説明

表示灯付ウインドガラス

【目的】 従来のウインドガラスにおいては、特にサッシレスドアなどとされた場合には夜間時の視認が困難となり、乗降車時に顔面を当接させたり、或いはガラスの昇降時に手指を挟み込む事故などを生じ易い問題点があった。
【構成】 本発明により、ウインドガラス1の自動車ドア10内に常時収納されている保持側端部1aには、このウインドガラス1の板厚面内に内面反射の臨界角以下として光を放射する表示灯2を設け、該表示灯2の点灯により前記ウインドガラスの自由端側端部1bを発光させる表示灯付ウインドガラスとし、夜間には前記表示灯2によりウインドガラス1の輪郭を表示するものとして、乗員の注意を促し課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車ドアに昇降自在に設けられるウインドガラスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のウインドガラス90の構成を示すものが図5であり、このウインドガラス90の下端側である保持側端部91aには、ウインドレギュレータ81、ガラスガイド82などが設けられ、前記ウインドレギュレータ81の操作により下降させられるときには自動車ドア80の内部へ収納するように動作させられるものとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記自動車ドア80としては、サッシレスドアと称されて前記ウインドガラス90を上昇させたときにもサッシで保持されることなく自立する形式のものが近年は多く採用される傾向にある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記した従来のウインドガラス90、特に自動車ドア80がサッシレスドアとされたときのウインドガラス90においては、夜間など光量が不十分な状態では、透明な前記ウインドガラス90の確認が困難であり、これにより昇降の際にウインドガラス90のエッジ部分に顔面などを当接させて、負傷など思わぬ事故の発生に至る問題点を生じ、この点の解決が課題とされるものとなっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した従来の課題を解決するための具体的な手段として、自動車ドアに昇降自在に設けられるウインドガラスにおいて、前記ウインドガラスの前記自動車ドア内に常時収納されている保持側端部には、このウインドガラスの板厚面内に内面反射の臨界角以下として光を放射する表示灯を設け、該表示灯の点灯により前記ウインドガラスの自由端側端部を発光させることを特徴とする表示灯付ウインドガラスを提供することで、夜間時など周囲に光量の不足する状態においてもウインドガラスの確認を容易なものとして、前記した従来の課題を解決するものである。
【0006】
【実施例】次に、本発明を図に示す一実施例に基づいて詳細に説明する。図1に符号1で示すものは本発明に係るウインドガラスであり、このウインドガラス1は自動車ドア10にウインドレギュレータ11、ガラスガイド12などにより昇降自在に設けられるものである点は従来例のものと同様であるが、本発明により前記ウインドガラス1の常時に自動車ドア10内に収納されている保持側端部1aには表示灯2が設けられ、該表示灯2により夜間時のウインドガラス1の存在の確認を容易なものとされている。
【0007】以下に本発明の構成について更に詳細に説明を行えば、前記表示灯2は前記ウインドガラス1を最大限に上昇させたときにも前記自動車ドア10内に位置するようにウインドガラス1の保持側端部1aに固定して取付けられるものであり、従って、前記ウインドガラス1の上昇或いは下降に伴って前記表示灯2も上昇、下降を行うものとなる。
【0008】また、前記表示灯2がウインドガラス1の保持側端部1aに取付けられるに当たっては、このウインドガラス1の板厚面内に内面反射の臨界角以下として光を入射させるものとされ、これは図2に示すように前記保持側端部1aの板厚側の端面を直接に表示灯2の光源2aで照射すること、或いは図3に示すように前記ウインドガラス1の保持側端部1aの近傍の板面に所定の入射角度αでガラス面に当接されたライトガイド2bを介して光源2aからの光をウインドガラス1の内面に入射させることで行われる。
【0009】尚、前記ライトガイド2bを採用する際には、このライトガイド2bが形成される透明部材は前記ウインドガラス1即ち、ガラス部材と近似する屈折率のものが選択され、且つ、前記ライトガイド2bとウインドガラス1とは、カナダバルサムなどガラス部材と近似する屈折率を有する透明な接着剤2cで貼着されているものとされ、光源2aからの光がライトガイド2bとウインドガラス1との接続された部分で反射することなくウインドガラス1の内面に入射するように図られている。
【0010】図4は前記表示灯2を点灯させるときの点灯回路の例を示すもので、前記表示灯2は自動車ドア10に設けられ、この自動車ドア10が開放されたときにはルームランプなどを点灯させるために設けられているドアスイッチ3に接続され、該ドアスイッチ3の開閉に伴い点滅を行うものとされ、従って自動車ドア10が開放されたときには点灯を行うものとされている。
【0011】また、本発明においては前記表示灯2の点滅は前記自動車ドア10の開閉のみに限定するものでなく、図4中に破線で示すように自動車に設けられているライティングスイッチなど夜間照明用の点灯スイッチ4にも連動させても良いものである。
【0012】次いで、上記の構成とした本発明の作用及び効果について説明を行えば、本発明により前記ウインドガラス1の常に自動車ドア10内に収納されている保持側端部1aから板厚面内に内面反射の臨界角以下として光を入射させる表示灯2を設けたことで、この表示灯2を点灯したときの該表示灯2からの光は前記ウインドガラス1の表裏面では内面での全反射が行われ、前記した表裏面から漏出することなく反対側の端部である自由端側端部1bに達するものとなり、この自由端側端部1bの板厚面から外部に放射されるエッジライトEとなる。
【0013】従って、前記表示灯2が点灯されたときにも、その発光がウインドガラス1の表裏面で感知されることはなく前記自由端側端部1bの板厚面の部分のみが光輝するエッジライトE(図1及び図2を参照)となり、図4に示したようにドアスイッチ3と連動させることで自動車ドア10の開放時にはウインドガラス1の輪郭を常時に表示するものとなり注意を喚起させて、例えば乗降車時に顔面を当接させるなど不測の事故を避けることが可能となる。
【0014】尚、点灯スイッチ4にも連動させることで、夜間の走行時には常にウインドガラス1の輪郭が表示されているものとなるので、例えば走行中のウインドガラス1の昇降時にも明確にウインドガラス1の状態を表示するものとなり、手指の挾み込みなども防止することが可能となる。
【0015】ここで、表示灯2を内面反射の臨界角以下としてウインドガラス1に入射させるものとしたことで、前記したように表示灯2が夜間の走行時に継続して点灯されているときにも、上記に説明したようにウインドガラス1の表裏面から漏出することがなく、従って、運転者に対して側面の外部視界を遮るなどの不具合を生じることはない。
【0016】
【発明の効果】以上に説明したように本発明により、ウインドガラスの自動車ドア内に常時収納されている保持側端部には、このウインドガラスの板厚面内に内面反射の臨界角以下として光を放射する表示灯を設け、該表示灯の点灯により前記ウインドガラスの自由端側端部を発光させる表示灯付ウインドガラスとし、前記表示灯をドアスイッチと連動させたものとすることで、自動車ドアの開放が行われている間は前記表示灯によりウインドガラスの輪郭をエッジライトで表示するものとして、乗員の注意を促し、例えば顔面などを当接する事故を防止して安全性の向上に極めて優れた効果を奏するものである。
【0017】また、前記表示灯をウインドガラス内に内面反射の臨界角以下として光を放射するものとしたことで、例えば走行中のウインドガラスの昇降時の手指の挾み込みの防止を図り夜間には常時点灯を行うときにも前記表示灯の点灯時における前記ウインドガラスの表裏面が光輝することをなくし、運転視界を妨げない効果を奏するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る表示灯付ウインドガラスの一実施例を示す説明図である。
【図2】 図1のA―A線に沿う断面図である。
【図3】 同じく本発明の別の実施例を要部で示す断面図である。
【図4】 同じく本発明の点灯回路を示す回路図である。
【図5】 従来例を示す説明図である。
1……ウインドガラス
1a……保持側端部
1b……自由端側端部
2……表示灯
2a……光源
2b……ライトガイド
2c……接着剤
3……ドアスイッチ
4……点灯スイッチ
10……自動車ドア
11……ウインドレギュレータ
12……ガラスガイド
α……入射角
E……エッジライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動車ドアに昇降自在に設けられるウインドガラスにおいて、前記ウインドガラスの前記自動車ドア内に常時収納されている保持側端部には、このウインドガラスの板厚面内に内面反射の臨界角以下として光を放射する表示灯を設け、該表示灯の点灯により前記ウインドガラスの自由端側端部を発光させることを特徴とする表示灯付ウインドガラス。
【請求項2】 前記表示灯は自動車のドアスイッチと連動していることを特徴とする請求項1記載の表示灯付ウインドガラス。
【請求項3】 前記表示灯は自動車の夜間照明の点灯用スイッチと連動していることを特徴とする請求項2記載の表示灯付ウインドガラス。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開平6−122343
【公開日】平成6年(1994)5月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−296510
【出願日】平成4年(1992)10月9日
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)