説明

貯湯式給湯システム

【課題】高いコストパフォーマンスで省エネルギー性が向上した貯湯式給湯システムを得る。
【解決手段】加熱手段10で沸き上げられた湯が貯留される貯湯タンク1と、貯湯タンク1内の湯を湯栓用混合手段22を介して給湯先に供給する給湯回路20と、貯湯タンク1を覆うタンク断熱材3と、少なくとも貯湯タンク1を収容する外装筐体2と、加熱手段10及び給湯回路20の各々に設けられた中高温となる配管及び部品と、中高温となる配管及び部品の少なくとも一部を覆う中高温配管部品断熱材4とを備え、中高温となる配管及び部品をタンク断熱材3の側面と外装筐体2との間の垂直に延びる縦空間に配置し、中高温となる配管及び部品の縦空間に位置する部分に中高温配管部品断熱材4を配置し、中高温配管部品断熱材4が、タンク断熱材3との間に当該配管及び部品の一部分を挟んで該タンク断熱材3に固定される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式給湯システムに関し、特に、貯湯式給湯システムに装備される、中高温配管部品、及び、貯湯タンクの断熱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貯湯式給湯システムは、瞬間式給湯システム等と比べて、加熱手段の加熱能力が比較的小さい場合や、加熱手段の起動時における能力の立ち上がりが遅い場合に適用されるシステムである。
【0003】
また、貯湯式給湯システムは、給湯負荷の発生に対して湯切れが生じることがないように、事前に加熱手段により沸き上げられた給湯用の湯を貯湯タンクに貯めておき、当該貯湯タンクから給湯を行うシステムである。
【0004】
また、貯湯式給湯システムは、事前に湯を貯湯タンクに貯めるシステムであり、ユーザーによる湯の使用までの間に貯湯タンクから周囲環境へ放熱されるため、貯湯タンクの断熱性能が省エネルギー性に大きな影響を与えるシステムである。
【0005】
また、貯湯式給湯システムは、加熱手段で沸き上げた湯を貯湯タンクに導くため、及び、ユーザーにより湯が使用される需要端へ貯湯タンク内の熱を伝えるために、各種の配管や部品が必要となるため、それら配管や部品を何らかの方法で支持固定するシステムである。
【0006】
また、それらの配管や部品においても周囲環境への放熱が行われるため、それらの配管や部品の断熱性能が省エネルギー性に大きな影響を与えるシステムである。
【0007】
従来の貯湯式給湯システムとしては、例えば需要端へ熱を伝える部品の一つである追焚熱交換器において、「・・・前記熱交換器の全面を覆うように配設した保温材とを備え」たものが知られている(特許文献1参照)。このような貯湯式給湯システムは、単一の部品ごとを断熱材で覆い、当該部品における周囲環境への放熱を抑制する。
【0008】
また、従来の貯湯式給湯システムとしては、例えば、「・・・貯湯タンクを保温するための・・・前記断熱材を前記ユニット本体内に配設される部品を取り付けるための支持具を発泡工程で埋設した発泡断熱材で構成した」ものが知られている(特許文献2参照)。このような貯湯式給湯システムは、貯湯タンクを覆う断熱材に対して、各種の部品を支持できるだけの深い凹部を設け、当該凹部に支持具を埋設し、当該支持具に各種部品を固定することにより、比較的安価な方法で各種部品の固定を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−147413号公報(請求項1、図1)
【特許文献2】特開2008−057794号公報(請求項1、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の貯湯式給湯システムでは、一つ一つの部品を断熱材で覆うため作業が繁雑になりコストが掛かる割に部品単体を断熱する効果しか無くメリットが小さいという問題があった。
【0011】
また、特許文献2の貯湯式給湯システムは、貯湯タンクのみを断熱材で覆う構成であり、貯湯タンクに取り付けられる様々な部品に対しては断熱材で覆う構成とはなっていない。そのため特許文献2の貯湯式給湯システムは、省エネルギー性の向上ではなく部品の安価な支持を目的とした技術であり、部品の埋設部ではタンク断熱材に深い凹部を設けるためタンク断熱材の厚みが薄くなり、断熱性能が悪化するという問題があった。
【0012】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたもので、中高温の湯が循環または流通する配管と部品を集中配置するとともに、それらを断熱材で覆いつつその断熱材をタンク断熱材に結合することにより、中高温配管部品からの放熱の抑制、簡易かつ安価な中高温配管部品の支持固定、貯湯タンクの断熱性能の強化、の3点のメリットを同時に実現する、高いコストパフォーマンスで省エネルギー性が向上した貯湯式給湯システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る貯湯式給湯システムは、
加熱手段で沸き上げられた湯が貯留される貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯を湯栓用混合手段を介して給湯先に供給する給湯回路と、
前記貯湯タンクを覆うタンク断熱材と、
少なくとも貯湯タンクを収容する外装筐体と、
を備えた貯湯式給湯システムにおいて、
前記加熱手段及び前記給湯回路の各々に設けられた中高温となる配管及び部品と、
前記中高温となる配管及び部品の少なくとも一部分を覆う中高温配管部品断熱材とを備え、
前記中高温となる配管及び部品を、前記タンク断熱材の側面と前記外装筐体との間の垂直に延びる縦空間に配置し、
前記中高温となる配管及び部品の、前記縦空間に位置する部分に前記中高温配管部品断熱材を配置し、
前記中高温配管部品断熱材が、前記タンク断熱材との間に当該配管及び部品の一部分を挟んで該タンク断熱材に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の貯湯式給湯システムは、中高温の湯が流れる配管と部品の一部分をタンク断熱材の側面と外装筐体との間の垂直に延びる縦空間に配置するとともに、該配管と部品の一部分を縦空間に配置した断熱材で覆いつつ当該断熱材をタンク断熱材に結合することにより、中高温となる配管及び部品(以下「中高温配管部品」という)からの放熱の抑制、簡易かつ安価な中高温配管部品の支持固定、貯湯タンクの断熱性能の強化、の3点のメリットを同時に実現できるので、高いコストパフォーマンスで省エネルギー性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1に係る貯湯式給湯システムの構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る貯湯式給湯システムの断熱材構造を示す概要図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る貯湯式給湯システムの断熱材構造における自然対流発生の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る貯湯式給湯システムの断熱材構造における別の自然対流発生の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る断熱材構造における自然対流抑制の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1に係る貯湯式給湯システムの構成について説明する。図1はその構成図である。また、以下の説明では、中高温の湯が循環または流通し中高温となる配管を「中高温配管」といい、中高温配管に接続される湯栓、熱交換器、ポンプ等の各種の部品を「中高温部品」というものとする。そして、中高温配管と中高温部品の両者を総称するときは「中高温配管部品」というものとする。また、ここでいう「中高温」とは周囲温度や季節等にもよるが、一般的には水温(約20℃〜25℃)よりも高い温度をいう。なお、図1では、中高温配管を太い実線で示し、その他の配管は細い実線で示されている。
【0017】
図1において、1は沸き上げられた湯が貯められる貯湯タンクであり、外装筐体2内に収容されている。この貯湯タンク1には、加熱手段10、第1給湯回路20、および第2給湯回路30が接続されている。
加熱手段10は、貯湯タンク1内の水を循環させながら加熱し沸き上げられるように循環回路にて構成されており、貯湯タンク1の下部から加熱手段10へ水を導く加熱往き配管11と、加熱手段10から貯湯タンク1の上部へ湯を導く加熱戻り配管12と、加熱往き配管11に接続され、水や湯を循環させる加熱用ポンプ13とから構成されている。
また、貯湯タンク1の下部には市水、上水道と繋がれた給水配管100が接続されており、給水配管100を通って水が貯湯タンク1に供給される。
【0018】
この加熱手段10においては、加熱往き配管11を通って、貯湯タンク1の下部から温度の低い水が加熱手段10に向かって流出し、加熱手段10で沸き上げられた湯が加熱戻り配管12を通って貯湯タンク1の上部から流入する。
なお、加熱手段10は、例えばヒートポンプサイクル、ガス燃焼器を用いて構成される。以下の説明では加熱手段10にヒートポンプサイクルを用いた場合について説明する。
【0019】
第1給湯回路20は、貯湯タンク1の湯を湯栓用混合手段22を介して給湯先に供給する管路であり、貯湯タンク1の上部と湯栓用混合手段22とを繋ぐ湯栓用導出配管21と、湯栓用混合手段22と給湯先とを繋ぐ湯栓往き配管23とを有する。湯栓用混合手段22は、例えば三方弁からなっている。この湯栓用混合手段22には、湯栓用導出配管21と湯栓往き配管23が接続される一方、給水配管100から分岐された湯栓用給水配管101が接続され、湯栓用混合手段22で貯湯タンク1からの高温の湯と湯栓用給水配管101からの低温の水とを混合して適温に調節された湯が湯栓往き配管23を通って給湯先に供給される。給湯先としては、台所や洗面所、浴室等に設置された蛇口、シャワー、浴槽40といった湯栓である。また、床暖房に利用する場合には、第1給湯回路20は循環回路に構成される。
【0020】
第2給湯回路30は、浴槽水の追い焚きが可能な追焚熱交換器31を有する管路である。追焚熱交換器31には、貯湯タンク上部の高温の湯を導く追焚往き配管32と、追焚熱交換器31から貯湯タンク1に熱交換後の湯を追焚用ポンプ34を介して貯湯タンク1に戻す追焚戻り配管33とが接続される一方、湯温が下がった浴槽水を浴槽用ポンプ35を介して追焚熱交換器31に導く浴槽戻り配管36と、追焚熱交換器31から浴槽40に熱交換後の湯を戻す浴槽往き配管37とが接続されている。
【0021】
この第2給湯回路30においては、貯湯タンク1内の高温の湯を追焚用ポンプ34により追焚往き配管32及び追焚戻り配管33を通して追焚熱交換器31に循環させるとともに、浴槽水を浴槽用ポンプ35により浴槽往き配管36及び浴槽戻り配管37を通して追焚熱交換器31に循環させる。その際、追焚熱交換器31においては、貯湯タンク1内の高温の湯と湯温の下がった浴槽水とが熱交換されるので、浴槽水を適温の湯に昇温(追い焚き)することができる。
【0022】
ここで、加熱手段10で湯に沸き上げる際に中高温の湯が循環する加熱戻り配管12と、ユーザーによる湯栓からの湯の使用に際して中高温の湯が循環する湯栓用導出配管21と湯栓往き配管23と、浴槽の湯が冷めた時に貯湯タンク上部の高温の湯との熱交換にて追い焚きを行う際に中高温の湯が循環する追焚往き配管32、追焚戻り配管33、浴槽戻り配管36、浴槽往き配管37とは、本発明における「中高温配管」に相当する。
また、上記中高温配管と接続される部品(湯栓用混合手段22、追焚熱交換器31、追焚用ポンプ34、浴槽用ポンプ35)は、本発明における「中高温部品」に相当する。
【0023】
そして、貯湯タンク1から周囲環境への放熱を抑制するために、貯湯タンク1の全体が適宜の断熱材(タンク断熱材)3で覆われている。さらに、中高温配管や中高温部品からの周囲環境への放熱を抑制するために、これらの中高温配管部品の少なくとも一部分が適宜の断熱材(中高温配管部品断熱材)4で覆われている。ここで、図1の構成例では、中高温配管部品のうち湯栓用導出配管21と湯栓用混合手段22を中高温配管部品断熱材4に収容しない構成を例示したが、これらの配管部品を含めて収容する構成としても良い。
【0024】
図2は、上記のタンク断熱材3及び中高温配管部品断熱材4の構造を示す図で、同図の上図は下図のA−Aにおける半断面の上面図であり、下図は両断熱材3、4による収容部を示す断面正面図である。また、図3は、図2と同様の断面図であるが、断熱材構造における自然対流発生の説明図である。
図2に示すように、タンク断熱材3には、外周面に、例えば上下方向に延びる凹部5が設けられており、一方、中高温配管部品断熱材4には凹部5に嵌め込まれる凸部6が設けられている。したがって、中高温配管部品断熱材4は凸部6をタンク断熱材3の凹部5に嵌合することによりタンク断熱材3に固定される。なお、凹部5と凸部6は上記とは反対の関係で設けてもよいし、またタンク断熱材3の周方向の上下に、凹部または凸部を設けてもよい。
【0025】
また、両断熱材3、4の間には、中高温配管部品の一部を収容する収容スペース7が形成されており、当該中高温配管部品の一部を両断熱材3、4の間に挟んだ形で収容している。
【0026】
また、中高温配管部品断熱材4は、図3に示すように、凹部5、凸部6を設けても、貯湯タンク1に対してタンク断熱材3の一部の厚さt2を増加させることで、両断熱材3、4の合計厚さt1が増加(t1>t2)するため、断熱性能を向上させることに相当する構成とすることができる。
【0027】
ここで、中高温配管部品断熱材4とタンク断熱材3との固定方法によって断熱性能に大きな差は無いが、中高温配管部品断熱材4とタンク断熱材3との各々に凹凸部の組合せを備えて嵌合結合にて固定し、さらに粘着テープなどで補助する構成にすれば、金属やプラスチックなどの硬質の支持具を特別に備える必要が無く、低コストで両者を支持固定することができる。
【0028】
また、中高温配管部品の内で中高温配管部品断熱材4に覆われる一部分は、集中的に配置しても散在的に互いに離して配置しても良いが、中高温配管部品断熱材4に使用する断熱材を減らすため、また組立て作業を容易にするために、図1に示したようにある程度集中して配置することが好ましい。
またこのとき、中高温配管部品の間での熱交換を抑制するために、ある程度の間隔を空けて配置しても良い。或いは、間に断熱材を配置する構成としても良い。また、中高温配管を略中空円筒形状の断熱材で別途断熱する構成としても良い。
【0029】
また、一般的に略円筒形状の貯湯タンク1と略角柱形状の外装筐体2との間には水平方向に隙間(空間)の大きい部分が形成されることが多いが、この隙間8には温度分布が生じ易く、図3に破線の矢印で示すような自然対流が生じて放熱を助長し易い。そこで、前記の中高温配管部品断熱材4はこの自然対流を阻止するために、隙間8を埋めるように配置される。
【0030】
ここで、隙間8での温度分布とは、貯湯タンク1内の上部が高温で下部が低温であることに起因する垂直方向の温度分布や、貯湯タンク1に近い空気は暖められ易く、外装筐体2に近い空気は冷やされ易いことに起因する水平方向の温度分布をいう。
【0031】
なお、本発明はここに示した形態に限らず、例えば、浴槽の湯を追焚せず湯栓からの出湯のみを行うシステムであって、追焚熱交換器31、追焚用ポンプ34、浴槽用ポンプ35、追焚往き配管32、追焚戻り配管33、浴槽往き配管37、浴槽戻り配管36を備えないシステムに対しても適用することができる。この場合、加熱戻り配管12、湯栓用導出配管21、湯栓往き配管23が「中高温配管」に相当し、湯栓用混合手段22が「中高温部品」に相当し、中高温配管部品断熱材4はそれら中高温配管、及び、中高温部品の一部分を覆いながらタンク断熱材3に固定される。
【0032】
以上のように、本実施の形態1において、中高温配管部品の一部分を、中高温配管部品断熱材4とタンク断熱材3とで挟んで支持固定することにより、中高温配管部品からの放熱の抑制、簡易かつ安価な中高温配管部品の支持固定、貯湯タンクの断熱性能の強化、の3点のメリットを同時に実現するため、高いコストパフォーマンスでシステムの省エネルギー性を向上することができる。
【0033】
また、本実施の形態1においては、浴槽の追焚機能を有する貯湯式給湯システムに対しても、中高温配管部品の一部分を、中高温配管部品断熱材4とタンク断熱材3とで挟んで支持固定することにより、中高温配管部品からの放熱の抑制、簡易かつ安価な中高温配管部品の支持固定、貯湯タンクの断熱性能の強化、の3点のメリットを同時に実現するため、高いコストパフォーマンスでシステムの省エネルギー性を向上することができる。
【0034】
また、本実施の形態1においては、中高温配管部品断熱材4とタンク断熱材3とを各々に設けた凹凸部の組合せによって嵌合結合して固定する構成とすることで上記効果を奏するので、より高いコストパフォーマンスでシステムの省エネルギー性を向上することができる。
【0035】
また、本実施の形態1においては、中高温配管部品断熱材4で覆われる少なくとも二つ以上の配管部品を互いに近い位置に集中配置することにより、中高温配管部品断熱材をできるだけ少ない断熱材で作成するので、より高いコストパフォーマンスでシステムの省エネルギー性を向上することができる。
【0036】
また、本実施の形態1においては、中高温配管部品断熱材4が貯湯タンク1と外装筐体2との水平方向の隙間8を埋めるように配置されるため、その隙間8での自然対流を抑制して、更に放熱を抑制することができるので、より高いコストパフォーマンスで省エネルギー性を向上することができる。
【0037】
実施の形態2.
本実施の形態2においては、中高温配管部品断熱材4とタンク断熱材3とに囲まれた、中高温配管部品を収容する収容スペース7内部での自然対流を抑制する構成について、図4、図5を参照して説明する。図4は、図2と同様の断面図で、収容スペース7内部で生じる自然対流を表したものであり、図5はこの収容スペース7内部での自然対流を抑制する構造図である。
なお、本実施の形態2における貯湯式給湯システムの構成は、上記実施の形態1と同様であり、同一部分には同一符号を付する。
【0038】
中高温配管部品を収容する収容スペース7は、断熱のためには中高温配管部品の占める空間以外はできるだけ隙間を空けずに断熱材を充満することが望ましいが、低コストのためには使用する断熱材の量が少ない方が望ましい。
【0039】
しかし断熱材の量が少なく、収容スペース7の隙間が大きいと、図4に示したように、収容スペース内部で自然対流が生じてしまい、中高温配管部品、及び、貯湯タンク1の断熱性能を低下させる原因となる。なお、収容スペース内部での自然対流は、貯湯タンク上下の温度差に従って収容スペース内部でも上下の温度差が生じやすいことに起因する。
【0040】
従って、本実施の形態2においては図5に示すように、中高温配管部品を収容する収容スペース7に上方と下方を仕切る仕切り部9を設ける。
【0041】
このように仕切り部9を設けることにより、仕切り部9の上方と下方の収容スペースそれぞれの内部での温度差が小さくなるので、自然対流を低減することができる。また仕切り部9があることにより直接的に、自然対流の流れを抑制する働きを果たす。
【0042】
以上のように、本実施の形態2において、中高温配管部品を収容する収容スペース7に上方と下方を仕切る仕切り部9を設けることにより、中高温配管部品を収容する収容スペース7に隙間が大きい場合であっても自然対流を抑制することができ、より少ない断熱材で貯湯タンク1と中高温配管部品の断熱性能を高めることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 貯湯タンク、2 外装筐体、3 タンク断熱材、4 中高温配管部品断熱材、5 凹部、6 凸部、7 収容スペース、8 隙間、9 仕切り部、10 加熱手段、11 加熱往き配管、12 加熱戻り配管、13 加熱用ポンプ、20 第1給湯回路、21 湯栓用導出配管、22 湯栓用混合手段、23 湯栓往き配管、30 第2給湯回路、31 追焚熱交換器、32 追焚往き配管、33 追焚戻り配管、34 追焚用ポンプ、35 浴槽用ポンプ、36 浴槽戻り配管、37 浴槽往き配管、40 浴槽、100 給水配管、101 湯栓用給水配管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段で沸き上げられた湯が貯留される貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯を湯栓用混合手段を介して給湯先に供給する給湯回路と、
前記貯湯タンクを覆うタンク断熱材と、
少なくとも貯湯タンクを収容する外装筐体と、
を備えた貯湯式給湯システムにおいて、
前記加熱手段及び前記給湯回路の各々に設けられた中高温となる配管及び部品と、
前記中高温となる配管及び部品の少なくとも一部分を覆う中高温配管部品断熱材とを備え、
前記中高温となる配管及び部品を、前記タンク断熱材の側面と前記外装筐体との間の垂直に延びる縦空間に配置し、
前記中高温となる配管及び部品の、前記縦空間に位置する部分に前記中高温配管部品断熱材を配置し、
前記中高温配管部品断熱材が、前記タンク断熱材との間に当該配管及び部品の一部分を挟んで該タンク断熱材に固定されている
ことを特徴とする貯湯式給湯システム。
【請求項2】
加熱手段で沸き上げられた湯が貯留される貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯を湯栓用混合手段を介して給湯先に供給する第1給湯回路と、
前記貯湯タンク内の湯と浴槽内の水とを熱交換する追焚き熱交換器を有する第2給湯回路と、
前記貯湯タンクを覆うタンク断熱材と、
少なくとも貯湯タンクを収容する外装筐体と、
を備えた貯湯式給湯システムにおいて、
前記加熱手段及び前記給湯回路の各々に設けられた中高温となる配管及び部品と、
前記中高温となる配管及び部品の少なくとも一部分を覆う中高温配管部品断熱材とを備え、
前記中高温となる配管及び部品を、前記タンク断熱材の側面と前記外装筐体との間の垂直に延びる縦空間に配置し、
前記中高温となる配管及び部品の、前記縦空間に位置する部分に前記中高温配管部品断熱材を配置し、
前記中高温配管部品断熱材が、前記タンク断熱材との間に当該配管及び部品の一部分を挟んで該タンク断熱材に固定されている
ことを特徴とする貯湯式給湯システム。
【請求項3】
前記タンク断熱材と前記中高温配管部品断熱材とは、凹部と凸部の嵌合により結合し固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯システム。
【請求項4】
前記中高温となる配管及び部品の内少なくとも二つ以上の配管及び部品が前記中高温配管部品断熱材で覆われ、
当該二つ以上の配管及び部品の前記中高温配管部品断熱材で覆われる部分は、互いに近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の貯湯式給湯システム。
【請求項5】
前記中高温となる配管及び部品を収容する、前記中高温配管部品断熱材と前記タンク断熱材との間の収容スペースに、上方と下方とを分ける仕切り部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の貯湯式給湯システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−233686(P2012−233686A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167939(P2012−167939)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【分割の表示】特願2009−275796(P2009−275796)の分割
【原出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】