できる。したがって、店舗などでの一時的な利用や一般家庭での装飾用にもきわめて好適なものである。また、導光体の形状も板状の導光板に特に限定されず、たとえば円柱、角柱等の柱状の導光体でもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 光源装置
11、14 発光部
11a、14a 発光体
11b、14b 筐体
11c、14c 屈折率調整材
12 配線
13 制御部
14d 粘接着シート
20 導光板
20a、20b 表面
30〜60、80〜120 表示シート
31〜51、81、91、101、111、121 光取り込み層
31a、43a、51a、81a、111a、121a 貼着面
31b、44b、51b、81b、111b、121b 凹部
32〜52、82、92、102、122 出射層
32a〜52a、82a、102a、122a 凹凸面
82aa、94a 面
43 粘接着層
44 凹部形成層
70 遮光シート
70a 透光部
93 第一出射層
94 第二出射層
1000〜3000 表示装置
A、B 領域
Ar 矢印
L1〜L11 光
θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に所望の形状を表示するための表示シートであって、導光体に貼着するための貼着面を有し、該導光体が導光する光を取り込む光取り込み層と、前記光取り込み層が取り込んだ光をいずれかの面方向から外部に出射させる出射層とを備えることを特徴とする表示シート。
【請求項2】
前記出射層は、透明な凹凸形状を有する凹凸面を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示シート。
【請求項3】
前記凹凸形状は、プリズム形状、シボ状、ドット形状、シリンダ形状、ピラミッド形状、コーン形状の少なくともいずれか一つの形状を有することを特徴とする請求項2に記載の表示シート。
【請求項4】
前記プリズム形状は、断面が鋸歯と類似の形状を有しており、前記導光体における光の導光方向に対し、該断面がほぼ平行になるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の表示シート。
【請求項5】
前記光取り込み層は、複数の透明な凹部または凸部を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の表示シート。
【請求項6】
前記光取り込み層の全面積に対する前記凹部または凸部の占有面積が、面内において位置によって異なっていることを特徴とする請求項5に記載の表示シート。
【請求項7】
前記光取り込み層の屈折率は、前記導光体の屈折率以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の表示シート。
【請求項8】
前記光取り込み層は、前記導光体に対して接着性または粘着性を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の表示シート。
【請求項9】
前記光取り込み層に、前記導光体に対して接着性または粘着性を有する透明な粘接着層が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の表示シート。
【請求項10】
前記粘接着層の屈折率は、前記導光体の屈折率以上であることを特徴とする請求項9に記載の表示シート。
【請求項11】
光学的に所望の形状を表示するための表示装置であって、導光体に貼着させる請求項1〜10のいずれか一つに記載の表示シートと、前記導光体を導光させるべき光を放射する発光体を有する発光部と、を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
前記発光部は前記導光体の少なくともいずれか一方の面に密着させて配置されていることを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記導光体と発光部との間に、前記導光体に対して接着性または粘着性を有する粘接着シートが介挿されていることを特徴とする請求項11または12に記載の表示装置。
【請求項14】
請求項5、6、または請求項5を引用する請求項7〜10のいずれか一つに記載の表示シートの製造方法であって、前記光取り込み層を印刷又は塗布により形成すること特徴とする表示シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−81145(P2011−81145A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232654(P2009−232654)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】