説明

被せ式通気管

【課題】破損して使用不能となった通気管を、タンク内の水を引き抜くことなく作業員一人で簡単に使用可能な状態にする。
【解決手段】既設の使用不能となった通気管の傘部6のみを取り外し、当該通気管の根部にシリコーン充填材7を注入した後、被せ式通気管および新たな傘部8を被せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
破損して使用不能となった通気管を本発明の通気管を上から被せるだけで簡単に使用可能な状態にする物。
【背景技術】
【0002】
有効容量が2立方メートル以上の貯水タンクに対して、当該タンク内の空気流通を良好に保つため、当該タンク上部または天井部に通気管を設置することが簡易専用水道法で定められている。
【0003】
現在使用されている通気管は、タンク内部からタンク外部へ突き出し、タンク内部から通気管本体をねじ込んで固定する、またはボルトで固定されている。タンク内部から通気管を固定しているのは、部外者が簡単に通気管を取り外し出来ない様にするためである。即ち、イタズラや種々の犯罪を防止するためである。
【0004】
通気管の材質および形状は様々であるが、いずれの通気管も管端部には昆虫および小動物の進入を防止するネット(以下、防虫ネット)が取り付けてある。
【0005】
屋外設置型貯水タンクに装着された通気管は、太陽光線による紫外線や風雨などによって経年劣化する。また、屋内設置型貯水タンクであっても水道水中に含まれる塩素ガスによってネットが劣化および破損する。従って、貯水タンク使用中に通気管を交換する必要がある。
【0006】
通気管は貯水タンク内部から取り付けてあるため、取り替え時には貯水タンク内の水を全て排水した後、作業員二人を要して取り替え作業を行っている。
【0007】
以上より、通気管を取り替えるために膨大な時間と、それに伴う膨大な諸費用が必要となる。しかしながら、短時間でかつ容易に通気管を使用可能な状態にする方策は未だ見出されていない。
【非特許文献1】WAFOOネット(立ち入り検査機関)仕様書・ホームページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
貯水タンクに設置した通気管が劣化および破損し、当該通気管を交換する場合、従来では必ず貯水タンク内の全排水が行われてきた。また、それに伴う時間・労力および諸費用が膨大となり、確実かつ容易に通気管を取り替える手法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
取り替える必要のある通気管の上から本発明品である通気管を被せた後、樹脂などの充填剤で固定する。
【0010】
本発明の通気管の材質はFRP、ポリエチレン、塩化ビニル、ポリプロピレン、およびステンレスなど材質は問わない。
【0011】
充填剤の材質はシリコーンおよびウレタンなど材質は特に問わない。
【発明の効果】
【0012】
本発明品である通気管は、上から被せるタイプであるため、タンク内の水を引き抜く必要がなく、確実かつ容易に通気管の取り替えが可能となった。
【0013】
作業員一人で通気管の取り替えが可能となった。
【0014】
充填剤はコーキングの機能を果たすため、防水性に優れる。
【0015】
簡易専用水道立ち入り検査の指摘を全て合格した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明品である通気管の作製実施例を実施例1として、適応実施例を実施例2として以下に示す。
【実施例1】
【0017】
本発明品である通気管の概略図を図1に示す。
【0018】
開口部の裾を大きく広げ、開口部またはその周囲に直径1〜10cmの穴、およびそれに準ずる穴を1〜4ヶ所開けたFRP製の筒を用意した。
【0019】
上記FRP製筒に開けた穴を0.1〜3.0mmメッシュのポリエチレン製ネットを取り付けた。
【0020】
ネット部を隠す様に雨水浸入防止用の傘を装着した。当該傘は通気管設置の前または後に装着できる。または予め傘と通気管とを一体型しておいてもよい。
【実施例2】
【0021】
本発明品である通気管をFRP貯水タンクへ適応した場合の概略図を図2に示した。
【0022】
既設の使用不能となった通気管の傘部のみを取り外し、当該通気管の根部にシリコーン充填剤を注入した後、本発明品である通気管を被せた。さらにその上から傘を被せて作業を完了した。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の被せ式通気管を利用すると短時間・低費用・低労力および確実に通気管を使用可能な状態にすることが出来る。本発明品は貯水タンク用に発明された物であるが、簡単かつ確実に設置出来ること、および防虫ネットを装着しているという特徴を有することから、種々の通気口および排気口の新設およびリニューアルにも利用できる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明品である被せ式通気管の概略図である。
【図2】図2は本発明品である被せ式通気管の装着例である。
【符号の説明】
【0025】
ア 通気穴(防虫ネット装着)
イ 本体
1 取り替えるべき通気管
2 傘部を撤去
3 旧通気管の根部に充填剤を注入
4 本発明の被せ式通気管を被せる
5 新たな傘部を装着
6 旧通気管傘部
7 充填剤
8 新しい傘部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水タンクに装着された通気管が使用不能になった場合、貯水タンク内の水を引き抜くことなく、新たに被せるだけで使用可能に出来る通気管。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−226007(P2006−226007A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41779(P2005−41779)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(597083172)有限会社こうすい (9)