説明

複合シート及び該シートから製造される包装材

【課題】被包装物のための、特に反応性製品のための包装材を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂を含む少なくとも1つの層を有する多層包装シートであって、被包装物に向かい合った包装シート側に、少なくとも1種のシリコーンを含むコーティングが施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂を含む少なくとも1つの層を有する多層包装シートであって、被包装物に向かい合った包装シート側に、少なくとも1種のシリコーンを含むコーティングが施されている前記多層包装シートと、該多層包装シートの使用と、上述の包装シートを使用した包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物の包装材は、該被包装物の輸送目的のため又はその貯蔵のためであるにせよ、その重要性は増している。この場合、包装材は、産業用及び日用のあらゆる範囲において見られる。ここで、被包装物は、消費者に販売するための食料品であってよいが、また基礎化学製品及び特殊化学薬品であってもよい。この場合に、該包装材は、開封が容易であることが望ましいが、特に被包装物から残分なく取り外せることが望ましい。つまり、被包装物は、より長期の貯蔵時間後にも、該包装材に貼り付かず、又はそれと結合しないことが望ましい。しかしながら同時に、包装材は、被包装物を、外部からの影響に対して、例えば電磁線の作用に対して、特に紫外線の作用に対して、又は被包装物の劣化をもたらしうる空気と湿分の作用に対して保護すべきである。通常の包装材は、複数のシートを基礎としており、それは、しばしば複数の多層シートである。かかる多層シートは、複合シートとも呼ばれ、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4又は特許文献5から知られている。
【0003】
公知の包装材料にかかわらず、特に包装材料の特性に関して、絶え間ない最適化の要求と改善の要求が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE2164461
【特許文献2】DE1932886
【特許文献3】DE2445227
【特許文献4】DE20201655
【特許文献5】DE202055009073
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、被包装物のための、特に反応性製品のための包装材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明の第一の対象は、熱可塑性樹脂を含む少なくとも1つの層を有する多層包装シートであって、被包装物に向かい合った包装シート側に、少なくとも1種のシリコーンを含むコーティングが施されている前記多層包装シートを提供することである。
【0007】
驚くべきことに、被包装物に向かい合った包装シート側に、少なくとも1種のシリコーンを施すことで、前記包装シートが、特に前記被包装物から残分なく取り外せることが判明した。
【0008】
包装シートは、基本的に、2つの側面を有する、つまり、横から見て、上側面と下側面とを有する。包装の形態に応じて、両側面の一方は、被包装物と接触する。つまり、両側面の一方は、被包装物と向かい合っている。本発明の範囲において、被包装物に向かい合った包装シート側は、少なくとも1種のシリコーンを含むコーティングを有することが必須である。
【0009】
最も簡単な実施形態においては、本発明による包装シートは、熱可塑性樹脂を含む層からなり、その層上に前記シートの少なくとも一方の側面に少なくとも1種のシリコーンが施されている。好ましくは、本発明による包装シートは、多層シートである。つまり、種々の材料から構成される複数の層又は薄層からなる複合物(以下、複合シートとも呼ばれる)は、一方の側面で少なくとも1種のシリコーンによってコーティングされている。本発明による複合シートは、一般に、多層のもしくは多薄層のシートであって、少なくとも1つの層が熱可塑性樹脂を含むシートである。
【0010】
本発明によれば、該包装シートは、少なくとも2つの層、つまり熱可塑性樹脂を含む一層及び少なくとも1種のシリコーンの一層を有する。好ましくは、本発明による包装シートは、少なくとも3つの層を、特に4つ以上の層を有する。
【0011】
本発明の好ましい一実施形態においては、該包装シートは、少なくとも1種のポリマーの2つの層と、それらの層の間にある金属層とを有し、その際、前記少なくとも1種のポリマーの2つの層の少なくとも一方は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含む。従って、前記シートは、少なくとも1つの層が熱可塑性樹脂を含む2つのポリマーシートと、上述の2つのポリマー層の間に存在する金属層とから構成される3層の基本系である。それから、前記の3層の複合シートは、本発明によれば、被包装物に向かい合った側に少なくとも1種のシリコーンでコーティングされている。全体として、それにより本発明によれば、4層を有する複合シートがもたらされる。かかる複合シート及び該シートから製造される包装材は、以下の利点
− 水分拡散に対して密であることと、
− 150℃を上回る高い充填温度に熱的にかつ機械的に耐えることと、
− 被包装物、例えば溶融接着剤、特にまた反応性溶融接着剤がそこに貼り付かないことと、
− 被包装物、特に溶融接着剤が、残分なく引き離せることと、
− (連続的な)自動化プロセスで充填できることと、
を有する。
【0012】
本発明の範囲での熱可塑性樹脂とは、規定の温度範囲で変形できる(熱可塑性)ポリマーを表す。熱可塑性樹脂の1つの利点は、その溶着性である。
【0013】
好ましくは、熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアセテート、熱可塑性ポリアクリルアミド、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、スチレンアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、スチレンブタジエンゴム、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む群から選択される。好ましくは、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、特にポリエチレン及びポリプロピレン、ポリアミド及びポリエチレンテレフタレートが使用される。
【0014】
前記ポリマーの層は、一般に、2μm〜1mmの、特に4μm〜500μmの、好ましくは6μm〜200μmの、殊に好ましくは8μm〜100μmの厚さを有する。
【0015】
2層より多層の上述の好ましい実施形態の場合に、上述の熱可塑性樹脂は、任意に互いに組み合わせることができる。少なくとも1種のポリマーの2層と、該層の間にある金属層とを有する特に好ましい実施形態においては、金属層のそれぞれの側面に、同一もしくは異なるポリマー層が、特にポリオレフィン、好ましくはポリエチレンもしくはポリプロピレン、ポリアミド及びポリエチレンテレフタレートから構成されるポリマー層が存在してよい。
【0016】
金属層(金属シートとも呼ばれる)は、特に軽金属、好ましくはアルミニウムからなる。つまり、ポリマー層の間に、好ましくはアルミニウムシートが存在する。金属シートは、一般に、2μm〜800μmの、特に4μm〜200μmの、好ましくは5μm〜100μmの、殊に好ましくは6μm〜50μmの層厚を有する。更なる一実施形態においては、前記金属層は、蒸気相から又は(陰極)スパッタによって施されたアルミニウムからなる。
【0017】
殊に好ましくは、本発明による包装シートは、以下の構造を有する:
第1の層:シリコーン
第2の層:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリルニトリル又はポリアミド
第3の層:金属層、特にアルミニウム
第4の層:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリルニトリル又はポリアミド
その際、前記の第1の層は、被包装物に向かい合っている。
【0018】
殊に、第2の層と第4の層が、同じ材料から構成されることが好ましい。
【0019】
用途に応じて、包装シートの特別な構造が好ましいことがある。
【0020】
その用途のために、非常に僅かな水蒸気透過性が要求される場合に、好ましい実施形態は、第2の層と第4の層の両方のうちの少なくとも一方のポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、(非晶質)ポリエチレンテレフタレートから選択されることを特徴とする。特に好ましくは、第2の層と第4の層の少なくとも一方の厚さは、8〜200μmである。
【0021】
金属層は、この場合に、6〜100μmの好ましい厚さを有してよい。
【0022】
その用途のために、高い熱安定性が必要である場合に、好ましい実施形態は、第2の層と第4の層の両方のうちの少なくとも一方のポリマーが、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリルニトリル又はポリアミドから選択されることを特徴とする。特に好ましくは、第2の層と第4の層の少なくとも一方の厚さは、8〜200μmである。
【0023】
好ましい本発明による多層の包装シートにおいては、個々の層の間に、該個々の層同士の互いの付着を促す付着媒介剤(Haftvermittler)が存在してよい。好ましくは、また、両側がポリマーでコーティングされた金属層から構成される好ましい実施形態においては、個々の層同士は、付着媒介剤を介して結合される。多層の包装シートの層間の付着媒介剤としては、特に慣用のシート積層のために公知のプライマーが適しており、該プライマーは、作業様式と、複合物に要求される特性に相応して選択される。相応の付着媒介剤の例は、ウレタンを基礎とする重合体及び共重合体、極性基を有するエチレンポリマー又は酢酸ビニルを基礎とする重合体及び共重合体並びにアクリル酸を基礎とする重合体及び共重合体である。
【0024】
本発明の対象に必須のことは、被包装物に向かい合った側に、少なくとも1種のシリコーンを含むコーティングが存在することである。本発明の範囲におけるシリコーン(以下、ポリ(オルガノ)ポリシロキサンとも呼ばれる)とは、ケイ素原子が酸素原子を介して互いに結合されているポリマーを表す。好ましくは、シリコーンは、放射硬化性のポリシロキサンである。かかるポリシロキサンは、当業者には、例えばDE3820294、EP0940458、EP0940422又はEP1544232から公知である。特に、シリコーンは、(メタ)アクリレート基を有するポリシロキサンである。放射硬化性のポリシロキサンとは、紫外電磁線又は電子線による照射により架橋しうるあらゆるポリシロキサンを表す。
【0025】
殊に好ましくは、シリコーンとして、SiOC基を介して鎖中に及び鎖端に又は鎖中にのみ結合された(メタ)アクリル酸エステルを有する基を有する、一般平均式(I)
【化1】

[式中、
R1は、1〜20個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分枝鎖状の、飽和の、一不飽和のもしくは多不飽和のアルキル基、アリール基、アルカリール基もしくはアラルキル基から選択される、同一もしくは異なる基であり、
R2は、同一もしくは異なる基R1もしくはR3であり、
R3は、同一もしくは異なる、一(メタ)アクリル化もしくは多(メタ)アクリル化されたモノアルコキシレートもしくは一(メタ)アクリル化もしくは多(メタ)アクリル化されたポリアルコキシレート、又は一(メタ)アクリル化もしくは多(メタ)アクリル化されたモノアルコキシレートもしくはポリアルコキシレートと任意の別の、直鎖状のもしくは分枝鎖状の、飽和の、一不飽和のもしくは多不飽和の、芳香族の、脂肪族−芳香族のモノアルコールもしくはポリアルコール、ポリエーテルモノアルコール、ポリエーテルポリアルコール、ポリエステルモノアルコール、ポリエステルポリアルコール、アミノアルコール、特にN−アルキル−,アリールアミノ−エチレンオキシド−、−プロピレンオキシド−アルコール、N−アルキル−もしくはアリールアミノアルコキシレート並びにそれらの混合物の群から選択されるアルコキシレートとの混合物であり、その際、一(メタ)アクリル化もしくは多(メタ)アクリル化されたモノアルコキシレートもしくはポリアルコキシレートの、任意の別のアルコキシレートに対する比率は、オルガノポリシロキサン中の少なくとも1つの、一(メタ)アクリル化もしくは多(メタ)アクリル化されたモノアルコキシレート基もしくはポリアルコキシレート基が含まれるように選択され、
aは、0〜1000、好ましくは0〜500、特に0〜300であり、
bは、0〜5であり、
cは、1〜200、好ましくは2〜100、特に3〜80であり、
dは、0〜1000、好ましくは0〜500、特に0〜300である]を有するポリシロキサンが使用される。
【0026】
かかるポリシロキサン及びその製造方法は、EP1544232に記載されており、その内容は、明確に本発明の範囲に含まれる。
【0027】
好ましくは、ポリシロキサンとしては、式(II)
【化2】

[式中、
R1及びR2は、直鎖状のもしくは分枝鎖状の、飽和の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル、エチル又はプロピル、殊に好ましくはメチルであり、
R3は、同一もしくは異なる、一(メタ)アクリル化もしくは多(メタ)アクリル化されたモノアルコキシレートもしくは一(メタ)アクリル化もしくは多(メタ)アクリル化されたポリアルコキシレートであり、
aは、0〜100であり、
bは、0〜5であり、
cは、3〜20であり、
dは、0〜300である]の化合物が使用される。
【0028】
好適なシロキサンの例は、Evonik Industries AG社の製品系列TEGO(登録商標)RCの市販製品、特にTEGO(登録商標)RC 902、TEGO(登録商標)RC 711、TEGO(登録商標)RC 715又はTEGO(登録商標)RC 351である。
【0029】
個別に製造した後に始めて互いに混合される種々のポリシロキサンの混合物は、同様に可能である。
【0030】
個々のポリシロキサン又は相応のポリシロキサンの混合物は、任意の混合物で、任意の多くの別の(メタ)アクリル化されたポリシロキサンと先行技術により混合することができる。また、エポキシを有する紫外線硬化性のシリコーン又はビニルエーテルを有する紫外線硬化性のシリコーンとの混合物も可能である。
【0031】
更に、上述のポリシロキサン又は上述の混合物を、他の助剤及び添加剤と先行技術により混合することができる。ここで、特に、光開始剤、特に2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル−1−プロパノン、付着媒介剤、付着促進剤、光増感剤、酸化防止剤、酸素捕捉剤又は有機の(メタ)アクリル基を有するもしくはビニルエーテル基を有する化合物を挙げることができる。添加剤は、更に、染料、顔料並びに固体の粒状の充填剤である。
【0032】
上述のシリコーンを有するコーティングの厚さは、一般に、0.1g/m2〜4g/m2、好ましくは0.2〜2g/m2、殊に好ましくは0.3〜1g/m2である。
【0033】
上述のシリコーン、特にポリシロキサンは、当業者に公知のあらゆる様式に従って、特にローラコーティング、ドクターブレードによるコーティング、オフセット印刷、グラビア印刷、吹き付けコーティングによって施すことができる。前記コーティングに先立ち、基材の前処理が、例えばコロナ放電による処理又はプラズマによる処理が行われてよい。
【0034】
本発明による包装シート、特に好ましい実施形態は、高い安定性とシール性(Dichtigkeit)の点で優れている。従って、本発明の更なる対象は、本発明による包装シートを、被包装物の包装のために用いる使用である。被包装物としては、一般に、日常用の又は産業用のあらゆる製品が適している。産業用の製品のための例は、化学薬品、特に、相応のシート包装材に充填されるべきあらゆる化学薬品である。被包装物の特に好ましい一つの種類は、あらゆる化学組成の溶融接着剤である。
【0035】
溶融接着剤は、溶剤不含の接着剤であって、熱中でかつ液体状態で材料表面を良好に濡らすことができ、かつ前記表面に冷却及び固化後に固着する接着剤である。該接着剤は、一般に、接着性(adhaesive)の、凝集性(kohaesive)の、及び付加性(additive)の成分を形成する物質の混合物からなる。製造に際して、それらの成分は、一緒に溶融され、引き続き充填される。その充填に際して、いわゆる付着溶融接着剤、すなわち持続接着性を有する、従って室温でもまだ接着性である溶融接着剤は特定の問題を引き起こす。本発明による包装シートは、実質的にあらゆる種類の溶融接着剤組成物の包装材のために適している。前記包装シートは、重大な取り扱い問題を伴う溶融接着剤にとっては、例えば既に上述の、室温でもまだ接着性の付着溶融接着剤にとっては特に好ましい。
【0036】
例えば、本発明による包装シートは、合成樹脂、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、アクリル、ビニルアセテート、エチレンビニルアセテート及びポリビニルアルコールのポリマー及びコポリマーから製造されている溶融接着剤の包装のために使用できる。
【0037】
特定の例は、非反応性の又は反応性の溶融接着剤であって、以下の成分:
1)弾性ポリマー、例えばブロックコポリマー、例えばスチレン−ブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン;
2)エチレン−ビニルアセテートポリマー、別のエチレンエステル及びコポリマー、例えばエチレン−メタクリレート、エチレン−n−ブチルアクリレート及びエチレン−アクリル酸;
3)ポリオレフィン、例えばポリエチレン及びポリプロピレン並びにコポリマーもしくはターポリマー、特にエチレン、プロピレン及びブタンからなるコポリマーもしくはターポリマー;
4)ポリビニルアセテート及びそれとのコポリマー;
5)ポリアクリレート;
6)ポリアミド;
7)ポリエステル;
8)ポリビニルアルコール及びそれとのコポリマー;
9)ポリウレタン;
10)ポリスチレン;
11)ポリエポキシド;
12)ビニルモノマーのコポリマー及びポリアルキレンオキシドポリマー;
13)樹脂を含有するアルデヒド、例えばフェノール−アルデヒド、ウレア−アルデヒド、メラミン−アルデヒドなど;
14)シラン変性ポリマー、特にシラン変性ポリオレフィン又はポリエーテル;
から製造されている接着剤を含む。
【0038】
更に、接着性の強化のための成分、希釈剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤及び充填剤が含まれていてよい。接着性の向上のための成分としては、例えば、
1)天然の及び変性された樹脂、
2)ポリテルペン型樹脂、
3)フェノール変性された炭化水素樹脂、
4)脂肪族の及び芳香族の炭化水素樹脂、
5)フタレートエステル、及び
6)水素化された炭化水素、水素化された樹脂及び水素化された樹脂エステル
が挙げられる。
【0039】
希釈剤としては、例えば、液状のポリブテンもしくはポリプロピレン、石油ロウ、例えばパラフィン及び微結晶性ロウ、半液状ポリエチレン、水素化された獣脂、魚脂及び植物脂、鉱油及び合成ロウ並びに炭化水素油が挙げられる。
【0040】
他の添加剤のための例は、文献に見られる。
【0041】
特に、被包装物は、反応性製品から選択され、それは好ましくは反応性溶融接着剤である。本発明の範囲において反応性溶融接着剤とは、付加的に施与後に基材表面と、例えば空気湿分の作用によって反応しうる溶融接着剤である。かかる接着剤は、特に良質な接着結合に適している。前記接着剤は、非常に良好な接着特性と、優れた強度の点で優れている。前記接着剤は、溶融物で塗布され、そして冷却後に空気湿分と反応して、高分子のもう溶融しえない化合物となる。高い最終強度は、遊離の反応性基と表面湿分との化学反応並びに基材表面の相応の化学基との化学反応によって達成される。その他に、前記接着剤は、高い耐化学薬品性、例えば印刷インキ油に対する耐化学薬品性の点で、並びに高い温度耐久性及び劣化耐久性の点で優れている。ユーザー側では、反応性の、特に湿分架橋性の溶融接着剤が溶融され、そして一般に非常に細いノズルを通じて接着すべき基材上に吹き付けられる。既に湿分で硬化された接着剤粒子によるノズルの閉塞は、その際に絶対に回避すべきである。それというのも、それは装置の停止状態に導くものだからである。従って、これらの接着剤は、製造元によって、ほぼ絶対的に湿分密な包装材であって、湿分、例えば空気湿分の外部からの侵入なく高い貯蔵安定性を可能にする包装材中に準備せねばならない。
【0042】
上述の湿分架橋性の溶融接着剤の包装のためには、本発明による包装シートが特に適している。少なくとも1種のポリマーの2つの層と、それらの層間にある金属層とを有する特に好ましい実施形態の特定の包装シートであって、湿分架橋性の溶融接着剤に向かい合った側に少なくとも1種のシリコーンでコーティングされている前記包装シートは、特に好ましくは上述の本発明による用途のために適している。好ましい包装シートは、水分拡散に対して密であり、また150℃を上回る高い充填温度でも熱的かつ機械的に安定であり、その溶融接着剤は該シート上に接着せず、かつ該接着剤は、残分なく包装シートから引き離すことができる。更に、上述の包装シートは、(連続的な)自動化プロセスでの充填のためにも適している。
【0043】
本発明による包装シートは、特に非晶質のポリα−オレフィンを基礎とする溶融接着剤の包装のために使用される。
【0044】
特に、該ポリα−オレフィンは、最大25質量%の、好ましくは1〜22質量%の、特に好ましくは2〜20質量%の、殊に好ましくは3〜18質量%のエテン、最大95質量%の、好ましくは1〜85質量%の、特に好ましくは5〜78質量%の、殊に好ましくは10〜75質量%のプロペン、及び/又は5〜100質量%の、好ましくは7〜98質量%の、特に好ましくは10〜95質量%の、殊に好ましくは12〜90質量%の4〜10個の炭素原子を有するオレフィンからのホモポリマー、コポリマーもしくはターポリマーである。特に好ましくは、本発明によるポリオレフィンは、ポリ(1−ブテン)、ポリ(プロピレン)、ポリ(プロピレン−コ−エチレン)、ポリ(プロピレン−コ−1−ブテン)、ポリ(エチレン−コ−1−ブテン)及びポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−1−ブテン)から選択される。更に好ましくは、該ポリオレフィンは、部分晶質であり、従って特に部分晶質のポリα−オレフィンである。
【0045】
部分晶質ポリオレフィンは、それらが、示差熱量測定(DSC)における第一昇温及び/又は第二昇温に際して好ましくは少なくとも1つの溶融ピークと、純粋アイソタクチックポリプロピレンについて理論的に計算した値(J.Bicerano;J.M.S.;Rev.Macromol.Chem.Phys.;C38(1998);391ff)の50%以下、好ましくは40%以下、特に好ましくは30%以下、殊に好ましくは25%以下にある特徴的な溶融エンタルピーとを有する点で優れている。
【0046】
4〜10個の炭素原子を有するオレフィンは、特定の一実施形態においては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ヘキセン、3−メチル−1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン及び/又は6−メチル−1−ヘプテンを含む群から選択されてよい。好ましくは、4〜10個の炭素原子を有するα−オレフィンは、1−ブテン、1−ヘキセン及び/又は1−オクテンを含む群から選択される。
【0047】
コポリマーもしくはターポリマーの製造は、上述のモノマーの上述の量での重合によって行われる。
【0048】
ポリα−オレフィンは、例えばプロピレンを、エチレン及び/又は1−ブテン及び/又は4〜10個の炭素原子を有する他のα−オレフィンと一緒にTiCl3・(AlCl3n混合触媒(n=0.2〜0.5)を用いた重合によって得られ、その際、トリアルキルアルミニウム化合物が助触媒として使用される。モノマーのエテンは、気体状で使用され、一方で、モノマーのプロペン及び1−ブテンは、気体状でも、液状でも使用することができる。分子量調節剤としては、例えば気体状の水素が使用できる。その重合は、好ましくは不活性溶剤であって、例えば脂肪族炭化水素の群から選択される溶剤中で行われる。装入されたモノマー中での重合も同様に可能である。反応温度は、30〜200℃である。重合物は、先行技術に相応して、例えば日光照射、空気湿分及び酸素の有害な影響から保護するために、その反応溶液の形で又は後の時点で化学的に安定化させることができる。その際、例えば、ヒンダードアミン(HALS安定化剤)、ヒンダードフェノール、ホスフィット及び/又は芳香族アミンを含有する安定化剤を、特にペンタエリトリットのエステル、例えばテトラキス(メチレン−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)メタン及び/又は2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ−3,9−ビスオクタデシルオキシ[5.5]ウンデカンを使用することができる。特に好ましくは、1つだけの加水分解に活性な末端基を含むかかる安定化剤のみが使用される。安定化剤の作用量は、その際、ポリマーに対して、0.1〜2質量%の範囲にある。
【0049】
上述のコポリマーもしくはターポリマーは、好ましくは、反応性の、特に湿分架橋性の溶融接着剤を得るために変性されている。前記変性のために、上述のコポリマーもしくはターポリマーに対して、1もしくは複数の官能基を有するモノマーがグラフト化されている。グラフト化すべきモノマーは、その際、好ましくはオレフィン性二重結合を有する。特に、1もしくは複数の官能基を有するモノマーは、カルボン酸及び/又はカルボン酸誘導体(例えば無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、無水クエン酸、アクリル酸、メタクリル酸)、アクリレート(例えばヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、グリシジルメタクリレートなど)、ビニルシラン(例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン及び/又はビニルメチルジブトキシシラン、特にビニルトリメトキシシラン)、ビニル芳香族化合物(例えばスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アミノスチレン、スチレンスルホン酸など)、環状イミドエステルもしくはそのビニル化合物(例えばイソペンテニル−2−オキサゾリン、リシノールオキサゾリンマレイネートなど)、ビニルイミダゾリン(例えば1−ビニルイミダゾール)、ビニルピロリドン(例えばN−ビニルピロリドン)及び/又は脂環式のビニル化合物(例えば4−ビニル−1−シクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタンなど)の群から選択される。
【0050】
変性されたポリマーは、部分的に、変性に使用されるベースポリマーの特性に、部分的に、使用されるグラフト化モノマーに、部分的に、変性に使用される方法に、もしくは組み合わせに起因する特定の特性を有する。
【0051】
殊に好ましくは、変性に使用されるモノマーは、1もしくは複数のシランであり、特に該シランは、コポリマーもしくはターポリマーにグラフト化されている。シラン変性されたポリα−オレフィンは、湿分架橋性の溶融接着剤のクラスの好ましい代表物である。
【0052】
グラフト化されるべきシランは、好ましくはオレフィン性二重結合と、1〜3個の直接ケイ素原子と結合されたアルコキシ基とを有する。特に、1もしくは複数のシランは、ビニルトリメトキシシラン(VTMO)、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO;H2C=C(CH3)COO(CH23−Si(OCH33)、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン及び/又はビニルメチルジブトキシシランを含む群から選択される。殊に好ましくは、前記シランは、ビニルトリメトキシシランである。
【0053】
1もしくは複数のシランは、前記ベースポリマー上に、あらゆる従来技術の方法に従って、例えば溶液中でもしくは好ましくは溶融物中でグラフト化させることができ、その際、ラジカル供与体は、十分な量で使用される。好適な作業様式は、DE−OS4000695で参照でき、それは、参照を以て開示されたものとする。例えば、以下のラジカル供与体:ジアシルペルオキシド、例えばジラウリルペルオキシド又はジデカノイルペルオキシド、アルキルペルエステル、例えばt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ペルケタール、例えば1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン又は1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、ジアルキルペルオキシド、例えばt−ブチルクミルペルオキシド、ジ(t−ブチル)ペルオキシド又はジクミルペルオキシド、Cラジカル供与体、例えば3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン又は2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン並びにアゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾ−ジ(2−アセトキシプロパン)などを使用することができる。
【0054】
特定の一実施形態においては、それは溶液法であり、その際、脂肪族の及び/又は芳香族の炭化水素並びに環状エーテルを溶剤として使用することができる。特に好ましくは、溶剤としては、少なくとも1種の芳香族の炭化水素が使用される。好適な芳香族の炭化水素は、特にトリクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン及びキシレンであり、特に好ましくはキシレンが使用される。特に好ましい脂肪族の炭化水素は、例えばプロパン、n−ブタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン及びオクタンである。特に好ましい環状エーテルは、テトラヒドロフラン(THF)である。
【0055】
エーテル、特に環状エーテルが溶剤として使用される場合に、使用される開始剤並びにプロセスパラメータ(例えば温度、圧力、滞留時間など)は、使用されるエーテルの爆発性ペルオキシドの形成を阻止しもしくは制御するために特に入念に選択せねばならない。特に、特定の抑制剤(例えばIONOL)の追加の使用が検討されうる。
【0056】
溶液中でのグラフト化法の場合には、使用されるベースポリマーの濃度は、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも15質量%、特に好ましくは少なくとも20質量%、殊に好ましくは少なくとも22.5質量%である。溶液中でのグラフト化法の反応温度は、30〜200℃、好ましくは40〜190℃、特に好ましくは50〜180℃、殊に好ましくは55〜140℃である。溶液グラフト化は、断続的にもしくは連続的にいずれかで行われる。断続的な反応操作の場合には、まず、固体のポリマー(例えば粒状物、粉末などとして)が使用される溶剤中に溶解される。それに代えて、直接的に、ベースポリマーの製造方法からのコンディショニングされた重合溶液を使用し、反応温度にもたらす。それに引き続き、1種もしくは複数種のモノマー及び1種もしくは複数種のラジカル開始剤の添加が行われる。特に好ましい一実施形態においては、溶剤、1種もしくは複数種のベースポリマー及び1種もしくは複数種のモノマーを装入し、そして反応温度にもたらし、一方で、1種もしくは複数種のラジカル開始剤を規定の時間にわたって連続的に計量供給する。それは、固定のラジカル濃度が低いため、グラフト化反応と鎖分解との比率が特に適切な結果となる(すなわち、グラフト化反応が多くて、鎖分解が少ない)という利点を有する。更に特に好ましい一実施形態においては、溶剤及び1種もしくは複数種のベースポリマーを装入し、そして反応温度にもたらし、一方で、1種もしくは複数種のモノマー及びラジカル開始剤を一緒にもしくは互いに別個に規定の時間にわたって連続的に計量供給する。それは、固定のラジカル濃度もモノマー濃度も反応位置では低く、鎖分解もホモポリマーの形成も制限するという利点を有する。それは、特に反応温度において熱により開始される(同時)重合の傾向が大きいモノマーを使用する場合には重要である。殊に好ましくは、種々の規定の計量供給時間に引き続き、反応溶液中の残留モノマー含量を最小限にするために更なる量の1種もしくは複数種のラジカル開始剤を計量供給する。反応器としては、好ましくは撹拌槽が使用され、代替的な反応容器、例えば断続的な混練反応器の使用も同様に可能であり、その使用は、特に低い反応温度及び/又は高いポリマー濃度の場合に好ましい。
【0057】
連続的な反応操作の場合に、まず、1もしくは複数の受容器(例えば撹拌槽)において固形のポリマーを少なくとも1種の溶剤中に溶解し、引き続き連続的に1もしくは複数の反応容器に供給する。選択的な同様に特に好ましい一実施形態においては、直接的に、ベースポリマーの製造方法からのコンディショニングされたポリマー溶液が使用される。更なる同様に特に好ましい一実施形態においては、固体ポリマー(例えば粉末形、粒状物形、ペレット形などの)は、少なくとも1種の溶剤と一緒に連続的に(一軸もしくは多軸の)スクリュー装置又は連続ニーダー(Kontikneter)に供給され、温度及び/又は剪断の作用下に溶解され、そして引き続き連続的に1もしくは複数の反応容器に供給される。溶液中での連続的なグラフト化反応の実施のための反応容器もしくは反応器としては、連続的な撹拌槽、撹拌槽カスケード、流動管(Stroemungsrohr)、強制搬送部(Zwangsfoerderung)(例えばスクリュー装置)を有する流動管、反応ニーダー(Reaktionskneter)並びにそれらの任意の組み合わせが該当する。強制搬送部を有する流動管が使用される場合には、それは、好ましくは押出機であり、一軸の、二軸の、また多軸の押出機のいずれを使用してもよい。特に好ましくは、多軸押出機が使用される。本発明による変性されたポリマーの溶液中での連続的な製造のためには、流動管と、強制搬送部を有する流動管と、連続的な撹拌槽とからなる反応器組み合わせを使用することが特に好ましく、好ましくは、強制搬送部を有する流動管か、又は連続的な撹拌槽のいずれかにおいて、残留モノマー及び揮発性の副生成物/分解生成物の除去も行われる。
【0058】
択一的に、少なくとも1種のラジカル開始剤が直接的に溶融物中に計量供給される溶融物法が好ましい。特に、この変法では、ポリマー材料の温度は、少なくとも1種のラジカル開始剤の計量供給の時点で、計量供給されるラジカル開始剤の少なくとも1種のSADT(自己促進分解温度=それより高くで自己促進分解が開始しうる温度)よりも高い。溶融物中のグラフト化プロセスの反応温度は、160〜250℃、好ましくは165〜240℃、特に好ましくは168〜235℃、殊に好ましくは170〜230℃である。
【0059】
溶融物グラフト化は、断続的にもしくは連続的にいずれかで行われる。断続的な反応操作の場合には、固体のポリマー(例えば粒状物、粉末、ペレットなどとして)は、まず溶融され、場合により均質化される。択一的に、直接的に、重合プロセスからのコンディショニングされたポリマー溶融物が使用され、そして反応温度にもたらされる。引き続き、1もしくは複数のモノマーと1もしくは複数のラジカル開始剤が添加される。
【0060】
特定の一実施形態においては、1種もしくは複数種のモノマー及びポリマー溶融物を均質に混和し、そして反応温度にもたらし、一方で、1種もしくは複数種のラジカル開始剤を規定の時間にわたって連続的に計量供給する。それは、固定のラジカル濃度が低いため、グラフト反応と鎖分解との比率が特に適切な結果となる(すなわち、グラフト化反応が多くて、鎖分解が少ない)という利点を有する。更なる特に好ましい一実施形態においては、ポリマー溶融物が装入され、そして均質化され、一方で、1もしくは複数のモノマー及びラジカル開始剤は、一緒にもしくは個別に、規定の時間にわたって連続的に計量供給される。それは、固定のラジカル濃度もモノマー濃度も反応位置では低く留まり、鎖分解もホモポリマーの形成も制限するという利点を有する。そのことは、その場合の反応温度において熱的な(同時)重合の傾向があるモノマーを使用する場合には特に重要である。反応器としては、好ましくは、壁まで達する撹拌装置を有する撹拌槽又は反応ニーダーが使用される。
【0061】
連続的な反応操作の場合に、まず、1もしくは複数の受容器(例えば撹拌槽)において固形のポリマーを溶融させ、引き続き連続的に1もしくは複数の反応容器に供給する。選択的な同様に特に好ましい一実施形態においては、直接的に、重合プロセスからのコンディショニングされたポリマー溶融物が使用される。更なる同様に特に好ましい一実施形態においては、固体ポリマー(例えば粉末形、粒状物形、ペレット形などの)は、連続的に(一軸もしくは多軸の)スクリュー装置又は連続ニーダーに供給され、温度及び/又は剪断の作用下に溶融され、そして引き続き連続的に1もしくは複数の反応容器に供給される。溶融物中での連続的なグラフト化反応の実施のための反応容器もしくは反応器としては、連続的な撹拌槽、撹拌槽カスケード、流動管、強制搬送部(例えばスクリュー装置)を有する流動管、反応ニーダー並びにそれらの任意の組み合わせが該当する。強制搬送部を有する流動管が使用される場合には、それは、好ましくは押出機であり、一軸の、二軸の、また多軸の押出機のいずれかが使用される。特に好ましくは、多軸押出機が使用される。本発明による変性されたポリマーの溶融物中での連続的な製造のためには、流動管と、強制搬送部を有する流動管と、連続的な撹拌槽とからなる反応器組み合わせを使用することが特に好ましく、好ましくは、強制搬送部を有する流動管か、又は連続的な撹拌槽のいずれかにおいて、残留モノマー及び揮発性の副生成物/分解生成物の除去も行われる。本発明により使用されるポリオレフィンは、(未反応の残留モノマーの完全な分離の後に)、XFA分光法(X線蛍光分光法)によって測定されたケイ素含量、少なくとも0.3質量%、好ましくは少なくとも0.35質量%、特に好ましくは少なくとも0.4質量%、殊に好ましくは0.45〜2質量%を有し、その際、他の特に好ましい範囲は、0.5〜0.75質量%、0.7〜0.95質量%、0.8〜1.25質量%、1.1〜2質量%である。
【0062】
更に、ポリオール、例えばポリエステル及びイソシアネートからなる混合物を基礎とする反応性の溶融接着剤も適している。相応の溶融接着剤は、当業者に、例えばDE2401320、EP0107097、EP0125009、EP0340906、DE3827224又はWO99/28363から公知である。
【0063】
同様に、本発明の対象は、本発明による包装シートによる被包装物の包装方法である。好ましくは、本発明による方法においては、本発明による包装シートのバッグ(Beutel)又はチューブ(Schlauch)を、規定量の被包装物で充填し、充填過程を中断し、包装シートのバッグ又はチューブを、一方の端部又は両方の端部でのピンチオフ(Abquetschen)より閉じて溶着する。本発明による方法では、当業者にとっては、シリコーンでのコーティングにもかかわらず、密な溶着に成功することは驚くべきことである。当業者は、通常シリコーンにある離型剤としての作用は溶着を妨げるかもしくは不可能にさせると予想するものである。驚くべきことに、この効果は生じずに、シリコーンでコーティングされた本発明による包装シートは、シール性の問題を生ずることなく簡単に溶着もできることが判明した。
【0064】
更なる好ましい一実施形態においては、本発明による方法においては、本発明による包装シートのバッグ又はチューブを、規定量の被包装物で充填し、充填過程をその際に中断せず、包装シートのバッグ又はチューブを、一方の端部又は両方の端部でのピンチオフにより閉じ、被包装物を押しのけて該バッグ又はチューブを溶着する。
【0065】
本発明による方法においては、被包装物、特に溶融接着剤、殊に好ましくは湿分架橋性の溶融接着剤を、本発明による包装シートのバッグ又はチューブに導入する。
【0066】
本発明による包装シートのチューブは、1つのローラから該包装シートをほどき、該包装シートの両方の長辺を重ね合わせ、引き続き該両方の長辺を、好ましくは超音波溶着によって接合させることによって得られる。超音波溶着では、一般に、結合されるべき表面だけが加熱される。該シートの全厚さは加熱されない。
【0067】
接合法としては、商慣習の方法においては、熱溶着、同時に加圧しつつの熱溶着又は接着が該当する。熱溶着では、溶着継ぎ目は、継ぎ目領域に熱風を加えることによって、長辺の重なった領域に形成される。圧力下での熱溶着の場合には、付加的に、例えば相互押圧するジョー(Backe)又はピンサー(Zange)を介して前記材料は互いに加圧される。上述の接合法では、複合シートは、不十分にのみ溶着できるに過ぎない。
【0068】
好ましくは、溶融接着剤の場合には、これらは、液体形で、つまり、溶融接着剤の融点より高い温度で導入される。従って、通常の充填温度は、130℃を上回る範囲、特に150〜160℃である。
【0069】
1つのローラから該包装シートをほどき、該包装シートの両方の長辺を重ね合わせ、引き続き該両方の長辺を接合させることによって得られたチューブは、連続的にもしくは断続的に充填できる。
【0070】
それに加え、該チューブを形成させ、横方向溶着をすることで、一方の側で開いたバッグが生ずる。充填管を通じて、当業者に公知のようにして液状の溶融接着剤が充填される。
【0071】
所望の充填度が達成されたら、充填過程を中断し、その包装シートのバッグ又はチューブを一方又は両方の端部でのピンチオフによって閉じて溶着させる。
【0072】
前記ピンチオフは、当業者に公知のあらゆる様式で行われ、例えば2つの平行で向かい合った、その間をチューブが通過する、互いの間隔が可変のローラによって行うことができる。更なる一実施形態においては、ピンチオフは、2つの互いに平行な、対向押圧するジョーによって行われる。これらのジョーには、部分的に、凸部及び凹部が設けられていてよい。好ましくは、ピンチオフに際して、ジョーの一方の側にある凸部は、それと適合する、該ジョーのその向かい合う側にある凹部で加圧される。
【0073】
チューブの製造の他に、別の包装形の製造も可能である。ここで、例えば、得られたチューブ材料を、長手方向継ぎ目に対して横方向の追加の溶着によって接合して横側に開いたバッグとすることによって(平)袋が製造できる。前記の袋を充填し、引き続き第二の横方向溶着によって閉じることができる。
【0074】
バッグの場合には、これらは、あらゆる当業者に公知の様式に従って製造することができる。例えば、丸底袋は、円板形の複合シート片を、円筒形のチューブ断片に溶着させることによって得られる。これらの袋は、第二の横方向溶着によって閉じることができる。
【0075】
同様に、得られたバッグ又はサック(Sack)が弁を備えている実施形態が可能である。更なる実施形態においては、前記サックは、ガス、特に不活性ガス、例えば窒素又はアルゴンを含む。更なる一実施形態においては、該包装材中で低圧が保たれている。
【0076】
溶着は、特に超音波溶着によって行われる。超音波溶着では、一般に、結合されるべき表面だけが加熱される。該シートの全厚さは、一般に加熱されない。超音波溶着においては、16kHzを上回る周波数を有する超音波が超音波発生器において発生され、超音波変換器において機械的な振動に変換され、機械的にソノトロードに導かれる。ソノトロードは、共鳴で振動し、その対向部品、つまりアンビル上に存在する溶着すべき工作物に対して周期的に動く。前記工作物において、ソノトロードから与えられた力学的エネルギーは内部摩擦に変換され、熱に変わる。その際、接合されるべき工作物は加熱され、それらの材料は溶着される。本発明の範囲において、特に、固定されたソノトロード又は回転するソノトロードによる超音波溶着のための方法が考慮される。アンビルは、同様に、回転する構成又は固定した構成であってもよい。固定した実施形態では、ソノトロード及び/又はアンビルは、ビーム材(Balken)の形を有してよい。
【0077】
一般に、離型剤及び潤滑剤としてシリコーンが使用される。当業者は、前記の包装シート上のシリコーンは、同様に、離型作用を有し、溶着を妨げると予想する。しかしながら、驚くべきことに、表面上にシリコーンが存在するにもかかわらず溶着継ぎ目が生ずることが判明した。これらの溶着継ぎ目は、驚くべきことに、高圧に耐えるのにも適している。
【0078】
超音波溶着には、多くのパラメータが、特に選択される超音波出力が関与している。
【0079】
例えば、ソノトロードの超音波出力は、本発明による方法では回転するソノトロードを使用する場合には、好ましくは1W〜1000W、特に好ましくは5W〜100W、殊に好ましくは8W〜50Wである。本発明による方法においては、超音波の周波数は、好ましくは16kHzを上回り100kHz未満、特に好ましくは16kHz〜40kHzである。
【0080】
振幅、すなわちソノトロードの最大の空間的な振れは、本発明による方法では、2μm〜100μm、好ましくは10〜30μmである。
【0081】
溶着の過程で、ソノトロード及びアンビルは、その自重によって、追加荷重によって、液圧式にもしくは空気式にもしくはモータ駆動式に互いに向き合って押圧されてよい。好ましい本発明による一実施形態においては、ソノトロード及びアンビルは、加圧により互いに向き合って押圧される。この圧力は、10g〜50kgの重さ、好ましくは100g〜10kgの重さ、殊に好ましくは200g〜2kgの重さに相当する。
【0082】
溶着の送り速度は、連続的方法においては、0.1m/分〜30m/分、好ましくは0.5m/分〜10m/分、殊に好ましくは1m/分〜5m/分である。
【0083】
ソノトロード及び/又はアンビルホイール(Ambossrad)の形状に関しては、基本的に何ら制限はない。以下に、"ホイール"とは、ソノトロードホイール(Sonotrodenrad)及び/又はアンビルホイールを意味する。
【0084】
該ホイールは、一実施形態においては、平坦であるか、もしくは組み込まれた構造を伴って平坦であるか、又は湾曲しているか、もしくは角張っていてよい。平坦なホイールの場合には、これは、ソノトロードもしくはアンビルに対して平面で押圧する。それは、溶着面をもたらす。構造を備えた平坦なホイールの場合に、ホイール面上に凸部又は凹部が存在する。これらは、線形の溝として構成されているか、又は平坦な凸部の形で構成されていてよい。線形の溝は、ホイール直径に平行に又はホイール軸に平行に又はあらゆる角度で施されていてよく、それらは交差してもよく、又は部分的に途切れていてもよい。
【0085】
ソノトロード及び/又はアンビルの実施形態がビーム材である場合に、これらは、平坦であるか、もしくは組み込まれた構造を伴って平坦であるか、又は湾曲しているか、もしくは角張っていてよい。平坦なアンビルの場合には、これは、ソノトロードもしくはアンビルに対して平面で押圧する。それは、1つの溶着面をもたらす。構造を備えた平坦なアンビル又はソノトロードの場合には、それらの表面上に凸部又は凹部が存在する。これらは、線形の溝として構成されているか、又は平坦な凸部の形で構成されていてよい。線形の溝は、ビーム材長軸に平行に又はビーム材長軸に垂直に又はあらゆる角度で施されていてよく、それらは交差してもよく、又は部分的に途切れていてもよい。
【0086】
図1は、種々の線形の溝及び平面の凸部を有する、平面のソノトロードホイール及び/又はアンビルホイールのもしくは固定したソノトロードビーム材及び/又はアンビルビーム材の構造化のための例と、ソノトロードホイール及び/又はアンビルホイールの側面からの種々の形状のための例を示している:
線形の溝:
A)ホイール軸に対して任意の角度で、
B)交差して、
C)ホイール軸に対して平行に、
D)部分的に途切れている。
E)平面の凸部で、
F)湾曲したホイール、
G)軸平行と軸垂直の対称軸を有する角張ったホイール、
H)軸平行な対称軸を有する角張ったホイール、
I)軸垂直方向に対して2つの異なる角度で角張ったホイール。
【0087】
ビーム状のソノトロードもしくはアンビルの場合に、相応の形状は、F′)〜I′)に示される横断面で得られる。
【0088】
円板形の固定したアンビルを有する固定したソノトロードの場合に、F)〜I)に示される横断面のような相応の形状が得られる。
【0089】
好ましい一実施形態においては、アンビルホイールは、平面溶着に適した図1の加工物、例A)〜D)に相当する。該ホイールの好ましい幅は、1mm〜10mm、特に好ましくは1mm〜5mmである。好ましくは、該ホイールは、線形の溝からなるパターンを有する。当業者は、むしろ、平面の溶着は、特に耐久力のある溶着をもたらすと予想するか、あるいはより幅広いローラが耐久力のある溶着に導くと予想する。
【0090】
連続的な製造方法においては、耐久性があり持続的な溶着継ぎ目の製造だけが該当していない。また、包装のためには、その包装の縁部は寸法通りにかつ同一平面で仕上げられることが重要である。特に、1つのローラから包装シートをほどくプロセス工程と、包装シートの両方の長辺の重ね合わせに際して生じうる軌道誘導の誤差よって、しかしながら、該包装シートの両方の長辺の重なりのずれの可能性はある。更に、溶着継ぎ目とシート長辺との間のシート領域は、溶着の安定性に必要とされず、光学的な理由からできる限り回避すべきである。従って、かかる突出部を取り除くことが好ましい。当業者には、加工物によって、特に超音波切断によって分離できる、いわゆる切断ホイール(Scheidrad)は公知である。このようにして、シートの突出部は簡単に切除することができる。
【0091】
驚くべきことに、図1の例G)〜I)の角張ったアンビルホイールに相当する切断ホイールが、シリコーンで被覆された複合シートの溶着にも適していることが判明した。それは、第一の点においては、当業者には、シリコーンコーティングが離型作用を有すると知られていること、そして第二の点においては、切断ホイールは、平面に溶着するアンビルホイールに対して、材料の分離のために想定され材料の接合のためには想定されていない非常に僅かな載置面しか有さないことから驚くべきことである。
【0092】
更に、複数の、また種々のソノトロードホイール及び/又はアンビルホイールの組合せも可能である。ここで、例えば線形の溝J)を有するアンビルホイールと、軸平行な対称軸を有する角張ったホイールとを組み合わせて構造K)としてよい(図2を参照)。
【0093】
驚くべきことに、殊に好ましい一実施形態においては、A)〜E)から選択されるアンビルホイールの使用を省くことができ、例のG)、H)又はI)から選択されるホイールだけが耐久性の溶着をもたらすことが判明した。
【0094】
横方向溶着の場合に、例のG)によるホイールの使用が特に好ましく、その際、角度1と角度2とが同一であることが特に好ましい(図3の角度の定義を参照)。
【0095】
ソノトロードホイールとアンビルホイールの直径は、特に5mm〜100mmである。
【0096】
本発明による方法の更なる好ましい一実施形態においては、ビーム状のソノトロードが使用される。ソノトロードの幅は、好ましくは50mm〜1000mm、特に好ましくは100mm〜500mmである。ソノトロードの高さは、0.01mm〜50mm、殊に好ましくは10mm〜200mmである。ビーム材ソノトロード及びビーム状のアンビルの構造は、平面の溶着に際しては図1のA)〜E)に相当する。特定の一実施形態においては、図1のF′)〜I′)のようなビーム材ソノトロードは、線形の溶着継ぎ目を生成する。このソノトロードの幅は、好ましくは50mm〜1000mm、特に好ましくは100mm〜500mmである。図1のF′)の横断面の場合に、湾曲半径は、0.01mm〜1mmである。図1のG′)〜I′)の横断面の角度は、10°〜80°、好ましくは20°〜70°である。特に好ましくは、そのように線形のソノトロードを用いて、本発明による構成の2つのシートの間に溶着を作成でき、同時に本発明による構成のシートは、継ぎ目箇所の前方と後方で分離することができる。
【0097】
当業者は、むしろ、そのように線形の溶着は、耐久性の溶着をもたらさず、あるいは同時に耐久性の溶着は得られず、かつ同時に張り出したシートが分離されないことを予想するものである。
【0098】
ビーム状のソノトロードの超音波出力は、本発明による方法においては、好ましくは1W〜5000W、特に好ましくは100W〜3000W、殊に好ましくは500W〜2500Wである。本発明による方法においては、超音波の周波数は、好ましくは16kHzを上回り100kHz未満、特に好ましくは16kHz〜40kHzである。
【0099】
振幅、すなわちソノトロードの最大の空間的な振れは、本発明による方法では、2μm〜100μm、好ましくは10〜30μmである。
【0100】
更なる説明をしなくても、当業者は、上述の記載内容を最も広い範囲で利用できることから出発する。好ましい実施形態及び例は、それゆえ、単に説明的に解釈されるべきであって、決して何ら制限する開示として解されるべきではない。以下に、本発明を、実施例をもとに詳細に説明する。本発明の択一的な実施形態は、同様にして取得される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、種々の線形の溝及び平面の凸部を有する、平面のソノトロードホイール及び/又はアンビルホイールのもしくは固定したソノトロードビーム材及び/又はアンビルビーム材の構造化のための例と、ソノトロードホイール及び/又はアンビルホイールの側面からの種々の形状のための例を示している(線形の溝: A)ホイール軸に対して任意の角度で、 B)交差して、 C)ホイール軸に対して平行に、 D)部分的に途切れている。 E)平面の凸部で、 F)湾曲したホイール、 G)軸平行と軸垂直の対称軸を有する角張ったホイール、 H)軸平行な対称軸を有する角張ったホイール、 I)軸垂直方向に対して2つの異なる角度で角張ったホイール)。
【図2】図2は、線形の溝J)を有するアンビルホイールと、軸平行な対称軸を有する角張ったホイールとを組み合わせて構造K)とすることを示している。
【図3】図3は、角度の定義を示している。
【実施例】
【0102】
実施例1:
シリコーンでコーティングされたPP(70μm)/アルミニウム(9μm)/PP(70μm)複合シートからなる複合シートを溶着させた。シリコーン層は、9質量%のTEGO RC351と、89質量%のTEGO RC702と、2質量%のTEGO光開始剤A18とからなる混合物から製造した。該コーティングの厚さは、約1g/m2であった。その複合シートを、シリコーンの側とシリコーンの側とが重なり合うようにその上に折り返した。この領域に、超音波溶着継ぎ目を施した。
【0103】
直径65mm、角度1=15°、角度2=75°(図3による定義を参照)を有する角張ったアンビルホイールを使用した。
【0104】
溶着パラメータ:出力=25W、圧力は1.2kgの重さに相当する、周波数=20kHz、振幅10μm〜25μm、送り速度は、2m/分である。
【0105】
本発明による方法に重要なことは、圧力負荷下でも裂けない耐久性の溶着継ぎ目である。
【0106】
そのために、圧力試験において、該シートを、リング状のホルダに密に張り、0.8バールの圧力をかけた。これは、内側からの溶着継ぎ目の剪断応力をもたらす。溶着継ぎ目もシートもその圧力に耐える。圧力を1バールにまで更に高めた場合に、溶着継ぎ目は依然として損傷ないままであるが、複合シートは伸び始める。
【0107】
更に、引張力を、溶着されていない複合シートでも、溶着された2枚の前記複合シートでも、引張試験機によって、方法DIN EN ISO 527−3に準拠して測定した。両方の場合に、60N/インチの引張力が得られる。
【0108】
実施例2:
シリコーンでコーティングされたPP(70μm)/アルミニウム(9μm)/PP(70μm)複合シートからなる複合シートを溶着させた。シリコーン層は、9質量%のTEGO RC351と、89質量%のTEGO RC702と、2質量%のTEGO光開始剤A18とからなる混合物から製造した。その複合シートを、シリコーンの側とシリコーンの側とが重なり合うようにその上に折り返した。この領域に、超音波溶着継ぎ目を施した。
【0109】
ビーム状の250mm幅の、ワッフル構造を有するソノトロードを、超音波溶着装置HS dialog 4000において、Hermann Ultraschall社のアンビルを用いて、20kHzで駆動させた。振動方向でのソノトロードの振れは、21μmであり、溶着時間は、1500Wの出力で押圧力6バールで250msであった。その際、継ぎ目には320Jのエネルギーが導入された。
【0110】
シール性試験:
予め完成されたバッグを、着色された水で充填した。その水は、継ぎ目中に又は継ぎ目を通して通過せず、従って得られた継ぎ目は、液体に対して漏出シール性(auslaufdicht)であった。意図的に一緒に閉じ込められた気泡は、手動で絞り出せなかった。それらのバックは、分離しない。
【0111】
充填試験:
第二の試験においては、得られたバッグを160℃の高温のVestoplast(登録商標)206(Evonik Industries AG社のシラン変性されたポリオレフィン)で充填し、閉じた(上記に示したような超音波溶着)。継ぎ目は、密に留まって溶けなかった。そのバッグは、溶融物の冷却後に残分なくポリオレフィンから取り外すことができた。充填したバッグの1年間の貯蔵期間後に、空気又は湿分による汚染は確認できなかった(ポリマーの架橋なし)。意図的に一緒に閉じ込められた気泡は、手動で絞り出すことができず、継ぎ目はまた貯蔵時にも安定である。
【0112】
実施例3:
実施例2のシートを使用した。その複合シートを、シリコーンの側とシリコーンの側とが重なり合うようにその上に折り返した。この領域に、超音波溶着継ぎ目を施した。図1のG′からの、120°の角度を有するビーム状の切断アンビルを使用し、それを5バールで押圧した。溶着時間は、2000Wで230msであり、その際、360Jのエネルギーが溶着継ぎ目に導入された。同時に、該継ぎ目から張り出したシートを継ぎ目から取り除く。
【0113】
シール性試験:
予め完成されたバッグを、着色された水で充填した。その水は、継ぎ目中に又は継ぎ目を通して通過せず、従って得られた継ぎ目は、液体に対して漏出シール性であった。意図的に一緒に閉じ込められた気泡は、手動で絞り出せなかった。それらのバックは、分離しない。
【0114】
充填試験:
第二の試験においては、得られたバッグを160℃の高温のVestoplast(登録商標)206(Evonik Industries AG社のシラン変性されたポリオレフィン)で充填し、閉じた(上記に示したような超音波溶着)。継ぎ目は、密に留まって溶けなかった。そのバッグは、溶融物の冷却後に残分なくポリオレフィンから取り外すことができた。充填したバッグの1年間の貯蔵期間後に、空気又は湿分による汚染は確認できなかった(ポリマーの架橋なし)。意図的に一緒に閉じ込められた気泡は、手動で絞り出すことができず、継ぎ目はまた貯蔵時にも安定である。それらのバックは、分離しない。
【0115】
実施例4
実施例2のシートを使用した。該コーティングの厚さは、約0.5g/m2であった。その複合シートを、シリコーンの側とシリコーンの側とが重なり合うようにその上に折り返した。この領域に、超音波溶着継ぎ目を施した。
【0116】
図1のGからの、120°の角度を有する直径2.5mmの円板形の切断アンビルを使用し、それを5バールで押圧した。
【0117】
ソノトロードは、35kHzの発生器で600Wで駆動させた。
【0118】
同時に、該継ぎ目から張り出したシートを継ぎ目から取り除く。
【0119】
シール性試験:
予め完成されたバッグを、着色された水で充填した。その水は、継ぎ目中に又は継ぎ目を通して通過せず、従って得られた継ぎ目は、液体に対して漏出シール性であった。意図的に一緒に閉じ込められた気泡は、手動で絞り出せなかった。
【0120】
充填試験:
第二の試験においては、得られたバッグを160℃の高温のVestoplast(登録商標)206(Evonik Industries AG社のシラン変性されたポリオレフィン)で充填し、閉じた(上記に示したような超音波溶着)。継ぎ目は、密に留まって溶けなかった。そのバッグは、溶融物の冷却後に残分なくポリオレフィンから取り外すことができた。充填したバッグの1年間の貯蔵期間後に、空気又は湿分による汚染は確認できなかった(ポリマーの架橋なし)。意図的に一緒に閉じ込められた気泡は、手動で絞り出すことができず、継ぎ目はまた貯蔵時にも安定である。
【0121】
実施例5
実施例2のシートを使用した。該コーティングの厚さは、約0.5g/m2であった。その複合シートを、シリコーンの側とシリコーンの側とが重なり合うようにその上に折り返した。この領域に、超音波溶着継ぎ目を施した。
【0122】
図1のB)からの高さ5mm及び幅250mmの、ワッフル構造を有する平面形のビーム材ソノトロードを使用した。
【0123】
該ソノトロードは、20kHzの発生器で2100Wで580msにわたって駆動させ、その際、700Jのエネルギーが溶着継ぎ目に導入された。
【0124】
シール性試験:
予め完成されたバッグを、着色された水で充填した。その水は、継ぎ目中に又は継ぎ目を通して通過せず、従って得られた継ぎ目は、液体に対して漏出シール性であった。意図的に一緒に閉じ込められた気泡は、手動で絞り出せなかった。それらのバックは、分離しない。
【0125】
充填試験:
第二の試験においては、得られたバッグを160℃の高温のVestoplast(登録商標)206(Evonik Industries AG社のシラン変性されたポリオレフィン)で充填し、閉じた(上記に示したような超音波溶着)。継ぎ目は、密に留まって溶けなかった。そのバッグは、溶融物の冷却後に残分なくポリオレフィンから取り外すことができた。充填したバッグの1年間の貯蔵期間後に、空気又は湿分による汚染は確認できなかった(ポリマーの架橋なし)。意図的に一緒に閉じ込められた気泡は、手動で絞り出すことができず、継ぎ目はまた貯蔵時にも安定である。それらのバックは、分離しない。
【0126】
実施例6:
シリコーンでコーティングされた140μm厚のPPシートからなる複合シートを溶着させた。シリコーン層は、9質量%のTEGO RC351と、89質量%のTEGO RC702と、2質量%のTEGO光開始剤A18とからなる混合物から製造した。そのシートを、シリコーンの側とシリコーンの側とが重なり合うようにその上に折り返した。この領域に、超音波溶着継ぎ目を施した。ビーム状の250mm幅の、ワッフル構造を有するソノトロードを、超音波溶着装置HS dialog 4000において、Hermann Ultraschall社のアンビルを用いて、20kHzで駆動させた。振動方向でのソノトロードの振れは、21μmであり、溶着時間は、1400Wの出力で押圧力6バールで250msであった。その際、継ぎ目には310Jのエネルギーが導入された。
【0127】
シール性試験:
予め完成されたバッグを、着色された水で充填した。その水は、継ぎ目中に又は継ぎ目を通して通過せず、従って得られた継ぎ目は、液体に対して漏出シール性であった。意図的に一緒に閉じ込められた気泡は、手動で絞り出せなかった。それらのバックは、分離しない。
【0128】
充填試験:
第二の試験においては、得られたバッグを160℃の高温のVestoplast(登録商標)206(Evonik Industries AG社のシラン変性されたポリオレフィン)で充填し、閉じた(上記に示したような超音波溶着)。継ぎ目は、密に留まって溶けなかった。そのバッグは、溶融物の冷却後に残分なくポリオレフィンから取り外すことができた。
【0129】
実施例7
シリコーンでコーティングされた100μm厚のPEシートからなる複合シートを溶着させた。シリコーン層は、9質量%のTEGO RC351と、89質量%のTEGO RC702と、2質量%のTEGO光開始剤A18とからなる混合物から製造した。そのシートを、シリコーンの側とシリコーンの側とが重なり合うようにその上に折り返した。この領域に、超音波溶着継ぎ目を施した。ビーム状の250mm幅の、ワッフル構造を有するソノトロードを、超音波溶着装置HS dialog 4000において、Hermann Ultraschall社のアンビルを用いて、20kHzで駆動させた。振動方向でのソノトロードの振れは、21μmであり、溶着時間は、850Wの出力で押圧力6バールで250msであった。その際、継ぎ目には200Jのエネルギーが導入された。
【0130】
シール性試験:
予め完成されたバッグを、着色された水で充填した。その水は、継ぎ目中に又は継ぎ目を通して通過せず、従って得られた継ぎ目は、液体に対して漏出シール性であった。意図的に一緒に閉じ込められた気泡は、手動で絞り出せなかった。それらのバックは、分離しない。
【0131】
充填試験:
第二の試験においては、得られたバッグを110℃の高温のVestoplast(登録商標)206(Evonik Industries AG社のシラン変性されたポリオレフィン)で充填し、閉じた(上記に示したような超音波溶着)。継ぎ目は、密に留まって溶けなかった。そのバッグは、溶融物の冷却後に残分なくポリオレフィンから取り外すことができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を含む少なくとも1つの層を有する多層包装シートであって、該包装シートの被包装物に向かい合った側に、少なくとも1種のシリコーンを含むコーティングが施されていることを特徴とする前記多層包装シート。
【請求項2】
少なくとも1種のポリマーの2つの層と、それらの層の間にある金属層とを有し、前記少なくとも1種のポリマーの2つの層のうちの少なくとも一方が、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の包装シート。
【請求項3】
金属層が、軽金属からなることを特徴とする、請求項2に記載の包装シート。
【請求項4】
熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセテート、熱可塑性ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、スチレンアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレンブタジエンゴム、ポリエチレンテレフタレートを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の包装シート。
【請求項5】
シリコーンが、(メタ)アクリレート基を含むポリシロキサンであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の包装シート。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の包装シートを、被包装物の包装のために用いる使用。
【請求項7】
被包装物が、溶融接着剤から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
被包装物が、反応性の溶融接着剤であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の使用。
【請求項9】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の包装シートを用いて被包装物を包装する方法。
【請求項10】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の包装シートのバッグ又はチューブに、所定量の被包装物を充填し、充填過程を中断し、該包装シートのバッグ又はチューブを一方の又は両方の端部でのピンチオフによって閉じて溶着することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の包装シートのバッグ又はチューブに、所定量の被包装物を充填し、その際充填過程は中断せずに、該包装シートのバッグ又はチューブを一方の又は両方の端部でのピンチオフによって閉じ、該被包装物を押しのけて該バッグ又はチューブを溶着することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
包装シートが、超音波の使用によって溶着されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−103504(P2013−103504A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−251494(P2012−251494)
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】