補高便座の取付構造
【課題】 便器本体の公差が大きくてもジャストフィットさせて、ガタつくことなく便器本体に取り付けできる補高便座の取付構造を提供する。
【解決手段】 便器本体1の上面に取り付けられる補高便座2に薄板状の係合部材6aを固定し、この係合部材6aの弾性片8を便器本体のリブ1aの内周面に弾着させ、係合部材6aの引っ掛かり部9をリブ1aの下面に引っ掛けて、ガタつくことなく補高便座2を便器本体1に取り付ける。
【解決手段】 便器本体1の上面に取り付けられる補高便座2に薄板状の係合部材6aを固定し、この係合部材6aの弾性片8を便器本体のリブ1aの内周面に弾着させ、係合部材6aの引っ掛かり部9をリブ1aの下面に引っ掛けて、ガタつくことなく補高便座2を便器本体1に取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器本体の上面に補高便座を取り付ける取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
老人等が便器への立ち座りを楽に行えるように、便器本体と便座間に嵩上げ用に補高便座を取り付けた構造のものが存在し、補高便座は便座とともに1本の長いボルトによって便器本体に固定されているため、使用により緩み,ガタが発生し易いという問題点があり、横ズレを防ぐために、例えば特許文献1に開示されているように、補高便座の裏面の内周部全周に内周突起部を設け、この内周突起部を便器本体のリブに固定した構造のものが存在する。
【特許文献1】特開2003−265364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
便器本体は陶器製であり、焼成時等に生ずる公差が大となるものであるが、これに対し特許文献1に開示されているように、補高便座に一体状に内周突起部を設けて、横ズレを防ごうとしても、便器本体側の公差により、内周突起部を上手く便器本体のリブに装着できない場合が多く、結局、ガタ,緩みが生じ易いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、公差の大なる便器本体に対し、ジャストフィットさせてガタの生じない状態に補高便座を取り付けることのできる取付構造を提供するものであり、その請求項1は、便器本体の上面に取り付けられる補高便座であって、該補高便座に薄板状の係合部材を固設し、該係合部材を前記便器本体の上面内周のリブに係合させるように構成したことである。
【0005】
また請求項2は、前記係合部材が、前記便器本体のリブに広い範囲で接触する帯状に形成されていることである。
【0006】
また請求項3は、前記係合部材には、前記便器本体のリブに弾着可能にバネ弾性が付与されていることである。
【0007】
また請求項4は、前記係合部材には、前記便器本体のリブ下面に引っ掛かる引っ掛かり部が形成されていることである。
【0008】
また請求項5は、前記係合部材が、クッション性のある軟質素材で形成されていることである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の補高便座の取付構造は、補高便座に薄板状の係合部材を固設し、係合部材を便器本体の上面内周のリブに係合させるように構成したことにより、薄板状の係合部材を用いて、陶器製の便器本体に対し、補高便座をジャストフィットさせて取り付けることができ、ガタつき,緩み等のない状態に補高便座を取り付けできるものとなる。
【0010】
また、係合部材が、便器本体のリブに広い範囲で接触する帯状に形成されていることにより、帯状に形成して広い範囲で係合部材をリブに弾着させて、フィット性を向上させ、ガタつきを防ぐことができるものとなる。
【0011】
また、係合部材には、便器本体のリブに弾着可能にバネ弾性が付与されていることにより、係合部材が便器本体のリブに弾着されるため、便器本体の公差を良好に吸収して、ガタつきのない状態に補高便座を取り付けできるものとなる。
【0012】
また、係合部材には、便器本体のリブ下面に引っ掛かる引っ掛かり部が形成されていることにより、係合部材の引っ掛かり部が便器本体のリブ下面に引っ掛かり、これにより上下方向のフィット性が向上し、上下方向のガタつきを無くして、補高便座を取り付けできるものとなる。
【0013】
また、係合部材が、クッション性のある軟質素材で形成されていることにより、軟質素材で係合部材を形成させることで、良好な弾性及びクッション性が得られて、良好に係合部材を便器本体のリブに接触させて、ガタつきを防ぐことができ、便器本体に対し良好にフィットさせて、補高便座を装着できるものとなる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、補高便座の取付配置構成図であり、便器本体1の上面に内側へ突出して形成されているリブ1aの上面側に、補高便座2が取り付けられ、この補高便座2の上面に、通常の便座3が設置されて、便座3の高さが補高便座2により嵩上げされるものである。
このような補高便座2を便器本体1に対し、ガタつくことなくジャストフィットさせて取り付けるために、例えば図2の要部縦断面構成図、及び図3の要部斜視構成図で示すような係合部材が用いられるものである。
【0015】
図2及び図3で示す係合部材は、図4の平面構成図で示すように、横方向に延びる帯状に、薄板状のクッション性のある軟質素材や金属材で形成されており、左右に、前方から後方側に延びる帯状の側部係合部材6a,6aが設けられ、前部には、湾曲状に帯状に延びる前部係合部材6bが設けられ、後部には。左右方向に帯状に延びる後部係合部材6cが設けられ、この4本の係合部材6a,6a,6b,6cを用いて、便器本体1に補高便座2がジャストフィットされて、ガタの生じない状態に装着されるものである。
【0016】
例えば、図2及び図3では、側部係合部材6aを例示しており、この係合部材6aは、水平状の固定片7の外端から垂下状に弾性片8が形成され、弾性片8の下端で水平状に外側へ折り曲げられた引っ掛かり部9が一体化されており、固定片7には、左右方向に長い長孔10が形成されている。
この長孔10内に下方よりビス5を通し、固定片7の上面に複数枚のスペーサー(クッション)4を介在させて、このスペーサー(クッション)4の枚数を調整することにより、便器本体1のリブ1aの下面に、係合部材6aの引っ掛かり部9が弾着されるように調整して、ビス5を補高便座2に締め付けて、ビス5により係合部材6aを予め補高便座2に固定しておく。
【0017】
なお、その際、長孔10を介して、係合部材6aの左右方向位置を調整して、係合部材6aの弾性片8がリブ1aの内周面に弾着できるように調整しておく。
このようにして、補高便座2に、側部係合部材6a,6a、前部係合部材6b及び後部係合部材6cを、ビスでそれぞれ固定しておき、その状態で、補高便座2を便器本体1のリブ1aの上面より差し込むと、係合部材6aは薄板状に形成されているため、良好に弾性片8が弾力性で撓み、リブ1aの下側に引っ掛かり部9が弾着された状態では、リブ1aの内周側に弾性片8が弾着されて、左右方向及び上下方向のガタつきが無くなり、良好なフィット性が得られて補高便座2が便器本体1に取り付けられるものである。
【0018】
なお、便器本体1は陶器製であるため、製品1個毎に寸法誤差が生じており、そのような寸法誤差に対応させて、係合部材6aの補高便座2に対する取付位置を長孔10及びスペーサー4で調整して、それぞれの便器本体1に対して良好にジャストフィットできるように取り付けできるものとなる。
【0019】
次に、図5の縦断面図で、また図6の斜視図で示すものは変更例であり、図5及び図6では、断面L字状に形成した係合部材6aは、スペーサー4を介在させて、ビス5を締め付けることで補高便座2に固定される固定片7から、垂下状に弾性片8が一体形成されており、固定片7には左右方向に長い長孔10aが形成され、また弾性片8には上下方向に長い長孔11が形成されている。
この長孔11内に別のビス5aを入れて、このビス5aで弾性片8に引っ掛かり部材12を固定できるように構成されている。
引っ掛かり部材12は、水平方向に帯状に延びて断面L字状に形成されており、弾性片8に当接状にビス5aで固定される固定部12aの上端に、外方向へ水平状に延びて引っ掛かり部12bが形成されたものである。
【0020】
図5及び図6の構成では、長孔11を介して引っ掛かり部12bの上下高さを調整して、ジャストフィットする位置に、予めビス5aで引っ掛かり部材12を固定させておくことができ、また、長孔10を介して、係合部材6aの弾性片8が便器本体のリブ1aの内周に弾着する位置に、予め調整しておくことができ、長孔11による上下方向の調整代が充分でない場合には、スペーサー4を用いて上下方向の位置を調整できるものである。
このように、予め長孔10で左右方向の位置を調整し、長孔11で上下方向の位置を調整して、便器本体1のリブ1aの内周面に弾性片8が弾着するように、また引っ掛かり部12bがリブ1aの下面に弾着するように調整しておき、係合部材6a及び引っ掛かり部材12を用いて、補高便座2を便器本体1のリブ1aに、ガタつくことなく取り付けできるものとなる。
【0021】
次に、図7の縦断面図で、図8の要部斜視図で示すものは、更に異なる変更例であり、本例では、係合部材6aは、固定片7と弾性片8と、弾性片8の下端から外側へ向かって湾曲状に上傾して引っ掛かり部9が形成されたものである。
この引っ掛かり部9は、湾曲状に外側へ上傾しているため、便器本体1のリブ1aの下面に、弾力性により上下方向に撓んで強固に当接することができるものであり、しかも、このような形状の引っ掛かり部9であれば、補高便座2に予め係合部材6aをビス5で固定させた後に、便器本体1のリブ1aの内側に上方側から係合部材6aを差し込む際に、弾性片8が内側に撓み、且つ引っ掛かり部9も撓みを生じて良好に下方側に移動し、リブ1aの下面側に達した状態で、外側へ弾力性で突出することができ、上方側から押し込んで、良好にジャストフィットさせて、補高便座2をガタつくことなく取り付けできるものとなり、取付作業がより容易なものとなる。
なお、弾性片8をリブ1aの内周面と当接状態とさせるために、前述した如く、長孔10により左右方向の位置を調整できるものである。
【0022】
次に、図9の縦断面図で示すものは、更に異なる変更例であり、図9では、係合部材に、固定片7と垂下状の弾性片8と、弾性片8の下端から外方向へ水平状に延びる引っ掛かり部9が形成され、更に引っ掛かり部9の外端側から湾曲状に垂下してバネ片13が一体形成されたものであり、このバネ片13は便器本体1の鉢面内周に弾着できるように構成しておけば、バネ片13が便器本体1の鉢面に当接し、引っ掛かり部9がリブ1aの下面に弾性で引っ掛かり、またリブ1aの内周面に弾性片8が弾着されることで、よりガタつきのない強固な補高便座2の取付構造が得られるものとなる。
【0023】
更に図10に示す変更例では、係合部材6aは、固定片7から垂下状に弾性片8が一体形成され、弾性片8の下端から湾曲状に上傾して、便器本体1の鉢面に弾着し得る引っ掛かり部9が一体形成されており、この引っ掛かり部9の上端は、リブ1bの下面に当接できるように構成したものである。
このような断面形状の係合部材6aを用いることにより、補高便座2に予め係合部材6aを固定させておけば、係合部材6aをリブ1aの内周側に差し込んでゆく際に、良好に弾性片8及び引っ掛かり部9が内側へ撓んで、差込作業が容易なものとなり、引っ掛かり部9は、便器本体1の鉢面上端側内周に当接し、しかもリブ1aの下面に引っ掛かることとなり、また弾性片8がリブ1aの内周面に弾着されて、左右及び上下にガタつくことなく、強固に補高便座2を便器本体1に取り付けできるものとなる。
【0024】
更には、図11及び図12の断面図で示すような断面形状の係合部材6aを用いることもでき、図11の係合部材では、弾性片8の下端側に外側へ突出して楔状の引っ掛かり部9が一体形成されたものであり、この引っ掛かり部9が、リブ1aの下面に引っ掛けられて、上下方向のガタつきを無くすることができ、しかも取付作業が容易なものとなる。
【0025】
図12に示す係合部材6aでは、弾性片8の下端に略断面四角形状の引っ掛かり部9が一体形成されたものであり、この引っ掛かり部9が、便器本体のリブ1aの下面に引っ掛けられるものであり、引っ掛かり部9により上下方向のガタつきが無くなり、また弾性片8がリブ1aの内周に弾着して、左右方向のガタつきが無くなり、ジャストフィット状態でズレ及びガタつきなく補高便座2が便器本体1に取り付けられるものである。
【0026】
なお、図13に示すように、便器1のリブ1aの上方に位置する補高便座2の下面に、上方へ凹んだ凹部2aを形成させておき、この凹部2aに断面略コの字状の係合部材6aをビス5で固定しても良い。
即ち、係合部材6aの固定片7がビス5で凹部2a内に固定され、固定片7から垂下する弾性片8がリブ1aの内側に配置され、弾性片8の下端から固定片7と平行状に略水平に延びる引っ掛かり部9がリブ1aの下面の下方に配置される。
このような構造では、補高便座2にはリブ1aの上方に凹部2aが形成されており、この凹部2aに固定される係合部材6aの固定片7は、リブ1aの上面側に配置されるため、補高便座2の幅寸法aを短くすることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】便器本体と便座間に設けられる補高便座の配置構成図である。
【図2】補高便座を便器本体に固定する係合部材の縦断面構成図である。
【図3】図2の係合部材の斜視構成図である。
【図4】係合部材を左右及び前後に設けて補高便座を便器上面に取り付けた状態の平面構成図である。
【図5】係合部材及び引っ掛かり部材の変更例の縦断面構成図である。
【図6】図5の係合部材及び引っ掛かり部材の斜視構成図である。
【図7】更に異なる係合部材の変更例の縦断面構成図である。
【図8】図7の係合部材の斜視構成図である。
【図9】更に異なる係合部材の変更例を示す縦断面構成図である。
【図10】更に異なる係合部材の変更例を示す縦断面構成図である。
【図11】更に異なる係合部材の変更例を示す縦断面構成図である。
【図12】更に異なる係合部材の変更例を示す縦断面構成図である。
【図13】更に異なる係合部材の変更例を示す縦断面構成図である。
【符号の説明】
【0028】
1 便器本体
1a リブ
2 補高便座
3 便座
4 スペーサー(クッション)
5,5a ビス
6a 側部挟み込み部
6b 前部係合部材
6c 後部係合部材
7 固定片
8 弾性片
9 引っ掛かり部
10 長孔
11 長孔
12 引っ掛かり部材
12a 固定部
12b 引っ掛かり部
13 バネ片
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器本体の上面に補高便座を取り付ける取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
老人等が便器への立ち座りを楽に行えるように、便器本体と便座間に嵩上げ用に補高便座を取り付けた構造のものが存在し、補高便座は便座とともに1本の長いボルトによって便器本体に固定されているため、使用により緩み,ガタが発生し易いという問題点があり、横ズレを防ぐために、例えば特許文献1に開示されているように、補高便座の裏面の内周部全周に内周突起部を設け、この内周突起部を便器本体のリブに固定した構造のものが存在する。
【特許文献1】特開2003−265364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
便器本体は陶器製であり、焼成時等に生ずる公差が大となるものであるが、これに対し特許文献1に開示されているように、補高便座に一体状に内周突起部を設けて、横ズレを防ごうとしても、便器本体側の公差により、内周突起部を上手く便器本体のリブに装着できない場合が多く、結局、ガタ,緩みが生じ易いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、公差の大なる便器本体に対し、ジャストフィットさせてガタの生じない状態に補高便座を取り付けることのできる取付構造を提供するものであり、その請求項1は、便器本体の上面に取り付けられる補高便座であって、該補高便座に薄板状の係合部材を固設し、該係合部材を前記便器本体の上面内周のリブに係合させるように構成したことである。
【0005】
また請求項2は、前記係合部材が、前記便器本体のリブに広い範囲で接触する帯状に形成されていることである。
【0006】
また請求項3は、前記係合部材には、前記便器本体のリブに弾着可能にバネ弾性が付与されていることである。
【0007】
また請求項4は、前記係合部材には、前記便器本体のリブ下面に引っ掛かる引っ掛かり部が形成されていることである。
【0008】
また請求項5は、前記係合部材が、クッション性のある軟質素材で形成されていることである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の補高便座の取付構造は、補高便座に薄板状の係合部材を固設し、係合部材を便器本体の上面内周のリブに係合させるように構成したことにより、薄板状の係合部材を用いて、陶器製の便器本体に対し、補高便座をジャストフィットさせて取り付けることができ、ガタつき,緩み等のない状態に補高便座を取り付けできるものとなる。
【0010】
また、係合部材が、便器本体のリブに広い範囲で接触する帯状に形成されていることにより、帯状に形成して広い範囲で係合部材をリブに弾着させて、フィット性を向上させ、ガタつきを防ぐことができるものとなる。
【0011】
また、係合部材には、便器本体のリブに弾着可能にバネ弾性が付与されていることにより、係合部材が便器本体のリブに弾着されるため、便器本体の公差を良好に吸収して、ガタつきのない状態に補高便座を取り付けできるものとなる。
【0012】
また、係合部材には、便器本体のリブ下面に引っ掛かる引っ掛かり部が形成されていることにより、係合部材の引っ掛かり部が便器本体のリブ下面に引っ掛かり、これにより上下方向のフィット性が向上し、上下方向のガタつきを無くして、補高便座を取り付けできるものとなる。
【0013】
また、係合部材が、クッション性のある軟質素材で形成されていることにより、軟質素材で係合部材を形成させることで、良好な弾性及びクッション性が得られて、良好に係合部材を便器本体のリブに接触させて、ガタつきを防ぐことができ、便器本体に対し良好にフィットさせて、補高便座を装着できるものとなる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、補高便座の取付配置構成図であり、便器本体1の上面に内側へ突出して形成されているリブ1aの上面側に、補高便座2が取り付けられ、この補高便座2の上面に、通常の便座3が設置されて、便座3の高さが補高便座2により嵩上げされるものである。
このような補高便座2を便器本体1に対し、ガタつくことなくジャストフィットさせて取り付けるために、例えば図2の要部縦断面構成図、及び図3の要部斜視構成図で示すような係合部材が用いられるものである。
【0015】
図2及び図3で示す係合部材は、図4の平面構成図で示すように、横方向に延びる帯状に、薄板状のクッション性のある軟質素材や金属材で形成されており、左右に、前方から後方側に延びる帯状の側部係合部材6a,6aが設けられ、前部には、湾曲状に帯状に延びる前部係合部材6bが設けられ、後部には。左右方向に帯状に延びる後部係合部材6cが設けられ、この4本の係合部材6a,6a,6b,6cを用いて、便器本体1に補高便座2がジャストフィットされて、ガタの生じない状態に装着されるものである。
【0016】
例えば、図2及び図3では、側部係合部材6aを例示しており、この係合部材6aは、水平状の固定片7の外端から垂下状に弾性片8が形成され、弾性片8の下端で水平状に外側へ折り曲げられた引っ掛かり部9が一体化されており、固定片7には、左右方向に長い長孔10が形成されている。
この長孔10内に下方よりビス5を通し、固定片7の上面に複数枚のスペーサー(クッション)4を介在させて、このスペーサー(クッション)4の枚数を調整することにより、便器本体1のリブ1aの下面に、係合部材6aの引っ掛かり部9が弾着されるように調整して、ビス5を補高便座2に締め付けて、ビス5により係合部材6aを予め補高便座2に固定しておく。
【0017】
なお、その際、長孔10を介して、係合部材6aの左右方向位置を調整して、係合部材6aの弾性片8がリブ1aの内周面に弾着できるように調整しておく。
このようにして、補高便座2に、側部係合部材6a,6a、前部係合部材6b及び後部係合部材6cを、ビスでそれぞれ固定しておき、その状態で、補高便座2を便器本体1のリブ1aの上面より差し込むと、係合部材6aは薄板状に形成されているため、良好に弾性片8が弾力性で撓み、リブ1aの下側に引っ掛かり部9が弾着された状態では、リブ1aの内周側に弾性片8が弾着されて、左右方向及び上下方向のガタつきが無くなり、良好なフィット性が得られて補高便座2が便器本体1に取り付けられるものである。
【0018】
なお、便器本体1は陶器製であるため、製品1個毎に寸法誤差が生じており、そのような寸法誤差に対応させて、係合部材6aの補高便座2に対する取付位置を長孔10及びスペーサー4で調整して、それぞれの便器本体1に対して良好にジャストフィットできるように取り付けできるものとなる。
【0019】
次に、図5の縦断面図で、また図6の斜視図で示すものは変更例であり、図5及び図6では、断面L字状に形成した係合部材6aは、スペーサー4を介在させて、ビス5を締め付けることで補高便座2に固定される固定片7から、垂下状に弾性片8が一体形成されており、固定片7には左右方向に長い長孔10aが形成され、また弾性片8には上下方向に長い長孔11が形成されている。
この長孔11内に別のビス5aを入れて、このビス5aで弾性片8に引っ掛かり部材12を固定できるように構成されている。
引っ掛かり部材12は、水平方向に帯状に延びて断面L字状に形成されており、弾性片8に当接状にビス5aで固定される固定部12aの上端に、外方向へ水平状に延びて引っ掛かり部12bが形成されたものである。
【0020】
図5及び図6の構成では、長孔11を介して引っ掛かり部12bの上下高さを調整して、ジャストフィットする位置に、予めビス5aで引っ掛かり部材12を固定させておくことができ、また、長孔10を介して、係合部材6aの弾性片8が便器本体のリブ1aの内周に弾着する位置に、予め調整しておくことができ、長孔11による上下方向の調整代が充分でない場合には、スペーサー4を用いて上下方向の位置を調整できるものである。
このように、予め長孔10で左右方向の位置を調整し、長孔11で上下方向の位置を調整して、便器本体1のリブ1aの内周面に弾性片8が弾着するように、また引っ掛かり部12bがリブ1aの下面に弾着するように調整しておき、係合部材6a及び引っ掛かり部材12を用いて、補高便座2を便器本体1のリブ1aに、ガタつくことなく取り付けできるものとなる。
【0021】
次に、図7の縦断面図で、図8の要部斜視図で示すものは、更に異なる変更例であり、本例では、係合部材6aは、固定片7と弾性片8と、弾性片8の下端から外側へ向かって湾曲状に上傾して引っ掛かり部9が形成されたものである。
この引っ掛かり部9は、湾曲状に外側へ上傾しているため、便器本体1のリブ1aの下面に、弾力性により上下方向に撓んで強固に当接することができるものであり、しかも、このような形状の引っ掛かり部9であれば、補高便座2に予め係合部材6aをビス5で固定させた後に、便器本体1のリブ1aの内側に上方側から係合部材6aを差し込む際に、弾性片8が内側に撓み、且つ引っ掛かり部9も撓みを生じて良好に下方側に移動し、リブ1aの下面側に達した状態で、外側へ弾力性で突出することができ、上方側から押し込んで、良好にジャストフィットさせて、補高便座2をガタつくことなく取り付けできるものとなり、取付作業がより容易なものとなる。
なお、弾性片8をリブ1aの内周面と当接状態とさせるために、前述した如く、長孔10により左右方向の位置を調整できるものである。
【0022】
次に、図9の縦断面図で示すものは、更に異なる変更例であり、図9では、係合部材に、固定片7と垂下状の弾性片8と、弾性片8の下端から外方向へ水平状に延びる引っ掛かり部9が形成され、更に引っ掛かり部9の外端側から湾曲状に垂下してバネ片13が一体形成されたものであり、このバネ片13は便器本体1の鉢面内周に弾着できるように構成しておけば、バネ片13が便器本体1の鉢面に当接し、引っ掛かり部9がリブ1aの下面に弾性で引っ掛かり、またリブ1aの内周面に弾性片8が弾着されることで、よりガタつきのない強固な補高便座2の取付構造が得られるものとなる。
【0023】
更に図10に示す変更例では、係合部材6aは、固定片7から垂下状に弾性片8が一体形成され、弾性片8の下端から湾曲状に上傾して、便器本体1の鉢面に弾着し得る引っ掛かり部9が一体形成されており、この引っ掛かり部9の上端は、リブ1bの下面に当接できるように構成したものである。
このような断面形状の係合部材6aを用いることにより、補高便座2に予め係合部材6aを固定させておけば、係合部材6aをリブ1aの内周側に差し込んでゆく際に、良好に弾性片8及び引っ掛かり部9が内側へ撓んで、差込作業が容易なものとなり、引っ掛かり部9は、便器本体1の鉢面上端側内周に当接し、しかもリブ1aの下面に引っ掛かることとなり、また弾性片8がリブ1aの内周面に弾着されて、左右及び上下にガタつくことなく、強固に補高便座2を便器本体1に取り付けできるものとなる。
【0024】
更には、図11及び図12の断面図で示すような断面形状の係合部材6aを用いることもでき、図11の係合部材では、弾性片8の下端側に外側へ突出して楔状の引っ掛かり部9が一体形成されたものであり、この引っ掛かり部9が、リブ1aの下面に引っ掛けられて、上下方向のガタつきを無くすることができ、しかも取付作業が容易なものとなる。
【0025】
図12に示す係合部材6aでは、弾性片8の下端に略断面四角形状の引っ掛かり部9が一体形成されたものであり、この引っ掛かり部9が、便器本体のリブ1aの下面に引っ掛けられるものであり、引っ掛かり部9により上下方向のガタつきが無くなり、また弾性片8がリブ1aの内周に弾着して、左右方向のガタつきが無くなり、ジャストフィット状態でズレ及びガタつきなく補高便座2が便器本体1に取り付けられるものである。
【0026】
なお、図13に示すように、便器1のリブ1aの上方に位置する補高便座2の下面に、上方へ凹んだ凹部2aを形成させておき、この凹部2aに断面略コの字状の係合部材6aをビス5で固定しても良い。
即ち、係合部材6aの固定片7がビス5で凹部2a内に固定され、固定片7から垂下する弾性片8がリブ1aの内側に配置され、弾性片8の下端から固定片7と平行状に略水平に延びる引っ掛かり部9がリブ1aの下面の下方に配置される。
このような構造では、補高便座2にはリブ1aの上方に凹部2aが形成されており、この凹部2aに固定される係合部材6aの固定片7は、リブ1aの上面側に配置されるため、補高便座2の幅寸法aを短くすることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】便器本体と便座間に設けられる補高便座の配置構成図である。
【図2】補高便座を便器本体に固定する係合部材の縦断面構成図である。
【図3】図2の係合部材の斜視構成図である。
【図4】係合部材を左右及び前後に設けて補高便座を便器上面に取り付けた状態の平面構成図である。
【図5】係合部材及び引っ掛かり部材の変更例の縦断面構成図である。
【図6】図5の係合部材及び引っ掛かり部材の斜視構成図である。
【図7】更に異なる係合部材の変更例の縦断面構成図である。
【図8】図7の係合部材の斜視構成図である。
【図9】更に異なる係合部材の変更例を示す縦断面構成図である。
【図10】更に異なる係合部材の変更例を示す縦断面構成図である。
【図11】更に異なる係合部材の変更例を示す縦断面構成図である。
【図12】更に異なる係合部材の変更例を示す縦断面構成図である。
【図13】更に異なる係合部材の変更例を示す縦断面構成図である。
【符号の説明】
【0028】
1 便器本体
1a リブ
2 補高便座
3 便座
4 スペーサー(クッション)
5,5a ビス
6a 側部挟み込み部
6b 前部係合部材
6c 後部係合部材
7 固定片
8 弾性片
9 引っ掛かり部
10 長孔
11 長孔
12 引っ掛かり部材
12a 固定部
12b 引っ掛かり部
13 バネ片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の上面に取り付けられる補高便座であって、該補高便座に薄板状の係合部材を固設し、該係合部材を前記便器本体の上面内周のリブに係合させるように構成したことを特徴とする補高便座の取付構造。
【請求項2】
前記係合部材が、前記便器本体のリブに広い範囲で接触する帯状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の補高便座の取付構造。
【請求項3】
前記係合部材には、前記便器本体のリブに弾着可能にバネ弾性が付与されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の補高便座の取付構造。
【請求項4】
前記係合部材には、前記便器本体のリブ下面に引っ掛かる引っ掛かり部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の補高便座の取付構造。
【請求項5】
前記係合部材が、クッション性のある軟質素材で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の補高便座の取付構造。
【請求項1】
便器本体の上面に取り付けられる補高便座であって、該補高便座に薄板状の係合部材を固設し、該係合部材を前記便器本体の上面内周のリブに係合させるように構成したことを特徴とする補高便座の取付構造。
【請求項2】
前記係合部材が、前記便器本体のリブに広い範囲で接触する帯状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の補高便座の取付構造。
【請求項3】
前記係合部材には、前記便器本体のリブに弾着可能にバネ弾性が付与されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の補高便座の取付構造。
【請求項4】
前記係合部材には、前記便器本体のリブ下面に引っ掛かる引っ掛かり部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の補高便座の取付構造。
【請求項5】
前記係合部材が、クッション性のある軟質素材で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の補高便座の取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−305019(P2006−305019A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130611(P2005−130611)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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