説明

複層建築物に敷設する立体庭園

【課題】複層建築物の各階に階高を高くすることなく、中高木の植栽も可能とする2層(階)の高さを持った立体庭園(ヴァーチカルガーデン)の提供。
【解決手段】複層建築物1の外壁または開口部より外側に床32を取り付け、上下層の床32間の高さを複層建築物1の2層の高さとし、立面視、左右隣り合う各階庭園2aを上下に1層違えることによって、複層建築物1の各層(階)に複層建築物1の2層の高さを持った各階庭園2aを敷設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複層建築物に敷設する立体庭園に関するものである。立体庭園の諸システムは、潅水、栄養、薬剤補給、泥の回収、日照、樹木の支持、管理及び立体庭園の形態によって構成される。ここでいう用土とは、通気性や排水性に優れ、しかも保水性に富むという培養面に適している赤玉土、鹿沼土、腐葉土、砂類、粒状軽石等の総称である。用土の粒の大きさも培養面、潅水面、管理面において大きな要素になる。潅水スペースとは、根にあまねく潅水し、余分な水は流れて排水口に至らしめるスペースである。従って、根が用土と共に給排水性のある容器に入っている場合潅水スペースは、容器回りの空隙でよく、根が容器に入らずに露出している場合潅水スペースは、根回りの用土がくずれないようにし、かつ水が根に潅水した後排水口へ流れるようにするために用土間に空隙が必要であり、所定の粒の大きさが望まれる。根回りにおける管理スペースとは、伸びすぎた根を切断または植え替えを容易にするためのスペースである。従って、根が用土と共に根が伸出できる容器に入っている場合管理スペースは、容器回りの空隙でよく、根が容器に入らずに露出している場合管理スペースは、根回りの用土がくずれないようにしかつ用土を容易に撤去、復旧できることが望まれる。潅水スペースと管理スペースは兼ねることができる。樹木の支持方法については、高木を植えるにしても用土による建築物への荷重負担を最小限にすること、建築躯体への水の浸入を防ぐことがポイントになる。立体庭園の形態については、都市景観に緑を生むヴァーチカルガーデンであること、高層階であっても居室から緑が見えることが望まれる。
【背景技術】
【0002】
従来建築物に敷設する立体庭園の形態と管理についての技術があった。(特許文献1参照)
【0003】
建造物に敷設する庭園の潅水を含む屋上緑化システムの技術があった。(特許文献2参照)
【0004】
屋上庭園の建築の防水と関係付けた施工方法の技術があった。(特許文献3、4参照)
【0005】
潅水設備を持った壁面緑化装置の技術があった。(特許文献5参照)
【0006】
屋上及び地上緑化システム用潅水制御装置の技術があった。(特許文献6参照)
【0007】
植物の倒伏防止装置及び自動潅水装置を備えた分割ユニット式庭園の技術があった。(特許文献7参照)
【0008】
構造物上の庭園に使用される植樹ポットの技術があった。(特許文献8参照)潅水装置を備えた組合せ式庭園の技術があった。(特許文献9参照)
【0009】
人口地盤上での樹木の支持方法の技術があった。(特許文献10参照)
【特許文献1】特公平7−113278
【特許文献2】特許第3699428号
【特許文献3】特開2002−84875
【特許文献4】特開2004−293031
【特許文献5】特許第2822290号
【特許文献6】特許第3992939号
【特許文献7】特開2004−49156
【特許文献8】特開2001−27550
【特許文献9】特開平6−98636
【特許文献10】特開平10−14419
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
都市はますます高層化し、緑が少なくなってきている。高層ビル群の中では地上の緑だけでは十分ではない。ヒートアイランドの公害も発生している。二酸化炭素削減の課題もある。建築物に敷設した立体庭園(ヴァーチカルガーデン)が望まれる。
【0011】
住宅も高層化し、暮しから自然が遠ざかってきている。各住戸に庭園が望まれる。現在の高層住宅の階高では中高木を植えた庭園を造るには低過ぎる。そのために階高を高くするのも不経済である。現在の高層住宅の階高を高くすることなく、高層住宅の各住戸に中高木が植えられる庭園を敷設することが望まれる。
【0012】
立体庭園の樹木の支持方法においては、外観上の配慮から支柱を使わず、なおかつ用土の荷重を減らして建築物への荷重負担を減らすことが望まれる。また、高木を植栽する場合、強風に対して転倒しないようにするためには、高木を容器に入れて置くだけでなく建築躯体と連結して支持することが必要となる。その場合建築物への防水性を図りながらどのように高木を建築躯体で支持するのかが課題になる。これについては、別途出願をしている。(特願2008−275722参照)
【課題を解決するための手段】
【0013】
複層建築物に敷設する立体庭園において
前記複層建築物の外壁または開口部より外側に床を取り付け、上下層の床間の高さを前記複層建築物の2層の高さとし、立面視、左右隣り合う各階庭園を上下に1層違えることによって、前記複層建築物の各層(階)に前記複層建築物の2層の高さを持った立体庭園を敷設したことを特徴とする立体庭園である。
【発明の効果】
【0014】
都市内建築物に立体庭園(ヴァーチカルガーデン)を敷設することにより、都市の景観を良くし、ヒートアイランド、二酸化炭素の削減にも寄与する。また、そこで暮す人、仕事をする人に潤いを与える。庭園の替りに、菜園または稲園とすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、立体庭園実施例の断面図である。複層建築物(1)の外壁または開口部より外側に床(32)を取り付け、上下層の床(32)間の高さを前記複層建築物(1)の2層の高さとし、立面視、左右隣り合う各階庭園(2a)を上下に1層違えることによって、前記複層建築物(1)の各層(階)に前記複層建築物(1)の2層の高さを持った各階庭園(2a)を敷設する。
【0016】
前記複層建築物(1)を集合住宅(4)、宿舎または室(以降集合住宅等と呼ぶ)とし、前記集合住宅等の概略1/2間口に前記各階庭園(2a)を敷設することによって、前記集合住宅(4)等の各住戸(4a)または各室に2層の高さの各階庭園(2a)を敷設する。
【0017】
前記各階庭園(2a、)回りを逆梁構造(42)とし、スラブ(32)天端から梁天端までのスペースを、前記各階庭園(2a、)の用土、ポット等のスペースとして使用する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】立体庭園実施例の断面図。
【符号の説明】
【0019】
1 複層建築物
2a、 各階庭園
4 集合住宅
4a 住戸
20 潅水スペース
22 オーバーフロー排水口
23 排水口
24 オーバーフロー貯水槽
25 オーバーフロー貯水槽排水口
26 泥溜
32 床(スラブ)
36 根
40 管理スペース
42 逆梁構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複層建築物に敷設する立体庭園において
前記複層建築物の外壁または開口部より外側に床を取り付け、上下層の床間の高さを前記複層建築物の2層の高さとし、立面視、左右隣り合う各階庭園を上下に1層違えることによって、前記複層建築物の各層(階)に前記複層建築物の2層の高さを持った各階庭園を敷設したことを特徴とする立体庭園。
【請求項2】
前記複層建築物を集合住宅、宿舎または室(以降集合住宅等と呼ぶ)とし、前記集合住宅等の1住戸の概略1/2間口に前記各階庭園を敷設することによって、前記集合住宅等の各住戸または各室に2層の高さの各階庭園を敷設したことを特徴とする請求項1記載の立体庭園。
【請求項3】
前記立体庭園回りを逆梁構造とし、スラブ天端から梁天端までのスペースを、前記立体庭園の用土、ポットまたは根のスペースとしたことを特徴とする請求項1または2記載の立体庭園。























【図1】
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【公開番号】特開2010−101156(P2010−101156A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170067(P2009−170067)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【分割の表示】特願2008−275720(P2008−275720)の分割
【原出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(301041450)株式会社小笠原設計 (21)
【Fターム(参考)】