複合カード及び複合カードのアクセスシステム
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ICメモリや磁気的記録媒体や光学的記録媒体のような複数種の記録媒体を備えた複合カード、及び複合カードに情報を読み/書きするためのアクセスシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】ICメモリを備えたICカードは、一般に、解読が困難でセキュリティが高いが、メモリ容量が小さい。一方、磁気的又は光学的な記録媒体を備えた磁気/光カードは、メモリ容量は大きいが、外部から読みとられやすくセキュリティが低い。そこで、一枚のカードにICメモリと磁気や光の記録媒体とを設けて両者の長所を生かし、メモリ容量が大きく、かつ、セキュリティの高い複合ICカードが、例えば特開昭62−280991号公報等で提案されている。複合ICカードでは、例えば、磁気又は光記録媒体のランダムなアドレス領域に情報を記録し、それらの情報のディレクトリをICメモリに暗号化して記憶させるなどの方法により、大きいメモリ容量と、高いセキュリティを得ることができる。
【0003】複合ICカードは一般に、図1に示すように、プラスチックカード上に、半導体メモリ内蔵のICチップ3を有すると共に、磁気記録媒体5及び光記録媒体7の一方又は双方を有している。このような複合ICカード1にアクセスする一般的なシステムは、図2に示すように、カード読み書き装置11とこれに接続された上位装置31とを備えている。
【0004】読み書き装置11は、複合ICカードのICチップ3、磁気記録媒体5及び光記録媒体7に対しそれぞれデータ読み書きを行うためのIC読み書き部13、磁気読み書き部15及び光読み書き部17を備え、また、複合ICカード1を載せるトレイ19、トレイ19上のカードを各読み書き部13、15、17の位置へ送るためにトレイ19を移動させる移動ベルト21を備えている。さらに、読み書き装置11は、各読み書き部13、15、17を制御する制御用コンピュータ25、上位装置31との通信を行う通信装置23を備えている。上位装置31は、読み書き装置11との通信を行う通信装置33、読み書き装置11を制御するための制御用ソフトウエア35、及び複合ICカード1のデータを管理し且つ処理するためのアプリケーションソフトウエア37を備えている。
【0005】従来、このような複合ICカードアクセスシステムにおいて、上位装置31は、複合ICカード1上の各記録媒体3、5、7毎に個別に、各媒体にアクセスするための制御コマンドを作成して読み書き装置11に送るようになっている。
【0006】具体例を図3及び図4を用いて説明する。図3は、図2に示したシステムにおいて、ICチップ3と磁気媒体5だけを有する複合ICカード41にアクセスする場合を示し、一方、図4は、同システムにおいて、ICチップ3と磁気媒体5と光媒体7とを有する複合ICカード51にアクセスする場合を示す。
【0007】図3に示す場合において、上位装置31は、例えばデータAは磁気媒体5、データB及びCはICチップ3というように、各データA、B、Cとそれが記録される媒体3、5との対応関係43を予め認識している。そして、上位装置31のアプリケーション37は、例えば、データAを磁気媒体5から読み出す、データBをICチップ3から読み出す、データCをICチップ3に書き込むというように、個々の記録媒体3、5を指定した形で各データのアクセスコマンドを生成して読み書き装置11に送る。
【0008】一方、図4に示す場合では、図3の場合の複合ICカード41とは異なる仕様の複合Iカード51が用いられるため、上位装置31は、その複合Iカード51の仕様に合せた別のデータ・媒体対応関係53を予め記憶しておいて、それに基づき、例えばデータAを磁気媒体5から読み出す、データBをICチップ3から読み出す、データCを光媒体7に書き込むというように、やはり個別に記録媒体3、5、7を指定したアクセスコマンドを生成する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来のアクセスシステムでは、上位装置は、データの書かれるカード上の記録媒体を把握し、個々のデータ毎に記録媒体を指定してアクセスを行う。よって、上位装置及び読み書き装置は、アクセスしたいデータがどの記録媒体に書かれているかを意識しながらデータ処理を行わなければならないから、システムを流れるデータ量が多くなり、結果として、システム全体の負荷が増大する。
【0010】さらに、図3と図4に示した2つの場合を比較して分るように、将来の大容量化や新しい記録媒体の追加等の複合カードの仕様変更があると、それに応じて上位装置のプログラムも変更する必要がある。
【0011】従って、本発明の目的は、複合カードのアクセスシステムにおいて、上位装置が、データの書かれる記録媒体を意識することなしに、複合カード上のデータにアクセスできるようにし、もって、複合カードの大容量化や新たな記録媒体の追加などの仕様変更へのシステムの対応を容易化することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のシステムは、複数の記録媒体を用いた実記憶領域を有する複合カードと、複合カードにデータを読み書きする読み書き装置と、読み書き装置にデータのアクセスコマンドを与える上位装置とを備える。複合カードは、予め設定された仮想記憶領域と実記憶領域との対応関係を記録した記録媒体テーブルを格納している。また、複合カード、読み書き装置及び上位装置のいずれかが、カードの記録媒体テーブルを参照することにより、仮想記憶領域の特定の記憶場所を実記憶領域の特定の記憶場所に変換して読み書き装置に提供する為の変換手段を備える。
【0013】本システムによれば、上位装置が仮想記憶領域の記憶場所を特定してアクセスコマンドを発行すれば、複合カードに格納されている記録媒体テーブルに従って、その仮想記憶領域の記憶場所が実記憶領域の記憶場所に変換され、その実記憶領域の記憶場所が読み書き装置に提供される。読み書き装置は、その実記憶領域の記憶場所に従って、複合カードのデータにアクセスすることができる。従って、上位装置は、仮想記憶領域を把握してさえいれば、実際にデータの書かれる記録媒体(実際記憶領域)を意識する必要がない。複合カードの実記憶領域の仕様が変更されても、仮想記憶領域さえ一定にしておけば、上位装置のプログラムを変更する必要がない。
【0014】変換手段が記憶媒体テーブルを参照する方法には、概略2つのバリエーションがある。その一つは、後述する実施形態で行われている方法で、記憶媒体テーブルは複合カード内だけに保持されていて、変換手段は毎回そのカード内の記録媒体テーブルを参照するという方法である。また、別の方法は、読み書き装置又は上位装置又は適当な付属装置に予め複合カードから記憶媒体テーブルのコピーをアップロードしておき、変換手段はそのコピーを参照するという方法である。
【0015】後述する好適な実施形態では、複合カードとして、ICチップを備えた複合ICカードを用いる。そして、この複合ICカードのICチップに、記録媒体テーブルが格納されている。また、このICチップが、読み書き装置から仮想記憶領域の記憶場所を受信し、記録媒体テーブルを参照することより、その受信した仮想記憶領域の記憶場所を実記憶領域の記憶場所に変換し、これを読み書き装置に返送する機能を有している。また、読み書き装置は、上位装置からアクセスコマンドを受けると、それによって特定された仮想記憶領域の記憶場所をICチップに送信し、そして、ICチップから実記憶領域の記憶場所を受信して、その実記憶領域の記憶場所にアクセスし、そのアクセス結果を上位装置に返送する機能を備えている。
【0016】この実施形態によれば、上位装置は、複合ICカードのICチップ以外の記録媒体を意識せずに、複合ICカードへのデータアクセスができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図5は、本発明にかかる複合ICカードアクセスシステムの一実施形態の構成を示す。
【0018】本システムは、上位装置121と、これに通信可能に接続された複合ICカード読み書き装置111とを備える。上位装置121は、読み書き装置111に対し、記録媒体を意識せずに複合ICカード101へアクセスするコマンドを送信し且つそのレスポンスを受信する為の通信機構(例えばモデム;図示省略)と、この通信機構を制御する為の制御ソフトウエア(図示省略)を備え、これらで通信インターフェースを構成している。
【0019】上位装置121は、複合ICカード101のデータを管理し且つ処理するためのアプリケーション123を備える。このアプリケーション123は、複合ICカード101の具体的な記録媒体は意識せず、複合ICカード101の記憶領域全体を所定の仮想記憶領域として把握しており、複合ICカード101へのアクセスコマンドを発行する際、その仮想記憶領域の場所(例えば、アドレス、レコード番号など)を指定するように構成されている。
【0020】読み書き装置111は、複合ICカード101の各記録媒体103、105、107にそれぞれデータを読み書きする為のIC読み書き部115、磁気読み書き部117及び光読み書き部119と、これらを読み書き部113〜119を制御し且つ上位装置121と通信する為の制御コンピュータ113とを備える。
【0021】制御コンピュータ113は、上位装置121から複合ICカード101へのアクセスコマンド及びデータを受け取り、そのコマンドを実行したアクセス結果を上位装置121へ返送する機能をもつ。また、制御コンピュータ113は、後に詳述するように、上位装置121からアクセスコマンド及びデータを受信すると、まず、そのコマンド及びデータをIC読み書き部115を通じてICチップ103に渡し、その結果ICチップ103から返されるアクセスコマンド及びデータを受信し、そのICチップ103からのアクセスコマンドに従って磁気又は光読み書き部117、119を制御することにより、複合ICカード101の磁気又は光記録媒体105、107に対するデータの書込み及び読み出しを実現する機能を備えている。
【0022】複合ICカード101は、ICチップ103と、磁気記録媒体105と、光記録媒体107とを備える。ICチップ103は一種のマイクロコンピュータであり、書き換え可能な記憶領域を有し、この記憶領域はICチップ103自身が管理する領域(管理領域)と、アプリケーション123が自由に使える領域(アプリケーション領域)との二つの領域を備えている。ICチップ103のアプリケーション領域と、このカード101のICチップ103以外の記録媒体、つまり磁気記録媒体105及び光記録媒体部107は、アプリケーション123がデータを読み書きすることができる領域である。
【0023】ICチップ103内の上記管理領域には、ICチップ103のアプリケーション領域、磁気記録媒体105及び光記録媒体107と、上述した仮想記憶領域とを対応付ける為の参照テーブル(記録媒体テーブル)109が格納されている。この記録媒体テーブル109には、図示のように、IC、磁気、光の各記録媒体(ICの場合はアプリケーション領域)毎に、各々に対応する仮想記憶領域の場所の範囲(例えばアドレス範囲、レコード番号範囲など)が格納されている。図示の例では、仮想記憶領域のアドレス範囲Aが磁気記録媒体105に、アドレス範囲BがICチップ103のアプリケーション領域に、また、アドレス範囲Cが光記録媒体107にそれぞれ割り当てられている。そして、ICチップ103のマイクロコンピュータは、読み書き装置111からアクセスコマンドを受け取ると、そのコマンドに含まれている仮想記憶領域の場所指定を、記録媒体テーブル109を参照して、カード101上の実際の記憶場所の指定に変換することにより、実際の記憶領域の場所指定を含んだアクセスコマンドに変換し、この変換したアクセスコマンドを読み書き装置111に返却する機能を有する。
【0024】以下に、本システムによる複合ICカード101に対するデータアクセス手順を説明する。先ず、図6を参照してカード101からデータを読み出す手順を説明する。
【0025】図6に示すように、まず、上位装置121が、自身が把握している仮想的な複合ICカード101の特定の記憶場所(具体的な記録媒体の指定は含まない)からデータを読み出す為のコマンドを、読み書き装置111に送信する(ステップS1)。このアクセスコマンドを受けた読み書き装置111は、上位装置121の特定した仮想的な記憶場所に対応する仮想記憶領域の特定場所からデータを読み出す為のコマンドを、複合ICカード101のIC部103に送信する(S2)。
【0026】このコマンドを受けたIC部103は、自身に備えられた記録媒体テーブル109を参照して、仮想記憶領域の記憶場所を、カード101上の実際の記録媒体の記憶場所に変換し、この変換結果から、実際の記録媒体からのデータの読み出しコマンドを生成して読み書き装置111に返送する(S3)。
【0027】すると、読み書き装置111は、IC部103から返送された読み出しコマンドを実行して、カード101の該当する記録媒体の特定場所からデータを読出す(S4、S5)。このとき、該当の記録媒体が磁気記録媒体105又は光記録媒体107である場合は、読み書き装置111が該当の記録媒体の特定記憶領域から直接にデータを読み出す。一方、該当の記録媒体がICチップ103のアプリケーション領域である場合は、ICチップ103のマイクロコンピュータが自身の変換したコマンドを実行してアプリケーション領域の特定場所からデータを読み出し、そのデータを読み書き装置111に渡すことになる。
【0028】読み出されたデータを受け取った読み書き装置111は、このデータを、上位装置121の特定した記憶場所からの読み出し結果として、上位装置121に返送する(S6)。
【0029】次に、図7を参照してデータを書き込む手順を説明する。図7に示すように、まず、上位装置121が、自身の把握している仮想的な複合ICカード101の特定の記憶場所へデータを書き込む為のコマンドを、そのデータと共に読み書き装置111に送信する(S11)。読み書き装置111は、上位装置121の特定した仮想的な記憶場所に対応する仮想記憶領域の特定場所へデータを書き込む為のコマンドを、複合ICカード101のIC部103に送信する(S12)。
【0030】IC部103は、自身に備えられた記録媒体テーブル109を参照して、読み書き装置111からの書込みコマンドに含まれる仮想記憶領域の特定場所を、カード101上の実際の記録媒体の対応する特定場所に変換し、その結果から、実際の記録媒体の特定場所への書き込みコマンドを生成して読み書き装置111に返送する(S13)。
【0031】読み書き装置111は、IC部103から返却されたコマンドを実行して、カード101の該当する記録媒体の特定場所にデータを書込む(S14、S15)。このとき、該当の記録媒体が磁気記録媒体105又は光記録媒体107である場合は、読み書き装置111がその記録媒体の特定記憶場所に直接にデータを書込む。一方、該当の記録媒体がICチップ103のアプリケーション領域である場合は、ICチップ103のマイクロコンピュータが自身の変換したコマンドを実行してアプリケーション領域の特定場所にデータを書き込み、その書き込み結果を読み書き装置111に返却することになる。
【0032】書き込みが正常に終わると、読み書き装置111は、上位装置121の特定した記憶場所へデータを書き込に終わった旨の結果を、上位装置121に返送する(S16)。
【0033】以上の様にして、複合ICカードのICチップ103において、所定の仮想記憶領域と実際の記憶領域との場所指定の変換を行うことにより、上位装置121は、複合カード101上の記録媒体を意識せずに、複合ICカード101にアクセスすることができる。複合ICカード101の仕様が変更された場合、仮想記憶領域の仕様さえ一定にしておけば、上位装置121のプログラムを変更せずとも、新しい仕様のカードにもアクセスできる。
【0034】
【実施例】本発明のより具体的な2つの実施例を以下に説明する。
【0035】まず、第1の実施例を図8〜図10を参照して説明する。図8は、第1実施例における複合ICカード101の仮想記憶領域と実記憶領域との関係を示した概念図である。図9は、第1実施例におけるICチップ103内の記録媒体テーブル151を示す。また、図1010は、第1実施例におけるデータアクセス手順を示すフローチャートである。
【0036】図8に示すように、複合ICカード101は実際の記憶領域として磁気記憶領域133(=磁気記録媒体105)、IC記憶領域135(=ICチップ103内のアプリケーション領域)、及び光記憶領域137(=光記録媒体107)を持っている。磁気記憶領域133は、例えば、16バイトの容量をもち、アドレス0000H〜000FHを有している。IC記憶領域135は、例えばアドレス0000H〜7FEFHを有し、また、光記憶領域137は、例えばアドレス0000H〜7FFFHを有している。
【0037】これらの実記憶領域133〜137に対応して仮想記憶領域141が設定されている。仮想記憶領域141は、例えば2バイトの物理アドレス0000H〜FFFFHによってアクセスできるが、このうち、アドレス0000H〜000FHは磁気記憶領域133に、アドレス0010H〜7FFFHはIC記憶領域135に、アドレス8000H〜FFFFHは光記憶領域137にそれぞれにマップされている。このような仮想記憶領域141と実記憶領域133〜137との対応関係は、図9に示すような記録媒体テーブル151に記録されICチップ内に保管されている。この記録媒体テーブル151では、各実記憶領域133〜137毎に、対応する仮想記憶領域の開始アドレスと最終アドレスとが記録されている。
【0038】尚、仮想記憶領域141のアクセス処理を行うプログラムはICチップ内のROMに格納され、ICチップ内のCPUがそのプログラムを実行する。記録媒体テーブル151は、ICチップ内の不揮発性の書き換え可能なメモリ(例えばEEPROM)に格納されている。
【0039】以下に、上位装置121が複合ICカード101にアクセスする手順を、複合ICカード101の全記憶領域からデータを読出す場合を例に取り、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0040】まず、上位装置が、仮想記憶領域のアドレス0000H〜8FFFHからデータを読み出す為のコマンドを、読み書き装置111に送信する(S21)。読み書き装置111は、仮想記憶領域のアドレス0000H〜8FFFHの読み出しコマンドを、複合ICカード101のICチップ103に送信する(S22)。
【0041】ICチップ103は、自身に格納している記録媒体テーブル151を参照して、まず、仮想記憶領域のアドレス0000H〜8FFFHのうち磁気記憶領域133に対応するアドレス範囲に関して変換を行うことにより、磁気記憶領域133のアドレス0000H〜000FHからデータを読み出す為のコマンドを生成し、これを読み書き装置111に返送する(S23)。このとき、ICチップ103は、まだ処理が終了しておらず継続する旨も読み書き装置111に伝える。
【0042】読み書き装置111は、返送された読み出しコマンドを実行することにより、磁気記憶領域133のアドレス0000H〜000FHからデータを読み出し(S24、S25)、そのデータを、カード読み出し結果として上位装置121に返送する(S26)。このとき、読み書き装置111は、まだ処理が継続する旨も上位装置121に伝える。
【0043】処理の継続を伝えられた上位装置121は、次に、後続のデータの送信要求を読み書き装置111に送信し(S27)、読み書き装置111は、この送信要求をICチップ103に送信する(S28)。
【0044】この送信要求を受けたICチップ103は、記録媒体テーブル151を参照して、仮想記憶領域のアドレス0000H〜8FFFHのうち次のIC記憶領域135に対応するアドレス範囲に関して変換を行うことにより、IC記憶領域135のアドレス0000H〜7FEFHを取得し、これに基づいてIC記憶領域135からデータを読み出し、そのデータを読み書き装置111に返送する(S29)。このとき、ICチップ103は、更に処理が継続する旨も読み書き装置111に伝える(S29)。
【0045】読み書き装置は、ICチップ103から受信したデータを上位装置121に送信し、次に更に処理が継続する旨も伝える(S30)。
【0046】上位装置121は、更に次のデータの送信要求を読み書き装置111に送信し(S31)、読み書き装置111はICチップ103にこの送信要求を送信する(S32)。
【0047】ICチップ103は、記録媒体テーブル151を参照して、仮想記憶領域のアドレス0000H〜8FFFHのうち最後に残った光記憶領域137に対応するアドレス範囲に関して変換を行うことにより、光記憶領域137のアドレス0000H〜7FFFHからのデータ読み出しコマンドを生成して読み書き装置111に返送し、同時に、これで処理が終了した事も伝える(S33)。
【0048】読み書き装置111は、その読み出しコマンドを実行することにより、光記憶領域137のアドレス0000H〜7FFFHからデータを読み出し(S34、S35)、読み出したデータを上位装置に送信し、同時に、これで処理が終了した旨も伝える(S36)。
【0049】以上で、複合ICカード101の仮想記憶領域の全アドレス0000H〜8FFFHからのデータ読み出しを終了する。
【0050】次に、本発明の第2の実施例について、図1111〜図13を参照して説明する。図11は、第2実施例における複合ICカード101の仮想記憶領域と実記憶領域との関係を示した概念図である。図12は、第2実施例におけるICチップ103内の記録媒体テーブル181を示す。また、図13は、第2実施例におけるデータアクセス手順を示すフローチャートである。
【0051】図11に示すように、複合ICカード101は実際の記憶領域として磁気記憶領域163(=磁気記録媒体105)、IC記憶領域165(=ICチップ103内のアプリケーション領域)、及び光記憶領域167(=光記録媒体107)を持っている。これらの実記憶領域163〜167は、レコード番号(実レコード番号)で表される論理アドレスによってアクセスすることができる。例えば、磁気記憶領域163は実レコード番号0000H〜000FHの16レコードを有し、IC記憶領域165は実レコード番号0000H〜7FEFHを有し、光記憶領域167は実レコード番号0000H〜7FFFHを有する。
【0052】これらの実記憶領域163〜167に対応して仮想記憶領域171が設定されている。この仮想記憶領域171は、名前で示されるファイル形式でFIFOのバッファ構造を持つ。この仮想記憶領域171には、ファイル名「Sample」177と64Kの仮想レコード178とを持つ仮想ファイル179があり、この仮想ファイル「Sample」179は、2バイトの仮想レコード番号で表される論理アドレスによってアクセスすることができる。この仮想ファイル「Sample」179の仮想レコード番号0000H〜000FHは磁気記憶領域163に、仮想レコード番号0010H〜7FEFHはIC記憶領域165に、また、仮想レコード番号8000H〜FFFFHは光記憶領域167にそれぞれマップされている。また、仮想記憶領域171の内部には、現在の仮想レコード173を示すポインタ175がある。
【0053】このような仮想記憶領域171と実記憶領域163〜167との対応関係は、図12に示すような記録媒体テーブル181に記録されICチップ103内に保管されている。この記録媒体テーブル181では、各実記憶領域163〜167毎に、対応する仮想ファイル名、開始仮想レコード番号、長さ(レコード数)、対応開始アドレス、長さ(アドレス数)が記録されている。
【0054】以下に、この第2実施例におけるデータアクセスの手順を、仮想ファイル「Sample」179から8FFFH個のレコードを読み出す場合を例に取り、図13のフローチャートを参照して説明する。ここで、アクセス開始の時点で、現在のレコードポインタ175が仮想レコード番号0002Hを示しているとする。
【0055】オペレータが、複合ICカードの仮想ファイル「Sample」の仮想レコードを8FFFH個読み出す要求を上位装置121に入力すると、上位装置121は読み書き装置111に対して、複合ICカード101の仮想ファイル「Sample」179を開く為のオープンコマンドを送信する(S41)。読み書き装置111は、ICチップ103に対して、仮想ファイル「Sample」179のオープンコマンドを送信する(S42)。
【0056】このオープンコマンドを受けたICチップ103は、以降のアクセスを仮想ファイル「Sample」179のみに限定し、そして、読み書き装置111に対して仮想ファイル「Sample」179のオープン終了を伝える(S43)。読み書き装置111は上位装置121に対して、仮想ファイル「Sample」のオープン終了を伝える(S44)。
【0057】次に、上位装置121は、読み書き装置111に対して、仮想レコードを8FFFH個読み出すコマンドを送信する(S45)。読み書き装置111は、ICチップ103に対して、仮想レコードを8FFFH個読み出すコマンドを送信する(S46)。
【0058】ICチップ103は、記録媒体テーブル181を参照し、現在の仮想レコード番号0002Hから実レコード番号への変換を開始して、まず磁気記憶領域163の実レコード番号0002H〜000FHを読み出すコマンドを生成して読み書き装置111に送信し、同時に、まだ処理が継続する事も伝える(S47)。
【0059】読み書き装置111は、その読み出しコマンドを実行して、磁気記憶領域163の実レコード番号0002H〜000FHを読み出し(S48、S49)、読み出したレコードを上位装置121に送信し、同時に、処理が継続する事も伝える(S50)。
【0060】次に、上位装置121は読み書き装置111に対し、後続のデータの送信要求を送信し(S51)、読み書き装置111はICチップ103対し、その送信要求を送信する(S52)。
【0061】ICチップ103は、記録媒体テーブル181を参照して、次のIC記憶領域165の実レコード番号0000H〜7FEFHを取得し、その実レコード番号0000H〜7FEFHを読み出し、読み出したレコードを読み書き装置111に送信し、同時に、さらに処理が継続する事も伝える(S53)。読み書き装置111は、ICチップ103から受信したレコードを上位装置121に送信し、同時に、さらに処理が継続する事も伝える(S54)。
【0062】次に、上位装置121は読み書き装置111に対し、次のデータの送信要求を送信し(S55)、読み書き装置111はICチップ103に対し、その送信要求を送信する(S56)。
【0063】ICチップ103は、記録媒体テーブル181を参照して、残りの光記憶領域167の実レコード番号0000H〜0FFDHを読み出すコマンドを生成し、これを読み書き装置111に送信し、同時に、これで処理が終わった事も伝える(S57)。
【0064】読み書き装置111は、そのコマンドを実行して光記憶領域167の実レコード番号0000H〜0FFDHを読み出し(S58、S59)、読み出したレコードを上位装置121に送信し、同時に、処理終了を伝える(S60)。
【0065】以上のようにして、上位装置121は、複合ICカード101の記録媒体を意識せずに、ファイル名とレコード数とによって複合ICカード101にアクセスすることができる。
【0066】尚、本発明は上記実施形態、実施例以外の種々の態様でも実施することができる事は云うまでもない。例えば、上記実施形態ではICチップが記録媒体テーブルを有して仮想的な記憶場所から実際の記憶場所への変換を行なっていたが、それに代えて、ICチップ以外の適当な記録媒体(例えば光媒体のように不揮発性の媒体が好ましい)に記録媒体テーブルを格納しておき、読み書き装置(又は上位装置)の側で、そのテーブルを参照して仮想的な記憶場所を実際の記憶場所に変換するように構成することもできる。そのようにすると、ICチップを持たない複合カード、例えば磁気媒体と光媒体だけをもつ複合カードに関しても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な複合ICカードの外観図。
【図2】一般的な複合ICカードのアクセスシステムの構成図。
【図3】従来のシステムにおけるアクセス手順を示す説明図。
【図4】従来のシステムにおける別のアクセス手順を示す説明図。
【図5】本発明の実施形態にかかるシステムの構成図。
【図6】実施形態にかかるシステムの読み出し手順を示すフローチャート。
【図7】実施形態にかかるシステムの書き込み手順を示すフローチャート。
【図8】本発明の第1実施例における仮想記憶領域を説明する概念図。
【図9】第1実施例の記録媒体テーブルを示す図。
【図10】第1実施例のアクセス手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の第2実施例における仮想記憶領域を説明する概念図。
【図12】第2実施例の記録媒体テーブルを示す図。
【図13】第2実施例のアクセス手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
101 複合ICカード
103 IC部
105 磁気記録媒体
107 光記録媒体
109、151、181 記録媒体テーブル
111 複合ICカード読み書き装置(読み書き装置)
121 上位装置
123 上位装置のアプリケーションプログラム
133、163 磁気記憶領域
135、165 IC記憶領域
137、167 光記憶領域
141、171 仮想記憶領域
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ICメモリや磁気的記録媒体や光学的記録媒体のような複数種の記録媒体を備えた複合カード、及び複合カードに情報を読み/書きするためのアクセスシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】ICメモリを備えたICカードは、一般に、解読が困難でセキュリティが高いが、メモリ容量が小さい。一方、磁気的又は光学的な記録媒体を備えた磁気/光カードは、メモリ容量は大きいが、外部から読みとられやすくセキュリティが低い。そこで、一枚のカードにICメモリと磁気や光の記録媒体とを設けて両者の長所を生かし、メモリ容量が大きく、かつ、セキュリティの高い複合ICカードが、例えば特開昭62−280991号公報等で提案されている。複合ICカードでは、例えば、磁気又は光記録媒体のランダムなアドレス領域に情報を記録し、それらの情報のディレクトリをICメモリに暗号化して記憶させるなどの方法により、大きいメモリ容量と、高いセキュリティを得ることができる。
【0003】複合ICカードは一般に、図1に示すように、プラスチックカード上に、半導体メモリ内蔵のICチップ3を有すると共に、磁気記録媒体5及び光記録媒体7の一方又は双方を有している。このような複合ICカード1にアクセスする一般的なシステムは、図2に示すように、カード読み書き装置11とこれに接続された上位装置31とを備えている。
【0004】読み書き装置11は、複合ICカードのICチップ3、磁気記録媒体5及び光記録媒体7に対しそれぞれデータ読み書きを行うためのIC読み書き部13、磁気読み書き部15及び光読み書き部17を備え、また、複合ICカード1を載せるトレイ19、トレイ19上のカードを各読み書き部13、15、17の位置へ送るためにトレイ19を移動させる移動ベルト21を備えている。さらに、読み書き装置11は、各読み書き部13、15、17を制御する制御用コンピュータ25、上位装置31との通信を行う通信装置23を備えている。上位装置31は、読み書き装置11との通信を行う通信装置33、読み書き装置11を制御するための制御用ソフトウエア35、及び複合ICカード1のデータを管理し且つ処理するためのアプリケーションソフトウエア37を備えている。
【0005】従来、このような複合ICカードアクセスシステムにおいて、上位装置31は、複合ICカード1上の各記録媒体3、5、7毎に個別に、各媒体にアクセスするための制御コマンドを作成して読み書き装置11に送るようになっている。
【0006】具体例を図3及び図4を用いて説明する。図3は、図2に示したシステムにおいて、ICチップ3と磁気媒体5だけを有する複合ICカード41にアクセスする場合を示し、一方、図4は、同システムにおいて、ICチップ3と磁気媒体5と光媒体7とを有する複合ICカード51にアクセスする場合を示す。
【0007】図3に示す場合において、上位装置31は、例えばデータAは磁気媒体5、データB及びCはICチップ3というように、各データA、B、Cとそれが記録される媒体3、5との対応関係43を予め認識している。そして、上位装置31のアプリケーション37は、例えば、データAを磁気媒体5から読み出す、データBをICチップ3から読み出す、データCをICチップ3に書き込むというように、個々の記録媒体3、5を指定した形で各データのアクセスコマンドを生成して読み書き装置11に送る。
【0008】一方、図4に示す場合では、図3の場合の複合ICカード41とは異なる仕様の複合Iカード51が用いられるため、上位装置31は、その複合Iカード51の仕様に合せた別のデータ・媒体対応関係53を予め記憶しておいて、それに基づき、例えばデータAを磁気媒体5から読み出す、データBをICチップ3から読み出す、データCを光媒体7に書き込むというように、やはり個別に記録媒体3、5、7を指定したアクセスコマンドを生成する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来のアクセスシステムでは、上位装置は、データの書かれるカード上の記録媒体を把握し、個々のデータ毎に記録媒体を指定してアクセスを行う。よって、上位装置及び読み書き装置は、アクセスしたいデータがどの記録媒体に書かれているかを意識しながらデータ処理を行わなければならないから、システムを流れるデータ量が多くなり、結果として、システム全体の負荷が増大する。
【0010】さらに、図3と図4に示した2つの場合を比較して分るように、将来の大容量化や新しい記録媒体の追加等の複合カードの仕様変更があると、それに応じて上位装置のプログラムも変更する必要がある。
【0011】従って、本発明の目的は、複合カードのアクセスシステムにおいて、上位装置が、データの書かれる記録媒体を意識することなしに、複合カード上のデータにアクセスできるようにし、もって、複合カードの大容量化や新たな記録媒体の追加などの仕様変更へのシステムの対応を容易化することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のシステムは、複数の記録媒体を用いた実記憶領域を有する複合カードと、複合カードにデータを読み書きする読み書き装置と、読み書き装置にデータのアクセスコマンドを与える上位装置とを備える。複合カードは、予め設定された仮想記憶領域と実記憶領域との対応関係を記録した記録媒体テーブルを格納している。また、複合カード、読み書き装置及び上位装置のいずれかが、カードの記録媒体テーブルを参照することにより、仮想記憶領域の特定の記憶場所を実記憶領域の特定の記憶場所に変換して読み書き装置に提供する為の変換手段を備える。
【0013】本システムによれば、上位装置が仮想記憶領域の記憶場所を特定してアクセスコマンドを発行すれば、複合カードに格納されている記録媒体テーブルに従って、その仮想記憶領域の記憶場所が実記憶領域の記憶場所に変換され、その実記憶領域の記憶場所が読み書き装置に提供される。読み書き装置は、その実記憶領域の記憶場所に従って、複合カードのデータにアクセスすることができる。従って、上位装置は、仮想記憶領域を把握してさえいれば、実際にデータの書かれる記録媒体(実際記憶領域)を意識する必要がない。複合カードの実記憶領域の仕様が変更されても、仮想記憶領域さえ一定にしておけば、上位装置のプログラムを変更する必要がない。
【0014】変換手段が記憶媒体テーブルを参照する方法には、概略2つのバリエーションがある。その一つは、後述する実施形態で行われている方法で、記憶媒体テーブルは複合カード内だけに保持されていて、変換手段は毎回そのカード内の記録媒体テーブルを参照するという方法である。また、別の方法は、読み書き装置又は上位装置又は適当な付属装置に予め複合カードから記憶媒体テーブルのコピーをアップロードしておき、変換手段はそのコピーを参照するという方法である。
【0015】後述する好適な実施形態では、複合カードとして、ICチップを備えた複合ICカードを用いる。そして、この複合ICカードのICチップに、記録媒体テーブルが格納されている。また、このICチップが、読み書き装置から仮想記憶領域の記憶場所を受信し、記録媒体テーブルを参照することより、その受信した仮想記憶領域の記憶場所を実記憶領域の記憶場所に変換し、これを読み書き装置に返送する機能を有している。また、読み書き装置は、上位装置からアクセスコマンドを受けると、それによって特定された仮想記憶領域の記憶場所をICチップに送信し、そして、ICチップから実記憶領域の記憶場所を受信して、その実記憶領域の記憶場所にアクセスし、そのアクセス結果を上位装置に返送する機能を備えている。
【0016】この実施形態によれば、上位装置は、複合ICカードのICチップ以外の記録媒体を意識せずに、複合ICカードへのデータアクセスができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図5は、本発明にかかる複合ICカードアクセスシステムの一実施形態の構成を示す。
【0018】本システムは、上位装置121と、これに通信可能に接続された複合ICカード読み書き装置111とを備える。上位装置121は、読み書き装置111に対し、記録媒体を意識せずに複合ICカード101へアクセスするコマンドを送信し且つそのレスポンスを受信する為の通信機構(例えばモデム;図示省略)と、この通信機構を制御する為の制御ソフトウエア(図示省略)を備え、これらで通信インターフェースを構成している。
【0019】上位装置121は、複合ICカード101のデータを管理し且つ処理するためのアプリケーション123を備える。このアプリケーション123は、複合ICカード101の具体的な記録媒体は意識せず、複合ICカード101の記憶領域全体を所定の仮想記憶領域として把握しており、複合ICカード101へのアクセスコマンドを発行する際、その仮想記憶領域の場所(例えば、アドレス、レコード番号など)を指定するように構成されている。
【0020】読み書き装置111は、複合ICカード101の各記録媒体103、105、107にそれぞれデータを読み書きする為のIC読み書き部115、磁気読み書き部117及び光読み書き部119と、これらを読み書き部113〜119を制御し且つ上位装置121と通信する為の制御コンピュータ113とを備える。
【0021】制御コンピュータ113は、上位装置121から複合ICカード101へのアクセスコマンド及びデータを受け取り、そのコマンドを実行したアクセス結果を上位装置121へ返送する機能をもつ。また、制御コンピュータ113は、後に詳述するように、上位装置121からアクセスコマンド及びデータを受信すると、まず、そのコマンド及びデータをIC読み書き部115を通じてICチップ103に渡し、その結果ICチップ103から返されるアクセスコマンド及びデータを受信し、そのICチップ103からのアクセスコマンドに従って磁気又は光読み書き部117、119を制御することにより、複合ICカード101の磁気又は光記録媒体105、107に対するデータの書込み及び読み出しを実現する機能を備えている。
【0022】複合ICカード101は、ICチップ103と、磁気記録媒体105と、光記録媒体107とを備える。ICチップ103は一種のマイクロコンピュータであり、書き換え可能な記憶領域を有し、この記憶領域はICチップ103自身が管理する領域(管理領域)と、アプリケーション123が自由に使える領域(アプリケーション領域)との二つの領域を備えている。ICチップ103のアプリケーション領域と、このカード101のICチップ103以外の記録媒体、つまり磁気記録媒体105及び光記録媒体部107は、アプリケーション123がデータを読み書きすることができる領域である。
【0023】ICチップ103内の上記管理領域には、ICチップ103のアプリケーション領域、磁気記録媒体105及び光記録媒体107と、上述した仮想記憶領域とを対応付ける為の参照テーブル(記録媒体テーブル)109が格納されている。この記録媒体テーブル109には、図示のように、IC、磁気、光の各記録媒体(ICの場合はアプリケーション領域)毎に、各々に対応する仮想記憶領域の場所の範囲(例えばアドレス範囲、レコード番号範囲など)が格納されている。図示の例では、仮想記憶領域のアドレス範囲Aが磁気記録媒体105に、アドレス範囲BがICチップ103のアプリケーション領域に、また、アドレス範囲Cが光記録媒体107にそれぞれ割り当てられている。そして、ICチップ103のマイクロコンピュータは、読み書き装置111からアクセスコマンドを受け取ると、そのコマンドに含まれている仮想記憶領域の場所指定を、記録媒体テーブル109を参照して、カード101上の実際の記憶場所の指定に変換することにより、実際の記憶領域の場所指定を含んだアクセスコマンドに変換し、この変換したアクセスコマンドを読み書き装置111に返却する機能を有する。
【0024】以下に、本システムによる複合ICカード101に対するデータアクセス手順を説明する。先ず、図6を参照してカード101からデータを読み出す手順を説明する。
【0025】図6に示すように、まず、上位装置121が、自身が把握している仮想的な複合ICカード101の特定の記憶場所(具体的な記録媒体の指定は含まない)からデータを読み出す為のコマンドを、読み書き装置111に送信する(ステップS1)。このアクセスコマンドを受けた読み書き装置111は、上位装置121の特定した仮想的な記憶場所に対応する仮想記憶領域の特定場所からデータを読み出す為のコマンドを、複合ICカード101のIC部103に送信する(S2)。
【0026】このコマンドを受けたIC部103は、自身に備えられた記録媒体テーブル109を参照して、仮想記憶領域の記憶場所を、カード101上の実際の記録媒体の記憶場所に変換し、この変換結果から、実際の記録媒体からのデータの読み出しコマンドを生成して読み書き装置111に返送する(S3)。
【0027】すると、読み書き装置111は、IC部103から返送された読み出しコマンドを実行して、カード101の該当する記録媒体の特定場所からデータを読出す(S4、S5)。このとき、該当の記録媒体が磁気記録媒体105又は光記録媒体107である場合は、読み書き装置111が該当の記録媒体の特定記憶領域から直接にデータを読み出す。一方、該当の記録媒体がICチップ103のアプリケーション領域である場合は、ICチップ103のマイクロコンピュータが自身の変換したコマンドを実行してアプリケーション領域の特定場所からデータを読み出し、そのデータを読み書き装置111に渡すことになる。
【0028】読み出されたデータを受け取った読み書き装置111は、このデータを、上位装置121の特定した記憶場所からの読み出し結果として、上位装置121に返送する(S6)。
【0029】次に、図7を参照してデータを書き込む手順を説明する。図7に示すように、まず、上位装置121が、自身の把握している仮想的な複合ICカード101の特定の記憶場所へデータを書き込む為のコマンドを、そのデータと共に読み書き装置111に送信する(S11)。読み書き装置111は、上位装置121の特定した仮想的な記憶場所に対応する仮想記憶領域の特定場所へデータを書き込む為のコマンドを、複合ICカード101のIC部103に送信する(S12)。
【0030】IC部103は、自身に備えられた記録媒体テーブル109を参照して、読み書き装置111からの書込みコマンドに含まれる仮想記憶領域の特定場所を、カード101上の実際の記録媒体の対応する特定場所に変換し、その結果から、実際の記録媒体の特定場所への書き込みコマンドを生成して読み書き装置111に返送する(S13)。
【0031】読み書き装置111は、IC部103から返却されたコマンドを実行して、カード101の該当する記録媒体の特定場所にデータを書込む(S14、S15)。このとき、該当の記録媒体が磁気記録媒体105又は光記録媒体107である場合は、読み書き装置111がその記録媒体の特定記憶場所に直接にデータを書込む。一方、該当の記録媒体がICチップ103のアプリケーション領域である場合は、ICチップ103のマイクロコンピュータが自身の変換したコマンドを実行してアプリケーション領域の特定場所にデータを書き込み、その書き込み結果を読み書き装置111に返却することになる。
【0032】書き込みが正常に終わると、読み書き装置111は、上位装置121の特定した記憶場所へデータを書き込に終わった旨の結果を、上位装置121に返送する(S16)。
【0033】以上の様にして、複合ICカードのICチップ103において、所定の仮想記憶領域と実際の記憶領域との場所指定の変換を行うことにより、上位装置121は、複合カード101上の記録媒体を意識せずに、複合ICカード101にアクセスすることができる。複合ICカード101の仕様が変更された場合、仮想記憶領域の仕様さえ一定にしておけば、上位装置121のプログラムを変更せずとも、新しい仕様のカードにもアクセスできる。
【0034】
【実施例】本発明のより具体的な2つの実施例を以下に説明する。
【0035】まず、第1の実施例を図8〜図10を参照して説明する。図8は、第1実施例における複合ICカード101の仮想記憶領域と実記憶領域との関係を示した概念図である。図9は、第1実施例におけるICチップ103内の記録媒体テーブル151を示す。また、図1010は、第1実施例におけるデータアクセス手順を示すフローチャートである。
【0036】図8に示すように、複合ICカード101は実際の記憶領域として磁気記憶領域133(=磁気記録媒体105)、IC記憶領域135(=ICチップ103内のアプリケーション領域)、及び光記憶領域137(=光記録媒体107)を持っている。磁気記憶領域133は、例えば、16バイトの容量をもち、アドレス0000H〜000FHを有している。IC記憶領域135は、例えばアドレス0000H〜7FEFHを有し、また、光記憶領域137は、例えばアドレス0000H〜7FFFHを有している。
【0037】これらの実記憶領域133〜137に対応して仮想記憶領域141が設定されている。仮想記憶領域141は、例えば2バイトの物理アドレス0000H〜FFFFHによってアクセスできるが、このうち、アドレス0000H〜000FHは磁気記憶領域133に、アドレス0010H〜7FFFHはIC記憶領域135に、アドレス8000H〜FFFFHは光記憶領域137にそれぞれにマップされている。このような仮想記憶領域141と実記憶領域133〜137との対応関係は、図9に示すような記録媒体テーブル151に記録されICチップ内に保管されている。この記録媒体テーブル151では、各実記憶領域133〜137毎に、対応する仮想記憶領域の開始アドレスと最終アドレスとが記録されている。
【0038】尚、仮想記憶領域141のアクセス処理を行うプログラムはICチップ内のROMに格納され、ICチップ内のCPUがそのプログラムを実行する。記録媒体テーブル151は、ICチップ内の不揮発性の書き換え可能なメモリ(例えばEEPROM)に格納されている。
【0039】以下に、上位装置121が複合ICカード101にアクセスする手順を、複合ICカード101の全記憶領域からデータを読出す場合を例に取り、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0040】まず、上位装置が、仮想記憶領域のアドレス0000H〜8FFFHからデータを読み出す為のコマンドを、読み書き装置111に送信する(S21)。読み書き装置111は、仮想記憶領域のアドレス0000H〜8FFFHの読み出しコマンドを、複合ICカード101のICチップ103に送信する(S22)。
【0041】ICチップ103は、自身に格納している記録媒体テーブル151を参照して、まず、仮想記憶領域のアドレス0000H〜8FFFHのうち磁気記憶領域133に対応するアドレス範囲に関して変換を行うことにより、磁気記憶領域133のアドレス0000H〜000FHからデータを読み出す為のコマンドを生成し、これを読み書き装置111に返送する(S23)。このとき、ICチップ103は、まだ処理が終了しておらず継続する旨も読み書き装置111に伝える。
【0042】読み書き装置111は、返送された読み出しコマンドを実行することにより、磁気記憶領域133のアドレス0000H〜000FHからデータを読み出し(S24、S25)、そのデータを、カード読み出し結果として上位装置121に返送する(S26)。このとき、読み書き装置111は、まだ処理が継続する旨も上位装置121に伝える。
【0043】処理の継続を伝えられた上位装置121は、次に、後続のデータの送信要求を読み書き装置111に送信し(S27)、読み書き装置111は、この送信要求をICチップ103に送信する(S28)。
【0044】この送信要求を受けたICチップ103は、記録媒体テーブル151を参照して、仮想記憶領域のアドレス0000H〜8FFFHのうち次のIC記憶領域135に対応するアドレス範囲に関して変換を行うことにより、IC記憶領域135のアドレス0000H〜7FEFHを取得し、これに基づいてIC記憶領域135からデータを読み出し、そのデータを読み書き装置111に返送する(S29)。このとき、ICチップ103は、更に処理が継続する旨も読み書き装置111に伝える(S29)。
【0045】読み書き装置は、ICチップ103から受信したデータを上位装置121に送信し、次に更に処理が継続する旨も伝える(S30)。
【0046】上位装置121は、更に次のデータの送信要求を読み書き装置111に送信し(S31)、読み書き装置111はICチップ103にこの送信要求を送信する(S32)。
【0047】ICチップ103は、記録媒体テーブル151を参照して、仮想記憶領域のアドレス0000H〜8FFFHのうち最後に残った光記憶領域137に対応するアドレス範囲に関して変換を行うことにより、光記憶領域137のアドレス0000H〜7FFFHからのデータ読み出しコマンドを生成して読み書き装置111に返送し、同時に、これで処理が終了した事も伝える(S33)。
【0048】読み書き装置111は、その読み出しコマンドを実行することにより、光記憶領域137のアドレス0000H〜7FFFHからデータを読み出し(S34、S35)、読み出したデータを上位装置に送信し、同時に、これで処理が終了した旨も伝える(S36)。
【0049】以上で、複合ICカード101の仮想記憶領域の全アドレス0000H〜8FFFHからのデータ読み出しを終了する。
【0050】次に、本発明の第2の実施例について、図1111〜図13を参照して説明する。図11は、第2実施例における複合ICカード101の仮想記憶領域と実記憶領域との関係を示した概念図である。図12は、第2実施例におけるICチップ103内の記録媒体テーブル181を示す。また、図13は、第2実施例におけるデータアクセス手順を示すフローチャートである。
【0051】図11に示すように、複合ICカード101は実際の記憶領域として磁気記憶領域163(=磁気記録媒体105)、IC記憶領域165(=ICチップ103内のアプリケーション領域)、及び光記憶領域167(=光記録媒体107)を持っている。これらの実記憶領域163〜167は、レコード番号(実レコード番号)で表される論理アドレスによってアクセスすることができる。例えば、磁気記憶領域163は実レコード番号0000H〜000FHの16レコードを有し、IC記憶領域165は実レコード番号0000H〜7FEFHを有し、光記憶領域167は実レコード番号0000H〜7FFFHを有する。
【0052】これらの実記憶領域163〜167に対応して仮想記憶領域171が設定されている。この仮想記憶領域171は、名前で示されるファイル形式でFIFOのバッファ構造を持つ。この仮想記憶領域171には、ファイル名「Sample」177と64Kの仮想レコード178とを持つ仮想ファイル179があり、この仮想ファイル「Sample」179は、2バイトの仮想レコード番号で表される論理アドレスによってアクセスすることができる。この仮想ファイル「Sample」179の仮想レコード番号0000H〜000FHは磁気記憶領域163に、仮想レコード番号0010H〜7FEFHはIC記憶領域165に、また、仮想レコード番号8000H〜FFFFHは光記憶領域167にそれぞれマップされている。また、仮想記憶領域171の内部には、現在の仮想レコード173を示すポインタ175がある。
【0053】このような仮想記憶領域171と実記憶領域163〜167との対応関係は、図12に示すような記録媒体テーブル181に記録されICチップ103内に保管されている。この記録媒体テーブル181では、各実記憶領域163〜167毎に、対応する仮想ファイル名、開始仮想レコード番号、長さ(レコード数)、対応開始アドレス、長さ(アドレス数)が記録されている。
【0054】以下に、この第2実施例におけるデータアクセスの手順を、仮想ファイル「Sample」179から8FFFH個のレコードを読み出す場合を例に取り、図13のフローチャートを参照して説明する。ここで、アクセス開始の時点で、現在のレコードポインタ175が仮想レコード番号0002Hを示しているとする。
【0055】オペレータが、複合ICカードの仮想ファイル「Sample」の仮想レコードを8FFFH個読み出す要求を上位装置121に入力すると、上位装置121は読み書き装置111に対して、複合ICカード101の仮想ファイル「Sample」179を開く為のオープンコマンドを送信する(S41)。読み書き装置111は、ICチップ103に対して、仮想ファイル「Sample」179のオープンコマンドを送信する(S42)。
【0056】このオープンコマンドを受けたICチップ103は、以降のアクセスを仮想ファイル「Sample」179のみに限定し、そして、読み書き装置111に対して仮想ファイル「Sample」179のオープン終了を伝える(S43)。読み書き装置111は上位装置121に対して、仮想ファイル「Sample」のオープン終了を伝える(S44)。
【0057】次に、上位装置121は、読み書き装置111に対して、仮想レコードを8FFFH個読み出すコマンドを送信する(S45)。読み書き装置111は、ICチップ103に対して、仮想レコードを8FFFH個読み出すコマンドを送信する(S46)。
【0058】ICチップ103は、記録媒体テーブル181を参照し、現在の仮想レコード番号0002Hから実レコード番号への変換を開始して、まず磁気記憶領域163の実レコード番号0002H〜000FHを読み出すコマンドを生成して読み書き装置111に送信し、同時に、まだ処理が継続する事も伝える(S47)。
【0059】読み書き装置111は、その読み出しコマンドを実行して、磁気記憶領域163の実レコード番号0002H〜000FHを読み出し(S48、S49)、読み出したレコードを上位装置121に送信し、同時に、処理が継続する事も伝える(S50)。
【0060】次に、上位装置121は読み書き装置111に対し、後続のデータの送信要求を送信し(S51)、読み書き装置111はICチップ103対し、その送信要求を送信する(S52)。
【0061】ICチップ103は、記録媒体テーブル181を参照して、次のIC記憶領域165の実レコード番号0000H〜7FEFHを取得し、その実レコード番号0000H〜7FEFHを読み出し、読み出したレコードを読み書き装置111に送信し、同時に、さらに処理が継続する事も伝える(S53)。読み書き装置111は、ICチップ103から受信したレコードを上位装置121に送信し、同時に、さらに処理が継続する事も伝える(S54)。
【0062】次に、上位装置121は読み書き装置111に対し、次のデータの送信要求を送信し(S55)、読み書き装置111はICチップ103に対し、その送信要求を送信する(S56)。
【0063】ICチップ103は、記録媒体テーブル181を参照して、残りの光記憶領域167の実レコード番号0000H〜0FFDHを読み出すコマンドを生成し、これを読み書き装置111に送信し、同時に、これで処理が終わった事も伝える(S57)。
【0064】読み書き装置111は、そのコマンドを実行して光記憶領域167の実レコード番号0000H〜0FFDHを読み出し(S58、S59)、読み出したレコードを上位装置121に送信し、同時に、処理終了を伝える(S60)。
【0065】以上のようにして、上位装置121は、複合ICカード101の記録媒体を意識せずに、ファイル名とレコード数とによって複合ICカード101にアクセスすることができる。
【0066】尚、本発明は上記実施形態、実施例以外の種々の態様でも実施することができる事は云うまでもない。例えば、上記実施形態ではICチップが記録媒体テーブルを有して仮想的な記憶場所から実際の記憶場所への変換を行なっていたが、それに代えて、ICチップ以外の適当な記録媒体(例えば光媒体のように不揮発性の媒体が好ましい)に記録媒体テーブルを格納しておき、読み書き装置(又は上位装置)の側で、そのテーブルを参照して仮想的な記憶場所を実際の記憶場所に変換するように構成することもできる。そのようにすると、ICチップを持たない複合カード、例えば磁気媒体と光媒体だけをもつ複合カードに関しても、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な複合ICカードの外観図。
【図2】一般的な複合ICカードのアクセスシステムの構成図。
【図3】従来のシステムにおけるアクセス手順を示す説明図。
【図4】従来のシステムにおける別のアクセス手順を示す説明図。
【図5】本発明の実施形態にかかるシステムの構成図。
【図6】実施形態にかかるシステムの読み出し手順を示すフローチャート。
【図7】実施形態にかかるシステムの書き込み手順を示すフローチャート。
【図8】本発明の第1実施例における仮想記憶領域を説明する概念図。
【図9】第1実施例の記録媒体テーブルを示す図。
【図10】第1実施例のアクセス手順を示すフローチャート。
【図11】本発明の第2実施例における仮想記憶領域を説明する概念図。
【図12】第2実施例の記録媒体テーブルを示す図。
【図13】第2実施例のアクセス手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
101 複合ICカード
103 IC部
105 磁気記録媒体
107 光記録媒体
109、151、181 記録媒体テーブル
111 複合ICカード読み書き装置(読み書き装置)
121 上位装置
123 上位装置のアプリケーションプログラム
133、163 磁気記憶領域
135、165 IC記憶領域
137、167 光記憶領域
141、171 仮想記憶領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の記録媒体を用いた実記憶領域を有する複合カードと、前記複合カードにデータを読み書きする読み書き装置と、前記読み書き装置にデータのアクセスコマンドを与える上位装置とを備えた複合カードのアクセスシステムにおいて、前記複合カードが、予め設定された仮想記憶領域と前記実記憶領域との対応関係を記録した記録媒体テーブルを格納しており、前記複合カード、前記読み書き装置及び前記上位装置のいずれかが、前記記録媒体テーブルを参照することにより、前記仮想記憶領域の特定の記憶場所を前記実記憶領域の特定の記憶場所に変換して前記読み書き装置に提供する為の変換手段を備えていることを特徴とする複合カードの情報アクセスシステム。
【請求項2】 請求項1記載のシステムにおいて、前記複合カードがICチップを備え、このICチップが、前記記録媒体テーブルを格納し且つ前記変換手段を有して、前記読み書き装置から受信した前記仮想記憶領域の特定の記憶場所を、前記実記憶領域の特定の記憶場所に変換して前記読み書き装置に返送することを特徴とする複合ICカードの情報アクセスシステム。
【請求項3】 請求項2記載のシステムにおいて、前記読み書き装置が、前記上位装置からのアクセスコマンドに応答して、前記仮想記憶領域の特定の記憶場所を前記ICチップに送信し、且つ、特定の記憶場所に対応する前記実記憶領域の特定の記憶場所を前記ICチップから受信する手段と、受信した前記実記憶領域の特定の記憶場所にアクセスし、且つ、アクセスした結果を前記上位装置に返送する手段と、を備えたことを特徴とする複合ICカードの情報アクセスシステム。
【請求項4】 複数の記録媒体を用いた実記憶領域と、予め設定された仮想記憶領域と前記実記憶領域との対応関係を記録した記録媒体テーブルとを備えた複合カード。
【請求項5】 請求項4記載の複合カードにおいて、ICチップを備え、このICチップが、前記記録媒体テーブルを格納し且つ前記変換手段を有して、外部から受信した前記仮想記憶領域の特定の記憶場所を前記実記憶領域の特定の記憶場所に変換して外部へ返送することを特徴とする複合カード。
【請求項6】 複数の記録媒体を用いた実記憶領域を有し且つ予め設定された仮想記憶領域と前記実記憶領域との対応関係を記録した記録媒体テーブルを格納した複合カードと、この複合カードにデータを読み書きするための読み書き装置と、前記読み書き装置にデータのアクセスコマンドを与える上位装置とを備えた複合カードのアクセスシステムのための、前記読み書き装置において、前記上位装置からのアクセスコマンドに応答して、前記複合カードの記録媒体テーブルを利用することにより、前記仮想記憶領域の特定の記憶場所に対応した前記実記憶領域の特定の記憶場所を取得する実記憶場所取得手段と、取得した前記実記憶領域の特定の記憶場所にアクセスし、且つアクセスした結果を前記上位装置に返送する手段と、を備えた複合カードアクセスシステムの読み書き装置。
【請求項7】 請求項6記載の読み書き装置において、前記複合カードがICチップを備え、このICチップが、前記記録媒体テーブルを格納し、且つ外部から受信した前記仮想記憶領域の特定の記憶場所を前記実記憶領域の特定の記憶場所に変換して外部へ返送する変換手段を備えており、前記読み書き装置の実記憶場所取得手段が、前記上位装置からのアクセスコマンドに応答して、前記仮想記憶領域の特定の記憶場所を前記ICチップに送信し、且つ、特定の記憶場所に対応する前記実記憶領域の特定の記憶場所を前記ICチップから受信する手段を備えていることを特徴とする複合カードアクセスシステムの読み書き装置。
【請求項8】 複数の記録媒体を用いた実記憶領域を有し且つ予め設定された仮想記憶領域と前記実記憶領域との対応関係を記録した記録媒体テーブルを格納した複合カードと、この複合カードにデータを読み書きするための読み書き装置と、前記読み書き装置にデータのアクセスコマンドを与える上位装置とを備えた複合カードのアクセスシステムのための、前記上位装置において、前記仮想記憶領域の特定の記憶場所の指定を含んだ前記アクセスコマンドを前記読み書き装置に送信する手段を備えた複合カードアクセスシステムの上位装置。
【請求項1】 複数の記録媒体を用いた実記憶領域を有する複合カードと、前記複合カードにデータを読み書きする読み書き装置と、前記読み書き装置にデータのアクセスコマンドを与える上位装置とを備えた複合カードのアクセスシステムにおいて、前記複合カードが、予め設定された仮想記憶領域と前記実記憶領域との対応関係を記録した記録媒体テーブルを格納しており、前記複合カード、前記読み書き装置及び前記上位装置のいずれかが、前記記録媒体テーブルを参照することにより、前記仮想記憶領域の特定の記憶場所を前記実記憶領域の特定の記憶場所に変換して前記読み書き装置に提供する為の変換手段を備えていることを特徴とする複合カードの情報アクセスシステム。
【請求項2】 請求項1記載のシステムにおいて、前記複合カードがICチップを備え、このICチップが、前記記録媒体テーブルを格納し且つ前記変換手段を有して、前記読み書き装置から受信した前記仮想記憶領域の特定の記憶場所を、前記実記憶領域の特定の記憶場所に変換して前記読み書き装置に返送することを特徴とする複合ICカードの情報アクセスシステム。
【請求項3】 請求項2記載のシステムにおいて、前記読み書き装置が、前記上位装置からのアクセスコマンドに応答して、前記仮想記憶領域の特定の記憶場所を前記ICチップに送信し、且つ、特定の記憶場所に対応する前記実記憶領域の特定の記憶場所を前記ICチップから受信する手段と、受信した前記実記憶領域の特定の記憶場所にアクセスし、且つ、アクセスした結果を前記上位装置に返送する手段と、を備えたことを特徴とする複合ICカードの情報アクセスシステム。
【請求項4】 複数の記録媒体を用いた実記憶領域と、予め設定された仮想記憶領域と前記実記憶領域との対応関係を記録した記録媒体テーブルとを備えた複合カード。
【請求項5】 請求項4記載の複合カードにおいて、ICチップを備え、このICチップが、前記記録媒体テーブルを格納し且つ前記変換手段を有して、外部から受信した前記仮想記憶領域の特定の記憶場所を前記実記憶領域の特定の記憶場所に変換して外部へ返送することを特徴とする複合カード。
【請求項6】 複数の記録媒体を用いた実記憶領域を有し且つ予め設定された仮想記憶領域と前記実記憶領域との対応関係を記録した記録媒体テーブルを格納した複合カードと、この複合カードにデータを読み書きするための読み書き装置と、前記読み書き装置にデータのアクセスコマンドを与える上位装置とを備えた複合カードのアクセスシステムのための、前記読み書き装置において、前記上位装置からのアクセスコマンドに応答して、前記複合カードの記録媒体テーブルを利用することにより、前記仮想記憶領域の特定の記憶場所に対応した前記実記憶領域の特定の記憶場所を取得する実記憶場所取得手段と、取得した前記実記憶領域の特定の記憶場所にアクセスし、且つアクセスした結果を前記上位装置に返送する手段と、を備えた複合カードアクセスシステムの読み書き装置。
【請求項7】 請求項6記載の読み書き装置において、前記複合カードがICチップを備え、このICチップが、前記記録媒体テーブルを格納し、且つ外部から受信した前記仮想記憶領域の特定の記憶場所を前記実記憶領域の特定の記憶場所に変換して外部へ返送する変換手段を備えており、前記読み書き装置の実記憶場所取得手段が、前記上位装置からのアクセスコマンドに応答して、前記仮想記憶領域の特定の記憶場所を前記ICチップに送信し、且つ、特定の記憶場所に対応する前記実記憶領域の特定の記憶場所を前記ICチップから受信する手段を備えていることを特徴とする複合カードアクセスシステムの読み書き装置。
【請求項8】 複数の記録媒体を用いた実記憶領域を有し且つ予め設定された仮想記憶領域と前記実記憶領域との対応関係を記録した記録媒体テーブルを格納した複合カードと、この複合カードにデータを読み書きするための読み書き装置と、前記読み書き装置にデータのアクセスコマンドを与える上位装置とを備えた複合カードのアクセスシステムのための、前記上位装置において、前記仮想記憶領域の特定の記憶場所の指定を含んだ前記アクセスコマンドを前記読み書き装置に送信する手段を備えた複合カードアクセスシステムの上位装置。
【図1】
【図2】
【図9】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図13】
【図2】
【図9】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図13】
【特許番号】特許第3417525号(P3417525)
【登録日】平成15年4月11日(2003.4.11)
【発行日】平成15年6月16日(2003.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−290631
【出願日】平成8年10月31日(1996.10.31)
【公開番号】特開平10−134154
【公開日】平成10年5月22日(1998.5.22)
【審査請求日】平成12年3月1日(2000.3.1)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【参考文献】
【文献】特開 平8−22517(JP,A)
【文献】特開 平4−111086(JP,A)
【文献】特開 平8−30702(JP,A)
【文献】特開 平8−137634(JP,A)
【登録日】平成15年4月11日(2003.4.11)
【発行日】平成15年6月16日(2003.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成8年10月31日(1996.10.31)
【公開番号】特開平10−134154
【公開日】平成10年5月22日(1998.5.22)
【審査請求日】平成12年3月1日(2000.3.1)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【参考文献】
【文献】特開 平8−22517(JP,A)
【文献】特開 平4−111086(JP,A)
【文献】特開 平8−30702(JP,A)
【文献】特開 平8−137634(JP,A)
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