説明

記録装置

【課題】コストを抑えて、被記録媒体の加熱ムラをなくすことのできる記録装置を提供する。
【解決手段】記録媒体に流体を噴射する記録ヘッドと、記録媒体を支持面に沿って搬送する搬送装置と、記録媒体の搬送方向における記録ヘッドの下流側において記録媒体を加熱する加熱装置とを有する記録装置であって、加熱装置には、第1加熱部A1が一辺を搬送方向に沿わせた状態で搬送方向と交差する方向に複数設けられており、さらに、隣り合う第1加熱部A1同士の間に存在する境界領域には搬送方向に沿うようにして延在する第2加熱部A2が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に流体を噴射して画像や文字等を記録する記録装置の一つとして、インクジェット式プリンターが知られている。このインクジェット式プリンターにおいて、浸透乾燥や蒸発乾燥を必要とするインク(流体)を用いる場合、記録媒体に噴射したインクを乾燥させるために、乾燥装置を設ける必要がある。
【0003】
大型のプリンターの場合には、抵抗値の関係から、被記録媒体の搬送方向と交差する方向に複数のヒーターが並べて設置される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−72999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成の場合、隣り合うヒーター同士の間の境界にヒーターの存在しない領域(境界領域)が被記録媒体の搬送方向に沿って存在する。このような境界領域上を通過した被記録媒体の特定部分は他の部分に比べて適切に加熱が行われないため温度ムラが生じ、インクの定着性が不均一となって印刷品質が低下してしまう。また、ヒーターを構成しているヒーター線の引き廻しが複雑なため、製造コストがかかってしまうという問題もある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、コストを抑えて、被記録媒体の加熱ムラをなくすことのできる記録装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の記録装置は、記録媒体に流体を噴射する記録ヘッドと、前記記録媒体を支持面に沿って搬送する搬送装置と、前記記録媒体の搬送方向における前記記録ヘッドの下流側において前記記録媒体を加熱する加熱装置とを有する記録装置であって、前記加熱装置には、第1加熱部が一辺を前記搬送方向に沿わせた状態で前記搬送方向と交差する方向に複数設けられており、さらに、隣り合う前記第1加熱部どうしの間に存在する境界領域には前記搬送方向に沿うようにして延在する第2加熱部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
これによれば、記録媒体の搬送方向に交差する方向に並ぶ第1加熱部どうしの間に存在する境界領域に、上記搬送方向に沿って延在するように第2加熱部を設けることによって、記録媒体の搬送方向に交差する方向で第1加熱部の存在しない領域をカバーすることができる。これにより、記録媒体に対する加熱ムラを防止することができる。
【0009】
また、前記第1加熱部は、前記搬送方向に交差する方向に沿って延在するとともに前記搬送方向に沿って所定の間隔をおいて配置される複数の第1ヒーターを有し、前記第2加熱部は、前記複数の第1ヒーターの少なくとも一方の端部に対向する第2ヒーターを有する構成としてもよい。
これによれば、複数の第1ヒーターの少なくとも一方の端部に対向するように第2ヒーターを設けることによって、第1加熱部の搬送方向に沿う範囲に対応して第2ヒーターが存在することになる。これにより、記録媒体の搬送方向に交差する方向において記録媒体を均一に加熱することが可能である。
【0010】
また、前記複数の第1ヒーターと各第1ヒーターを互い違いに接続する接続部とがヒーター線を蛇行配線することによって形成され、前記第2ヒーターは、前記ヒーター線を前記搬送方向に沿って引き廻すことによって形成されている構成としてもよい。
これによれば、1本のヒーター線を引き回すことによって、第1ヒーターおよび第2ヒーターともに形成することができる。このため、部品点数を削減することができコストを抑えることができるとともに配線作業も容易になる。
【0011】
また、前記第2加熱部に複数の前記第2ヒーターが設けられている構成としてもよい。
これによれば、複数の第2ヒーターを設けることによって、第1加熱部により近い加熱効率を第2加熱部に付与することができる。
【0012】
また、前記複数の第1ヒーターの両端側に前記第2ヒーターが設けられている構成としてもよい。
これによれば、記録媒体の幅方向両側もムラなく加熱することが可能となり、記録媒体全体でより均一に加熱することが可能となる。
【0013】
また、前記第1ヒーターおよび前記第2ヒーターが1本のヒーター線を引き廻すことによって形成されており、前記ヒーター線の両端部が同一方向に引き出されている構成としてもよい。
これによれば、部品点数が削減されてコストを抑えることができるとともにヒーター線の敷設作業が容易なため製造が簡単である。また、ヒーター線の両端部が同一方向に引き出されていることから、ヒーター線に接続される配線をまとめやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の記録装置に係る一実施形態であるプリンターを示す構成図。
【図2】本発明の第1実施形態におけるアフターヒーター部の構成を示す斜視図。
【図3】アフターヒーター部の構成を示す平面図。
【図4】アフターヒーター部の構成を示す断面図。
【図5】第1実施形態におけるアフターヒーター部の温度分布を示す図。
【図6】(a)は、従来のアフターヒーター部の構成を示す斜視図、(b)は、従来の構成におけるアフターヒーター部の温度分布を示す図。
【図7】第2実施形態におけるアフターヒーター部の概略構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本発明の記録装置に係る一実施形態であるプリンター1を示す構成図である。
プリンター1は、比較的大型のメディア(記録媒体)Mを扱うラージフォーマットプリンター(LFP)である。本実施形態のメディアMは、例えば64インチ(Inch)程度の幅を有する塩化ビニル系フィルムから形成されている。
【0017】
図1に示すように、プリンター(記録装置)1は、ロール・ツー・ロール方式でメディアMを搬送する搬送部(搬送装置)2と、メディアMに対してインク(流体)を噴射して画像や文字等を記録する記録部3と、メディアMを加熱する加熱部(加熱装置)4とを有する。これら各構成部は、本体フレーム5に支持されている。
【0018】
搬送部2は、ロール状のメディアMを送り出すロール21と、送り出されたメディアMを巻き取るロール22とを有する。搬送部2は、ロール21,22間の搬送経路においてメディアMを搬送する搬送ローラー対23,24を有する。また、搬送部2は、搬送ローラー対24とロール22との間の搬送経路においてメディアMに張力を付与するテンションローラー(張力付与装置)25を有する。
【0019】
テンションローラー25は、揺動フレーム26に支持されており、メディアMの裏面に幅方向(図1において紙面垂直方向)で接触する構成となっている。テンションローラー25は、メディアMの幅よりも幅方向において長く形成されている。テンションローラー25は、後述する加熱部4のアフターヒーター部43よりも搬送方向下流側に設けられている。
【0020】
記録部3は、搬送ローラー対23,24間の搬送経路においてメディアMに対してインクを噴射するインクジェットヘッド(記録ヘッド)31と、インクジェットヘッド31を搭載して幅方向に往復移動自在なキャリッジ32とを有する。インクジェットヘッド31は、複数のノズルを備え、メディアMとの関係で選択されて浸透乾燥や蒸発乾燥を必要とするインクを噴射可能な構成となっている。
【0021】
加熱部4は、メディアMを加熱することによりインクをメディアMに速やかに乾燥定着させ、滲みやぼやけを防止して、画質を高める構成となっている。加熱部4は、メディアMの搬送経路の一部を構成する支持面を有して、メディアMをロール21,22間で上方に凸となるように湾曲させて支持するとともに、支持面上のメディアMを加熱する構成となっている。
【0022】
加熱部4は、記録部3が設けられた位置よりも搬送方向上流側でメディアMを予熱するプレヒーター部41と、記録部3と対向する位置でメディアMを加熱するプラテンヒーター部42と、記録部3が設けられた位置よりも搬送方向下流側でメディアMを加熱するアフターヒーター部43とを有する。
【0023】
本実施形態では、プレヒーター部41は、メディアMを常温から目標温度(プラテンヒーター部42における温度)に向けて徐々に昇温させることによって、インクの着弾時からの乾燥を速やかに促す構成となっている。
【0024】
プラテンヒーター部42は、目標温度を維持した状態でインクの着弾をメディアMに受けさせて、インクの着弾時からの乾燥を速やかに促す構成となっている。このプラテンヒーター部42は、メディアMを支持する支持面を有するプラテン(支持部材)51と、プラテン51の支持面50と対向する位置に設けられたヒーター42bとを有して構成されている。プラテン51の支持面50上に支持されたメディアMを裏側から間接的に加熱するとともに、メディアMの表面側から記録面に対して直接的に赤外線エネルギーを照射することによって加熱する。
【0025】
また、アフターヒーター部43は、メディアMを目標温度よりも高い温度まで昇温させ、メディアMに着弾したインクのうち未だ乾燥していないものを速やかに乾燥させ、少なくともロール22で巻き取る前に、着弾したインクをメディアMに完全に乾燥定着させる構成となっている。
【0026】
次に、本実施形態のアフターヒーター部43における特徴的な構成について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態におけるアフターヒーター部の構成を示す斜視図である。図3は、アフターヒーター部の構成を示す平面図である。図4は、アフターヒーター部の構成を示す断面図である。
【0027】
図2および図3に示すように、アフターヒーター部43は、平面視において長方形状を呈する第1加熱領域(第1加熱部)A1がメディアMの搬送方向に交差する方向に複数並べて設けられている。各第1加熱領域A1はその一辺をメディアMの搬送方向に沿わせた状態とされている。また、少なくとも第1加熱領域Aどうしの間の境界部分には、メディアMの搬送方向に沿って(第1加熱領域A1の他辺に沿って)延在する第2加熱領域(第2加熱部)A2が設けられている。
【0028】
以下に、具体的な構成について述べる。
アフターヒーター部43は、メディアMを支持する支持面50を有する支持部材52を有する。本実施形態の支持部材52は、鉄板、より詳しくはSPCC(冷間圧延鋼板)から形成されている。支持部材52は、メディアMの紙幅よりも幅方向において長く、より詳しくは、64インチ程度の幅よりも長く形成されている。
【0029】
図2から図4に示すように、アフターヒーター部43は、メディアMの搬送方向に交差する方向に並設された複数のヒーター部55を備え、メディアMの幅方向を均一に加熱することのできる構成となっている。本実施形態では2つのヒーター部55が並べて設けられているが、これに限られるものではない。各ヒーター部55は、支持面50を有する支持部材52の裏側に設けられる加熱手段60を有しており、支持部材52を介して、熱伝導で支持面50上に支持されたメディアMを裏側から加熱する構成となっている。
【0030】
加熱手段60は、チューブヒーター(ヒーター線)61からなり、アルミテープ56を介して支持部材52の裏面52b側に貼付されている。このチューブヒーター61は、アルミテープ56の表面(貼付面と反対側の面)上に、つづら折状に曲がりくねるようにして敷設されている。
【0031】
そして、チューブヒーター61のヒーター(第1ヒーター)62Aは、メディアMの搬送方向(図2中の矢印Sで示す方向)において所定の間隔をおいて複数設けられている。メディアMの搬送方向で隣り合うヒーター62Aどうしの間隔は一定であり、本実施形態では30〜35mmの間隔で配置されている。ここで、ヒーター62Aは、メディアMの搬送方向に交差する方向へ蛇行するようにして敷設されたチューブヒーター61のうち、支持部材52の幅方向(紙幅方向)に延在する部位を示す。ヒーター62Aは、支持部材52におけるメディアMの搬送領域のうち、上記した第1加熱領域(第1加熱部)A1を加熱するための加熱手段である。
【0032】
また、本実施形態のチューブヒーター61は、メディアMの搬送方向に沿って延在するヒーター(第2ヒーター)62Bを有する。ヒーター62Bは、上記した複数のヒーター62Aの一端側であって、隣接するヒーター部55との境界部分に設けられている。ヒーター62Bは、チューブヒーター61のうち、メディアMの搬送方向に沿って延びる部位を示す。
【0033】
ヒーター62Bは、支持部材52におけるメディアMの搬送領域のうち、少なくともメディアMの搬送方向と交差する方向で隣り合う第1加熱領域A1どうしの間の境界部分の領域である、第2加熱領域(第2加熱部)A2を加熱するための加熱手段である。
【0034】
また、加熱手段60は、チューブヒーター61の温度を調整するためのサーモスタット63を有する。サーモスタット63はアルミテープ56に形成された孔56a内に配置され、記録処理の実行中、チューブヒーター61の温度を所定の温度に維持する。本実施形態では、チューブヒーター61の温度を50度に維持するように、チューブヒーター61に供給されるエネルギー量を制御する。
【0035】
次に、アフターヒーター部における温度分布を従来の構成と比較する。
図5は、本実施形態におけるアフターヒーター部の温度分布を示す図である。図6(a)は、従来のアフターヒーター部の構成を示す斜視図であり、図6(b)は、従来の構成におけるアフターヒーター部の温度分布を示す図である。
【0036】
図6(a)に示す従来のアフターヒーター部143の構成では、隣り合うヒーター部55同士の間の境界領域A2’にチューブヒーター61が敷設されておらず、メディアMの幅方向でヒーター線の存在しない領域が本実施形態に比べて広い範囲に存在する。このため、境界領域A2’における加熱効率は、第1加熱領域A1に比べて極端に低下してしまうことになる。その結果、図6(b)に示すように、複数の第1加熱領域A1とこれらの境界領域A2’との間で温度差が生じてしまい、メディアMの紙幅方向を均一に加熱することができない。
【0037】
これに対し本実施形態では、図2および図3に示したように、第1加熱領域A1の間の境界部分に搬送方向に沿ってヒーターを設けることで、第1加熱領域A1と同じ加熱作用を付与する第2加熱領域(境界領域)A2を有する構成としている。つまり、メディアMの搬送方向に交差する方向で隣り合うヒーター部55の各接続部61Aに対向するようにして、上記境界部分を含む第2加熱領域A2内にチューブヒーター61を引き廻し、搬送方向に沿って直線状に延在するヒーター62Bを形成した。このヒーター62Bにより、図5に示すように、ヒーター部55の境界部分においてメディアMの搬送方向に交差する方向でヒーターの存在しない領域をカバーすることができ、第2加熱領域A2と第1加熱領域A1との加熱温度を均一にすることができる。
【0038】
このように、本実施形態では、第1加熱領域Aの間の境界部分にメディアMの搬送方向に沿って加熱手段を設けることによって、第1加熱領域A1と同じ加熱効率を境界領域A2に付与する構成としている。これにより、第2加熱領域A2上を通過したメディアMの特定部分は第1加熱領域A1上を通過する部分と同じように適切に加熱が行われ、メディアMの幅方向における温度ムラ(加熱ムラ)が解消されて、紙幅全体を均一に加熱することが可能となる。
また、長方形状の第1加熱領域(第1加熱部)A1がその一辺をメディアMの搬送方向に沿わせた状態で配置されている。第2加熱領域(第2加熱部)A2はメディアMの搬送方向に沿うようにして設けられていることから、第1加熱領域(第1加熱部)A1の他辺に沿って延在する。このため、第1加熱領域(第1加熱部)A1および第2加熱領域(第2加熱部)A2の外形形状は長方形状となり取り扱いが容易なため、複雑な形状とは異なり、輸送コストを抑えられる。
【0039】
また、本実施形態では、チューブヒーター61によって複数のヒーター62Aを形成するとともに、各ヒーター62Aの延在方向一端側にチューブの蛇行方向に交差するようにしてヒーター62Bを引き廻して形成している。このように、1本のチューブヒーター61を第1加熱領域A1および第2加熱領域A2に引き廻して各ヒーター62A,62Bを形成することによって、部品点数が少なくて済み、コストを削減することが可能である。
【0040】
また、第2加熱領域A2には、チューブヒーター61をメディアMの搬送方向に沿って直線状に敷設すればいいので製造が容易である。
また、第1加熱領域A1に敷設したチューブヒーター61の端部61aの引き出し方向と同じ方向に、第2加熱領域A2に敷設したチューブヒーター61の端部61bを引き出すことによって、各端部61a,61bに接続される配線をまとめやすくなり、装置内に煩雑に収容されるのを防止することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、各ヒーター部55において複数のヒーター62Aの一端側にのみヒーター62Bが設けられている。このようなヒーター部55を同じ向きで並べて配置してあるので、支持部材52の幅方向一端側(メディアMの紙幅方向一方の端部側)にはヒーター62Bが存在しないことになる。そのため、複数のヒーター62Aの両側にヒーター62Bを設ける構成としてもよい。これにより、メディアMに対する加熱がより均一なものとなる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る記録装置の第2実施形態の構成について述べる。
本実施形態の基本構成は先の実施形態と同様であるが、アフターヒーター部の構成において異なる。よって以下の説明では、アフターヒーター部の構成のうち異なる部分を中心に説明する。
図7は、第2実施形態におけるアフターヒーター部の概略構成を示す斜視図である。
図7に示すように、先の実施形態では、ヒーター部55ごとに1つのヒーター62Bしか設けられていなかったが、本実施形態のアフターヒーター部73は、各ヒーター部55に対して複数のヒーター62Bが設けられている。
本実施形態では、隣り合うヒーター部55の構成が左右対称となるようにチューブヒーター61を敷設することによって、第1加熱領域A1の両側に、複数のヒーター62Bが敷設された第2加熱領域A2がそれぞれ存在することになる。これにより、ヒーター部55間の境界領域だけでなく、メディアMの両端にそれぞれ対応する端部領域においても均等に加熱することが可能となる。これにより、メディアMの紙幅方向をより均一に加熱することが可能となり、乾燥ムラをなくすことが可能となる。
【0043】
ここでは、第2加熱領域A2内にヒーター62Bが2つずつ存在するようにチューブヒーター61を敷設および配置したが、第2加熱領域A2内に存在するヒーター62Bの数はこれに限られるものではなく、3つ以上であってもよい。
【0044】
本実施形態の構成によれば、第1加熱領域A1と同じ加熱量をより効率よく第2加熱領域A2に付与することができる。これにより、第2加熱領域A2上を通過したメディアMの特定部分は第1加熱領域A1上を通過する部分と同じように適切に加熱が行われ、メディアMの幅方向両端側における温度ムラ(加熱ムラ)が解消されて、紙幅全体をより均一に加熱することが可能となる。
また、本実施形態においても1本のチューブヒーター61を引き回すことによってヒーター62A,62Bを形成しているため、部品点数が少なくて済み、敷設作業も容易である。
【0045】
以上述べたように、メディアMの搬送方向に交差する方向に並べた複数のヒーター部55を用いて記録後のメディアM上のインクの乾燥を行う大型のプリンターの場合、ヒーター部55どうしの境界部分にヒーター62Aの存在しない領域がメディアMの搬送方向に沿って直線状に形成されてしまう。これに対して、上記境界領域内に搬送方向に沿って延在するヒーター62Bを設けることによって、メディアMのある領域のみが、ヒーターの存在しない領域上を連続して通過してしまうことがなくなり、乾燥ムラが生じるのを抑制することが可能である。
また、各実施形態においても、外形が平面視矩形状となるように1本のチューブヒーター61を引き回すことによってヒーター62A,62Bを構成しているため、ヒーター線の引き回しが簡単で、製造コストも抑えられる。さらに、ヒーター部55の外形形状が長方形状なため梱包しやすく、外形が複雑なものとは異なり、輸送コストも抑えられる。
【0046】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0047】
また、記録装置としては、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする記録装置を採用してもよい。本発明は、例えば微小量の液滴を吐出させる記録ヘッド等を備える各種の記録装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記記録装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、記録装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクが挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。また、記録媒体としては、塩化ビニル系フィルム等のプラスチックフィルム以外に、用紙、機能紙、基板や金属板などを包含するものとする。
【符号の説明】
【0048】
1…プリンター(記録装置)、2…搬送部(搬送装置)、4…加熱部(加熱装置)、M…メディア(記録媒体)、31…インクジェットヘッド(記録ヘッド)、42b,62A,62B…ヒーター、50…支持面、61…チューブヒーター(ヒーター線)、61A…接続部、61a,61b…端部、62A…ヒーター(第1ヒーター)、62B…ヒーター(第2ヒーター)、A1…第1加熱領域(第1加熱部)、A2…第2加熱領域(境界領域:第2加熱部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に流体を噴射する記録ヘッドと、前記記録媒体を支持面に沿って搬送する搬送装置と、前記記録媒体の搬送方向における前記記録ヘッドの下流側において前記記録媒体を加熱する加熱装置とを有する記録装置であって、
前記加熱装置には、第1加熱部が一辺を前記搬送方向に沿わせた状態で前記搬送方向と交差する方向に複数設けられており、さらに、隣り合う前記第1加熱部どうしの間に存在する境界領域には前記搬送方向に沿うようにして延在する第2加熱部が設けられている
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第1加熱部は、前記搬送方向に交差する方向に沿って延在するとともに前記搬送方向に沿って所定の間隔をおいて配置される複数の第1ヒーターを有し、
前記第2加熱部は、前記複数の第1ヒーターの少なくとも一方の端部に対向する第2ヒーターを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記複数の第1ヒーターと各第1ヒーターを互い違いに接続する接続部とがヒーター線を蛇行配線することによって形成され、前記第2ヒーターは、前記ヒーター線を前記搬送方向に沿って引き廻すことによって形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記第2加熱部に複数の前記第2ヒーターが設けられている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記複数の第1ヒーターの両端側に前記第2ヒーターが設けられている
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記第1ヒーターおよび前記第2ヒーターが1本のヒーター線を引き廻すことによって形成されており、前記ヒーター線の両端部が同一方向に引き出されている
ことを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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