説明

被覆造粒種子

【課題】高い発芽率を有する球形の被覆造粒種子を提供する。
【解決手段】造粒材に粉状の揺変剤を添加した被覆材で種子を被覆造粒する。そして、揺変剤の添加量を、造粒材100重量部に対し、0.1重量部〜1.0重量部の範囲とする。揺変剤としては、水素添加ひまし油、脂肪酸アミド及びそれらの誘導体の少なくとも1つが好ましい。水素添加ひまし油としては、ヒドロキシ脂肪酸を主成分とするものが好ましく、12−ヒドロキシステアリン酸を主成分とするものがより好ましい。また、脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミドが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種子を被覆材で被覆した被覆造粒種子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、播種作業の省力化を図るために、多用な形状をした作物種子を造粒材によって被覆造粒し球形化することが行われている。この被覆造粒に用いる造粒材としては、鉱物粉体などの天然の無機粉体がこれまでから広く使用されている。
【0003】
ところが、天然の無機粉体は、組成及び品質にばらつきがあり、被覆造粒した粒子が球形化せず異形化することがあった。被覆造粒した種子が異形化すると、例えば播種機による播種が円滑に行われないなどの不具合が生じる。このため、ポリビニルアルコール(PVA)やカルボキシメチルセルロース(CMC)、ゼラチンなどの結合剤を造粒材に添加して被覆造粒種子の球形化を促進させることが行われている(例えば特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58-141709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、結合剤を多量に添加すると被覆造粒種子は球状になるものの種子の発芽率が低下する。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い発芽率を有する球形の被覆造粒種子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、造粒材に粉状の揺変剤を添加した被覆材で種子を被覆造粒した被覆造粒種子であって、前記揺変剤の添加量が、前記造粒材100重量部に対し、0.1重量部〜1.0重量部の範囲であることを特徴とする被覆造粒種子が提供される。
【0008】
前記揺変剤としては、水素添加ひまし油、脂肪酸アミド及びそれらの誘導体の少なくとも1つが好ましい。
【0009】
水素添加ひまし油としては、ヒドロキシ脂肪酸を主成分とするものが好ましく、12−ヒドロキシステアリン酸を主成分とするものがより好ましい。
【0010】
また、脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミドが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る被覆造粒種子は、粉状の揺変剤を造粒材に所定量添加した被覆材で種子を被覆造粒したものであるので、球形でしかも高い発芽率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】球形の被覆造粒種子の写真である。
【図2】非球形の被覆造粒種子の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る被覆造粒種子の大きな特徴の一つは、被覆材として、造粒材に粉状の揺変剤を添加した被覆材を用いることにある。機構は未だ充分には解明されていないが、揺変剤を添加すると、造粒材として、組成や品質にばらつきのある天然無機粉体を使用した場合であっても、被覆造粒種子の形状は球形となる。
【0014】
本発明で使用する揺変剤としては、粉体のものであれば特に限定はなく従来公知の揺変剤が使用できる。中でも、水素添加ひまし油、脂肪酸アミド及びそれらの誘導体が好適に使用できる。水素添加ひまし油としては、ヒドロキシ脂肪酸を主成分とするものが好ましく、より好ましくは12−ヒドロキシステアリン酸を主成分とするものである。また、揺変剤の平均粒径は、1〜100μmが好ましく、さらに好ましくは5〜50μmの範囲である。
【0015】
また、脂肪酸アミドとしては、例えば、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−イソブチルラウリン酸アミド、N−イソブチルステアリン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N,N´−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N´−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N´−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N´−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N´−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N´−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N´−ブチレンビスステアリン酸アミド、N,N´−ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N´−ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド等が挙げられる。この中でも、ステアリン酸アミドが好適に使用される。
【0016】
また、揺変剤の添加量を、造粒材100重量部に対し、重量部0.1重量部〜1.0重量部の範囲とすることも本発明の大きな特徴である。揺変剤の添加量が0.1重量部未満では、被覆造粒種子が異形化することがあり、添加量が1.0重量部を超えると種子の発芽率が低下する。
【0017】
本発明で使用する造粒材としては、従来公知の造粒材を使用でき、例えば無機粉体に、必要により結合剤や添加剤を配合したものが好適に使用できる。無機粉体としては、カオリン鉱物(カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロサイト等)、蛇紋石(クリソタイル、リザータイト、アンチコライト、アメサイト等)、モンモリロナイト鉱物(ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト等)、スメクタイト(サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、ハイデライト等)、パイロフィライト、タルク、蝋石、雲母(白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等)、シリカ(クリストバライト、クォーツ等)、複鎖型粘土鉱物(パリゴルスカイト、セピオライト等)、石膏等の硫酸塩鉱物、ドロマイト、炭酸カルシウム、ギプサム、ゼオライト、沸石、凝灰石、バーミキュライト、ラポナイト、軽石、珪藻土、酸性白土、活性白土などが挙げられる。これらの無機粉体のうち1種を単独で、又は、2種以上を混合若しくは併用して用いることができる。無機粉体の平均粒径は、1〜100μmが好ましく、さらに好ましくは5〜50μmの範囲である。
【0018】
結合剤としては、従来公知のものが使用できる。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ショ糖、セルロース・アセテート、セルロース・アセテート・プロピオネート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、ゼラチン等が挙げら、これら1種又は2種以上を組み合わせて使用する。
【0019】
また、必要により配合する添加剤としては、例えば、過酸化カルシウム等の発根・発芽促進剤、植物ホルモン、消毒・殺菌剤、農薬、肥料、造粒物の比重を大きくするための砂や鉄粉等の錘、魚等に食べられないようにするための着色剤や忌避剤、水硬性物質の硬化を促進させるための硬化促進剤等が挙げられる。
【0020】
被覆造粒される種子については、その形状及び種類に特に限定はなく、例えば(i)長さ2.0〜5.0mm、幅0.5〜2.0mm、且つ、厚さ0.3〜0.5mmの長粒状の種子(例えば、レタス種子が挙げられる。)、(ii)直径1.0〜3.0mmの略球状の種子(例えば、キャベツ種子が挙げられる。)及び(iii)直径1.5〜4.0mmの偏平な卵円状の種子(例えば、ナス種子が挙げられる。)、並びに、他の任意の形状の種子が挙げられる。詳しくは、例えば野菜種子、草花種子、牧草種子、野草種子、穀物種子及び工芸作物種子が挙げられ、より具体的には以下のものが挙げられる。
【0021】
野菜種子としては、例えばキュウリ、メロン、カボチャ等のウリ科の野菜種子;ナス、トマト等のナス科の野菜種子;エンドウ、インゲン等のマメ科の野菜種子;タマネギ、ネギ等のユリ科の野菜種子;カブ、ハクサイ、キャベツ、ハナヤサイ等のブラシカ属及びダイコンなどのアブラナ科の野菜種子;ニンジン、セロリ等のセリ科の野菜種子;ゴボウ、レタス、シュンギク等のキク科の野菜種子;シソ等のシソ科の野菜種子;ホウレンソウ等のアカザ科の野菜種子等が挙げられる。これらの中でも、被覆造粒種子が異形化すると特に不具合を生じる略球形状の種子であるユリ科、アブラナ科の野菜種子について本発明は好適に適用される。
【0022】
草花種子としては、例えばハボタン、ストック、アリッサム等のアブラナ科の草花種子、例えばロベリア等のキキョウ科の草花種子、例えばアスター、ジニア、ヒマワリ等のキク科の草花種子、例えばデルフィニウム等のキンポウゲ科の草花種子、例えばキンギョソウ等のゴマノハグサ科の草花種子、例えばプリムラ等のサクラソウ科の草花種子、例えばベゴニア等のシュウカイドウ科の草花種子、例えばサルビア等のシソ科の草花種子、例えばパンジー、ビオラ等のスミレ科の草花種子、例えばペチュニア等のナス科の草花種子、例えばユーストマ等のリンドウ科の草花種子等が挙げられる。
【0023】
牧草種子としては、例えば、チモシー(オオアワガエリ)、イタリアンライグラス(ネズミムギ)、バーミューダグラス(ギョウギシバ)、オーツヘイ(燕麦)、スーダングラス、クレイングラス、フェスク、及び、オーチャードグラス(カモガヤ)の牧草種子が挙げられる。
【0024】
野草種子としては、例えば、アルファルファ(ムラサキウマゴヤシ)、クローバー(シロツメクサ)等のマメ科の野草種子、例えばメヒシバ等のイネ科の野草種子等が挙げられる。
【0025】
穀物種子としては、例えば、イネ、オオムギ、コムギ、ダイズ、アワ、ヒエ及びキビが挙げられる。
【0026】
工芸作物種子としては、例えば、テンサイなどのアカザ科種子、タバコなどのナス科種子、ナタネなどのアブラナ科種子、イグサ等のイネ科種子が挙げられる。
【0027】
被覆造粒種子は、例えば、前記種子に対して、傾斜回転パン型造粒機や流動層造粒機等の従来公知の造粒機を用いて、水及び/又は結合剤を噴霧しながら、揺変剤を添加した無機粉体を徐々に供給することにより製造される。撥水剤や農薬活性成分、顔料等も必要により無機粉体に混合しても構わない。また、造粒操作を繰り返して被覆層を積層構造としても構わない。そしてまた、長時間の輸送や保存を考慮した場合には、造粒後に被覆造粒種子を乾燥することが推奨される。被覆造粒種子を乾燥する場合の品温としては、種子に高温ストレスを与えないよう、50℃以下、詳しくは5℃〜50℃の範囲が好ましい。乾燥装置としては、従来公知の乾燥装置を用いることができ、例えば流動層乾燥機やドラム乾燥機、静置式の棚型乾燥機などが好適に使用される。
【0028】
被覆造粒種子の粒径については特に限定はなく、播種作業の作業性に応じて、また、種子の発芽を妨げない程度の大きさとなるように、種子の大きさや植物種に応じて適宜決定される。平均粒径としては通常1〜20mmの範囲が好適である。具体的には、キャベツ、レタス、ハクサイ、ニンジンなどの野菜種子については、直径2.5〜3.5mm;タマネギ及びネギ類、トマト、ナス等の大型の種子については、直径3.5〜4.5mm;ユーストマ等の微細な種子については、直径1.0〜1.7mmである。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
(被覆材の作製)
無機粉体としてのパリゴルスカイト80重量部、撥水剤としてのステアリン酸カルシウム20重量部、揺変剤としての水素添加ひまし油0.1重量部をそれぞれ小型タンブラーミキサーに投入し、30分撹拌混合し、種子被覆用の被覆材を作製した。
【0031】
(被覆造粒種子を作製)
種子としてのタマネギの種子30g(粒数:9000粒)を直径36cmの遠心流動型の転動造粒機に投入し、回転撹拌させながら、水道水をスプレーで噴霧して、種子に吹きつけながら、被覆材を徐々に投入し、最終的に100粒の重量が3gになるまで造粒した。そして、造粒機から造粒物を取り出し、35℃の温風を15分間吹き付けて、被覆層を乾燥した。次いで、35℃設定の棚置き乾燥機に一晩入れ、内部種子の含水率が7%dw以下になるまで乾燥した。乾燥後の被覆造粒種子を篩にかけ、直径約3.5mmの被覆造粒種子を得た。得られた被覆造粒種子の球形化率及び発芽率を下記のようにして測定した。結果を表1に示す。
【0032】
(球形化率の測定)
得られた被覆造粒種子から200粒を無作為抽出し、球形のものと非球形のものとを目視によって選別し、球形の被覆造粒種子の個数割合を算出して、これを球形化率(%)とした。なお、最長径/最短径が1.1以下のものを球形とした。図1に、球形の被覆造粒種子の写真を、図2に、非球形の被覆造粒種子の写真をそれぞれ示す。
【0033】
(発芽試験)
濾紙2枚を敷いた直径9cmのシャーレを2個用意し、そこに水4.5mL及び6.0mLを滴下した後、被覆造粒種子の50粒をそれぞれ置床し、温度20℃で約900ルクスの光条件下で保存して10日目の発芽率(%)を測定した。
【0034】
(実施例2)
水素添加ひまし油の添加量を1.0重量部とした以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
(実施例3)
揺変剤としてステアリン酸アミドを用いた以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0036】
(実施例4)
揺変剤としてステアリン酸アミドを用い、添加量を1.0重量部とした以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
揺変剤として、水素添加ひまし油0.05重量部及びステアリン酸アミド0.05重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0037】
(実施例6)
揺変剤として、水素添加ひまし油0.5重量部及びステアリン酸アミド0.5重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0038】
(比較例1)
揺変剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
(比較例2)
揺変剤の添加量を0.05重量部とした以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0040】
(比較例3)
揺変剤の添加量を1.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
(比較例4)
揺変剤としてステアリン酸アミドを用い、添加量を0.05重量部とした以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0042】
(比較例5)
揺変剤としてステアリン酸アミドを用い、添加量を1.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0043】
(比較例6)
揺変剤として、水素添加ひまし油0.025重量部及びステアリン酸アミド0.025重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0044】
(比較例7)
揺変剤として、水素添加ひまし油0.75重量部及びステアリン酸アミド0.75重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0045】
(比較例8)
揺変剤を添加せず、換わりにステアリン酸5.0重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0046】
(比較例9)
揺変剤を添加せず、換わりにパルミチン酸5.0重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0047】
(比較例10)
揺変剤を添加せず、換わりにポリエチレン5.0重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0048】
(比較例11)
揺変剤を添加せず、換わりにポリプロピレン5.0重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0049】
(比較例12)
揺変剤を添加せず、換わりにポリテトラフルオロエチレン5.0重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0050】
(比較例13)
揺変剤を添加せず、換わりにステアリルアルコール1.0重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0051】
(比較例14)
揺変剤を添加せず、換わりにステアリルアルコール1.5重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0052】
(比較例15)
揺変剤を添加せず、換わりにポリビニルピロリドン0.5重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0053】
(比較例16)
揺変剤を添加せず、換わりにポリビニルピロリドン1.0重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0054】
(比較例17)
揺変剤を添加せず、換わりにカルボキシメチルセルロース0.5重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0055】
(比較例18)
揺変剤を添加せず、換わりにカルボキシメチルセルロース1.0重量部を添加した以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
(実施例7)
(被覆材の作製)
無機粉体としての珪藻土35重量部、ロウ石クレイ35重量部、セピオライト10重量部、撥水剤としてのステアリン酸カルシウム20重量部、揺変剤としての水素添加ひまし油0.1重量部をそれぞれ小型タンブラーミキサーに投入し、30分撹拌混合し、種子被覆用の被覆材を作製した。
【0058】
(被覆造粒種子を作製)
種子としてのキャベツの種子30g(粒数:9000粒)を直径36cmの遠心流動型の転動造粒機に投入し、回転撹拌させながら、水道水をスプレーで噴霧して、種子に吹きつけながら、被覆材を徐々に投入し、最終的に100粒の重量が3gになるまで造粒した。そして、造粒機から造粒物を取り出し、35℃の温風を15分間吹き付けて、被覆層を乾燥した。次いで、35℃設定の棚置き乾燥機に一晩入れ、内部種子の含水率が7%dw以下になるまで乾燥した。乾燥後の被覆造粒種子を篩にかけ、直径約3.5mmの被覆造粒種子を得た。得られた被覆造粒種子の球形化率及び発芽率を前述と同様にして測定した。ただし、発芽試験は、温度20℃で明るい条件下で7日目保存したときの発芽率(%)である。結果を表2に示す。
【0059】
(実施例8)
水素添加ひまし油の添加量を1.0重量部とした以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0060】
(実施例9)
揺変剤としてステアリン酸アミドを用いた以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0061】
(実施例10)
揺変剤としてステアリン酸アミドを用い、添加量を1.0重量部とした以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0062】
(実施例11)
揺変剤として水素添加ひまし油0.05重量部及びステアリン酸アミド0.05重量部を用いた以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0063】
(実施例12)
揺変剤として水素添加ひまし油0.5重量部及びステアリン酸アミド0.5重量部を用いた以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0064】
(比較例19)
揺変剤を添加しなかった以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
(比較例20)
揺変剤の添加量を0.05重量部とした以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0065】
(比較例21)
揺変剤の添加量を1.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0066】
(比較例22)
揺変剤としてステアリン酸アミドを用い、添加量を0.05重量部とした以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0067】
(比較例23)
揺変剤としてステアリン酸アミドを用い、添加量を1.5重量部とした以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0068】
(比較例24)
揺変剤として、水素添加ひまし油0.025重量部及びステアリン酸アミド0.025重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0069】
(比較例25)
揺変剤として、水素添加ひまし油0.75重量部及びステアリン酸アミド0.75重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0070】
(比較例26)
揺変剤を添加せず、換わりにステアリン酸5.0重量部を添加した以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0071】
(比較例27)
揺変剤を添加せず、換わりにパルミチン酸5.0重量部を添加した以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0072】
(比較例28)
揺変剤を添加せず、換わりにポリエチレン5.0重量部を添加した以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0073】
(比較例29)
揺変剤を添加せず、換わりにポリプロピレン5.0重量部を添加した以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0074】
(比較例30)
揺変剤を添加せず、換わりにポリテトラフルオロエチレン5.0重量部を添加した以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0075】
(比較例31)
揺変剤を添加せず、換わりにステアリルアルコール1.0重量部を添加した以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0076】
(比較例32)
揺変剤を添加せず、換わりにステアリルアルコール1.5重量部を添加した以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0077】
(比較例33)
揺変剤を添加せず、換わりにポリビニルピロリドン0.5重量部を添加した以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0078】
(比較例34)
揺変剤を添加せず、換わりにポリビニルピロリドン1.0重量部を添加した以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0079】
(比較例35)
揺変剤を添加せず、換わりにカルボキシメチルセルロース0.5重量部を添加した以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0080】
(比較例36)
揺変剤を添加せず、換わりにカルボキシメチルセルロース1.0重量部を添加した以外は、実施例7と同様にして被覆造粒種子を得て、球形化率及び発芽率を測定した。結果を表2に示す。
【0081】
【表2】

【0082】
表1及び表2から明らかなように、実施例1〜12の本発明に係る被覆造粒種子では、球形化率はいずれも100%であり、発芽率は水分を4.5mL滴下した場合は94%以上、6.0mL滴下した場合でも70%以上であった。
【0083】
これに対し、揺変剤を含め添加剤を被覆材に配合しなかった比較例1及び比較例19の被覆造粒種子では、発芽率は良好であったものの球形化率が84%及び89%と実使用上支障のあるものであった。揺変剤の添加量が本発明で規定する範囲から外れている比較例2〜7及び比較例20〜25の被覆造粒種子において、揺変剤の添加量が規定範囲未満である場合は球形化率が悪く、揺変剤の添加量が規定範囲を超える場合は発芽率が低かった。また、粉状の揺変剤以外の添加剤を配合した比較例8〜11及び比較例26〜30の被覆造粒種子では、5重量部添加しても球形化率は88%以下と低くかった。このため、これらの比較例の被覆造粒種子の発芽試験は行わなかった。そしてまた、添加剤としてステアリルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースを用いた比較例13〜18及び比較例31〜36の被覆造粒種子では、良好な発芽率が得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明に係る被覆造粒種子は、球形でしかも高い発芽率を有し有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造粒材に粉状の揺変剤を添加した被覆材で種子を被覆造粒した被覆造粒種子であって、
前記揺変剤の添加量が、前記造粒材100重量部に対し、0.1重量部〜1.0重量部の範囲であることを特徴とする被覆造粒種子。
【請求項2】
前記揺変剤が、水素添加ひまし油、脂肪酸アミド及びそれらの誘導体の少なくとも1つである請求項1記載の被覆造粒種子。
【請求項3】
水素添加ひまし油が、ヒドロキシ脂肪酸を主成分とするものである請求項2記載の被覆造粒種子。
【請求項4】
前記ヒドロキシ脂肪酸が、12−ヒドロキシステアリン酸を主成分とするものである請求項3記載の被覆造粒種子。
【請求項5】
脂肪酸アミドが、ステアリン酸アミドである請求項2〜4のいずれかに記載の被覆造粒種子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−59282(P2013−59282A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199283(P2011−199283)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(596005964)住化農業資材株式会社 (29)
【Fターム(参考)】