説明

製造設備およびテスト容器

【課題】容器を処理する処理装置を含む製造設備において、容器の処理速度を落とすことなく単純な構成によりテスト容器の検出を確実に行う。
【解決手段】製造設備は、処理装置の機能を検査するためのテスト容器10と、テスト容器10を検出する検出ユニットとを備える。テスト容器10は、バーコード14が付された円筒部12を有する。バーコード14を構成するバー15は、円筒部12の全周にわたって延びている。検出ユニットは、バーコード14を検出することによってテスト容器10を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を処理する処理装置を含む製造設備、および、該製造設備における使用に好適なテスト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の飲料製品は、容器に充填された状態で出荷される。このような飲料製品は、飲料自体の製造工程、空容器の検査、空容器への飲料の充填、入味検査(内容量検査)、容器の外観検査、容器の梱包等の多数の工程を経て製造され出荷されうる。このような工程を実施する製造設備は、容器を処理する処理装置を含む。処理装置としては、例えば、空容器検査装置、充填装置、入味検査装置、外観検査装置、梱包装置等のほか、不良品を排斥する排斥装置を挙げることができる。
【0003】
このような処理装置の機能を検査するためにテスト容器が使用されうる。テスト容器は、出荷される飲料製品のための容器(製品容器)とは異なるので、これが誤って出荷されないように、検査対象の処理装置の機能の検査が終了した後に製造設備から除去される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テスト容器が除去されないまま検査対象の処理装置の下流側に送り込まれると、そのテスト容器を除去するために当該下流側の処理装置を停止させる必要があり、製造設備のスループット(処理速度)が著しく低下し得る。
【0005】
そこで、テスト容器にバーコードを付けて、該バーコードを読み取ることによってテスト容器を検出して製造設備から除去する方法が考えられる。しかしながら、通常のバーコードを使用する場合には、当該バーコードがバーコードリーダーの視野(検出領域)内に入るように容器(テスト容器を含む)を回転させる必要がある。
【0006】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、例えば、容器の処理速度を落とすことなく単純な構成によりテスト容器の検出を確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面は、容器を処理する処理装置を含む製造設備に係り、前記製造設備は、前記処理装置の機能を検査するためのテスト容器と、前記テスト容器を検出する検出ユニットとを備え、前記テスト容器は、バーコードが付された円筒部を有し、前記バーコードを構成するバーが前記円筒部の全周にわたって延びていて、前記検出ユニットは、前記バーコードを検出することによって前記テスト容器を検出する。
【0008】
本発明の第2の側面は、バーコードが付された円筒部を有するテスト容器に係り、前記テスト容器は、前記バーコードを構成するバーが前記円筒部の全周にわたって延びている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、容器の処理速度を落とすことなく単純な構成によりテスト容器の検出を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の好適な実施形態のテスト容器の構成を示す側面図である。図2は、本発明の好適な実施形態の製造設備の構成を模式的に示す平面図である。この実施形態では、テスト容器10は、充填機(処理装置)30の機能を検査するための構成を有する。しかしながら、テスト容器10は、検査対象の処理装置或いは検査項目などに応じて種々の形状、構造を有するように構成されうる。
【0012】
テスト容器10は、バーコード14が付された円筒部12を有する。バーコード14を構成する複数のバー15は、円筒部12の全周にわたって延びている。すなわち、バーコード14を構成する複数のバー15は、円筒部12を一周するように延びている。このような構成のバーコード14によれば、テスト容器10が軸周りのどのような方向を向いている場合においても、バーコードリーダー(検査ユニット)50による読み取りが可能である。なお、軸周りとは、テスト容器10の円筒部12の軸(中心軸)の周りを意味する。
【0013】
製造設備100は、容器を処理する処理装置として充填機30を備えている。充填機30は、容器への飲料の充填量(入味)を検査する入味検査ユニットを備えていて、入味が適正でない容器を排斥ライン35に排斥し、入味が適正な容器を正常品ライン40に排出する。
【0014】
処理装置としての充填機30には、該充填機30の機能を検査するための検査時にテスト容器10が送り込まれうる。例えば、入味が不適正になるように意図的に充填機30による充填量を調整してテスト容器10に充填をした場合を考える。この場合、充填機30に備えられた検査ユニットが正常であるとすると、テスト容器10は、当該検査ユニットによって排斥ライン35に排斥される。一方、入味が適正になるように充填機30による充填量が調整されている場合には、充填機30に備えられた検査ユニットが正常であるとすると、テスト容器10は、正常品ライン40に排出される。
【0015】
正常品ライン40に排出されたテスト容器10は、出荷すべき製品ではないので、当然に正常品ライン40から除去されなければならない。正常品ライン40を通して搬送されるテスト容器10は、バーコードリーダー50がバーコード14を読み取ることによって検出される。前述のように、テスト容器10は、バーコード14を構成する複数のバー15が円筒部12の全周にわたって延びている。したがって、テスト容器10がどのような方向を向いていても、バーコードリーダー50は、テスト容器10のバーコード14を正しく検出することができる。
【0016】
バーコードリーダー50は、テスト容器10を検出すると、排斥ユニット60にそれを通知し、当該テスト容器10をテスト容器排斥ライン70に排斥させる。或いは、バーコードリーダー50によってテスト容器10が検出された際に、正常品ライン40を停止または遮断して、下流側へのテスト容器10の搬送を停止させてもよい。バーコードリーダー50によってテスト容器10が検出された際には、その旨の警報が警報器によって発せられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の好適な実施形態のテスト容器の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の好適な実施形態の製造設備の構成を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0018】
10 テスト容器
12 円筒部
14 バーコード
15 バー
30 充填機(処理装置)
35 排斥ライン
40 正常品ライン
50 バーコードリーダー(検出ユニット)
60 排斥ユニット
70 テスト容器排斥ライン
100 製造設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を処理する処理装置を含む製造設備であって、
前記処理装置の機能を検査するためのテスト容器と、
前記テスト容器を検出する検出ユニットとを備え、
前記テスト容器は、バーコードが付された円筒部を有し、前記バーコードを構成するバーが前記円筒部の全周にわたって延びていて、
前記検出ユニットは、前記バーコードを検出することによって前記テスト容器を検出する、
ことを特徴とする製造設備。
【請求項2】
バーコードが付された円筒部を有するテスト容器であって、
前記バーコードを構成するバーが前記円筒部の全周にわたって延びている、
ことを特徴とするテスト容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−46134(P2009−46134A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212349(P2007−212349)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】