説明

貯湯式給湯機

【課題】貯湯タンクの保温性能も確保しながら、配管の耐凍結性能を向上させること。
【解決手段】本発明の貯湯式給湯機は、真空断熱材3を周側部に巻きつけて覆った貯湯タンク1を内部に有するタンクユニットと、貯湯タンク1の湯水を加熱する加熱手段とを備え、貯湯タンク1へ外部から給水する給水配管41と、貯湯タンクに貯えられた湯を給湯端末へ給湯する給湯配管5と、貯湯タンクの下部から加熱手段へ湯水を供給する水供給配管6と、加熱手段により加熱した湯を貯湯タンクへ戻す湯供給配管7の少なくとも4つの配管をタンクユニット内に備えるとともに、4つの配管の一部を真空断熱材に接触する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沸き上げた湯水を貯湯するための貯湯タンクを有した貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭における給湯用エネルギーの消費量は全体の約3分の1を占めており、その削減は急務である。電気温水器やヒートポンプ給湯機などの貯湯タンクの断熱性能を向上させることは省エネ性の向上にとって有効であるため、近年様々な形態でタンクユニットの高断熱化が進んでおり、グラスウールやPETウール、発泡スチロールや真空断熱材などにより貯湯タンクの周囲を覆うのが一般的である。
【0003】
そのなかで、より断熱性能の高い真空断熱材の効果的な利用が注目されており、貯湯タンクの周側部全体に真空断熱材を巻き付けて覆い、高断熱化を図る構成が考えられていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−292050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来技術のように、貯湯タンクの全周にわたって周側部全体に真空断熱材を巻き付けた構成では、貯湯タンクの保温性能は向上させることができるものの、貯湯タンクからの放熱が抑制されるため、タンクユニット内の貯湯タンクよりも外側周辺の雰囲気温度が、従来に比べ低下することになる。
【0006】
また、他の従来技術では、タンクユニットの設置後のメンテナンス性を考慮し、通常本体の前面側に配管や機能部品などが配置されている。グラスウールや発泡スチロールにより本体前面側、つまり配管や機能部品が配置されている周辺が断熱されている場合には、貯湯タンクからの放熱の一部が断熱材を通過し、貯湯タンク内前方の雰囲気温度を上昇させることにより、配管や機能部品を補助的に保温する役目も果たしていた。
【0007】
つまり、前記従来技術のような貯湯タンクの全周にわたって周側部全体に真空断熱材を巻きつけた構成では、保温性能を向上させる反面、外への放熱量が減少し、タンクユニット内の配管の耐凍結性能が低下してしまうという課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、貯湯タンクの保温性能も確保しながら、配管の耐凍結性能を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯機は、真空断熱材を周側部に巻きつけて覆った貯湯タンクを内部に有するタンクユニットと、貯湯タンクの湯水を加熱する加熱手段とを備え、貯湯タンクへ外部から給水する給水配管と、貯湯タンクに貯えられた湯を給湯端末へ給湯する給湯配管と、貯湯タンクの下部から加熱手段へ湯水を供給する水供給配管と、加熱手段により加熱した湯を貯湯タンクへ戻す湯供給配管の少なくとも4つの配管をタンクユニット内に備えるとともに、4つの配管の一部を真空断熱材に接触する構成としたことにより、貯湯タンクから真空断熱材に伝わり外部へ放熱される熱量を、
真空断熱材に接触させた配管に伝えることができるので、接触させた配管の耐凍結性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の貯湯式給湯機は、貯湯タンクの保温性能も確保しながら、配管の耐凍結性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態におけるタンクユニットの右上方斜視図
【図2】同実施の形態におけるタンクユニット胴部断面概略図
【図3】同実施の形態におけるタンクユニットの下部正面拡大図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明の貯湯式給湯機は、真空断熱材を周側部に巻きつけて覆った貯湯タンクを内部に有するタンクユニットと、貯湯タンクの湯水を加熱する加熱手段とを備え、貯湯タンクへ外部から給水する給水配管と、貯湯タンクに貯えられた湯を給湯端末へ給湯する給湯配管と、貯湯タンクの下部から加熱手段へ湯水を供給する水供給配管と、加熱手段により加熱した湯を貯湯タンクへ戻す湯供給配管の少なくとも4つの配管をタンクユニット内に備えるとともに、4つの配管の一部を真空断熱材に接触する構成としたことにより、貯湯タンクから真空断熱材に伝わり外部へ放熱される熱量を、真空断熱材に接触させた配管に伝えることができるので、接触させた配管の耐凍結性能を向上させることができる。
【0013】
第2の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、タンクユニットの略中間部よりも下方側で4つの配管の一部を真空断熱材に接触させることにより、タンクユニットの筐体内部の熱は暖かい熱ほど上昇し、下方ほど冷たい空気が溜まってしまうので、下方部の配管を積極的に温めることができ、より凍結しやすい下方部の配管の耐凍結性能を向上させることができる。
【0014】
第3の発明の貯湯式給湯機は、特に第1または第2の発明において、4つの配管のうち、少なくとも給水配管の一部を真空断熱材に接触させることにより、より温度の低い給水配管へ積極的に熱を放熱することができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態におけるタンクユニットの右上方斜視図を示す。ただし、外装板などの筐体は図示していない。
【0017】
図1において、1は湯水を貯えるための貯湯タンクであり(一部のみ図示)、貯湯タンク1の上部や下部は発泡スチロール断熱材21、22、23などに覆われ、周側部は真空断熱材3を密接して巻きつけて覆われている。上部や下部を覆う断熱材は発泡スチロールだけではなく、グラスウールやPETウール、真空断熱材なども使用でき、またはそれらの組み合わせにより断熱されているものとする。
【0018】
貯湯タンク1には貯湯タンクへ外部から給水するための給水配管41と42が備えられている。外部から流入した水は給水配管1を通り、給水配管2に分岐された後に貯湯タンク下部より給水される。41と42をあわせて貯湯タンク1に給水するための配管系統を本実施の形態においては給水配管系統4とする。
【0019】
また、貯湯タンク1に蓄えた湯を給湯するための給湯配管5、貯湯タンク1に蓄えるための湯を加熱するための加熱手段に、貯湯タンク1の下部から水を供給する水供給配管6と、加熱装置により加熱した湯を貯湯タンクに供給する湯供給配管7などの配管が備えられている。これらの配管についてはその構成、配管数などは規定しないものとし、その用途の一連の配管や部品も含むものとする。なお、加熱手段についてはヒートポンプユニット等が用いられるが、本発明においては加熱手段が貯湯タンクよりも外部に設置されているものであれ、どのようなものであっても問題はない。
【0020】
図2は、本同実施の形態におけるタンクユニット胴部断面概略図である。図2のように、貯湯タンク1の周側部に巻きつけられた真空断熱材3に対し、給水配管41、給水配管42、給湯配管5、水供給配管6、湯供給配管7が接触して配置されている。
【0021】
一般的に真空断熱材3は熱伝導率λ=0.002〜0.004W/mK程度のものが多く、ヒートポンプ給湯機など、約60℃〜90℃の湯を貯湯する貯湯タンク1に使用することを考慮すると、その貯湯温度や保温必要時間などから真空断熱材3の板厚は10mm前後での使用が想定される。
【0022】
例えば前記のような条件にて使用した場合においては、発泡スチロール断熱材はグラスウール断熱材を例えば50mm前後の厚さで使用した場合に比べ貯湯タンク1からの放熱量は減少し、特に冬期などで外気温度が低くなった場合には雰囲気温度の低下、配管温度の低下を招いてしまう。
【0023】
ただ、前記のような条件で使用された場合においても、真空断熱材3の外面側表面温度は凍結の恐れのある外気温度、雰囲気温度よりも高く保たれているため、各配管の一部を真空断熱材3の表面に接触させることで配管の耐凍結性能を向上することができる。
【0024】
さらに図3は本実施の形態における貯湯ユニットの下部正面拡大図である。8は配管接続部であり、筐体の一部であり外気にさらされていることが多い。また、9は配管を接続するための配管接続口であり、銅などの金属部品からなる場合が多いため、冬期などにおいて外気により配管接続部8や配管接続口9が低温になるため、配管接続口9に接続されている例えば給水配管41や給湯配管5の内部の湯や水から放熱し、下方から徐々に低温になっていくことが考えられる。
【0025】
そのため、本実施の形態においては、特に各配管の相対的下方部を真空断熱材3の表面に接触させた構成としているため、より耐凍結性能を向上することができる。
【0026】
また、本実施の形態において、特に給水配管41を真空断熱材3の表面に接触させている。これは、給水配管41は外部からの水の入口であり、常に湯ではなく水で満たされており、さらには前記のように配管接続部8、配管接続口9に接続されていることから最も凍結に対して不利な配管であるため、その配管を凍結から守ることで、機器全体の耐凍結性能の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明にかかるタンクユニットは、ヒートポンプ給湯機や、電気温水器、燃料電池を使用したコジェネレーションシステム、ガスを使用したタンクユニット等においても利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 貯湯タンク
3 真空断熱材
4 給水配管系統
5 給湯配管
6 水供給配管
7 湯供給配管
8 配管接続部
9 配管接続口
21 発泡スチロール断熱材
22 発泡スチロール断熱材
23 発泡スチロール断熱材
41 給水配管
42 給水配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空断熱材を周側部に巻きつけて覆った貯湯タンクを内部に有するタンクユニットと、前記貯湯タンクの湯水を加熱する加熱手段とを備え、前記貯湯タンクへ外部から給水する給水配管と、前記貯湯タンクに貯えられた湯を給湯端末へ給湯する給湯配管と、前記貯湯タンクの下部から前記加熱手段へ湯水を供給する水供給配管と、前記加熱手段により加熱した湯を貯湯タンクへ戻す湯供給配管の少なくとも4つの配管を前記タンクユニット内に備えるとともに、前記4つの配管の一部を前記真空断熱材に接触する構成としたことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記タンクユニットの略中間部よりも下方側で4つの配管の一部を真空断熱材に接触させることを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記4つの配管のうち、少なくとも給水配管の一部を前記真空断熱材に接触させることを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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