説明

補助光投光装置

【課題】カメラ等の撮影装置本体を大きくする事なく、撮影装置本体に内蔵した光源からの補助光が、撮影レンズによってけられずに、全ての焦点検出領域に確実に投光される補助光投光装置を提供する。
【解決手段】被写体側から見て撮影画面16の右に位置する焦点検出領域6の右下隅のa点及びその周辺においては、プリズム5の5A,5Cからの補助光は、撮影レンズ20によりけられてしまうので、その主光軸から最も離れたプリズム5の5Bからの補助光が焦点検出領域6に投光されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝度或いはコントラストの低い被写体に対する焦点検出時に使用される補助光投光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、撮影レンズのデフォーカス量を算出して、或いは被写体までの距離を検出して焦点を自動調節する自動焦点調節装置、即ちいわゆるオートフォーカス(AF)がカメラ等において使用されている。これは、例えば前者では、撮影画面上の焦点検出領域における被写体の像の位置関係或いはコントラストにより、焦点のズレ量を算出し、この算出したズレ量に従って前記撮影レンズを駆動させ、焦点の調節を行うものである。また、光量の不足する(低輝度の)被写体に対しては、カメラ側に設けた補助の光源から補助光をその被写体に投光する事により、能動的に焦点検出を行っている。
【0003】さらに、測距視野を広くして測距すべき被写体を確実に捉えるために、焦点検出領域を複数とし、被写体に複数の補助光光束を投射し、その被写体からの反射光を複数の受光器で検知する事も行われている。これは、被写体にスポット光を投光して測距を行う場合、被写体条件により、所定の反射光量が得られない場合や、例えば二人が並んだ人物撮影のような場合、測距視野が狭いためにその測距視野が人物の間に入ってしまい、測距不能や誤測距となったりするという欠点を補うためのものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カメラ本体に内蔵した発光ダイオード(LED)等の光源からの補助光装置は、撮影レンズの主光軸からの距離が短い位置に配置されると、撮影レンズによる補助光のケラレが生じやすい。特に、前記複数の焦点検出領域の内、光源に対して撮影レンズの主光軸を挟んで反対側に位置する領域に投光される補助光は、けられやすくなる。逆に、補助光装置の位置を主光軸から遠くすると、使用者の手で光路がふさがれる恐れがある。これも避けようとすると、カメラ本体が大きくなってしまう。
【0005】本発明は、カメラ等の撮影装置本体を大きくする事なく、撮影装置本体に内蔵した光源からの補助光が、撮影レンズによってけられずに、全ての焦点検出領域に確実に投光される補助光投光装置を提供する事を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明では、被写体からの光により焦点検出を行うに際し、その被写体に対して補助光を投光するための補助光投光装置であって、前記被写体上の複数の焦点検出領域に対応した複数の補助光光学系を、撮影装置上に付設し、前記複数の補助光光学系の内、撮影レンズの主光軸から最も離れた位置の補助光光学系は、前記主光軸を挟んでその補助光光学系の反対側に位置する前記焦点検出領域に投光するようになっている構成とする。
【0007】また、前記主光軸から外れた前記焦点検出領域に投光される前記補助光は、一つの光源からの光をプリズムにより分光したものである構成とする。さらに、前記複数の補助光光学系は、前記撮影装置のグリップ部の存する側に設けられている構成とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における一眼レフカメラの概略構成を示すブロック図である。同図において、S1はレリーズ釦が半押しの状態のときにONとなるスイッチ、AL1,AL2はそれぞれ補助光投光装置、AFは焦点検出装置、20は撮影レンズ、Mは撮影レンズ20を駆動するモータ、21は例えばマイクロコンピュータ等により構成される制御部である。
【0009】同図において、図示しないレリーズ釦が半押しされ、スイッチS1がONの状態になると、制御部21からの指示により、補助光投光装置AL1或いはAL2が作動して、被写体上の焦点検出領域に相当する部分及びその周辺に補助光を投光し、被写体の光量を十分に確保した上で、撮影レンズ20を通過した被写体の光を焦点検出装置AFにより受光し、焦点検出を行う。そして、その情報に基づいて、制御部21において焦点のズレ量を算出し、この算出したズレ量に従ってモータMを駆動し、撮影レンズ20を駆動させて、焦点の調節を行う。
【0010】図2は、本実施形態の補助光投光装置の構成を示す模式図である。同図において、1,2は補助光を投光するための補助光レンズ、3,4は補助光の光源となる発光ダイオード(LED)、5はプリズムである。プリズム5は、発光ダイオード3からの光をそれぞれ撮影画面の左右に分光して投光させる面5B,5Cと、発光ダイオード4からの光を撮影画面の中央付近即ち主光軸周りに投光させる面5Aとより構成されている。尚、補助光レンズ1,発光ダイオード3,プリズム5の5B,5Cの組み合わせが、例えば上記AL1に相当し、補助光レンズ2,発光ダイオード4,プリズム5の5Aの組み合わせが、例えば上記AL2に相当する。
【0011】一方、6,7,8で示される焦点検出領域の内、例えば、7は長手方向を水平方向にして撮影画面16のほぼ中央部に位置し、6,8は長手方向を縦方向にしてそれぞれ撮影画面16の左右に位置している。そして、プリズム5の右上領域を構成する5Bを通過した補助光が、撮影画面16左の焦点検出領域6を含む補助光投光領域9に投光され、プリズム5の左上領域を構成する5Cを通過した補助光が、撮影画面16右の焦点検出領域8を含む補助光投光領域11に投光される。また、プリズム5の下部領域を構成する5Aを通過した補助光が、撮影画面16中央の焦点検出領域7を含む補助光投光領域10に投光される。
【0012】図3は、図2の構成を被写体側から見た様子を示す模式図である。図3に示すように、補助光投光装置の一部を構成するプリズム5は、例えばカメラ本体14の正面に設けられ、撮影レンズ20の左上に位置している。他の部分はカメラ本体14に内蔵されている。同図のように、プリズム5の5B,5C及び焦点検出領域6〜8並びに補助光投光領域9〜11の配置は、当然図2とは左右反対に示されている。
【0013】このとき、被写体側から見て撮影画面16の右に位置する焦点検出領域6の右下隅のa点(図2では左下隅)から補助光投光装置(プリズム5)を見ると、図4のようになり、プリズム5の5A,5Cからの補助光は、撮影レンズ20によりけられてしまう事が分かる。そこで、本実施形態では、プリズム5の5Bからの補助光が焦点検出領域6に投光されるようにしている。即ち、上記ケラレを低減させるために、補助光光学系を複数に分割し、分割された光学系の内、撮影レンズの主光軸から最も離れた光学系による補助光が、その主光軸を挟んで反対側に位置する焦点検出領域を照明するようにしている。従って、補助光光学系をできるだけ主光軸から近い位置に配置する事ができ、カメラ本体を大きくする必要がない。
【0014】尚、プリズム5ひいては補助光光学系が図3R>3に示すような位置に配置される一つの理由として、同図に示すようなカメラ本体14の正面左端のグリップ15の存在が挙げられる。つまり、このグリップ15によってこれを掴む使用者の右手の位置を或程度規制する事ができるので、撮影レンズ20の主光軸からグリップ15の存する側にプリズム5が設けられている事により、補助光が右手によって遮られるのを未然に防ぐ事が可能となる。これが例えば撮影レンズ20の正面右側のグリップが設けられていない側にプリズム5があったとすると、使用者がカメラ本体14を両手で構えた場合、その左手の位置が確定しないので、それにより補助光が遮られる可能性が高くなる。
【0015】また、本実施形態においては、主光軸の左右に位置する焦点検出領域は各1個ずつとしたが、これは複数でも良く、主光軸の片側或いは両側について複数設けられた焦点検出領域に対して、いずれか或いは全部に補助光を投光するようにしても良い。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、カメラ等の撮影装置本体を大きくする事なく、カメラ本体に内蔵した光源からの補助光が、撮影レンズによってけられずに、全ての焦点検出領域に確実に投光される事ができる。また、請求項2によるならば、光源の数が少なくて済むのでコストダウンを図る事ができ、制御もしやすくなる。また、請求項3によるならば、使用者の手が補助光を遮る事を未然に防ぐ事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における一眼レフカメラの概略構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態の補助光投光装置の構成を示す模式図。
【図3】図2の構成を被写体側から見た様子を示す模式図。
【図4】図3のa点から補助光投光装置を見た場合を示す模式図。
【符号の説明】
S1 スイッチ
AL1,AL2 補助光投光装置
AF 焦点検出装置
M モータ
1,2 補助光レンズ
3,4 発光ダイオード
5 プリズム
6,7,8 焦点検出領域
9,10,11 補助光投光領域
14 カメラ本体
15 グリップ
16 撮影画面
20 撮影レンズ
21 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写体からの光により焦点検出を行うに際し、該被写体に対して補助光を投光するための補助光投光装置であって、前記被写体上の複数の焦点検出領域に対応した複数の補助光光学系を、撮影装置上に付設し、前記複数の補助光光学系の内、撮影レンズの主光軸から最も離れた位置の補助光光学系は、前記主光軸を挟んで該補助光光学系の反対側に位置する前記焦点検出領域に投光するようになっている事を特徴とする補助光投光装置。
【請求項2】 前記主光軸から外れた前記焦点検出領域に投光される前記補助光は、一つの光源からの光をプリズムにより分光したものである事を特徴とする請求項1に記載の補助光投光装置。
【請求項3】 前記複数の補助光光学系は、前記撮影装置のグリップ部の存する側に設けられている事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の補助光投光装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate