説明

被解析分子固定方法、及び、被解析分子固定装置

【課題】 測定セルの薄膜層へ効率よく被解析分子を固定可能な被解析分子固定方法、及び、被解析分子固定装置を提供する。
【解決手段】 供給口45Aから液体流路45へ活性化液Aを供給し、所定の活性化時間T1の経過後に、供給口45Aから活性化液Aの貯留されている液体流路45へ被解析分子Mの含有された被解析分子溶液Bを供給しつつ排出口45Bから活性化液Aを排出させて、活性化液Aを被解析分子溶液Bで置換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互作用する物質が検出、測定される被解析分子を薄膜層に固定するための、被解析分子固定方法、及び、被解析分子固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エバネッセント波を利用した測定装置の1つとして、表面プラズモンセンサーが知られている(特許文献1、2参照)。一般的に、表面プラズモンセンサーは、プリズムと、このプリズムの一面に配置され被解析分子が固定される金属膜と、光ビームを発生させる光源と、光ビームをプリズムに対して、プリズムと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、を備え、光検出手段の検出結果に基づいて、被解析分子についての解析を行なうものである。
【0003】
この表面プラズモンセンサーによる解析においては、まず、被解析分子を金属膜上に固定する被解析分子固定化作業が必要となる。通常、金属膜は透明体の上に形成され、金属膜側に各種の液体が供給されることにより、被解析分子固定化作業が行なわれる。このように、透明体の上に金属膜の形成されているものを、以下では測定セルとよぶ。
【0004】
測定セルの金属膜上には、被解析分子を固定するために、デキストランなどの反応基を有する固定化担体が備えられているので、被解析分子固定化作業としては、まず、被解析分子を固定するための前処理として、反応基を活性化する活性化液が金属膜上へ供給される。また、被解析分子の固定化後は、前記反応基と解析時に供給される反応液中の物質との結合を阻止するためにブロッキング液を供給してブロッキング処理を行なう。
【0005】
この反応基の活性化等を含めた被解析分子固定化作業の手順として、特許文献1に記載の装置では、緩衝液を間に挟んで各反応液の供給が行われる。すなわち、測定装置に設けられた流路へ、活性化液、緩衝液、被解析分子溶液、緩衝液、ブロッキング液、が順に送液され、流路中に配置された金属膜へ各液が供給される。これは、特許文献1に記載の技術では、金属膜の配置された流路へ送液する反応液を切換える際に、必ず間に緩衝液が供給されるように制御されているためである。
【0006】
しかしながら、被解析分子の固定化作業において、活性化液の供給と被解析分子溶液の供給との間、及び、被解析分子溶液の供給とブロッキング液の供給との間、に緩衝液を供給する必要は必ずしもなく、緩衝液を供給すると、かえって緩衝液や時間が無駄に費やされてしまう。
【0007】
また、特許文献1に記載の技術では、固定化担体の反応基の活性化のための待機時間や、被解析分子の固定化のための待機時間(充分な量の被解析分子が反応基と結合するために要する時間)が必要なことを考慮すると、1つの測定セルを長時間流路の設けられた装置に配置しておかなければならないが、複数の測定セルに被解析分子の固定を行いたい場合に、1つの測定セルを装置に配置した状態にしておくのは効率的ではない。
【特許文献1】特許第3294605号公報
【特許文献2】特許第2758904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、測定セルの薄膜層へ効率よく被解析分子を固定可能な被解析分子固定方法、及び、被解析分子固定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の被解析分子固定方法は、光ビームを透過可能とされ、平坦面の形成された透明体と、前記透明体の平坦面に形成され、被解析分子の固定される薄膜層と、前記透明体に取り付けられ、前記薄膜層との間に前記薄膜層上で液体を貯留可能な液体流路を構成すると共に、この液体流路へ液体を供給可能な供給口及び供給された液体を排出可能な排出口の形成された流路部材と、を備え、測定装置とは別体とされている測定セルの前記薄膜層上に被解析分子を固定する、被解析分子固定方法であって、前記供給口から前記液体流路へ、前記被解析分子固定のための前処理を行なう前処理液を供給し、前記供給口から前記前処理液の貯留されている前記液体流路へ前記被解析分子の含有された被解析分子溶液を供給しつつ前記排出口から前記前処理液を排出させて前記前処理液を前記被解析分子溶液で置換するものである。
【0010】
また、請求項5に記載の被解析分子固定装置は、光ビームを透過可能とされ、平坦面の形成された透明体と、前記透明体の平坦面に形成され、被解析分子の固定される薄膜層と、前記透明体に取り付けられ、前記薄膜層との間に前記薄膜層上で液体を貯留可能な液体流路を構成すると共に、この液体流路へ液体を供給可能な供給口及び供給された液体を排出可能な排出口の形成された流路部材と、を備え、測定装置とは別体とされた測定セルへ被解析分子を固定する、被解析分子固定装置であって、前記供給口から前記液体流路へ、前記被解析分子固定のための前処理を行なう前処理液を供給する前処理液供給手段と、前記供給口から前記前処理液の貯留されている前記液体流路へ前記被解析分子の含有された被解析分子溶液を供給しつつ前記排出口から前記前処理液を排出させて前記前処理液を前記被解析分子溶液で置換する、被解析分子溶液供給手段と、を有している。
【0011】
請求項1の被解析分子固定方法、及び、請求項5の被解析分子固定装置は、測定セルに被解析分子を固定するものであり、測定セルは測定装置と別体とされている。ここで、被解析分子とは、測定装置で各種アナライトとの相互作用が測定されるものである。また、測定セルの構成部材である透明体は、プレート状のものであっても、測定の際に必要なプリズムを兼ねるブロック状のものであってもよい。
【0012】
上記発明では、緩衝液の供給を間に挟むことなく、前処理液の供給されている液体流路へ被解析分子溶液を供給するので、緩衝液を節約できると共に、緩衝液供給に要する時間を削減して、被解析分子の固定作業全体に要する時間を短縮することができる。
【0013】
また、請求項1の被解析分子固定方法、及び、請求項5の被解析分子固定装置では、薄膜層上に液体を貯留可能な液体流路が備えられた測定セルが用いられているので、測定装置に液体流路の設けられている場合と異なり、測定装置とは別に前処理液や被解析分子溶液を液体流路内に貯留しておくことができる。したがって、1つの測定セルについての前処理や、被解析分子の固定化のための待機時間中に、他の測定セルへ前処理液や被解析分子溶液を供給することができ、複数の測定セルについて同時並行で被解析分子の固定化作業ができるので、効率よく被解析分子の固定化を行なうことができる。
【0014】
請求項2の被解析分子固定方法、及び、請求項6の被解析分子固定装置では、前記薄膜層の前記液体流路に露出された部分の一部の測定領域に、前記被解析分子と結合可能な反応基を有する固定化担体が備えられ、前記前処理液が前記反応基を活性化させる活性化液であること、を特徴としている。
【0015】
このように、薄膜層の一部の測定領域に固定化担体を備え、この固定化担体の反応基を活性化液で活性化することにより、この測定領域に被解析分子を固定することができる。
【0016】
薄膜層の測定領域以外の部分は、被解析分子を固定せずに、参照領域として使用することができる。
【0017】
請求項3の被解析分子固定方法は、前記供給口から前記被解析分子溶液の貯留された前記液体流路へ前記被解析分子の固定後の後処理を行なう後処理液を供給しつつ前記排出口から前記被解析分子溶液を排出させて前記被解析分子溶液を前記後処理液で置換すること、を特徴とする。
【0018】
また、請求項7の被解析分子固定装置は、前記供給口から前記被解析分子溶液の貯留された前記液体流路へ前記被解析分子の固定後の後処理を行なう後処理液を供給しつつ前記排出口から前記被解析分子溶液を排出させて前記被解析分子溶液を前記後処理液で置換する、後処理液供給手段、をさらに備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項3の被解析分子固定方法、及び、請求項7の被解析分子固定装置では、緩衝液の供給を間に挟むことなく、被解析分子溶液の供給されている液体流路へ後処理液を供給するので、緩衝液を節約できると共に、緩衝液供給に要する時間を削減して、被解析分子の固定作業全体に要する時間を短縮することができる。
【0020】
請求項4の被解析分子固定方法、及び、請求項8の被解析分子固定装置では、前記後処理液が、前記反応基と解析時に供給される反応液中の物質との結合を阻止するためのブロッキング液であることを特徴とする。
【0021】
このように、ブロッキング液を供給してブロッキング処理をすることにより、活性化された反応基と解析時に供給される反応液中の物質との結合が阻止され、精度よく解析を行なうことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上記構成としたので、測定セルの薄膜層へ効率よく被解析分子を固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0024】
本実施形態の被解析分子固定装置10は、後述するセンサースティック40へ被解析分子Mを固定するための装置である。被解析分子Mとしては、蛋白質、核酸、脂肪酸などの生理活性物質を解析対象とすることができる。
【0025】
図1に示すように、本発明の被解析分子固定装置10は、ベース12、分注ヘッド14、及び、コントローラ16を含んで構成されている。
【0026】
ベース12は長方形板状とされ、ベース12の短手方向(以下「Y方向」という)に沿った両端辺部には、ガイドレール20A、20Bが立設されている。ガイドレール20Aとガイドレール20Bとの間には、ベース12の長手方向(以下「X方向」という)に、ガイドレール22が架け渡されている。ガイドレール22は、ガイドレール20A側に設けられた図示しない駆動機構により、Y方向に移動可能とされている。ガイドレール22には、高さ方向(以下「Z方向」という)に長尺の、ヘッド支持柱24が取り付けられている。ヘッド支持柱24は、ガイドレール20A側に設けられた図示しない駆動機構により、ガイドレール22に沿ってX方向に移動可能とされている。ヘッド支持柱24には、分注ヘッド14が取り付けられている。分注ヘッド14は、ヘッド支持柱24に設けられた図示しない駆動機構によりヘッド支持柱24に沿ってZ方向に移動可能とされている。上記構成により、分注ヘッド14は、自在にベース12上の所定位置へ移動することができる。なお、ガイドレール22、ヘッド支持柱24、及び、分注ヘッド14の駆動は、駆動部に18より制御される。
【0027】
分注ヘッド14は、図2に示すように、12本のチップ取り付け部26を備え、チップ取り付け部26には、ピペットチップCPが取り付け可能とされている。ここでは、ピペットチップストッカ32に、ピペットチップCPを1つ置きに装填しておくことにより、12本のチップ取り付け部26のうちの6本(1本おき)にピペットチップCPが取り付けられる。
【0028】
図1に示すように、ベース12上には、8個のトレイ30が載置可能とされている。トレイ30はベース12の所定位置に位置決めして取り付けられる。各トレイ30には、8本のセンサースティック40が収納されている。したがって、本実施形態の被解析分子固定装置10には、最大で8×8=64本のセンサースティック40を、一度に載置することができる。センサースティック40の構成の詳細については後述する。
【0029】
また、ベース12上には、ピペットチップCPをストックするピペットチップストッカ32、各種液の、混合、希釈等を行なうための、プレート34、センサースティック40へ供給する各種の液を貯留する、7個の液貯留セル36、及び、センサースティック40から排出された液を廃棄する廃棄セル38が配置されている。
【0030】
コントローラ16は、被解析分子固定装置10の全体を制御する機能を有し、駆動部18と接続されている。コントローラ16は、図3に示すように、バスBを介して互いに接続される、CPU60A、ROM60B、RAM60C、メモリ60D、及び、インターフェイス(I/F)60E、を含んで構成され、各種の情報を表示する表示部62、各種の指示、情報を入力するための入力部64と接続されている。
【0031】
メモリ60Dには、被解析分子固定装置10を制御するための各種プログラムや、被解析分子固定化のための各種データが記録されている。被解析分子固定化のための各種データには、使用する液体の種類、量、液体流路45への供給の手順、などが含まれている。
【0032】
センサースティック40は、後述するバイオセンサー70で解析する被解析分子Mが固定されるものである。図4及び図5に示すように、センサースティック40は、誘電体ブロック42、流路部材44、保持部材46、接着部材48、及び、蒸発防止部材49、で構成されている。
【0033】
誘電体ブロック42は、光ビームに対して透明な透明樹脂等で構成されており、断面が台形の棒状とされたプリズム部42A、及び、プリズム部42Aの両端部にプリズム部42Aと一体的に形成された被保持部42Bを備えている。プリズム部42Aの互いに平行な2面の内の広い側の上面には、図6にも示すように金属膜50が形成されている。この金属膜50上に、バイオセンサー70で解析する解析分子が固定される。誘電体ブロック42は、いわゆるプリズムとしても機能し、バイオセンサー70での測定の際には、プリズム部42Aの対向する互いに平行でない2つの側面の内の一方から光ビームが入射され、他方から金属膜50との界面で全反射された光ビームが出射される。
【0034】
金属膜50の表面の一部で、後述する液体流路45に露出された部分の下流側に位置する測定領域E1には、図7にも示すように、被解析分子Mを固定するための固定化担体50Aが配置されている。固定化担体50Aの反応基との共有結合により、被解析分子Mがこの部分に固定される。固定化担体50Aとしては、デキストラン、カルボキシメチル基、NTAなどを用いることができ、被解析分子Mに応じて選択される。
【0035】
金属膜50上の液体流路45に露出された部分の上流側に位置する領域は、参照領域E2とされている。参照領域E2は、被解析分子Mの固定された測定領域E1から得られる光の屈折率データを補正するために設けられた領域であり、この参照領域E2にも、光ビームが入射される。なお、参照領域E2は、各種のアナライトとの結合が阻止されるように、例えばアルキルチオール、アミノアルコール、アミノエーテル等で処理しておくことが好ましい。
【0036】
プリズム部42Aの両側面には、上側の端辺に沿って保持部材46と係合される係合凸部42Cが、下側の端辺に沿ってプリズム部42Aの上面と垂直な仮想面の延長上に構成される垂直凸部42Dが、各々7箇所に形成されている。また、誘電体ブロック42の下面の長手方向に沿った中央部には、係合溝42Eが形成されている。
【0037】
流路部材44は、誘電体ブロック42のプリズム部42Aと略同じ長さの棒状とされ、図6に示すように、誘電体ブロック42の金属膜50との間に、液体流路45を構成する。液体流路45は、流路部材44の流路壁44Aと金属膜50とで囲まれて構成されており、供給された液体を金属膜50上で貯留可能とされている。流路部材44には、液体流路45と連通された供給口45A及び排出口45Bが形成されている。液体流路45は、流路部材44の長手方向に6個並んで配置されている。したがって、1本のセンサースティック40には、独立した6個の液体流路45が構成される。流路部材44の側壁には、保持部材46の内側の図示しない凹部に圧入されて保持部材46との密着性を確保するための凸部44Bが形成されている。
【0038】
なお、液体流路45には、蛋白質を含む液体が供給されることが想定されるので、流路壁44Aでの蛋白質の固着を防止するため、流路部材44の材料としては、蛋白質に対する非特異的な吸着性を有しないことが好ましい。また、流路部材44は、金属膜50との密着性を確保して液漏れを防止するため、弾性を有することが好ましい。具体的にはシリコン、ポリプロピレン等を用いることができる。
【0039】
保持部材46は、長尺とされ、上面板46A及び2枚の側面板46Bで構成されている。側面板46Bには、誘電体ブロック42の係合凸部42Cと係合される係合孔46Cが形成されている。保持部材46は、流路部材44を間に挟んで係合孔46Cと係合凸部42Cとが係合されて、誘電体ブロック42に取り付けられる。これにより、流路部材44は、誘電体ブロック42に取り付けられる。上面板46Aには、流路部材44の供給口45A及び排出口45Bと対向する位置に、流路部材44に向けて狭くなるテーパー状のピペット挿入孔46Dが形成されている。また、隣り合うピペット挿入孔46Dとピペット挿入孔46Dとの間には、位置決め用のボス46Eが形成されている。
【0040】
保持部材46の上面には、蒸発防止部材49が接着部材48を介して接着されている。接着部材48のピペット挿入孔46Dと対向する位置にはピペット挿入用の孔48Dが形成され、ボス46Eと対向する位置には位置決め用の孔48Eが形成されている。また、蒸発防止部材49のピペット挿入孔46Dと対向する位置には十字状の切り込みであるスリット49Dが形成され、ボス46Eと対向する位置には位置決め用の孔49Eが形成されている。ボス46Eを孔48E及び49Eに挿通させて、蒸発防止部材49を保持部材52の上面に接着することにより、蒸発防止部材49のスリット49Dと流路部材44の供給口45A及び排出口45Bとが対向するように構成される。ピペットチップCPの非挿入時には、スリット49D部分が供給口45Bを覆い、液体流路45に供給されている液体の蒸発が防止される。
【0041】
なお、この蒸発防止部材54も、スリット49DからピペットチップCPを挿入できるように、弾性を有する材料で構成されることが好ましく、具体的にはシリコンまたはポリプロピレン等を用いることができる。
【0042】
次に、本実施形態での被解析分子Mの固定化の手順について説明する。
【0043】
まず、センサースティック40のセットされたトレイ30をベース12上に載置する。ベース12には、トレイ30を、前述のように最大で8枚載置することができるので、一度に384個の液体流路45に被解析分子Mを固定化することができる。また、液貯留セル36には、活性化液A、被解析分子溶液B、ブロッキング液C、洗浄液D、及び、バッファー液Eを各々別々にセットしておく。
【0044】
ここで、活性化液Aは、固定化担体50Aの反応基を活性化して、固定化担体50Aに被解析分子Mを固定化するためのものであり、固定化担体50Aの種類に応じて選択される。また、被解析分子溶液Bは、後述するバイオセンサー70で各種反応液中の物質との関係が解析される被解析分子Mを含んだ液体である。また、ブロッキング液は、活性化した固定化担体50Aの反応基と解析時における各種反応液中の物質との結合が阻止されるように、前記反応基と結合する物質を含む溶液である。そして、バッファー液Eは、金属膜50上に固定化された被解析分子Mを維持しておくための液体であり、Phosphate Buffer Saline(PBS)などが、用いられる。
【0045】
必要なデータの入力後、入力部64から被解析分子固定化処理のスタート指示が入力されると、コントローラ16では、図8に示す、被解析分子固定化処理が実行される。
【0046】
まず、ステップS12で、活性化液Aの供給指示信号を駆動部18へ出力する。これにより、分注ヘッド14で、各センサースティック40へ活性化液Aが供給される。活性化液Aの供給は、具体的には以下のように行なわれる。まず、分注ヘッド14が活性化液Aのセットされた液貯留セル36の上部に移動すると共に下降して、6本のピペットチップCPの先端を液貯留セル36へ挿入する。次に、ピペットチップCP内に液貯留セル36中の液体を吸引する。そして、分注ヘッド14を上昇させて1のセンサースティック40の上部に移動すると共に下降して、6本のピペットチップCPの先端をセンサースティック40の6個の供給口45Aへ各々挿入する。そして、6個の液体流路45へ、吸引していた液体を注入する(図9(A)参照)。1のセンサースティック40への供給が終了すると、次のセンサースティック40へ同様にして供給が行なわれ、すべてのセンサースティック40へ活性化液Aが供給される。
【0047】
すべてのセンサースティック40への活性化液Aの供給が終了すると、ステップS14で、ピペットチップCPの交換指示信号を駆動部18へ出力する。これにより、分注ヘッド14がピペットチップストッカ32の上部に移動して装着されているピペットチップCPを取り外すと共に、新しいピペットチップCPを装着する。
【0048】
活性化液Aが供給された後、ステップS16で活性化時間T1の間待機する。活性化時間T1は、固定化担体50Aの反応基を活性化させるための適当な時間であり、ユーザーによる登録などにより、予めメモリ60Dに記憶されている。なお、この活性化時間T1は、最初のセンサースティック40への活性化液Aの供給終了時からの経過時間とされる。これにより、活性化時間T1中に、他のセンサースティック40へ活性化液Aを供給することができ、全体としての処理時間を短縮することができる。
【0049】
次に、ステップS18で、被解析分子溶液Bの供給指示信号を駆動部18へ出力する。これにより、分注ヘッド14で、各センサースティック40へ被解析分子溶液Bが供給される。被解析分子溶液Bの供給は、供給するセンサースティック40の順番も含めて、活性化液Aと同様にして行なわれる。
【0050】
ここで、供給口45Aから液体流路45へ被解析分子溶液Bが注入されると、液体流路45に供給されていた活性化液Aは、図9(B)に示すように、排出口45Bから排出される。すなわち、液体流路45内の液体は、活性化液Aから被解析分子溶液Bへ置換される。注入する被解析分子溶液Bは、活性化液Aとの置換が確実に行なわれるように、液体流路45の容積よりも充分多く設定されている。排出された活性化液Aは、排出口45B周辺のセンサースティック40の上面に溢れる。
【0051】
次に、ステップS20で、排出された活性化液Aの回収指示信号が駆動部18へ出力される。これにより、分注ヘッド14のピペットチップCPにより、センサースティック40の上面に溢れてる排出液が吸引され(図9(C)参照)、吸入された排出液が廃液セル38へ廃棄される。
【0052】
そして、ステップS22で、ピペットチップCPの交換指示信号を駆動部18へ出力する。これにより、ステップS16と同様にしてピペットチップCPの交換が行なわれる。
【0053】
ステップS24で、固定化時間T2の間待機する。固定化時間T2は、被解析分子溶液B中の被解析分子Mを、固定化担体50A上に固定化されための適当な時間であり、固定する量などに応じて、予めメモリ60Dに記憶されている。固定化時間T2の経過により、固定化担体50Aに被解析分子Mが固定化される(図9(D)参照)。ここでの固定化時間T2も、活性化時間T1と同様に、最初のセンサースティック40への被解析分子溶液Bの供給終了時からの経過時間とされる。
【0054】
次に、ステップS26で、ブロッキング液Cの供給指示信号を駆動部18へ出力する。これにより、分注ヘッド14で、各センサースティック40へブロッキング液Cが供給される。ブロッキング液Cの供給も、活性化液A、被解析分子溶液Bと同様にして行なわれる。したがって、供給口45Aから液体流路45へブロッキング液Cが注入されると、液体流路45に供給されていた被解析分子溶液Bは、図9(E)に示すように、排出口45Bから排出され、液体流路45内の液体は、被解析分子溶液Bからブロッキング液Cへ置換される。注入するブロッキング液Cは、被解析分子溶液Bとの置換が確実に行なわれるように、液体流路45の容積よりも充分多く設定されている。排出された被解析分子溶液Bは、センサースティック40の上面に溢れる。
【0055】
次に、ステップS28で、排出された被解析分子溶液Bの回収指示信号が駆動部18へ出力される。これにより、分注ヘッド14のピペットチップCPにより、センサースティック40の上面に溢れている排出液が吸引され(図9(F)参照)、廃液セル38へ吸入した排出液が廃棄される。
【0056】
そして、ステップS30で、ピペットチップCPの交換指示信号を駆動部18へ出力する。これにより、ステップS16、22と同様にしてピペットチップCPの交換が行なわれる。
【0057】
ステップS32で、ブロッキング時間T3の間待機する。ブロッキング時間T3は、固定化担体50A中の活性化した反応基(被解析分子と未結合のもの)と、ブロッキング液C中の分子とが結合するために適当な時間であり、ユーザーによる登録などにより、予めメモリ60Dに記憶されている。これにより、ブロッキング処理が行なわれる。ここでのブロッキング時間T3も、活性化時間T1、固定化時間T2と同様に、最初のセンサースティック40へのブロッキング液Cの供給終了時からの経過時間とされる。
【0058】
次に、ステップS34で、洗浄液Dの供給指示信号を駆動部18へ出力する。これにより、分注ヘッド14で、各センサースティック40へ洗浄液Dが供給される。洗浄液Dの供給も、活性化液A、被解析分子溶液B、ブロッキング液Cと同様にして行なわれる。したがって、供給口45Aから液体流路45へ洗浄液Dが注入されると、液体流路45に供給されていたブロッキング液Cは、図9(G)に示すように、排出口45Bから排出され、液体流路45内の液体は、ブロッキング液から洗浄液Dへ置換される。注入する洗浄液Dは、ブロッキング液Cとの置換が確実に行なわれ、かつ、液体流路45の洗浄が充分に行なわれるように、液体流路45の容積よりも充分多く設定されている。排出されたブロッキング液Cは、センサースティック40の上面に溢れる。洗浄液Dにより、液体流路45の洗浄処理が行なわれる。
【0059】
次に、ステップS36で、排出されたブロッキング液の回収指示信号が駆動部18へ出力される。これにより、分注ヘッド14のピペットチップCPにより、センサースティック40の上面に溢れている排出液が吸引され(図9(H)参照)、廃液セル38へ吸入した排出液が廃棄される。
【0060】
次に、ステップS38で、ピペットチップCPの交換指示信号を駆動部18へ出力する。これにより、ステップS16、22、30と同様にしてピペットチップCPの交換が行なわれる。
【0061】
次に、ステップS40で、バッファー液Eの供給指示信号を駆動部18へ出力する。これにより、分注ヘッド14で、各センサースティック40へバッファー液Eが供給される。バッファー液Eの供給も、活性化液A、被解析分子溶液B、ブロッキング液Cと同様にして行なわれる。したがって、供給口45Aから液体流路45へ洗浄液Dが注入されると、液体流路45に供給されていた洗浄液Dは、図9(I)に示すように、排出口45Bから排出され、液体流路45内の液体は、洗浄液Dからバッファー液Eへ置換される。注入するバッファー液Eは、洗浄液Dとの置換が確実に行なわれるように、液体流路45の容積よりも充分多く設定されている。排出された洗浄液Dは、センサースティック40の上面に溢れる。
【0062】
そして、ステップS42で、洗浄液Dの回収指示信号を駆動部18へ出力する。これにより、分注ヘッド14のピペットチップCPにより、センサースティック40の上面に溢れている排出液が吸引され(図9(J)参照)、吸入された排出液が廃液セル38へ廃棄され、被解析分子固定化処理が完了する(図9(K)参照)。
【0063】
なお、上記では、液体流路45から排出された液体を、液体を供給したピペットチップCPを排出口45Bまで移動させて吸引することにより回収したが、排出された液体の回収は他の方法で行なうこともできる。例えば、図10に示すように、供給口45Aから1つのピペットチップCPを挿入して液体を供給すると共に、排出口45Bへ他のピペットチップCPを挿入して液体を吸引することにより、液体流路45内の液置換を行なうことができる。
【0064】
上記の被解析分子固定化処理によれば、活性化液Aの供給されている液体流路45へ、直接、被解析分子溶液Bを供給するので、被解析分子溶液Bの供給前に活性化液Aを緩衝液で一旦置換する場合と比較して、処理工程を少なくすることができる。
【0065】
また、被解析分子溶液Bの供給されている液体流路45へ、直接、ブロッキング液Cを供給するので、ブロッキング液Cの供給前に被解析分子溶液Bを緩衝液で一旦置換する場合と比較して、処理工程を少なくすることができる。
【0066】
また、本実施形態で使用するセンサースティック40は、センサースティック40内に液体流路45が形成されているので、測定装置側に液体流路が形成されている場合と異なり、1つのセンサースティック40に活性化液Aや被解析分子溶液Bなどを供給した後、このセンサースティック40への供給を終了しても、金属膜50上に活性化液Aや被解析分子溶液Bなどを貯留しておくことができる。したがって、活性化時間T1、固定化時間T2、ブロッキング時間T3の間に、他のセンサースティック40へ活性化液Aや被解析分子溶液Bなどの液体の供給などの作業を行なうことができ、複数のセンサースティック40へ被解析分子Mの固定を行なう場合には、被解析分子固定化処理全体の時間を短縮することができる。
【0067】
また、本実施形態では、センサースティック40を固定化時間T2の経過中も被解析分子固定装置10上に載置しておいたが、一般的に、固定化時間T2は、長時間となるので、一旦トレイ30ごと被解析分子固定装置10から取り外して別の場所へ保管しておき、他のセンサースティック40の収納されたトレイ30を被解析分子固定装置10へ載置して、このセンサースティック40への被解析分子Mの固定化処理を行なうこともできる。このように作業することにより、大量のセンサースティック40で同時並行的に被解析分子の固定化作業を行なうことができる。
【0068】
次に、センサースティック40に固定化された被解析分子Mの測定について説明する。
【0069】
被解析分子Mの測定は、図11に示すバイオセンサー70で行なわれる。バイオセンサー70は、金属膜50の表面に発生する表面プラズモン共鳴(SPR)を利用して、被解析分子Mの特性を測定する、いわゆる表面プラズモンセンサーである。バイオセンサー70では、前述のようにしてセンサースティック40に固定化された被解析分子Mに、各種の反応液を供給して、被解析分子Mと反応液中の物質との結合の有無、結合速度、結合量、等を測定する。
【0070】
バイオセンサー70は、トレイ保持部72、搬送部74、反応液プレート保持部76、液体供給部78、及び、光学測定部80、制御部90を備えている。
【0071】
トレイ保持部72は、載置台72A、及び、ベルト72Bを含んで構成されている。載置台72Aは、矢印I方向に架け渡されたベルト73に取り付けられており、ベルト72Bの回転により矢印I方向に移動可能とされている。載置台72A上には、トレイ30が2枚、位置決めして載置される。載置台72Aの下には、センサースティック40を後述するスティック保持部材74Cの位置まで押し上げる押上機構72Dが配置されている。
【0072】
搬送部74は、上部ガイドレール74A、下部ガイドレール74B、及び、スティック保持部材74C、を含んで構成されている。上部ガイドレール74A及び下部ガイドレール74Bは、トレイ保持部72及び光学測定部80の上部で、矢印I方向と直交する矢印J方向に水平に配置されている。上部ガイドレール74Aには、スティック保持部材74Cが取り付けられている。スティック保持部材74Cは、センサースティック40の両端部の被保持部42Bを保持可能とされていると共に、上部ガイドレール74Aに沿って移動可能とされている。スティック保持部材74Cに保持されたセンサースティック40の係合溝42Eと下部ガイドレール74Bとが係合され、スティック保持部材74Cが矢印J方向に移動することにより、図10に示すように、センサースティック40が光学測定部80上の測定部82に搬送される。この測定部82で、センサースティック40に固定された被解析分子Mの測定が行われる。測定部82では、下部ガイドレール74Bが測定のために一部離間されている
反応液プレート保持部76は、載置台76A、及び、ガイドレール76Bを含んで構成されている。ガイドレール76Bは、矢印J方向に沿って配置されている。載置台76Aは、ガイドレール76Bに取り付けられ、反応液がセットされた反応液プレート77を載置可能とされている。載置台76Aは、ガイドレール76Bに沿って移動可能とされている。
【0073】
液体供給部78は、上部ガイドレール74A、及び、ガイドレール76Bよりも上方で、矢印I方向に架け渡された横断レール78A、及び、ヘッド78Bを含んで構成されている。ヘッド78Bは、横断レール78Aに取り付けられ、図12に示すように、測定部82と反応液プレート77との間を移動可能とされている。また、ヘッド78Bは、図示しない駆動機構により、鉛直方向(矢印Z方向)にも移動可能とされている。ヘッド78Bは、先端部にピペットチップCPが取り付け可能とされ、いわゆるピペットとしての機能を有している。
【0074】
光学測定部80は、図13に示すように、光源80A、第1光学系80B、第2光学系80C、受光部80D、信号処理部80E、を含んで構成されている。光源80Aからは、光ビームLが出射される。光ビームLは、第1光学系80Bを介して、2本の光ビームL1、L2となり、測定部82に配置された誘電体ブロック42の測定領域E1と参照領域E2に入射される。光ビームLは、第1光学系80Bを介して、2本の光ビームL1、L2となり、測定部82に配置された誘電体ブロック42の測定領域E1と参照領域E2に入射される。測定領域E1及び参照領域E2において、光ビームL1、L2は、金属膜50と誘電体ブロック42との界面に対して種々の入射角成分を含んで、かつ全反射角以上の角度で入射される。光ビームL1、L2は、誘電体ブロック42と金属膜50との界面で全反射される。全反射された光ビームL1、L2も、種々の反射角成分をもって反射される。この全反射された光ビームL1、L2は、第2光学系80Cを経て受光部80Dで受光されて、各々光電変換され、光検出信号が信号処理部80Eへ出力される。信号処理部80Eでは、入力された光検出信号に基づいて所定の処理が行なわれ、測定領域E1及び参照領域E2の全反射減衰角が屈折率データとして求められる。この屈折率データが制御部90へ出力される。
【0075】
制御部90は、バイオセンサー70の全体を制御する機能を有し、図13に示すように、光源80A、信号処理部80E、及び、バイオセンサー70の図示しない駆動系と接続されている。制御部90は、図14に示すように、バスBを介して互いに接続される、CPU90A、ROM90B、RAM90C、メモリ90D、及び、インターフェースI/F90E、を有し、各種の情報を表示する表示部92、各種の指示、情報を入力するための入力部94と接続されている。
【0076】
メモリ90Dには、バイオセンサー70を制御するための各種プログラムや、各種データが記録されている。
【0077】
次に、バイオセンサー70での測定手順について説明する。
【0078】
まず、バイオセンサー70の載置台72Aに被解析分子Mの固定化されたセンサースティック40入りのトレイ30をセットする。バイオセンサー70には、8本のセンサースティック40入りの2枚のトレイ30をセットすることができ、16×6=96個の液体流路45を用いた測定を行なうことができる。
【0079】
また、載置台76Aに反応液の入った反応液プレート77をセットする。反応液プレート77は、一度に載置可能な液体流路45の数に対応させて、96個の異なる反応液を貯留できるようになっている。
【0080】
ユーザーにより、入力部94から測定開始の指示が入力されると、押上機構72Dにより、プレート30にセットされた1のセンサースティック40がスティック保持部材74Cの位置まで押し上げられ、スティック保持部材74Cにより保持される。そして、スティック保持部材74Cがセンサースティック40を保持したまま下部ガイドレール74Bに沿って移動して、センサースティック40を測定部82へ搬送する。
【0081】
測定部82では、センサースティック40の測定は、1つの液体流路45ずつ順に行なわれる。測定対象となる液体流路45を測定位置に配置し、光ビームL1、L2を、測定領域E1、参照領域E2へ各々入射させる。また、液体流路45に反応液を供給する。反応液の供給は、ヘッド78Bが、反応液プレート77側へ移動して所定の反応液を吸引した後、測定部82側へ移動して吸引した反応液を、液体流路45の供給口45Aから注入することにより行なう。測定領域E1及び参照領域E2へ入射した光ビームL1、L2は、全反射され、第2光学系80Cを経て受光部80Dで受光される。受光部80Dでは、受光した光を、測定領域E1、参照領域E2毎に光電変換して光検出信号を信号処理部80Eへ出力する。信号処理部80Eでは、光検出信号に所定の処理が加えられ、屈折率データとして、制御部90へ出力される。制御部90では、測定領域E1からの光検出信号により得られる屈折率データを、参照領域E2からの光検出信号により得られる屈折率データで補正するなどの処理が行なわれ、被解析分子Mと反応液中の物質との結合状態を示す結合状態データを生成し、所定時間毎の結合状態データをメモリ90Dに記憶すると共に、所定時間毎の結合状態を示す情報として、表示部92へ表示する。これにより、被解析分子Mと反応液中の物質との結合の有無、結合速度、結合量、等を測定することができる。
【0082】
1つの液体流路45についての測定が終了すると、センサースティック40を1の液体流路45のピッチ分だけ矢印J方向に移動させて、次の液体流路45についての測定を、上記と同様にして行なう。当該センサースティック40のすべての液体流路45についての測定が終了すると、このセンサースティック40は、スティック保持部材74Cにより保持されて、トレイ30へ戻され、次のセンサースティック40が測定部82へ搬送され、このセンサースティック40を用いての測定が行なわれる。
【0083】
本実施形態のバイオセンサー70によれば、液体流路45がバイオセンサー70と切り離された外部部品としてのセンサースティック40に形成されているので、バイオセンサー70に液体流路を形成する場合と比較して、簡易な構成のバイオセンサーとすることができる。また、バイオセンサー70では、液体流路45上で反応液を流し続けることなく、液体流路45中に反応液を貯留した状態で測定するので、少ない量の反応液で測定をすることができる。
【0084】
なお、本実施形態では、バイオセンサーとして、表面プラズモンセンサーを一例として説明したが、バイオセンサーとしては、表面プラズモンセンサーに限定されるものではない。その他の例えば、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した光学的測定技術など、あらゆるバイオセンサーでの測定に用いる被解析分子の固定に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施形態の被解析分子固定装置の全体を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の被解析分子固定装置の分注ヘッドにピペットチップが取り付けられた状態を示す図である。
【図3】本実施形態のコントローラとその周辺の概略ブロック図である。
【図4】本実施形態のセンサースティックの斜視図である。
【図5】本実施形態のセンサースティックの分解斜視図である。
【図6】本実施形態のセンサースティックの1の液体流路部分の断面図である。
【図7】本実施形態のセンサースティックの1の液体流路部分へ光ビームが入射されている状態を示す斜視図である。
【図8】本実施形態の被解析分子固定化処理のフローチャートである。
【図9−1】本実施形態の被解析分子固定化処理の手順を示す(A)〜(C)の説明図である。
【図9−2】本実施形態の被解析分子固定化処理の手順を示す(D)〜(F)の説明図である。
【図9−3】本実施形態の被解析分子固定化処理の手順を示す(G)〜(I)の説明図である。
【図9−4】本実施形態の被解析分子固定化処理の手順を示す(J)〜(K)の説明図である。
【図10】液置換の他の方法を示す説明図である。
【図11】本実施形態のバイオセンサーの全体斜視図である。
【図12】本実施形態のバイオセンサーの全体斜視図において、ヘッドが測定部付近に位置している状態を示す図である。
【図13】本実施形態のバイオセンサーの光学測定部付近の概略図である。
【図14】本実施形態の制御部とその周辺の概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0086】
10 被解析分子固定装置
14 分注ヘッド
16 コントローラ
18 駆動部
40 センサースティック
42A プリズム部
42 誘電体ブロック
44 流路部材
45 液体流路
45A 供給口
45B 排出口
50 金属膜
50A 固定化担体
60D メモリ
70 バイオセンサー
80 光学測定部
A 活性化液
B 被解析分子溶液
C ブロッキング液
D 洗浄液
M 被解析分子
E1 測定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを透過可能とされ、平坦面の形成された透明体と、
前記透明体の平坦面に形成され、被解析分子の固定される薄膜層と、
前記透明体に取り付けられ、前記薄膜層との間に前記薄膜層上で液体を貯留可能な液体流路を構成すると共に、この液体流路へ液体を供給可能な供給口及び供給された液体を排出可能な排出口の形成された流路部材と、
を備え、測定装置とは別体とされている測定セルへ被解析分子を固定する、被解析分子固定方法であって、
前記供給口から前記液体流路へ、前記被解析分子固定のための前処理を行なう前処理液を供給し、
前記供給口から前記前処理液の貯留されている前記液体流路へ前記被解析分子の含有された被解析分子溶液を供給しつつ前記排出口から前記前処理液を排出させて前記前処理液を前記被解析分子溶液で置換する、
被解析分子固定方法。
【請求項2】
前記薄膜層の前記液体流路に露出された部分の一部の測定領域に、前記被解析分子と結合可能な反応基を有する固定化担体が備えられ、
前記前処理液が前記反応基を活性化させる活性化液であること、を特徴とする請求項1に記載の被解析分子固定方法。
【請求項3】
前記供給口から前記被解析分子溶液の貯留された前記液体流路へ前記被解析分子の固定後の後処理を行なう後処理液を供給しつつ前記排出口から前記被解析分子溶液を排出させて前記被解析分子溶液を前記後処理液で置換すること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の被解析分子固定方法。
【請求項4】
前記後処理液は、前記反応基と解析時に供給される反応液中の物質との結合を阻止するためのブロッキング液であること、を特徴とする請求項3に記載の被解析分子固定方法。
【請求項5】
光ビームを透過可能とされ、平坦面の形成された透明体と、
前記透明体の平坦面に形成され、被解析分子の固定される薄膜層と、
前記透明体に取り付けられ、前記薄膜層との間に前記薄膜層上で液体を貯留可能な液体流路を構成すると共に、この液体流路へ液体を供給可能な供給口及び供給された液体を排出可能な排出口の形成された流路部材と、
を備え、測定装置とは別体とされている測定セル被解析分子を固定する、被解析分子固定装置であって、
前記供給口から前記液体流路へ、前記被解析分子固定のための前処理を行なう前処理液を供給する前処理液供給手段と、
前記供給口から前記前処理液の貯留されている前記液体流路へ前記被解析分子の含有された被解析分子溶液を供給しつつ前記排出口から前記前処理液を排出させて前記前処理液を前記被解析分子溶液で置換する、被解析分子溶液供給手段と、
を有する被解析分子固定装置。
【請求項6】
前記薄膜層の前記液体流路に露出された部分の一部の測定領域に、前記被解析分子と結合可能な反応基を有する固定化担体が備えられ、
前記前処理液が前記反応基を活性化させる活性化液であること、を特徴とする請求項5に記載の被解析分子固定装置。
【請求項7】
前記供給口から前記被解析分子溶液の貯留された前記液体流路へ前記被解析分子の固定後の後処理を行なう後処理液を供給しつつ前記排出口から前記被解析分子溶液を排出させて前記被解析分子溶液を前記後処理液で置換する、後処理液供給手段、をさらに備えたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の被解析分子固定装置。
【請求項8】
前記後処理液は、前記反応基と解析時に供給される反応液中の物質との結合を阻止するためのブロッキング液であること、を特徴とする請求項7に記載の被解析分子固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図9−4】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−266852(P2006−266852A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84994(P2005−84994)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】