説明

警報装置

【課題】 装置の薄型化を図る。
【解決手段】 天井2に取り付けられるベース3の円筒部6の一部に切欠き9aが設けられており、この切欠き9aの両端部に第1係合面11aが形成された一対の第1係合部11が設けられている。ベース3の円筒部6内に嵌合されるカバー22には、切欠き9aに係入される弾性変形可能な係合片23が設けられている。この係合片23には、切欠き9aに係入されるときに第1係合部11に摺接し係合片23を弾性変形させる第2係合部23aが設けられている。第2係合部には、係合片23が切欠き9aに係入されると、第1係合面11aに対接する第2係合面23cが形成されている。これら第1および第2係合面11a,23cは、第1係合部11に対する前記第2係合部23aの係合を解除させる方向への移動を規制するように傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の天井等に取り付けられる警報装置に関し、特にその取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の警報装置としては、天井に取り付けられる取付ベースと、この取付ベースに着脱自在に取り付けられる警報器本体とからなり、警報器本体側に水平方向に突設した係合部を有する係合片が設けられ、取付ベースに前記係合部が重なり合うように対接する刃受部が設けられ、取付ベースに対して警報器本体を水平面内において周方向に回動させることにより、係合部が刃受部に対接して係合し、警報器本体が取付ベースを介して天井に設置されるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−237745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来の警報装置においては、警報器本体を周方向に回動させ、係合部を刃受部に対接させることにより係合状態を形成する構造であるため、取付ベース内に係合部を移動させるためのスペースを設けなければならないため、装置の薄型化に支障をきたすという問題があった。また、警報器本体を回動させる分だけ取付ベースと警報器本体との間を電気的に接続するケーブルの全長を長くしなければならないため、ケーブルを収納するスペースを大きく取ることになり、そのスペース分だけ装置の厚みが増すといった問題もあった。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、装置の薄型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、設置面に固定される逆有底円筒状に形成されたベースと、互いの天井部を突き合わせるようにして前記ベースに積層状態で着脱自在に取り付けられる装置本体とを備え、前記ベースの円筒部に、前記装置本体を前記円筒部の軸線方向に回動自在に支持する支点部を設けるとともに、この支点部から円周方向の反対側の部位に切欠きを設け、この切欠きの円周方向の両端部に、第1係合面を有する一対の第1係合部を設け、前記装置本体に、当該装置本体を前記支点部を中心として回動させることにより、前記第1係合部に摺接する第2係合部を介して弾性変形しながら前記切欠き内に係入される係合片を設け、前記第2係合部に、前記係合片が前記切欠きに係入されることにより、前記第1係合面に対接し前記装置本体の前記ベースからの抜けを規制する第2係合面を設け、前記第1および第2係合面は、前記第1係合部に対する前記第2係合部の係合を解除させる方向への移動を規制するように傾斜していることを特徴とする。
【0007】
本発明は、前記発明において、前記第1係合面に、当該第1係合面の傾斜に沿って前記第2係合部が移動し、前記第1係合部に対する前記第2係合部の係合状態の解除を規制するためのストッパが設けられているものである。
【0008】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記第1係合面と前記第2係合面との間にわずかな隙間を設け、前記ベースに、前記装置本体を押圧し前記第1および第2係合面同士を対接させる方向に付勢する弾性変形可能な押圧子を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1および第2係合部をベースと装置本体の互いの天井部に設けることなく、かつベースの円筒部の軸線方向に回動させることで第1および第2係合部を係合させるようにしている。このため、ベースおよび装置本体の互いの天井部の間に隙間を設けることなく対接させた状態で、ベースに装置本体を取り付けることができるから、装置の薄型化を図ることができる。また、第1および第2係合面が傾斜していることにより、ベースに対して装置本体の脱落を確実に規制することができる。
【0010】
前記発明のうちの一つの発明によれば、ストッパによって第1および第2係合部の係合が保持されるため、ベースに対して装置本体の脱落を確実に規制することができる。
【0011】
前記発明のうちの一つの発明によれば、第1係合面と第2係合面との間にわずかな隙間を設けたことにより、ベースに対する装置本体の取り外し作業が容易になり、かつ隙間を除去する押圧子を設けているので、ベースに対して装置本体の脱落を確実に規制することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る警報装置を分解して示す斜視図である。
【図2】本発明に係る警報装置の平面図である。
【図3】本発明に係る警報装置の底面図である。
【図4】本発明に係る警報装置の正面図である。
【図5】図2におけるV-V 線断面図である。
【図6】図2におけるVI-VI 線断面図である。
【図7】図2におけるVII-VII 線断面図である。
【図8】図6におけるVIII部の拡大図である。
【図9】本発明に係る警報装置において、装置本体をベースに取り付ける動作を説明するために図8を基本とした動作図である。
【図10】図1におけるX部の拡大図である。
【図11】図10を上方から視た斜視図である。
【図12】図1におけるXII部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1に全体を符号1で示す警報装置は、設置面としての天井2に取り付けられるベース3と、このベース3に、図4に示すように積層状態で着脱自在に取り付けられる装置本体4とを備える。ベース3は天井部5と円筒部6とによって扁平な逆有底円筒状に形成されている。天井部5の中央部には、図2に示すように天井2に配線されたケーブル(図示せず)をベース3内に導入するためのケーブル導入孔5aが設けられている。
【0014】
また、天井部5には、ケーブル導入孔5aを挟むようにして三対のねじ挿通孔7A,7B,7Cが円周方向に互いに180°の間隔をおいて設けられている。このうち、ねじ挿通孔7A,7Aには、図2に示すように反時計方向に延在する湾曲した溝8A,8Aが連設されている。また、ねじ挿通孔7B,7Bおよびねじ挿通孔7C,7Cには、時計方向に延在する湾曲した溝8B,8Bおよび溝8C,8Cが連設されている。
【0015】
円筒部6の円周方向の一部には、側面視長方形の切欠き9aが設けられており、この切欠き9aに対応して、天井部5には平面視略長方形の切欠き9bが設けられている。切欠き9aの円筒部6の円周方向の両端部には、互いに対向する方向に突設された第1係合部11,11が円筒部6の軸線方向(矢印C−D方向)に延在するように設けられている。これら第1係合部11,11の天井部5側の端部には、図11に示すように天井部5の半径方向外側(矢印A方向)に向かって角度αだけ下方に傾斜した第1係合面11aが形成されている。この第1係合面11aは、図8に示すように円筒部6の上端から高さH1だけ低い位置に位置付けられている。また、この第1係合面11aの矢印A方向の端部には、ストッパ11bが立設されており、下端面11cは断面が湾曲状に形成された面取りが施されている。
【0016】
天井部5の切欠き9bが設けられた端面5bには、図2および図11に示すように天井部5の半径方向外側(矢印A方向)に向かって、弾性変形可能な平面視L字状の一対の押圧子12,12が突設されている。これら押圧子12,12の遊動端部の下面には、図11に示すように凸部12a,12aが突設している。この押圧子12は、後述するようにベース3に装置本体4を取り付けた際に、第1係合面11aと第2係合面23cとの間に設定した隙間26を除去するように装置本体4を押圧するものである。
【0017】
円筒部6の切欠き9aが設けられた部位から円周方向に180°離れた(円周方向の反対側の)位置には、図1および図5に示すように一対の支点部としての支承突起13,13が円筒部6の下端から半径方向内側に向かって突設している。図1において、14は天井部5に一体に設けられた端子取付座であって、端子15が取り付けられる。端子15は、一端部にケーブル導入孔5aから導入されたケーブル(図示せず)が電気的に接続され、他端部に導通部15aが天井部5と直交するように下方に向かって直角に折曲形成されている。
【0018】
前述した装置本体4は、図1に示すようにケース20、レンズ21、カバー22によって概ね構成されている。ケース20は、略円筒状に形成された外ケース部20aと、外ケース部20aの下端から中心方向に延設されたすり鉢状の内ケース部20bとによって形成されており、内ケース部20bの表面側には、円周方向に等角度おいて中心方向に向かって突設された三個の保持部20cが設けられている。
【0019】
レンズ21はドーム状に形成されており、ケース20の保持部20cに保持されて、後述するようにカバー22をケース20に取り付ける際に、一緒にケース20に取り付けられる。
【0020】
カバー22は、図1および図5に示すように天井部22aと円筒部22bとによって逆有底円筒状に形成されており、天井部22a側から挿通したねじを前述したケース20の裏面側に立設したボス(いずれも図示せず)に螺合させることにより、円筒部22bをカバー22から露呈させた状態でレンズ21とともにケース20に取り付けられる。
【0021】
カバー22の円筒部22bには、図1に示すようにベース3の切欠き9a内に係入される係合片23が円筒部22bの軸線方向に向かって一体に立設されており、この係合片23は円筒部22bの半径方向に弾性変形可能に形成されている。この係合片23の上端の両側部には、一対の第2係合部23a,23aが左右方向に一体に突設されており、これら第2係合部23aの上部には、図8に示すように面取部23bが設けられている。
【0022】
また、第2係合部23の下面は、図12に示すように矢印A方向に向かって角度αだけ下方に傾斜した第2係合面23cを形成している。この第2係合面23cは、係合片23が切欠き9aに係入されたとき、前述したように、仮に押圧子12が設けられていない場合は、第1係合面11aに間隔δなる隙間26を有して対向するように構成されている。カバー22の円筒部22bの係合片23が形成された部位から円周方向に180°離間した部位の下端には、図5に示すように、上記したベース3の一対の支承突起13,13のそれぞれに係合する一対の段部24(一方の段部24のみ図示)が設けられている。図1および図3において、25は火災等の非常時に警報音を放出する放出口である。
【0023】
次に、このように構成された警報装置1を天井2に取り付ける方法について説明する。先ず、天井2に配線されたケーブル(図示せず)の一端部をケーブル導入孔5aからベース3内に導入させた状態で、三対のねじ挿通孔7A,7B,7Cから、例えば一対のねじ挿通孔7A,7Aを選択して、これら一対のねじ挿通孔7A,7Aに挿通させたねじ(図示せず)を天井2にねじ込む。しかる後、ベース3を図2中時計方向にわずかに回動させることにより、ねじの頭部が溝8A,8Aに係合するので、ベース3がねじを介して天井2に取り付けられる。この状態で、ケーブル導入孔5aからベース3内に導入させておいたケーブルの一端部を端子15に電気的に接続する。
【0024】
次いで、装置本体4を手で把持し、ベース3の垂直下方から上方に移動させ、図5に示すようにベース3の支承突起13にカバー22の段部24を係合させ、支承突起13を回動中心として、装置本体4を図中反時計方向(円筒部6の軸線方向、矢印C方向)に回動させる。回動させた装置本体4の係合片23の第2係合部23aの面取部23bが、図9に示すようにベース3の第1係合部11の下端面11cに係合するので、第2係合部23aが第1係合部11の内側(矢印B方向)に入り込む。さらに、装置本体4を反時計方向に回動(図9中上方に移動)させると、第2係合部23aが第1係合部11に摺接しながら、係合片23がカバー22の半径方向内側(矢印B方向)に向かって僅かに弾性変形し、第2係合部23aの第2係合面23cが、図8に示すように第1係合部11の第1係合面11aに突き合わされることにより、カバー22がベース3の円筒部6内に嵌入する。
【0025】
この状態で、第2係合部23aの高さ方向の寸法H2が、第1係合面11bの円筒部6の上端からの距離H1よりも短いことにより、図8に示すように第2係合部23aの上端面が円筒部6の上端面から上方に突出するようなことがない。
【0026】
ここで、上述したように、押圧子12が設けられていない場合は、第1係合面11aと第2係合面23cとの間にわずかな間隔δによる隙間26が形成されるが、押圧子12が設けられていることにより、この押圧子12の凸部12aが、図7に示すようにカバー22の天井部22aに対接され、押圧子12が弾性変形しながら天井部22aを下方(矢印B方向)に押圧する。したがって、図8に示すようにカバー22が下方に押圧されることにより、第2係合部23aも下方に向かって僅かに移動するので、結果的に、第1係合面11aと第2係合面23cとの間には隙間26が形成されることなく、第1係合面11aと第2係合面23cとが対接する。
【0027】
第1係合面11aと第2係合面23cとが対接し、第1係合部11に第2係合部23aが係合することにより、カバー22がベース3の円筒部6内に嵌入した状態で、装置本体4がベース3に取り付けられる。この状態で、図5および図6に示すようにベース3の天井部5とカバー22の天井部22aとが対接する。
【0028】
このように、ベース3の円筒部6に第1係合部11を設けるとともに、カバー22の円筒部22bに係合片23を設け、この係合片23に第2係合部23aを設けることにより、ベース3の天井部5と、この天井部5に突き合わされる装置本体4の天井部22aとには、第1および第2係合部11,23aが設けられない。しかも、装置本体4をベース3の円筒部6の軸線方向(矢印C−D方向)に回動させることで第1および第2係合部11,23aを係合させる構成としている。このため、ベース3の底部5と装置本体4の天井部22aとの間に隙間を設けることなく対接させた状態で、ベース3に装置本体4を取り付けることができるから、警報装置1の薄型化を図ることができる。
【0029】
また、端子15の導通部15aを天井部5と直交する方向に折曲形成させたことにより、装置本体4をベース3の天井部5と直交する方向(矢印C方向)に移動させて装置本体4をベース3に取り付けるときに、導通部15aをケーブルを介することなく装置本体4側に配設したコネクタ(図示せず)等に直接結合させることができる。
【0030】
また、共に、矢印A方向に向かって下方に傾斜した第1係合面11aと第2係合面23cとが対接することにより、第2係合部23aの矢印B方向への移動が規制される。このため、これら第1および第2係合面11a,23cによって、第1係合部11に対する第2係合部23aの係合を解除させる方向への移動が規制されるから、装置本体4のベース3からの脱落を防止することができる。
【0031】
また、第1係合面11aの矢印A方向の端部にストッパ11bを設けたことにより、第1係合面11aの傾斜に沿って、第2係合部23aが矢印A方向に移動し、第1係合部11に対する第2係合部23aの係合が解除される方向への移動が規制されるから、装置本体4のベース3からの脱落を防止することができる。
【0032】
次に、ベース3を介して天井2に取り付けた装置本体4を保守点検等により、ベース3から取り外す場合は、指で第2係合部23aを、図8に示すように矢印E方向へ押圧する。この押圧は、第2係合部23aを上方(矢印C方向)へも押圧することになるから、押圧子12よる第2係合部23aの下方(矢印D方向)への押圧力に抗して、第2係合部23aが上方へわずかに移動する。この移動により、第1係合面11aと第2係合面23aとの間に間隔δの隙間26が形成されるため、第1係合部11に対する第2係合部23aの係合を解除しやすくなるから、装置本体4のベース3からの取り外し作業が容易になる。
【0033】
なお、本実施の形態においては、天井2に配線したケーブルと装置本体4側と電気的接続を端子15を介して行うようにしたが、端子15を用いることなく直接ケーブルによって接続するようにしてもよく、その場合でも、ベース3に装置本体4を取り付けるのに装置本体4を周方向に回動させることがないため、ケーブルを収納するスペースを必要最小限とすることができるから、警報装置1の薄型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0034】
1…警報装置、2…天井(設置面)、3…ベース、4…装置本体、5…天井部、9a…切欠き、11…第1係合部、11a…第1係合面、12…押圧子、12a…凸部、13…支承突起(支点部)、15…端子、20…ケース、21…レンズ、22…カバー、22a…天井部、23…係合片、23a…第2係合部、23c…第2係合面、24…段部、26…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に固定される逆有底円筒状に形成されたベースと、互いの天井部を突き合わせるようにして前記ベースに積層状態で着脱自在に取り付けられる装置本体とを備え、
前記ベースの円筒部に、前記装置本体を前記円筒部の軸線方向に回動自在に支持する支点部を設けるとともに、この支点部から円周方向の反対側の部位に切欠きを設け、
この切欠きの円周方向の両端部に、第1係合面を有する一対の第1係合部を設け、
前記装置本体に、当該装置本体を前記支点部を中心として回動させることにより、前記第1係合部に摺接する第2係合部を介して弾性変形しながら前記切欠き内に係入される係合片を設け、
前記第2係合部に、前記係合片が前記切欠きに係入されることにより、前記第1係合面に対接し前記装置本体の前記ベースからの抜けを規制する第2係合面を設け、
前記第1および第2係合面は、前記第1係合部に対する前記第2係合部の係合を解除させる方向への移動を規制するように傾斜していることを特徴とする警報装置。
【請求項2】
前記第1係合面に、当該第1係合面の傾斜に沿って前記第2係合面が移動し、前記第1係合部に対する前記第2係合部の係合解除を規制するためのストッパが設けられていることを特徴とする請求項1記載の警報装置。
【請求項3】
前記第1係合面と前記第2係合面との間にわずかな隙間を設け、
前記ベースに、前記装置本体を押圧し前記第1および第2係合面同士を対接させる方向に付勢する弾性変形可能な押圧子を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−256294(P2012−256294A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130204(P2011−130204)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【出願人】(000105660)サクサプレシジョン株式会社 (8)
【Fターム(参考)】