説明

表示装置およびそれを備えた電子機器、撮像装置

【課題】 使用者は様々な方向から画像の確認を行う場合、画像の表示方向を反転させる操作部が、使用者が目視している表示部の裏面にあるため、操作部を操作しにくい。
【解決手段】 第1の操作部材が配置された操作部(204)と、表示面(202)および反対側の背面を有し開閉可能な表示部(201)と、操作部と表示部とを連結する回動部(207)であって、操作部に対して表示面を開閉可能に回動保持する第1の回動軸(205)と、表示部を開いた状態で回動可能であり、第1の回動軸に対して直交する第2の回動軸(206)とを有する回動部と、第2の操作部材が設けられた回動部格納部(209)を有し、表示部が操作部に対して正立した際に、第2の操作部材を設けた面(502)と表示部の底部(504)との間に、ユーザが第2の操作部材を操作可能な間隔(L1−L2)を設けた表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像画像やメニュー画面を表示するためのディスプレイなどの表示装置とそれを有する電子機器、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置においては、撮像した画像やメニュー画面等を表示させる表示部(ディスプレイ)を備えたものが普及している。この表示部は、画像を視認しやすくするために画面サイズが大きな表示パネルが用いられるようになってきている。
これに伴って、表示部を使用者が見やすい角度に自由に変更できる撮像装置が提案されている(特許文献1)。また、その場合に使用者が任意に画像の表示方向を反転できる撮像装置が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−210677号
【特許文献2】特開2011−103551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では、使用者は様々な方向から画像の確認を行う場合、特に画像の表示方向を反転させる操作部が表示部の裏に配設されると、表示部を見ながら操作スイッチを操作しにくいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の表示装置は、上記の課題を解決するために、第1の操作部材が配置された操作部と、表示面および反対側の背面を有し開閉可能な表示部と、前記操作部と前記表示部とを連結する回動部であって、前記操作部に対して前記表示面を開閉可能に回動保持する第1の回動軸と、前記表示部を開いた状態で回動可能であり、前記第1の回動軸に対して直交する第2の回動軸とを有する回動部と、前記表示部が前記操作部に対して正立させた際に前記表示部の底部と対向する面に、第2の操作部材が設けられた回動部格納部を有し、前記表示部が前記操作部に対して正立した際に、前記第2の操作部材を設けた面と前記表示部の底部との間に、ユーザが前記第2の操作部材を操作可能なように間隔を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように、本発明によれば、表示部が開いた状態でもユーザが操作スイッチを操作可能なように間隔を設けたため、表示部を見ながら操作スイッチを操作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る表示装置を備えた撮像装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る表示装置(開位置)の斜視図である。
【図3】回動部207の機構を示す斜視図である。
【図4】(a)表示部201を閉じた表示面を操作部と対面するように格納した状態を示す斜視図である。(b)表示部201を第1の回動軸周りに90度回動させて正立させた状態を示す斜視図である。(c)表示部201を第1の回動軸周りに180度回動させた状態を示す斜視図である。(d)表示部201を第1の回動軸周りに270度回動させた状態を示す斜視図である。(e)表示部201が正立した状態から、第2の回動軸周りに180度回動させた状態を示す斜視図である。
【図5】表示部201が正立した状態を示す側面図である。
【図6】表示部201が正立した状態を示す正面図である。
【図7】表示部201が正立した状態から、第2の回動軸周りに180度回動させた状態を示す正面図である。
【図8】表示制御スイッチ210を複数個配置した本発明の実施形態に係る表示装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る表示装置の構成を、図1−8を用いて詳細を説明する。
【0009】
図1は本発明の実施形態に係る撮像装置であるデジタルカメラ100の斜視図である。図2は本発明実施形態に係る撮像装置であるデジタルビデオカメラ100に取り付けられている表示装置102の斜視図である。
【0010】
図1において、撮像装置本体101は互いがそれぞれ嵌合した外装部材から構成されており、その内部に撮像素子(不図示)や基板、フレキシブル基板、板金部品、成型部品などの部品が収納されている。撮像装置本体101の上部には表示装置102が載置され、撮影者は撮像装置本体101で撮影される画像や映像を確認したり、記録媒体に記録された映像を表示したりすることができる。
【0011】
表示装置102の構成について、図2を用いて説明する。表示装置102は、大きく分けて、画像や映像が表示される面である表示面202とその反対側の面である背面を有している表示部201と、第1の操作部材としての操作スイッチ群203などを配置した操作部204で構成されている。この表示部201は、第1の回動軸205、第2の回動軸206の互いに直交する2軸を有する回動部207により、2つの軸を回転中心として、回動可能である(詳細は後述する)。
【0012】
操作部204は、操作スイッチ群203、回動部207が格納される回動部格納部209、回動部格納部209に配置された表示制御スイッチ210(第2の操作部材)、で構成されている。この表示制御スイッチ210は表示反転スイッチであり、表示面202に表示される画像や映像の表示の向きを変更するなどを制御するために、表示部201の姿勢に応じて使用者が選択的に表示を切り替えることができる。
【0013】
<回動部207の機構>
図3(a)、(b)は回動部207の機構を示す斜視図である。回動部207は、操作部204と表示部201とを連結し、操作部204に対して表示部201を開閉可能に回動保持する第1の回動軸205と、表示部201を開いた状態で回動可能であり、で第1の回動軸205に対して直交する第2の回動軸206とを有する。
【0014】
回動部207は、操作部204に固定される操作部側固定部301、表示部201に固定される表示部側固定部302と、第1の回動軸205を中心に回動する回動部材303とで構成される。操作部側固定部301と回動部材303とは、第1のカシメ部304および第2のカシメ部305によって連結される。第1のカシメ部304の一部である第1カシメ部規制端3041は、回動部材303に設けられた規制部材306の第1の規制端3061と接触することで、第1の回動軸205を中心とした回動部材303の回動を規制する。
【0015】
本実施例の場合、第1のカシメ部304の円弧状もしくは楕円形状の外周の一部を平面にカットすることで第1カシメ部規制端3041が形成される。そして、第1カシメ部規制端3041が第1の規制端3061と面接触することで、第1の回動軸205を中心とした回動部材303の回動の規制を行う。
【0016】
また、回動部材303と表示部側固定部302は、第3のカシメ部308で連結される。この表示部側固定部302には表示部201に締結され、また第2の回動軸206を中心に回動する構造である。そして、第3のカシメ部308は表示部側固定部302の回動に連動して回動する。第3のカシメ部308の一部である第3カシメ部規制端3081は、回動部材303に設けられたの第2の規制端3062と接触することで第2の回動軸206を中心にした表示部側固定部302の回動を規制する。
【0017】
本実施例の場合、第3のカシメ部308の円弧状もしくは楕円形状の外周の一部を平面にカットすることで第3カシメ部規制端3081が形成される。そして、第3カシメ部規制端3081と第2の規制端3061がと面接触することで、第2の回動軸206を中心にした表示部側固定部302の回動を規制する。
【0018】
操作部204に対する表示部201の動作に関して説明する。
【0019】
図4(a)は、表示部201の表示面202が操作部204と対面している状態、すなわち表示部201が閉じた状態を示す斜視図である。図4(b)は、表示部201が閉じた状態から第1の回動軸205周りに90度回動させた状態、すなわち表示部201が操作部204に対して正立した状態を示す斜視図である。図4(c)は、表示部201が閉じた状態に対して第1の回動軸205周りに180度回動させた状態を示す斜視図である。図4(d)は、表示部201が閉じた状態に対して第1の回動軸205周りに270度回動させた状態を示す斜視図である。図4(e)は、表示部201が閉じた状態に対して第1の回動軸205周りに90度、第2の回動軸206周りに180度回動させた状態を示す斜視図である。
【0020】
図4(a)から図4(e)まで示すように、使用者は表示面202を第1の回動軸205と第2の回動軸206周りに回動させて、表示面202をさまざまな向きに向けることが可能となる。よって、使用者は、表示面202を任意の方向に向けることによって、さまざまな方向から映像を確認することが可能となる。
【0021】
<表示制御スイッチ210の配置>
図5は表示部201を閉じた状態から第1の回動軸205周りに90度回動させた状態(表示部201が操作部204に対して正立した状態)を示す側面図である。図6は図5の場合の正面図である。図7は図5の場合から、さらに第2の回動軸206周りに180度回動させた状態を示す正面図である。図8は表示制御スイッチ210を複数個配置した表示装置102の斜視図である。
【0022】
図5に示すように、回動部格納部209は、操作部204のうち操作スイッチ群203が配置された操作スイッチ配置面501の面上からオフセットされた位置に形成される。このとき、回動部格納部209を構成する面のうち、操作スイッチ配置面501に対して平行になる面を表示スイッチ配置領域502とし、操作スイッチ配置面501に対して略垂直となり、表示部201の底部と対向する面を表示部収納面503とする。
【0023】
操作スイッチ配置面501と表示スイッチ配置領域502に対する垂直方向へのオフセット量(L)は、表示部201の厚さ505によって決定される。これは表示部201を閉じたときに表示部201の背面側が、表示スイッチ配置領域502に対して高さ方向に著しく突出することがないようにするためである。たとえば、Lは表示部201の厚さ505と同じであれば、表示面202の背面側と表示スイッチ配置領域502とが同一平面上にある。
【0024】
また、回動部格納部209の操作スイッチ配置面501に対する水平方向へのオフセット量(L)は、前述の高さ方向へのオフセット量と同様に、表示部201の厚さ505によって決定される。これは、図4(a)に示す閉じた状態から、図4(d)に示すような第1の回動軸205を中心に表示部201を270度回転させた状態まで、表示部201が操作部204の側面部に接触することなく回転できるようにするためである。
【0025】
たとえば、Lは表示部201の厚さ505と同じであり、第1の回動軸205から表示スイッチ配置領域502までの距離(L2)がLの半分、第1の回動軸205から操作部204の側面までの距離(L3)がLの半分であるとする。このように設定すれば、第1の回動軸205を中心に表示部201を270度回転させたときに、表示部201が操作部204の側面部に接触することはない。
【0026】
回動部格納部209の表示部収納面503の位置は、図4(a)に示す閉じた状態において、表示部収納面503と表示部下端504とのクリアランスが表示部201の回動に差し支えないような範囲になるように設定されている。たとえば、表示部収納面503の下部は表示部収納面503と表示部下端504とのクリアランスがほとんどゼロに設定される一方で、表示部収納面503の上部は表示部201の回転に合わせ、表示部下端504の軌跡に合わせて円弧状とすることが考えられる。また、全体的に円弧状やテーパ状であっても良いし、上部のみテーパ状としても良い。
【0027】
そして、本実施形態においては、表示部201が操作部204に対して正立した状態で、撮影者(ユーザ)が表示スイッチ配置領域502に設けられた表示制御スイッチ210を操作可能となっている。具体的には、第1の回動軸205から表示部下端504までの距離(L1)と第1の回動軸205から表示スイッチ配置領域502までの距離(L2)の差分L1−L2は人の指が入る程度の間隔に設定される。
【0028】
本実施例において、表示制御スイッチ210は、表示部201の姿勢に応じて表示面202への表示を、使用者が選択的に表示を切り替えることができる表示反転スイッチとした。しかし、表示面202への表示と非表示を切り替える表示ON/OFFスイッチ、表示部に表示されているアイコンの表示と非表示を切り替えるアイコンON/OFFスイッチでもよい。さらに、図8に示すように、表示スイッチ配置領域502を広く確保できるため、複数個の表示制御スイッチ210を配置してもよい。
【0029】
また、図6に示すように、第2の回動軸206が表示部201(操作部204)の幅方向中心位置601に対して、L4だけ離れた位置(表示部201の中心軸と平行ではあるが一致しない位置)に配置されている。このような配置にすることで、例えば、図7のような表示部201の配置にした際に、表示スイッチ配置領域502を大きく取れるため、表示制御スイッチ210の操作性が向上する。
【0030】
以上、説明したように、互いに直交する2軸周りの回動部を有する表示装置であって、表示部の回動によって生じたクリアランスを利用して操作スイッチを配置することで、表示部と使用者の位置に関わらず、操作スイッチを操作することが可能となる。
【0031】
<変形例>
また、実施形態では、デジタルビデオカメラに用いられる表示装置として説明してきた。しかしながら、この表示装置をラップトップ型のパーソナルコンピュータや折り畳み式の携帯電話、ゲーム機器のような電子機器に当てはめることも可能である。たとえばラップトップ型のパーソナルコンピュータに当てはめた場合、操作部204にはキーボードやタッチパッドが配置される。またこの場合は、表示制御スイッチ210は必ずしも表示に関するものでなく、表示を確認しながら操作するスイッチであっても良い。
【0032】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0033】
201 表示部
204 操作部
205 第1の回動軸
206 第2の回動軸
207 回動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の操作部材が配置された操作部と、
表示面および反対側の背面を有し開閉可能な表示部と、
前記操作部と前記表示部とを連結する回動部であって、前記操作部に対して前記表示面を開閉可能に回動保持する第1の回動軸と、前記表示部を開いた状態で回動可能であり、前記第1の回動軸に対して直交する第2の回動軸とを有する回動部と、
前記表示部が前記操作部に対して正立させた際に前記表示部の底部と対向する面に、第2の操作部材が設けられた回動部格納部を有し、
前記表示部が前記操作部に対して正立した際に、前記第2の操作部材を設けた面と前記表示部の底部との間に、ユーザが前記第2の操作部材を操作可能なように間隔を設けたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第2の回動軸は、前記表示部の中心軸と平行であるが一致しないことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部を閉じた状態で、前記第2の操作部材を設けた面と前記表示部の背面とが同一平面上にあることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2の操作部材は、前記表示部に表示する画像の向きを変更するためのスイッチであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−93723(P2013−93723A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234202(P2011−234202)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】