説明

製紙スラッジからなる壁材

【課題】解決しようとする問題点は、従来は廃棄物として処理されていた製紙スラッジを壁材として利用しようとする事が発明が解決しようとする課題である。
【解決手段】本発明は、紙の抄紙工程で発生する製紙スラッジに適量の粘土、消石灰、気泡剤を混入し、所定の厚み、大きさに成形してなる製紙スラッジからなる壁材とすること、更には光沢のある塗工紙の抄紙工程で発生する製紙スラッジに適量の消石灰、気泡剤を混入し、所定の厚み、大きさに成形してなる製紙スラッジからなる壁材とすることを課題を解決するための手段としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本来廃棄物とされる製紙スラッジを主材料とした壁材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から塗り壁としての漆喰は周知である。漆喰とは、消石灰を結合剤とする塗り壁またはモルタルのことで、5000年前から使われ始め、日本では消石灰と海藻糊とスサを主原料としてきた。国内の有名な使用建物では、高松塚古墳の壁画、姫路城、首里城がある。当該漆喰は消石灰(水酸化カルシウム)が大気中の炭酸ガスと反応して硬化する気硬性を有することを利用している。この漆喰の特徴は調湿性(湿度を一定に保とうとする働き)に優れており、木材の2〜3倍・ビニールクロスの10倍以上の性能と言われている。また気体状態の湿気が液体(水)になるには十分な量の湿気が必要であるが、漆喰は材料内部に湿気を拡散するため表面が結露しにくく、壁面結露の抑制効果がある。そのため壁表面は乾燥状態を保たれ、カビやダニの発生が抑制される。更に原料がすべて天然のものなので、土に埋めて自然に戻すことができる等、廃棄時に環境負荷がない。またこの漆喰には、スサというひび割れ防止用の植物繊維が用いられている。
【0003】
一方、製紙工場における再生紙製造過程で、精製段階において原料となる古紙の約30%が製紙スラッジとして排出されている。この製紙スラッジとは、紙の抄紙工程で出る短くなって網から落ちる繊維、また光沢のある塗工紙の表面に塗ってある粘土類。原料となる古紙が光沢のある高給紙であるほど、製紙スラッジは増える。即ち製紙スラッジのほとんどは、インクの滲み止めのために紙の繊維に添加される粘土類が主な成分で、古紙のリサイクルが行われるようになるにつれその排出量は増加し、全国で年間約300万トン以上になっている。再生紙はバージンパルプ紙より、森林保護、エネルギー水消費の観点から、地球に優しいことは明らかであり、積極的な古紙のリサイクルは、紙資源の保護につながるのであるが、その一方で、製紙スラッジが新たな問題として浮上している。発生する製紙スラッジは現在、焼却あるいは埋め立て処分されているが埋め立て処分をするにも用地確保が困難となっており、また処理費用の高騰、環境問題への対応から新たな処理法が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、従来は廃棄物として処理されていた製紙スラッジを壁材として利用しようとする事が発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、紙の抄紙工程で発生する製紙スラッジに適量の粘土、消石灰、気泡剤を混入し、所定の厚み、大きさに成形してなる製紙スラッジからなる壁材とすること、更には光沢のある塗工紙の抄紙工程で発生する製紙スラッジに適量の消石灰、気泡剤を混入し、所定の厚み、大きさに成形してなる製紙スラッジからなる壁材とすることを課題を解決するための手段としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる製紙スラッジからなる壁材は、古来よりある漆喰壁の技術を応用し、従来は廃棄処分としていた製紙スラッジを主材料とし、それに適量の消石灰、気泡材を咥えて混錬し、所定の厚み、大きさに成形したものであるから、製紙スラッジの主成分である粘土を消石灰を用いて硬化せしめるものであるが、製紙スラッジの紙の繊維が漆喰壁のスサの効果し、ひび割れを防止して堅固なる壁材が得られるものである。また適量の気泡材を混入しているので、得られた壁材が軽く、また断熱効果も得られる物である。しかも、漆喰と同じような構造となるので、湿度を一定に保とうとする調湿性に優れ、材料内部に湿気を拡散するため表面が結露しにくく、壁面結露の抑制効果がある。そのため壁表面は乾燥状態を保たれ、カビやダニの発生が抑制される。更に原料がすべて天然のものなので、土に埋めて自然に戻すことができる等、廃棄時に環境負荷がない等、極めて顕著なる種々の効果が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
紙の抄紙工程で発生する製紙スラッジに適量の粘土、消石灰、気泡剤を混入し、所定の厚み、大きさに成形してなる製紙スラッジからなる壁材であり、更には光沢のある塗工紙の抄紙工程で発生する製紙スラッジに適量の消石灰、気泡剤を混入し、所定の厚み、大きさに成形してなる製紙スラッジからなる壁材を呈せんとするものである。
【実施例1】
【0008】
紙の抄紙工程で出る短くなって網から落ちる繊維、即ち製紙スラッジに適量の粘土、消石灰、気泡剤を混入して混錬し、所定の厚み、大きさに成形し乾燥して壁材1とする。
【実施例2】
【0009】
光沢のある塗工紙の抄紙工程で発生する粘土類を主成分とした製紙スラッジに、適量の消石灰、気泡剤を混入して混錬し、所定の厚み、大きさに成形し乾燥して壁材1とする。
【産業上の利用可能性】
【0010】
住宅は古来、どの民族もその土地にある資材を用いて建設してきた。構造材としては石材、焼成レンガ、日干しレンガ、木材などがその代表例である。日本では元来、森林資源が手近に豊富にあり、千数百年の昔より木材を構造体とした軸組工法と呼ばれる建築様式が生まれ、普及してきた。地震、強風、大雨、暑さ、寒さ、大自然の持つ偉大な力に翻弄されながらも、失敗を教訓とし知恵と技術を結集させ、連綿と繰り返されてきた家づくり。民族の歴史ともいえる木造住宅へのこだわりは現在でも、その進化を続けながら住まいの基本として受け継がれている。この木造家屋にはやはり漆喰の壁が適しており、本発明にかかる製紙スラッジからなる壁材は、漆喰壁とほとんど変らぬ調湿性、壁面結露の抑制効果があるため壁表面は乾燥状態を保たれ、カビやダニの発生が抑制される。更に原料がすべて天然のものなので、土に埋めて自然に戻すことができる等、廃棄時に環境負荷がない等、木造建築の壁材としての利用可能性が極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 壁材の斜視図である。
【符号の説明】
【0012】
1 壁材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙の抄紙工程で発生する製紙スラッジに適量の粘土、消石灰、気泡剤を混入し、所定の厚み、大きさに成形してなる製紙スラッジからなる壁材。
【請求項2】
光沢のある塗工紙の抄紙工程で発生する製紙スラッジに適量の消石灰、気泡剤を混入し、所定の厚み、大きさに成形してなる製紙スラッジからなる壁材。

【図1】
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【公開番号】特開2006−83677(P2006−83677A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304890(P2004−304890)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(596116514)
【Fターム(参考)】