説明

複合情報コード及び光学的情報読取装置

【課題】複数の情報コードが組み合わされてなる複合情報コードにおいて、各情報コードの読み取りを良好に行い得る構成をより簡易に実現することができ、且つより効果的に省スペース化を図りうる構成を提供する。
【解決手段】複合情報コード1は、赤色のセルと黒色のセルとを配列してなる赤色コード2rと、緑色のセルと黒色のセルとを配列してなる緑色コード2gと、青色のセルと黒色のセルとを配列してなる青色コード2bとが含まれている。そして、これら赤色コード2r、緑色コード2g、青色コード2bが重なって配置され、その重なった領域において、赤色コードセルC1と緑色コードセルC2と青色コードセルC3とが重なる各重なり部分がそれぞれ、各重なり部分に配置される3つのセルC1、C2、C3の色を組み合わせた色によって表現されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合情報コード及び光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、情報コードとしてバーコードや二次元コードなどの様々な種類のものが提供されている。この種の情報コードは、様々な場所への配置が想定されるため、配置の自由度を高めるべく省スペース化が望まれており、また、様々な情報を記録することが求められるため、より大容量化を図ることが望まれている。なお、情報コードの大容量化を図ろうとする技術としては例えば特許文献1のようなものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第WO2007/010650パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、コード層を複数積層させた階層化二次元コードが提供されている。この技術では、複数のコード層を積層させて配置し、読み取り時に各コード層を分離できるようにしているため、複数のコード層を同位置に配置しても各コード層の読み取りが可能となり、コード層毎の領域を確保しなくても済む。従って、コード全体をある程度小型化しつつ大容量化をも実現できることとなる。
【0005】
しかしながら、この特許文献1の階層化二次元コードでは、表面層の一部に各コード層毎の色情報を含んだインデックス情報コードが含まれており、このインデックス情報コードの情報に基づいて各コード層の色を判別できるようにしている。従って、表面層においてインデックス情報コードの領域を確保する必要があり、この点で省スペース化が阻害されてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、複数の情報コードが組み合わされてなる複合情報コードにおいて、各情報コードの読み取りを良好に行い得る構成をより簡易に実現することができ、且つより効果的に省スペース化を図りうる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、データの要素を表示する情報表示単位セルを複数配列してなる情報コードを複数組み合わせた複合情報コードであって、前記情報コードとして、光の三原色又は色の三原色のいずれかからなる基準三原色の第1の色によって表わされる前記情報表示単位セルと、前記基準三原色とは異なる所定色によって表わされる前記情報表示単位セルとを配列してなる第1のコードと、前記基準三原色における前記第1の色とは異なる第2の色によって表わされる前記情報表示単位セルと、前記所定色によって表わされる前記情報表示単位セルとを配列してなる第2のコードと、が含まれている。そして、前記第1のコードと前記第2のコードとが少なくとも部分的に重なって配置され、その重なった領域において、前記第1のコードを構成する各情報表示単位セルと、前記第2のコードを構成する各情報表示単位セルとが重なる各重なり部分がそれぞれ、前記各重なり部分に配置される両方の前記情報表示単位セルの両色を組み合わせた色によって表現されることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、データの要素を表示する情報表示単位セルを複数配列してなる情報コードを複数組み合わせた複合情報コードであって、前記情報コードとして、光の三原色又は色の三原色のいずれかからなる基準三原色の第1の色によって表わされる前記情報表示単位セルと、前記基準三原色とは異なる所定色によって表わされる前記情報表示単位セルとを配列してなる第1のコードと、前記基準三原色における前記第1の色とは異なる第2の色によって表わされる前記情報表示単位セルと、前記所定色によって表わされる前記情報表示単位セルとを配列してなる第2のコードと、前記基準三原色における前記第1の色及び前記第2の色とは異なる第3の色によって表わされる前記情報表示単位セルと、前記所定色によって表わされる前記情報表示単位セルとを配列してなる第3のコードと、が含まれている。
そして、前記第1のコードと前記第2のコードと前記第3のコードとが少なくとも部分的に重なって配置され、それら前記第1のコード、前記第2のコード、及び前記第3のコードが重なった領域において、前記第1のコードを構成する各情報表示単位セルと、前記第2のコードを構成する各情報表示単位セルと、前記第3のコードを構成する各情報表示単位セルとが重なる各重なり部分がそれぞれ、前記各重なり部分に配置される3つの前記情報表示単位セルの各色を組み合わせた色によって表現されることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、データの要素を表示する情報表示単位セルを複数配列してなる情報コードを複数組み合わせた複合情報コードであって、前記情報コードとして、光の三原色又は色の三原色のいずれかからなる基準三原色の第1の色によって表わされる前記情報表示単位セルと、前記基準三原色とは異なる所定色によって表わされる前記情報表示単位セルとを配列してなる第1のコードと、前記基準三原色における前記第1の色とは異なる第2の色、前記基準三原色における前記第1の色及び前記第2の色とは異なる第3の色、前記第2の色と前記第3の色との組み合わせによって表現される色、及び前記所定色のいずれかによって表わされる前記情報表示単位セルを配列してなる第2のコードと、が含まれている。
そして、前記第1のコードと前記第2のコードとが少なくとも部分的に重なって配置され、その重なった領域において、前記第1のコードを構成する各情報表示単位セルと、前記第2のコードを構成する各情報表示単位セルとが重なる各重なり部分がそれぞれ、前記各重なり部分に配置される両方の前記情報表示単位セルの両色を組み合わせた色によって表現されることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項3に記載の複合情報コードにおいて、前記第1のコードと前記第2のコードとが重なる部分において、前記第1のコードにおける前記情報表示単位セルの配列と、前記第2のコードにおける前記情報表示単位セルの配列とが同じ配列で構成され、前記第1のコードの各情報表示単位セルと前記第2のコードの各情報表示単位セルとが同じ位置に配置されて互いに重なり合っていることを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2に記載の複合情報コードにおいて、前記第1のコードと前記第2のコードと前記第3のコードとが重なる部分において、前記第1のコードにおける前記情報表示単位セルの配列と、前記第2のコードにおける前記情報表示単位セルの配列と、前記第3のコードにおける前記情報表示単位セルの配列とが同じ配列で構成され、前記第1のコードの各情報表示単位セルと前記第2のコードの各情報表示単位セルと前記第3のコードの各情報表示単位セルとが同じ位置に配置されて互いに重なり合っていることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1又は請求項3に記載の複合情報コードにおいて、前記第1のコードにおける前記情報表示単位セルの配列と、前記第2のコードにおける前記情報表示単位セルの配列とが互いに異なっていることを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明は、請求項2に記載の複合情報コードにおいて、前記第1のコードにおける前記情報表示単位セルの配列と、前記第2のコードにおける前記情報表示単位セルの配列と、前記第3のコードにおける前記情報表示単位セルの配列とが互いに異なっていることを特徴としている。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の前記複合情報コードであって且つ前記光の三原色を前記基準三原色とする前記複合情報コードを読取可能な光学的情報読取装置において、R成分撮像素子、G成分撮像素子、B成分撮像素子を複数配列してなる撮像手段と、前記撮像手段によって撮像される前記複合情報コードの画像を、R成分撮像素子、G成分撮像素子、B成分撮像素子のいずれかの種類の素子によって撮像された第1成分画像と、前記いずれかの種類とは異なる一種又は二種の素子によって撮像された第2成分画像とに分離する分離手段と、前記分離手段によって分離された前記第1成分画像に基づいて前記第1のコードのデコードを行い、前記分離手段によって分離された前記第2成分画像に基づいて前記第2のコードのデコードを行うデコード手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、異なる2つのコードを部分的に重ねて配置することができるため、コード全体の情報量を増大させつつ効果的に省スペース化を図ることができる。
また、第1のコードを構成する各情報表示単位セルと、第2のコードを構成する各情報表示単位セルとが重なる各重なり部分については、これら各重なり部分の色に基づいて、基礎となる第1の色、第2の色、及び所定色がどのように含まれているかを把握することができるため、各重なり部分の色を、第1のコードとしての色、第2のコードとしての色にそれぞれ分けることができる。従って、各コードの抽出及び読み取りを複雑なアルゴリズムを用いることなく容易に且つ正確に行うことができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、異なる3つのコードを部分的に重ねて配置することができるため、コード全体の情報量を増大させつつ効果的に省スペース化を図ることができる。
また、第1のコードを構成する各情報表示単位セルと、第2のコードを構成する各情報表示単位セルと、第3のコードを構成する各情報単位セルとが重なる各重なり部分については、これら各重なり部分の色に基づいて、基礎となる第1の色、第2の色、第3の色、及び所定色がどのように含まれているかを把握することができるため、各重なり部分の色を、第1のコードとしての色、第2のコードとしての色、第3のコードとしての色にそれぞれ分けることができる。従って、各コードの抽出及び読み取りを複雑なアルゴリズムを用いることなく容易に且つ正確に行うことができる。
【0017】
請求項3の発明は、異なる2つのコードを部分的に重ねて配置することができるため、コード全体の情報量を増大させつつ効果的に省スペース化を図ることができる。
また、第1のコードを構成する各情報表示単位セルと、第2のコードを構成する各情報表示単位セルとが重なる各重なり部分については、これら各重なり部分の色に基づいて、基礎となる第1の色、第2の色、第3の色、及び所定色がどのように含まれているかを把握することができるため、各重なり部分の色を、第1のコードとしての色、第2のコードとしての色にそれぞれ分けることができる。従って、各コードの抽出及び読み取りを複雑なアルゴリズムを用いることなく容易に且つ正確に行うことができる。
【0018】
請求項4の発明は、第1のコードと第2のコードとが重なる部分において、第1のコードにおける情報表示単位セルの配列と、第2のコードにおける情報表示単位セルの配列とが同じ配列で構成され、第1のコードの各情報表示単位セルと第2のコードの各情報表示単位セルとが同じ位置に配置されて互いに重なり合っている。このようにすると、第1のコードを構成する各情報表示単位セルと第2コードを構成する各情報表示単位セルとが合わせられるため、各重なり部分のサイズをセル単位として大きく確保することができ、各重なり部分の領域及び色をより正確に認識し易くなる。
【0019】
請求項5の発明は、第1のコードと第2のコードと第3のコードとが重なる部分において、第1のコードにおける情報表示単位セルの配列と、第2のコードにおける情報表示単位セルの配列と、第3のコードにおける情報表示単位セルの配列とが同じ配列で構成され、第1のコードの各情報表示単位セルと第2のコードの各情報表示単位セルと第3のコードの各情報表示単位セルとが同じ位置に配置されて互いに重なり合っている。このようにすると、第1のコードを構成する各情報表示単位セルと第2コードを構成する各情報表示単位セルと第3コードを構成する各情報表示単位セルとが位置的に合わせられるため、各重なり部分のサイズをセル単位として大きく確保することができ、各重なり部分の領域及び色をより正確に認識し易くなる。
【0020】
請求項6の発明は、第1のコードにおける情報表示単位セルの配列と、第2のコードにおける情報表示単位セルの配列とが互いに異なっている。このように配列の異なる2種類のコードを重ね合わせた構成とすると、2種類のコードを狭い領域にコンパクトに表示する場合により有利となる。
【0021】
請求項7の発明は、第1のコードにおける情報表示単位セルの配列と、第2のコードにおける情報表示単位セルの配列と、第3のコードにおける情報表示単位セルの配列とが互いに異なっている。このように配列の異なる3種類のコードを重ね合わせた構成とすると、多種のコードを狭い領域にコンパクトに表示したい場合により有利となる。
【0022】
請求項8に係る光学的情報読取装置では、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の複合情報コードであって且つ光の三原色を基準三原色とするものを読取対象としている。そして、R成分撮像素子、G成分撮像素子、B成分撮像素子を複数配列してなる撮像手段を備えており、更に、その撮像手段によって撮像される複合情報コードの画像を、R成分撮像素子、G成分撮像素子、B成分撮像素子のいずれかの種類の素子によって撮像された第1成分画像と、そのいずれかの種類とは異なる一種又は二種の素子によって撮像された第2成分画像とに分離する分離手段が設けられている。そして、この分離手段によって分離された第1成分画像に基づいて第1のコードのデコードを行い、分離手段によって分離された第2成分画像に基づいて第2のコードのデコードを行っている。このようにすると、光の三原色を基準三原色として請求項1〜7のように構成される上記複合情報コードの画像データにおいて、各コードを表現する1色又は2色の色成分を迅速に抽出することができ、複雑な演算処理や複雑な解析処理を行うことなく各コード毎に迅速に分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、第1実施形態に係る複合情報コードを概念的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1の複合情報コードに含まれる赤色コードを概念的に説明する説明図である。
【図3】図3は、図1の複合情報コードに含まれる緑色コードを概念的に説明する説明図である。
【図4】図4は、図1の複合情報コードに含まれる青色コードを概念的に説明する説明図である。
【図5】図5は、図1の複合情報コードの一部を拡大して説明する説明図である。
【図6】図6(A)は、図5の部分に含まれる赤色コード部分を説明する説明図であり、図6(B)は、図5の部分に含まれる緑色コード部分を説明する説明図であり、図6(C)は、図5の部分に含まれる青色コード部分を説明する説明図である。
【図7】図7は、重ね合わされる各コードのセル色とそれらセル色を重ねて表現される領域色との関係を説明する説明図である。
【図8】図8は、図1の複合情報コードを読み取る光学的情報読取装置の電気的構成を例示するブロック図である。
【図9】図9は、図8の光学的情報読取装置で行われる読取処理を例示するフローチャートである。
【図10】図10は、第2実施形態に係る複合情報コードを概念的に説明する説明図である。
【図11】図11は、第3実施形態に係る複合情報コードを概念的に説明する説明図である。
【図12】図12は、図11の複合情報コードに含まれる第2のコードを概念的に説明する説明図である。
【図13】図13は、図11の複合情報コードの一部を拡大した拡大図である。
【図14】図14は、第4実施形態に係る複合情報コードを部分的に示す説明図である。
【図15】図15(A)は、図14の複合情報コードに含まれる第1コードを部分的に示す説明図であり、図15(B)は、図14の複合情報コードに含まれる第2コードを部分的に示す説明図である。
【図16】図16は、他の実施形態の複合情報コードを部分的に説明する説明図である。
【図17】図17は、図16の複合情報コードに含まれる赤色コード、緑色コード、青色コードを部分的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る複合情報コード及び光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(複合情報コードの構成)
まず、第1実施形態に係る複合情報コード1の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る複合情報コードを概念的に説明する説明図である。図2は、図1の複合情報コードに含まれる赤色コードを概念的に説明する説明図である。図3は、図1の複合情報コードに含まれる緑色コードを概念的に説明する説明図である。図4は、図1の複合情報コードに含まれる青色コードを概念的に説明する説明図である。図5は、図1の複合情報コードの一部を拡大して説明する説明図である。図6(A)は、図5の部分に含まれる赤色コード部分を説明する説明図であり、図6(B)は、図5の部分に含まれる緑色コード部分を説明する説明図であり、図6(C)は、図5の部分に含まれる青色コード部分を説明する説明図である。図7は、図1の複合情報コードで重ね合わされる各コードのセル色とそれらセル色を重ねて表現される領域色との関係を説明する説明図である。
【0025】
図1に示す複合情報コード1は、図2〜図4に示す3つの情報コード2(赤色コード2r、緑色コード2g、青色コード2b)を組み合わせてなるものである。各情報コード2(赤色コード2r、緑色コード2g、青色コード2b)はいずれも、データの要素を表示する情報表示単位セル(以下単にセルともいう)を複数配列してなるものであり、いずれの情報コード2も、複数のセルがマトリックス状に配列された構成をなしている。
【0026】
図2に示す赤色コード2rは、二次元コード(具体的にはQRコード(登録商標))として構成されており、外形が正方形状に構成されたセル(赤色コードセルC1)が集合してマトリックス状に配置されたセル集合体として構成されている。図2の例では、セル数が縦横同数(25セル×25セル)となる配列で構成されており、赤色コード2rを構成するコード領域(赤色コードセルC1が配置される領域)は、外形が矩形状の矩形領域(より具体的には外形が正方形状の正方形領域)とされている。なお、図2では、一部のセルのみについて符号C1、Cr、Ckを付しており、他のセルの符号は省略している。
【0027】
赤色コード2rは、「第1のコード」の一例に相当するものであり、光の三原色(光の三原色は基準三原色の一例に相当する)の第1の色である赤色によって表わされる情報表示単位セル(赤色セルCr)と、この基準三原色とは異なる所定色に相当する黒色によって表わされる情報表示単位セル(黒色セルCk1)とをマトリックス状に配列した構成をなしている。赤色セルCrは、明色セルに相当し、データ領域では赤色セルがデータとして「0」を表わしており、黒色セルCk1は、暗色セルに相当し、データ領域ではデータとして「1」を表している。これら赤色コードセルC1(赤色セルCr、黒色セルCk1)によってQRコード(登録商標)の規格で定められた公知の方法でデータコードブロック、誤り訂正コードブロック、特定パターン(位置検出パターンFP1〜FP3等)などが表現され、赤色コード2rが構成されている。
【0028】
図3に示す緑色コード2gは、二次元コード(具体的には、特開2009−259192公報に示されるような情報コード)として構成されており、外形が正方形状に構成されたセル(緑色コードセルC2)が集合してマトリックス状に配置されたセル集合体として構成されている。図3の例では、セル数が縦横同数(25セル×25セル)となる配列で構成されており、緑色コード2gを構成するコード領域(セルCが配置される領域)は、外形が矩形状の矩形領域(より具体的には外形が正方形状の正方形領域)とされている。なお、図3では、一部のセルのみについて符号C2、Cg、Ckを付しており、他のセルの符号は省略している。
【0029】
緑色コード2gは、「第2のコード」の一例に相当するものであり、光の三原色(光の三原色は基準三原色の一例に相当する)の第2の色である緑色によって表わされる情報表示単位セル(緑色セルCg)と、この基準三原色とは異なる所定色に相当する黒色によって表わされる情報表示単位セル(黒色セルCk2)とをマトリックス状に配列した構成をなしている。緑色セルCgは、明色セルに相当し、データ領域ではデータとして「0」を表わしており、黒色セルCk2は、暗色セルに相当し、データ領域ではデータとして「1」を表している。これら緑色コードセルC2(緑色セルCg、黒色セルCk2)によって特開2009−259192公報で定められた公知の方法でデータコードブロック、誤り訂正コードブロック、特定パターン(角部のパターンFQ1〜FQ4や辺部の交互パターンFQ5、FQ6等)などが表現され、緑色コード2gが構成されている。
【0030】
図4に示す青色コード2bは、二次元コード(具体的には公知のデータマトリックスコード)として構成されており、外形が正方形状に構成されたセル(青色コードセルC3)が集合してマトリックス状に配置されたセル集合体として構成されている。図4の例では、セル数が縦横同数(24セル×24セル)となる配列で構成されており、青色コード2bを構成するコード領域(セルCが配置される領域)は、外形が矩形状の矩形領域(より具体的には外形が正方形状の正方形領域)とされている。なお、図4では、一部のセルのみについて符号C3、Cb、Ck3を付しており、他のセルの符号は省略している。
【0031】
青色コード2bは、「第3のコード」の一例に相当するものであり、光の三原色(光の三原色は基準三原色の一例に相当する)の第3の色である青色によって表わされる情報表示単位セル(青色セルCb)と、この基準三原色とは異なる所定色に相当する黒色によって表わされる情報表示単位セル(黒色セルCk3)とをマトリックス状に配列した構成をなしている。青色セルCbは、明色セルに相当し、データ領域ではデータとして「0」を表わしており、黒色セルCkは、暗色セルに相当し、データ領域ではデータとして「1」を表している。これら青色コードセルC3(青色セルCb、黒色セルCk3)によって公知の方法でL字状のアライメントパターンFR1、その対辺にある明暗交互のアライメントパターンFR2、データエリアなどが表現され、青色コード2bが構成されている。
【0032】
図1に示す複合情報コード1は、上記のように構成される赤色コード2r(第1のコード)、緑色コード2g(第2のコード)、青色コード2b(第3のコード)が少なくとも部分的に重なって配置されている。そして、これら3つのコード(赤色コード2r、緑色コード2g、青色コード2b)が重なる領域において、赤色コード2rにおける赤色コードセルC1の配列と、緑色コード2gにおける緑色コードセルC2の配列と、青色コード2bにおける青色コードセルC3の配列とが同じ配列で構成されている。
【0033】
図1の例では、赤色コード2rと緑色コード2gとがほぼ同じ大きさで重なっており、赤色コード2rの各赤色コードセルC1に対応して緑色コード2gの各緑色コードセルC2が配置されている。具体的には、赤色コード2rの各赤色コードセルC1と緑色コード2gの各緑色コードセルC2とがほぼ同サイズ及び同形状で構成され同位置に重なっている。また、青色コード2bは、赤色コード2rと緑色コード2gの配置領域内に含まれており、青色コード2bの各青色コードセルC3も赤色コード2rの各赤色コードセルC1に対応した位置に配置されている。つまり赤色コード2rの各赤色コードセルC1の位置に、緑色コード2gの各緑色コードセルC2と青色コード2bの各青色コードセルC3とがそれぞれ配置されており、同じセル位置に3つのコードの3つのセルがほぼ同サイズ、同形状で重なって配置されるようになっている。
【0034】
上記のように3つの情報コードがセル位置を合わせた状態で重なっているため、複合情報コード1は、全体として各情報コードと同様の配列でマトリックス状に配置されている。そして、3つの情報コードの各セルが重なる各セル位置は、各セル位置に含まれる要素を反映した色で構成されている。即ち、赤色コードセルC1と、緑色コードセルC2と、青色コードセルC3とが重なる各重なり部分がそれぞれ、各重なり部分に配置される3つの情報表示単位セル(即ち赤色コードセルC1,緑色コードセルC2、青色コードセルC3)の各色を組み合わせた色によって表現されている。
【0035】
具体的には、図7に示すように、赤色コードセルC1、緑色コードセルC2、青色コードセルC3のそれぞれの組み合わせが、「黒」「黒」「黒」である領域は黒色領域、「赤」「黒」「黒」である領域は赤色領域、「黒」「緑」「黒」である領域は緑色領域、「赤」「緑」「黒」である領域は黄色領域、「黒」「黒」「青」である領域は青色領域、「赤」「黒」「青」である領域はマゼンタ色領域、「黒」「緑」「青」である領域はシアン色領域、「赤」「緑」「青」である領域は白色領域となっている。
【0036】
上記複合情報コード1では、あるセル位置(ある色領域)に含まれる赤色コードセルC1、緑色コードセルC2、青色コードセルC3の各色が全て黒色の場合には当該セル位置の領域色は黒色となる。例えば、図5の1行目第1列のセル領域のように、赤色コードの当該位置(1行目第1列)の赤色コードセルC1が黒色であり(図6(A)参照)、緑色コードの当該位置(1行目第1列)の緑色コードセルC2が黒色であり(図6(B)参照)、青色コードの当該位置(1行目第1列)の青色コードセルC3が黒色である場合(図6(C)参照)には、これらが重なる領域は黒色領域Akとなる。
【0037】
また、図5の6行目第5列のセル領域のように、赤色コードの当該位置(6行目第5列)の赤色コードセルC1が赤色であり(図6(A)参照)、緑色コードの当該位置(6行目第5列)の緑色コードセルC2が黒色であり(図6(B)参照)、青色コードの当該位置(6行目第5列)の青色コードセルC3が黒色である場合(図6(C)参照)には、これらが重なる領域は赤色領域Arとなる(図7も参照)。また、図5の6行目第1列のセル領域のように、赤色コードの当該位置(6行目第1列)の赤色コードセルC1が黒色であり(図6(A)参照)、緑色コードの当該位置(6行目第1列)の緑色コードセルC2が緑色であり(図6(B)参照)、青色コードの当該位置(6行目第1列)の青色コードセルC3が黒色である場合(図6(C)参照)には、これらが重なる領域は緑色領域Agとなる(図7も参照)。
【0038】
同様に、図5の2行目第2列のセル領域のように、赤色コードの当該位置(2行目第2列)の赤色コードセルC1が赤色であり(図6(A)参照)、緑色コードの当該位置(2行目第2列)の緑色コードセルC2が緑色であり(図6(B)参照)、青色コードの当該位置(2行目第2列)の青色コードセルC3が黒色である場合(図6(C)参照)には、これらが重なる領域は黄色領域Ayとなる(図7も参照)。また、図5の1行目第2列のセル領域のように、赤色コードの当該位置(1行目第2列)の赤色コードセルC1が黒色であり(図6(A)参照)、緑色コードの当該位置(1行目第2列)の緑色コードセルC2が黒色であり(図6(B)参照)、青色コードの当該位置(1行目第2列)の青色コードセルC3が青色である場合(図6(C)参照)には、これらが重なる領域は青色領域Abとなる(図7も参照)。
【0039】
同様に、図5の6行目第2列のセル領域のように、赤色コードの当該位置(6行目第2列)の赤色コードセルC1が赤色であり(図6(A)参照)、緑色コードの当該位置(6行目第2列)の緑色コードセルC2が黒色であり(図6(B)参照)、青色コードの当該位置(6行目第2列)の青色コードセルC3が青色である場合(図6(C)参照)には、これらが重なる領域はマゼンタ色領域Amとなる(図7も参照)。また、図5の7行目第2列のセル領域のように、赤色コードの当該位置(7行目第2列)の赤色コードセルC1が黒色であり(図6(A)参照)、緑色コードの当該位置(7行目第2列)の緑色コードセルC2が緑色であり(図6(B)参照)、青色コードの当該位置(7行目第2列)の青色コードセルC3が青色である場合(図6(C)参照)には、これらが重なる領域はシアン色領域Acとなる(図7も参照)。また、図5の2行目第3列のセル領域のように、赤色コードの当該位置(2行目第3列)の赤色コードセルC1が赤色であり(図6(A)参照)、緑色コードの当該位置(2行目第3列)の緑色コードセルC2が緑色であり(図6(B)参照)、青色コードの当該位置(2行目第3列)の青色コードセルC3が青色である場合(図6(C)参照)には、これらが重なる領域は白色領域Atとなる(図7も参照)。
【0040】
(光学的情報読取装置の構成)
次に、上記複合情報コード1を読み取る光学的情報読取装置について説明する。図8は、図1の複合情報コードを読み取る光学的情報読取装置の電気的構成を例示するブロック図である。図9は、図8の光学的情報読取装置で行われる読取処理を例示するフローチャートである。
【0041】
図8に示す光学的情報読取装置20は、主に、照明光源21、受光センサ23、フィルタ25、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系と、から構成されている。
【0042】
光学系は、照明光源21、受光センサ23、フィルタ25、結像レンズ27等から構成されている。照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、LEDとこのLEDの出射側に設けられる拡散レンズ、集光レンズ等とから構成されている。本実施形態では、受光センサ23を挟んだ両側に照明光源21が設けられており、ハウジングの読取口(図示略)を介して読取対象物Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。この読取対象物Rは、例えば、包装容器や包装用紙あるいはラベルといった表示媒体に相当するもので、本実施形態に係る複合情報コード1は、このような読取対象物Rに、カラー印刷等によって形成されている。
【0043】
受光センサ23は、読取対象物Rや複合情報コード1に照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。受光センサ23は、R成分撮像素子、G成分撮像素子、B成分撮像素子が所定の配列(単板式のベイヤ型配列、3板式の配列等)で配置されたカラーイメージセンサとして構成されており、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光面23aで受光可能にプリント配線板(図示略)に実装されている。また、フィルタ25は、反射光Lrの波長相当以下の光の通過を許容し、当該波長相当を超える光の通過を遮断し得る光学的なローパスフィルタで、反射光Lrの波長相当を超える不要な光が受光センサ23に入射することを抑制している。また、結像レンズ27は、外部から読取口を介して入射する入射光を集光して受光センサ23の受光面23aに像を結像可能な結像光学系として機能するもので、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとにより構成されている。
【0044】
次に、マイコン系の構成概要を説明する。マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35と中心に構成されるもので、前述した光学系によって撮像された複合情報コード1の画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該光学的情報読取装置20の全体システムに関する制御も行っている。
【0045】
光学系の受光センサ23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0046】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、後述する読取処理、解析処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0047】
制御回路40は、光学的情報読取装置20全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等が制御回路40に接続されている。なお、通信インタフェース48には、当該光学的情報読取装置20の上位システムに相当するホストコンピュータHST等が接続される。また、電源系は、電源スイッチ41、電池49等によって構成されており、制御回路40による電源スイッチ41のオンオフ制御により、電池49から上述した各装置や各回路に供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。
【0048】
次に、光学的情報読取装置20で行われる読取処理について説明する。本実施形態では、例えば使用者が所定操作(例えば、操作スイッチ42のオン操作)を行うことで、図9に示す読取処理が開始され、複合情報コード1を撮像する撮像処理が行われる(S1)。この撮像処理では、まず制御回路40が同期信号を基準に照明光源21に発光信号を出力し、当該発光信号を受けた照明光源21が、LEDを発光させて照明光Lfを照射する。すると、複合情報コード1に照射された照明光Lfが反射し、その反射光Lrが読取口およびフィルタ25を介して結像レンズ27に入射する。そして、受光センサ23の受光面23aには結像レンズ27によって複合情報コード1の像、つまりコード画像が結像される。これにより、受光センサ23を構成する各受光素子が露光され、それら各受光素子から複合情報コード1の像に応じた受光信号がそれぞれ出力される。これら受光信号は、複合情報コード1の画像データを構成するものであり、この画像データはメモリ35に一時的に記憶される。
【0049】
その後、S1にて取得された画像データにおいてR成分の画像を抽出する処理を行う(S2)。このR成分の画像とは、赤色を成分として含む色(即ち、赤、黄、マゼンタ、白)の領域を明色領域とし、赤色を成分として含まない色(黒、緑、青、シアン)の領域を暗色領域とする画像である。本実施形態に係る複合情報コード1では、図2の赤色コード2rに重ね合わされる緑色コード2g及び青色コード2bに赤色成分を含む色が存在しないため(即ち、複合情報コード1の内部領域において赤色成分の領域は、赤色コード2rの赤色セルCrの領域だけであるため)、図1に示す複合情報コードの画像からR成分(赤色成分)の画像を抽出すると赤色コード2rの赤色セルCrが明色領域として抽出され、これら赤色セルCrの配置領域以外が暗色領域として抽出されることとなり、図2のような赤色コード2rの画像が得られることとなる。なお、複合情報コード1の外部領域が例えば白色によって構成されている場合、この白色には赤色成分も含まれるため、この場合、R成分の画像において赤色コード2rの外側の領域は明色領域として抽出されることとなる。
【0050】
このように赤色コード2rを含んだR成分画像が抽出された後には、このR成分画像に含まれる赤色コード2rをデコードする処理を行う(S3)。上述したように、S2の処理で抽出されるR成分の画像には単一の情報コード(赤色コード2r)が含まれているため、S3ではR成分の画像において赤色コード2rのコード領域を特定し、公知の方法でデコードを行う。
【0051】
その後、S1にて取得された画像データにおいてG成分の画像を抽出する処理を行う(S4)。このG成分の画像とは、緑色を成分として含む色(即ち、緑、黄、シアン、白)の領域を明色領域とし、緑色を成分として含まない色(黒、赤、青、マゼンタ)の領域を暗色領域とする画像である。本実施形態に係る複合情報コード1では、図3の緑色コード2gに重ね合わされる赤色コード2r及び青色コード2bに緑色成分を含む色が存在しないため(即ち、複合情報コード1の内部領域において緑色成分の領域は、緑色コード2gの緑色セルCgの領域だけであるため)、図1に示す複合情報コードの画像からG成分(緑色成分)の画像を抽出すると緑色コード2gの緑色セルCgが明色領域として抽出され、これら緑色セルCgの配置領域以外が暗色領域として抽出されることとなり、図3のような緑色コード2gの画像が得られることとなる。なお、複合情報コード1の外部領域が例えば白色によって構成されている場合、この白色には緑色成分も含まれるため、この場合、G成分の画像において緑色コード2gの外側の領域は明色領域として抽出されることとなる。
【0052】
このように緑色コード2gを含んだG成分画像が抽出された後には、このG成分画像に含まれる緑色コード2gをデコードする処理を行う(S5)。上述したように、S4の処理で抽出されるG成分の画像には単一の情報コード(緑色コード2g)が含まれているため、S5ではG成分の画像において緑色コード2gのコード領域を特定し、公知の方法でデコードを行う。
【0053】
その後、S1にて取得された画像データにおいてB成分の画像を抽出する処理を行う(S6)。このB成分の画像とは、青色を成分として含む色(即ち、青、マゼンタ、シアン、白)の領域を明色領域とし、青色を成分として含まない色(黒、赤、緑、黄)の領域を暗色領域とする画像である。本実施形態に係る複合情報コード1では、図4の青色コード2bに重ね合わされる赤色コード2r及び緑色コード2gに青色成分を含む色が存在しないため(即ち、複合情報コード1の内部領域において青色成分の領域は、青色コード2bの青色セルCbの領域だけであるため)、図1に示す複合情報コードの画像からB成分(青色成分)の画像を抽出すると青色コード2bの青色セルCbが明色領域として抽出され、これら青色セルCbの配置領域以外が暗色領域として抽出されることとなり、図4のような青色コード2bの画像が得られることとなる。なお、複合情報コード1の外部領域が例えば白色によって構成されている場合、この白色には青色成分も含まれるため、この場合、B成分の画像において青色コード2bの外側の領域は明色領域として抽出されることとなる。
【0054】
このように青色コード2bを含んだB成分画像が抽出された後には、このB成分画像に含まれる青色コード2bをデコードする処理を行う(S7)。上述したように、S6の処理で抽出されるB成分の画像には単一の情報コード(青色コード2b)が含まれているため、S7ではB成分の画像において青色コード2bのコード領域を特定し、公知の方法でデコードを行う。なお、本実施形態では制御回路40がデコード手段の一例に相当する。
【0055】
その後、S3、S5、S7で得られたデコード結果を出力する処理を行う(S8)。この出力処理では、例えば液晶表示器46にそれぞれのデコード処理(S3、S5、S7)でのデコード結果を出力してもよく、通信インタフェース48を介して外部装置にデコード結果を出力してもよい。
【0056】
本実施形態では、S2、S4、S6において、R成分画像、G成分画像、B成分画像の抽出を行っているが、このような各色成分の画像の抽出は様々な方法を用いることができる。例えば、受光センサ23を構成するR成分撮像素子、G成分撮像素子、B成分撮像素子の各信号から別々に画像を生成する方法が挙げられる。例えば、R成分撮像素子、G成分撮像素子、B成分撮像素子からの各撮像信号を別々のタイミングで出力し、これらの信号を別々に記憶することでR成分画像、G成分画像、B成分画像を構成するようにしてもよい。或いは、R成分撮像素子、G成分撮像素子、B成分撮像素子からの各撮像信号を出力するラインを別々に設け、各ラインにて個別に得られる撮像信号に基づいてR成分画像、G成分画像、B成分画像を構成するようにしてもよい。若しくは、受光センサ23で取得された画像全体から抽出してもよく、この場合、受光センサ23で取得された画像において、R成分撮像素子に対応する位置の画素のみ抽出してR成分画像を生成し、G成分撮像素子に対応する位置の画素のみ抽出してG成分画像を生成し、成分撮像素子に対応する位置の画素のみ抽出してB成分画像を生成するといった方法などが挙げられる。
なお、本実施形態では、このような画像の分離を制御回路40の制御によって行うことができ、制御回路40が「分離手段」の一例に相当する。
【0057】
(本実施形態の主な効果)
本実施形態の複合情報コード1では、異なる3つの情報コード(赤色コード2r、緑色コード2g、青色コード2b)を部分的に重ねて配置することができるため、コード全体の情報量を増大させつつ効果的に省スペース化を図ることができる。また、赤色コード2r(第1のコード)を構成する各赤色コードセルC1(情報表示単位セル)と、緑色コード2g(第2のコード)を構成する各緑色コードセルC2(情報表示単位セル)と、青色コード2b(第3のコード)を構成する各青色コードセルC3(情報単位セル)とが重なる各重なり部分(各セル位置の色領域)については、これら各重なり部分の色に基づいて、基礎となる赤色(第1の色)、緑色(第2の色)、青色(第3の色)、及び黒色(所定色)がどのように含まれているかを把握することができるため、各重なり部分の色を、赤色コード2rとしての色、緑色コード2gとしての色、青色コード2bとしての色にそれぞれ分けることができる。従って、各コードの抽出及び読み取りを複雑なアルゴリズムを用いることなく容易に且つ正確に行うことができる。
【0058】
また、赤色コード2rと緑色コード2gと青色コード2bとが重なる領域に(図1の例ではほぼコード全体)おいて、赤色コード2rにおける赤色コードセルC1の配列と、緑色コード2gにおける緑色コードセルC2の配列と、青色コード2bにおける青色コードセルC3の配列とが同じ配列で構成され、赤色コード2rの各赤色コードセルC1と緑色コード2gの各緑色コードセルC2と青色コード2bの各青色コードセルC3とが同じ位置に配置されて互いに重なり合っている。このようにすると、各赤色コードセルC1と各緑色コードセルC2との各青色コードセルC3とが位置的に合わせられるため、各重なり部分のサイズをセル単位として大きく確保することができ(即ち、複合情報コード1の各色領域が細分化されにくくなり)、各重なり部分の領域及び色をより正確に認識し易くなる。
【0059】
また、光学的情報読取装置20では、光の三原色を基準三原色とする上記複合情報コード1を読取対象とすると共に、R成分撮像素子、G成分撮像素子、B成分撮像素子を備えてなる撮像手段を備えており、更に、その撮像手段によって撮像される複合情報コードの画像を、R成分撮像素子によって撮像されたR成分画像(第1成分画像)と、G成分撮像素子によって撮像されたG成分画像(第2成分画像)と、B成分撮像素子によって撮像されたB成分画像(第3成分画像)とに分離する分離手段が設けられている。そして、この分離手段によって分離されたR成分画像(第1成分画像)、G成分画像(第2成分画像)、B成分画像(第3成分画像)に基づいて、赤色コード2r、緑色コード2g、青色コード2bのデコードをそれぞれ行っている。このようにすると、光の三原色を基準三原色として構成される上記複合情報コード1の画像データにおいて、当該複合情報コード1に含まれる各情報コードの各色成分を迅速に抽出することができ、複雑な演算処理や複雑な解析処理を行うことなく各コードに迅速に分解することができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態に係る複合情報コードを概念的に説明する説明図である。
本実施形態の複合情報コード200も第1実施形態の複合情報コード1と同様に情報コードを複数組み合わせた構成をなしており、第1実施形態では、赤色コード2r、緑色コード2g、青色コード2bを3つ重ね合わせた複合情報コード1を例示したが、第2実施形態の複合情報コード200では2種類のコード(赤色コード2r及び緑色コード2g)ののみを重ね合わせた構成となっている。即ち、複合情報コード200内に青色成分を含んだ色が存在しない構成となっており、第1実施形態の複合情報コード1において青色コード2bを全て黒色セルCk3によって構成するように変更した場合(或いは青色コード2bを除いた場合)と同様の構成となっている。
【0061】
本実施形態の複合情報コード200を作成する上で重ね合わされる赤色コード2r及び緑色コード2gは、第1実施形態と同様の構成(即ち、図2、図3の構成)となっており、赤色コード2rは、光の三原色の第1の色(赤色)によって表わされる赤色セルCr(情報表示単位セル:図2)と、基準三原色とは異なる所定色(黒色)によって表わされる黒色セルCk1(情報表示単位セル:図2)とをマトリックス状に配列した構成をなしている。また、緑色コード2gは、光の三原色の第2の色(緑色)によって表わされる緑色セルCg(情報表示単位セル:図3)と、所定色(黒色)によって表わされる黒色セルCk2(情報表示単位セル:図3)とをマトリックス状に配列した構成をなしている。
【0062】
この複合情報コード200では、赤色コード2rと緑色コード2gとが全体的に重なって配置され、その重なった領域において、赤色コード2rを構成する各赤色コードセルC1(情報表示単位セル:図2)と、緑色コード2gを構成する各緑色コードセルC2(情報表示単位セル:図3)とが重なる各重なり部分がそれぞれ、各重なり部分に配置される両方の情報表示単位セルの両色を組み合わせた色によって表現されている。より具体的には、赤色コード2rと緑色コード2gとが重なる部分において、赤色コード2rにおける赤色コードセルC1の配列と、緑色コード2gにおける緑色コードセルC2の配列とが同じ配列(25行25列の配列)で構成され、各赤色コードセルC1と各緑色コードセルC2とが同じ位置に配置されて互いに重なり合っている。
【0063】
複合情報コード200では、赤色コードセルC1と緑色コードセルC2との組み合わせが、「黒」「黒」である領域は黒色領域、「赤」「黒」である領域は赤色領域、「黒」「緑」である領域は緑色領域、「赤」「緑」である領域は黄色領域となっている。例えば、図10の1行目第1列のセル領域のように、赤色コード2rの当該位置(1行目第1列)の赤色コードセルC1が黒色であり(図6(A)参照)、緑色コード2gの当該位置(1行目第1列)の緑色コードセルC2が黒色である場合(図6(B)参照)には、これらが重なる領域(1行目第1列)は黒色領域Akとなる。図10の6行目第5列のセル領域のように、赤色コード2rの当該位置(6行目第5列)の赤色コードセルC1が赤色であり(図6(A)参照)、緑色コード2gの当該位置(6行目第5列)の緑色コードセルC2が黒色である場合(図6(B)参照)には、これらが重なる領域(6行目第5列)は赤色領域Arとなる。また、図10の6行目第1列のセル領域のように、赤色コード3rの当該位置(6行目第1列)の赤色コードセルC1が黒色であり(図6(A)参照)、緑色コード2gの当該位置(6行目第1列)の緑色コードセルC2が緑色である場合(図6(B)参照)には、これらが重なる領域(6行目第1列)は緑色領域Agとなる。更に、図10の2行目第2列のセル領域のように、赤色コード2rの当該位置(2行目第2列)の赤色コードセルC1が赤色であり(図6(A)参照)、緑色コード2gの当該位置(2行目第2列)の緑色コードセルC2が緑色である場合(図6(B)参照)には、これらが重なる領域(2行目第2列)は黄色領域Ayとなる。
【0064】
(第2実施形態の主な効果)
本実施形態の複合情報コード200によれば、異なる2つのコードを部分的に重ねて配置することができるため、コード全体の情報量を増大させつつ効果的に省スペース化を図ることができる。また、赤色コード2r(第1のコード)を構成する各赤色コードセルC1(情報表示単位セル)と、緑色コード2g(第2のコード)を構成する各緑色コードセルC2(情報表示単位セル)とが重なる各重なり部分については、これら各重なり部分の色に基づいて、基礎となる第1の色(赤色)、第2の色(緑色)、及び所定色(黒色)がどのように含まれているかを把握することができるため、各重なり部分の色を、赤色コード2rとしての色、緑色コード2gとしての色にそれぞれ分けることができる。従って、各コードの抽出及び読み取りを複雑なアルゴリズムを用いることなく容易に且つ正確に行うことができる。
【0065】
また、赤色コード2rと緑色コード2gとが重なる部分において、赤色コードセルC1の配列と、緑色コードセルC2の配列とが同じ配列で構成され、各赤色コードセルC1と各緑色コードセルC2とが同じ位置に配置されて互いに重なり合っている。このようにすると、赤色コード2rを構成する各赤色コードセルC1と緑色コード2gを構成する各緑色コードセルC2とが合わせられるため、各重なり部分のサイズをセル単位として大きく確保することができ、各重なり部分の領域及び色をより正確に認識し易くなる。
【0066】
なお、本実施形態に係る複合情報コード200も第1実施形態で示した光学的情報読取装置20によって第1実施形態と同様に読み取ることができ、本実施形態の複合情報コードを読み取る場合、青色コードが存在していないため、S7の処理(図9)は省略されることになる。
【0067】
また、上記説明では、図2の赤色コード2rと図3の緑色コード2gとを組み合わせた例を示したが、組み合わせはこれに限られず、図2の赤色コード2rと図4青色コード2bとを組み合わせてもよく、図3の緑色コード2gと図4青色コード2bとを組み合わせてもよい。また、組み合わせ方も上記構成に限られるものではなく、例えば、コード同士が重なる領域において互いのセル配列を合わせないようにしてもよい。
【0068】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。
図11は、第3実施形態に係る複合情報コードを概念的に説明する説明図である。また、図12は、図11の複合情報コードに含まれる第2のコードを概念的に説明する説明図であり、図13は、図11の複合情報コードの一部を拡大した拡大図である。
【0069】
図11の複合情報コード300は、種類の異なる2つのコードを互いに異なる配列で重ね合わせてなるものである。この複合情報コード300は、図2に示す赤色コード2rと図12に示すバーコード302とを重ね合わせてなるものであり、赤色コード2r(第1のコード)は、上記実施形態と同様、光の三原色(基準三原色)の第1の色(赤色)によって表わされる赤色セルCr(情報表示単位セル)と、基準三原色とは異なる所定色(黒色)によって表わされる黒色セルCk1(情報表示単位セル)とを配列した構成をなしている。
【0070】
バーコード302は、第2のコードに相当するものであり、図12に示すように、光の三原色(基準三原色)の第2の色(青色)によって表わされる青色バーB1(情報表示単位セル)と、上記所定色(黒色)によって表わされる黒色スペースB2(情報表示単位セル)とを配列した構成をなしている。
【0071】
図11、図13に示すように、複合情報コード300は、赤色コード2rとバーコード302とが部分的に重なって配置され(より詳しくは、赤色コード2rの領域内にバーコード302の全体が含まれるように配置され)、その重なった領域において、赤色コード2rを構成する各情報表示単位セル(赤色コードセルC1;図2)と、バーコード302を構成する各情報表示単位セル(青色バーB1及び黒色スペースB2)とが重なる各重なり部分がそれぞれ、各重なり部分に配置される両方の情報表示単位セルの両色を組み合わせた色によって表現されている。
【0072】
本実施形態では、赤色コードCrにおける情報表示単位セルの配列(即ち赤色コードセルC1の配列)と、バーコード302における情報表示単位セルの配列(即ち、青色バーB1及び黒色スペースB2の配列)とが互いに異なっている。そして、青色バーB1については、赤色コード2rの赤色セルCrと重なる部分と、黒色セルCk1と重なる部分とを有しており、青色バーB1と赤色セルCrとが重なる部分については、赤色セルCrの色(即ち赤色)と青色バーB1の色(即ち青色)との組み合わせによって構成されるマゼンタ色の領域(マゼンタ色領域Am)として構成されている。また、青色バーB1と黒色セルCk1とが重なる部分については、黒色セルCk1の色(即ち黒色)と青色バーB1の色(即ち青色)との組み合わせによって構成される青色の領域(青色領域Ab)として構成されている。なお、図13では、一部のマゼンタ色領域について符号Amを付し、一部の青色領域については符号Abを付している。
【0073】
また、黒色スペースB2についても、赤色コード2rの赤色セルCrと重なる部分と、黒色セルCk1と重なる部分とを有しており、黒色スペースB2と赤色セルCrとが重なる部分については、赤色セルCrの色(即ち赤色)と黒色スペースB2の色(即ち黒色)との組み合わせによって構成される赤色の領域(赤色領域Ar)として構成されている。また、黒色スペースB2と黒色セルCk1とが重なる部分については、黒色セルCk1の色(即ち黒色)と黒色スペースB2の色(即ち黒色)との組み合わせによって構成される黒色の領域(黒色領域Ak)として構成されている。なお、図13では、一部の赤色領域について符号Arを付し、一部の黒色領域については符号Akを付している。
【0074】
本実施形態のように、配列の異なる2種類のコードを重ね合わせた構成とすると、2種類のコードを狭い領域にコンパクトに表示する場合により有利となる。また、本実施形態の複合情報コード300も、第1実施形態で示した光学的情報読取装置20によって第1実施形態と同様の方法で読み取ることができ、本実施形態の複合情報コード300では、緑色の成分が含まれていないため、S5(図9)の処理が省略されることとなる。
【0075】
[第4実施形態]
次に第4実施形態について説明する。
図14は、第4実施形態に係る複合情報コードを部分的に示す説明図である。図15(A)は、図14の複合情報コードに含まれる第1コードを部分的に示す説明図であり、図15(B)は、図14の複合情報コードに含まれる第2コードを部分的に示す説明図である。
【0076】
本実施形態の複合情報コード400も、2つの情報コード402a、402bを組み合わせた構成をなしており、いずれの情報コード402a、402bも、データの要素を表示する情報表示単位セルを複数配列した構成をなしている。
【0077】
一方の情報コード402aは、第1コードに相当するものであり、例えば二次元コードとして構成されている。この情報コード402aは、図15(A)にて部分的に示すように、光の三原色の第1の色(青色)によって表わされる青色セルCb4、及び基準三原色とは異なる所定色(黒色)によって表わされる黒色セルCk4のいずれかからなる情報表示単位セルC4を含んでおり、これら情報表示単位セルC4が例えばマトリックス状に配列された構成をなしている。
【0078】
他方の情報コード402bは、例えば二次元コードとして構成されるものであり、図15(B)にて部分的に示すように、基準三原色の第2の色(赤色)によって表わされる赤色セルCr5、基準三原色の第3の色(緑色)によって表わされる緑色セルCg5、第2の色(赤色)と第3の色(緑色)との組み合わせによって表現される色(黄色)によって表わされる黄色セルCy5、所定色(黒色)によって表わされる黒色セルCk5のいずれかからなる情報表示単位セルC5を含んでおり、これら情報表示単位セルC5が例えばマトリックス状に配列された構成をなしている。
【0079】
そして、図14のように情報コード402aと情報コード402bとが少なくとも部分的に重なって配置され、その重なった領域において、情報コード402aを構成する各情報表示単位セルC4と、情報コード402bを構成する各情報表示単位セルC5とが重なる各重なり部分がそれぞれ、各重なり部分に配置される両方の情報表示単位セルC4、C5の両色を組み合わせた色によって表現されている。例えば、情報コード402bの黄色セルCy5は、情報コード402aの青色セルCb4又は黒色セルCk4と重なるようになっており、黄色セルCy5と青色セルCb4とが重なる領域については白色領域Atとして構成されている。また、黄色セルCy5と黒色セルCk4とが重なる領域については黄色領域Ayとして構成されている。同様に、情報コード402bの赤色セルCr5は、情報コード402aの青色セルCb4又は黒色セルCk4と重なるようになっており、赤色セルCr5と青色セルCb4とが重なる領域についてはマゼンタ色領域Amとして構成されている。また、赤色セルCr5と黒色セルCk4とが重なる領域については赤色領域Arとして構成されている。更に、情報コード402bの緑色セルCg5も、情報コード402aの青色セルCb4又は黒色セルCk4と重なるようになっており、緑色セルCg5と青色セルCb4とが重なる領域についてはシアン色領域Acとして構成されている。また、緑色セルCg5と黒色セルCk4とが重なる領域については緑色領域Agとして構成されている。更には、情報コード402bの黒色セルCk5も、情報コード402aの青色セルCb4又は黒色セルCk4と重なるようになっており、黒色セルCk5と青色セルCb4とが重なる領域については青色領域Abとして構成されている。また、黒色セルCk5と黒色セルCk4とが重なる領域については黒色領域Akとして構成されている。
【0080】
本実施形態によれば、異なる2つのコードを部分的に重ねて配置することができるため、コード全体の情報量を増大させつつ効果的に省スペース化を図ることができる。また、第1のコードを構成する各情報表示単位セルと、第2のコードを構成する各情報表示単位セルとが重なる各重なり部分については、これら各重なり部分の色に基づいて、基礎となる第1の色、第2の色、第3の色、及び所定色がどのように含まれているかを把握することができるため、各重なり部分の色を、第1のコードとしての色、第2のコードとしての色にそれぞれ分けることができる。従って、各コードの抽出及び読み取りを複雑なアルゴリズムを用いることなく容易に且つ正確に行うことができる。なお、本実施形態の複合情報コード400は、第1実施形態と同様に読み取ることができ、B成分画像の抽出と、RG成分画像の抽出を別々に行うようにすればよい。
【0081】
また、本実施形態では情報コード402a及び情報コード402bについて部分的に示したが、情報コード402aについては、QRコード(登録商標)、データマトリックスコード、マキシコードなど様々なコードとして構成できる。また、情報コード402bについては、4種類のセルによって表現可能な公知の様々なカラーコードとして構成できる。
【0082】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0083】
上記実施形態では、基準三原色として光の三原色を用いたが、基準三原色として色の三原色(黄、マゼンタ、シアン)を用いてもよい。この場合、例えば、「所定色」を白色とすればよく、例えば、第1実施形態の複合情報コードの例では、赤色コード2rについては黄色セルと白色セルとからなる情報コード(黄色コード)に変更し、緑色コード2gについては、マゼンタ色セルと白色セルとからなる情報コード(マゼンタ色コード)に変更し、青色コード2bについては、シアン色セルと白色セルとからなる情報コード(シアン色コード)に変更し、これら情報コードを、第1実施形態と同様の方法で重ね合わせるようにすればよい。この場合、黄色コードのセル、マゼンタ色コードのセル、シアン色コードのセルのそれぞれの組み合わせが、「白」「白」「白」である領域は白色領域、「黄」「白」「白」である領域は黄色領域、「白」「マゼンタ」「白」である領域はマゼンタ色領域、「黄」「マゼンタ」「白」である領域は赤色領域、「白」「白」「シアン」である領域はシアン色領域、「黄」「白」「シアン」である領域は緑色領域、「白」「マゼンタ」「シアン」である領域は青色領域、「黄」「マゼンタ」「シアン」である領域は黒色領域となる。
【0084】
第1実施形態では、3種類のコードについて配列を揃えて重ね合わせた例を示したが、各コードの配列や向きを揃えずに重ね合わせてもよい。例えば、図17(A)では、赤色セルCr6と黒色セルCk6とによって構成される赤色コード502rの一部分を示し、図17(B)では、青色セルCb7と黒色セルCk7とによって構成される青色コード502bの一部分を示しており、図17(C)では緑色セルCg8と黒色セルCk8とによって構成される緑色コード502gの一部分を示しており、これらを図16のようにセル位置をずらして重ね合わせるようにしてもよい。この場合に複合情報コード500上で表現される色は第1実施形態と同様であり、重なり合う3つのセルの色の組み合わせが「黒」「黒」「黒」である領域は黒色領域、「赤」「黒」「黒」である領域は赤色領域、「黒」「緑」「黒」である領域は緑色領域、「赤」「緑」「黒」である領域は黄色領域、「黒」「黒」「青」である領域は青色領域、「赤」「黒」「青」である領域はマゼンタ色領域、「黒」「緑」「青」である領域はシアン色領域、「赤」「緑」「青」である領域は白色領域となっている。
【符号の説明】
【0085】
1,200,300,400,500…複合情報コード
2r、502r…赤色コード(情報コード、第1のコード)
2g、502g…緑色コード(情報コード、第2のコード)
2b、502b…青色コード(情報コード、第3のコード)
20…光学的情報読取装置
23…受光センサ(撮像手段)
40…制御回路(分離手段、デコード手段)
302…バーコード(情報コード、第2のコード)
402a…情報コード(第1のコード)
402b…情報コード(第2のコード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの要素を表示する情報表示単位セルを複数配列してなる情報コードを複数組み合わせた複合情報コードであって、
前記情報コードとして、
光の三原色又は色の三原色のいずれかからなる基準三原色の第1の色によって表わされる前記情報表示単位セルと、前記基準三原色とは異なる所定色によって表わされる前記情報表示単位セルとを配列してなる第1のコードと、
前記基準三原色における前記第1の色とは異なる第2の色によって表わされる前記情報表示単位セルと、前記所定色によって表わされる前記情報表示単位セルとを配列してなる第2のコードと、
が含まれ、
前記第1のコードと前記第2のコードとが少なくとも部分的に重なって配置され、その重なった領域において、前記第1のコードを構成する各情報表示単位セルと、前記第2のコードを構成する各情報表示単位セルとが重なる各重なり部分がそれぞれ、前記各重なり部分に配置される両方の前記情報表示単位セルの両色を組み合わせた色によって表現されることを特徴とする複合情報コード。
【請求項2】
データの要素を表示する情報表示単位セルを複数配列してなる情報コードを複数組み合わせた複合情報コードであって、
前記情報コードとして、
光の三原色又は色の三原色のいずれかからなる基準三原色の第1の色によって表わされる前記情報表示単位セルと、前記基準三原色とは異なる所定色によって表わされる前記情報表示単位セルとを配列してなる第1のコードと、
前記基準三原色における前記第1の色とは異なる第2の色によって表わされる前記情報表示単位セルと、前記所定色によって表わされる前記情報表示単位セルとを配列してなる第2のコードと、
前記基準三原色における前記第1の色及び前記第2の色とは異なる第3の色によって表わされる前記情報表示単位セルと、前記所定色によって表わされる前記情報表示単位セルとを配列してなる第3のコードと、
が含まれ、
前記第1のコードと前記第2のコードと前記第3のコードとが少なくとも部分的に重なって配置され、それら前記第1のコード、前記第2のコード、及び前記第3のコードが重なった領域において、前記第1のコードを構成する各情報表示単位セルと、前記第2のコードを構成する各情報表示単位セルと、前記第3のコードを構成する各情報表示単位セルとが重なる各重なり部分がそれぞれ、前記各重なり部分に配置される3つの前記情報表示単位セルの各色を組み合わせた色によって表現されることを特徴とする複合情報コード。
【請求項3】
データの要素を表示する情報表示単位セルを複数配列してなる情報コードを複数組み合わせた複合情報コードであって、
前記情報コードとして、
光の三原色又は色の三原色のいずれかからなる基準三原色の第1の色によって表わされる前記情報表示単位セルと、前記基準三原色とは異なる所定色によって表わされる前記情報表示単位セルとを配列してなる第1のコードと、
前記基準三原色における前記第1の色とは異なる第2の色、前記基準三原色における前記第1の色及び前記第2の色とは異なる第3の色、前記第2の色と前記第3の色との組み合わせによって表現される色、及び前記所定色のいずれかによって表わされる前記情報表示単位セルを配列してなる第2のコードと、
が含まれ、
前記第1のコードと前記第2のコードとが少なくとも部分的に重なって配置され、その重なった領域において、前記第1のコードを構成する各情報表示単位セルと、前記第2のコードを構成する各情報表示単位セルとが重なる各重なり部分がそれぞれ、前記各重なり部分に配置される両方の前記情報表示単位セルの両色を組み合わせた色によって表現されることを特徴とする複合情報コード。
【請求項4】
前記第1のコードと前記第2のコードとが重なる部分において、前記第1のコードにおける前記情報表示単位セルの配列と、前記第2のコードにおける前記情報表示単位セルの配列とが同じ配列で構成され、前記第1のコードの各情報表示単位セルと前記第2のコードの各情報表示単位セルとが同じ位置に配置されて互いに重なり合っていることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の複合情報コード。
【請求項5】
前記第1のコードと前記第2のコードと前記第3のコードとが重なる部分において、前記第1のコードにおける前記情報表示単位セルの配列と、前記第2のコードにおける前記情報表示単位セルの配列と、前記第3のコードにおける前記情報表示単位セルの配列とが同じ配列で構成され、前記第1のコードの各情報表示単位セルと前記第2のコードの各情報表示単位セルと前記第3のコードの各情報表示単位セルとが同じ位置に配置されて互いに重なり合っていることを特徴とする請求項2に記載の複合情報コード。
【請求項6】
前記第1のコードにおける前記情報表示単位セルの配列と、前記第2のコードにおける前記情報表示単位セルの配列とが互いに異なっていることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の複合情報コード。
【請求項7】
前記第1のコードにおける前記情報表示単位セルの配列と、前記第2のコードにおける前記情報表示単位セルの配列と、前記第3のコードにおける前記情報表示単位セルの配列とが互いに異なっていることを特徴とする請求項2に記載の複合情報コード。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の前記複合情報コードであって且つ前記光の三原色を前記基準三原色とする前記複合情報コードを読取可能な光学的情報読取装置において、
R成分撮像素子、G成分撮像素子、B成分撮像素子を複数配列してなる撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像される前記複合情報コードの画像を、R成分撮像素子、G成分撮像素子、B成分撮像素子のいずれかの種類の素子によって撮像された第1成分画像と、前記いずれかの種類とは異なる一種又は二種の素子によって撮像された第2成分画像とに分離する分離手段と、
前記分離手段によって分離された前記第1成分画像に基づいて前記第1のコードのデコードを行い、前記分離手段によって分離された前記第2成分画像に基づいて前記第2のコードのデコードを行うデコード手段と、
を備えたことを特徴とする光学的情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−203818(P2011−203818A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68248(P2010−68248)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】