説明

記録装置

【課題】ロール媒体をセットした際の送り方向に対するロール媒体の傾きを考慮した記録装置を提供すること。
【解決手段】記録装置(1)は、ロール媒体Rを送り方向下流側へ送り出すことが可能な第1ホルダー部3と、送られたロール媒体Rに対して記録する記録部28と、記録されたロール媒体Rを巻き取る第2ホルダー部40と、を備え、前記第1ホルダー部3および前記第2ホルダー部40の少なくとも一方は、ロール媒体Rの送り方向Qに対する幅方向Xに移動可能な構成であり、ロール媒体Rの送り経路A上における送り方向Qにおいて異なる位置、かつ、幅方向側方には、幅方向Xにおけるロール媒体Rの側端の位置を確認することができる第1種の目印M1が設けられており、該第1種の目印M1は、幅方向Xにおける所定の範囲Wに設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール媒体に対して記録し、記録したロール媒体を巻き取る構成である記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンター、ワイヤドットプリンター、レーザープリンター、ラインプリンター、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1に示す如く、プリンターは、給送部と、記録部と、巻き取り部とを備えていた。このうち、前記給送部は、保持されたロール紙を解いて送り方向下流側の記録部へ送ることができるように構成されていた。また、前記記録部は、送られたロール紙に対してインクを吐出して記録を実行することができるように構成されていた。またさらに、前記巻き取り部は、記録されたロール紙を巻き取ることができるように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−149317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記給送部からロール紙の先端を前記巻き取り部まで引き回してセットした際、前記給送部におけるロール紙の幅方向における位置と、前記巻き取り部におけるロール紙の幅方向における位置とがずれている場合がある。そして、そのまま記録を実行すると、斜行したロール紙に対して記録を実行することとなり、所望の品質を得られない。また、斜行したロール紙を巻き取っていくと、ロール紙が幅方向に蛇行してきれいに巻き取れない。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、ロール媒体をセットした際の送り方向に対するロール媒体の傾きを考慮した記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の記録装置は、ロール媒体を保持可能であり、ロール媒体を送り方向下流側へ送り出すことが可能な第1ホルダー部と、送られたロール媒体に対して記録する記録部と、記録されたロール媒体を巻き取る第2ホルダー部と、を備え、前記第1ホルダー部および前記第2ホルダー部の少なくとも一方は、ロール媒体の送り方向に対する幅方向に移動可能な構成であり、ロール媒体の送り経路上における送り方向において異なる位置、かつ、幅方向側方には、幅方向におけるロール媒体の側端の位置を確認することができる第1種の目印が設けられており、該第1種の目印は、幅方向における所定の範囲に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、前記第1ホルダー部からロール媒体の先端を前記第2ホルダー部まで引き回してセットする際、前記第1種の目印によって、記録装置の送り方向に対するロール媒体の傾きの有無を確認することができる。具体的には、ロール媒体の側端と、前記第1種の目印との位置関係を、前記異なる位置においてそれぞれ確認することにより、送り方向に対するロール媒体の傾きの有無を確認することができる。前記異なる位置における前記位置関係が同じである場合、前記傾きがないことがわかる。
【0008】
一方、前記異なる位置における前記位置関係が異なる場合、前記傾きがあることがわかる。
係る場合、前記異なる位置における前記位置関係が同じになるように、前記第1ホルダー部および前記第2ホルダー部の少なくとも一方を、幅方向へ移動させる。そして、前記位置関係が同じになるように調整することにより、前記傾きを無にすることができる。
その結果、斜行していないロール媒体に対して記録を実行することができ、所望の品質を得ることができる。
また、ロール媒体が幅方向に蛇行しないので、きれいに巻き取ることができる。
【0009】
前記第1ホルダー部および前記第2ホルダー部の両方が、それぞれ幅方向に移動可能な構成である場合に特に有効である。
尚、前記第1種の目印は、送り方向における異なる位置にあればよい。例えば、送り方向に長尺であり、前記異なる位置を繋ぐような構成でもよい。つまり、前記第1種の目印は、前記異なる位置をカバーする範囲に一つ設けられていてもよい。また、前記異なる位置のそれぞれに設けられていてもよい。つまり、前記第1種の目印は、複数設けられていてもよい。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記第1種の目印は、送り方向において異なる二つの位置に設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、送り方向における異なる二箇所でロール媒体の側端と、前記第1種の目印との位置関係を確認することができる。ここで、仮に、前記第1種の目印を三つ以上設けたとしても、前記傾きの有無の確認のためには二箇所で十分であるので、三つ目以降は無駄となる。つまり、無駄を無くすことができる。
また、送り方向における二箇所の間に目印を設けないので、無駄がない。つまり、送り方向に長尺な目印を一つ設ける構成と比較して、無駄がない。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記第1ホルダー部および前記第2ホルダー部は、ロール媒体の幅方向にそれぞれ移動可能な構成であることを特徴とする。
本態様によれば、第1または第2の態様と同様の作用効果に加え、係る場合に、送り方向に対して前記傾く虞が生じやすいので、前記第1種の目印を有する構成は、特に有効である。
【0012】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、送り経路上における前記第1ホルダー部と前記記録部との間には、前記第1種の目印と異なる目印であり前記所定の範囲を示す第2種の目印が設けられており、該第2種の目印は、幅方向における前記所定の範囲に設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、第3の態様と同様の作用効果に加え、前記第1ホルダー部にロール媒体をセットする際に前記第2種の目印をおおよその目標としてセットすることができる。
【0013】
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれか一の態様において、前記第1ホルダー部から前記第2ホルダー部までの送り経路は、側視逆U字状となる構成であり、前記第1種の目印は、前記逆U字の頂部を基準とした前記第2ホルダー部側に設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、第1から第4のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記逆U字の頂部を基準として巻き取り側に前記第1種の目印がある。従って、ユーザーは、ロール媒体の先端を前記第2ホルダー部まで引き回してセットしながら、前記傾きの有無を容易に確認することができる。
【0014】
また、ユーザーがロール媒体を前記セットした際、前記第2ホルダー部は巻き取る前である。従って、ロール媒体の自重は、前記第2ホルダー部に対してよりも前記第1ホルダー部に対して大きく作用する。そのため、前記第2ホルダー部の方が移動させやすい。
そして、前記傾きがある場合、移動させやすい前記第2ホルダー部を移動させることにより、容易に傾きを無にすることができる。つまり、前記傾きを無にする調整が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例のプリンターの全体構成の概略を示す側断面図。
【図2】本実施例のプリンターの全体構成の概略を示す正面図。
【図3】本実施例の媒体繰り出し手段のロールホルダー装置を示す斜視図
【図4】本実施例のプリンターにおける目印の位置を示す平面図。
【図5】(A)〜(C)は本実施例の目印の使い方について説明する図。
【図6】(A)(B)は他の実施例の目印について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本実施例の記録装置としての大型のインクジェットプリンター1(以下、単にプリンターという。)の全体構成の概略を示す側断面図である。
図1に示す如く、プリンター1は、媒体繰り出し手段26と、記録部28と、巻き取り手段37と、を備えている。このうち、媒体繰り出し手段26は、ロール状に巻かれたロール媒体Rを解いて送り方向Qへ送り出すことができるように構成されている。具体的には、送り出し側ロールホルダーである第1ホルダー部3と、ローラー対29と、を有している。
【0017】
このうち、第1ホルダー部3は、ロール媒体Rの両端部を回動可能に保持することができるように設けられている。第1ホルダー部3は、ロール媒体Rのロール芯11の芯口12に嵌る軸部13と、ロール媒体Rの端部と接触可能なフランジ部9と、を有している。軸部13は、回動自在な構成でも、図示しないモーターの動力によって駆動する構成でもよい。回動自在な構成の場合は、送り方向下流側の駆動するローラー対29によってロール媒体Rが引っ張られて解かれるからである。
尚、第1ホルダー部3は、向い合わせで一対配設されている。そして、このうち少なくとも一方の第1ホルダー部3が、ロール媒体Rの幅寸法の違いに対応してガイド部材7に対して幅方向Xにスライドし取付け位置を調整できるように構成されている。
【0018】
また、第1ホルダー部3の下方には、仮置き部としての仮置き台5と、持ち上げ手段2とが設けられている。仮置き台5は、ロール媒体Rを第1ホルダー部3に取り付ける前に仮に置くための台である。一例として、幅方向Xに延設された二本の第1管部材7a、第2管部材7bによって構成されている。また、持ち上げ手段2は、仮置き台5に置かれた重たいロール媒体Rを容易に上方に持ち上げ、ロール媒体Rの端部を容易に第1ホルダー部3に取り付けることができるように構成されている。
【0019】
具体的に、持ち上げ手段2は、ガイド部材7としての二本の第1管部材7a、第2管部材7bに対して幅方向Xに摺動可能な基体部8と、操作レバー6と、昇降部16と、を備えている。そして、操作レバー6を一方向へ回動させることにより、昇降部16は上昇し、ロール媒体Rを持ち上げることができる。一方、操作レバー6を反対方向へ回動させることにより、昇降部16は下降し、ロール媒体Rを下ろすことができる。
【0020】
また、記録部28は、プリンター本体19を有している。プリンター本体19には、幅方向Xに延設されたキャリッジガイド軸21と、キャリッジ23と、記録ヘッド25と、媒体支持部27とが設けられている。キャリッジ23は、キャリッジガイド軸21にガイドされながら幅方向Xへ移動可能に設けられている。また、記録ヘッド25は、キャリッジ23における媒体支持部27と対向する位置に設けられ、インクをロール媒体Rに対して吐出して記録することができるように構成されている。またさらに、媒体支持部27は、ロール媒体Rを支持し、ロール媒体Rと記録ヘッド25との間の距離を所定の距離にすることができるように設けられている。
【0021】
尚、ローラー対29は、プリンター本体19の内部に設けたが、外部でもよい。ロール媒体Rを送り方向Qへ送ることができればよいからである。
また、プリンター本体19より送り方向上流側にはプレヒーター31が設けられている。ロール媒体Rに対して記録を実行する前の段階で予めロール媒体Rを温めることにより、記録を実行した際、ロール媒体Rに着弾したインクが乾燥しやすくするためである。
またさらに、プリンター本体19より送り方向下流側にはアフターヒーター33が設けられている。ロール媒体Rに着弾したインクを、記録を実行した後から巻き取り手段37によって巻かれる前までの間に、確実に乾燥させるためである。
【0022】
またさらに、巻き取り手段37は、図示しないモーターの動力によってロール媒体Rを巻き取ることができるように設けられている。具体的には、ガイド部材39としての二本の第3管部材39a、第4管部材39bに取り付けられた巻き取り側ロールホルダーとしての第2ホルダー部40を有している。そして、第2ホルダー部40に巻き取ったロール媒体Rを保持することができるように構成されている。
【0023】
また、詳しくは後述するように、ロール媒体Rの送り経路A上における異なる位置、かつ、幅方向側方には、第1種の目印M1が設けられている。第1種の目印M1は、幅方向Xにおけるロール媒体Rの側端R1の位置を確認することができるように、幅方向Xにおける所定の範囲Wに設けられている(図4参照)。本実施例では、第1種の目印M1は、送り経路A上における異なる二つの位置に設けられている。また、ロール媒体Rの送り経路Aは、側視逆U字状となるように構成されている。
【0024】
そして、第1種の目印M1は、送り経路A上において、側視逆U字状の頂部A1を基準とした第2ホルダー部40側に設けられている。
またさらに、送り経路A上における側視逆U字状の頂部A1を基準とした第1ホルダー部3側には、第2種の目印M2が設けられている。第2種の目印M2は、幅方向Xにおける前記所定の範囲Wを示すために前記所定の範囲Wに設けられている。第1種の目印M1および第2種の目印M2の使い方については、後述するものとする。
【0025】
尚、プリンター1は、下端部に移動用のキャスター15を有する側面視逆T字形の支持フレーム17を対向するように左右両端部に備えている。そして、支持フレーム17の上部にプリンター本体19が設けられている。また、支持フレーム17に取り付けられたサブフレーム35に、仮置き台5が取り付けられている。またさらに、第3管部材39a、第4管部材39bの両端は、支持フレーム17から延びた保持部24によって保持されている。
また、図中のZ軸方向は、鉛直方向である。
【0026】
図2に示すのは、本実施例のプリンター1の全体構成の概略を示す正面図である。
図2に示す如く、プリンター1の支持フレーム17を基準とした前側には、第1ホルダー部3が設けられ、後側には、第2ホルダー部40が設けられている。第1ホルダー部3は、前述したように、サブフレーム35によって両端が保持されたガイド部材7としての第1管部材7a、第2管部材7bに対して、スライド可能に設けられている。同様に、第2ホルダー部40は、保持部24によって両端が保持されたガイド部材39としての第3管部材39a、第4管部材39bに対して、スライド可能に設けられている。
【0027】
ここで、第2ホルダー部40の第3管部材39a、第4管部材39bに対する固定の仕方は、第1ホルダー部3の第1管部材7a、第2管部材7bに対する固定の仕方と同様である。以下、第1ホルダー部3を第1管部材7a、第2管部材7bに対して固定する構造について説明するものとし、第2ホルダー部40を第3管部材39a、第4管部材39bに対して固定する構造についての説明は省略する。
【0028】
図3に示すのは、本実施例の媒体繰り出し手段26におけるロール媒体ホルダー装置51を示す斜視図である。
図3に示す如く、媒体繰り出し手段26は、ロール媒体ホルダー装置51を備えている。ロール媒体ホルダー装置51は、ガイド部材7として二本の第1管部材7a、第2管部材7bと、軸部13を有した第1ホルダー部3とを備えている。
【0029】
そして、詳しくは後述するが、つまみ付きのねじ(図示せず)のつまみ部36を、ねじを緩める方向へ回転させることにより、第1ホルダー部3を第1管部材7a、第2管部材7bに対して摺動させることができる。具体的には、第1ホルダー部3の下方に設けられたベース部4が第1管部材7a、第2管部材7bに対して摺動する。一方、ねじを締める方向へ回転させることにより、第1ホルダー部3を第1管部材7a、第2管部材7bに対して固定することができるように構成されている。従って、ロール媒体Rの幅サイズに応じて一対の第1ホルダー部3の位置を調整することができる。
【0030】
尚、持ち上げ手段2は、一対の第1ホルダー部3の間において、第1管部材7a、第2管部材7bに対して摺動可能に設けられている。持ち上げ手段2については、第1管部材7a、第2管部材7bに対して摺動可能な状態と固定した状態とを切り替え可能に構成する必要はない。ロール媒体Rのサイズに応じてロール媒体Rの側端近傍の下方へ摺動させ、ロール媒体Rの側端(R1)を持ち上げることができればよいからである。
【0031】
図4に示すのは、本実施例のプリンター1における目印の位置を示す平面図である。
図4に示す如く、第1種の目印M1は、送り経路A上における送り方向Qにおいて異なる二つに位置、かつ、幅方向側方に設けられている。さらに、幅方向Xにおける前記所定の範囲Wに設けられている。また、同様に第2種の目印M2も、幅方向Xにおける前記所定の範囲Wに設けられている。
続いて、第1種の目印M1および第2種の目印M2の使い方について詳しく説明する。
【0032】
図5(A)〜(C)に示すのは、本実施例の目印の使い方について説明する図である。このうち、図5(A)は第2種の目印M2とロール媒体Rの側端R1との関係を示す図である。また、図5(B)はロール媒体Rの先端を第1ホルダー部3から第2ホルダー部40まで引き回してセットした際にロール媒体Rが送り方向Qに対して傾いていた場合の第1種の目印M1とロール媒体Rの側端R1との関係を示す図である。またさらに、図5(C)は前記傾いていない場合、または前記傾いていた場合に調整した後の状態の第1種の目印M1とロール媒体Rの側端R1との関係を示す図である。
【0033】
図5(A)に示す如く、第2種の目印M2は、幅方向Xにおける前記所定の範囲Wに設けられている。そして、前記所定の範囲Wを示すことができるように設けられている。ユーザーは、ロール媒体Rを第1ホルダー部3に取り付ける際、ロール媒体Rの一方の側端R1が第2種の目印M2上に位置するようにおおよその目標を定めてロール媒体Rを前記取り付ける。
【0034】
これにより、ロール媒体Rの一方の側端R1の位置を、第1種の目印M1上に持ってくることができる。
第2種の目印M2は、ロール媒体Rの一方の側端R1を一の側方に揃える所謂、片側揃えの構成である場合に特に有効である。また、一対の第1ホルダー部3が幅方向Xに摺動可能に設けられている構成である場合に特に有効である。
【0035】
図5(B)に示す如く、第1種の目印M1は、幅方向Xにおけるロール媒体Rの側端R1の位置を確認することができる目盛りである。従って、送り方向Qにおいて異なる二つに位置において、第1種の目印M1とロール媒体Rの側端R1とのそれぞれの相対的な位置関係を読み取ることができる。
そして、ロール媒体Rの先端を第1ホルダー部3から第2ホルダー部40まで引き回してセットした際、第1種の目印M1とロール媒体Rの側端R1とのそれぞれの相対的な位置関係が異なる場合、ロール媒体Rは送り方向Qに対して傾いていることがわかる。
一方、図5(C)に示す如く、送り方向Qにおいて異なる二つに位置に設けられた第1種の目印M1とロール媒体Rの側端R1とのそれぞれの相対的な位置関係が同じである場合、ロール媒体Rは送り方向Qに対して傾いていないことがわかる。
【0036】
図5(C)に示す如く、ロール媒体Rが送り方向Qに対して傾いていない場合、何ら問題はない。
一方、図5(B)に示す如く、ロール媒体Rが送り方向Qに対して傾いている場合、一対の第1ホルダー部3および一対の第2ホルダー部40の少なくとも一方を幅方向Xへ僅かに摺動させる。そして、図5(C)に示す如く、送り方向Qにおいて異なる二つに位置に設けられた第1種の目印M1とロール媒体Rの側端R1とのそれぞれの相対的な位置関係が同じになるように、一対の第1ホルダー部3および一対の第2ホルダー部40の少なくとも一方の位置を調整する。
【0037】
ここで、ロール媒体Rの側端R1の位置を、幅方向Xにおける第1種の目印M1の目盛りの中心に合わせる必要はない。前記所定の範囲W内であればよい。前記所定の範囲W外である場合は第1種の目印M1とロール媒体Rの側端R1とのそれぞれの相対的な位置関係を読み取ることができないからである。
その結果、良好な記録を実行することができる。また、巻き取り手段37によって、ロール媒体Rの側端R1をきれいに揃えて巻き取ることができる。
【0038】
尚、技術的思想としては、一対の第1ホルダー部3および一対の第2ホルダー部40の少なくとも一方の位置を調整すればロール媒体Rが送り方向Qに対して傾いていない状態にすることができるが、一対の第2ホルダー部40の位置を調整することが望ましい。ロール媒体Rの先端を第1ホルダー部3から第2ホルダー部40まで引き回してセットした際、第1ホルダー部3には保持しているロール媒体Rの自重が大きく作用するため、第1ホルダー部3を摺動させにくいからである。
【0039】
一方、記録実行前の第2ホルダー部40にはロール媒体Rの自重が極めて小さく作用するため、第2ホルダー部40を摺動させやすいからである。さらに、ロール媒体Rの先端を第1ホルダー部3から第2ホルダー部40まで引き回してセットした際、ユーザーは、第2ホルダー部40の近傍にいるから、容易に第2ホルダー部40の位置を調整することができるからでもある。
【0040】
また、本実施例において、第1種の目印M1を送り経路A上において側視逆U字状の頂部A1を基準とした第2ホルダー部40側に設けた理由は、前記セットした際、ユーザーは、第2ホルダー部40の近傍にいるからである。また、仮に、第1種の目印M1を前記基準とした第1ホルダー部3側に設けた場合、第2ホルダー部40の近傍にいるユーザーにとって見にくいからでもある。
技術的思想としては、第1種の目印M1が送り経路A上の送り方向Qのおける異なる位置に設けられていればよい。従って、第1種の目印M1の位置は、側視逆U字状の頂部A1を基準とした第2ホルダー部40側に限られない。
【0041】
尚、本実施例において、一対の第1ホルダー部3および一対の第2ホルダー部40を摺動させる構成とした理由は、ロール媒体Rの重量が重いからである。一対のうちの一方のみが摺動する構成では、摺動しない他方へ重量が重いロール媒体Rを押し込む必要があり、前記セットすることが容易ではないからである。
また、第1種の目印M1および第2種の目印M2は、送り経路Aを構成する部材にシールで付したものでもよいし、送り経路Aを構成する部材に直に印刷されたものでもよい。また、送り経路Aを構成する部材に凹凸で形成されたものでもよい。
またさらに、第1種の目印M1の目盛りは、数値が付されていない目盛りが望ましい。数値が付されているとユーザーは0に合わせようとするため、逆に斜行の原因となる虞があるからである。従って、第1種の目印M1の目盛りは、アルファベット等の記号が付されている構成でもよい。
【0042】
また、技術的思想としては、記録を実行した際、ロール媒体Rが送り方向Qに対して傾いていなければよく、幅方向Xにおけるロール媒体Rの位置は問題ではない。キャリッジ23にはロール媒体Rの有無を検出するセンサーが設けられており、ロール媒体Rの両側側端(R1)の位置を検出することができるからである。従って、第1種の目印M1および第2種の目印M2の前記所定の範囲Wは、広くてもよい。特に第1種の目印M1については、ロール媒体Rが送り方向Qに対して傾いているか否かを確認することができればよいからである。
【0043】
本実施例の記録装置であるプリンター1は、ロール媒体Rを保持可能であり、ロール媒体Rを送り方向下流側へ送り出すことが可能な第1ホルダー部3と、送られたロール媒体Rに対して記録する記録部28と、記録されたロール媒体Rを巻き取る第2ホルダー部40と、を備え、第1ホルダー部3および第2ホルダー部40の少なくとも一方は、ロール媒体Rの送り方向Qに対する幅方向Xに移動可能な構成であり、ロール媒体Rの送り経路A上における送り方向Qにおいて異なる位置、かつ、幅方向側方には、幅方向Xにおけるロール媒体Rの側端R1の位置を確認することができる第1種の目印M1が設けられており、第1種の目印M1は、幅方向Xにおける所定の範囲Wに設けられていることを特徴とする。
【0044】
また、本実施例において、第1種の目印M1、M1は、送り方向Qにおいて異なる二つの位置に設けられていることを特徴とする。
またさらに、本実施例において、第1ホルダー部3および第2ホルダー部40は、ロール媒体Rの幅方向Xにそれぞれ移動可能な構成であることを特徴とする。
【0045】
また、本実施例において、送り経路A上における第1ホルダー部3と記録部28との間には、第1種の目印M1と異なる目印であり所定の範囲Wを示す第2種の目印M2が設けられており、第2種の目印M2は、幅方向Xにおける所定の範囲Wに設けられていることを特徴とする。
またさらに、本実施例において、第1ホルダー部3から第2ホルダー部40までの送り経路Aは、側視逆U字状となる構成であり、第1種の目印M1は、前記逆U字の頂部A1を基準とした第2ホルダー部40側に設けられていることを特徴とする。
【0046】
[他の実施例]
図6(A)(B)に示すのは、他の実施例の第1種の目印M3について説明する図である。このうち、図6(A)はロール媒体Rの先端を第1ホルダー部3から第2ホルダー部40まで引き回してセットした際にロール媒体Rが送り方向Qに対して傾いていた場合の第1種の目印M3とロール媒体Rの側端R1との関係を示す図である。またさらに、図6(B)は前記傾いていない場合、または前記傾いていた場合に調整した後の状態の第1種の目印M3とロール媒体Rの側端R1との関係を示す図である。
【0047】
図6(A)(B)に示す如く、他の実施例の第1種の目印M3は、前述した実施例と比較して送り方向Qに長尺に設けられている。そして、一つの第1種の目印M3が、送り経路A上の送り方向Qにおける二つの異なる位置をカバーすることができるように構成されている。従って、前述した実施例と同様の作用効果を得ることができる。その他の部材については、前述した実施例と同様であるので、同じ符号を用いることとし、その説明は省略する。
【0048】
また、図6(A)に示す如く、ロール媒体Rが送り方向Qに対して傾いていた場合において、一対の第1ホルダー部3および一対の第2ホルダー部40の少なくとも一方を幅方向Xへ僅かに摺動させる。
そして、図6(B)に示す如く、ロール媒体Rが送り方向Qに対して傾いていない状態に調整する。
【0049】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 プリンター、2 持ち上げ手段、3 第1ホルダー部、4 ベース部、
5 仮置き台、6 操作レバー、7 ガイド部材、7a 第1管部材、
7b 第2管部材、8 基体部、9 フランジ部、11 ロール芯、12 芯口、
13 (第1ホルダー部の)軸部、15 キャスター、17 支持フレーム、
19 プリンター本体、21 キャリッジガイド軸、23 キャリッジ、24 保持部、
25 記録ヘッド、26 媒体繰り出し手段、27 媒体支持部、28 記録部、
29 ローラー対、31 プレヒーター、33 アフターヒーター、
35 サブフレーム、36 つまみ部、37 巻き取り手段、39 ガイド部材、
39a 第3管部材、39b 第4管部材、40 第2ホルダー部、
51 ロール媒体ホルダー装置、A 送り経路、A1 頂部、M1 第1種の目印、
M2 第2種の目印、M3 (他の実施例の)第1種の目印、Q 送り方向、
R ロール媒体、R1 側端、W 所定の範囲、X 幅方向、Z 鉛直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール媒体を保持可能であり、ロール媒体を送り方向下流側へ送り出すことが可能な第1ホルダー部と、
送られたロール媒体に対して記録する記録部と、
記録されたロール媒体を巻き取る第2ホルダー部と、を備え、
前記第1ホルダー部および前記第2ホルダー部の少なくとも一方は、ロール媒体の送り方向に対する幅方向に移動可能な構成であり、
ロール媒体の送り経路上における送り方向において異なる位置、かつ、幅方向側方には、幅方向におけるロール媒体の側端の位置を確認することができる第1種の目印が設けられており、該第1種の目印は、幅方向における所定の範囲に設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記第1種の目印は、送り方向において異なる二つの位置に設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の記録装置において、前記第1ホルダー部および前記第2ホルダー部は、ロール媒体の幅方向にそれぞれ移動可能な構成である記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、送り経路上における前記第1ホルダー部と前記記録部との間には、前記第1種の目印と異なる目印であり前記所定の範囲を示す第2種の目印が設けられており、該第2種の目印は、幅方向における前記所定の範囲に設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の記録装置において、前記第1ホルダー部から前記第2ホルダー部までの送り経路は、側視逆U字状となる構成であり、
前記第1種の目印は、前記逆U字の頂部を基準とした前記第2ホルダー部側に設けられていることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−28445(P2013−28445A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166551(P2011−166551)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】