説明

貯湯式給湯装置

【課題】貯湯式給湯装置に関し、貯湯タンクに貯められた中温水を優先的に出湯させる。
【解決手段】貯湯タンク2上部に接続された出湯管7と、貯湯タンク2下部に接続された入水管8と、入水管8から分岐された給水管31と、貯湯タンク2中間部に接続された中間出湯管27と、中間出湯管27の接続部近傍の貯湯温度を検知する貯湯温度センサ34dと、出湯管7途中に設けられた出湯管7を流れる湯水に中間出湯管27からの湯水を混合する中間混合弁28と、中間混合弁28からの湯水と給水管31からの湯水とを混合する給湯混合弁30と、中間混合弁28で給湯設定温度より所定温度高い温度に混合し、この混合された湯水を給湯混合弁30で給湯設定温度に混合して給湯するようにした制御手段36とを備えたものにおいて、制御手段36は、貯湯温度センサ34dの検知温度に基づいて給湯待機時の中間混合弁28の待機開度を決定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものにおいては、図3に示すように貯湯タンク101内に貯湯された高温水を取り出して暖房や風呂の追焚きの熱源として用い、熱交換によって温度低下した中温水が貯湯タンク101内に戻されると共に、貯湯タンク101の中間部から中間出湯管102を介してこの中温水を取り出して給湯に用いるものがあった。
【0003】
そして、この中温水は中間混合弁103によって貯湯タンク上部の出湯管104からの高温水と給湯設定温度+αの温度に混合され、給湯混合弁105によって給水管106からの給水と給湯設定温度に混合されて給湯されるものであった。
【特許文献1】特開2003−240342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来のものでは、給湯開始時に必ず給湯設定温度以上の湯を取り出すために給湯待機中は中間混合弁103の出湯管104側を全開にしており、給湯開始してからの制御的な遅れから中温水を取り出すまでに時間を要し、貯湯タンク101上部に貯められている高温水を余計に消費していた。そのため、中温水よりも上方に貯められている高温水が中温水よりも先に消費され、貯湯タンク101内の中温水が中間出湯管102よりも上方に移動してしまい、中温水を中温水出湯管102から出湯させることができない状態となってしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は上記の課題を解決するため、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク上部に接続された出湯管と、前記貯湯タンク下部に接続された入水管と、この入水管から分岐された給水管と、前記貯湯タンク中間部に接続された中間出湯管と、この中間出湯管の接続部近傍の貯湯温度を検知する貯湯温度センサと、前記出湯管途中に設けられた出湯管を流れる湯水に前記中間出湯管からの湯水を混合する中間混合弁と、この中間混合弁からの湯水と前記給水管からの湯水とを混合する給湯混合弁と、前記中間混合弁で給湯設定温度より所定温度高い温度に混合し、この混合された湯水を前記給湯混合弁で給湯設定温度に混合して給湯するようにした制御手段とを備えたものにおいて、前記制御手段は、前記貯湯温度センサの検知温度に基づいて給湯待機時の前記中間混合弁の待機開度を決定するようにしたものである。
【0006】
また、前記制御手段は、前記貯湯温度センサの検知する温度を複数の領域に分け各温度領域毎に待機開度を予め記憶し、前記貯湯温度センサの検知する温度に応じて前記中間混合弁の待機開度を選択するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、中間出湯管の接続部近傍にある温度以上の湯があるときには、給湯待機時の中間混合弁がその温度に基づいた開度で待機しているため、給湯開始時に中間混合弁によって給湯設定温度近傍まで制御する時間が短縮され、出湯管から取り出す高温水の量をできる限り少なくすることができ、貯湯タンクに貯まった中温水を中間出湯管から無駄なく取り出して給湯に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
この貯湯式給湯装置は、時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜時間帯に湯水を沸き上げて貯湯し、この貯湯した湯水を給湯に用いるもので、1は湯水を貯湯する貯湯タンク2を備えた貯湯タンクユニット、3は貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプユニット、4は台所や洗面所等に設けられた給湯栓、5はこの給湯栓4の近傍に設けられた給湯リモコン、6は貯湯タンク1内の高温水を熱源とする床暖房パネル等の暖房端末である。
【0009】
前記貯湯タンクユニット1の貯湯タンク2は、上端に出湯管7と、下端に入水管8とが接続され、さらに、下部にヒーポン循環回路を構成するヒーポン往き管9と、上部にヒーポン循環回路を構成するヒーポン戻り管10とが接続され、前記ヒートポンプユニット3によってヒーポン往き管9から取り出した貯湯タンク2内の湯水を沸き上げてヒーポン戻り管10から貯湯タンク2内に戻して貯湯され、入水管8からの給水により貯湯タンク2内の湯水が押し上げられて貯湯タンク2内上部の高温水が出湯管7から押し出されて給湯されるものである。
【0010】
前記ヒートポンプユニット3は、圧縮機11と凝縮器としての冷媒−水熱交換器12と電子膨張弁13と強制空冷式の蒸発器14で構成されたヒートポンプ回路15と、貯湯タンク2内の湯水を前記ヒーポン往き管9およびヒーポン戻り管10を介して冷媒−水熱交換器12に循環させるヒーポン循環ポンプ16と、それらの駆動を制御するヒーポン制御部17とを備えており、ヒートポンプ回路15内には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。なお、冷媒に二酸化炭素を用いているので、低温水を電熱ヒータなしで約90℃の高温まで沸き上げることが可能なものである。
【0011】
ここで、前記冷媒−水熱交換器12は冷媒と被加熱水たる貯湯タンク2内の湯水とが対向して流れる対向流方式を採用しており、超臨界ヒートポンプサイクルでは熱交換時において冷媒は超臨界状態のまま凝縮されるため効率良く高温まで被加熱水を加熱することができ、被加熱水の冷媒−水熱交換器12入口温度と冷媒の出口温度との温度差が一定になるように前記電子膨張弁13または圧縮機11を制御することで、被加熱水の冷媒−水熱交換器12の入口温度が5〜20℃程度の低い温度であるとCOP(エネルギー消費効率)がとても良い状態で被加熱水を加熱することが可能なものである。
【0012】
18は前記暖房端末6の湯水を加熱するための熱交換器で、その一次側には貯湯タンク2上部に接続された高温水往き管19と貯湯タンク2下部に接続された中温水戻り管20とが接続されて熱交循環回路21を構成し、中温水戻り管20途中に設けられた熱交循環ポンプ22の作動により貯湯タンク2から取り出した高温水を熱交換器18に循環させ、熱交換により温度低下した中温水を再び貯湯タンク2内に戻すものである。
【0013】
前記熱交換器18の二次側には、暖房端末6の循環水を循環可能に暖房往き管23と暖房戻り管24より構成される暖房循環回路25が接続され、暖房戻り管24途中に設けられた暖房循環ポンプ26の作動により暖房端末6の循環水が熱交換器18に循環されて、一次側の高温水により加熱されて暖房が行われるものである。
【0014】
次に、27は貯湯タンク2の前記中温水戻り管20より高く前記出湯管7より低い中間位置に接続された中間出湯管で、前記熱交換器18で二次側と熱交換して温度低下した中温水などの貯湯タンク2の中間位置に貯められている湯水を貯湯タンク2から出湯するものである。
【0015】
28は、前記出湯管7途中で前記中間出湯管27の下流に設けられた電動ミキシング弁より構成された中間混合弁、29はこの中間混合弁28下流に設けた中間混合温度センサで、貯湯タンク2中間位置付近の中温水と貯湯タンク2上端に接続された出湯管7からの高温水とを給湯リモコン5でユーザーが設定した給湯設定温度より所定温度高い温度になるように混合比率が制御されるものである。
【0016】
次に、30は中間混合弁28からの湯水と入水管8から分岐された給水管31からの低温水を混合する電動ミキシング弁より構成された給湯混合弁であり、その下流の給湯管32に設けた給湯温度センサ33で検出した湯温が給湯リモコン5でユーザーが設定した給湯設定温度になるように混合比率を制御するものである。
【0017】
次に、34は貯湯タンク2の上下方向に複数個配置された貯湯温度センサで、この実施形態では5つの貯湯温度センサが配置され上から34a、34b、34c、34d、34eと呼び、この貯湯温度センサ34が検出する温度情報によって、貯湯タンク2内にどれだけの熱量が残っているかを検知し、そして貯湯タンク2内の上下方向の温度分布を検知するものである。また、この一実施形態では、中間出湯管27の接続部の高さ位置近傍に設けられている貯湯温度センサ34dにより中間出湯管27の接続部近傍の貯湯温度を検知するようにしている。
【0018】
前記給湯リモコン5には、給湯設定温度を設定する給湯温度設定スイッチ35が設けられ、給湯温度設定手段を構成しているものである。
【0019】
36は貯湯タンクユニット1内の各センサの入力を受け各アクチュエータの駆動を制御するマイコンを有した給湯制御部である。この給湯制御部35に前記給湯リモコン5が無線または有線により接続されユーザーが任意の給湯設定温度およびふろ設定温度を設定できるようにしているものである。
【0020】
前記給湯制御部36は、中間出湯管27の直ぐ下方の高さに設けられている貯湯温度センサ34dの検出する温度と出湯管7の下方の高さに設けられている貯湯温度センサ34aの検出する温度とに基づいて給湯設定温度より所定温度高い温度に混合するよう中間混合弁28の開度をフィードフォワード制御すると同時に、中間混合温度センサ29で検出する温度が給湯設定温度より所定温度高い温度になるよう中間混合弁28の開度をフィードバック制御するようにしているものであると共に、中間混合温度センサ29の検出する温度と入水管8途中に設けられた給水温度センサ37の検出する温度とに基づいて給湯設定温度に混合するよう給湯混合弁30の開度をフィードフォワード制御すると同時に、給湯温度センサ33の検出する温度が給湯設定温度になるように給湯混合弁30の開度をフィードバック制御するようにしているものである。
【0021】
また、前記給湯制御部36は、前記中間出湯管27の接続部近傍の貯湯温度を検知するための前記貯湯温度センサ34dの検知温度に基づいて給湯待機時の前記中間混合弁28の待機開度を決定するもので、詳細には貯湯温度センサ34dの検知する温度を複数の領域に分け各温度領域毎に待機開度を予め記憶し、前記貯湯温度センサ34dの検知する温度に応じて前記中間混合弁28の待機開度を選択するようにしているものである。
【0022】
この一実施形態では、図2に示すように貯湯温度センサ34dの検知する中間出湯管27の接続部近傍の貯湯温度が給湯設定温度より所定温度高い温度以上ある場合は、中間混合弁28の待機開度を中間出湯管27側全開、出湯管7側全閉とし、給湯設定温度より所定温度高い温度未満で30℃以上ある場合は、中間混合弁28の待機開度を半開状態とし、30℃未満である場合は、中間混合弁28の待機開度を中間出湯管27側全閉、出湯管7側全開とするようにしてい次の給湯開始まで待機するようにしているものである。
【0023】
次に、この一実施形態の作動を説明する。
まず、沸き上げ運転について説明すると、深夜電力時間帯になって貯湯温度センサ34が貯湯タンク2内に翌日に必要な熱量が残っていないことを検出すると、給湯制御部36はヒーポン制御部17に対して沸き上げ開始指令を発する。指令を受けたヒーポン制御部17は圧縮機11を起動した後にヒーポン循環ポンプ16を駆動開始し、貯湯タンク2下部に接続されたヒーポン往き管9から取り出した5〜20℃程度の低温水を冷媒−水熱交換器12で70〜90℃程度の高温に加熱し、貯湯タンク2上部に接続されたヒーポン戻り管10から貯湯タンク2内に戻し、貯湯タンク2の上部から順次積層して高温水を貯湯していく。貯湯温度センサ34が必要な熱量が貯湯されたことを検出すると、給湯制御部36はヒーポン制御部17に対して沸き上げ停止指令を発し、ヒーポン制御部17は圧縮機11を停止すると共にヒーポン循環ポンプ16も停止して沸き上げ動作を終了するものである。
【0024】
次に、給湯運転について説明すると、給湯栓4を開くと、入水管8からの給水が貯湯タンク2内に流れ込む。そして中間出湯管27を介して中間混合弁28へ高温水が押し出される。なお、貯湯タンク2内には上部に高温水、下部に低温水が貯められているが、その温度差により比重差が発生し、温度境界層を形成して比重の軽い高温水が上部に、比重の重い低温水が下部に位置するので、互いに混じり合うことはないものである。
【0025】
ここで、給湯制御部36は中間出湯管27からの湯水と出湯管7からの湯水を混合して中間混合弁28にて給湯リモコン5で設定された給湯設定温度より所定温度高い温度となるように中間混合弁28を適当な比率に調整する。なお、ここでは、中間出湯管27から流入する湯が高温で給湯設定温度より高いため、中間混合弁28の出湯管7側が閉じられることとなる。
【0026】
そして、中間混合弁28から流出した湯は給湯混合弁30へ流入し、給水管31からの低温水と混合され、給湯制御部36が給湯混合弁30の混合比率を調整し給湯設定温度の湯が給湯栓4から給湯される。そして、給湯栓4の閉止によって給湯が終了するものである。
【0027】
このとき、前記中間混合弁28は給湯設定温度よりも所定温度高い温度の湯を供給するようにしているので、中間出湯管27が接続されている部位付近の温度が給湯設定温度よりも低い場合は、給湯制御部36により中間混合弁28の混合比率が調整されて出湯管7からの高温水を用いて給湯設定温度よりも所定温度高い温度の湯を供給するようにし、貯湯タンク2の中間位置からの出湯を優先し、貯湯タンク2の上部に貯められている高温水の使用を最小限に留め、熱源となる高温水をより多く確保することが可能となる。
【0028】
次に、暖房運転について説明すると、暖房運転指示が入力されると給湯制御部36は熱交循環ポンプ22および暖房循環ポンプ26を駆動し、高温水往き管19から取り出した高温水を熱交換器18に流入させ、二次側の循環水と熱交換させ暖房運転を行う。そして、熱交換により温度低下した中温水が中温水戻り管20を介して貯湯タンク2下部に戻り、高温水と入れ替わる形で高温水と中温水の境界面を押し上げるようにして中温水が貯湯されるものである。なお、貯湯タンク2内には上部に高温水、中間部に中温水、下部に低温水が貯められているが、その温度差が20℃程度あれば比重差が発生し、温度境界層を形成して比重の軽い高温水が上部に、中間の中間水が中間部に、比重の重い低温水が下部に位置するので、互いに混じり合うことはないものである。
【0029】
そして、二次側では、熱交換器18にて加熱された循環水が暖房端末6へ戻って暖房を行う。そして、暖房停止の指示が入力されると給湯制御部36は熱交循環ポンプ22および暖房循環ポンプ26の駆動を停止し、暖房運転を終了するものである。
【0030】
このように、暖房運転を行うと熱交換によって温度低下した中温水が多量に貯湯タンク2内に貯められることとなる。この中温水は暖房の熱源として用いることができないと共に、ヒートポンプ回路15で沸き上げるにも効率が悪い。そこで、この中温水を優先的に給湯に用いることが求められる。
【0031】
そこで、貯湯タンク2内に中温水が貯められた後の給湯運転について説明する。給湯栓4の開栓により、入水管8からの給水が貯湯タンク2内に流れ込むと同時に、中間出湯管27から中温水が押し出されて中間混合弁28へ流入する。ここで中間出湯管27から押し出される中温水の温度が給湯設定温度よりも高い場合は、中間混合弁28は出湯管7側が閉じられて中温水がそのまま給湯混合弁30へ供給され、この給湯混合弁30で給水管31からの給水と混合されて給湯設定温度の湯水が給湯される。
【0032】
ここで、中間出湯管27から押し出される中温水の温度が給湯設定温度よりも低い場合は、中間混合弁28の混合比率が調整されて貯湯タンク2上端部の出湯管7からの高温水と混合されて給湯設定温度より所定温度高い温度の湯が給湯混合弁30に供給され、給水管31からの低温水と混合され、給湯制御部36が給湯混合弁30の混合比率を調整し給湯設定温度の湯が給湯栓4から給湯される。そして、給湯栓4の閉止によって給湯が終了するものである。
【0033】
このようにして、高温水と比べて容量当たりの保有熱量が少ない中温水を高温水よりも優先的に給湯に用いることができるので、ヒートポンプ回路で効率の良い沸き上げを行うことができCOP(エネルギー消費効率)を向上することができる。
【0034】
そして、前記中間混合弁28での混合動作は、中間出湯管27の直ぐ下方の高さ位置に設けられている貯湯温度センサ34dの検出する温度と出湯管7の下方の高さ位置に設けられている貯湯温度センサ34aの検出する温度とに基づいて給湯制御部36が給湯設定温度より所定温度高い温度になるようにフィードフォワード制御されるので、貯湯温度センサ34dが検出する温度と実際に中間出湯管27から押し出される中温水の温度とが一致しない場合であっても、中間混合弁28では出湯管7側の高温水が多く混合され中間混合弁28からは必ず給湯設定温度より高い温度の湯水が出湯され、給湯混合弁30にて給水管31からの水が混合されて給湯設定温度の湯水が給湯されるので最終的な給湯温度がオーバーシュートしてしまうことがなくなる。
【0035】
そのため、中間出湯管27から押し出される湯水の温度が給湯に伴って高温水から中温水(低温水)、中温水から低温水へと変化する過渡期にあっても安定した湯温の給湯を行うことができるものである
【0036】
また、給湯待機時は、前記給湯制御部36が、前記中間出湯管27の接続部近傍の貯湯温度を検知するための前記貯湯温度センサ34dの検知温度に基づいて給湯待機時の前記中間混合弁28の待機開度を決定するもので、詳細には図2に示すように貯湯温度センサ34dの検知する温度を複数の領域に分け各温度領域毎に待機開度を予め記憶し、前記貯湯温度センサ34dの検知する温度に応じて前記中間混合弁28の待機開度を選択するようにしているものであるから、中間出湯管の接続部近傍にある温度以上の湯があるときには、給湯待機時の中間混合弁がその温度に基づいた開度で待機しているため、給湯開始時に中間混合弁によって給湯設定温度近傍まで制御する時間が短縮され、出湯管から取り出す高温水の量をできる限り少なくすることができ、貯湯タンクに貯まった中温水を中間出湯管から無駄なく取り出して給湯に利用することができる。
【0037】
なお、これらの一実施形態では、熱交換器18と熱交循環ポンプ22と暖房循環ポンプ26とを貯湯タンクユニット1内に設けているが、貯湯タンクユニット1とは別体のユニット体に設けるようにしても良く、本発明の要旨を変更しない範囲での実施形態の変更をすることを妨げるものではない。
【0038】
また、これらの一実施形態では、熱交換器19の二次側に暖房回路を設けているが、これに限られずフロの循環回路を設けても良く、要は貯湯タンク16内の高温水の熱を熱交換器18で熱交換して利用する熱機器であれば何でも良いものである。また、暖房端末6としては床暖房パネルや温水式温風暖房器や温水式パネルコンベクタ、温水式パネルラジエータ等を用いることができる。
【0039】
さらに、貯湯タンク2内の湯水を加熱する手段としてヒートポンプ回路15を備えたヒートポンプユニット3を例示しているが、これに限られず、貯湯タンク2内に直接配置した電熱ヒータや、貯湯タンク2内の湯水を循環させて電熱ヒータで加熱するようにしても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態の概略構成図。
【図2】同一実施形態の貯湯温度と中間混合弁の待機開度の関係を示す図。
【図3】従来例の概略構成図。
【符号の説明】
【0041】
2 貯湯タンク
3 加熱手段
7 出湯管
8 入水管
27 中間出湯管
28 中間混合弁
30 給湯混合弁
31 給水管
34 貯湯温度センサ
36 給湯制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク上部に接続された出湯管と、前記貯湯タンク下部に接続された入水管と、この入水管から分岐された給水管と、前記貯湯タンク中間部に接続された中間出湯管と、この中間出湯管の接続部近傍の貯湯温度を検知する貯湯温度センサと、前記出湯管途中に設けられた出湯管を流れる湯水に前記中間出湯管からの湯水を混合する中間混合弁と、この中間混合弁からの湯水と前記給水管からの湯水とを混合する給湯混合弁と、前記中間混合弁で給湯設定温度より所定温度高い温度に混合し、この混合された湯水を前記給湯混合弁で給湯設定温度に混合して給湯するようにした制御手段とを備えたものにおいて、前記制御手段は、前記貯湯温度センサの検知温度に基づいて給湯待機時の前記中間混合弁の待機開度を決定するようにしたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記貯湯温度センサの検知する温度を複数の領域に分け各温度領域毎に待機開度を予め記憶し、前記貯湯温度センサの検知する温度に応じて前記中間混合弁の待機開度を選択するようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−64336(P2006−64336A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250003(P2004−250003)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)