説明

複合臭気脱臭剤

【課題】複合臭気を脱臭するための新規脱臭剤の提供。
【解決手段】本発明は、第一多孔質担体に臭化水素と、塩化第2鉄と、塩酸及び/又は臭化水素酸とが担持されてなる第一吸着剤と、第二多孔質担体にヨウ化アンモニウムが担持されてなる第二吸着剤とを含んで成る脱臭剤、である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合臭気を脱臭するための脱臭剤に関する。
【背景技術】
【0002】
下水、し尿、焼却場等のプラント設備からは、さまざまな種類の悪臭が日々発生している。これらの悪臭には硫化水素などの酸性ガス、アンモニアなどの塩基性ガス、更には硫化メチルなどの硫黄系ガスなどが含まれており、それぞれのガスの除去方法が問題とされている。現在、この様な複合臭気の脱臭は、各臭気に対応した複数の吸着剤を積層することで対処されている。しかしながら、複数の吸着剤を別々の層に配置する場合、脱臭設備が大型化してしまうという問題がある。近年、単一活性炭で塩基性ガス、両性硫黄系ガス、酸性ガスから成る複合臭気の脱臭が可能な脱臭剤も開発されているが(特開2002-191968号公報、特開2002-191969号公報、特開2002-200424号公報)、アンモニア・両性硫黄除去性能が劣るという欠点を持っている。
【0003】
本発明者は以前、臭化アンモニウムが酸性ガス、塩基性ガス及び両性硫黄系ガスから成る複合臭気に対して優れた除去性能を有することを見い出し、臭化アンモニウムを担持した多孔質担体を含む吸着剤の開発に成功している(特開2006-88023号公報)。しかし、当該脱臭吸着剤には複合臭気に対する更なる浄化性能向上の要求がある。
【0004】
複数の活性炭にそれぞれ異なる吸着成分を担持した脱臭剤が知られている。例えば、塩基性吸着剤と酸性吸着剤とを組み合わせた場合、硫化水素等の酸性臭気を塩基性吸着剤により除去し、そしてアンモニア、トリメチルアミン等の塩基性臭気を酸性吸着剤により除去することが可能である。しかしながら、塩基性吸着剤と酸性吸着剤とを組み合わせると、互いに吸着成分が反応を起こし、その結果失活してしまうことがある。
【0005】
このように、複合臭気の脱臭に優れた担持成分を選択する場合、単一の成分では満足の行く脱臭効果が得られず、また、担持成分を複数種類組み合わせるには、担持成分同士、あるいは担持成分と複合臭気中の臭気成分との反応性を考慮しなければならず、これらの問題は複合臭気の脱臭を目的とした吸着剤を開発する上での障害となっていた。
【0006】
事実、複合臭気脱臭剤として、多孔質担体にハロゲン、不揮発性酸及びアルカリ金属ハロゲン化物を均一に担持させた吸着剤が複数知られているが(特開2001-129392号公報、特開平6-126166号公報)、これらの吸着剤を長期間使用する場合白色析出物が形成し、当該白色析出物の形成とともに脱臭性能も低下する。これは、白色析出物が吸着剤の脱臭効果を妨げるだけでなく、多孔質担体の圧力損失を上昇させてしまうと考えられる。このように、多孔質担体にハロゲン、不揮発性酸及びアルカリ金属ハロゲン化物を均一に担持させた吸着剤は、長期間の使用に適さないという問題がある。同様に、不揮発性酸やアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物を吸着成分として用いた吸着剤(特開2007-38106号公報)でも白色析出物が生成することを本発明者は確認している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-191968号公報
【特許文献2】特開2002-191969号公報
【特許文献3】特開2002-200424号公報
【特許文献4】特開2006-88023号公報
【特許文献5】特開2001-129392号公報
【特許文献6】特開平6-126166号公報
【特許文献7】特開2007-38106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、複合臭気を脱臭するための新規脱臭剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
特開2001-129392号公報等(上掲)で開示されている脱臭剤を長期間使用した場合に生じる白色析出物について本発明者が検討したところ、当該白色析出物は、吸着成分であるアルカリ金属系のハロゲン化合物、例えばヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウム、あるいは臭化ナトリウム又は臭化カリウムと、複合臭気に含まれる硫化水素などを浄化する際に発生する硫酸イオン等との反応産物であることが明らかとなった。当該白色析出物は吸着剤の脱臭効果を妨げるだけでなく、多孔質担体の圧力損失を上昇させ得る。
【0010】
そこで、アルカリ金属系ハロゲン化合物以外の多数の吸着成分の中から、複合臭気を脱臭するのに最適な吸着成分の組み合わせを検討したところ、特定の酸等(塩酸、臭化水素、鉄等)を含有する吸着剤と、ヨウ化アンモニウムが担体に含有されている吸着剤とを混合させた脱臭剤は、複合臭気をバランスよく脱臭し、白色析出物を形成しないことを見い出し本発明を完成させるに至った。
【0011】
具体的には、本発明は、
1)第一多孔質担体に臭化水素と、塩化第2鉄と、塩酸及び/又は臭化水素酸とが担持されてなる第一吸着剤と、第二多孔質担体にヨウ化アンモニウムが担持されてなる第二吸着剤とを含んで成る脱臭剤、
2)前記多孔質担体のBET比表面積が1200m2/g以上、1800m2/g以下である、1)の脱臭剤、
3)前記第一吸着剤及び第二吸着剤に含有されている臭素及び/又は鉄の合計量が0.2〜3.0重量%である、1)又は2)の脱臭剤、
4)前記第一吸着剤及び第二吸着剤に含有されている塩素の合計量が0.1〜2.5重量%である、1)〜3)のいずれかの脱臭剤、
5)前記第一吸着剤及び第二吸着剤に含有されているヨウ素の合計量が0.2〜2.4重量%である、1)〜4)のいずれかの脱臭剤、
6)前記多孔質担体が活性炭である、1)〜5)のいずれか記載の脱臭剤、
7)前記活性炭が粒状、ハニカム状又はフィルター状である、6)に記載の脱臭剤、
8)臭化水素と、塩化第2鉄と、塩酸及び/又は臭化水素酸とを第一多孔質担体に担持させる工程と、ヨウ化アンモニウムを第二多孔質担体に担持させる工程とを含んで成る、1)〜7)のいずれかに記載の脱臭剤の製造方法、
9)1)〜7)のいずれかに記載の脱臭剤を含む脱臭手段を備えている、脱臭装置、
10)担持成分が担持されていない吸着剤を含む脱臭手段を更に備えている、9)の脱臭装置、を提供する。
【発明の効果】
【0012】
ヨウ化アンモニウムは、硫酸やリン酸との組み合わせでは白色析出物を生成させる。しかしながら、ヨウ化アンモニウムは塩酸や臭化水素酸との組み合わせでは白色析出物を生成させない。しかし、本発明によれば、塩酸等が担持されてなる第一多孔質担体と、第二多孔質担体にヨウ化アンモニウムが担持されてなる第二吸着剤とを組み合わせることで、複合臭気をバランスよく脱臭し、且つ耐久性の高い脱臭剤が提供される。特に、本発明の脱臭剤は、実使用環境の複合ガス中で大半を占める硫黄系臭気(硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル)において特有の除去効果・作用がある。例えば、従来複合臭気の脱臭に使用されていた、酸性臭気、塩基性臭気、中性臭気に対応した三層式の吸着剤は、硫黄系臭気をSO4の形態で吸着剤内に蓄積するのに対し、本発明の脱臭剤は硫黄系臭気をSO2の形態で多孔質担体の細孔内に吸着する傾向がある。SO4は不揮発性の為吸着剤内に蓄積してしまうが、本発明の脱臭剤に主に吸着されるSO2は揮発性であり、担体から脱離する傾向を持つ。そのことで蓄積し難い特性を持っているため、硫黄系臭気に対する耐久性に優れている。
【0013】
更に、本発明の脱臭剤の耐久性能は、使用する担体の比表面積を所定の範囲に調節することで更に向上する。
【0014】
尚、特開2006-88023号公報(上掲)では、ヨウ化アンモニウムが担持成分として開示されている。しかしながら、同公報では、ヨウ化アンモニウムは、臭化アンモニウムが持つ両性硫黄系ガスや塩基性ガスに対する浄化性能を向上させるための助触媒成分として使用されているが、同一担体に、臭素とヨウ素を共存させた場合、両成分の特長が打ち消し合って、十分な性能が出ない場合がある。その様な弱点を補う為、本発明では、第一吸着剤が臭素系主体である場合には、第二吸着剤はヨウ素系を主体とすることも特徴とする。臭素系を主体とする吸着剤とヨウ素系を主体とした吸着剤を混合することで、大幅に性能向上が見られる。
【0015】
更に、従来使用されていた、酸性臭気、塩基性臭気、中性臭気に対応した三層式の吸着剤を脱臭装置内に配置する場合、装置が大型化してしまうという問題があった。本発明の脱臭剤は、吸着成分が互いに反応しないため一層で配置することができ、従来使用されていた三層式の吸着剤と比較して脱臭装置の省スペース化を図ることができる。更に、本発明の脱臭剤の脱臭性能は三層式の吸着剤よりも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施例1の脱臭剤と比較例1〜3の吸着剤の複合臭気浄化特性を比較したグラフである。
【図2】図2は、多孔質担体のBET比表面積と、破過時間との関係を示すグラフである。
【図3】図3は、多孔質担体のBET比表面積と、複合臭気浄化特性との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例1の脱臭剤、比較例1〜4の吸着剤、三層式の吸着剤(比較例5〜7)の耐久性(破過時間)を示すグラフである。
【図5】図5は、脱臭剤又は吸着剤によって除去された硫黄成分の分析フローである。
【図6】図6は、実施例1の脱臭剤、比較例1〜4の吸着剤、三層式の吸着剤(比較例5〜7)により除去された硫黄成分(H2S、SO2、SO4)の比率を示すグラフである。
【図7】図7は、脱臭剤又は吸着剤における鉄含有量及びヨウ素含有量と浄化性能との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、脱臭剤又は吸着剤における臭素含有量及び塩素含有量と浄化性能との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の脱臭剤は、第一多孔質担体に臭化水素と、塩化第2鉄と、塩酸及び/又は臭化水素酸とが担持されてなる第一吸着剤と、第二多孔質担体にヨウ化アンモニウムが担持されてなる第二吸着剤とを含んで成る。
【0018】
第一多孔質担体には、臭化水素と、塩化第2鉄と、塩酸又は臭化水素酸とが担持されている。塩酸と臭化水素酸を共担持してもよい。本発明の脱臭剤の脱臭性能を低下させない限り、別の吸着成分を更に第一多孔質担体に担持させてもよい。本明細書では、担持成分を第一多孔質担体に吸着させたものを「第一吸着剤」と称する。
【0019】
第二多孔質担体には、ヨウ化アンモニウムが担持されている。本発明の脱臭性能を低下させない限り、別の吸着成分を更に第二多孔質担体に担持させてもよい。本明細書では、担持成分を第二多孔質担体に吸着させたものを「第二吸着剤」と称する。
【0020】
蛍光X線分析装置で測定した場合、前記担持成分を担持した後の第一吸着剤及び第二吸着剤には、臭素及び鉄の合計量が0.2〜3.0重量%であればよく、0.4〜3.0重量%が好ましく、1.7〜2.8重量%がより好ましい。また、第一吸着剤及び第二吸着剤には、臭素、鉄、ヨウ素がそれぞれ、合計量として0.2重量%以上、塩素が合計量として0.1重量%以上含有していてもよい。上記臭素量は、担持成分としての臭化水素酸に由来する臭素を含まない値である。総合的な複合臭気浄化の観点から、第一吸着剤及び第二吸着剤に含有されている臭素、鉄、ヨウ素のそれぞれの合計量はそれぞれ0.2〜2.4重量%、塩素の合計量は0.1〜2.5重量%であることが好ましい。具体的には、第一吸着剤及び第二吸着剤に含有されている吸着成分の好ましい合計量は、臭素が0.8〜1.3重量%、鉄が0.9〜1.5重量%、ヨウ素が0.8〜1.4重量%であり、塩素が0.7〜1.1重量%であることが好ましい。上記含有範囲でも有効な脱臭性能を確保出来るが、第一吸着剤及び第二吸着剤に含有されている臭素、鉄、ヨウ素の各担持成分合計量がそれぞれ0.2〜1.5重量%、塩素の合計量が0.7〜1.5重量%である場合、いずれの脱臭特性も低下することなくバランスの取れた複合臭気脱臭効果を期待できるため好ましい。しかしながら、使用環境のガス成分により含有量を変更しても問題ないため、上記吸着成分の含有量は上記範囲に限定されない。上記含有量は蛍光X線分析装置で測定することができ、本明細書で使用する場合、スペクトリス社製Axiosで測定したものを表す。尚、本明細書で使用する場合の「重量%」又は「wt%」とは、全脱臭剤又は吸着剤の重量に対する重量%を意味する。
【0021】
本発明の脱臭剤における第一吸着剤と第二吸着剤の量や配合比は特に限定されず、脱臭すべき複合臭気の性質に応じて適宜決定することができる。例えば、複合臭気中、硫化水素等の酸性ガスの脱臭が特に必要とされる場合、第二吸着剤の配合比を増大させ、あるいはアンモニア等の塩基性ガスの脱臭が特に必要とされる場合、第一吸着剤の配合比を増大させることが考えられる。
【0022】
上記担持成分は多孔質担体上に高分散に担持されていることが好ましい。ここで、本発明で使用する多孔質担体は、活性炭、セピオライト、パリゴルスカイト、ゼオライト、活性炭素繊維、活性アルミナ、セピオライト混合紙、シリカゲル、活性白土、パーミキュライト、珪藻土などの無機質多孔質担体のほか、パルプ、繊維、布、高分子多孔質担体などの有機質多孔質担体も使用されうるが、中でも活性炭は種々の臭気成分に対する吸着能に優れるため好ましい。第一多孔質担体と第二多孔質担体とで異なる材料を使用してもよい。
【0023】
本発明で使用する多孔質担体のBET比表面積は、吸着剤の更なる耐久性向上の観点から、1200m2/g以上であることが好ましい。また、BET比表面積が低いと、臭気を長期間吸着できず、破過時間が短くなるため好ましくない。多孔質担体のBET比表面積が1800m2/g以上の場合吸着能は増大するが、多孔質担体の強度が低下する。従って、本発明で使用する多孔質担体のBET比表面積は、1200m2/g以上、1800m2/g以下であればよい。多孔質担体のBET比表面積は、1210m2/g〜1800m2/gが好ましく、より好ましくは1210m2/g〜1500m2/gである。本明細書に記載のBET比表面積は、NOVA3200(ユアサアイオニクス社製)を用いて測定した値を指す。
【0024】
また、多孔質担体の形状は特に限定されず、粒状又はハニカム状、あるいはフィルター状でもよい。しかしながら、本発明で使用する多孔質担体の種類や形状は、脱臭が意図される悪臭の種類や吸着剤の設置場所に依存して選択することができる。例えば、設置場所によっては、ファンを備えた脱臭装置のように複雑な装置内に本発明の脱臭剤を設置する必要があるが、活性炭の形状をハニカム状にした場合、自然対流のみに依拠して複合臭気を脱臭できるため、ランニングコストの観点から好ましい。
【0025】
上記担持成分を多孔質担体に高分散に担持せしめる方法として、担持成分を水またはその他の可溶性溶媒に溶解した後、その溶液を多孔質担体に含浸させる方法がある。このように溶液状のものを含浸させることにより、各成分を多孔質担体に同時に且つ均一に高分散状態で担持させることができる。このように、多孔質担体は、上記組合せの各成分をその構造中の細孔内に均一に保持し、悪臭ガスに対する接触面積を広げ、これらの成分による悪臭ガスの吸着性能を向上させる。
【0026】
本発明の脱臭剤は、複合臭気、特に硫黄系臭気を効率よく脱臭することができるため、硫黄系臭気が問題となる下水処理施設、ゴミ処理施設等の各種プラント用の脱臭装置において好適に使用することができる。本発明の脱臭剤は、脱臭装置内の脱臭手段、例えば脱臭塔内に充填してもよい。あるいは、上記担持成分を担持したフィルターを脱臭装置内に配置することもできる。
【0027】
酸性臭気、塩基性臭気、中性臭気に対応した三層式の吸着剤を脱臭装置内に配置する場合、装置が大型化してしまうが、本発明の脱臭剤は一層で優れた複合臭気脱臭効果を発揮するため、脱臭装置を小型化することができる。しかし、本発明の脱臭剤を含む脱臭手段は一層に限定されず、更なる脱臭性能向上を目的として他の脱臭手段と組み合わせて使用してもよい。例えば、本発明の脱臭剤を他の吸着剤と混合することも考えられる。
【0028】
吸着成分を担持していない未添着の多孔質担体は、本発明の脱臭剤と組み合わせる際に担持成分同士の反応を考慮する必要がなく、また、本発明の脱臭剤から漏れ出した臭気を未添着の多孔質担体が捕捉し得るため、好ましい。本発明の脱臭剤と他の吸着剤とを積層する場合、本発明の脱臭剤は入りガス側又は出ガス側に配置され得る。本発明の脱臭剤は、硫黄系臭気を特にSO2の形態で多孔質担体の細孔内に蓄積するが、使用環境によってはこのSO2が放出されることも考えられるため、本発明の脱臭剤の後段に未添着の多孔質担体を配置することが好ましい。本発明の脱臭剤を2以上の脱臭剤と組み合わせる場合、入りガス側、出ガス側又はその間のいずれに配置してもよい。
【実施例】
【0029】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
1.浄化性能の検討
イ)吸着剤の調製
(実施例1)
ヤシ殻活性炭を適宜賦活をしてBET比表面積を1210m2/gに調節し、塩酸で前処理した。BET比表面積は、窒素細孔分布測定装置(ユアサアイオニクス社製NOVA3200)を用いて確認した。臭化水素11重量部、塩化第2鉄9.9重量部、塩酸7重量部を水に溶解させ、前記ヤシ殻活性炭100重量部に吸水担持を行った。その後、100℃で5時間乾燥させて第一吸着剤を調製した。
【0031】
ヨウ化アンモニウム10重量部を水に溶解させ、ヤシ殻活性炭100重量部に吸水担持し、その後、100℃で5時間乾燥させることで第二吸着剤を調製した。各吸着剤を重量比で1:1となるよう混合し、実施例1の脱臭剤を調製した。
【0032】
(比較例1)
実施例1の第二吸着剤を比較例1の吸着剤とした。
【0033】
(比較例2)
実施例1の第一吸着剤を比較例2の吸着剤とした。
【0034】
(比較例3)
臭化水素11重量部、塩化第2鉄9.9重量部、塩酸7重量部、更にヨウ化アンモニウム10重量部を水に溶解させ、前記ヤシ殻活性炭100重量部に吸水担持を行った後、100℃で5時間乾燥させることでサンプル調製を実施した。
【0035】
上記吸着剤を以下の表に要約する。
【表1】

【0036】
ロ)性能評価
硫化水素、硫化メチル、アンモニアに対する上記吸着剤の脱臭性能について試験した。直径30mmのガラスカラムに上記サンプル各6mlを採取し、硫化水素(10ppm)、硫化メチル(10ppm)、アンモニア(10ppm)の3種類の混合臭気(湿度80%)を、5L/minで通過させた。60分後、この入りガスと出口ガスの濃度を測定し、以下の式から浄化率を算出した。
【数1】

【0037】
上記臭気の通気速度(LV)と空塔速度(SV)は、それぞれ0.12m/sec、5,000/hで実施した。また、各臭気の濃度は、ガスクロマトグラフィー(島津社製GC-8Ap(FPD);カラム:β,β’-ODPN 25% Chromosorb 60〜80メッシュ、内径3.0mmφ×3000mmガラスパックドカラム)を用い、以下の温度条件下で測定した。注入口/検出器:150℃;カラム:70℃。結果を図1に示す。
【0038】
各臭気に対する脱臭性能の評価に加え、各吸着剤の鉄含有量(重量%)、臭素含有量(重量%)、ヨウ素含有量(重量%)、塩素含有量(重量%)を測定した。各成分の含有量は、サンプルを粉末状にし、蛍光X線分析装置(スペクトリス社製Axios)で測定した値である。結果を以下の表に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
実施例1の脱臭剤は、複合臭気のいずれの成分に対しても高い浄化率を示す。一方、実施例1の第二吸着剤に相当する比較例1の吸着剤や、実施例1の第一吸着剤に相当する比較例2の吸着剤は、3種類全ての臭気成分をバランスよく脱臭することができなかった。また、実施例1で使用した担持成分を同一多孔質担体に同時担持した比較例3の吸着剤についても、実施例1の脱臭剤と比べ、バランスのよく複合臭気を浄化することはできなかった。
【0041】
続いて、上記吸着剤を耐久性試験にかけた。浄化率の測定方法を用い、臭気が漏れ出し始める時間(破過時間)を測定し、当該時間を耐久性の指標とした。また耐久指標として、前述の試験方法で、臭気が漏れ出し始める時間(破過時間)を測定した。測定条件は、破過時間を測定し易いように吸着剤量を42mlに、そして空塔速度(SV)を7070/hに変更した点を除き浄化率の測定方法で使用したものと同様の条件を採用した。結果を以下の表に示す。
【0042】
【表3】

【0043】
上記表より、実施例1の脱臭剤は破過時間が比較例1〜3のものより1.5倍程度長く、浄化性能だけでなく耐久性にも優れていたことが分かる。
【0044】
2.比表面積の検討
イ)吸着剤の調製
(実施例2〜5)
BET比表面積がそれぞれ1500m2/g、1800m2/g、1100m2/g、950m2/gの活性炭を用い、実施例1と同様の担持成分を吸着させた吸着剤を調製した(順に、実施例2、3、4、5)。所定のBET比表面積を有する担体を調製するため賦活時間を変更した点を除き、吸着剤の調製には実施例1と同様の手法を用いた。
【0045】
上記吸着剤を以下の表に要約する。
【表4】

【0046】
ロ)性能評価
上記耐久試験方法を用い、同じ条件で上記吸着剤から臭気が漏れ出し始める時間(破過時間)を測定した。更に、各吸着剤の硬度を測定した。更に、各吸着剤の硬度を測定した。JIS K 1474に従い、あらかじめ4〜8メッシュに篩別したサンプル100mlと鉄球15個を篩網に入れ、タイラー形標準ふるい振とう機にて30分間振とうさせた後、8メッシュ網上に残った試料量を、分析前の試料量で割った値の百分率を硬度とした。その他の試験については、上述のとおりである。結果を以下の表及び図2に示す。
【0047】
【表5】

【0048】
BET比表面積が1200m2以上の吸着剤は、いずれも破過時間が長く、耐久性能に優れていた。しかし、BET比表面積が1800m2の実施例3の吸着剤は耐久性に優れているものの、硬度の低下が見られた。
【0049】
実施例1及び実施例4の吸着剤を6ml用い、複合臭気に対する浄化率を上記方法により評価した。結果を以下の図3に示す。
【0050】
図3に示すとおり、吸着剤に用いられる多孔質担体として一般的なBET比表面積1100m2/gを有する実施例4の吸着剤は、いずれの臭気に対しても本発明の脱臭剤より脱臭性能が有意に低かった。
【0051】
3.三層式吸着剤との比較試験
イ)吸着剤の調製
(比較例4)
吸着剤に使用される多孔質担体として一般的なBET比表面積1100m2/g程度のヤシ殻活性炭を比較例4の吸着剤とした。
【0052】
(比較例5)
一般的な酸性ガス用吸着剤として、BET比表面積1100m2/gのヤシ殻活性炭に水酸化カリウムを2重量部吸水担持させたものを比較例5の吸着剤とした。
【0053】
(比較例6)
一般的な塩基性ガス用吸着剤として、BET比表面積1100m2/gのヤシ殻活性炭に75%硫酸を15重量部を吸水担持させたものを比較例6の吸着剤とした。
【0054】
(比較例7)
一般的な中性ガス用吸着剤として、BET比表面積1100m2/gのヤシ殻活性炭に臭化カリウム8重量部、75%硫酸7重量部を吸水担持させ100℃で5時間乾燥させたものを比較例7の吸着剤とした。
【0055】
ロ)耐久性評価
比較例5〜7の吸着剤を、入りガス側から順に14mlずつカラム内に充填し、三層式の吸着剤を作成した。実施例1、比較例1〜4の吸着剤をそれぞれ42mlずつ別のカラムに充填した。これらの吸着剤の耐久性を上述の方法に従い評価した。更に、吸着剤劣化指標の1つである揮発分(%)(115〜900℃での脱離量)を測定した。揮発分は、未使用の上記吸着剤サンプル2〜3gの水分を115℃で除去した後、あらかじめ重量を測定した落し蓋付きルツボに入れ、1mgの桁まで秤量した。その後、900℃の電気炉に7分間加熱後、室内で1分間冷却後、デシケーター内で常温まで放冷した。その後、質量を測定し、減量を求めた。揮発分(%)は、以下の式から算出した。
揮発分(%) = 減量(g) ÷ 試料重量(g) × 100
【0056】
これらの耐久性試験の結果を、鉄含有量、臭素含有量、ヨウ素含有量の測定結果とともに以下の表及び図4に示す。
【0057】
【表6】

【0058】
上記表のとおり、実施例1の脱臭剤は複合臭気の脱臭に従来使用されていた三層式の吸着剤よりも破過時間が長く、耐久性能に優れていた。また、実施例1の第二吸着剤に相当する比較例1の吸着剤や、実施例1の第一吸着剤に相当する比較例2の吸着剤のみでは、耐久性が十分でない。実施例1の吸着成分を全て担持した比較例3の吸着剤も、実施例1の脱臭剤と比較して十分な耐久性を発揮することができなかった。
【0059】
また、一般的な脱臭方法である三層式の吸着剤や、他の吸着材の場合、揮発分は10%以上であるところ、実施例1の脱臭剤からの揮発分は他の吸着剤よりも少なく、これは非常に特異的な現象である。この結果は、二種類の吸着剤を含んで成る実施例1の脱臭剤に特有のものであり、そのため、本発明の脱臭剤は、吸着保持した複合臭気の形態が従来の吸着剤と異なっていることが予想される。
【0060】
ハ)硫黄成分の吸着特性評価
実使用環境で複合臭気の大半を占める硫黄系臭気(硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル)に対する浄化性能を評価するために、図5に示すフローに従い各吸着剤に除去された全硫黄量、揮発性硫黄化合物量(H2S、SO2)、無機イオン硫黄化合物量(SO4)を定量をした。試験サンプルは、一般的な下水処理場の実ガスを破過時間まで通気させたものを使用した。
【0061】
全硫黄量は蛍光X線分析(スペクトリス社製Axios)、揮発性硫黄化合物は、N2雰囲気で加熱して発生したガスを炎光光度検出器付きガスクロマトグラフィー(GC-FPD))(島津製作所社製GC14B)で定性・定量した。無機イオン硫黄化合物量(SO4)は、アンモニア水で煮沸処理し冷却した液を、イオンクロマトグラフィー(島津製作所社製CTO−20A)で定量した。その他の硫黄分は、全硫黄量から、揮発性硫黄化合物量(H2S、SO2)及び無機イオン硫黄化合物量を差し引き、分析値とした。結果を以下の図6に示す。
【0062】
図6に示すとおり、実施例1は、若干のSO4が確認されたが、検出された硫黄成分の大半がSO2であり、その他の吸着剤(比較例1を除く)から検出された硫黄成分とは構成が異なっていた。要するに、従来の吸着剤は特にSO4を吸着するのに対し、本発明の脱臭剤は沸点の低いSO2を中心に吸着除去するため、その結果、劣化要因となる揮発分(115〜900℃での付着成分)が蓄積し難い。新たに臭気成分が吸着除去されると、沸点の低いSO2は極低濃度で追い出される特性があり、この為揮発分が蓄積し難いと考えられる。本発明の脱臭剤は、揮発成分の付着が少ない特性を持つ為、その分更に臭気成分を吸着出来、耐久性能を発揮する事ができる。
【0063】
4.未添着活性炭を配備した二層式の脱臭剤
イ)吸着剤の調製
(実施例6)
カラム内に充填した上記実施例1の脱臭剤の後段に、BET比表面積1100m2/g程度のヤシ殻活性炭を配備した二層式の脱臭剤を調製した。
【0064】
ロ)性能評価
上記耐久試験方法を用い、同じ条件で上記吸着剤から臭気が漏れ出し始める時間(破過時間)を測定した。結果を以下の表に示す。
【0065】
【表7】

表中の濃度は臭気指数である。ここで、臭気指数とは、三点比較式臭袋法と言われる希釈倍率の異なる臭気試料を官能試験で評価し得られた臭気濃度を対数化したものである。
一般に、N = 10 log(D/T) N:臭気指数 D/T:臭気濃度 で示される。
【0066】
未添着活性炭と組み合わせた本発明の脱臭剤は、破過時間が更に長くなり、耐久性が向上した。
【0067】
5.担持成分量の検討
イ)吸着剤の調製
(実施例7、8)
実施例1の脱臭剤と担持成分量の異なる吸着剤を調製した(実施例7、8)。担持成分量は蛍光X線分析(スペクトリス社製Axios)にて確認した。
【0068】
ロ)性能評価
硫化水素、硫化メチル、アンモニアに対する上記吸着剤の脱臭性能について試験した。。比較のために、実施例1の脱臭剤、比較例1及び2の吸着剤を用いた。これらの脱臭性能試験の結果を、各吸着剤の鉄含有量、臭素含有量、ヨウ素含有量、塩素含有量の測定結果とともに以下の表並びに図7及び8に示す。
【0069】
【表8】

【0070】
6.アルカリ金属系ハロゲン化合物を担持した吸着剤の検討
イ)吸着剤の調製
(比較例8)
ヨウ素化合物として、ヨウ化カリウム9.9重量部を水に溶解させ、ヤシ殻活性炭100重量部に吸水担持を行った。その後、100℃で5時間乾燥させて試料を調製した。この吸着剤を実施例1の第一吸着剤と1:1の比率で混合し、比較例8の吸着剤とした。
【0071】
(比較例9)
ヨウ素化合物として、ヨウ化ナトリウム9.8重量部を水に溶解させ、ヤシ殻活性炭100重量部に吸水担持を行った。その後、100℃で5時間乾燥させて試料を調整した。この吸着剤を実施例1の第一吸着剤と1:1の比率で混合し、比較例9の吸着剤とした。
【0072】
(比較例10)
臭化化合物として、臭化カリウム11重量部、塩化第2鉄9.9重量部、塩酸を7重量部を水に溶解させ、無機酸で処理したヤシ殻活性炭100重量部に吸水担持を行った。その後、100℃で5時間乾燥させ、実施例1の第一吸着剤と1:1の比率で混合することで、比較例10の吸着剤とした。
【0073】
(比較例11)
臭化化合物として、臭化ナトリウム11重量部、塩化第2鉄9.9重量部、塩酸を7重量部を水に溶解させ、無機酸で処理したヤシ殻活性炭100重量部に吸水担持を行った。その後、100℃で5時間乾燥させ、実施例1の第一吸着剤と1:1の比率で混合することで、比較例11の吸着剤とした。
【0074】
ロ)性能評価
上記吸着剤の耐久性を上述した方法に従い評価した。耐久性試験の結果を、鉄含有量、臭素含有量、ヨウ素含有量、塩素含有量の測定結果とともに以下の表に示す。
【0075】
【表9】

【0076】
以上の結果から分かるように、比較例8〜11の吸着剤のように、アルカリ金属系のハロゲン化合物を担持成分として使用した場合、白色塩の析出が確認され、破過時間も低下した。
【0077】
7.無機酸の検討
イ)吸着剤の調製
(実施例9)
臭化水素11重量部、塩化第2鉄9.9重量部、臭化水素酸7重量部を水に溶解させ、無機酸で処理したヤシ殻活性炭100重量部に吸水担持を行った。その後、100℃で5時間乾燥させて試料を調製した。この吸着剤を実施例1の第一吸着剤と1:1の比率で混合し、実施例9の脱臭剤とした。
【0078】
(比較例12)
実施例9で使用した臭化水素酸の代わりに、硫酸7重量部を使用することで得られた吸着剤を比較例12の吸着剤とした。
【0079】
(比較例13)
実施例9で使用した臭化水素酸の代わりに、リン酸7重量部を使用することで得られた吸着剤を比較例13の吸着剤とした。
【0080】
ロ)性能評価
上記吸着剤の耐久性を上述した方法に従い評価した。耐久性試験の結果を、鉄含有量、臭素含有量、ヨウ素含有量、塩素含有量の測定結果とともに以下の表に示す。
【0081】
【表10】

【0082】
以上の結果から分かるように、比較例12及び13の吸着剤のように、硫酸やリン酸を担持成分として使用した場合、白色塩の析出が確認され、破過時間も低下した。
【0083】
8.基材の検討
イ)吸着剤の調製
(実施例10)
臭化水素11重量部、塩化第2鉄9.9重量部、35%塩酸を7重量部を水に溶解させ、活性炭ハニカム100重量部を浸漬担持させ、水切り後、100℃で5時間乾燥させて第一吸着剤を調製した。また、ヨウ化アンモニウム10重量部を水に溶解させ、別の活性炭ハニカム100重量部を浸漬担持させ水切り後、100℃で5時間乾燥させて第二吸着剤を調製した。
【0084】
第一吸着剤、第二吸着剤をそれぞれ30mmφにカットし、1.27cmの高さに揃え9mlに調製した。ガス上流から第一多孔質担体、第二多孔質担体の順に並べたものを実施例10の脱臭剤とした。
【0085】
ロ)性能評価
ガス上流から第一多孔質担体、第二多孔質担体の順に流れるよう、ガスを実施例10の脱臭剤に流し、前述の評価方法に従い脱臭性能評価を行った。結果を以下の表に示す。
【0086】
【表11】

【0087】
基材としてハニカムを用いて調製した第一吸着剤と第二吸着剤とを積層した実施例10の脱臭剤は、両吸着剤を均一に混合した実施例1の脱臭剤と同様、バランスの取れた複合臭気脱臭効果を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一多孔質担体に臭化水素と、塩化第2鉄と、塩酸及び/又は臭化水素酸とが担持されてなる第一吸着剤と、第二多孔質担体にヨウ化アンモニウムが担持されてなる第二吸着剤とを含んで成る脱臭剤。
【請求項2】
前記多孔質担体のBET比表面積が1200m2/g以上、1800m2/g以下である、請求項1に記載の脱臭剤。
【請求項3】
前記第一吸着剤及び第二吸着剤に含有されている臭素及び/又は鉄の合計量が0.2〜3.0重量%である、請求項1又は2に記載の脱臭剤。
【請求項4】
前記第一吸着剤及び第二吸着剤含有されている塩素の合計量が0.1〜2.5重量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱臭剤。
【請求項5】
前記第一吸着剤及び第二吸着剤に含有されているヨウ素の合計量が0.2〜2.4重量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱臭剤。
【請求項6】
前記多孔質担体が活性炭である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱臭剤。
【請求項7】
前記活性炭が粒状、ハニカム状又はフィルター状である、請求項6に記載の脱臭剤。
【請求項8】
臭化水素と、塩化第2鉄と、塩酸及び/又は臭化水素酸とを第一多孔質担体に担持させる工程と、ヨウ化アンモニウムを第二多孔質担体に担持させる工程とを含んで成る、請求項1〜7のいずれか1項に記載の脱臭剤の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の脱臭剤を含む脱臭手段を備えている、脱臭装置。
【請求項10】
担持成分が担持されていない吸着剤を含む脱臭手段を更に備えている、請求項9に記載の脱臭装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−11281(P2012−11281A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148105(P2010−148105)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000104607)株式会社キャタラー (161)
【Fターム(参考)】