説明

視機能障害の予防または治療剤

【課題】視機能障害の改善作用に優れた治療薬または予防薬を提供する。
【解決手段】イブジラストもしくはその塩またはそれらの水和物を含有してなる視機能障害の予防または治療剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視機能障害の予防または治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
視機能障害(ここで、視機能障害とは正常な視覚が得られない状態、例えば臨床的には近視や遠視、眼性疲労等をいう)は、角膜を透過した光が網膜上で結像せず、明確に像をとらえることができない状態をいう。このうち、近視は発生の成因から軸性近視と屈折性近視に分けられる。屈折性近視が角膜や水晶体の屈折度が増大するため起こるのに対して、軸性近視は視軸の方向すなわち軸方向に眼球が伸長するために起こる近視である。
その治療法は、殆どが光学的矯正手段によるものである。光学的矯正手段としては、眼鏡装着による矯正、コンタクトレンズによる矯正が行われている。また、最近では角膜の外科的手術による近視矯正も行われている。これら光学的矯正や外科的手術は近視の根本的な治療法とはなりえず、薬物による近視の治療が期待されている。
さらに、一時的に近視様の症状を示す眼精疲労、仮性近視、偽近視、調節緊張性近視(調節過緊張性近視ともいわれる)は、全身的あるいは眼局所的な疲労により、毛様体筋が一種の調節障害を受けた状態をいい、目が疲労することにより近点が徐々に遠ざかり、一時的に物体を認識することができなくなる。しかし、疲労が回復すると元の状態に戻る。
眼精疲労の治療法としては、従来からビタミン類(ビタミンB1、ビタミンB12等)、ATP等の薬物の投与が行われている。
特許文献1には、SRS−A生成抑制作用およびSRS−Aに対する拮抗作用を併有し、またIgE関与アレルギーによるヒスタミン遊離を抑制する薬物が、優れた毛様体弛緩作用を有し、近視の予防・治療剤として有用であることが記載されており、その実施例ではアンレキサノクスを用いている。特許文献2には、特許文献1
記載の発明における化合物に近視以外の疾患への有効性(眼精疲労予防・治療、眼軸長の延長抑制、網膜機能の低下抑制作用、網膜機能回復作用)を有することが記載されている。特許文献3には、サイクリック-グアノシン-リン酸(サイクリック−GMP)のレベルを増大させる因子を含有している組成物が、視覚の機能を改善し、視神経および網膜の血流量を改善することにより視機能を改善することが記載されており、その実施例ではクエン酸シルデナフィルを用いている。
一方、イブジラストはその作用として、プロスタサイクリン(prostacycline)の作用を増強する(非特許文献1)ことによる脳局所血流量増加作用(非特許文献2)やロイコトリエン拮抗作用(非特許文献3、4)、ロイコトリエン遊離抑制作用(非特許文献5)、PDE阻害作用(非特許文献6)などが知られており、アレルギー性結膜炎、気管支喘息治療剤、脳血管障害改善剤として使用されている。非特許文献7には、イブジラストがモルモット気道および回腸平滑筋のロイコトリエンD4による収縮反応を抑制することが記載されている。また、非特許文献8には、イブジラストがイヌ脳底動脈のPGF2αによる収縮反応に対するPGI2の弛緩作用を増強することが記載されている。
しかし、本発明の化合物が、優れた毛様体筋の弛緩作用を有することはまったく記載されておらず、本発明者らが初めて見出したのである。
【特許文献1】特開平7−258083号公報
【特許文献2】特開平10−203982号公報
【特許文献3】特表2003−506394号公報
【非特許文献1】Onoue et al., Gen. Pharmacol., 23, p 1093, 1992
【非特許文献2】Kudo et al., Folia Pharmacol. Jap., 85, p 435, 1995
【非特許文献3】Sato et al., Gen. Pharmacol., 17, p 287, 1985
【非特許文献4】Ohashi et al., Int. Arch. Allergy, Immunol., 101, p 288, 1993
【非特許文献5】Tamura et al., Basic and Climical Report, 20, p 181, 1986
【非特許文献6】Souness et al., Brit. J. Pharmacol., 111, p 1081, 1994
【非特許文献7】Japan J. Pharmacol., 1983; 33: 1215-1223
【非特許文献8】Arch. Int. Phramacodym. 1986; 280; 216-229
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、視機能障害の改善作用に優れた治療薬または予防薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、このような現状に鑑みて、優れた視機能障害の予防または治療剤を求めて種々の化合物を探索した。その結果、イブジラストが毛様体筋弛緩作用を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)イブジラストもしくはその塩またはそれらの水和物を含有してなる視機能障害の予防または治療剤、
(2)視機能障害が毛様体筋の緊張に基づく疾患である上記(1)記載の予防または治療剤、
(3)視機能障害が近視または眼精疲労である上記(1)記載の予防または治療剤、
(4)近視が屈折性近視、仮性近視、偽近視または調節緊張性近視である上記(3)記載の予防または治療剤、
(5)眼局所投与用である上記(1)〜(4)のいずれか1項記載の予防または治療剤、
(6)点眼剤の形態である上記(5)記載の予防または治療剤、
(7)眼軟膏剤の形態である上記(5)記載の予防または治療剤、
(8)貼付剤の形態である上記(5)記載の予防または治療剤などを提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の視機能障害の予防または治療剤は、優れた近視、仮性近視、偽近視、調節(過)緊張性近視の予防、治療効果を有するので、臨床応用可能な視機能障害の予防または治療剤として有利に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の視機能障害の予防または治療剤の有効成分であるイブジラストは、式:
【0008】
【化1】

で示される公知化合物であり(特公昭52−29318号公報、米国特許登録第3,850,941号ほか)、1989年1月に日本国厚生省の製造承認を受けて以来、気管支喘息用薬、また脳循環改善剤として、広く医療の場に供されている。
【0009】
イブジラストの塩としては、薬学的に許容されるものであれば特に制限はなく、塩酸、臭化水素酸、クエン酸、マレイン酸などのような無機または有機酸との塩が挙げられる。
【0010】
本発明の視機能障害の予防または治療剤は、優れた毛様体筋の弛緩作用を有するので、視機能障害の予防または治療剤として、特に毛様体筋の緊張に基づく機能障害の予防または治療剤として有用である。ここで視機能障害とは、角膜を透過した光が網膜上で結像せず、明確に像をとらえることができない状態をいう。視機能障害の具体的な疾患として、近視や遠視、眼精疲労がある。近視は発生の成因から軸性近視と屈折性近視に分けられ、屈折性近視(偽近視)は角膜の屈折度の増大や毛様体筋の緊張(収縮)状態が継続し水晶体の屈折度が増大した状態である。さらに一時的に近視様の症状を示す眼精疲労、仮性近視、偽近視、調節緊張性近視は、全身的あるいは眼局所的な疲労により、毛様体筋が一種の調節障害を受け毛様体筋の緊張(収縮)状態が継続した状態である。このことから、本発明の視機能障害の予防または治療剤は特に屈折性近視、眼精疲労、仮性近視、偽近視、調節緊張性近視に有用である。
【0011】
本発明の視機能障害の予防または治療剤は、哺乳動物(例、ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、サル等)に対し視機能障害の予防・治療剤として有用である。
本発明の視機能障害の予防・治療剤は、患者に対して経口的または非経口的に投与することができる。経口投与に適した剤型としては、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤や乳剤、シロップ剤、懸濁剤等の液状製剤が挙げられる。非経口的投与形態としては、例えば、眼局所投与、静脈内投与、経皮投与などが挙げられる。非経口投与に適した剤型としては、例えば、点眼剤、眼軟膏、注射剤、貼付剤、ローション剤、クリーム剤などが挙げられる。
【0012】
本発明の視機能障害の予防または治療剤は、眼局所投与用の製剤として用いることが好ましい。眼局所投与形態としては、例えば、点眼投与、硝子体内投与、結膜下投与、テノン嚢下投与等などが挙げられる。眼局所投与用に適した剤型としては、例えば、点眼剤、眼軟膏剤、ゲル剤等が挙げられるが、好ましくは点眼剤である。点眼剤は、水性もしくは非水性点眼剤のいずれでもよく、また、溶液であっても懸濁液であってもよい。
【0013】
例えば、本発明の視機能障害の予防または治療剤を点眼剤として用いる場合、安定剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエンなど)、溶解補助剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、マクロゴール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリソルベート80など)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸、イプシロンアミノカプロン酸など)、粘稠剤(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、マクロゴールなど)、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル類、エデト酸ナトリウム、ホウ酸など)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ブドウ糖、プロピレングリコールなど)、pH調整剤(例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸など)、清涼化剤(例えば、l−メントール、d−カンフル、d−ボルネオール、ハッカ油など)の添加剤を添加することができる、これら添加剤の添加量は、添加する添加剤の種類、用途などによって異なるが、添加剤の目的を達成し得る濃度を添加すればよい。
【0014】
本発明の視機能障害の予防または治療剤を眼軟膏剤として用いる場合、例えば、軟膏基剤(白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン、植物油(オリーブ油、椿油、落花生油など)など)などを添加剤として加えることができる。
【0015】
本発明の視機能障害の予防または治療剤を点眼剤または眼軟膏剤とする場合、製剤分野で通常用いられている方法に従って製造すればよく、例えば、第15改正日本薬局方、製剤総則、点眼剤の項および眼軟膏剤の項に記載された方法に基づき製造することができる。
【0016】
本発明の視機能障害の予防または治療剤を貼付剤として用いる場合、例えば、貼付剤の基剤マトリクスとしては、好適なものは、アクリル系粘着剤、シリコン系エラストマーまたはスチレン−イソプレン−スチレン共重合体よりなるものであり、これらから適宜選択して使用すればよい。またマトリクスは、テープ製剤、パッチ剤、パップ剤等の皮膚に貼り付けられる製剤に通常用いられている支持体や、その他本発明の使用に不都合のない材質の支持体の片面に保持させて用いてよい。
貼付剤には、従来知られている経皮吸収促進剤を補助的に配合してもよい。本発明の視機能障害の予防または治療剤の貼付剤は、身体の所望の部位に貼付して用いることができる。また特に、眼瞼の皮膚や目尻その他眼の周囲、またはこめかみ等、眼に近い部位に貼付してもよい。
【0017】
本発明の視機能障害の予防または治療剤の投与量は、投与ルート、疾患の種類、症状、患者の年齢、体重等によっても異なるが、例えば、成人の眼性疲労患者、屈折性近視患者、または近視患者に点眼剤として用いる場合は、有効成分であるイブジラストを0.001〜1.0(W/V)%、好ましくは0.005〜0.5(W/V)%程度含有する点眼剤として、症状に応じて1回量1〜数滴を1日1〜数回、好ましくは2〜5回程度投与することが望ましい。眼軟膏剤として用いる場合は、患者1人に対し、1眼につき、有効成分であるイブジラストを0.001〜1.0(W/V)%、好ましくは0.005〜0.5(W/V)%程度含有する眼軟膏剤として、症状に応じて1日1〜数回、好ましくは2〜5回程度投与することが望ましい。貼付剤として用いる場合は、基剤マトリクス中に含有させる薬物濃度は、例えば、薬物含有層の0.05〜10(W/V)%、好ましくは0.1〜10(W/V)%としてよく、対象とする疾患等の種類および程度に応じて適宜選択できる。
【0018】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、これらは単なる例示であって、これらにより本発明の範囲が限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
白色ウサギ毛様体筋の塩化カルバミルコリンによる収縮に対するイブジラストの抑制作用
方法
白色ウサギに4%ペントバルビタールナトリウムを耳介静脈から30mg/mL/kgで投与麻酔し、頸動脈を切断し放血致死させ、眼球を摘出後、混合ガス(95%O、5%CO)飽和した氷冷Krebs-Henseleit 液(118.0mmol/L NaCl、4.70mmol/L KCl、2.50mmol/L CaCl、1.20mmol/L MgSO、1.20mmol/L KHPO、25.0mmol/L NaHCO、10.0mmol/L グルコース)に浸し、眼球結膜に沿って角膜を取り除いた。角膜輪に沿って外側約5 mmを残して強膜を切り取った。水晶体および周囲の付着物を取り除き、毛様体をリング状に剥離し、毛様体を二分割にして1匹当り4標本の毛様体平滑筋標本を作製した。作製した標本は混合ガスで通気したMagnus管(10mL容)内のKrebs-Henseleit液(37℃、10mL)中に約0.3gの負荷で懸垂した。
標本を懸垂後1時間以上安定させたのち、3×10−5mol/L塩化カルバミルコリン(CCh) で最大収縮反応を観察した。Krebs bufferで洗浄後、再びCChによる反応を観察し、最大収縮反応が安定した後、イブジラストの作用を検討した。
【0020】
(1)Tonic収縮に対する作用
CChによるTonic収縮がほぼ安定した後、イブジラストを1×10−8〜1×10−4mol/L(公比:10)で低用量から順に累積適用した。イブジラスト適用開始直前の収縮高を100%とした抑制率を算出し、IC50を算出した。
(2)Phasic収縮に対する作用
CChを低用量から高用量へ順に累積適用し、収縮反応を観察した。洗浄後、再びCChを累積適用し、安定した収縮反応が得られた後、イブジラスト(終濃度:1×10−7,1×10−6または1×10−5mol/L)あるいは対照物質(ジメチルスルホキシド,終濃度:0.1%)を適用し、CCh(終濃度:1×10−6〜1×10−4mol/L)の累積適用を行った。なお、イブジラストまたは対照物質の処置時間はCChの累積適用開始前5分とした。
なお、標本の張力変化は、等尺性トランスデューサー(TB−612T、日本光電工業株式会社)を介して、ひずみ圧力アンプ(AP−601G、日本光電工業株式会社)で受感、増幅して、データ収集システム(Power Lab、MacLab/4S、AD Instruments)に記録した。
【0021】
結果
結果を図1および図2に示す。
Phasic収縮に対する作用
CChによるTonic収縮に対してイブジラストは用量依存的な弛緩作用を示した。イブジラストのIC50は4.76×10−7mol/Lであった(図1参照)。
Tonic収縮に対する作用
イブジラストは濃度依存的な収縮抑制作用を示した。また、1×10−6mol/Lおよび1×10−5mol/Lで明らかな収縮抑制作用を示すことが示唆された(図2参照)。
【実施例2】
【0022】
以下に製剤実施例を示す。
点眼剤1
下記処方に従い、常法により、点眼剤を製造する。
イブジラスト 0.1g
ポリソルベート80 0.1g
リン酸二水素ナトリウム 0.1g
塩化ナトリウム 0.9g
塩化ベンザルコニウム 0.005g
水酸化ナトリウム 適量
塩酸 適量
滅菌精製水 適量
全量 100mL
(pH6.5)
【0023】
点眼剤2
下記処方に従い、常法により、点眼剤を製造する。
イブジラスト 0.01g
ヒドロキシエチルセルロース 0.1g
リン酸二水素ナトリウム 0.1g
塩化ナトリウム 0.9g
塩化ベンザルコニウム 0.005g
水酸化ナトリウム 適量
塩酸 適量
滅菌精製水 適量
全量 100mL
(pH7.0)
【0024】
点眼剤3
下記処方に従い、常法により、点眼剤を製造する。
イブジラスト 0.1g
リン酸二水素ナトリウム 0.1g
塩化ナトリウム 0.9g
塩化ベンザルコニウム 0.005g
水酸化ナトリウム 適量
塩酸 適量
滅菌精製水 適量
全量 100mL
(pH6.0)
【0025】
点眼剤4
下記処方に従い、常法により、点眼剤を製造する。
イブジラスト 0.01g
ヒドロキシエチルセルロース 0.1g
リン酸二水素ナトリウム 0.1g
塩化ナトリウム 0.9g
水酸化ナトリウム 適量
塩酸 適量
滅菌精製水 適量
全量 100mL
(pH7.0)
【0026】
眼軟膏剤1
下記処方に従い、常法により、眼軟膏剤を製造する。
イブジラスト 0.1g
精製ラノリン 10g
白色ワセリン 100g
【0027】
眼軟膏剤2
下記処方に従い、常法により、眼軟膏剤を製造する。
イブジラスト 0.1g
流動パラフィン 10g
白色ワセリン 100g
【0028】
貼付剤
下記処方に従い、常法により、貼付剤を製造する。
イブジラスト 1g
ポリオキシエチレンオレイルエーテル 0.9g
アクリル系粘着剤
日本カーバイド工業製「ニッセツPE-300」 1.5g
架橋剤
日本カーバイド工業製「ニッセツCK-401」 0.0015g
ミリスチン酸イソプロピル 0.6g
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上記載したごとく、本発明によれば、優れた毛様体筋の弛緩作用を有する視機能障害の予防または治療剤が提供でき、特に毛様体筋の緊張に基づく機能障害の予防または治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例1における、Phasic収縮に対する作用を示すグラフである。図中の数値は平均値±標準偏差(n=3)である。
【図2】実施例1におけるTonic収縮に対する作用を示すグラフである。図中の数値は平均値±標準偏差(n=3)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イブジラストもしくはその塩またはそれらの水和物を含有してなる視機能障害の予防または治療剤。
【請求項2】
視機能障害が毛様体筋の緊張に基づく疾患である請求項1記載の予防または治療剤。
【請求項3】
視機能障害が近視または眼精疲労である請求項1記載の予防または治療剤。
【請求項4】
近視が屈折性近視、仮性近視、偽近視または調節緊張性近視である請求項3記載の予防または治療剤。
【請求項5】
眼局所投与用である請求項1〜4いずれか1項記載の予防または治療剤。
【請求項6】
点眼剤の形態である請求項5記載の予防または治療剤。
【請求項7】
眼軟膏剤の形態である請求項5記載の予防または治療剤。
【請求項8】
貼付剤の形態である請求項5記載の予防または治療剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−249289(P2009−249289A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94897(P2008−94897)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【出願人】(000199175)千寿製薬株式会社 (46)
【Fターム(参考)】