説明

複合弁

【課題】小型な複合弁を提供すること
【解決手段】パイロット機構3と手動機構4を備える複合弁において、手動機構4は、連通流路46cが形成された鍔部46dを有し、ハウジング18は、軸方向に設けられて手動機構4を回転自在に保持する保持孔18aと、保持孔18aより大径に設けられて鍔部46eを定位置に収納する収納開口部18bとを有し、操作ポート34が保持孔18aに対応する位置に設けられて継手35を内蔵すると共に、排気ポート38が収納開口部18bの内壁に開口しており、操作ポート34と連通流路46eとを導通させる導通流路S1を、ハウジング18と手動機構4との間に形成する第1シール手段48,53,54と、排気ポート38が収納開口部18bの内壁に開口する開口部分を、導通流路S1から遮断する第2シール手段39と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作エアの給排気により弁開閉を行うパイロット弁と、安全装置として動作する手動弁とを一体化した複合弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来半導体製造工程に代表される、各種ガス等を流す配管を備える設備では、配管を取り外して各種作業を行う場合のために、パイロット弁の誤動作によるガス漏洩を防ぐ安全装置が必要とされている。半導体製造ラインでは、常にさらなる装置の小型化・低価格化が要求されるため、従来より、パイロット弁と、安全装置として動作する手動弁とを一体化した複合弁が使用されている。
【0003】
図13は、従来の複合弁101の断面図である。
従来の複合弁101は、弁座102にダイアフラム弁体103を当接又は離間する弁機構を有する。複合弁101は、パイロット機構により弁開閉を行うパイロット弁に、手動弁を一体に設けている。
【0004】
パイロット弁は、操作ポート104が継手105を介して図示しない給排気装置に接続されている。パイロット弁は、操作ポート104から給排気流路106を介してピストン室107,108に供給される操作エアの圧力と復帰ばね109の弾性力とのバランスによりピストン110,111を上下動させることにより、ピストンロッド112を介してダイアフラム弁体103を弁座102に当接又は離間させる。
【0005】
パイロット弁のシリンダ113には、手動弁の手動機構114が螺合されている。手動機構114は、ハンドル116と手動ステム117とサブハンドル118とセンターロッド119とを一体に連結して構成され、シリンダ113の上部に取り付けられたハウジング120に保持されている。手動機構114は、サブハンドル118とセンターロッド119の操作ポート104に対応する位置に貫通孔115がシリンダ113の径方向に設けられている。
【0006】
複合弁101は、手動機構114が正方向へ回転されると、手動機構114が下降してピストンロッド112を介してダイアフラム弁体103を弁座102に当接させる。このとき、貫通孔115が操作ポート104に連通せず、図示しない排気ポートに連通するので、複合弁101は操作ポート104に操作エアを供給されても弁が開かない。手動機構114を逆方向へ回転させると、手動機構114が上昇してピストンロッド112から離間し、ダイアフラム弁体103を弁座102に押し付ける力を解除する。このとき、操作ポート104が貫通孔115に導通し、ピストン室107,108に連通されるため、パイロット弁は弁開閉動作を自在に行える(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−214231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の複合弁101は、センターロッド119の外周にサブハンドル118を設けていたため、センターロッド119とサブハンドル118が配置される部分のハウジング120の肉厚が薄くなっていた。そして、その肉厚の薄い部分に操作ポート104を形成してサブハンドル118とセンターロッド119の貫通孔115に連通させるようにしていたので、継手105をハウジング120に内蔵できなかった。すなわち、継手105は、ハウジング120の外周面から突き出すように操作ポート104に接続せざるを得なかった。よって、従来の複合弁101は、半導体製造ライン等に組み付ける際に、継手105の設置スペースを必要としていた。上述のように半導体製造ラインでは、小型化が要求されており、継手105を省いて小型化することが望まれている。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、小型な複合弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る複合弁は、次のような構成を有している。
(1)弁座にダイアフラム弁体を当接又は離間させる弁機構と、付勢手段により当接されている前記弁座と前記ダイアフラム弁体とを空気圧により離間させるパイロット機構とからなるパイロット弁と、前記パイロット弁の前記弁機構と反対側になる上部に設けられた手動機構を回転させることにより、排気ポートと前記手動機構に設けられた前記連通流路とを連通させて前記パイロット弁を弁閉させる第1位置と、操作ポートと前記連通流路とを連通させて前記パイロット弁の開閉操作を自在にさせる第2位置とに前記手動機構を切り替え可能な手動弁と、を備える複合弁において、前記パイロット機構は、前記排気ポートと前記操作ポートが設けられたハウジングを有し、前記手動機構は、前記連通流路が形成された鍔部を有し、前記ハウジングは、軸方向に設けられて前記手動機構を回転自在に保持する保持孔と、前記保持孔より大径に設けられて前記鍔部を定位置に収納する収納開口部とを有し、前記操作ポートが前記保持孔に対応する位置に設けられて継手を内蔵すると共に、前記排気ポートが前記収納開口部の内壁に開口しており、前記操作ポートと前記連通流路とを導通させる導通流路を、前記ハウジングと前記手動機構との間に形成する第1シール手段と、前記排気ポートが前記収納開口部の内壁に開口する開口部分を、前記導通流路から遮断する第2シール手段と、を有する。
【0011】
(2)(1)に記載の発明において、前記第2シール手段は、前記排気ポートが前記収納開口部の内壁に開口する前記開口部分の周りに沿って、前記収納開口部の内壁に配置されるシール部材である。
【0012】
(3)(1)又は(2)に記載の発明において、前記鍔部から弁機構側へ突出する前記手動機構を挿通可能な環形状をなし、前記収納開口部の内壁との間で前記鍔部を挟み込むように前記ハウジングに取り付けられる隔壁部材を有し、前記第1シール手段は、前記隔壁部材と前記ハウジングとの間をシールするように前記隔壁部材の外周面に装着されるシール部材と、前記隔壁部材と前記手動機構との間をシールするように前記隔壁部材の内周面に装着されるシール部材とを含む。
【0013】
(4)(1)乃至(3)の何れか1つに記載の発明において、ロック部材が前記ハウジングの軸線に沿ってスライド可能に前記ハウジングに収納され、前記手動機構が前記第1位置に切り替えられている場合に前記ロック部材を前記ハウジングの上方へ突出させて前記手動機構の回転を阻止するロック機構を有する。
【0014】
(5)(4)に記載の発明において、前記ロック機構は、前記ロック部材を前記ハウジングに収納する方向へ付勢する付勢手段を有する。
【0015】
(6)(1)乃至(5)の何れか1つに記載の発明において、前記手動機構は、前記ピストンに連結されるインジケータが移動可能に挿通され、前記パイロット弁が弁開する場合における前記インジケータの上端面に対して位置調整されたブッシュを有する。
【発明の効果】
【0016】
上記複合弁は、手動機構の鍔部に連通流路を設けることにより手動機構を細くしている。パイロット機構のハウジングは、手動機構を保持する保持孔より鍔部を収納する収納開口部を大径に設け、収納開口部の内壁に排気ポートが開口している。これにより、ハウジングは、収納開口部より手動機構寄りに設けられた保持孔に対応する部分の肉厚が径方向に厚くなる。そこで、ハウジングの保持孔に対応する肉厚部分に操作ポートを設けて継手を操作ポートに内設し、継手がハウジングの外へ出っ張らないようにする。第1シール手段は、ハウジングと手動機構との間に操作ポートと連通流路とを導通させる導通流路を形成し、第2シール手段は、排気ポートの収納開口部内壁に開口する開口部分を導通流路から遮断するように設けられている。そのため、手動機構を第1位置に切り換えると、連通流路は、導通流路に連通しないように第2シール手段に遮断された状態で、排気ポートに連通する。これにより、パイロット弁は、パイロット機構の空気圧が調整不能になり、弁閉する。一方、手動機構を第2位置に切り換えると、連通流路は、導通流路を介して排気ポートに連通しないように第2シール手段に遮断された状態で、導通流路を介して操作ポートに連通する。これにより、パイロット弁は、パイロット機構の空気圧を調整可能になり、弁機構の弁開閉動作を自在に行えるようになる。よって、上記複合弁によれば、継手がハウジングに内設されて出っ張らず、小型化できる。
【0017】
上記複合弁は、排気ポートが収納開口部の内壁に開口する開口部分の外周に沿って収納開口部の内壁にシール部材を配置し、排気ポートを導通流路から遮断するので、排気ポートを導通流路から遮断する構造を簡単且つコンパクトにできる。
【0018】
上記複合弁は、鍔部を収納開口部の内壁に突き当てるように手動機構を保持孔に挿通し、鍔部を収納開口部の内壁との間で挟み込むように隔壁部材がハウジングに取り付けられている。手動機構は、鍔部から弁機構側へ突出する端部を隔壁部材に挿通されている。隔壁部材とハウジングとの間、及び、隔壁部材と手動機構との間は、シール部材によりそれぞれシールされている。そのため、操作ポートに供給された操作流体は、導通流路を通って、収納開口部の内壁と鍔部の弁機構と反対側の端面との間と、隔壁部材と鍔部の弁機構側の端面との間とに回り込み、鍔部の弁機構と反対側の端面に作用する圧力が鍔部の弁機構側の端面に作用する圧力に相殺される。よって、上記複合弁によれば、操作ポートに操作流体を供給した状態であっても鍔部が隔壁部材に強く押し付けられず、手動機構を第1位置と第2位置に切り換えやすい。
【0019】
上記複合弁は、手動機構が、連通流路を排気ポートに連通させてパイロット弁を弁閉する第1位置に配置される場合に、ロック部材を上方へ突出させて手動機構の回転を阻止する。ロック部材は、ハウジングに内設され、ハウジングの側方に突出しない。よって、上記複合弁は、ロック機構を複合弁の投影面積内に設けることができる。
【0020】
上記複合弁は、ロック部材が付勢手段に付勢されてハウジングに収納されており、手動機構の回転を阻止する場合には、付勢手段の付勢力に抗してロック部材をハウジングから突出させる。よって、上記複合弁によれば、取付姿勢に関係なく、使用者の意思に沿って手動機構をロックすることができ、ロック機構の操作性が良い。
【0021】
上記複合弁は、ピストンに連結されるインジケータが手動機構に移動可能に挿通され、パイロット弁が弁開する場合におけるインジケータの上端面に対してブッシュを位置調整して手動機構に取り付けている。そのため、パイロット弁の弁開閉動作時に、インジケータの上端面がブッシュの上面に対して移動する移動量が製品間でばらつかず、パイロット弁の弁開閉動作の検出に対する信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る複合弁の上面図であって、手動機構を第1位置に配置した場合を示す。
【図2】図1のAA断面図である。
【図3】図1のBB断面図である。
【図4】サブハンドルの上面図である。
【図5】複合弁の上面図であって、手動弁を第2位置に配置した場合を示す。
【図6】図5のCC断面図であって、手動機構を第2位置に配置した状態でパイロット機構が弁閉状態にされている。
【図7】図5のDD断面図であって、手動機構を第2位置に配置した状態でパイロット機構が弁閉状態にされている。
【図8】図5のCC断面図であって、手動機構を第2位置に配置した状態でパイロット機構が弁開状態にされている。
【図9】図5のDD断面図であって、手動機構を第2位置に配置した状態でパイロット機構が弁開状態にされている。
【図10】本発明の第2実施形態に係る複合弁のロック機構周辺部分の拡大断面図であって、ロック解除状態を示す。
【図11】複合弁のロック機構周辺部分の拡大断面図であって、ロック状態を示す。
【図12】図11の上面図である。
【図13】従来の複合弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る複合弁の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る複合弁1の上面図であって、手動機構4を第1位置に配置した状態を示す。図2は、図1のAA断面図である。図3は、図1のBB断面図である。図4は、サブハンドル41の上面図である。図5は、複合弁の上面図であって、手動機構4を第2位置に配置した状態を示す。図6は、図5のCC断面図であって、手動機構を第2位置に配置した状態でパイロット機構3が弁閉状態にされている。図7は、図5のDD断面図であって、手動機構を第2位置に配置した状態でパイロット機構3が弁閉状態にされている。図8は、図5のCC断面図であって、手動機構を第2位置に配置した状態でパイロット機構3が弁開状態にされている。図9は、図5のDD断面図であって、手動機構を第2位置に配置した状態でパイロット機構3が弁開状態にされている。
【0025】
<複合弁の概略構成>
図2及び図3に示すように、複合弁1は、パイロット機構3により弁機構2を動作させるパイロット弁と、弁機構2を手動機構4により作動させる安全装置としての手動弁を一体に設けたものである。図2に示すように、複合弁1は、流体を誤って供給することを防ぐために、手動機構4の弁閉状態時に図示しない鍵を取り付られてロックするロック機構5が設けられている。このような複合弁1の外観は、弁本体11、アダプタ15、ベース12、チューブ14、キャップ13、ハウジング18により構成され、ハウジング18に継手35が内設されている。
【0026】
図2及び図3に示すように、弁機構2は、弁本体11に開設された入力ポート21と出力ポート22が連通部23を介して連通している。入力ポート21が連通部23の内壁に開口する開口部には、弁座24が設けられている。ダイアフラム弁体25は、ダイアフラムホルダ16を介してアダプタ15と弁本体11との間で外縁部を挟持され、連通部23を流れる流体がアダプタ15側へ漏れるのを防止している。ダイアフラムホルダ16には、ステム17が摺動自在に保持され、ダイアフラム弁体25に当接している。
【0027】
パイロット機構3は、手動機構4を回転自在に保持している。手動機構4は、図3に示すようにハウジング18に形成された排気ポート38に連通流路46cを導通させて、パイロット機構3の弁開閉動作を制限する「第1位置」と、図6及び図8に示すようにハウジング18に形成された操作ポート34に連通流路46cを導通させて、パイロット機構3の弁開閉動作を許容する「第2位置」とに、回転によって切り替えられる。手動機構4は、「第1位置」に配置されることにより複合弁1を確実に弁閉できるため、パイロット弁の安全装置として機能する。
【0028】
<パイロット機構の構成>
図2及び図3に示すように、パイロット機構3は、アダプタ15を介して弁本体11に連結されている。パイロット機構3は、操作ポート34からピストン室29,30の操作エアを給排気することにより、ピストン27,28の下面に作用する操作エアの圧力と復帰ばね36の弾性力とのバランスに応じてピストン27,28を上下動させ、ダイアフラム弁体25を弁座24に当接又は離間させるように構成されている。
【0029】
パイロット機構3は、チューブ14の両端開口部にベース12とキャップ13をかしめ固定することにより、シリンダが構成されている。キャップ13の上部には、ハウジング18がネジ止めされている。ハウジング18には、排気ポート38と、継手35を内設された操作ポート34が設けられている。ベース12とキャップ13とチューブ14により形成される空間は、隔壁部材31によりピストン室29,30に仕切られている。ピストン室29にはピストン27が摺動可能に装填され、ピストン室30にはピストン28が摺動可能に装填されている。
【0030】
ピストン28は、連結ロッド部28eの上端部がOリング32aを介して隔壁部材31に貫き通されてピストン室29内に突出し、ピストン27の連結凹部27eに嵌合することにより、ピストン28の主流路28aをピストン27の中央流路27aに連通させている。ピストン27,28は、復帰ばね36の付勢力により弁座方向へ常時付勢されている。ピストン28は、ピストンロッド部28dの下端部がOリング32bを介してベース12に貫通されてダイアフラムホルダ16内に突出し、ステム17を介してダイアフラム弁体25を弁座24に当接させられるようになっている。ピストン28は、ピストン室29,30に連通するように、分岐流路28b,28cが主流路28aに直交するように設けられている。
【0031】
ピストン27は、手動ロッド部27cの上端部が手動ねじ37を介してキャップ13に貫き通され、ハウジング18内に突出している。手動ねじ37は、キャップ13に螺合され、ピストン27の段差部27dを手動ねじ37の下面に当ててピストン27の上昇量を規制する。
【0032】
ハウジング18には、連通流路46cを備えるセンターロッド46が回転自在に保持されている。ハウジング18は、センターロッド46を回転自在に保持する保持孔18aが軸線方向に沿って形成され、その保持孔18aに操作ポート34が流路33を介して連通している。ハウジング18は、図中下面から保持孔18aと同軸上に収納開口部18bが保持孔18aより大径に形成されている。収納開口部18bは、操作ポート34が保持孔18aの内壁に開口する開口部分より下方の位置まで設けられている。そのため、ハウジング18は、収納開口部18bより上方の径方向の肉厚が厚く、継手35を内設可能な大きさで操作ポート34が設けられている。
【0033】
センターロッド46は、外周面に外向きに突設された鍔部46eを収納開口部18bの内壁に突き当てるように保持孔18aに挿通され、鍔部46eに隔壁部材52を重ねられた状態で固定部材51をハウジング18に装着することにより、ハウジング18の定位置に回転可能に保持される。隔壁部材52は、環状をなし、センターロッド46の下端部が挿通されている。隔壁部材52は、外周面に装着されたOリング(第1シール手段の一例)53によりハウジング18との間をシールされ、内周面に装着されたOリング(第1シール手段の一例)54によりセンターロッド46との間をシールされている。また、センターロッド46は、操作ポート34より上方において、ハウジング18との間をOリング(第1シール手段の一例)48によりシールされている。ハウジング18には、収納開口部18bに連通するように排気ポート38が設けられ、排気ポート38が収納開口部18bの内壁に開口する開口部分にOリング(第2シール手段の一例)39が装着されている。よって、ハウジング18とセンターロッド46と隔壁部材52との間には、Oリング39,48,53,54により、排気ポート38から遮断された状態で操作ポート34に導通する隙間(導通流路の一例)S1が形成されている。
【0034】
センターロッド46は、軸線に沿って形成された挿通孔46aの下端開口部に、挿通孔46aより大径のロッド挿入部46bが挿通孔46aと同軸上に設けられている。挿通孔46aには、Oリング45を介してインジケータロッド42が挿通され、ロッド挿入部46bには、ピストン27の手動ロッド部27cがOリング55を介して摺動可能に挿入されている。よって、センターロッド46と手動ロッド部27cとインジケータロッド42との間には、Oリング45,55により気密に区画された隙間S2が形成されている。センターロッド46は、鍔部46eの上面と隙間S2の内壁(ロッド挿入部46bの内壁)とを連通させるように連通流路46cが形成され、隙間S2が隙間S1又は排気ポート38に導通させることができるようになっている。
【0035】
ピストン27は、手動ロッド部27cとインジケータロッド42に貫き通すように連結ピン44がピン孔27bに挿通され、インジケータロッド42と一体的に連結されている。隙間S2は、手動ロッド部27cに形成された中央流路27aの内周面と、インジケータロッド42の外周面との間の隙間S3を介して、ピストン27の中央流路27aに連通している。
【0036】
ここで、パイロット機構3の流路構成についてまとめると、図6〜図9に示すように、操作ポート34が隙間S1、連通流路46c、隙間S2、隙間S3、中央流路27a、主流路28a、分岐流路28b,28cを介してピストン室29,30に連通して、給気流路が構成される。また、図2及び図3に示すように、パイロット機構3は、排気ポート38が連通流路46c、隙間S2、隙間S3、中央流路27a、主流路28a、分岐流路28b,28cを介してピストン室29,30に連通して、排気流路が構成される。そして、排気流路と給気流路とは、図1及び図5に示すように手動機構4のセンターロッド46を回転させて、図2、図3、図6〜図9に示すように連通流路46cの配置を変えることにより、切り換えられる。
【0037】
<手動機構の構成>
図2及び図3に示すように、手動機構4は、ハウジング18から上方へ突出するセンターロッド46の上端部にサブハンドル41が止めネジ48で固定され、サブハンドル41にハンドル40が六角穴付きボルト47で固定されており、センターロッド46とハンドル40とが一体的に回転するようにされている。センターロッド46の下端面には、一対の駆動伝達部46dが下向きに突出してロッド挿入部46bを挟んで対称に設けられている。駆動伝達部46dは、手動ねじ37の上面に長孔状に形成された被駆動伝達部37aに挿入され、ハンドル40の回転をセンターロッド46を介して手動ねじ37に伝達するようになっている。駆動伝達部46dは、被駆動伝達部37aにガタを持って嵌合され、手動機構4の回転に遊びを設けて誤操作を防いでいる。手動ねじ37は、ハンドル40と一体的に回転し、キャップ13との間に設けられたねじ部のねじ送りによって図中上下方向へ移動することにより、ピストン27,28の上昇位置を設定している。
【0038】
インジケータロッド42は、センターロッド46からサブハンドル41に挿通され、上端部が、サブハンドル41の上端に設けたブッシュ49内に配置されている。ブッシュ49は、弁開時に、上端面がインジケータロッド42の上端面と同一平面に配置されるように位置調整されて、サブハンドル41に組み付けられている。インジケータロッド42は、連結ピン44を介して連結されるピストン27と一体的に上下動し、パイロット弁の弁閉時には図6及び図7に示すように上端面がブッシュ49内に引っ込み、パイロット弁の弁開時には図8及び図9に示すように上端面がブッシュ49の上端面に現れるようになっている。
【0039】
手動機構4は、図3に示すようにハウジング18の上面に立設された係止ピン50によりハンドル40の回転量が規制される。図4に示すように、サブハンドル41には、係止ピン50に係止される切欠部41aが設けられている。切欠部41aは、係止ピン50に当接することによりハンドル40の回し過ぎを防止し、弁座24の過剰なつぶしを保護するための過剰回転防止端面41bと、係止ピン50に当接することにより手動機構4を「第2位置」に位置決めするための第2位置規制端面41cとを有する。サブハンドル41は、切欠部41aをロック機構5に対応する位置に配置するように、ハンドル40とセンターロッド46に固定されている。
【0040】
<ロック機構>
図1及び図2に示すように、ハウジング18は、南京錠の吊やケーブルなどが挿通される鍵穴18dが、保持孔18aに対応する位置の肉厚部分に設けられている。スライド溝18cは、鍵穴18d上に形成されている。ロックプレート(ロック部材の一例)8は、スライド溝8aに挿通されたガイドピン6にガイドされて、スライド溝18c内を上下方向にスライドするように、ハウジング18に保持されている。ロックプレート8は、スライド溝18c内に納められ、ハウジング18の側面から突出せずにスライドする。手動機構4は、「第1位置」に配置されて弁閉状態である場合、ハンドル40をロックプレート8上に配置せず、しかも、サブハンドル41の切欠部41aをロックプレート8上に配置するので、ロック機構5はロックプレート8を上方へスライドさせることが可能である。一方、手動機構4は、「第2位置」に配置されて弁開状態である場合、ハンドル40とサブハンドル41をロックプレート8上に配置するので、ロック機構5はロックプレート8を上方へスライドさせることができない。
【0041】
尚、図1及び図5に示すように、ハウジング18の上端面には、ハンドル40の回転によりパイロット弁が動作可能であるか否か、すなわち手動弁の弁開閉状態を切り替えて表示する表示部9が設けられている。表示部9は、手動機構4が弁閉状態のときには図1に示すように「Disabled」との表示が露呈し、パイロット弁が動作不能である(手動弁が弁閉状態である)ことを報知する。また、表示部9は、手動機構4が弁開状態のときには図5に示すように「Enabled」との表示が露呈し、パイロット弁が動作可能である(手動弁が弁開状態である)ことを報知する。
【0042】
<動作説明:手動弁を弁閉状態にした場合の動作>
手動弁を弁閉状態にした場合の動作について図1、図2及び図3を参照して説明する。
図1〜図3に示すように、ハンドル40を回転させ、手動機構4を「第1位置」に切り換えると、ハンドル40とサブハンドル41とセンターロッド46と手動ねじ37が連動して回転し、手動ねじ37が下降する。手動ねじ37は、下端面がピストン27の段差部27dに突き当てられ、ピストン27,28とステム17を介してダイアフラム弁体25を弁座24に押し付ける。
【0043】
このように手動弁を弁閉状態にして操作ポート34に操作エアが供給されない場合には、ピストン27,28が復帰ばね36と手動機構4により下方へ押し下げられ、ステム17を介してダイアフラム弁体25を弁座24に当接させる。よって、複合弁1は、入力ポート21から出力ポート22へ流体を供給できない。
【0044】
図3に示すように、手動機構4を「第1位置」に切り換えると、センターロッド46の連通流路46cは、排気ポート38の収納開口部18bに開口する開口部分の真下に配置されて、排気ポート38に連通する。排気ポート38と連通流路46cとの接続部分は、Oリング39により隙間S1と遮断されている。そのため、ピストン室29,30は、分岐流路28b,28cと主流路28aと中央流路27aと隙間S3と隙間S2と連通流路46cを介して排気ポート38に導通し、隙間S1に導通しない。よって、操作ポート34から隙間S1へ操作エアを供給されても、その操作エアはピストン室29,30に供給されないため、弁閉状態が維持される。
【0045】
ところで、作業者は、ダイアフラム弁体25が弁座24に当たってハンドル40を回しにくくなったことに気付かず、無理にハンドル40を回転させ続けることがある。この場合、過剰回転防止端面41bが係止ピン50に当たってハンドル40の回転を阻止するため、弁座24が押し潰されない。しかも、この場合、連通流路46cは、Oリング39でシールされた範囲内で排気ポート38の開口部分から僅かにずれるだけであるため、排気ポート38のみに連通して隙間S1に連通しない。
【0046】
図1に示すように、手動機構4を「第1位置」に切り換えると、ロックプレート8の上方が開放される。そこで、ロックプレート8を上方へスライドさせて鍵穴18dを開放し、鍵穴18dに南京錠の吊やケーブルを取り付ける。すると、ロックプレート8は、南京錠の吊やケーブルに持ち上げられて上昇した位置で保持される。これにより、手動機構4は、サブハンドル41の第2位置規制端面41cがロックプレート8に引っ掛かって、弁を開く方向へハンドル40を回転することができなくなる。よって、複合弁1は弁閉状態で確実にロックされ、誤って弁を開く不具合が生じない。
【0047】
尚、図1に示すように、手動機構4が「第1位置」に配置される場合、表示部9は、「Enabled」の表示がハンドル40で隠され、「Disabled」の表示が表れる。よって、ユーザは、表示部9の表示を見て、手動弁が弁閉状態であってパイロット弁が動作不能であることを認識できる。
【0048】
<手動弁を弁開状態、パイロット弁を弁閉状態にする場合の動作>
手動弁を弁開状態、パイロット弁を弁閉状態にする場合の動作について、図5、図6及び図7を参照して説明する。
図5〜図6に示すように、サブハンドル41の第2位置規制端面41cを係止ピン50に突き当てるようにハンドル40を回転させ、手動機構4を「第2位置」に切り換えると、ハンドル40とサブハンドル41とセンターロッド46と手動ねじ37が連動して回転し、手動ねじ37が上昇する。これにより、手動ねじ37の下端面とピストン27の段差部27dとの間には、所定量の隙間が形成され、手動機構4がピストン27,28とステム17を介してダイアフラム弁体25を弁座24に押し付ける力が解除される。
【0049】
手動機構4を「第2位置」に切り換えると、センターロッド46の連通流路46cが排気ポート38の位置からずれ、隙間S1に導通される。そのため、ピストン室29,30は、分岐流路28b,28c、主流路28a、中央流路27a、隙間S3、隙間S2、連通流路46c、隙間S1を介して操作ポート34に連通され、排気ポート38には導通されない。このような状態で操作ポート34に操作エアが供給されないと、ピストン27,28は復帰ばね36の付勢力により押し下げられ、ステム17を介してダイアフラム弁体25を弁体に当接させる。よって、複合弁1は、弁閉状態になり、入力ポート21から出力ポート22へ流体を供給しない。
【0050】
図5に示すように、手動機構4が「第2位置」に配置される場合、表示部9は、「Disabled」の表示がハンドル40で隠され、「Enabled」の表示が表れる。よって、ユーザは、表示部9の表示を見て、手動弁が弁開状態であってパイロット弁が動作可能であることを認識できる。
【0051】
また、インジケータロッド42は、連結ピン44を介してピストン27に引き下ろされ、上端面がブッシュ49内に引っ込んでいる。よって、ユーザは、インジケータロッド42がブッシュ49の表面に現れていないのを見て、パイロット弁が弁を開いていないことを認識できる。
【0052】
尚、手動機構4が「第2位置」に配置される場合、ハンドル40とサブハンドル41がロックプレート8の上方に配置される。そのため、手動機構4を弁開状態にしたままロックプレート8を上昇させて鍵穴18dに南京錠を取り付けることができない。よって、複合弁1は、手動弁を弁開状態にしたままロックされない。
【0053】
<手動弁を弁開状態、パイロット弁を弁開状態にする場合の動作>
手動弁を弁開状態、パイロット弁を弁開状態にする場合の動作について、図8及び図9を参照して説明する。
手動機構4の動作は上記と同様であるので、説明を省略する。
パイロット機構3は、操作ポート34に操作エアを供給されると、操作エアが、隙間S1、連通流路46c、隙間S2、隙間S3、中央流路27a、主流路28a、分岐流路28b,28cを介してピストン室29,30に供給され、ピストン27,28の下端面を加圧する。ピストン27,28は、復帰ばね36の弾性力と下面に作用する圧力とのバランスによって上昇し、ピストンロッド部28dをステム17から離間させる。ダイアフラム弁体25は、自身のばね力により弁座24から離間し、連通部23を介して入力ポート21と出力ポート22とを連通させる。よって、複合弁1は、入力ポート21から出力ポート22に流体を供給することが可能になる。ダイアフラム弁体25の全開位置は、ダイアフラム弁体25がステム17を持ち上げてピストンロッド部28dに当接させることにより決定される。
【0054】
<作用効果>
以上説明したように、手動機構4の鍔部46eに連通流路46cを設けることにより手動機構4を細くしている。パイロット機構3のハウジング18は、手動機構4を保持する保持孔18aより鍔部46eを収納する収納開口部18bを大径に設け、収納開口部18bの上内壁に排気ポート38が開口している。これにより、ハウジング18は、収納開口部18bより手動機構4寄りに設けられた保持孔18aに対応する部分の肉厚が径方向に厚くなる。そこで、ハウジング18の保持孔18aに対応する肉厚部分に操作ポート34を設けて継手35を操作ポート34に内設し、継手35がハウジング18の外へ出っ張らないようにする。Oリング48,53,54は、ハウジング18と手動機構4との間に操作ポート34と連通流路46cとを導通させる隙間S1を形成し、Oリング39は、排気ポート38の収納開口部18bの上内壁に開口する開口部分を隙間S1から遮断するように設けられている。そのため、手動機構4を「第1位置」に切り換えると、連通流路46cは、隙間S1に連通しないようにOリング39に遮断された状態で、排気ポート38に連通する。これにより、パイロット弁は、パイロット機構3の空気圧が調整不能になり、弁閉する。一方、手動機構4を「第2位置」に切り換えると、連通流路46cは、隙間S1を介して排気ポート38に連通しないようにOリング39に遮断された状態で、隙間S1を介して操作ポート34に連通する。これにより、パイロット弁は、パイロット機構3の空気圧を調整可能になり、弁機構2の弁開閉動作を自在に行えるようになる。よって、上記複合弁1によれば、継手35がハウジング18に内設されて出っ張らず、小型化できる。
【0055】
上記複合弁1は、排気ポート38が収納開口部18bの上内壁に開口する開口部分の外周に沿って収納開口部18bの上内壁にOリング39を配置し、排気ポート38を隙間S1から遮断するので、排気ポート38を隙間S1から遮断する構造を簡単且つコンパクトにできる。
【0056】
上記複合弁1は、鍔部46eを収納開口部18bの上内壁に突き当てるように手動機構4を保持孔18aに挿通し、鍔部46eを収納開口部18bの上内壁との間で挟み込むように隔壁部材52がハウジング18に固定部材51により取り付けられている。手動機構4は、鍔部46eから弁機構2側へ突出する端部を隔壁部材52に挿通されている。隔壁部材52とハウジング18との間はOリング53によりシールされ、隔壁部材52と手動機構4との間はOリング54によりシールされている。そのため、操作ポート34に供給された操作流体は、隙間S1を通って、収納開口部18bの上内壁と鍔部46eの上端面との間と、隔壁部材52の上面と鍔部46eの下端面との間とに回り込み、鍔部46eの上端面に作用する圧力が鍔部46eの下端面に作用する圧力に相殺される。よって、上記複合弁1によれば、操作ポート34に操作流体を供給した状態であっても鍔部46eが隔壁部材52に強く押し付けられず、手動機構4を「第1位置」と「第2位置」に切り換えやすい。
【0057】
上記複合弁1は、手動機構4が、連通流路46cを排気ポート38に連通させてパイロット弁を弁閉する「第1位置」に配置される場合に、ロックプレート8を上方へ突出させて手動機構4の回転を阻止する。ロックプレート8は、ハウジング18に内設され、ハウジング18の側方に突出しない。よって、上記複合弁1は、ロック機構5を複合弁1の投影面積内に設けることができる。
【0058】
上記複合弁1は、ピストン27に連結されるインジケータロッド42が手動機構4に移動可能に挿通され、パイロット弁が弁開する場合におけるインジケータロッド42の上端面に対してブッシュ49を位置調整して手動機構4に取り付けている。そのため、パイロット弁の弁開閉動作時に、インジケータロッド42の上端面がブッシュ49の上面に対して移動する移動量が製品間でばらつかず、パイロット弁の弁開閉動作の検出に対する信頼性が向上する。
【0059】
尚、本実施形態の複合弁1では、ロック機構5が、ハウジング18に鍵穴18dを設けて、南京錠の吊やケーブルを通されるので、鍵穴18dの強度が高い。そのため、ロック機構5は、南京錠が何らかの外力を受けても鍵穴18dが破壊されず、ロック状態を維持できる。
また、本実施形態の複合弁1では、ピストン27に一体に連結したインジケータロッド42により、パイロット弁の弁開閉動作を機械的に検出するので、操作ポート34に供給する操作エアの有無によりパイロット弁の弁開閉動作を検出する場合と比べて、検出精度が高い。
【0060】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態を説明する。図10は、第2実施形態に係る複合弁61のロック機構62周辺部分の拡大断面図であって、ロック解除状態を示す。図11は、複合弁61のロック機構周辺部分の拡大断面図であって、ロック状態を示す。図12は、図11の上面図である。尚、図12では、ロックピン63とサブハンドル41との位置関係を分かりやすくするために、ロックピン63とサブハンドル41にハッチングを入れている。
図10〜図12に示す複合弁61は、ロック機構62の構造を除き、第1実施形態の複合弁1と構成が共通している。ロック機構62は、ハウジング18の上端面から、ロックピン63を収納するためのピン孔67が設けられている。ハウジング18は、ピン孔67を軸方向に沿って外部に連通させるようにスライド溝68が形成されている。ロックピン63に固定された操作部材64は、スライド溝68を介してハウジング18の外部に突出し、スライド溝68に沿ってロックピン63を図中上下方向へ案内するようになっている。ピン孔67の開口部には、ブッシュ65が圧入されている。コイルばね(付勢手段の一例)66は、ブッシュ65とロックピン63のばね受け63aとの間に縮設され、ロックピン63をピン孔67内に押し込むようにロックピン63に付勢力を常時与えている。
【0061】
このような複合弁61は、図11に示すように、操作部材64を操作しない場合には、コイルばね66の付勢力によってロックピン63がピン孔67内に収納される。この状態では、ロックピン63がハンドル40の回転を阻止せず、手動機構4は「第1位置」と「第2位置」との間で操作可能になる。これに対して、コイルばね66を圧縮させながら操作部材64をスライド溝68に沿ってブッシュ65側へ移動させると、ロックピン63が操作部材64と一体的に移動して、鍵穴18dを開放する。この状態で、鍵穴18dに南京錠の吊やワイヤを取り付けると、ロックピン63は、吊やワイヤに持ち上げられてブッシュ65から突出した状態を維持する。これにより、サブハンドル41が第2位置規制端面41cをロックピン63に係止されて、ハンドル40の回転が阻止され、手動機構4は「第1位置」でロックされる。
【0062】
従って、複合弁61は、使用者が操作部材64を操作して鍵穴18dに南京錠を取り付けない限り、ロックピン63が突出してロック機構4の回転を阻止しない。そのため、手動機構4を下にして複合弁61を装置に組み付けた場合、使用者は、南京錠を取り付けるまで、手動機構4を片手で操作して「第1位置」と「第2位置」に簡単に切り替えることができる。よって、複合弁61によれば、取付姿勢に関係なく、使用者の意思に沿って手動機構4をロックすることができ、ロック機構62の操作性が良い。
【0063】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、上記実施形態では、パイロット機構3が2個のピストンを備えるが、1又は3個以上のピストンをパイロット機構3に設けても良い。
例えば、上記実施形態では、手動ねじ37に被駆動伝達部37aを長孔状に形成したが、被駆動伝達部37aの形状を丸孔などで形成しても良い。また、手動ねじ37の被駆動伝達部を凸状に設け、センターロッド46の駆動伝達部を凹状に設けることにより、センターロッド46から手動ねじ37に回転を伝達するようにしても良い。
例えば、上記実施形態では、ピストン27,28を面接触させて中央流路27aと主流路28aを連通させることにより、操作エアを給排気する内部流路を構成した。これに対して、複数のピストンを流路構成用の円筒部材で連結して内部流路を構成しても良い。また、複数のピストンの中央にピストンロッドを挿通して固定し、ピストンロッドに内部流路を形成しても良い。
上記実施形態では、鍵穴18dに取り付けられる南京錠の吊又はワイヤーによりロックプレート8又はロックピン63の上昇位置を維持したが、ピンなどの固定部材によりロックプレート8又はロックピン63の上昇位置を維持しても良い。
上記実施形態では、排気ポート38が収納開口部18bの上内壁に開口するが、排気ポート38が収納開口部18bの側面に開口しても良い。また、操作ポート34が流路33を介して保持孔18aに開口するが、操作ポート34を収納開口部18bの上内壁や側面に開口させても良い。
【符号の説明】
【0064】
1,61 複合弁
2 弁機構
3 パイロット機構
4 手動機構
5,62 ロック機構
8 ロックプレート(ロック部材の一例)
18a 保持孔
18b 収納開口部
24 弁座
25 ダイアフラム弁体
27 ピストン
27c 手動ロッド部
36 復帰ばね(付勢手段の一例)
18 ハウジング
34 操作ポート
35 継手
38 排気ポート
39 Oリング(第2シール手段の一例)
46b ロッド挿入部
46c 連通流路
46e 鍔部
48,53,54 Oリング(第1シール手段の一例)
52 隔壁部材
63 ロックピン(ロック部材の一例)
66 コイルばね(付勢手段の一例)
S1 隙間(導通流路の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁座にダイアフラム弁体を当接又は離間させる弁機構と、付勢手段により当接されている前記弁座と前記ダイアフラム弁体とを空気圧により離間させるパイロット機構とからなるパイロット弁と、前記パイロット弁の前記弁機構と反対側になる上部に設けられた手動機構を回転させることにより、排気ポートと前記手動機構に設けられた前記連通流路とを連通させて前記パイロット弁を弁閉させる第1位置と、操作ポートと前記連通流路とを連通させて前記パイロット弁の開閉操作を自在にさせる第2位置とに前記手動機構を切り替え可能な手動弁と、を備える複合弁において、
前記パイロット機構は、前記排気ポートと前記操作ポートが設けられたハウジングを有し、
前記手動機構は、前記連通流路が形成された鍔部を有し、
前記ハウジングは、軸方向に設けられて前記手動機構を回転自在に保持する保持孔と、前記保持孔より大径に設けられて前記鍔部を定位置に収納する収納開口部とを有し、前記操作ポートが前記保持孔に対応する位置に設けられて継手を内蔵すると共に、前記排気ポートが前記収納開口部の内壁に開口しており、
前記操作ポートと前記連通流路とを導通させる導通流路を、前記ハウジングと前記手動機構との間に形成する第1シール手段と、
前記排気ポートが前記収納開口部の内壁に開口する開口部分を、前記導通流路から遮断する第2シール手段と、を有する
ことを特徴とする複合弁。
【請求項2】
請求項1に記載する複合弁において、
前記第2シール手段は、前記排気ポートが前記収納開口部の内壁に開口する前記開口部分の周りに沿って、前記収納開口部の内壁に配置されるシール部材である
ことを特徴とする複合弁。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する複合弁において、
前記鍔部から弁機構側へ突出する前記手動機構を挿通可能な環形状をなし、前記収納開口部の内壁との間で前記鍔部を挟み込むように前記ハウジングに取り付けられる隔壁部材を有し、
前記第1シール手段は、前記隔壁部材と前記ハウジングとの間をシールするように前記隔壁部材の外周面に装着されるシール部材と、前記隔壁部材と前記手動機構との間をシールするように前記隔壁部材の内周面に装着されるシール部材とを含む
ことを特徴とする複合弁。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載する複合弁において、
ロック部材が前記ハウジングの軸線に沿ってスライド可能に前記ハウジングに収納され、前記手動機構が前記第1位置に切り替えられている場合に前記ロック部材を前記ハウジングの上方へ突出させて前記手動機構の回転を阻止するロック機構を有する
ことを特徴とする複合弁。
【請求項5】
請求項4に記載する複合弁において、
前記ロック機構は、前記ロック部材を前記ハウジングに収納する方向へ付勢する付勢手段を有する
ことを特徴とする複合弁。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載する複合弁において、
前記手動機構は、前記ピストンに連結されるインジケータが移動可能に挿通され、前記パイロット弁が弁開する場合における前記インジケータの上端面に対して位置調整されたブッシュを有する
ことを特徴とする複合弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−74955(P2011−74955A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224686(P2009−224686)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】