説明

貯湯式給湯機

【課題】設置工事時に別途止水栓を設ける必要のない設置作業性の向上した貯湯式給湯機を提供すること。
【解決手段】本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンク11と、高温水を生成する熱源ユニット18と、貯湯タンク11の下部から熱源ユニット18へ湯水を供給する循環ポンプ23と、貯湯タンク11の下部から循環ポンプ23および熱源ユニット18を経由し貯湯タンク11の上部へ戻る沸き上げ回路23と、貯湯タンク11内の膨脹水を排水する逃がし弁13と、逃がし弁13より高い動作圧力で貯湯タンク11内の圧力を逃がす缶体保護弁12を有する缶体保護部材112とを備え、缶体保護部材112を沸き上げ回路23に設けるとともに、缶体保護部材112の内部に沸き上げ回路の開閉を行う止水機構1を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクを有する貯湯式給湯機に関し、特に、貯湯タンクの内部圧力が異常上昇した時に、内部圧力を逃して貯湯タンクの破損を防止する缶体保護弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の貯湯式給湯機は、貯湯タンクの下部から熱源ユニットの熱交換部を通り貯湯タンクの上部へ湯水を供給する沸き上げ回路に缶体保護弁を設け、缶体保護弁とは別に、熱源ユニットの修理交換時に水路を閉じるための止水栓を別途設けるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された発明は、ヒートポンプ戻り管に貯湯タンクの圧力が所定の圧力を超えたときに開放する缶体保護弁が設けられており、配管工事の際に、止水栓を別途設ける構成となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−139258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の貯湯式給湯機の沸き上げ回路では、貯湯式給湯機には缶体保護弁しか設けられておらず、貯湯式給湯機の設置工事のときに別途止水栓を追加する工事が必要になってしまい、設置作業の工数が多くなってしまうという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、設置工事時に別途止水栓を設ける必要のない設置作業性の向上した貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、高温水を生成する熱源ユニットと、貯湯タンクの下部から熱源ユニットへ湯水を供給する循環ポンプと、貯湯タンクの下部から循環ポンプおよび熱源ユニットを経由し貯湯タンクの上部へ戻る沸き上げ回路と、貯湯タンク内の膨脹水を排水する逃がし弁と、逃がし弁より高い動作圧力で貯湯タンク内の圧力を逃がす缶体保護弁を有する缶体保護部材とを備え、缶体保護部材を沸き上げ回路に設けるとともに、缶体保護部材の内部に沸き上げ回路の開閉を行う止水機構を設けたことにより、缶体保護機能と止水機能とを一部品で構成することになり、別途設置工事のときに止水栓を設置する工事が不要となるため、作業性が向上し、部品点数の削減および工事の簡略化を実現することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、設置工事時に別途止水栓を設ける必要のない設置作業性の向上した貯湯式給湯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図
【図2】同実施の形態1における缶体保護部材の断面(開状態)図
【図3】同実施の形態1における缶体保護部材の断面(閉状態)図
【図4】本発明の実施の形態2における缶体保護部材の断面図
【図5】同実施の形態2における缶体保護部材の断面図
【図6】同実施の形態2における缶体保護部材の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、高温水を生成する熱源ユニットと、貯湯タンクの下部から熱源ユニットへ湯水を供給する循環ポンプと、貯湯タンクの下部から循環ポンプおよび熱源ユニットを経由し貯湯タンクの上部へ戻る沸き上げ回路と、貯湯タンク内の膨脹水を排水する逃がし弁と、逃がし弁より高い動作圧力で貯湯タンク内の圧力を逃がす缶体保護弁を有する缶体保護部材とを備え、缶体保護部材を沸き上げ回路に設けるとともに、缶体保護部材の内部に沸き上げ回路の開閉を行う止水機構を設けたことにより、缶体保護機能と止水機能とを一部品で構成することになり、別途設置工事のときに止水栓を設置する工事が不要となるため、作業性が向上し、部品点数の削減および工事の簡略化を実現することができる。
【0011】
第2の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、缶体保護部材の止水機構が開状態もしくは閉状態のいずれの場合でも、沸き上げ回路内の圧力を受圧できるように構成したことにより、止水機構が開状態の通常運転時に、沸き上げ回路内の圧力が異常上昇しても内部圧力を逃すことができ、かつ、止水機構が閉状態として熱源ユニットの修理交換時に、沸き上げ回路内の圧力が異常上昇しても内部圧力を逃すことができる。
【0012】
第3の発明の貯湯式給湯機は、特に第1または第2の発明において、缶体保護部材の内部に、貯湯タンク内の湯水を排出することができる取水機構を設けたことにより、災害時や緊急時の断水時に貯湯タンク内の湯水を生活水として使用することができるので、使用性を向上させることができる。
【0013】
第4の発明の貯湯式給湯機は、特に第3の発明において、缶体保護部材の止水機構が開状態もしくは閉状態のいずれの場合でも、取水機構を操作して貯湯タンク内の湯水を排出可能に構成したことにより、沸き上げ回路が開状態もしくは閉状態の如何を問わず、貯湯タンク内の湯水を生活水として使用することができるので、さらに利便性を向上させることができる。
【0014】
第5の発明の貯湯式給湯機は、特に第1または第2の発明において、止水機構は止水弁で構成され、缶体保護弁の中心と止水機構の中心とを略同軸上に配置し、缶体保護弁の先端に止水弁を備え、缶体保護弁が軸方向に動作することで沸き上げ回路の開閉を行うことにより、簡単な構成で止水機能と缶体保護機能の両機能を備えることができ、部品点数を削減、かつ部品自体の小型化を実現することができる。
【0015】
第6の発明の貯湯式給湯機は、特に第3または第4の発明において、止水機構は止水弁で構成され、取水機構は取水ボデーと取水弁とで構成され、缶体保護弁の中心と止水機構の中心と取水機構の中心とを略同軸上に配置し、缶体保護弁の先端に取水弁と、取水ボデーの先端に止水弁とを備え、缶体保護弁が軸方向に動作することで沸き上げ回路を通じて貯湯タンク内の湯水を外部に排出するとともに、取水機構が軸方向に動作することで沸き上げ回路の開閉を行うことにより、簡単な構成で取水機能と止水機能と缶体保護機能の3機能を備えることができ、部品点数を削減、かつ部品自体の小型化を実現することができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における貯湯式給湯機の構成図である。まず図1を用いて本実施の形態の貯湯式給湯機の構成を説明する。なお、本発明は、図1に示す貯湯式給湯機の構成に限定されることはなく、例えば、湯張り機能や暖房機能を有している貯湯式給湯機であっても問題はない。
【0018】
図1において、本実施の形態の貯湯式給湯機は、高温水を生成する熱源ユニット18と、内部に貯湯タンクを有する貯湯タンクユニット17とで構成されている。なお、本実施の形態では熱源ユニット18にはヒートポンプを使用しているが、これに限定されることはなく、電気ヒーター等の熱源であっても問題はない。
【0019】
次に、熱源ユニット18の構成について説明する。熱源ユニット18は、水冷媒熱交換器20、圧縮機40、蒸発器19、膨張弁41を冷媒配管により順次環状に接続して構成されており、冷媒には二酸化炭素を使用しているため、高圧側が臨界圧力を超えるので、水冷媒熱交換器20を流通する水に熱を奪われて温度が低下しても凝縮することがなく、水冷媒熱交換器で冷媒と水との間で温度差を形成しやすくなり、高温の湯が得られ、かつ熱交換効率を高くすることができる。
【0020】
また、比較的安価でかつ安定な二酸化炭素を冷媒に使用しているので、製品コストを抑えるとともに、信頼性を向上させることができる。また、二酸化炭素はオゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も代替冷媒HFC−407Cの約1700分の1と非常に小さいため、地球環境に優しい製品を提供できる。
【0021】
また、熱源ユニット18において、圧縮機40で冷媒が圧縮され、圧縮機40から吐出された冷媒が水冷媒熱交換器20で放熱し、膨張弁41で減圧されたあと、蒸発器19で空気から熱を吸収し、ガス状態で再び圧縮機40に吸入される。なお、圧縮機40の能力制御および膨張弁41の開度制御は、圧縮機40の吐出側に設けたサーミスタ(図示せず)で検出される吐出冷媒の温度が予め設定された温度を維持するように制御される。
【0022】
次に、貯湯タンクユニット17の構成について説明する。貯湯タンクユニット17の内部には、貯湯タンク11と貯湯タンク11の下部から水道水を供給する給水管21と、貯湯タンク11の下部から水冷媒熱交換器20を経て、貯湯タンク11の上部へ加熱された湯水を供給する循環ポンプ22を備えた沸き上げ回路23と、貯湯タンク11の内部圧力が異常上昇した時に、内部圧力を逃して貯湯タンク11の破損を防止する缶体保護部材12とを有している。
【0023】
また、貯湯タンク11の上部から湯水を取出す出湯管24と、沸き上げ中の膨脹水を排水する逃がし弁13と、逃がし弁13の出口には膨脹水を排水する導管14を有するとともに、所定温度の湯水を蛇口25へ供給する給湯混合弁26とを備えている。
【0024】
このように構成された貯湯式給湯機において、本発明の特徴である缶体保護部材112の構成について説明する。図2および図3は、本発明の実施の形態における貯湯式給湯機の缶体保護部材の断面図である。
【0025】
図2に示すように、本実施の形態の缶体保護部材112は、筐体としてボデー100を有しており、ボデーの内部には沸き上げ回路の一部を構成する第1の循環水路101と第2の循環水路102とを有している。そして第1の循環水路101と第2の循環水路102とは開口部103で接続されており、開口部103を止水機構で開閉することによって、沸き上げ回路の開閉を行っている。また、開口部103は第1の循環水路101から第2の循環水路102に向かうに従って開いていくように勾配のついたテーパ形状を成して
いる。
【0026】
また、ボデー100には、貯湯タンク11内部の圧力が異常上昇したときに外部へ圧力を開放する缶体保護弁12を接続する接続口104が設けられており、接続口104の周囲にはネジ溝105が形成されている。缶体保護弁12は、筐体を構成する縦長形状の缶体保護弁ボデー106を備え、缶体保護弁ボデー106の一端に受圧口6と、他端に排水口7とを有しており、受圧口6から排水口7へ至る経路は略円筒形状を形成している。そして、受圧口6を内側からシールする弁ゴム4が設けられており、受圧口6と反対側から弁ゴム4がバネ5にて加圧支持されている。
【0027】
そして、缶体保護弁ボデー106の外周に沿ってネジ溝105と螺着されるネジ部3が設けられており、缶体保護弁ボデー106を回転させてネジ溝105にネジ部3を螺着固定する。また、缶体保護弁ボデー106の略中央部にはシールパッキン2が設けられ、ボデー100と缶体保護弁ボデー106との間に出来る隙間を確実に埋めている。
【0028】
そして、本実施の形態では止水機構として、Oリング(オーリング)形状の弾性部材で形成された止水弁1を使用しており、止水弁1は受圧口6の外側周囲を覆うように配設されている。そして、止水弁1の中心と缶体保護弁12の中心とが略同軸上に位置するように、止水弁1が配設されている。
【0029】
以上のように構成された缶体保護部材について、その作用・効果について説明する。
【0030】
まず、貯湯タンク11内の湯水を沸き上げる時には、台所等に設置されるリモコン装置などで構成される操作部31で沸き上げ運転を開始すると、循環ポンプ22が駆動し、貯湯タンク11下部の水が水冷媒熱交換器20へ流入し、ここで冷媒から水へ熱交換が行われ、水が高温水となって貯湯タンク11へと供給される。この時、貯湯タンク11の内圧が上昇し、逃がし弁13の動作圧力以上になると膨脹水は逃がし弁13から排水され、導管14を通り器具外へと排水される。
【0031】
しかし、この沸き上げ運転中に逃し弁13が固着するなどの原因で作動しない事態が生じると貯湯タンク11の内圧は上昇を続け、貯湯タンク11は破損に至る。そこで、貯湯タンク11の耐圧保護のため、逃し弁13の動作圧力よりも高い動作圧力の缶体保護部材112を沸き上げ回路23に設けて、逃し弁13の作動不良で貯湯タンク11の内圧が異常に上昇すると缶体保護部材112から器具外へと排水して圧力を逃し、貯湯タンク11の破損を防止する。
【0032】
次に、図2および図3を用いて缶体保護弁12の作動原理について説明する。図2は、止水弁1が開状態で、開口部103が開いている平常運転状態を示し、図3は、缶体保護弁12をネジ3を介して回転前進させた止水弁1の閉状態であり、開口部103が閉じられた状態である。図3に示すような閉状態は、熱源ユニット18の修理交換時などに沸き上げ回路内への水の浸入を停止する時に使用される。
【0033】
まず、逃し弁13の作動不良で貯湯タンク11の内圧、すなわち沸き上げ回路23の内圧が異常に上昇すると、バネ5の荷重により受圧口6を閉じていた弁ゴム4は、受圧力が増大し受圧口6を開放して、沸き上げ回路23内の圧力を逃し、水を排水口7から排水する。
【0034】
そして本実施の形態では、いずれの場合でも受圧口6は、沸き上げ回路23と連通しているため、弁ゴム4は沸き上げ回路23の内圧を受圧して、缶体保護弁12は作動可能となっている。すなわち、開口部103を止水弁1で閉じた時に、第1の循環水路101側
(湯水が流れてくる方向)に向けて受圧口6を配設しており、開口部103が開状態であるか、閉状態であるか、どちらの状態であっても、受圧口6で貯湯タンク11内部の異常圧力上昇を感知することができる。
【0035】
次に、熱源ユニット18の修理交換の場合について説明する。図1の熱源ユニット18の修理交換の場合は、給水管21に設けられている止水栓を閉じた後、熱源ユニット18と沸き上げ回路23の接続をはずして交換をするが、貯湯タンク11内の水が大量に漏れて交換作業ができなくなるため、貯湯タンク11側の沸き上げ回路23には止水機能が必要となる。
【0036】
そこで本発明は、図3に示すように、缶体保護弁12の先端に止水弁1を設けて、ネジ3を介して缶体保護弁12を回転前進させることにより、止水弁1が開口部103のテ―パに当接して開口部103の流路を閉じ、貯湯ユニット11からの水漏れを防止し、熱源ユニット18の交換を行うことができる。
【0037】
このように、貯湯タンク11内の圧力を逃がす缶体保護弁12の機能と、熱源ユニット18の修理交換時に沸き上げ回路23の流路を閉じるための止水機能を一部品で構成したことにより、新たな止水栓の追加または、配管工事での止水栓工事も不要となり部品の削減、工事の簡略化を図ることができる。
【0038】
また、沸き上げ回路23の開閉いずれの場合でも、受圧口6は沸き上げ回路23(第1の循環水路101)と連通しているため、缶体保護弁12の弁ゴム4は、沸き上げ回路23の内圧を受圧し、異常圧力を逃がすことが可能となり、貯湯タンク11の破損を防止できる。
【0039】
さらに、缶体保護弁12と止水弁1の中心を略同軸上に配置し、缶体保護弁12の先端部に開口部103の開閉を行う止水弁1を設けた構成としたことにより、缶体保護弁12の前進、後退で沸き上げ回路23の開閉を行うことができるため、貯湯タンク11内の圧力を逃がす缶体保護弁12の機能と、熱源ユニット18の修理交換時に水路を閉じるための止水機能の2機能を有しながら、一部品での構成が可能となり、部品点数の削減と部品の小型化を図ることができる。
【0040】
(実施の形態2)
本実施の形態2において、実施の形態1に示す貯湯式給湯機の構成および缶体保護部材の構成と同じ部位については、実施の形態1と同じ符号を付して、その説明を省略する。実施の形態2では、缶体保護部材の構成が実施の形態1と異なる。
【0041】
次に、実施の形態2における缶体保護部材112の構成について説明する。図4〜図6は、実施の形態2における缶体保護部材112の断面構成図である。図4〜図6に示すように、実施の形態2における缶体保護部材112には、止水機構に加えて、取水機構を備えている。
【0042】
本実施の形態の缶体保護部材112は、筐体としてボデー100を有しており、ボデー100の内部には沸き上げ回路の一部を構成する第1の循環水路101と、第2の循環水路102とを有している。そして第1の循環水路101と第2の循環水路102とは開口部103で接続されており、開口部103を止水機構で開閉することによって、沸き上げ回路の開閉を行っている。また、開口部103は第1の循環水路101から第2の循環水路102に向かうに従って開いていくように勾配のついたテーパ形状を成している。
【0043】
また、ボデー100には、外部へ貯湯タンク内の湯水を排水する取水機構を接続する接
続口104が設けられており、接続口104の内周囲にはネジ溝105が形成されている。本実施の形態では、取水機構は、取水弁10と取水弁ボデー15で構成されており、取水弁ボデー15の一端に連通口9と、他端に缶体保護弁12を挿入する挿入口107とを有している。そして、連通口9から挿入口107へ至る経路は略円筒形状を形成し、連通口9から挿入口107へ至る経路の内周壁にはネジ溝109が形成されている。
【0044】
さらに、取水弁ボデー15の外周に沿ってネジ溝105と螺着されるネジ部108が設けられており、取水弁ボデー15を回転させてネジ溝105にネジ部108を螺着固定する。また、取水弁ボデー15の略中央部にはシールパッキン16が設けられ、ボデー100と取水弁ボデー15との間に出来る隙間を確実に埋めている。さらに、取水弁ボデー15の連通口9側の先端内壁はテーパ形状になっている。
【0045】
また、缶体保護弁12は、筐体を構成する縦長形状の缶体保護弁ボデー106を備え、缶体保護弁ボデー106の一端に受圧口6と、他端に排水口7とを有しており、受圧口6から排水口7へ至る経路は略円筒形状を形成している。そして、受圧口6を内側からシールする弁ゴム4が設けられており、受圧口6と反対側から弁ゴム4がバネ5にて加圧支持されている。また、缶体保護弁ボデー106の側壁には、缶体保護弁ボデー106の外部と内部とを連通する取水口8が設けられており、外部からの水の流れが取水口8を通って、排水口7から外部へ排水される。
【0046】
そして、缶体保護弁ボデー106の外周に沿ってネジ溝109と螺着されるネジ部3が設けられており、缶体保護弁ボデー106を回転させてネジ溝109にネジ部3を螺着固定する。また、缶体保護弁ボデー106の略中央部にはシールパッキン2が設けられ、取水弁ボデー15と缶体保護弁ボデー106との間に出来る隙間を確実に埋めている。
【0047】
また、本実施の形態2の止水機構は、実施の形態1と同様にOリング(オーリング)形状の弾性部材で形成された止水弁1を使用しており、止水弁1は連通口9の外側周囲を覆うように配設されている。
【0048】
さらに、本実施の形態2の取水弁10は、止水弁1と同様にOリング(オーリング)形状の弾性部材で形成されており、取水弁10は受圧口6の外側周囲を覆うように配設されている。さらに、取水弁ボデー15の抜け止め用にストッパー18を設けている。そして、止水弁1の中心と取水弁10の中心と缶体保護弁12の中心とが略同軸上に位置するように、止水弁1および取水弁10および缶体保護弁12が配設されている。
【0049】
以上のように構成された缶体保護部材について、その作用・効果について説明する。
【0050】
まず、貯湯タンク11内の湯水を沸き上げる時には、台所等に設置されるリモコン装置などで構成される操作部31で沸き上げ運転を開始すると、循環ポンプ22が駆動し、貯湯タンク11下部の水が水冷媒熱交換器20へ流入し、ここで冷媒から水へ熱交換が行われ、水が高温水となって貯湯タンク11へと供給される。この時、貯湯タンク11の内圧が上昇し、逃がし弁13の動作圧力以上になると膨脹水は逃がし弁13から排水され、導管14を通り器具外へと排水される。
【0051】
しかし、この沸き上げ運転中に逃し弁13が固着するなどの原因で作動しない事態が生じると貯湯タンク11の内圧は上昇を続け、貯湯タンク11は破損に至る。そこで、貯湯タンク11の耐圧保護のため、逃し弁13の動作圧力よりも高い動作圧力の缶体保護部材112を沸き上げ回路23に設けて、逃し弁13の作動不良で貯湯タンク11の内圧が異常に上昇すると缶体保護部材112から器具外へと排水して圧力を逃し、貯湯タンク11の破損を防止する。
【0052】
次に、図4〜図6を用いて缶体保護弁12の作動原理について説明する。図4は、止水弁1が開状態で取水弁10が閉状態となる図を示し、図5は、止水弁1が開状態で取水弁10が開状態となる図を示し、図6は、止水弁1が閉状態で取水弁10が開状態となる図を示している。
【0053】
まず、逃し弁13の作動不良で貯湯タンク11の内圧、すなわち沸き上げ回路23の内圧が異常に上昇すると、バネ5の荷重により受圧口6を閉じていた弁ゴム4は、受圧力が増大し受圧口6を開放して、沸き上げ回路23内の圧力を逃し、水を排水口7から排水する。
【0054】
そして本実施の形態では、いずれの場合でも受圧口6は、沸き上げ回路23と連通しているため、弁ゴム4は沸き上げ回路23の内圧を受圧して、缶体保護弁12は作動可能となっている。すなわち、開口部103を止水弁1で閉じた時に、第1の循環水路101側(湯水が流れてくる方向)に向けて受圧口6を配設しており、開口部103が開状態であるか、閉状態であるか、どちらの状態であっても、受圧口6で貯湯タンク11内部の異常圧力上昇を感知することができる。
【0055】
次に、熱源ユニット18の修理交換の場合について説明する。図1の熱源ユニット18の修理交換の場合は、給水管21に設けられている止水栓を閉じた後、熱源ユニット18と沸き上げ回路23の接続をはずして交換をするが、貯湯タンク11内の水が大量に漏れて交換作業ができなくなるため、貯湯タンク11側の沸き上げ回路23には止水機能が必要となる。
【0056】
そこで本発明は、図3に示すように、取水弁ボデー15の先端に止水弁1を設けて、ネジ部108を介して取水弁ボデー15を回転前進させることにより、止水弁1が開口部103のテ―パに当接して開口部103の流路を閉じ、貯湯ユニット11からの水漏れを防止し、熱源ユニット18の交換を行うことができる。
【0057】
次に断水時などの緊急時に、貯湯タンク11の湯水を生活用水として使用する取水機能について説明する。
【0058】
図4と図5は、止水弁1が開いた状態を示し、図6は修理時など止水弁1が閉じた状態を示す。平常時の場合は、図4に示すように、缶体保護弁12の先端に配設している取水弁10は、取水弁ボデー15の先端内壁に当接して閉じた常態で使用されている。そして取水弁ボデー15の先端内壁で、かつ取水弁10が当接する箇所はテーパ形状となっているので、取水弁ボデー15と取水弁10とが当接しやすくなっている。
【0059】
そして、緊急時に貯湯タンク11から湯水を取り出したいときは、図5に示すように、缶体保護弁12を回転後退させ、その結果、取水弁10が取水弁ボデー15の先端内壁に当接している常態から、取水弁10と取水弁ボデー15の先端内壁との距離が徐々に開いていく。
【0060】
そうすると、貯湯タンク11の底部から沸き上げ回路23を通った湯水は、開口部103を通り、さらに連通口9を通り、缶体保護弁ボデー106の外周から取水口8を通って、排水口7から取水することができる。一方、缶体保護弁12の回転後退時には、取水弁ボデー15はストッパー18により位置が固定されているため、缶体保護弁12のみが後退する。
【0061】
また、図6に示すように、開口部103が止水弁1で閉じた状態であっても、缶体保護
弁12を回転後退させることによって、連通口9および取水口8を通って、缶体保護弁ボデー106の排水口7から取水することができる。
【0062】
さらに、缶体保護弁12と取水弁10及び止水弁1の中心を略同軸上に配置し、缶体保護弁12の先端部に貯湯タンク11内の水を取水できる取水弁10を設けると共に、取水弁10の外側に沸き上げ回路23の開閉を行う止水弁1を設けた構成としたことにより、缶体保護弁12の前進、後退で取水弁10の開閉を行い、取水弁10の外側に設けた止水弁1の前進、後退で沸き上げ回路23の開閉を行うことができ、簡単な構成で一部品に、缶体保護機能と、取水機能と、止水機能の3機能を備えることができ、部品点数の削減と部品の小型化を図ることができる。
【0063】
また、沸き上げ回路23の開閉いずれの場合でも、受圧口6は沸き上げ回路23(第1の循環水路101)と連通しているため、缶体保護弁12の弁ゴム4は、沸き上げ回路23の内圧を受圧し、異常圧力を逃がすことが可能となり、貯湯タンク11の破損を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明に係る貯湯式給湯機は、ヒートポンプサイクルと給湯サイクルが一体に構成された一体型ヒートポンプ式給湯機、別体に構成された分離型ヒートポンプ式給湯機、給湯用熱交換器で加熱したお湯をそのまま出湯できる直接出湯型ヒートポンプ式給湯機などの各種ヒートポンプ給湯機、さらには熱源に電気ヒータを用いて沸き上げポンプを有する電気温水器にも適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1 止水弁
2 シールパッキン
3 ネジ
4 弁ゴム
5 バネ
6 受圧口
7 排水口
8 取水口
9 連通口
10 取水弁
11 貯湯タンク
12 缶体保護弁
13 逃し弁
15 取水弁ボデー
18 ストッパー
23 沸き上げ回路
100 ボデー
101 第1の循環水路
102 第2の循環水路
103 開口部
104 接続口
105 ネジ溝
106 缶体保護弁ボデー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯える貯湯タンクと、高温水を生成する熱源ユニットと、前記貯湯タンクの下部から前記熱源ユニットへ湯水を供給する循環ポンプと、前記貯湯タンクの下部から前記循環ポンプおよび前記熱源ユニットを経由し前記貯湯タンクの上部へ戻る沸き上げ回路と、前記貯湯タンク内の膨脹水を排水する逃がし弁と、前記逃がし弁より高い動作圧力で前記貯湯タンク内の圧力を逃がす缶体保護弁を有する缶体保護部材とを備え、前記缶体保護部材を前記沸き上げ回路に設けるとともに、前記缶体保護部材の内部に前記沸き上げ回路の開閉を行う止水機構を設けたことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記缶体保護部材の止水機構が開状態もしくは閉状態のいずれの場合でも、沸き上げ回路内の圧力を受圧できるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記缶体保護部材の内部に、前記貯湯タンク内の湯水を排出することができる取水機構を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
前記缶体保護部材の止水機構が開状態もしくは閉状態のいずれの場合でも、前記取水機構を操作して前記貯湯タンク内の湯水を排出可能に構成したことを特徴とする請求項3に記載の貯湯式給湯機。
【請求項5】
止水機構は止水弁で構成され、前記缶体保護弁の中心と前記止水機構の中心とを略同軸上に配置し、前記缶体保護弁の先端に前記止水弁を備え、前記缶体保護弁が軸方向に動作することで前記沸き上げ回路の開閉を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯機。
【請求項6】
止水機構は止水弁で構成され、取水機構は取水ボデーと取水弁とで構成され、前記缶体保護弁の中心と前記止水機構の中心と前記取水機構の中心とを略同軸上に配置し、前記缶体保護弁の先端に取水弁と、前記取水ボデーの先端に止水弁とを備え、前記缶体保護弁が軸方向に動作することで前記沸き上げ回路を通じて前記貯湯タンク内の湯水を外部に排出するとともに、前記取水機構が軸方向に動作することで前記沸き上げ回路の開閉を行うことを特徴とする請求項3または4に記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−286181(P2010−286181A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140775(P2009−140775)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】