説明

誤動作防止装置を有するメモリカードスロット

【課題】複数種類のメモリカードを装着できるメモリカードスロットにおいて、一種類のカードを挿入した時、このカードが他の種類のカードの接触片を破損させないようなメモリカードスロットの構造を提供しようとすること。
【解決手段】この発明は、複数種類のメモリカードを装着できるメモリカードスロットにおいて、一のメモリカードと接触し、スロット内壁面に沿って並置される接触片と、該接触片の背面を覆うように位置すると共に、他のメモリカードと該接触片の間に介在する絶縁材からなる保護板と、を有することを特徴とするメモリカードスロットである。このため、メモリカードスロット内にメモリカードを挿脱する時、自己のメモリカード用の接触片以外の接触片と接触しようとしても、保護板がこれらの間に介在するので、このメモリカードがガタ付いても、このメモリカードが他の種類のカードの接触片を破損させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類のメモリカードを一つのスロットに対し、安全に装着できるメモリカードスロットに関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンは、大きな普及をしており、今や一般人の手軽な持ち物となっている。
大きな普及を成したパソコンにおいて、内部には種々のメモリを有しているが、他人と手渡しでデータを遣り取りしたり、他人からのデータを記憶したメモリからデータを取り入れたりする場合、メモリカードと称する外部メモリを使用する場合がある。この種の外部メモリは、今や十種類近くにもおよび、それぞれの構造が皆異なっている。この種メモリカードすべての形状構造にパソコンを対応させるためには、メモリカードスロットというアタッチメントを必要とする。このアタッチメントの中には、各種のメモリカードを装着するメモリ収容部を一カ所としてこれを各種のメモリで共用し、省スペース化を計っているものがある。
【0003】
メモリカードの中には、薄くて小さなもの,厚くて大きなものなど種々ある。前記アタッチメントは、これら多くの種類のものに対応させているため、1つのメモリ収容部即ちスロットは、一番厚手のもの、一番幅のあるものに対応する大きさを備えている。薄くて小型の例えばXDフィルムメモリカード(商標名)をスロットの中に差し込んでアタッチメントを使用ているときは、スロットには大きな空間が存在することになる。
【特許文献1】特開2001−223044号公報
【特許文献2】実開平6−−13071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらメモリカードのうち、比較的幅の狭いメモリカードがある。これの挿入奥行きは最小で、そのメモリカードの端子と接触する接点片は、スロットの入り口付近に配置されている。
また、比較的に長さの長いものもあるが、これの端子と接触する接点片は、最深部に位置する。この長さの長いメモリカードは幅が狭く長さが長いので、スロット内のレールに沿わせるのに手間がかかることから、その先端隅部には、丸みが付けられているものがあり、その挿入の初期において、メモリカードを少し水平方向に回転させることが出来るように形成されている。この初期の小回転が問題で、このメモリカードが回転可能な状態においてはこの端子が幅狭のメモリカードの接点片上に位置する。そして、長さの長いメモリカードの挿入時にスロットの入り口でこれを小回転させると、これの端子、或いはこの端子を区切るバリアやその表面から突出している部分が幅狭のメモリカード用の接点片を横方向に掻きむしるような動作となって、その接点片を破損してしまうような故障を生じる。
本発明は、このような従来の不都合を解消しようとするもので、その目的とするところは、複数種類のメモリカードを装着できるカードスロットにおいて、一種類のカードを挿入した時、このカードが他の種類のカードの接触片を破損させないようなカードスロットの構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のごとき本発明の目的を達成するために、本願発明の請求項1に記載の発明は、複数種類のメモリカードを装着できるメモリカードスロットにおいて、一のメモリカードと接触し、スロット内壁面に沿って並置される接触片と、該接触片の背面を覆うように位置すると共に、他のメモリカードと該接触片の間に介在する絶縁材からなる保護板と、を有することを特徴とするメモリカードスロットを提供する。
本願の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて、前記保護板はメモリカードスロットに回転自在に保持され、他のメモリカードの接触により前記接触片の背面を押圧することを特徴とするメモリカードスロットを提供する。
本願の請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加えて、前記保護板は潤滑性を有する合成樹脂からなることを特徴とするメモリカードスロットを提供する。
【発明の効果】
【0006】
メモリカードスロット内にメモリカードを挿脱する時、自己のメモリカード用の接触片以外の接触片と接触しようとしても、保護板がこれらの間に介在するので、このメモリカードがガタ付いても、このメモリカードが他の種類のカードの接触片を破損させない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に本発明の一実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、メモリカードを装着するためのメモリカードスロットを示す正面図である。メモリカードスロット1は、基板2の上から上蓋3が覆い被されている。基板2と上蓋3との間には、各種のメモリカードを装着するスロット4が形成されており、例えば、4aのエリアには、第1のメモリカードが装着され、4bのエリアには、第2のメモリカードが装着され、4cのエリアには、第3のメモリカードが装着され、4dのエリアには、第4のメモリカードが装着される。これらメモリカードの内、第4のメモリカードは、その厚みは、第3のメモリカードとほぼ同じであるが、長さが短く、それと接触する基板2上に形成された接触片5は、メモリカードスロット1のスロット入り口近辺に配置されており、入り口方向から望むことが出来る。図2は、メモリカードスロット1の入り口近辺を切り開いた部分斜視図であり、手前方向が入り口である。この部分には、第2のメモリカードの側片をガイドするガイドスロット6、第3のメモリカードの側片をガイドするガイドスロット7,第4のメモリカードの側片をガイドするガイドスロット8が形成されている。
接触片5は、メモリカードスロット1の入り口に形成されたパッド9から奥方向に延びており、その先端には、第4のメモリカードの接片と接触する接点部10が形成されている。
【0008】
ガイドスロット6の側壁両側で手前下側には、枢支孔11が開けられている。12は保護板で、これには、両端に枢支腕13が延びており、この二つの枢支腕13先端は、枢支孔11に回転自在に填り込んでいる。したがって、保護板12は、枢支腕13の先端を中心にして少し回動できる。そして、これは図2に示すように、接触片5の上面に位置している。図2の状態で、保護板12を枢支腕13の先端を中心にして反時計方向に少し回転させると、全ての接触片5は、保護板12により押し下げられる。ガイドスロット6の側壁に開けられている窪み14内には、第4のメモリカードの挿入を検知するカード検知スイッチのアクチュエータ15が配置されている。
【0009】
次に、本発明の接触片片保護動作について説明する。
図3は、メモリカードスロット1のスロット入り口付近を示す部分断面図である。図において、16は、スロット入り口に挿入先端が位置している第2のメモリカードを示す。
図3に示す状態では、第2のメモリカード16の先端は、接触片5にまで到達していないので、第2のメモリカード16の先端が水平面で回動しても接触片5に何ら影響を及ぼさない。また、接触片5の先端にある接点部10は、ガイドスロット7内に突出している。第2のメモリカード16をスロット内に挿入してゆき、その先端が位置17にまで達すると、その先端が保護板12の背面と接触する。この状態で第2のメモリカード16の先端が水平面で回動しても保護板12が介在するため、接触片5に何ら影響を及ぼさない。
第2のメモリカード16を図4の位置18にまで到達させると、第2のメモリカードの先端19は、保護板12の背面を下方向に押し圧してこれを反時計方向に回転させ、接触片5と接点部10をも押し下げる。したがって、この位置で第2のメモリカード16の先端19が水平面で回動しても保護板12が介在するため、接触片5に何ら影響を及ぼさない。
【0010】
第2のメモリカード16の先端が位置18を過ぎる頃には、これの側部がガイドスロット7にガイドされるので、これが水平面内で回転することが出来なくなる。
その先端が位置19にまで達すると、接点部10は第2のメモリカード16と接触するが、もはや第2のメモリカード16は回転することが出来ず、かつ第2のメモリカード16の端子を配置した溝或いは端子間を区切る絶縁壁等と接触するが、第2のメモリカード16が回転運動をしないので、これが接触片5を掻きむしるようなことは起こらない。
また、図3において、第2のメモリカード16が差し込まれていない状態では、接点部10がガイドスロット7内に突出している。この状態でガイドスロット7内に第4のメモリカードを差し込むと、第4のメモリカードは何ら保護板12と接触しない。このため、第4のメモリカードに対しては、メモリに対する通常の読み出し書き込み動作が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
以上本願発明をパソコンのアタッチメントとして説明したが、これをパソコンの内部に組み込んで、マルチカード使用スロットとして利用できる。
このほか、本願発明は、PDA、携帯電話、デジタルカメラ等の携帯型機器のアタッチメントとして、有効に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本願発明の正面図ある。
【図2】図2は、本願発明の一部分解斜視図である。
【図3】図3は、本願発明の動作説明図である。
【図4】図4は、本願発明の動作説明図である。
【符号の説明】
【0013】
1・・・メモリカードスロット
2・・・基板
3・・・上蓋
4・・・スロット
5・・・接触片
6・・・ガイドスロット
7・・・ガイドスロット
8・・・ガイドスロット
9・・・パッド
10・・・接点部
11・・・枢支孔
12・・・保護板
13・・・枢支腕
14・・・窪み
15・・・アクチュエータ
16・・・第2のメモリカード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のメモリカードを装着できるメモリカードスロットにおいて、
一のメモリカードと接触し、スロット内壁面に沿って並置される接触片と、
該接触片の背面を覆うように位置すると共に、他のメモリカードと該接触片の間に介在する絶縁材からなる保護板と、
を有することを特徴とするメモリカードスロット。
【請求項2】
前記保護板はメモリカードスロットに回転自在に保持され、他のメモリカードの接触により前記接触片の背面を押圧することを特徴とする請求項1に記載のメモリカードスロット。
【請求項3】
前記保護板は潤滑性を有する合成樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のメモリカードスロット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−215881(P2006−215881A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29049(P2005−29049)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000103493)オータックス株式会社 (14)
【Fターム(参考)】