診療椅子の頭背部傾斜機構
【課題】診療椅子にて仰臥診療をする際に患者に無理のない体勢をとらせることである。
【解決手段】頭背部傾斜機構は、診療椅子におけるヘッドレスト1のヘッドレストアーム5側に、ブラケット7を介してギアードモータ8を取り付け、一方、クッション側のクッション基台3に左右回転駆動支持部材9を固定し、左右回転駆動支持部材9の下部に診療椅子の縦方向に沿った回転軸10を固定し、この回転軸10にギアードモータ8の回転軸8aを連結して成り、ギアードモータ8の回転によりヘッドレスト1を回動させ患者の頭部を側方に傾斜させる。
【解決手段】頭背部傾斜機構は、診療椅子におけるヘッドレスト1のヘッドレストアーム5側に、ブラケット7を介してギアードモータ8を取り付け、一方、クッション側のクッション基台3に左右回転駆動支持部材9を固定し、左右回転駆動支持部材9の下部に診療椅子の縦方向に沿った回転軸10を固定し、この回転軸10にギアードモータ8の回転軸8aを連結して成り、ギアードモータ8の回転によりヘッドレスト1を回動させ患者の頭部を側方に傾斜させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、医療用の診療椅子に着座した患者の頭部や背部を診療しやすい角度に傾斜させる頭背部傾斜機構に関し、特に歯科診療椅子に関する。
【背景技術】
【０００２】
歯科診療椅子のヘッドレストは、患者の頭部を載せたときに、顎が引けると開口が困難になる。従って診療を容易にするためには頭頂部を後方に傾斜させ、顎を若干突き出した状態に位置づけ、自然に開口できるような姿勢をとらせなければならない。これにより患者の姿勢がやや上方に弓形に反り返り、頭部がねじれた状態になる。このように体軸を長時間にわたって傾斜させると首筋や肩が強張り、首や肩が凝るなど患者に苦痛を与える。そこで診療椅子に着座した患者に苦痛を与えずに体位を変更する方法として各種提案がなされているが、例えば特許文献１および２に示される技術が公知となっている。
【０００３】
特許文献１の技術は、横方向の移動台を介してバックレストを横方向に移動可能にすると共に、ヘッドレストを診療台の縦方向に伸縮可能にし、更にヘッドレストを診療台の縦方向を軸として回動可能に構成したもので、バックレストを横方向に移動し、かつヘッドレストを診療台の縦方向に伸縮し、または縦方向の軸を中心に手動で回動することにより患者の体形、姿勢に応じた最適位置にヘッドレストを移動させるものである。
【０００４】
また、特許文献２の技術は、患者の頭部を受けるヘッドレストに、その中心点から四方に独立した気室を配設し、この気室それぞれに空気の供給および排出をして気室を膨縮させ、気室の上面に3次元的面を形成することにより患者の頭部を自在に傾斜させるものである。
【０００５】
しかしながら、前記従来の診療椅子のバックレストやヘッドレストは患者の体位を傾斜させることができない構成になっているために、患者を診療しやすい体位に傾斜させると患者に無理な姿勢をとらせることになり、大変な苦痛を与えることになる。
【０００６】
また前記特許文献１の発明の場合は、着座した患者の背中や頭部をクッションで持ち上げることができるものの体位を傾斜させることができないなどの問題がある。
【０００７】
特許文献２の場合は、ヘッドレストの面に配設された4個の気室それぞれに空気を供給および排出する複雑な構成で、本願の構成とは異なるものである。そのほかにアームレストをバックレストの前後傾斜角度に連動して傾斜させ、患者に不快感を持たせない姿勢をとらせるものではあるが、バックレストを左右に傾斜させる構成は開示されていないなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】実開昭５６−５６３２５号公報
【特許文献２】特開平１−２１４３６３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
解決しようとする問題点は、診療椅子にて仰臥診療をする際に患者に無理のない体勢をとらせることである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
本発明の頭背部傾斜機構は、診療椅子におけるヘッドレストに頭部傾斜手段をおよび／またはバックレストに背部傾斜手段を施して、ヘッドレストやバックレストを側方に傾斜させることを特徴とする。前記頭部傾斜手段は、モータ駆動により診療椅子の縦方向の軸を中心にヘッドレストを回動させ、またはモータ駆動によりギアとラックを介してヘッドレストを遥動させる。一方、前記背部傾斜手段は、バックレストを診療椅子の縦方向に３分割し、分割された両側方部を可動部として、この可動部をアクチュエータにて回動させ、またはモータ駆動によりギアとラックを介してバックレストをヘッドレストと共に遥動させることにより患者の背部および頭部を同時に側方に傾斜させるものである。またこれらの傾斜手段を適宜に組み合わせて診療椅子に適用することが可能である。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の頭背部傾斜機構は、診療椅子のヘッドレストおよび／またはバックレストを側方に傾斜させることにより診療椅子に仰臥した患者に無理のない傾斜体位をとらせることができる。これにより長時間の診療でも患者に負担をかけることがない。また、歯科診療も高度化が進み、診療時間も長くなる傾向にある。そして歯科診療においては特に患者として診療ポジションをとったときの口の開け心地が重要であるといわれており、また患者を水平体位で診療すると喉部に治療用の水が溜まり患者に不快な思いをさせることになる。
これらは次に挙げる条件の場合に問題になりやすい。
・治療時間が長くなる場合 ・中高年で喉の筋肉が衰えている場合
・局所麻酔をかけた場合 ・嘔吐反応が強い場合
・首や肩などに障害がある場合 ・治療に飽きやすい小児の場合
これらの問題については、本発明の頭背部傾斜機構を使用することにより口腔を左右のどちらかにゆったりと傾けることができるので、唾液などは頬側に溜まり、不意に唾液を飲み込む心配がなくなる。更に長時間の開口も容易になり治療がしやすくなるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】回動式頭部傾斜機構の一部を断面にした側面図である。（実施例１）
【図２】図1のA−A矢示断面図である。（実施例１）
【図３】ヘッドレストの作動を示す図である。（実施例１）
【図４】遥動式頭部傾斜機構の一部を断面にした側面図である。（実施例２）
【図５】図4のB−B矢示断面図である。（実施例２）
【図６】ヘッドレストの作動を示す図である。（実施例２）
【図７】回動式背部傾斜機構を示す診療椅子の背面図である。（実施例３）
【図８】バックレストの作動を示す図である。（実施例３）
【図９】遥動式背部傾斜機構を示す診療椅子の背面図である。（実施例４）
【図１０】バックレストの作動を示す図である。（実施例４）
【図１１】ヘッドレストとバックレストの同時遥動を示す図である。（実施例４）
【図１２】（a）はエアバック式頭背部傾斜機構を示す診療椅子の正面図、（b）はエアバックの断面図を示す図、（c）は隔壁を設けたエアバックの断面図である。（実施例５）
【発明を実施するための形態】
【００１３】
診療椅子にて仰臥診療をする患者に無理のない体勢をとらせるという目的を、ヘッドレストおよび／またはバックドレストに頭部傾斜手段や背部傾斜手段を設けて患者の頭部や背部を無理なく左右に傾斜せることを実現した。
【実施例１】
【００１４】
本実施例に係るヘッドレスト1は、図1および図2に示すようにクッション2と、クッション2が貼設されたクッション基台3と、バックレスト側に伸延自在かつ上下（矢印A方向）に回動自在に設けられたヘッドレスト支持部材4およびヘッドレストアーム5を備えた構成である。本実施例では頭部傾斜機構として、このヘッドレストアーム5側に設けられたヘッドレスト基体6に、ブラケット7を介してギアードモータ8を、その軸8aを診療台の縦方向に沿って取り付け、一方、クッション基台3に左右回転駆動支持部材9を固定すると共に、左右回転駆動支持部材9の下部に回転軸10を固定し、回転軸10の両端を軸受11にて回動自在に支持させ、この回転軸10に対し、カップリング12を介してギアードモータ8の回転軸8aを連結したもので、ギアードモータ8の駆動にて左右回転駆動支持部材9を側方に（矢印B方向）回動する回動式頭部傾斜機構に構成されている。
【００１５】
以上により本実施例の頭部傾斜機構は、図3（a）に示すヘッドレスト1を傾斜させない基本位置からギアードモータ8の駆動により無段階に（b）図に示す左方に、または（c）図に示す右方にヘッドレスト1を回動して患者の頭部31を傾斜させることができる。
【実施例２】
【００１６】
図4および図5に示す本実施例の頭部傾斜機構は、前記実施例１にてギアードモータ8の駆動にてヘッドレスト1を回動する構成にしたことに替えて、ヘッドレスト装着部材16の裏面側に円弧状のラック13を固定し、一方、ヘッドレストアーム5側に設けられたヘッドレスト基体6にブラケット7を介してギアードモータ8を固定すると共に、このギアードモータ8の回転軸8aにギア15を固定し、このギア15と前記ラック13を歯合させてギアードモータ8を駆動することによりヘッドレスト1を遥動する遥動式頭部傾斜機構に構成されている。この場合、クッション2はクッション基台3（図5）を介してヘッドレスト装着部材16に固定され、また図4（a）（b）に示すようにヘッドレスト装着部材16とヘッドレスト基体6との間にはガイド溝17とガイド18が係合してヘッドレスト1の遥動が滑らかにガイドされる構成になっている。なおガイド18はネジ19にてヘッドレスト基体6側に固定されている。
【００１７】
以上により本実施例の頭部傾斜機構は、図6（a）に示すようにヘッドレスト1を傾斜させない基本位置からギアードモータ8の駆動により無段階に（b）図に示す左方に、または（c）図に示す右方にヘッドレスト1を遥動して頭部31を傾斜させることができる。
【実施例３】
【００１８】
図7の実施例は、前記実施例１および２にて頭部傾斜機構について説明したことに替えて、背部傾斜機構について説明する。なお、上記実施形態と共通する部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図7に示すようにバックレスト25を診療椅子の縦方向に３分割し、分割したそれぞれを中央バックレスト本体20と、左回転用支持部材21と、右回転用支持部材22とし、それぞれの相互間を４箇所の回転支持部24にて回動自在に連結する。更に左回転用支持部材21および右回転用支持部材22と中央バックレスト本体20との間を回転支持部36を介してアクチュエータ23にて連結し、アクチュエータ23の作動により左回転用支持部材21と右回転用支持部材22を回動させる構成となっている。なお符合26はアームレスト、27は座部を示す。
【００１９】
以上により本実施例の背部傾斜機構は、図8（a）に示すように左回転用支持部材21と右回転用支持部材22を傾斜させない基本位置からアクチュエータ23の駆動により無段階に（b）図に示す左方に、または（c）図に示す右方にバックレスト25を回動して傾斜させることができる。
【実施例４】
【００２０】
図9に示す本実施例の背部傾斜機構は、前記実施例３にてアクチュエータ23の駆動により左回転用支持部材21および右回転用支持部材22を回動させる構成にしたことに替えて、モータの駆動によりギア15とラック13にてバックレスト25を遥動させる構成にしたものである。
【００２１】
図9はバックレスト25を背面側から視た図であり、バックレストステー28側に、ギアードモータ8を固定すると共にモータ軸8a端にギア15を固定し、一方、バックレスト25側に図10に示す円弧状のラック13を固定し、ギア15とラック13とを歯合させ、ギアードモータ8を駆動することによりバックレスト25全体を遥動する遥動式背部傾斜機構に構成されている。なおバックレスト左右回転用支持部材35側とバックレストステー28側との間はガイド溝17とガイド18により遥動が滑らかにガイドされる構成になっている。
【００２２】
以上により本実施例の背部傾斜機構は、ギアードモータ8を駆動しない図10（a）の基本位置からギアードモータ8を駆動することにより無段階に遥動してバックレスト25を、（b）図に示す左方に、または（c）図に示す右方に遥動して傾斜させることができる。なお本実施例では図11に示すようにヘッドレスト1はバックレスト25と同時に矢印で示す左右方向に遥動することができる。
【実施例５】
【００２３】
図12に示す本実施例は、頭部傾斜手段として、ヘッドレスト1における縦中心の左右にエアパッド29を着脱自在に独立配置し、左右それぞれのエアパッド29にエアチューブ30を接続して空気を供給または排出することによりエアパッド29の面に傾斜面を形成して、患者の頭部を側方に傾斜させる頭部傾斜機構に成されている。また背部傾斜手段として、バックレスト25における縦中心の左右にエアパッド32を着脱自在に独立配置し、左右それぞれのエアパッド32に空気を供給しまたは排出することによりエアパッド32の面に傾斜面を形成し、患者の背部を側方に傾斜させる背部傾斜機構に構成されたものである。
【００２４】
上記は頭部傾斜機構と背部傾斜機構を別々に操作して傾斜面を形成する例であるが、前記頭部傾斜機構と背部傾斜機構を連動させることにより頭背部を同時に傾斜させることができる。なお（b）図に示すようにエアパッド29,32に空気を供給して膨張させ、エアパッド29,32の面に所望の傾斜面を形成させるために、例えば（c）図に示すようにパッド内部に高さが異なる複数の隔壁33を設けるなどの対策が望ましい。この場合、隔壁には複数の連通孔34を形成して全体の空気圧を平均化するのも一策と思われる。また隔壁に連通孔を設けずに独立した複数の気室に形成し、各気室に適宜な空気量を供給して傾斜角度を調整する構成にしてもよい。
【実施例６】
【００２５】
以上は各種頭背部傾斜機構の構成例について説明したが、以下に各種頭背部傾斜機構の組み合わせ例について説明する。
【００２６】
組み合わせ例１、モータ駆動により診療椅子の縦方向の軸を中心にヘッドレスト1を回動させる機械的傾斜機構と、診療椅子のバックレスト25を縦方向に３分割し、分割された両側方の左回転用支持部材21および右回転用支持部材22をアクチュエータ23にて前記ヘッドレスト1の回動に連動して回動させる機械的傾斜機構との組み合わせ。この場合、例えばヘッドレスト1を35°傾斜させ、これに連動してバックレスト25をヘッドレスト1と同一方向に25°傾斜させることができる。
【００２７】
組み合わせ例２、モータ駆動により診療椅子の縦方向の軸を中心にヘッドレスト1を回動させる機械的傾斜機構と、前記ヘッドレスト1の回動に連動してモータ駆動によりギア15とラック13を介してバックレスト25を遥動させ、同時に該バックレスト25に装着されたヘッドレスト1を遥動させる機械的傾斜機構との組み合わせ。この場合、例えばヘッドレスト1を10°傾斜させた後、ヘッドレスト1とバックレスト25を同時に同一方向に25°傾斜させ、前記例１と同様にヘッドレスト1を35°、バックレスト25を25°傾斜させることができる。
【００２８】
組み合わせ例３、モータ駆動によりギア15とラック13を介してヘッドレスト1を遥動させる機械的傾斜機構と、診療椅子のバックレスト25を縦方向に３分割し、分割された両側方の左回転用支持部材21および右回転用支持部材22をアクチュエータ23にて前記ヘッドレスト1の遥動に連動して回動させる機械的傾斜機構との組み合わせ。この場合、例えばヘッドレスト1を35°傾斜させ、ヘッドレスト1に連動してバックレスト25を同一方向に25°傾斜させることができる。
【００２９】
組み合わせ例４、モータ駆動によりギア15とラック13を介してヘッドレスト1を遥動させる機械的傾斜機構と、モータ駆動によりギア13とラック15を介してバックレスト25を、該バックレスト25に装着されたヘッドレスト1と共に遥動させる機械的傾斜機構との組み合わせ。この場合、例えばヘッドレスト1を10°傾斜させた後、ヘッドレスト1とバックレスト25を同時に同一方向に傾斜させる。これによりヘッドレスト1は最終的に35°、バックレスト25は25°傾斜させることができる。
【００３０】
組み合わせ例５、モータ駆動により診療椅子の縦方向の軸を中心にヘッドレスト1を回動させる機械的傾斜機構と、エアパッド29をバックレスト25に装着して該バックレスト25の面をエアパッド29にて傾斜させるエアパッド式傾斜機構との組み合わせ。この場合、ヘッドレスト1の回動に連動してバックレスト25を傾斜させることができる。
【００３１】
組み合わせ例６、モータ駆動によりギア15とラック13を介してヘッドレスト1を遥動させる機械的傾斜機構と、エアパッド29をバックレスト25に装着して該バックレスト25の面を傾斜させるエアパッド式傾斜機構との組み合わせ。この場合、ヘッドレスト1の遥動に連動してバックレスト25を傾斜させることができる。
【００３２】
組み合わせ例７、エアパッド29をヘッドレスト1に装着して該ヘッドレスト1の面を傾斜させるエアパッド式傾斜機構と、バックレスト25を診療椅子の縦方向に３分割し、分割された両側方の左回転用支持部材21および右回転用支持部材22をアクチュエータ23にて回動させる機械的傾斜機構との組み合わせ。この場合、ヘッドレスト1の傾斜に連動してバックレスト25を傾斜させることができる。
【００３３】
組み合わせ例８、エアパッド29をヘッドレスト1に装着して該ヘッドレスト1の面を傾斜させるエアパッド式傾斜機構と、モータ駆動によりギア15とラック13を介してバックレスト25を、該バックレスト25に装着されたヘッドレスト1と共に遥動させる機械的傾斜機構との組み合わせ。この場合、ヘッドレスト1の傾斜に連動してバックレスト25を傾斜させることができる。
【００３４】
上記各組み合わせにおいて、ヘッドレスト1の機械的傾斜機構とバックレスト25のエアパッド式傾斜機構との組み合わせでは、ヘッドレスト1の水平位置を基準として機械的傾斜機構のモータの回転を制御するモータの時間制御と、エアパッド式傾斜機構のエア流量調整バルブの制御とを連動させることでヘッドレスト1とバックレスト25との角度差を連動して調整することができる。なおモータの時間制御に替えてステッピングモータの回転角度を調整する方式にしてもよく、モータ軸にエンコーダ（角度センサ）をつけ、回転角度を調整して回転角度に連動してエア流量を算出する方式にしてもよい。またヘッドレスト1のエアパッド式傾斜機構とバックレスト25の機械的傾機構との組み合わせでは、ヘッドレスト1のエアパッド29へのエア供給時間とモータ回転時間を連動させることで角度差を調整することができる。
【００３５】
以上述べた各実施例の頭背部傾斜機構は、診療椅子のバックレスト25および／またはヘッドレスト1を側方に傾斜することにより診療椅子に仰臥した患者に無理のない傾斜体位をとらせることができる。これにより長時間の診療でも患者に負担をかけることがない。
【符号の説明】
【００３６】
1 ヘッドレスト
2 クッション
3 クッション基台
4 ヘッドレスト支持部材
5 ヘッドレストアーム
6 ヘッドレスト基体
7 ブラケット
8 ギアードモータ
9 左右回転駆動支持部材
10 回転軸
11 軸受
12 カップリング
13 ラック
15 ギア
16 ヘッドレスト装着部材
17 ガイド溝
18 ガイド
19 ネジ
20 中央バックレスト本体
21 左回転用支持部材
22 右回転用支持部材
23 アクチュエータ
24 回転支持部
25 バックレスト
26 アームレスト
27 座部
28 バックレストステー
29 エアパッド
30 エアチューブ
31 頭部
32 エアパッド
33 隔壁
34 連通孔
35 バックレスト左右回転用支持部材
36 回転支持部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、医療用の診療椅子に着座した患者の頭部や背部を診療しやすい角度に傾斜させる頭背部傾斜機構に関し、特に歯科診療椅子に関する。
【背景技術】
【０００２】
歯科診療椅子のヘッドレストは、患者の頭部を載せたときに、顎が引けると開口が困難になる。従って診療を容易にするためには頭頂部を後方に傾斜させ、顎を若干突き出した状態に位置づけ、自然に開口できるような姿勢をとらせなければならない。これにより患者の姿勢がやや上方に弓形に反り返り、頭部がねじれた状態になる。このように体軸を長時間にわたって傾斜させると首筋や肩が強張り、首や肩が凝るなど患者に苦痛を与える。そこで診療椅子に着座した患者に苦痛を与えずに体位を変更する方法として各種提案がなされているが、例えば特許文献１および２に示される技術が公知となっている。
【０００３】
特許文献１の技術は、横方向の移動台を介してバックレストを横方向に移動可能にすると共に、ヘッドレストを診療台の縦方向に伸縮可能にし、更にヘッドレストを診療台の縦方向を軸として回動可能に構成したもので、バックレストを横方向に移動し、かつヘッドレストを診療台の縦方向に伸縮し、または縦方向の軸を中心に手動で回動することにより患者の体形、姿勢に応じた最適位置にヘッドレストを移動させるものである。
【０００４】
また、特許文献２の技術は、患者の頭部を受けるヘッドレストに、その中心点から四方に独立した気室を配設し、この気室それぞれに空気の供給および排出をして気室を膨縮させ、気室の上面に3次元的面を形成することにより患者の頭部を自在に傾斜させるものである。
【０００５】
しかしながら、前記従来の診療椅子のバックレストやヘッドレストは患者の体位を傾斜させることができない構成になっているために、患者を診療しやすい体位に傾斜させると患者に無理な姿勢をとらせることになり、大変な苦痛を与えることになる。
【０００６】
また前記特許文献１の発明の場合は、着座した患者の背中や頭部をクッションで持ち上げることができるものの体位を傾斜させることができないなどの問題がある。
【０００７】
特許文献２の場合は、ヘッドレストの面に配設された4個の気室それぞれに空気を供給および排出する複雑な構成で、本願の構成とは異なるものである。そのほかにアームレストをバックレストの前後傾斜角度に連動して傾斜させ、患者に不快感を持たせない姿勢をとらせるものではあるが、バックレストを左右に傾斜させる構成は開示されていないなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】実開昭５６−５６３２５号公報
【特許文献２】特開平１−２１４３６３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
解決しようとする問題点は、診療椅子にて仰臥診療をする際に患者に無理のない体勢をとらせることである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
本発明の頭背部傾斜機構は、診療椅子におけるヘッドレストに頭部傾斜手段をおよび／またはバックレストに背部傾斜手段を施して、ヘッドレストやバックレストを側方に傾斜させることを特徴とする。前記頭部傾斜手段は、モータ駆動により診療椅子の縦方向の軸を中心にヘッドレストを回動させ、またはモータ駆動によりギアとラックを介してヘッドレストを遥動させる。一方、前記背部傾斜手段は、バックレストを診療椅子の縦方向に３分割し、分割された両側方部を可動部として、この可動部をアクチュエータにて回動させ、またはモータ駆動によりギアとラックを介してバックレストをヘッドレストと共に遥動させることにより患者の背部および頭部を同時に側方に傾斜させるものである。またこれらの傾斜手段を適宜に組み合わせて診療椅子に適用することが可能である。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の頭背部傾斜機構は、診療椅子のヘッドレストおよび／またはバックレストを側方に傾斜させることにより診療椅子に仰臥した患者に無理のない傾斜体位をとらせることができる。これにより長時間の診療でも患者に負担をかけることがない。また、歯科診療も高度化が進み、診療時間も長くなる傾向にある。そして歯科診療においては特に患者として診療ポジションをとったときの口の開け心地が重要であるといわれており、また患者を水平体位で診療すると喉部に治療用の水が溜まり患者に不快な思いをさせることになる。
これらは次に挙げる条件の場合に問題になりやすい。
・治療時間が長くなる場合 ・中高年で喉の筋肉が衰えている場合
・局所麻酔をかけた場合 ・嘔吐反応が強い場合
・首や肩などに障害がある場合 ・治療に飽きやすい小児の場合
これらの問題については、本発明の頭背部傾斜機構を使用することにより口腔を左右のどちらかにゆったりと傾けることができるので、唾液などは頬側に溜まり、不意に唾液を飲み込む心配がなくなる。更に長時間の開口も容易になり治療がしやすくなるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】回動式頭部傾斜機構の一部を断面にした側面図である。（実施例１）
【図２】図1のA−A矢示断面図である。（実施例１）
【図３】ヘッドレストの作動を示す図である。（実施例１）
【図４】遥動式頭部傾斜機構の一部を断面にした側面図である。（実施例２）
【図５】図4のB−B矢示断面図である。（実施例２）
【図６】ヘッドレストの作動を示す図である。（実施例２）
【図７】回動式背部傾斜機構を示す診療椅子の背面図である。（実施例３）
【図８】バックレストの作動を示す図である。（実施例３）
【図９】遥動式背部傾斜機構を示す診療椅子の背面図である。（実施例４）
【図１０】バックレストの作動を示す図である。（実施例４）
【図１１】ヘッドレストとバックレストの同時遥動を示す図である。（実施例４）
【図１２】（a）はエアバック式頭背部傾斜機構を示す診療椅子の正面図、（b）はエアバックの断面図を示す図、（c）は隔壁を設けたエアバックの断面図である。（実施例５）
【発明を実施するための形態】
【００１３】
診療椅子にて仰臥診療をする患者に無理のない体勢をとらせるという目的を、ヘッドレストおよび／またはバックドレストに頭部傾斜手段や背部傾斜手段を設けて患者の頭部や背部を無理なく左右に傾斜せることを実現した。
【実施例１】
【００１４】
本実施例に係るヘッドレスト1は、図1および図2に示すようにクッション2と、クッション2が貼設されたクッション基台3と、バックレスト側に伸延自在かつ上下（矢印A方向）に回動自在に設けられたヘッドレスト支持部材4およびヘッドレストアーム5を備えた構成である。本実施例では頭部傾斜機構として、このヘッドレストアーム5側に設けられたヘッドレスト基体6に、ブラケット7を介してギアードモータ8を、その軸8aを診療台の縦方向に沿って取り付け、一方、クッション基台3に左右回転駆動支持部材9を固定すると共に、左右回転駆動支持部材9の下部に回転軸10を固定し、回転軸10の両端を軸受11にて回動自在に支持させ、この回転軸10に対し、カップリング12を介してギアードモータ8の回転軸8aを連結したもので、ギアードモータ8の駆動にて左右回転駆動支持部材9を側方に（矢印B方向）回動する回動式頭部傾斜機構に構成されている。
【００１５】
以上により本実施例の頭部傾斜機構は、図3（a）に示すヘッドレスト1を傾斜させない基本位置からギアードモータ8の駆動により無段階に（b）図に示す左方に、または（c）図に示す右方にヘッドレスト1を回動して患者の頭部31を傾斜させることができる。
【実施例２】
【００１６】
図4および図5に示す本実施例の頭部傾斜機構は、前記実施例１にてギアードモータ8の駆動にてヘッドレスト1を回動する構成にしたことに替えて、ヘッドレスト装着部材16の裏面側に円弧状のラック13を固定し、一方、ヘッドレストアーム5側に設けられたヘッドレスト基体6にブラケット7を介してギアードモータ8を固定すると共に、このギアードモータ8の回転軸8aにギア15を固定し、このギア15と前記ラック13を歯合させてギアードモータ8を駆動することによりヘッドレスト1を遥動する遥動式頭部傾斜機構に構成されている。この場合、クッション2はクッション基台3（図5）を介してヘッドレスト装着部材16に固定され、また図4（a）（b）に示すようにヘッドレスト装着部材16とヘッドレスト基体6との間にはガイド溝17とガイド18が係合してヘッドレスト1の遥動が滑らかにガイドされる構成になっている。なおガイド18はネジ19にてヘッドレスト基体6側に固定されている。
【００１７】
以上により本実施例の頭部傾斜機構は、図6（a）に示すようにヘッドレスト1を傾斜させない基本位置からギアードモータ8の駆動により無段階に（b）図に示す左方に、または（c）図に示す右方にヘッドレスト1を遥動して頭部31を傾斜させることができる。
【実施例３】
【００１８】
図7の実施例は、前記実施例１および２にて頭部傾斜機構について説明したことに替えて、背部傾斜機構について説明する。なお、上記実施形態と共通する部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図7に示すようにバックレスト25を診療椅子の縦方向に３分割し、分割したそれぞれを中央バックレスト本体20と、左回転用支持部材21と、右回転用支持部材22とし、それぞれの相互間を４箇所の回転支持部24にて回動自在に連結する。更に左回転用支持部材21および右回転用支持部材22と中央バックレスト本体20との間を回転支持部36を介してアクチュエータ23にて連結し、アクチュエータ23の作動により左回転用支持部材21と右回転用支持部材22を回動させる構成となっている。なお符合26はアームレスト、27は座部を示す。
【００１９】
以上により本実施例の背部傾斜機構は、図8（a）に示すように左回転用支持部材21と右回転用支持部材22を傾斜させない基本位置からアクチュエータ23の駆動により無段階に（b）図に示す左方に、または（c）図に示す右方にバックレスト25を回動して傾斜させることができる。
【実施例４】
【００２０】
図9に示す本実施例の背部傾斜機構は、前記実施例３にてアクチュエータ23の駆動により左回転用支持部材21および右回転用支持部材22を回動させる構成にしたことに替えて、モータの駆動によりギア15とラック13にてバックレスト25を遥動させる構成にしたものである。
【００２１】
図9はバックレスト25を背面側から視た図であり、バックレストステー28側に、ギアードモータ8を固定すると共にモータ軸8a端にギア15を固定し、一方、バックレスト25側に図10に示す円弧状のラック13を固定し、ギア15とラック13とを歯合させ、ギアードモータ8を駆動することによりバックレスト25全体を遥動する遥動式背部傾斜機構に構成されている。なおバックレスト左右回転用支持部材35側とバックレストステー28側との間はガイド溝17とガイド18により遥動が滑らかにガイドされる構成になっている。
【００２２】
以上により本実施例の背部傾斜機構は、ギアードモータ8を駆動しない図10（a）の基本位置からギアードモータ8を駆動することにより無段階に遥動してバックレスト25を、（b）図に示す左方に、または（c）図に示す右方に遥動して傾斜させることができる。なお本実施例では図11に示すようにヘッドレスト1はバックレスト25と同時に矢印で示す左右方向に遥動することができる。
【実施例５】
【００２３】
図12に示す本実施例は、頭部傾斜手段として、ヘッドレスト1における縦中心の左右にエアパッド29を着脱自在に独立配置し、左右それぞれのエアパッド29にエアチューブ30を接続して空気を供給または排出することによりエアパッド29の面に傾斜面を形成して、患者の頭部を側方に傾斜させる頭部傾斜機構に成されている。また背部傾斜手段として、バックレスト25における縦中心の左右にエアパッド32を着脱自在に独立配置し、左右それぞれのエアパッド32に空気を供給しまたは排出することによりエアパッド32の面に傾斜面を形成し、患者の背部を側方に傾斜させる背部傾斜機構に構成されたものである。
【００２４】
上記は頭部傾斜機構と背部傾斜機構を別々に操作して傾斜面を形成する例であるが、前記頭部傾斜機構と背部傾斜機構を連動させることにより頭背部を同時に傾斜させることができる。なお（b）図に示すようにエアパッド29,32に空気を供給して膨張させ、エアパッド29,32の面に所望の傾斜面を形成させるために、例えば（c）図に示すようにパッド内部に高さが異なる複数の隔壁33を設けるなどの対策が望ましい。この場合、隔壁には複数の連通孔34を形成して全体の空気圧を平均化するのも一策と思われる。また隔壁に連通孔を設けずに独立した複数の気室に形成し、各気室に適宜な空気量を供給して傾斜角度を調整する構成にしてもよい。
【実施例６】
【００２５】
以上は各種頭背部傾斜機構の構成例について説明したが、以下に各種頭背部傾斜機構の組み合わせ例について説明する。
【００２６】
組み合わせ例１、モータ駆動により診療椅子の縦方向の軸を中心にヘッドレスト1を回動させる機械的傾斜機構と、診療椅子のバックレスト25を縦方向に３分割し、分割された両側方の左回転用支持部材21および右回転用支持部材22をアクチュエータ23にて前記ヘッドレスト1の回動に連動して回動させる機械的傾斜機構との組み合わせ。この場合、例えばヘッドレスト1を35°傾斜させ、これに連動してバックレスト25をヘッドレスト1と同一方向に25°傾斜させることができる。
【００２７】
組み合わせ例２、モータ駆動により診療椅子の縦方向の軸を中心にヘッドレスト1を回動させる機械的傾斜機構と、前記ヘッドレスト1の回動に連動してモータ駆動によりギア15とラック13を介してバックレスト25を遥動させ、同時に該バックレスト25に装着されたヘッドレスト1を遥動させる機械的傾斜機構との組み合わせ。この場合、例えばヘッドレスト1を10°傾斜させた後、ヘッドレスト1とバックレスト25を同時に同一方向に25°傾斜させ、前記例１と同様にヘッドレスト1を35°、バックレスト25を25°傾斜させることができる。
【００２８】
組み合わせ例３、モータ駆動によりギア15とラック13を介してヘッドレスト1を遥動させる機械的傾斜機構と、診療椅子のバックレスト25を縦方向に３分割し、分割された両側方の左回転用支持部材21および右回転用支持部材22をアクチュエータ23にて前記ヘッドレスト1の遥動に連動して回動させる機械的傾斜機構との組み合わせ。この場合、例えばヘッドレスト1を35°傾斜させ、ヘッドレスト1に連動してバックレスト25を同一方向に25°傾斜させることができる。
【００２９】
組み合わせ例４、モータ駆動によりギア15とラック13を介してヘッドレスト1を遥動させる機械的傾斜機構と、モータ駆動によりギア13とラック15を介してバックレスト25を、該バックレスト25に装着されたヘッドレスト1と共に遥動させる機械的傾斜機構との組み合わせ。この場合、例えばヘッドレスト1を10°傾斜させた後、ヘッドレスト1とバックレスト25を同時に同一方向に傾斜させる。これによりヘッドレスト1は最終的に35°、バックレスト25は25°傾斜させることができる。
【００３０】
組み合わせ例５、モータ駆動により診療椅子の縦方向の軸を中心にヘッドレスト1を回動させる機械的傾斜機構と、エアパッド29をバックレスト25に装着して該バックレスト25の面をエアパッド29にて傾斜させるエアパッド式傾斜機構との組み合わせ。この場合、ヘッドレスト1の回動に連動してバックレスト25を傾斜させることができる。
【００３１】
組み合わせ例６、モータ駆動によりギア15とラック13を介してヘッドレスト1を遥動させる機械的傾斜機構と、エアパッド29をバックレスト25に装着して該バックレスト25の面を傾斜させるエアパッド式傾斜機構との組み合わせ。この場合、ヘッドレスト1の遥動に連動してバックレスト25を傾斜させることができる。
【００３２】
組み合わせ例７、エアパッド29をヘッドレスト1に装着して該ヘッドレスト1の面を傾斜させるエアパッド式傾斜機構と、バックレスト25を診療椅子の縦方向に３分割し、分割された両側方の左回転用支持部材21および右回転用支持部材22をアクチュエータ23にて回動させる機械的傾斜機構との組み合わせ。この場合、ヘッドレスト1の傾斜に連動してバックレスト25を傾斜させることができる。
【００３３】
組み合わせ例８、エアパッド29をヘッドレスト1に装着して該ヘッドレスト1の面を傾斜させるエアパッド式傾斜機構と、モータ駆動によりギア15とラック13を介してバックレスト25を、該バックレスト25に装着されたヘッドレスト1と共に遥動させる機械的傾斜機構との組み合わせ。この場合、ヘッドレスト1の傾斜に連動してバックレスト25を傾斜させることができる。
【００３４】
上記各組み合わせにおいて、ヘッドレスト1の機械的傾斜機構とバックレスト25のエアパッド式傾斜機構との組み合わせでは、ヘッドレスト1の水平位置を基準として機械的傾斜機構のモータの回転を制御するモータの時間制御と、エアパッド式傾斜機構のエア流量調整バルブの制御とを連動させることでヘッドレスト1とバックレスト25との角度差を連動して調整することができる。なおモータの時間制御に替えてステッピングモータの回転角度を調整する方式にしてもよく、モータ軸にエンコーダ（角度センサ）をつけ、回転角度を調整して回転角度に連動してエア流量を算出する方式にしてもよい。またヘッドレスト1のエアパッド式傾斜機構とバックレスト25の機械的傾機構との組み合わせでは、ヘッドレスト1のエアパッド29へのエア供給時間とモータ回転時間を連動させることで角度差を調整することができる。
【００３５】
以上述べた各実施例の頭背部傾斜機構は、診療椅子のバックレスト25および／またはヘッドレスト1を側方に傾斜することにより診療椅子に仰臥した患者に無理のない傾斜体位をとらせることができる。これにより長時間の診療でも患者に負担をかけることがない。
【符号の説明】
【００３６】
1 ヘッドレスト
2 クッション
3 クッション基台
4 ヘッドレスト支持部材
5 ヘッドレストアーム
6 ヘッドレスト基体
7 ブラケット
8 ギアードモータ
9 左右回転駆動支持部材
10 回転軸
11 軸受
12 カップリング
13 ラック
15 ギア
16 ヘッドレスト装着部材
17 ガイド溝
18 ガイド
19 ネジ
20 中央バックレスト本体
21 左回転用支持部材
22 右回転用支持部材
23 アクチュエータ
24 回転支持部
25 バックレスト
26 アームレスト
27 座部
28 バックレストステー
29 エアパッド
30 エアチューブ
31 頭部
32 エアパッド
33 隔壁
34 連通孔
35 バックレスト左右回転用支持部材
36 回転支持部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
診療椅子におけるヘッドレストに頭部傾斜手段を、および／またはバックレストに背部傾斜手段を設けてヘッドレストおよび／またはバックレストを側方に傾斜させることにより、患者の頭部や背部を側方に傾斜させることを特徴とする診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項２】
前記頭部傾斜手段は、モータ駆動により診療椅子の縦方向の軸を中心にヘッドレストを回動させることにより患者の頭部を側方に傾斜させることを特徴とする請求項１記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項３】
前記頭部傾斜手段は、モータ駆動によりギアとラックを介してヘッドレストを遥動させることにより患者の頭部を側方に傾斜させることを特徴とする請求項１記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項４】
前記背部傾斜手段は、バックレストを診療椅子の縦方向に３分割し、分割された両側方部を可動部とし、該可動部をアクチュエータにて回動させることにより患者の背部を側方に傾斜させることを特徴とする請求項１記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項５】
前記背部傾斜手段は、モータ駆動によりギアとラックを介してバックレストを、該バックレストに装着されたヘッドレストと共に遥動させることにより患者の背部および頭部を同時に側方に傾斜させることを特徴とする請求項１記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項６】
診療椅子におけるヘッドレストにエアパッドによる頭部傾斜手段をおよび／またはバックレストにエアパッドによる背部傾斜手段を着脱自在に設けてヘッドレストおよび／またはバックレストを側方に傾斜させることにより、患者の頭部や背部を側方に傾斜させることを特徴とする診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項７】
前記頭部傾斜手段はヘッドレストにおける縦中心の左右にエアパッドを独立配置し、左右それぞれのエアパッドに空気を供給または排出することによりヘッドレストの面に傾斜面を形成して患者の頭部を側方に傾斜させることを特徴とする請求項６記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項８】
前記背部傾斜手段はバックレストにおける縦中心の左右にエアパッドを独立配置し、左右それぞれのエアパッドに空気を供給しまたは排出することによりバックレストの面に傾斜面を形成して患者の頭部を側方に傾斜させることを特徴とする請求項６記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項９】
前記頭部傾斜手段と背部傾斜手段を組み合わせると共に前記両者を連動させることを特徴とする請求項２、４，５または８記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項１０】
前記頭部傾斜手段と背部傾斜手段を組み合わせると共に前記両者を連動させることを特徴とする請求項３、４，５または８記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項１１】
前記頭部傾斜手段と背部傾斜手段を組み合わせると共に前記両者を連動させることを特徴とする請求項４，５、７または８記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項１】
診療椅子におけるヘッドレストに頭部傾斜手段を、および／またはバックレストに背部傾斜手段を設けてヘッドレストおよび／またはバックレストを側方に傾斜させることにより、患者の頭部や背部を側方に傾斜させることを特徴とする診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項２】
前記頭部傾斜手段は、モータ駆動により診療椅子の縦方向の軸を中心にヘッドレストを回動させることにより患者の頭部を側方に傾斜させることを特徴とする請求項１記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項３】
前記頭部傾斜手段は、モータ駆動によりギアとラックを介してヘッドレストを遥動させることにより患者の頭部を側方に傾斜させることを特徴とする請求項１記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項４】
前記背部傾斜手段は、バックレストを診療椅子の縦方向に３分割し、分割された両側方部を可動部とし、該可動部をアクチュエータにて回動させることにより患者の背部を側方に傾斜させることを特徴とする請求項１記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項５】
前記背部傾斜手段は、モータ駆動によりギアとラックを介してバックレストを、該バックレストに装着されたヘッドレストと共に遥動させることにより患者の背部および頭部を同時に側方に傾斜させることを特徴とする請求項１記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項６】
診療椅子におけるヘッドレストにエアパッドによる頭部傾斜手段をおよび／またはバックレストにエアパッドによる背部傾斜手段を着脱自在に設けてヘッドレストおよび／またはバックレストを側方に傾斜させることにより、患者の頭部や背部を側方に傾斜させることを特徴とする診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項７】
前記頭部傾斜手段はヘッドレストにおける縦中心の左右にエアパッドを独立配置し、左右それぞれのエアパッドに空気を供給または排出することによりヘッドレストの面に傾斜面を形成して患者の頭部を側方に傾斜させることを特徴とする請求項６記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項８】
前記背部傾斜手段はバックレストにおける縦中心の左右にエアパッドを独立配置し、左右それぞれのエアパッドに空気を供給しまたは排出することによりバックレストの面に傾斜面を形成して患者の頭部を側方に傾斜させることを特徴とする請求項６記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項９】
前記頭部傾斜手段と背部傾斜手段を組み合わせると共に前記両者を連動させることを特徴とする請求項２、４，５または８記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項１０】
前記頭部傾斜手段と背部傾斜手段を組み合わせると共に前記両者を連動させることを特徴とする請求項３、４，５または８記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【請求項１１】
前記頭部傾斜手段と背部傾斜手段を組み合わせると共に前記両者を連動させることを特徴とする請求項４，５、７または８記載の診療椅子の頭背部傾斜機構。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【公開番号】特開２０１１−５０６３２（Ｐ２０１１−５０６３２Ａ）
【公開日】平成２３年３月１７日（２０１１．３．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２０３６２７（Ｐ２００９−２０３６２７）
【出願日】平成２１年９月３日（２００９．９．３）
【出願人】（０００１４１５９８）株式会社吉田製作所 (117)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年３月１７日（２０１１．３．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年９月３日（２００９．９．３）
【出願人】（０００１４１５９８）株式会社吉田製作所 (117)
【Ｆターム（参考）】
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