説明

表示装置

【課題】ELシートを表示装置として使用し、EL表示装置を構成するm行×n列のELシートを互いに独立に、オン、オフ制御する場合、m×n本の信号線を設ける必要がなく、画素数が多くなっても、ELシートを使用した表示装置に接続する信号線が太くならない表示装置を提供することを目的とするものである。
【解決手段】複数のELシートと、電源供給制御手段と、上記電源供給制御手段を固定しているフレキシブル基板とを設け、上記電源供給手段は、所定の映像信号に応じて、上記複数のELシートのそれぞれに供給する電源のオン、オフを制御する電源供給制御手段であって、上記ELシートの発光面の反対側である裏面に設けられている表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のELシートを使用し、これら複数のELシートのそれぞれを互いに独立して、オン、オフ制御する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ELを使用して数字を表示し、この表示されている数字が横に複数配列されている表示装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許公開2002−357459公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ELシートを表示素子として使用し、多数のELシートの集合によって所定の文字を表示し、この表示されている文字が流れるように表示する装置を考えることができる。また、文字が流れるように表示する代わりに、絵等の画像が流れるように表示することも考えられる。
【0004】
このELシート使用の表示装置は、ELシート自体が非常に薄く、可撓性に富み、軽量であるので、このEL表示装置を壁面に取り付ける作業が容易であり、取り付け前にEL表示装置を巻いて運搬することができ、運搬の容易性にも優れている。
【0005】
しかし、EL表示装置を構成するm行×n列のELを互いに独立にそのオン、オフを制御するためには、m×n本の信号線(画像信号に対応する信号線)を必要とし、画素数が多くなる程、信号線が多くなり、信号線を束ねた束が太くなり、EL自体が有する軽量性、運搬容易性という利点が没却されるという問題がある。
【0006】
本発明は、ELシートを表示装置として使用し、EL表示装置を構成するm行×n列のELシートを互いに独立に、オン、オフ制御する場合、m×n本の信号線を設ける必要がなく、画素数が多くなっても、ELシートを使用した表示装置に接続する信号線が太くならない表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のELシートと、電源供給制御手段と、上記電源供給制御手段を固定しているフレキシブル基板とを設け、上記電源供給手段は、所定の映像信号に応じて、上記複数のELシートのそれぞれに供給する電源のオン、オフを制御する電源供給制御手段であって、上記ELシートの発光面の反対側である裏面に設けられている表示装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のELシートを使用して表示装置を構成し、EL表示装置を構成するm行×n列のELシートを、互いに独立にそのオン、オフを制御する場合、m×n本の画像信号に対応する信号線を必要とせず、画素数が多くなっても、表示装置に接続する信号線が太くならないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1である表示装置100を示す正面図であり、その表示面を示す図である。
【0011】
表示装置100は、8行×8列のマトリクスを構成する64個のELシートS11、S12、……、S87、S88と、遮光板20と、接点C0と、ケーブル10と、インバータおよび信号発生回路30とを有する。
【0012】
ELシートS11、……、S88は、8行×8列のマトリクスを構成し、このマトリクスを構成する第1列のELシートは、ELシートS11、S12、S13、S14、S15、S16、S17、S18で構成され、第2列のELシートは、ELシートS21、S22、S23、S24、S25、S26、S27、S28で構成され、……、第8列のELシートは、ELシートS81、S82、S83、S84、S85、S86、S87、S88で構成されている。
【0013】
遮光板20は、64個のELシートS11、S12、……、S87、S88を固定し、フレキシブルな板であることが望ましい。また、遮光板20は、ELシートS11、S12、……、S87、S88が発光した光の一部を遮光するものである。遮光板20の遮光率は、たとえば、20〜60%である。この遮光によって、表示装置100が表示する文字、画像を、磨りガラスを通して見たと同じ状態になり、表示装置100が表示する文字、画像のコントラストが高くなる。
【0014】
ケーブル10には、後述するが、入力映像信号、シフトクロック、ラッチ信号が流れ、また、EL発光用電力線が含まれている。したがって、ケーブル10は、5本の導線が設けられていれば足りる。
【0015】
インバータおよび信号発生回路30は、ELシートS11、……、S88のそれぞれの発光を制御するために、入力映像信号、シフトクロック、ラッチ信号と、EL発光用電力とを出力する回路である。
【0016】
図2は、表示装置100の裏面を示す図である。
【0017】
表示装置100の裏面には、64組の接点C11、…、C18と、接点C21、C22、……、C28と、……、接点C81、C82、……、C88と、上記64組の接点のそれぞれを直列に接続するための配線とが設けられている。
【0018】
64組の接点C11、…、C88は、ELシートS11、S12、……、S87、S88のそれぞれに対応して接続されている。また、接点C11、…、C88のそれぞれは、2つの接続部分を有する。
【0019】
図3は、表示装置100に使用する制御ボードB1を示す図である。
【0020】
制御ボードB1は、第1列のELシートS11〜S18用の制御ボードであり、図3は、その実装面を示す図である。
【0021】
第1列のELシートS11〜S18用制御ボードB1は、接点C1bと、シフトレジスタSR1と、ラッチ回路LT1と、スイッチング回路SW1と、接点C11b、C12b、C13b、C14b、C15b、C16b、C17b、C18bと、映像信号入力線L11と、シフトクロック線L12と、ラッチ信号線L13と、EL発光用電力線L14、L15と、映像信号出力線L16とを有する。
【0022】
制御ボードB1は、所定の映像信号に応じて、上記複数のELシートのそれぞれに供給する電源のオン、オフを制御する電源供給制御手段であって、上記ELシートの発光面の反対側である裏面に設けられている電源供給制御手段の例である。
【0023】
より具体的には、シフトレジスタSR1とラッチ回路LT1とスイッチング回路SW1とは、所定の映像信号に応じて、上記複数のELシートのそれぞれに供給する電源のオン、オフを制御する電源供給制御手段であって、上記ELシートの発光面の反対側である裏面に設けられている電源供給制御手段の例である。
【0024】
なお、上記電源供給手段は、MPUで構成するようにしてもよい。
【0025】
シフトレジスタSR1は、ケーブル10を介して、インバータおよび信号発生回路30から受信した8ビットのシリアル信号(映像信号、データ信号)をパラレル信号に変換する回路である。
【0026】
ラッチ回路LT1は、シフトレジスタSR1が変換したパラレル信号を一時的に保持する回路である。
【0027】
スイッチング回路SW1は、ラッチ回路LT1が保持している信号に応じて、ELシートS11、S12、……、S17、S18のそれぞれの発光を制御する回路である。
【0028】
コネクタC1bは、表示装置100の裏面に設けられているコネクタC1に接続されるコネクタである。
【0029】
図4は、表示装置100の裏面(非表示面)に、制御ボードB1を接続した状態を示す図である。
【0030】
コネクタC1とC1bとが接続され、接点C11とC11bとが接続され、接点C12とC12bとが接続され、……、接点C18とC18bとが接続されている。
【0031】
コネクタC1とC1bとの接続方法、接点C11とC11bとを接続する場合、異方性導電材で接続するようにしてもよい。この異方性導電材は、xyz軸のうちの1つの軸方向(双方向)でのみ、通電するが、他の方向では通電しない導電性材料であり、熱溶着する材料である。また、導電性テープを使用して、コネクタC1とC1bとの接続、接点C11とC11bとの接続等を行なうようにしてもよい。
【0032】
なお、遮光板20と、制御ボードB1とが、図示しないクリップによって固着されていてもよい。また、遮光板20に穴が設けられ、この穴に対応する位置であって制御ボードB1の位置に突起が設けられ、上記穴に突起が嵌合することによって、遮光板20と制御ボードB1とが互いに固着されるようにしてもよい。
【0033】
図5は、表示装置100の裏面(非表示面)に、制御ボードB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8を接続した状態を示す斜視図である。
【0034】
制御ボードB2は、第2列のELシートS21〜S28用制御ボードであり、制御ボードB3は、第3列のELシートS31〜S38用制御ボードであり、制御ボードB4は、第4列のELシートS41〜S48用制御ボードである。また、制御ボードB5は、第5列のELシートS51〜S58用制御ボードであり、制御ボードB6は、第6列のELシートS61〜S68用制御ボードであり、制御ボードB7は、第7列のELシートS71〜S78用制御ボードであり、制御ボードB8は、第8列のELシートS81〜S88用制御ボードである。
【0035】
表示装置100の裏面(非表示面)と、制御ボードB2、B3、B4、B5、B6、B7、B8のそれぞれとの接続方法、固着方法は、遮光板20と制御ボードB1との接続方法、固着方法と同様である。
【0036】
図6は、表示装置100の裏面(非表示面)に、制御ボードB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8を接続した状態を示す平面図である。
【0037】
図5、図6に示す遮光板20、制御ボードB1〜B8は、実際の厚さよりも厚く記載されている。
【0038】
図7は、表示装置100における全体の回路構成を示す図である。
【0039】
表示装置100は、シフトレジスタSR1〜SR8と、ラッチ回路LT1〜LT8と、スイッチング回路SW1〜SW8と、ELシートS11〜S88とを有する。
【0040】
そして、シフトレジスタSR1〜SR8が直列に接続されている。
【0041】
つまり、インバータおよび信号発生回路30からシフトクロック信号を1つ受信すると、シフトレジスタSR1が、新たな1ビットのシリアル映像信号を入力するとともに、8ビット前に入力した1ビットのシリアル映像信号を出力し、この出力したシリアル映像信号を、シフトレジスタSR2が入力するとともに、8ビット前にシフトレジスタSR2が入力した1ビットのシリアル映像信号を出力し、……、8ビット前にシフトレジスタSR7が入力したシ1ビットのリアル映像信号を出力し、この出力したシリアル映像信号を、シフトレジスタSR8が入力するとともに、8ビット前にシフトレジスタSR8が入力した1ビットのシリアル映像信号を出力する。
【0042】
次に、表示装置100の動作について説明する。
【0043】
制御ボードB1の接点C11b、C12b、C13b、C14b、C15b、C16b、C17b、C18bは、それぞれ、表示装置100の裏面に設けられている接点C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18に接続されている。
【0044】
そして、インバータおよび信号発生回路30において、図示しない電源スイッチを操作し、電源が投入されると、インバータおよび信号発生回路30から、正弦波のEL発光用電力(たとえば200V、1KHz)、ラッチ信号、シフトクロック、映像信号が出力される。64枚のELシートS11〜S88のそれぞれが1つの画素を構成し、つまり、64画素によって、種々の文字、画像等の映像を表示し、この映像を表示するための信号が、上記映像信号である。
【0045】
ここで、表示装置100に文字「A」を、右から左に流れるように、表示する場合を例にとって、表示装置100の動作について説明する。
【0046】
図8は、実施例1における動作説明図である。
【0047】
文字「A」は、図8(4)に示すように、8行×8列で表示され、まず、第1タイミング(電源投入後、8つのシフトクロック信号と1つのラッチ信号とを、インバータおよび信号発生回路30から受信し、スイッチング回路SW1〜SW8がスイッチングを開始したタイミング)で、図8(1)に示すように、「A」の第1列が表示される。
【0048】
上記第1タイミングでは、インバータおよび信号発生回路30から、8ビットのシリアルの映像信号「00000011」が出力され、この映像信号「00000011」が、制御ボードB1における映像信号入力線L11を介して、1ビットづつシフトレジスタSR1に格納される。この格納が終了すると、ラッチ信号線L13を介して、ラッチ信号がラッチ回路LT1に印加され、映像信号「00000011」が、ラッチ回路LT1にラッチされる。
【0049】
ラッチ回路LT1の出力信号「00000011」が、スイッチング回路SW1を構成する8つのスイッチング素子のそれぞれのオン、オフを制御する。つまり、EL発光用電力線L14と、コネクタC11b、C12b、C13b、C14b、C15b、C16bのそれぞれとの接続をオフするので、コネクタC11b、C12b、C13b、C14b、C15b、C16bのそれぞれと接続されているELシートS11、S12、S13、S14、S15、S16が発光されない。
【0050】
一方、EL発光用電力線L14と、コネクタC17b、C18bのそれぞれとの接続をオンするので、コネクタC17b、C18bのそれぞれと接続されているELシートS17、S18が発光される。
【0051】
したがって、第1タイミングにおいて、表示装置100は、図8(1)に示すように、発光、表示する。なお、図8において、発光しているELシートを白色で表示し、発光していないELシートを網点で表示している。
【0052】
なお、上記第1タイミングにおいて、制御ボードB2〜B8における映像信号入力線L12〜L18には、全て「00000000」の映像信号が出力されているので、制御ボードB2〜B8におけるELシートは全て発光していない。
【0053】
次に、第2タイミング(電源投入後、16個のシフトクロック信号と2つのラッチ信号とを、インバータおよび信号発生回路30から受信し、スイッチング回路SW1〜SW8がスイッチングを開始したタイミング)において、インバータおよび信号発生回路30から、8ビットのシリアルの映像信号「00001110」が出力され、この映像信号「00001110」が、制御ボードB1における映像信号入力線L11を介して、シフトレジスタSR1に格納される。この格納が終了すると、ラッチ信号線L13を介して、ラッチ信号がラッチ回路LT1に印加され、映像信号「00001110」が、ラッチ回路LT1にラッチされる。
【0054】
ラッチ回路LT1の出力信号「00001110」が、スイッチング回路SW1を構成する8つのスイッチング素子のそれぞれのオン、オフを制御する。つまり、EL発光用電力線L14と、コネクタC11b、C12b、C13b、C14b、C18bのそれぞれとの接続をオフするので、コネクタC11b、C12b、C13b、C14b、C18bのそれぞれと接続されているELシートS11、S12、S13、S14、S18が発光されない。
【0055】
一方、EL発光用電力線L14と、コネクタC15b、C16b、C17bのそれぞれとの接続をオンするので、コネクタC15b、C16b、C17bのそれぞれと接続されているELシートS15、S16、S17が発光する。
【0056】
また、第1タイミングにおいて、制御用ボードB1に設けられているシフトレジスタSR1に格納されていた信号「00000011」は、シフトクロックを1つ受信する度に、1ビット出力され、この出力された信号は、制御用ボードB2に設けられているシフトレジスタSR2に送られ、電源投入後にシフトクロックが8つ発生すると、制御用ボードB2に設けられているシフトレジスタSR2には、信号「00000011」が格納され、第1タイミングにおいて制御ボードB1が行なった動作と同様に、制御用ボードB2が動作する。
【0057】
つまり、制御ボードB2において、EL発光用電力線L24と、コネクタC21b、C22b、C23b、C24b、C25b、C26bのそれぞれとの接続をオフするので、コネクタC21b、C22b、C23b、C24b、C25b、C26bのそれぞれと接続されているELシートS21、S22、S23、S24、S25、S26が発光されない。なお、ELシートS27、S28が発光する。
【0058】
したがって、第2タイミングにおいて、表示装置100は、図8(2)に示すように、発光、表示する。なお、図8において、発光しているELシートを白色で表示し、発光していないELシートを網点で表示している。
【0059】
上記第2タイミングにおいて、制御ボードB3〜B8における映像信号入力線L13〜L18には、全て「00000000」の映像信号が出力されているので、制御ボードB3〜B8に接続されているELシートは全て発光していない。
【0060】
上記と同様にして、第8タイミング(電源投入後、64個のシフトクロック信号と8つのラッチ信号とを、インバータおよび信号発生回路30から受信し、スイッチング回路SW1〜SW8がスイッチングを開始したタイミング)で、図8(3)に示すように、「A」の第8列が表示され、この時点で、文字「A」の全てが表示される。
【0061】
なお、1つのタイミング(たとえば、第1タイミング)の時間として、たとえば0.1秒間を設定すると、0.8秒間で、1文字が、右から左に流れるように表示される。上記1つのタイミング(たとえば、第1タイミング)の時間を、0.1秒間以外の任意の時間に設定するようにしてもよい。
【0062】
表示装置100によれば、表示装置100とインバータおよび信号発生回路30とを接続する配線を極端に減少することができ、したがって、表示装置100の全体を小型化することができる。
【実施例2】
【0063】
図9は、本発明の実施例2である表示装置200を示す図である。
【0064】
表示装置200は、表示装置100を複数、横に並べ、映像信号をシリアルで、順次、送り出し、横に長く表示する表示装置である。
【0065】
表示装置200によれば、複数の文字を同時に表示することができ、しかも、表示装置200とインバータおよび信号発生回路30とを接続する配線を極端に減少することができ、したがって、表示装置200の全体を小型化することができる。
【実施例3】
【0066】
図10は、本発明の実施例3である表示装置300を示す図である。
【0067】
表示装置300は、複数の表示装置100を、横と縦とに並べ、映像信号をシリアルで、順次、送り出し、横と縦に長く表示する表示装置である。
【0068】
表示装置300によれば、表示装置300の最上段に、所定の文字列が1行表示されると、その行頭から、順次、2行目に表示位置が移動し、2行目の表示位置における表示が終わると、3行目の表示位置における表示が行なわれ、……というように、複数行の表示が行われる。
【0069】
ところで、マトリクス状に配置した複数のELシートを発光させる場合、ダイナミック点灯方式とスタティック点灯方式とがある。
【0070】
上記「ダイナミック点灯方式」は、マトリクスの行と列とをそれぞれ走査し、走査している行と列との交点に配置されているELシートのみをその瞬間に、点灯・消灯を制御する方式であり、上記交点以外のELシートは消灯している方式である。したがって、ダイナミック点灯方式では、行毎、列毎に制御するので、点灯・消灯を制御するための配線が少ないという利点がある。しかし、ダイナミック点灯方式では、1つのELシートに着目した場合、点灯している時間が極めて短いので、輝度がそれ程高くないELシートを点灯させた場合、その平均輝度がより低くなり、よって、マトリクス状のELシートをダイナミック点灯方式で点灯させることは好ましくない。
【0071】
上記「スタティック点灯方式」は、マトリクス状に配置した複数のELシートのそれぞれに、点灯を制御する制御線を独立して接続し、各ELシートを、常時、点灯・消灯制御する方式である。したがって、スタティック点灯方式は、各ELシートを、常時、点灯・消灯制御するので、点灯すべきELシートは常に点灯しているので、平均輝度が高く、マトリクス状のELシートをスタティック点灯方式で点灯させることは好ましい。しかし、従来のスタティック点灯方式では、マトリクス状に配置した複数のELシートが増えるに従って、点灯を制御する制御線の数が、膨大な数になるという問題がある。
【0072】
上記各実施例は、ELシートの発光輝度低下を防ぐために、ダイナミック点灯方式ではなく、スタティック点灯方式を採用し、ELシートの点灯・消灯を制御する制御ボードB1〜B8等が、ELシートの裏面に設けられているので、表示装置100、200、300に接続する配線(インバータおよび信号発生回路30と各ELシートとを接続する配線)の数が膨大になることを防止することができる。
【0073】
つまり、上記実施例では、ELシートの点灯・消灯を制御する制御ボードB1〜B8等を、ELシートの背面に設置し、特に、高電圧部分をELシートの背面に設置してあるので、表示装置100、200、300と、インバータおよび信号発生回路30とを接続する配線を極端に減少することができ、したがって、表示装置100、200、300の全体を小型化することができる。
【0074】
また、上記各実施例によれば、マトリクス状に配列されたELシートの1列(マトリクスがたとえば8ドット×8ドットである場合、縦1列の8ドット分)のELシートの点灯・消灯を制御する回路を1枚の制御ボードで賄い、この制御ボードを複数枚、ELシートに取り付けている。したがって、上記実施例では、横方向(マトリクスの行方向)のフレキシブル性を維持することができる。
【0075】
なお、マトリクス状に配列されたELシートの2列(マトリクスがたとえば8ドット×8ドットである場合、縦2列の16ドット分)以上のELシートの点灯・消灯を制御する回路を1枚の制御ボードで賄うようにしてもよい。
【0076】
さらに、上記各実施例では、上記制御ボードとして、フレキシブル基板を使用し、しかも、使用部品として小型部品を使用すれば、ELシートの薄さと、縦方向(マトリクスの列方向)のフレキシブル性を維持することができる。
【0077】
また、マトリクス状に配列されたELシートの少なくとも1行(マトリクスがたとえば8ドット×8ドットである場合、横1行の8ドット分)のELシートの点灯・消灯を制御する回路を1枚の制御ボードで賄うようにしてもよい。この場合、フレキシブル基板を使用し、しかも、使用部品として小型部品を使用すれば、ELシートの薄さと、横方向(マトリクスの行方向)のフレキシブル性を維持することができる。
【0078】
そして、上記各実施例では、1つの制御ボードに入力する映像信号をシリアルで入力し、しかも、後続の制御ボードに出力する映像信号をシリアルで出力する。したがって、この点からも、映像信号を入力するための配線が激減する。
【0079】
つまり、上記実施例は、複数のELシートと、所定の映像信号に応じて、上記複数のELシートのそれぞれに供給する電源のオン、オフを制御する電源供給制御手段であって、上記ELシートの発光面の反対側である裏面に設けられている電源供給制御手段と、上記電源供給制御手段を固定しているフレキシブル基板とを有する表示装置の例である。
【0080】
この場合、上記複数のELシートは、m行×n列のマトリクスを形成し、上記フレキシブル基板は、上記m行の少なくとも1行毎に、または、上記n列の少なくとも1列毎に、設けられている。また、上記映像信号は、シリアル信号であり、上記電源供給制御手段は、上記シリアル信号を入力し、パラレル信号に変換するシフトレジスタと、上記シフトレジスタが変換したパラレル信号を記憶するメモリと、上記メモリに記憶されているパラレル信号に応じて、上記ELシートへの電源供給をオン、オフ制御するスイッチング回路とを有する手段である。さらに、後続の電源供給手段へも、シリアルの映像信号を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施例1である表示装置100を示す正面図であり、その表示面を示す図である。
【図2】表示装置100の裏面を示す図である。
【図3】表示装置100に使用する第1列のELシートS11〜S18用制御ボードB1を示す図であり、その実装面を示す図である。
【図4】表示装置100の裏面(非表示面)に、制御ボードB1を接続した状態を示す図である。
【図5】表示装置100の裏面(非表示面)に、制御ボードB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8を接続した状態を示す斜視図である。
【図6】表示装置100の裏面(非表示面)に、制御ボードB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8を接続した状態を示す平面図である。
【図7】表示装置100における全体の回路構成を示す図である。
【図8】実施例1における動作説明図である。
【図9】本発明の実施例2を示す図である。
【図10】本発明の実施例3を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
100、200、300…表示装置、
10…ケーブル、
20…遮光板、
30…インバータおよび信号発生回路、
S11〜S88…ELシート、
C0〜C8、C11b〜C88b…コネクタ、
C11〜C88…接点、
B1〜B8…制御ボード、
SR1〜SR8…シフトレジスタ、
LT1〜LT8…ラッチ回路、
SW1〜SW8…スイッチング回路、
L11、L21、L31、L41、L51、L61、L71、L81…映像信号入力線、
L12、L22、L32、L42、L52、L62、L72、L82…シフトクロック線、
L13、L23、L33、L43、L53、L63、L73、L83…ラッチ信号線、
L14、L24、L34、L44、L54、L64、L74、L84、L15、L25、L35、L45、L55、L65、L75、L85…EL発光用電力線、
L16、L26、L36、L46、L56、L66、L76、L86…映像信号出力線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のELシートと;
所定の映像信号に応じて、上記複数のELシートのそれぞれに供給する電源のオン、オフを制御する電源供給制御手段であって、上記ELシートの発光面の反対側である裏面に設けられている電源供給制御手段と;
上記電源供給制御手段を固定しているフレキシブル基板と;
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記複数のELシートは、m行×n列のマトリクスを形成し、
上記フレキシブル基板は、上記m行の少なくとも1行毎に、または、上記n列の少なくとも1列毎に、設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記映像信号は、シリアル信号であり、
上記電源供給制御手段は、
上記シリアル信号を入力し、パラレル信号に変換するシフトレジスタと;
上記シフトレジスタが変換したパラレル信号を記憶するメモリと;
上記メモリに記憶されているパラレル信号に応じて、上記ELシートへの電源供給をオン、オフ制御するスイッチング回路と;
を有する手段であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1において、
後続の電源供給手段へも、シリアルの映像信号を送信することを特徴とする表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−140071(P2007−140071A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333137(P2005−333137)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(301065227)株式会社国際経済協力機構 (4)
【出願人】(505346001)
【出願人】(500088852)
【出願人】(505345358)
【Fターム(参考)】